2008-08-27
■[お仕事]8月売り電撃大王&萌王のご連絡
今日は仕事まわりのおしらせが多いです。まず本日電撃大王の10月号が発売になりました。
今月は「とある魔術の禁書目録」&「とある科学の超電磁砲」の特集号。超電磁砲は17話目にして初の表紙であります。レジで店員さんに見られるのがちょっと恥ずかしい表紙ですが、感情を押し殺して平静を装いつつお買い求めください。
付録の「『禁書目録』目録」には鎌池さん書き下ろしの「とある科学の超電磁砲SS」を収録。初春の意外な一面が見られる短編です。なお扉と挿絵は冬川さんが描いてます。
そして今月号でようやく情報解禁になりましたが、10・11・12月売りの大王で3ヶ月連続のフィギュア付録をやります。去年・一昨年のシャナに続いて3年連続で担当させていただくことになりますが、今年のフィギュアは禁書のキャラです。美琴・黒子・インデックスを製作していますが一押しはインデックス。掲載されてるやつは写真写り悪いですが、すごくいい出来に仕上がってます。またこれらとは別に誌上通販用のかなりはっちゃけたフィギュアを一点製作中ですので、こちらもご期待ください。
さて次。こちらは昨日発売ですが、電撃萌王の10月号が発売中です。
前号から始まった新企画「Ten Colors」。今回のお題は「縞パン」。この企画では私は松竜さんのイラストを担当させていただいております。
そして現在アニメ放送中の「乃木坂春香の秘密」は春香さんの初コミケのお話。作中に某ねこバス停が出てきますが、原作どおりやると中の人が本気で嫌がりそうなのでちょっとファンタジーを入れてみました。結構かわいくできたと思いますのでマンガ版の方もぜひご覧ください。
以上、まずは雑誌まわりの告知でした。
- 出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング
- 発売日: 2008/08/27
- メディア: 雑誌
- 出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング
- 発売日: 2008/08/26
- メディア: 雑誌
■[お仕事]XXXなお嬢さまは好きですか?:真田鈴「森口織人の帝王学」&深山靖宙「乃木坂春香の秘密」2巻
さて。前項に引き続きまして今度は電撃コミックスの新刊をご紹介。まずはおかゆまさきさん原作のマンガ「森口織人の帝王学」が本日発売になりました。
「森口織人の帝王学」は8月10日に先行して発売された電撃文庫「森口織人の陰陽道」とパラレルな関係にある作品です。「陰陽道」はおかゆまさきさん&とりしもさんというドクロちゃんコンビで書かれていますが、「帝王学」の作画は新進気鋭の真田鈴さんが担当しています。
内容は「才色兼備の清楚なお嬢様の頭の中が実はHな妄想でいっぱいで、しかもその妄想をのぞき見できたとしたら……どうよ?」という、ド直球な学園エロコメです。電撃大王というのは不思議な雑誌でして、登場人物の大半が女性キャラである割にはマンガ誌に定番の「エロ担当」なマンガがなかった(あとスポーツマンガもありませんね)のですが、たぶんこの作品がその用を果たしているのではないかと思います。担当しといて言うのもなんですが、結構Hに仕上がってると思いますのでよかったらぜひ一度ご覧ください。
エロコメについてはいろいろと思うところがあるのですが、長くなりそうなので次回以降にまわしたいと思います。
次。同じく本日「乃木坂春香の秘密」コミック版の2巻が発売になりました。
こちらの方はアニメとかフィギュアとかが好きな隠れオタクのお嬢様がオタバレしそうになってひきこもったり、とら○あな風のお店に足を踏み入れてハイテンションに店内を見て回ったりといった感じのお話です。原作の2巻を中心に組まれてますが、描き下ろしや萌王以外の雑誌で描いた出張版などをいろいろ収録。内容的には春香の妹の美香分が結構多めです。
危なっかしい天然お嬢様の日常を描いた明るい学園コメディ2本。マンガ業界主流の高カロリーなストーリーマンガの息抜きにひとついかがでしょうか。
- 作者: おかゆまさき, 真田鈴
- 出版社/メーカー: アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2008/08/27
- メディア: コミック
- 作者: おかゆまさき
- 出版社/メーカー: アスキーメディアワークス
- 発売日: 2008/08
- メディア: 文庫
乃木坂春香の秘密(2) (電撃コミックス) (電撃コミックス)
- 作者: 五十嵐雄策, 深山靖宙
- 出版社/メーカー: アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2008/08/27
- メディア: コミック
2008-08-20
■[書評]ジンガイマキョウの「とある衣装と女教皇様」が素敵すぎる件
今日の一枚
うちの子的にはテレビは絵が出る踏み台です。
遅ればせながら、夏の有明マンガ祭りに参加された皆様おつかれさまでした。3日目しか参加しなかったので個人的には大変快適だったのですが、1日目2日目に参加された方は大変だったようで。
最盛期は1回のコミケで4〜50万投入するエコノミックアニマル(誤用)だった私も、歳をとったせいかだいぶ枯れてきました。それでも本だけで10万くらいは使っちゃいるのですが、買った本をずらずら並べるのもしょーもないので
禁書本の話でもしようかと。
アニメ化が発表された影響か同人誌も増えてきまして、こんな企画が催されたり中の人がはっちゃけたりしているわけですが、そこいらへんは美琴さんの眼前を通り過ぎる上条さんのようにスルー。今回はとある神裂ねーちん本を紹介したいと思う次第。
最初にぶっちゃけますとエロ同人誌です。でもアニメ化後に雨後の筍のように湧いて出る類の、服と髪型だけ変えた金太郎飴みたいなエロ本ではないです。まずこの本のお話は原作を16巻まで読んでいないと描けません。加えてギャグマンガとして読んでも面白い。そしてなにより神裂さんに対する愛がちゃんと伝わってきます。中の人がなんと言うかはわかりませんが、私は好きです。
このコマに惚れました。
さらに付け加えるとこの本はとってもHな上に、読み進めるにしたがってなぜか姫神秋沙に対する殺意がつのっていくという、秘密のギミックが仕込まれています。嫌がる人もいるとは思いますが、私はこういう遊び心が大好きです。いいぞもっとやれ。
話のネタは原作既読者は先刻御承知のアレ。今のところ入手はちょっと難しそうですが、一粒で二度三度楽しめる本ですので気になる人は草の根分けて探してみてください。おすすめです。
2008-08-13
■[編集]編集オタが非オタの彼女にマンガ編集世界を軽く紹介するための10本
・アニオタが非オタの彼女にアニメ世界を軽く紹介するための10本
まあ、どのくらいの数の編集オタがそういう彼女をゲットできるかは別にして、
「編集者ではまったくないんだが、しかし自分の仕事を肯定的に黙認してくれて、その上で全く知らないマンガ編集の世界とはなんなのか、ちょっとだけ好奇心持ってる」
ような、編集者の都合のいい妄想の中に出てきそうな彼女に、マンガ編集のことを紹介するために見せるべき10本を選んでみたいのだけれど。
(要は「脱オタクファッションガイド」の正反対版だな。彼女にマンガ編集を布教するのではなく相互のコミュニケーションの入口として)
あくまで「入口」なので、時間的に過大な負担を伴うシリーズものの本は避けたい。
できれば図解入り、長くても単巻のハードカバーにとどめたい。
あと、いくらマンガ的に基礎といっても古びを感じすぎるものは避けたい。
研究者が『鳥獣戯画』は外せないと言っても、それはちょっとさすがになあ、と思う。
そういう感じ。
彼女の設定は
「マンガ家マンガ」的なものを除けば、マンガそのものは結構読んでいる
サブカル度も低いが、頭はけっこう良い
という条件で。
まずは俺的に。出した順番は実質的には意味がない。
まあ、いきなりここかよとも思うけれど、気さくに色々話してくれるという点では外せないんだよなあ。コミックビームも13年目だし。
さらりと嫌味にならず、それでいて必要最小限の情報を教えてくれる、いい対談だと思う。
アレって典型的な「編集者が考える一般人に受け入れられそうな編集者論(そう編集者が思い込んでいるだけ。実際は全然受け入れられない)」そのものという意見には半分賛成・半分反対なのだけれど、それを彼女にぶつけて確かめてみるには一番よさそうな素材なんじゃないのかな。
「ちょっとダサい要素がないと売れないと思うんだけど、率直に言ってどう?」って。
ある種の編集者オタが持ってる過去への憧憬と、長谷邦夫のオタ的な考証へのこだわりを彼女に紹介するという意味ではいいなと思うのと、それに加えて存在自体がマンガな
「ツンデレ的なださカッコよさ」を体現する壁村耐三
「竹熊健太郎的なマンガ・プロデューサー」を体現する長崎尚志
の二人をはじめとして、オタ好きのするキャラを世界にちりばめているのが、紹介してみたい理由。
たぶんこれを見た彼女は「変態ね」と言ってくれるかもしれないが、そこが狙いといえば狙い。
「やっぱりマンガは理論だよね」という話になったときに、そこで選ぶのは菅野博之でもいいのだけれど、そこでこっちを選んだのは、「School Rumble」にかける泉信行の思いが好きだから。
「School Rumble」を俺自身は例として不適とは思わないし、発見も多いとは思うけれど、一方でこれが菅野だったら自分できっちり描いたわかるようなわからないような絵にしてしまうだろうとも思う。
なのに、マンガ読みが眉をひそめそうな作品で解説を行ってしまう、というあたり、どうしても「自分が好きなもので論をぶってしまうオタク」としては、たとえ泉がそういうキャラでなかったとしても、親近感を禁じ得ない。
引用作品の評価と合わせて、そんなことを彼女に話してみたい。
今の若年層で実物を見たことのある人はそんなにいないと思うのだけれど、だから紹介してみたい。
こういうクオリティの研究書が商業出版でこの時代に刊行されていたんだよ、というのは、別に俺自身がなんらそこに貢献してなくとも、なんとなくマンガ好きとしては不思議に誇らしいし、「たけくまメモ」でしか竹熊を知らない彼女には見せてあげたいなと思う。
長野規の「目」あるいは「雑誌づくり」をオタとして教えたい、というお節介焼きから見せる、ということではなくて。
「口ではどう言ってもジャンプのやることには目が離せない」的な感覚がオタには共通してあるのかなということを感じていて、その強さは長野が構築したロジック抜きではあり得なかったとも思う。
今後も当分の間マンガ誌の頂点に君臨し続けるとするなら、その力の源はアンケート至上主義にあったんじゃないか、という、そんな理屈はかけらも口にせずに、単純に楽しんでもらえるかどうかを見てみたい。
慶應義塾大学SFC熊坂研 IKKI編集部インタビュー
これは地雷だよなあ。未編集とか削除要求とか、そんなスリルは味わいたくないなあ。
こういう作家と編集者の生々しいエピソードを読んで、それが受け入れられるか気持ち悪さを誘発するか、というのを見てみたい。
9本まではあっさり決まったんだけど10本目は空白でもいいかな、などと思いつつ、便宜的に選んだ。
ビームから始まってマガジンで終わるのもそれなりに収まりはいいだろうし、テレビの普及以降のビジュアル時代の先駆けとなった編集長でもあるし、紹介する価値はあるのだろうけど、もっと他にいい作品がありそうな気もする。
というわけで、俺のこういう意図にそって、もっといい10本目はこんなのどうよ、というのがあったら教えてください。
「駄目だこの編集者は。俺がちゃんとした編集を見せてやる」というのは大歓迎。
こういう試みそのものに関する意見も聞けたら嬉しい。
2008-08-12
■[編集]グラフィック社の「学校・学院・学園」がちょっといい件
今日の一枚
くあー。
グラフィック社というところが出している「背景ビジュアル資料」というマンガ資料のシリーズがあります。
第1弾が「工業地帯&コンビナート」、第2弾が「団地・路地裏・商店街」、第3弾が「潜水艦・研究施設・巨大プラント」となっていまして、質も量も大したものなのですが「何に使うんだこんなもん。作者が会社をだまくらかして出した趣味の写真集なんじゃないか? これ」と思ってしまうくらい、使用する機会の無さそうな写真がずらずら並ぶシリーズでした。……第4弾が出るまでは。
今回紹介する「学校・学院・学園」は「学校」という言葉からイメージされる建物や事物を思いつく限り写真に収め、550点以上あるそれを176ページにぎっちりと詰め込んだカラーの写真集です。第3弾までがアレだったこともあってこの本の有用さは際立っており、同じ作り方でもテーマの選択ひとつでここまで変わるのだなあと思わされます。
学校の外観、運動場、校庭、教室、廊下、下駄箱、トイレ、職員室、校長室、保健室、学食、図書館、美術室、音楽室、生徒会室、放送室、視聴覚室、LL教室、パソコン室、化学準備室、家庭科室、進路指導室、PTA会議室、用務員室、屋上、部室棟、華道室...
などなどを、小学校、中学校、高校、女学院、地方の分校など総勢21校から撮りまくっており、眺めていて飽きません。中でも普通はなかなか見る機会のない女学院(ミッションスクール)の写真が興味深く、結構ページも多めに取ってあるのが個人的にはポイントが高いです。
学校を描く際の参考資料としてちょっと便利なこの1冊。おすすめです。