本書は週刊少年ジャンプに連載中の人情コメディー漫画の単行本である。『銀魂』は黒船ならぬ天人(宇宙人)が来襲し、突如価値観が変わってしまった町、江戸を舞台としたSF時代劇である。勤皇の志士や新選組など幕末の人物をモデルとしたキャラクターが登場する。下ネタも多い少年誌連載漫画だが、アニメ化もされ、女性ファンも多い。
ギャグやバトル、人情などさまざまな要素が詰まっている点が『銀魂』の魅力である。第24巻は志村新八が文通をする話と、老人と老犬の話、ジャンプスクエアに掲載された読み切り漫画『13』から構成される。いずれもギャグが詰まった展開であるが、最後の最後で、どんでん返しとなる。十分に笑った後に爽(さわ)やかな読後感を味わえる。 『銀魂』は主人公・坂田銀時の魂という意味である。宇宙人の来襲で価値観が変わってしまった中でも、侍の魂を持ち続けた人物であることを示している。主人公も含め、『銀魂』のキャラクターは不器用だったり、普段はでたらめだったりしても、意地にも似た信念を貫き通している。 キャラクターが一本筋の通った信念を有しているのは重たい過去を背負っているからである。一回限りで登場する老人や犬でさえ深いキャラクター設定がなされている。重たい過去があり、そこから目を背けずに行動しているからこそ、過去が明らかにされていない時はギャグになるような行動も読み終わってみると感動的なものになる。 記者(=林田)はマンションのだまし売り被害に遭い、売り主の東急不動産(販売代理:東急リバブル)と徹底的に戦った経験がある(参照:「東急不動産の遅過ぎたお詫び」)。このスタンスは現在でも変わらないし、変えてはならないものと考えている。 そのような記者にとって信念を貫く『銀魂』のキャラクターたちは共感が持てるし、まぶしくもある。目の前の敵とひたすら戦うだけで、状況が変われば過去の敵もなぜか味方になってしまうような戦闘漫画とは一線を画す面白さが『銀魂』には存在する。 『銀魂 第24巻』 集英社 2008年7月4日発行 定価:410円(税込み) 192ページ
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