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先端人 東京糸井重里事務所代表取締役社長 糸井重里
楽しくたって、仕事はできる
[2008-09-02 15:39:12]
先端人
楽しくたって、仕事はできる
東京糸井重里事務所代表取締役社長
ウェブサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」編集長 糸井重里

「不思議、大好き」「おいしい生活」など数々のキャッチコピーを生んだ名コピーライター・糸井重里。スタジオジブリ作品のコピー製作をはじめ、作詞、小説、エッセイ、ゲーム制作など幅広い分野で活躍し、1998年にはウェブサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」を開設。「ほぼ日刊イトイ新聞」は現在、日々140万ページビューを誇る人気サイトに成長し、ここから生み出された「ほぼ日手帳」が年間20万冊以上を出荷するなど、ヒット商品も次々と生まれている。卓越したアイデアと実行力で、新しいコンテンツとライフスタイルを提案する創造者・糸井重里に迫った。(文中敬称略)

楽しむものはすべてコンテンツ

 1日140万ページビュー(閲覧数)を誇る人気サイト「ほぼ日刊イトイ新聞」(通称「ほぼ日」)。コピーライターとして著名な糸井重里が自らの本拠地として位置づけるのが、この「ほぼ日」だ。「ほぼ日」は、「糸井重里が主宰する、インターネットで毎日お送りする、ちょっとほかにはない、たのしい新聞」をコンセプトに、著名人へのインタビュー記事や読者からの投稿コンテンツ、手帳や書籍などのオリジナル商品の販売など、多種多様な情報が日々提供されている。

 これまでも、明石家さんま、タモリ、萩本欽一、松本人志、三谷幸喜、矢沢永吉など数多くの有名人が登場したり、野球選手のイチローから思想家の吉本隆明まで多彩な登場人物のインタビューや対談記事が掲載されてきた。他にも毎日更新される糸井のコラムや週刊エッセイ「ダーリンコラム」をはじめ、谷川俊太郎、鳥越俊太郎、よしもとばなならの著名な執筆者のコラムやエッセイを無料で読むことができる。これら糸井重里だからこそできる著名人とのコラボレーションが大きな売りの一つだが、それだけではない。

 テーマを決めて読者からの投稿を募る読者参加型のコンテンツも人気だ。例えば、「なるはやで」「午後イチに」など全国のオフィスや現場で働く社会人たちが日常で何気なく使う謎めいた言葉「オトナ語」を読者から募り紹介するコーナー「オトナ語の謎。」は、2003年6月に連載開始されると、従来の3倍のページビューを記録し、大ヒット。書籍化すると、7万5000部のベストセラーになった。他にも、読者が言い間違って恥ずかしい思いをした「言いまちがい」を「言いまつがい」と称して紹介するコーナーも人気コンテンツとなっている。こちらも書籍化し、5万部のベストセラーとなった。

「僕は、商品や物販もモノの形をしたコンテンツだと考えています。書籍は紙を買っているわけではなく、中身や内容を買っています。すべてのものが楽しむためのコンテンツなのです」

「ほぼ日」では、糸井らが企画したTシャツや腹巻、バッグなどのファッションアイテムや、お勧めの海苔や納豆などの飲食品も売っている。その製造過程や作り手のインタビュー記事をコンテンツとして見せるのが大きな特徴で、連載で読んでいると、親近感も沸きやすく、いつの間にかファンになってしまう。それがヒット商品につながり、届いた消費者からの声がさらなる改善へとつながっていく。

希代のコピーライターから40人を率いる企業家へ

 最大のヒット商品が、「ほぼ日手帳」だ。「生活をたのしむ道具」をめざして開発した手帳で、1日1ページ分を書き込める構成や「ほぼ日」コンテンツにある数多くの名言などが記載され、オリジナリティーの高い手帳に仕上がっている。初代の2002年版が1万2000部を完売。その後、03年版が1万8000部、04年版が3万部、05年版が7万部、06年版が14万部とうなぎ登りに伸び続け、07年版で20万冊以上を出荷した。「ほぼ日」上でのネット通販に加え、生活雑貨のロフトでも販売されている。

 この「ほぼ日」を運営し、「ほぼ日手帳」などを製造・販売するのが、糸井が社長を務める東京糸井重里事務所だ。同事務所では、約40名の従業員が働いている。従業員の平均年齢は33歳で20代?30代の若者が多く、彼らが「ほぼ日」サイトの運営や「ほぼ日手帳」などのオリジナルグッズの企画・開発・販売を担っている。

 2007年度の売上高は17億円。糸井個人のコピー製作なども収益の柱だが、今では「ほぼ日手帳」をはじめとするオリジナルグッズ販売が最大の収益源になっている。その他、「ほぼ日」という強力なメディアを軸に、書籍やDVDの販売、イベント運営などで稼ぎ、「サイト上の無料コンテンツ+オリジナルグッズやイベントチケットの有料販売」というビジネスモデルを構築した。すでに同事務所は、「コピーライター・糸井重里の個人事務所」の枠組みを超えて、「糸井が率いるベンチャー企業」といった趣がある。糸井自身もコピーライターやクリエイターとしての側面はもちろん、経営者・企業家としての比重がより高まっているように見える。

「僕個人の最大の取引先が東京糸井重里事務所で、そういう意味では雇われてもいるし、同時に雇っている人間でもあります。そう考えると、今の自分の肩書きを一言で言い表したり、社長とかコピーライターと呼ばれる意味もなくなってきたんです」

 実際、糸井の名刺には、糸井重里という名前と会社の連絡先などが記載されているが、役職名はなく、代表取締役社長とも、「ほぼ日刊イトイ新聞」編集長とも、コピーライターとも書かれていない。それは社員の名刺も同様で、役職名は記載されていない。

「みんな、仕事が多岐にわたりますし、1人でやる仕事ってほとんどないですからね」

楽しく働けばいい仕事ができる

 糸井が東京糸井重里事務所を創業したのは、1979年。当初は個人事務所で、「経営も経理も総務もまったく興味がなかった。経営とかチームで何かを生み出すことに興味を持ち始めたのは、ここ10年間くらい」と糸井は言う。転機となったのは、やはり「ほぼ日」のスタートがきっかけだ。

「ほぼ日」は、今から10年前、1998年6月6日に開設された。その1年前、糸井は49歳のときにパソコンを初めて購入。そこでつないだインターネットの魅力にたちまち取りつかれた。

「ネットを使えば、自分で新しいメディアをつくることができる」。そう思ったのだ。当時の糸井はすでにコピーライターとして確固たる地位を確立していたが、90年代はバブル崩壊後の不況時で、広告業界が勢いを失っていた。広告コピーで本領を発揮してきた糸井は、その創造性を生かす場所を失いつつあったのだ。

 だが、ネットのウェブサイトは違う。広告の縛りもなければ、書籍や雑誌のようなページ数の縛りもない。自分の思いを自由自在にいくらでも表現することができるし、読者からの反応もすぐに返って来る。それ以降、糸井は「ほぼ日」にのめり込んでいった。

 06年11月には「ほぼ日」の歴史を詰め込んだ「ほぼ日刊イトイ新聞の謎。」を発行。そのキャッチコピーは、「たのしくたって、仕事はできる」。そこに糸井の強い想いがこめられている。

「僕は実は昔より今のほうが働いています。それは楽しくて仕方がないから。働くことは大変だとか、仕事をナメちゃいけないとか、生きていくためにお金を稼がなきゃいけないとか言う人が僕の周りにもたくさんいたけれど、僕はそうは思いません。働くことは、やっぱり楽しい。大変なことも難しいことももちろんあるけれど、それでも面白い。それが今、一番伝えたいメッセージなのです」

公私混同論 

 07年4月から3カ月にわたり「ほぼ日」で連載された人気コンテンツ「ほぼ日の就職論」では、「働くとはどういうことか」を徹底的に掘り下げた。今年3月に書籍化され、そのタイトルは「はたらきたい。」となった。同書では、民間の人事専門家やキャリア論の研究者へのインタビュー記事に加え、任天堂社長の岩田聡、芸術家の岡本太郎、詩人の谷川俊太郎、アートディレクターの佐藤可士和、歌手の矢沢永吉、思想家の吉本隆明らのことばが掲載され、仕事の充実感や喜びを伝えている。

「楽しんでいるからこそ、いい仕事ができる。でもそれを証明するのは簡単じゃない。僕も自分自身と40人の乗組員がどれだけ楽しく働けるのかをいつも考えています」

 糸井は、従業員のことを「乗組員」と表現する。船で言えば、糸井は船長で、従業員は乗組員。同じ船に乗って、フロンティアの海に飛び込む仲間たちだ。「ほぼ日」には、「ただいま製作中!」というコーナーがあり、乗組員たちが自らの仕事風景を紹介している。読者は誰もが楽しそうに仕事をしている姿を垣間見ることができるのだ。

 その一生懸命楽しく働く姿が、「ほぼ日」の魅力を伝える鍵にもなる。イベントの運営でもそれは同じだ。今年7月19日に「ほぼ日」10周年を記念して開かれたイベント「吉本隆明講演会芸術言語論」(昭和女子大学人見記念講堂)では、丁寧に接客を心がける面とエンターテインメント性の両方を重視した。例えば、最寄り駅からの案内では、駅の改札口の前に担当者を配備し、矢印で行き先を判りやすく表示する看板を持つようにさせた。前回に行われた他のイベントでは、看板に矢印がなかったので、来場者の方が看板を見ても、右に行くのか、左に進むのかわからなかったからだ。「そこを反省して改善したんです。こういう地道な改善は本当に大切ですね」。イベント会場では、来場客が楽しめるように、スタッフは一生懸命になって手助けする。

「あと当日は天気がよかったから、僕のアイデアでスタッフに麦わら帽子を被ってもらったんです。みんな最初は嫌がるんだけれど、被ってみると悪い気分はしないし楽しめるんです」

 東京糸井重里事務所では、従業員が平日の昼の時間に舞台を観にいったり、映画を見に行くことも許されている。自分が客として感じたいい経験や嫌な思いが、サービスする側に回ったときに、大きな武器になる。

「オンもオフも明確に分けることなく、『仕事』と『遊び』のあいだに、いい意味での『公私混同』があることが大切だと思う」と糸井は言う。社員旅行も大好きで、一同で京都やバリなどに出かけている。その模様を「ほぼ日」上で更新するのも恒例のコンテンツだ。

 なぜ、糸井が主宰する「ほぼ日」が、次々と人気コンテンツを生み出し、ヒット商品を連発できるのか。それは糸井を含めた東京糸井重里事務所の乗組員の誰もが、自分たちの好きなことを仕事にし、心から楽しんでいるからだろう。(藤田大輔)

糸井重里(いとい・しげさと)
1948年群馬県前橋生まれ。法政大学日文科中退後、71年にコピーライターとしてデビュー。80年代に「不思議、大好き」「おいしい生活」などの名コピーで一世を風靡、数々のヒットコピーを生む。『インターネット的』『悪人正機』(吉本隆明との共著)など著書多数。
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