社会保険庁と政府はパフォーマンスより、もっと耳を傾けよう

年金相談臨時窓口に訪れたのは50人

大谷 憲史(2007-06-18 05:00)
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 年金記録不備問題で、社会保険庁の村瀬清司長官や幹部職員らが、「JR東京駅の丸の内北口近くで臨時相談窓口を開設する」という内容のチラシを通行人らに配っているニュースを6月8日、テレビで見た。

 移動中、カーラジオで、宮崎でも年金相談に関する臨時窓口が開設されるというニュースが流れたので、さっそく現場へ向かった。

訪れる人もまばらな臨時相談窓口(JR宮崎駅西口近く)(撮影:大谷憲史)

 JR宮崎駅西口近く。仮設のテントが張られていた。

 宮崎社会保険事務局の職員に尋ねたところ、臨時の窓口はその日1日だけで、開設は午後1時から5時までとのことだった。

 開設時間の午後1時。訪れる人はまばらだった。

 「告知はしたのか」と確認したところ、テレビやラジオのニュース、ホームページにチラシを掲載したとのこと。

 その後、別の取材をするために一度現場を離れ、再び臨時窓口に足を運んだ。

 窓口に訪れる人はいるものの、最終的には50人ほどにとどまった。

 この数が多いか少ないか。そこは判断しかねるが、なぜ、臨時窓口の開設が、たった1日、しかも平日の午後の4時間だけなのだろうか。

 東京で村瀬長官らがビラを配り、全国の社会保険事務局で一斉に4時間程度の年金臨時窓口を開設して相談に応じる。これは、国民の年金への不安解消を図るために行われたパフォーマンスではないのだろうか。

 しかも、この臨時窓口の開設は前日に決まったようで、各地の社会保険事務局のホームページを確認すると、ほとんどで、告知は6月7日付けになっていた。

 事前に告知したとはいえ、大量の職員を派遣して開設した臨時窓口に、どれくらいの効果があったのだろうか。

 各地の社会保険事務所では、平日の年金相談の受付時間を午後7時まで延長するとともに、6月の9─10日の週末、7月は14日(土)に年金相談を実施する予定だ。しかし、受付時間は、午前9時30分から午後4時まで。もう少し時間を延長してほしいものである。相談に行きたくてもなかなか行けない人はまだまだ多い。

 国会で参考人3人が年金への不安や現状について話していた。

 政府・自民党は、何かにつけ、「そういう国民の声を聞いている」、「国民からの信託を得ている」などのコメントを平気で述べていた。

 たった1日、しかも4時間だけの年金臨時相談窓口を開設。そんなパフォーマンスをするぐらいなら、「国民の声を聞く臨時目安箱」という形で、政府・自民党関係者が全国各地に出向き、直接国民の現在の声を真摯(しんし)に聞くと言う場を設けたほうがよかったのではないだろうか。真(しん)に国民の声を聞くとはそうではないのか。

 同じ時間帯、自民党宮崎県連は、中心市街地で牛乳とチラシを配っていた。「この時節になんで牛乳?」と思ったが、「世界貿易機関(WTO)および日豪環境保護局(EPA)等貿易交渉における、わが国農畜産物への適切な取り扱い」を求める署名活動であった。

 それはそれで大切なことである。しかし、現在の国民の最大の関心事は、年金問題である。自民党独自に年金問題に関する私たちの声を聞いてほしかった。

 今回配布されたチラシは「国民の皆さまへ」という触れ込みで、社会保険庁が国民に謝罪したということらしい。22万枚用意されたチラシは、国民である私のところには届いていない。

 すべての国民に対して、「大切な年金に関してご不安を与え、心よりおわび申しあげます」と言う気持ちがあるのならば、社会保険庁および政府・自民党は、もっと国民の声を聞いてほしい。



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