2009年4月20日18時52分
【ソウル=箱田哲也】ハンドルネーム「ミネルバ」の名前でインターネット上に書き込んだ経済予測を次々と的中させる一方、虚偽事実を流したとして韓国検察当局に逮捕・起訴された男性(30)に対し、ソウル中央地裁は20日、無罪判決を言い渡した。
匿名の書き込み主の責任をどこまで問えるのか。逮捕をめぐっては当初からメディア界や研究者らの間で意見が分かれていた。政府・与党は「ミネルバ逮捕」を受け、ネット関連の規制を強化する法整備を急いでいるが、野党側は強く反発。今回の判決は今後の国会審議にも大きな影響を与えそうだ。
判決文は「被告が虚偽だと認識しつつ書き込んだと見るのは難しく、公益を害する目的があったとは見られない」とした。男性側の弁護士は「起訴自体に無理があった。判決は表現の自由の大切さを再確認した」と語った。韓国の聯合ニュースは、検察当局が控訴する方針を固めたと伝えた。
「ミネルバ」の書き込みは昨年春ごろから始まり、通貨ウォンの急落や(米証券大手)リーマン・ブラザーズの破綻(は・たん)などを予告。ネット上で「経済大統領」の異名を誇った。これに対し、韓国政府は書き込みを受けて否定会見を開くなど敏感に反応。ソウル中央地検は1月、書き込みの内容に虚偽の事実があった、として電気通信基本法違反の疑いで男性を逮捕した。あまりの的中ぶりに「ミネルバ」の経歴が注目されたが、無職の男性が独学の知識でアパートのパソコンから書き込んでいたことがわかり、さらに衝撃が広がった。
判決後、ネット上では早くも賛否の声が殺到している。ミネルバの書き込みを載せていたポータルサイトでは「これが有罪なら韓国のネット利用者は全員犯罪者になる」などと判決を支持する意見が大半だが、一方で「かなり大きな影響力を持っており、実際に投資者に損害を与えた」として、何らかの規制を求める意見も寄せられている。