2008-08-11
■[その他]夏コミのご連絡:「まじカル!A`s」&「淫漫王」
今日の一枚
お風呂連行3分前。
田中久仁彦さんの画集がamazonで予約開始しております。こちらはさすがに出そうですが、たかみちさんの画集が9月に本当に出るのか心配です。
さて。コミケは普段は納得のいく面子が集まったときだけ本を出す超不定期な参加の仕方をしているのですが、今年はblogを始めた影響か余所様からお誘いを受けましたので、そちらのご連絡をしたいと思います。
・かーずSPのかーずさんに呼ばれたので、対談など企画してみました。
・最初は小梅けいとさんとの対談を考えていたのですが、「作家1人編集1人じゃサンプルとして参考にならなくね?」という意見が出たので、藤真拓哉さんとアフタヌーンのエムカミさんを巻き込みかーずさんを加えた5名にスケールアップさせてみました。
・知らない間に巻頭特集にされてました。
・小学館のアレが起こる前にやったので、アレの話題は出てきません。
・かーずさんのサークルスペースは"日曜日 東ミ-37a"です。
そしてもうひとつ
・完顔阿骨打さんの表紙イラストとインタビューのお手伝いをさせていただきました。
・中高生の頃に読んでいたエロマンガ家さんが現役バリバリで、その上インタビューすることになるとは夢にも思いませんでした。
・あとコアマガジンのホットミルク編集長インタビューもお手伝いさせていただきました。
・ついでに末席でコラムを1本書かせていただきました。
・頒布場所はgeakon(東 E-18b)黒鹿亭(東 フ-45a)なまけものスペース(東 ニ-40b)ぱんつがあればいーのだ(西 す-36a )ゴルカム(西 て-13b)むんくろ(西 な-06a)。すべて日曜日です。
どちらの本も私以外はスゴイのでぜひ見てやってください。
2008-08-10
■[書評]三次元の妹も悪くないよ!:伏見つかさ「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」
今日の一枚
そんな「なに見てんのよ」みたいな目で見られましても。
私立高校で英語を教えている女教師な妹という、文字にするとえらいスペックな妹を持つ多摩坂です。
さて。先日うだるような暑さの中、電車とバスを乗り継いでアスキー・メディアワークスの新社屋に向かっていた時にばったり平和さん(※「平和の温故知新」の管理人さん)にでくわしまして。奇遇だなあと思って話しましたら「三木さん(※電撃文庫の編集者)が担当した新作読みました? おもしろかったですよ」とおっしゃるのですね。
で、アスキー・メディアワークスに向かっていた理由がその三木さんとの打ち合わせだったので、さっそく「あなたが担当した8月刊の新作を全部見せていただきたい」と言ったんですが、そしたらあなた、ものすごい微妙な反応を返しながら誤魔化して流そうとするじゃありませんか。珍しい。どうもよほど触れられたくない何かがあるらしい。そんな風に反応されるとこちらとしてもどうしても見たくなるわけで、もらって即目を通したわけです。それがこれ
伏見つかささんの新作「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」。これがねえ…おもしろかったんですよ。まだ売れ行きも判明してないのにマンガ家の候補と構成を一気に組み上げちゃったくらい。
お話は植物のような平穏な人生を送りたい主人公が、超優秀で生意気でキツい妹から、とある秘密について"人生相談"を持ちかけられることではじまります。秘密の内容はオビを見ていただければおおむねわかると思いますが、想像の斜め上を行ってますので、ぜひ実際に読んで確認してください。
ううむ、色々書きたいんですけど書くとネタバレになっちゃうんですよね、この作品。なんというか、社会的には超勝ち組なポジションにいる勝気な妹が、まったく異なるフィールドに足を踏み出すことでテンパッたりヘコんだり暴れたりする(そしてその一挙手一投足が実にかわいらしい)のですが、それを逐一主人公がフォローするんですよね。なぜかと問われれば、それは兄だから。彼氏彼女の関係ではない、兄妹だからこその気づかいや手助けが見ていてとても気持ちがいいです。
あと、主人公には幼馴染な彼女がいまして、この子がまたおばーちゃん系ほんわか天然地味メガネで癒し系オーラを放ちまくりなのですが、この子が個人的にすごいツボです。次巻は出番増量を希望。
1巻ですっきりまとまってはいるものの、早く続きが見てみたい期待の新作。おすすめです。
- 作者: 伏見つかさ, かんざきひろ
- 出版社/メーカー: アスキーメディアワークス
- 発売日: 2008/08/10
- メディア: 文庫
2008-08-09
■[書評]ラノ漫2008年上半期エロマンガ5選+α
今日の一枚
ドア付近が風通しがよくて快適らしい。
半年以上経つといつ出た本か忘れてしまうので、自分用のメモを兼ねて。
月吉ヒロキさんの「独蛾」については以前書いたので下を参照のこと。
一途な愛の二つの形:月吉ヒロキ「独蛾」/真田鈴「すきなんていってあげない」
無望菜志さん(「なもなし」と読むらしいです)の処女単行本。魔法の国のお姫様が使った魔法のミスで触手淫獣と化してしまった主人公が、姫様とくんずほぐれつするマンガ。いわゆる「触手モノ」でプレイもハードなのですが、基本的には和姦でかつストーリー的には純愛物という、大変ユニークな一品に仕上がっています。キャラクターにも触手にも作者の愛情が強く感じられる、実用性を備えながらも読後感の良い一冊。触手初心者にもおすすめ。
関谷あさみさんの3冊目の単行本にして、おそらく現時点での最高傑作。非合法のハメ撮り援交ビデオを作りながら失意の日々を送る男と、男に会いたいがために身体を売る孤独な少女の不器用な恋愛話。性描写と心理描写がえらく生々しいのが特長。登場人物が皆弱くてやさしくてかわいらしく(男も)、最後は甘々で終わります。ちっちゃい女の子が苦手でないならぜひ読んでみていただきたい作品です。
笹倉綾人さんの2冊目のエロマンガ単行本。ちっちゃくて一途な女の子たちが、甲斐性無しの男たちに身体を張ってぶつかっていく単発ものの作品集。気が強い女の子を描く印象が強い笹倉さんですが、実際のところ割合的にはそこまで多いわけではありません(この本だと10作品中3作品)。とはいえキャラが立ってるのでものすごく目立ちますがっ。押し倒すよりも押し倒されたい、受け身な人向け。
男性向けショタものアンソロジーの最終号。作家陣はMARCYどっぐ/無道叡智/虎向ひゅうら/ジェームスほたて/たかしたたかし/鷹勢優/猫玄/笹倉綾人/高津/ベンジャミン/無有利安/諸汰鎮孝/奇械田零士朗/RT./T.K-1/きりがくれたかや/龍炎狼牙/上連雀三平。大変豪華なメンバーで質も高く、初心者が比較的とっつきやすい内容になっていると思います。新しい世界を見たい人の入門用に。
ロリ方面が豊作だった上半期とは対照的に、下半期は肉感に優れた作品が多く出てきています。以下に下半期の注目作をいくつかあげておきます。
「ハナハルが嫌いなオタクなんていません!」(by ヤスイリオスケ)という言葉が冗談に聞こえないくらい鉄板な鳴子ハナハルさんのエロマンガ処女単行本。これを超えるフィーバーはエロマンガ業界ではもう二度と見られないのではないかと思われるくらいの盛り上がりでした。内容についてはいまさら言うまでもないでしょう。
画集ですが収録されているカラーマンガがすごいので紹介します。後半の約50ページが同人誌初出のカラーのエロマンガなのですが、画力・ボリューム・ハードさのいずれの点においてもこれを超えるカラーマンガは当分出てこないのではないかと思われます。表紙を見て絵柄が気に入った人はぜひ一度ご覧ください(ただし中身は特濃なので注意)。
TANAさんの処女単行本。ちびの少年と女生徒会長の、おそろしく淫靡な純愛物語。TANAさんは同人誌などではメーターの振り切れたアブノーマルな作品を多数発表されていますが、商業作品ではブレーキをかけているので、ノンケの人もこの作品ならなんとかついていけるのではないかと思います。それでも大概エロいですが。
今回はこんな感じで。続きは5ヶ月後にまた。
[asin:4871829715:detail]
2008-08-07
■[編集]マンガの中の文字と吹き出しについて
今日の一枚
ひっくり返って熟睡中。
マンガの吹き出しをテキトーなところに置く作家がいます。同人出身の人と絵が達者な人がよくやります。
昔と違って今のマンガは画力と画風と絵の密度を高い水準で求められます。魅力のある、読者に振り向いて貰える絵を描くには、絵に相当なウェイトを置いた修練が必要です。しかしそのため絵ばかり見てコマ割りや文字まわりをおろそかにする人が増えるという問題があります。
吹き出しをテキトーなところに置くとどうなるかというと、まず第一にマンガが読みにくくなります。そして目線が次にどこに移動すればいいのかわからなくなります。「なんだその程度か」とあなどってはいけません。
目線の誘導が上手くいっていないマンガは読者にストレスを与えます。ストレスは作品の心証によい影響は与えませんし、悪くすると読者がマンガに熱中するのを妨げたり、いい感じに引き込めていた読者を現実に引き戻したりします。吹き出しは目線の自然な動きに沿う場所に配置するのが基本です。
また、これは作家ではなく編集者が悪いのですが、変な書体・変な大きさ・変な効果の文字を写植で貼る人がいます。
マンガは絵と文字の組み合わせで見せるメディアですから、文字に適切な演出を加える必要は当然あります。しかしここで重要なのは、読者が本当に必要としているのは文字が持つ『情報』や『ニュアンス』なのであって『文字そのもの』ではないということです。文字はメッセンジャーであるにすぎません。
マンガの中で文字自身が自己主張をすることほど見苦しいことはありません。
……山口貴由が岡田芽武的な手法を脱してシグルイに至り、「剣戟シーンも音があるとスピードが落ちる気がする。無音のほうが遥かに速い」と語るようになった心理の変遷について考えていたはずが、気がついたらこんな文章に。