私だったら、ここに住みたいなあ

いち県民として見学した宮崎県知事公舎

大谷 憲史(2007-05-26 18:40)
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 6時30分。いつものようにケータイのアラームが鳴る。すぐには起きず、そのままケータイをワンセグに切り替える。私の変な癖なのだが、目覚ましが鳴ってからの1時間程度、ラジオを聞いたり、テレビを見たりしながらベッドのなかで過ごすようになった。これがまた気持ちいいのである。

 気持ちよくまどろんでいるなかで、ケータイから、やたらと「宮崎」とか、「知事公舎」などの声が聞こえる。その日は午前中のパソコン講座を終了した後、知事公舎を見学する予定にしていた。

知事公舎「公邸部分」(撮影:大谷憲史)

 東国原知事の就任後、知事公舎に知事が住むかどうかという問題が起こった。

 「一度、県民に公開し、この知事公舎をどうすれば良いのか考えていただきたい」という知事の発案で、5月19~21日の3日間、一般公開が実現した。

 「よし! 市民記者として取材し何か見つけてこよう!」というような意気込みはなかった。たまには、1人の県民として知事公舎を見学してみようというぐらいの気持ちである。

今回公開されなかった「私邸部分」(撮影:大谷憲史)

 宮崎県知事公舎は、2003年7月に完成した。宮崎市の平和台公園近くの閑静な住宅地のなかに建っている。知事が日常生活を送る「私邸」部分と賓客対応や県民との意見交換などの公務を行う「公邸」部分とに分かれている。

 県産材、県産品を使用し、100年以上もつ頑丈な建物として、震度7の地震にも耐えられる構造となっている。知事公舎を県産材利用促進の広告塔として活用するために、公邸部分は県内産杉の大断面集成材、私邸部分には5寸角柱が使われている。

 頑強に建てられた知事公舎は、宮崎県庁本庁舎の災害対策本部として光ファイバーなどで結ばれており、被災地映像の受信も可能なので、災害時に公舎から指揮をとることもできる。

知事に送られた各種スポーツグッズ(撮影:大谷憲史)

 知事公舎はテレビで見るよりも小さく感じた。お昼どきということもあって、多くの県民でにぎわっていた。

 友人を待っている間、車寄せ付近に建っている東国原知事の等身大の看板と写真を撮っている方に話を聞くと、県北部の延岡市から来られたとのこと。

 延岡市に住んでいるとなかなか県の情報が伝わりにくいそうだ。そのため知事も、努めて県内のイベントに足を運び、県民との距離を縮めようとしている。

 玄関から入ってすぐのロビーには、知事がもらったというプロ野球、Jリーグなどのユニホームやスポーツグッズが飾られていた。その横の窓付近には、テレビ番組で知事が使ったフリップもあった。知事の発案で飾ったのだろう。

 県庁見学コースが組み込まれている観光旅行にはこの知事公舎見学も含まれており、応接室には東国原ブランド(?)の県産品が展示されていた。その横には、これまでに知事や宮崎に関することを取り上げた雑誌も置かれていた。

 応接室は10名程度入るので、小会議室として使われることもあるらしい。いつも見慣れている県産品だが、パンダを見るかのごとく、1列に並んでの見学になぜかおかしくなってしまった。

災害時には対策本部となる会議室(撮影:宮崎新作)

 応接室の隣は会議室である。災害時に災害対策本部となる場所である。テレビで、知事の椅子(いす)に座った県民にインタビューしている場面があったが、私も座ってみた。そんなに座り心地の良い椅子とは言えなかったが、少しだけ知事気分を味わえた。

 会議室はもう1つある。こちらは和室である。外国からの賓客を迎えるためのものらしく、外には手入れの行き届いた、ちょっとした日本庭園風の庭もあった。20~30名は収容できそうだ。この和室の会議室の奥が私邸部分になっていた。今回の一般公開からは外されていたので、入ることはできなかった。

 総工費約5億円、年間維持費1000万円の知事公舎である。東国原知事は今日(21日)の定例知事会見で、「今後、有料化を含めた活用法について考えていきたい」と発言した。県民に開放する代わりに、会議室使用料として、いくらかの料金をとるとのことである。

TVで使われたフリップ(撮影:大谷憲史)

 先ほども述べたが、お花やお茶の教室、書道教室などのように、日本文化を学ぶ場として利用することもできる。宮崎にも仕事のために外国から来られる方が増えてきたので、日本文化を学ぶ国際交流の拠点としても活用できるだろう。

 最近、子どもたちが公民館に泊まって、翌日、公民館から学校に登校するという事業が増えてきた。核家族が進み、兄弟が少なくなったなかで、地域の異年齢の子どもたちが1つ屋根の下で過ごすことには大きな意義があるだろう。

 もし、知事公舎での宿泊が可能であれば、「県民と知事の夜なべ談義」なるイベントはできないだろうか。これまで、県民と知事が話し合う場は何度か設けられているが、知事の時間の都合で話し合いが深まらないという声を聞く。また、このような話し合いが、特定の組合等の商品を知事に売り込んでもらいたいがための陳情に終わってしまい、一般県民の声がなかなか届かないという話も伝え聞く。

等身大の知事パネルと記念撮影(撮影:宮崎新作)

 であれば、知事には今からスケジュールを調整していただき、県民と朝まで徹底的に話し合う場として、この知事公舎を使えないだろうか。

 2003年に現在の知事公舎が建てられたことを、今回の一般公開で知った見学者もいた。情報公開度の低い県ではあるが、県民の要望で知事公舎が公開されたことは、6月の定例議会に向けて、県民が県政に目を向ける良いきっかけになったのではないだろうか。

 東国原知事の等身大パネルと記念写真を撮り、知事公舎をあとにした。



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