キャッチコピーは「シンプル・イズ・ベスト!」

宮崎県の紙袋は目立っている

大谷 憲史(2007-07-01 14:10)
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  数年前、仕事の関係で東京に出かけた。東京モノレールの車窓から、宮崎県のPR用の看板を見つけた。そこには「ようこそ『Mの国』へ」と大きく書かれていた。山手線の中吊り広告にも、「Mの国」が踊っていた。仲間内で「Mの国があればSの国もあっていいよね」と言い合ったことを覚えている。

 宮崎県をイメージするキャッチコピーとしてのMの国は、インパクトはあるものの、Mの国が何を表しているのかが、いまいち分らなかった。私たちが従来から使っているキャッチコピーは、「太陽と緑の国・みやざき」である。たった11文字だが、宮崎のことをよく表している。誰が見ても、なるほどとうなずくだろう。

 過日、都内にある新宿みやざき館KONNEで、東国原宮崎県知事が地鶏を紙の袋に入れて配っている姿が、テレビのニュースで流れた。この報道が元で、物産品と同じぐらい有名になったものがある。

宮崎県物産館と一躍人気になった「み」の紙袋(撮影:大谷憲史)

 それは、物産品を入れる紙袋である。表面は、宮崎の「み」を大きく表示して色を付けた、いたってシンプルな紙袋である。この紙袋までが、引っ張りだこになっているそうだ。

 宮崎県庁の隣にある、宮崎県物産館に足を運んだ。物産館に近づくにつれて、「み」と書かれた紙袋を手にして、歩いている人を見かけるようになった。遠くから見ると、この紙袋はかなり目立つ。

 平日にもかかわらず、物産館店内は多くの観光客であふれていた。私も焼酎2本を購入し、紙袋に入れてもらった。「み」がなければ普通の紙袋である。

 「み」で単純化されたイメージ戦略は,今のところ成功している。

 私が教員時代、子どもたちのやる気や意欲を引き出すために、いろいろなキャッチコピーや合言葉を考えた。子どもたちに元気がなかった時代だった。子どもたちと、朝の会と帰りの会で、合言葉を言い合うことにした。

 「元気!いっぱい!」「勇気!百倍!」「やる気!まんまん!」

私が子どもたちに対して、「元気!」と問いかけると子どもたちは「いっぱい!」と応える形式にした。

 また、子どもたちが算数で勉強したことも取り入れた。

 「いっぱい!(一)」「百倍!(百)」「まんまん!(万)」

である。この合言葉は好評で、教師生活の17年間、私はこの合言葉を使い続けた。

 学校を離れてからも、キャッチコピーを考える場面に遭遇してきた。

 なかでも、「宮崎名物・チキン南蛮のタルタルソース」のキャッチコピーと商品名は大変苦労した。
チキン南蛮のタルタルソースといえば、マヨネーズベースのソースだが、そのソースのバリエーションを増やして、チキン南蛮を味わう幅を増やそうというものであった。

 そこで考えたキャッチコピーが、以下の5つ。

 ・ 「定番! ヘルシー・チキン南蛮」~おなじみの甘酢南蛮ダレとマヨネーズベースのタルタルソースがいい味を出しています~

 ・ 「赤い衝撃! 」~ピリッとくるこの食感が、もうたまらん! これまでなかったピリ辛のチキン南蛮です~

 ・ 「黄色い誘惑・・・」~インドもびっくりのおいしさ。これが意外とチキンに合うのです! ~

 ・ 「大人の黒! 和風チキン南蛮」~黒ゴマベースの香ばしいソースが、食欲をそそります。見た目とは違うしっとりとした大人のチキン南蛮はいかがですか? ~

 ・ 「自然の恵み! 緑のチキン南蛮」~抹茶ベースの香りよいソースが食欲をそそります。緑の鮮やかなソースがあなたを癒すかもしれません~

 ベースの色は単純に白・赤・黄・黒・緑にし、それぞれのソースに合う言葉を、チキン南蛮を味わった感想を基にして、素直に文章化しただけである。

 私がキャッチコピーを考える場所の一つに、書店がある。

 書籍のタイトルを見ながら、店内をぶらぶらと歩く。気になったタイトルは、ちょっと書店を出てからメモをする。書店を2件、3件とはしごすることもある。これが、結構面白いのである。

 現在、「オーマイニュース」では1周年を記念して「キャッチコピーコンテスト」を行なっている。私も参加すべくキャッチフレーズを考えているが、なかなか思いつかない。なぜなのか。

 答えは簡単である。

一躍人気になった「み」の紙袋(撮影:大谷憲史)

 市民が記者となって、ネット上で情報を発信するという「市民メディア」が、日本ではまだまだ定着していないことである。この1年足らずで、「市民みんなが記者だ」というキャッチフレーズが、定着したのかを検証することもなく、新しいキャッチコピーで「オーマイニュース」の魅力を、引き出すのはかなり難しい。

 「市民記者」もしかりだ。「市民記者」という言葉の代わりに、横文字を使ったらなおさら分りにくくなる。果たして、どのような言葉が合うのだろうか。

 キャッチコピーには、不易流行がある。宮崎県が「Mの国」と呼ばれようが、「み」と書かれた紙袋が人気になろうが、宮崎は「太陽と緑の国」に変わりはない。
 
 このごろインターネットというと横文字を使いたがり、わざと言葉を難しくしてかっこよさを追及する向きがあるが、何を言いたいのか分らないコピーが多い。

 キャッチコピーは「シンプル・イズ・ベスト!」



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