銃による暴力を根絶する機運を高めよう!

市民1人ひとりの思いを,強い意志を

大谷 憲史(2007-06-10 07:55)
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 私が住んでいる地区内にも暴力団の事務所がある。小中学生の登下校にもなっている横断歩道のすぐそばに、である。建物の外見からは単なる事業所の事務所といった趣だが、歩道に無造作に停めてある車や事務所から出てくる人物は、暴力団員そのものである。事務所にも目立たないように組の看板が掲げられている。

 子どもたちはいつも駆け足でこの横断歩道を渡っている。この事務所の近辺には、スーパーやコンビニがあり、団地もアパートもある。一般市民の生活の場に暴力団事務所が同居しているのだ。彼らは問題が起きるのを避けて、地域住民とトラブルを起こさないように努めているらしいが……。

 1992年3月1日に施行された「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(通称暴対法、暴力団対策法)」により、22の暴力団が指定暴力団となった。これ以降、暴力団員の数は減少し、暴力団事務所の撤去も進んだという。対立抗争事件の数も減少してきたことは確かであろう。しかし、暴力団員および関係者による犯罪は後を絶たず、私たちの社会生活に大きな影響を与えている。
 
 アメリカで銃乱射事件が起きると、テレビのコメンテーターなどは「アメリカは銃社会ですから……」と対岸の火事のように話す。だが、日本も同じである。

 暴力団関係者が市民生活のすぐそばにいるし、銃を所持しているかもしれないというのが現状なのだ。それを考えると、今年に入ってからの一連の銃による立てこもり事件は起こるべくして起きた事件であろう。

 少し話は変わるが、先日、車を運転していると、前を走っていたタクシーが急な車線変更をして左折していった。ウィンカーもつけていなかった。とっさのことではあったが、タクシーをよけながら運転手席を一瞬のぞくと、明らかに60歳を超えたであろうドライバーであった。考えごとをしていたのか、単に運動神経の問題なのかは分からないが、ちょっと怖かった。

 私がいた弁当屋で働く従業員の平均年齢は60歳を超えていた。長崎市長射殺事件の犯人、今回の立てこもり事件の犯人も50歳を超えていた。暴力団構成員や関係者の高齢化も進んでいるように感じる。

 私自身、最近、被害者も加害者も高齢者という悲惨な交通事故の現場で、警察や消防が到着するまでの間、交通整理をした経験がある。幸い被害を受けた女性は軽症で済んだが、事故は事故である。加害者も被害者もその後の人生が変わってしまうことに変わりはない。

 人間は年には勝てないもので、いくら自分は若いと思っても運動・記憶・判断などの能力は確実に落ちていく。人生を悲観し、短絡的な考えに走った末に、犯罪に走るのは何も高齢者に限ったことではないとは思う。しかし、少子高齢社会にあって、高齢者による犯罪は確実に増えている。

 今回、愛知で起きた銃立てこもり事件で、国は「警察官の命を守る防弾チョッキに問題があるので、今後検討していく」とコメントした。私たちの生活を守ってくれている警察官の命を守ることは、政府が行わなければならない大切なことである。

 同時に政府は、もっと根本的なことを考え直さなければならない。それは、「日本から違法な銃を一切排除する」という、政府や警察の強い姿勢を示すことである。

 警察と暴力団との過去の関係がどうあれ、また、警察が「銃の摘発は極めて困難である」という泣き言を言う前に、徹底した「排除運動」を継続して行うべきである。

 愛知県長久手町で立てこもり事件が起きた5月17日。長崎市では、伊藤一長前長崎市長の射殺事件から1カ月を迎えた。長崎市内では、暴力追放などを訴える集会が相次いで行われた。平和団体メンバーらが開いた集会では、1990年に右翼団体幹部に銃撃されて重傷を負った本島等・元長崎市長(85)が約160人を前に講演した。

 「市民が力を合わせて暴力を取り去っていかねばならない……」

 銃による暴力の排除を訴え続けているのは、やはり高齢となった本島等氏だ。自身が銃による暴力を受けただけに、その言葉は重い。私たち若い世代も無関心ではいられない。

 銃弾を受けた木本明史巡査部長、23歳という若さで殉職された林一歩警部。私たちの多くがこの事件の一部始終をテレビで見てきた。

 ただの傍観者でいいのか。

 事件が解決し、元の生活が送れるようになったからそれでいいのか。

 銃による暴力の排除は警察にだけ任せればいいのか。

 確かに、私たちの力では日本からすべての銃を排除することは困難である。しかし、市民レベルで銃による暴力を排除していこうとする活動はできる。自分たちができる範囲で、自分たちの生活を守っていこうとする機運が高まっていかなければ、再びこのような凶行は繰り返されるだろう。私は、自分ができる範囲で「銃による暴力を排除する活動」を進めていきたいと思う。



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