電子マネー、使ってみました!

今後の課題は個人情報の取り扱い

大谷 憲史(2007-05-30 05:00)
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 電子マネー「Edy」の導入は、ここ宮崎でも進んでおり、地元資本のショッピングセンターや南九州地区のファミリーマートで導入されている。

 私も電子マネー機能が付いた携帯電話に機種変更し、早速「Edy」をつかってみた。食事が終わり、会計で「Edyで」って告げることが「なんかかっこいいなあ」と1人で思いながら、Edy用の決済端末に携帯電話を。「シャキーン」という音も意外とかっこいい。「他人とは違うんだよ」というなんかだか妙な優越感が……。というのも、市内のショッピングセンターやファミリーマートで、電子決済をしている人を見かけることが少ないのである。まだまだ電子マネー機能を搭載した携帯電話が普及していない現れだろう。

 宮崎では5月28日から、セブン&アイHDグループによる電子マネー「nanaco(ナナコ)」がスタートした。早速セブンイレブンの店頭で入金チャージを行った。携帯電話用のnanaco mobileでの利用がまだ少ないのか、店員が入金チャージに慣れていなかったようだ。少し時間がかかった。

 Edyとnanaco。運営会社は違っていても、どこでも電子決済ができると言うことは、私たち消費者にとって便利が良い。この便利な電子マネーによる決済システムは、新たなビジネスチャンスを生むことが予想される。

「おサイフケータイ」で電子マネー「Edy」を利用する(ロイター)

 確かに、電子マネー決済では、領収書も発行されるが、端末自体に決済履歴が残るという“問題点”がある。つまり、自分が「いつどこで、どのくらいの買い物をしたのか」が分かってしまうのである。個人情報に敏感な方には自分の生活趣向がお店に分かってしまうことに対して抵抗を覚えるのではないかと思う。

 しかし、これがお店側にとっては強力な顧客情報になるのである。これまでは「当店のお得情報をメールで配信! あなたもメールマガジンを登録しませんか?」と言う形で、直接、顧客にお得情報やポイント還元情報を電子メールで送って、顧客の囲い込みを行ってきたわけだが、電子マネーの履歴がこのやり方に変化をもたらす可能性があるのだ。

顧客個人に対応した情報の配信

 客の購買状況が履歴として残るため、個人に特化した情報を配信することで、顧客の囲い込みをさらに進めることができる。

 例えば、「○○様、いつも当店のビジネス弁当をお買い上げいただきありがとうございます。本日、当店のビジネス弁当をお買い上げいただくと50円引きとさせていただきます」というように、客がいつも購入している商品名で、限定したサービスを行うことが可能となる。

また、電子マネーを利用していない客との差別化を図ることができ、電子マネー利用によるお得感を客に与えることができる。

顧客の購買行動による仕入れシステム

 客の購買履歴が残るということは、店側としては売れ筋商品などを容易に把握することができ、これまでの仕入れシステムも大きく変わることが予想される。
 
 また、毎日のようにお店で同じ商品を買う客のためにその商品を確保または至急に補充することもできる。そうすると、客としては買いそびれてしまうことがなくなるわけだ。客にしてみればいつも買っている商品がいつでも買えるということはありがたいことである。

新たなる商品の開発

 電子マネー決済による購買履歴をもとに、新たなる商品を開発することができる。実験的に新しい商品を市場に投入し、客の購買行動を把握しながらその商品を見極めていく。購買率が伸びなければ、市場から撤退する。購買率が伸びればさらなる市場展開を図る。

 これまではクチコミによって売れていた商品が、電子マネー決済と言う「確かな購買履歴データ」をもとにして、さらに売り上げを伸ばすことも可能になるだろう。

顧客情報は個人情報

 電子マネー決済による顧客情報は店側からすれば強力な武器になるが、客にすれば大切な個人情報である。この情報をうまく活用しなければ、客個人が「いつどこで、なにをいくらで買った」と言うことが分かってしまう。

 現在、電子マネーは各社各様のシステムで運用されており、私もEdyとnanacoの2つの電子マネーを1つの携帯電話で管理している。宮崎はさほど普及していないのでさほど問題ではないかも知れないが、今後の電子マネーの普及を考えていくとシステムの不具合が起きた場合が心配である。

 先日の全日空によるシステムトラブルが起きないという保証はない。ましてや、電子マネー間の互換性がほとんどない状況で1人の個人情報が複数の電子マネー決済会社から流出してしまうことも考えられる。サイバー犯罪の防犯活動をしている私としては、電子マネー決済における個人情報の管理は気になる問題である。顧客情報は決済システムを運営している会社に管理を徹底していただきたい。

 電子マネーの普及で、確実に私たち消費者の購買スタイルは変化していく。この変化が、日本の経済に良い影響をもたらしていくのか、はたまたシステムの不具合で混乱をきたすのか……。今後も見守っていきたい。



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