小学6年と中学3年が対象の全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)が22日、県内の国・県・公・私立の計1264校で行われた。「ゆとり」から「確かな学力」へ、43年ぶりに復活したテストの2回目の実施に、教職員組合は「競争につながる」と批判。実施を見送った私立校からは「問題が易しすぎて意味がない」と効果を疑問視する声も上がった。【山崎征克、和田憲二】
昨年のテストでの本県の成績は、小6の国語が全国平均を0・5~2ポイント上回る一方、中3の数学は同0・6~1・3ポイント下回った。県教育局は、テスト結果の分析ソフトを各校に配布するなどして授業や進路指導に役立てるよう指導しているという。
だが、小中学校の教職員らでつくる埼玉教職員組合は同日、テストは「学校の序列化や過度の競争につながる」として、県教委に対し、来年度は実施しないよう求める要求書を提出。▽テスト結果の市町村名と校名を公表しないよう市町村教委に働きかける▽市町村や学校ごとの結果を情報公開しない--ことなども求めた。
一方、実施を各校の裁量で決められる私立校では、小学校では対象の全3校が実施したものの、中学校は全21校のうち実施は16校。昨年は実施したが今年は見送った私立中の担当者は「平均80点を超える問題では易しすぎて生徒の実力を測る材料にならない」。昨年に続き実施した私立中も「様子見で2回実施したが、点数の差がつかずあまり意味がない」と評価は低い。
また、進学塾「栄光ゼミナール」の横田保美・広報部長は「テスト用の教材開発などの負担はないが、新指導要領の方向性を示す問題なので、結果はデータとして貴重」と受け止める。小6の長女(11)を持つさいたま市浦和区の会社員の男性(45)は「子供の学力低下が叫ばれているので、テストの結果を学力底上げに利用するのは賛成。でも、結果を子供個人を測る物差しにしてほしくない」と注文した。
毎日新聞 2008年4月23日 地方版