宮崎県の知事会見に出席しました

県民の目線で、チェック機能を果たしたい

大谷 憲史(2007-06-05 18:30)
Yahoo!ブックマークに登録 このエントリーを含むはてなブックマーク  newsing it! この記事をchoixに投稿

 東国原・宮崎県知事が、県政記者クラブのあり方と、そこが主催する知事定例記者会見について見直しを示唆し(5月11日)、全国紙を含む各種メディアを騒がせたことは記憶に新しい。

 この知事の定例記者会見が、県政記者クラブに加盟していない報道機関も排除はされていないことがわかった。

 そこでオーマイニュースは、市民記者が定例会見に参加できるよう、書類などを提出し、調整を進めてきた。私も、オーマイニュースのSNS内に「どげんかせんといかん! 記者クラブ」を開設し、準備を進めてきた。

記者クラブ加盟社記者の質問を真剣に聞く東国原英夫・宮崎県知事(4日午後、宮崎県庁、撮影者:軸丸靖子)

 6月1日金曜。編集部の担当者より連絡が入った。今月からオブザーバーとして定例記者会見に入れることになったが、週明けの月曜に出席できるかとのこと。

 初回ということで、今回は、編集部とともに出席し、質問せずにオブザーバーに徹して、会見の様子を見ることにした。

 4日。会見30分前の14時に、県庁内の県民室で待ち合わせた。宮崎県秘書広報課の井上修次主幹にあいさつし、今月の県政記者クラブの幹事社である毎日新聞の担当者から会見での注意事項の説明を受けた。

 井上氏に案内され、会見場である講堂に向かった。

 講堂正面のステージ前に知事席、対面に記者クラブ席、後方にはテレビカメラ。講堂の左そでには県職員の席があり、私たち加盟社以外の「オブザーバー席」は、講堂の右そでに用意されていた。秘書広報課職員が、会見で説明される宮崎県総合計画「新みやざき創造計画」の資料を持ってきてくれた。

 14時30分、予定通り、定例記者会見が始まった。

 まずは知事が、今回新たに発覚した裏金問題に関して謝罪。その後、「新みやざき創造計画」について説明した。宮崎県が目指す姿を明らかにし、かつ東国原知事のマニフェストを具現化する戦略を示した、県政運営の指針である。計画期間は2007年度から2010年度まで、知事の在任期間(1期目)にあたる4年間。説明は5分程度で終わった。

 その後、記者クラブ加盟社からの質問へ。要点は以下のとおり。

【裏金問題について】

クラブ加盟社記者(以下、単に記者) 裏金問題はどのように対処していくのか?
東国原知事 8月下旬をメドにまとめ、報告する。

【参院選に対する知事の姿勢について】

記者  候補者を支援、応援することはあるのか?
知事  支持に関しては公にしない。中立な立場を考えているが、今のところは未定だ。
記者  政党ではなく人物オンリーではどうか?
知事  人物オンリーであれば応援もありうる。特に、マニフェストを掲げて改革を進めている人は応援もありうる。ただ、県内で動くことは(しがらみを作ることになり)影響があるのではと考えている。全国区では応援もありうる。プライベートで「応援してほしい」との依頼は来ている。

【企業誘致について】

記者 企業誘致のための50億円の拠出を打ち出したが、反応はあるか?
知事  「県が50億円出してくれるのは助かる」と言う声を聞いている。

【単年度予算消化に関して】

記者 今回の裏金問題では、予算を年度内に使い切らなければならない単年度予算のシステムに問題があると思うが、どう対処するか?

知事 予算を余らせることへの評価がないから、年度末にいろいろ備品を購入したり、裏金としてプールしたりという発想になる。県内のある支所では、いわゆる「預かり金」の770万円あまりが1年で消化されていた。節約をして予算を余らせるようにがんばった部署が報われるシステムが必要。予算執行に関しては、検討の余地がある。他府県の手法を勉強しながら検討したい。ただ、マスコミでは「裏金」と書かれているが、私は、これは「不適切な経理処理」だと思う。まじめな県職員が多い中、担当者を過度に追い込むことはやめたい。

記者 そうはいっても、コンプライアンスの観点からみれば、やはり「裏金」ではないか?
知事 それはその通りである。私個人の心情的には裏金ではないとは思うが、客観的にみればまったくその通りである。

 このほか、東京六大学野球での早稲田大学の優勝、宮崎空港滑走路への無断侵入、巨人軍のキャンプなどについて質問があった。加盟社以外の報道機関も5~6社出席していたが、彼らからの質問はなく、約1時間にわたる定例記者会見は終了した。

  ◇ ◇ ◇

宮崎県庁講堂で開かれる定例記者会見。手前は加盟社の記者たち(4日午後、宮崎県庁、撮影者:軸丸靖子)

 東国原知事には以前、選挙中のミニ集会で質問したことがあった。そのころと比べると、知事としての貫禄(かんろく)のある話し方に安心感を覚えた。

 自分の政策に自信を持って話す姿は、私が知っている歴代知事には見られなかった。「なんか裏がありそう」と思わせるような話しぶりだったので、県政にも関心は持てなかった。

 支持率80%超という人気を誇る東国原知事だが、弱点がないわけではない。話し方がうまいだけに、説明が足りなかったことによるトラブルも起きている。ことばをもって意思を伝えることは難しい。

 特に、知事のことばが記者クラブを通して県民に伝わるとなると、さらに慎重にならなければならない。このことは知事だけではなく、記者会見に出席している報道機関にも言えることである。

 私たち県民は、知事が発したことばに対するチェック機能を十分に働かさなければならない。時には「それはおかしい」と知事に発言することも大切であろう。
 
 ネットメディア、市民メディアのオーマイニュースが知事会見に出席できるようになったからには、単に出席して記事を書いて終わりではない。県政に積極的にかかわることで、自分たちが住んでいる地域を変えていきたい、良くしていきたいと言う意識を高めることにもつながっていく。

 地域発、市民発で、世の中を変えていくきっかけになっていくのではないだろうか。


【大谷追記】 今回、このように県政の定例記者会見に出席できるようになったことは大きな意義があると思います。現在、オーマイニュース記者クラブ「どげんかせんといかん!記者クラブ」では、市民記者のみなさんを募集しています。裏話から真面目な話まで、オープンな形で紹介しています。市民記者の方、これから市民記者登録をお考えの方、ぜひこの記者クラブへのご登録をよろしくお願いします。


【編集部より】 宮崎県の知事定例記者会見は原則、月2回開かれ、新聞やテレビは、その内容のエッセンスだけを報じています。オーマイニュースは今回、市民記者が初めて知事会見に出席できたため、長めの記事で詳しく報じました。次回以降は、会見のニュース性に応じた大きさで報じていきます。



マイスクラップ 印刷用ページ メール転送する
99
あなたも評価に参加してみませんか? 市民記者になると10点評価ができます!
※評価結果は定期的に反映されます。
評価する

この記事に一言

more
評価
閲覧
推薦
日付
こみー
28
0
06/08 00:41
大谷憲史
35
1
06/06 20:58
TONY.
110
0
06/06 00:33
みゆみゆ
115
0
06/05 21:56
お願い!言わせてくん
160
2
06/05 21:09
ハンミョウ
152
2
06/05 19:47
防犯おやじ
137
0
06/05 19:17
Mint
164
0
06/05 19:13
湯浅 秀昭
158
2
06/05 18:55
タイトル
コメント

オーマイ・アンケート

あなたは本をどのように入手していますか?
笹井 健次
インターネットにて購入している。
実際の本屋の店舗で購入している。
図書館などの施設で借りている。
家族や知人から借りている。
その他。
本は読まない。

empro

empro は OhmyNews 編集部発の実験メディアプロジェクトです
»empro とは?

活躍中

more