中国での経験を生かして役に立ちたい

ODA民間モニター応募に挑戦中

大谷 憲史(2007-05-31 19:30)
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 私は旧文部省の派遣教員として、1993年から1996年の3年間、お隣中国の上海日本人学校に勤務していた。

 当時、中国は鄧小平の経済改革開放路線を受けて、天安門事件から立ち直り始めていた。経済都市・上海市は、天安門事件で撤退した日本企業が、上海に戻りつつある状況だった。私が赴任した時は、90人前後でだった児童・生徒は、1996年には3倍にも増えた。

 3年間の上海生活では、よく中国国内を旅行した。南部の雲南省に旅行したときのことだった。雲南省は、日本人のルーツの1つという学説もあり、京都大学など日本の研究者がよく訪れると言う。雲南省の田園風景は、古きよき時代の日本の風景に似ている。
 
 私は、発展を続ける都市部と発展途上の山村部の子どもたちが、どのような教育環境に置かれているのかを調べており、ガイドの案内で少数民族の「イ族」の村を訪れた。村と言うよりも一つの小さな集落で、もちろん、上下水道は完備されていない。

 飛び込み取材ではあったが、ガイドの助けを借り、地元の小学校を訪問した。
 
 ここの学校は2部制で、ちょうどお昼の時間帯だった。午前中の授業が、終わった子どもたちが帰宅するところであった。広いとは言えない運動場に、子どもたちがあふれていた。突然の日本人の訪問で、歓迎されてスター並みに囲まれてしまった。
 
 子どもたちの話によると、小学校には給食の設備がないため、午前中は低学年の子どもたちが勉強し、午後からは高学年の子どもたちが勉強しているようだ。2部制の理由は、給食設備がないだけではなく、子どもたちが多く、教室が足りないからだ。

 中国は「一人っ子政策」を採っている。この政策は、中国の人口の大半を占めている漢民族にだけ適用され、少数民族は逆に「子どもを増やせ! 」と言う政策。

 この村では3人兄弟、4人兄弟は珍しくない。子どもたちは、村の労働力にもなっている。学校を終えた子どもたちは、家の仕事に戻るのである。交代で学校に出てくるのである。

 学校の教室を覗いてみた。「学びたい! 」という子どもたちの熱気が伝わってきた。子どもたちの眼も輝いて見えた。ひとりの女の子が、私にノートを持ってきて見せる。それは、チラシの裏側で作られた手作りノートだった。鉛筆も、小さく握る所がなくなるまで使っている。私の子どもの頃もそうであった。

 このチラシで作られたノート、日本のチラシだった。日本のボランティア団体が、中国の山村部にまで援助をしていることを知ってうれしくなった。

 子どもたちに「しっかり勉強して、いつか日本に来てください」とこの学校をあとにした。

 その後、この山村部の子どもたちへの教育援助の活動を知ることとなった。
 
 「希望工程」ホープ・プロジェクトとも呼ばれ、1990年代の中国の代表的なボランティア活動として、「希望工程」に賛同する市民団体が世界各地で活動を展開している。

 私は上海日本人学校でも、現地・中国を理解するために、生徒会の1つの活動として取り組むことになった。
 
 日本の大阪に本社があり、上海にも会社を持っている日本人女性社長が、「希望工程」の活動で中国東北部に学校を建てたと言う情報を得て、その女性社長に学校で講演をしていただいた。

 社長の話に触発された子どもたちが、校内で募金活動を行い、集まったお金を中国・山村部の子どもたちに贈ることができた。この「希望工程」をきっかけに、上海日本人学校と現地の学校との交流を深めることができた。

 私も個人的に、中国内蒙古自治区に住む楊(ヤン)ちゃんという小学校1年生の女の子に、彼女が学校に通える6年間の費用を贈った。6年間の費用と言っても、当時の日本ではファミコンソフト1本が買える値段であった。
 
 楊ちゃんからは月に1度,上海の私の元に手紙が届いた。習ったばかりのたどたどしい字で書かれた手紙は、暖かかった。ご両親からの手紙には、思わず泣いてしまった。

 上海を離れて11年。また、自分サイズの国際協力がしたくて、数年前にODA(政府開発援助)の民間モニターに応募した。

 ODAはご存知のようにOfficial Development Assistance(政府開発援助)の頭文字を取ったものである。政府または政府の実施機関によって、開発途上国または国際機関に供与されるもので、開発途上国の経済・社会の発展や福祉の向上に役立つために行う資金・技術提供による協力で、2003年の資料では,世界185の国の地域で行われている。

 ODAのホームページで、民間モニター応募のことを知り応募した。「どうしてODAの民間モニターへの応募を考えたのか」と言う作文があり悩んで書いたが、結果は見事に落選。これからも、合格するまで挑戦しようと思う。



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