2008-11-13
2008-11-11
■[料理]秋山小兵衛の鴨飯と鮎豆腐
酒のあとは〔鴨飯〕である。これは、おはるが得意の料理で、鴨の肉を卸し、脂皮を煎じ、その湯で飯を炊き、鴨肉はこそげて叩き、酒と醤油で味をつけ、これを熱い飯にかけ、きざんだ芹をふりかけて出す。
それまで黙然としていた孫介老人も、この鴨飯には、おもわず舌つづみを打ち、
「かようなものが、この世に、ござったのか……」
おどろきの声を発したのである。
鴨肉の脂身を煮出した汁でごはんを炊きます。
ごはんを炊いている間に、別の鍋で鴨の肉を水3、醤油4、酒5の割合で煮込みます(煮すぎると肉が固くなるので注意)。いったん肉を取り出して煮汁を冷まし、もう一度肉を浸してから薄く切ります。
肉をごはんの上に乗せ、刻んだセリをかけてできあがりです。
肴は湯豆腐である。
土鍋に金杓子で削ぎ入れた豆腐へ大根をきざんでかけまわしてあるのは、豆腐をやわらかく味よくするためで、煮出は焼干の鮎という、まことにぜいたくな湯豆腐だ。
「これはどうも大先生。大変なご馳走でございますねえ」
「まったく……」
干し鮎と昆布を2時間ほど煮込みます。いったん火を止め、汁を濾します。
半月形に切った大根を出汁に入れて、やわらかくなるまで煮込んだ後、豆腐を入れます(煮すぎないこと)。
今回干し鮎はこちらから取り寄せました。鴨の風味、鮎の香りと出汁、どちらも絶品。お試しあれ。
2008-11-10
■[編集]マンガ家志望者必携の一冊:泉信行「リーフィング・スルー/オンルッカー」
今日の一枚
寝返り。
第七回文学フリマに参加するため上京してきた泉信行さん達と新宿の中華料理屋で飲んだら、完徹になってしまった罠。泉さんは無事文学フリマに参加できたのかしら。
さて。その泉さんの文学フリマの新刊であり、私が刊行を一日千秋の思いで待っていた作品が「リーフィング・スルー/オンルッカー」です。泉さんは赤松健論や視線力学の基礎などで知られる、気鋭のマンガ研究者ですが、この本は彼が商業媒体などで書いてきた理論をまとめたものになっています。目次は以下の通り。
第一部 読者の〈目〉が漫画に与える力
立体的に注がれる視線
仮想アングルが生じる時
アングルの可動パターン
アングルが読者に何を与えるのか?
アングル揺動の八要因
コマの中に与えられるベクトル
ベクトルに絡む様々な効果
第四部 漫画の文法
左右で描き分けられる「立場」
漫画の会話は「主導権の奪い合い」
主語と客語の錯綜
左右のレイアウトと会話
世界地図
左右の位置関係と、メディアの文化差
国際化の中で
宇佐悠一郎『放課後ウインド・オーケストラ』
なぜ辻褄を合わせようとするのか?
この本は基本的にはディープなマンガ読みが読むことを想定して書かれています。たとえば第一部と第二部は「読者はマンガをどういう風に鑑賞しているのか」という、マンガ原稿の技術の巧拙以前に存在する、読者の視線がマンガに与える作用について言及しています。これはこれまであまり検討されてこなかった新しい視点であり、慣れていない私には少々手ごわく感じられました。
私がこの本をマンガ家志望者に推薦するのは、読者の心理に影響を与える技術について書かれた第三部と第四部が、コンパクトでとてもわかりやすいからです。内容が気になる人は泉さんが昔書いたこれとかこれをためしに読んでみてください。どうですか、わかりやすいでしょう? このような記事がまとめて一冊の本になっているわけです。欲しくないですか?
この本は同人誌なので普通の本屋さんでは買えませんが、メロンブックスやタコシェ、バサラブックス、Lilmagなどで委託販売されています。メロンブックスはオンライン通販もやっている(商品直リン) ので、遠方にお住まいの方も安心です。
マンガ研究の最先端と実戦的な技術の両方が読めるお得な一冊。再販の予定は無いそうなので、欲しい方はお早目にどうぞ。
2008-11-03
■[その他]イラスト展示即売会「我展」に行ってきた
今日の一枚
妙に趣あるひなたぼっこ。
ウリィ銀行の名前を見るたびにDIO様の顔がちらついてしかたがない多摩坂です。「WRY」なら完璧だったんだが「Woori」なのね。
さて。今日は一風変わったイベントが開かれると聞いていたので、久しぶりに秋葉原に行ってきました。
同人作家さんが一点物のイラストや複製原画を展示・販売する即売会です。写真撮影OKとのことでしたので、写真付きで紹介します。
参加作家さんには1スペースにつきイーゼル1台、椅子1脚が貸し出されます。
今回はほとんどの作品が準備会側との共同制作による複製原画で、額付きで展示・販売されていました。
販売価格は20,000円前後が多かったです。かなり気合の入った複製でかつ額付きでしたので、赤が出ないかわりに利益も出ない、買い手寄りの価格設定であるように思いました。ちなみにAsh横島さんのこの作品は、残念ながら展示のみ。
購入するか迷ったhukeさんの一品。結構気に入っていたのですが、ほいほい買って今後本当に欲しい物が出てきたときに部屋にスペースが無いという状況になると困るので、今回は断念。
今回初開催ということで客足はまばらでしたが、おかげでじっくりと個々の作品を見て回れましたし、落ち着いた空気の大変興味深いイベントでした。2回目を開催することはすでに決まっているらしいので、参加作家さんが増えて盛り上がっていくといいなあと思う次第。