観光地・青島(あおしま)を歩く

宮崎観光復活の鍵は

大谷 憲史(2007-05-23 14:30)
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青島全景(右奥が青島、左奥の白い建物が旧青島橘ホテル)(撮影:大谷憲史)

 宮崎市街地から国道220号宮崎空港バイパスを南下する。宮崎自動車道・宮崎ICを過ぎると国道の両脇に田んぼが広がり、さらに進むと長嶋茂雄氏が命名した宮崎サンマリンスタジアムが見えてくる。

 この日は、青島までの道のりを、旧道となってしまった県道367号に定めた。旅の目的は、東国原宮崎県知事が11日の定例会見で、夕張市長選挙に出馬した青森県出身の羽柴秀吉(本名・三上誠三)氏が「温泉施設として(青島周辺を)再開発する構想を持っている」と明らかにしたことに端を発する。

 この構想には歓迎の声も聞かれるが、実際はどうなのかという疑問がわいてきた。現地の様子が知りたく、車を走らせたのだ。

 しばらく走ると読売巨人軍の2軍がキャンプ時の宿舎として利用しているホテルや、こどもの国、青島パームビーチホテルが見え、青島観光の中心地に近づいていく。

県道側から見た旧青島橘ホテル(撮影:大谷憲史)

 ほどなく、巨人の1軍が利用しているホテルの隣に、今は“大きな廃虚”となった「旧青島橘ホテル」が建っているのが目に入った。青島海水浴場の裏に位置する旧青島橘ホテルは、営業していれば、日向灘、遠くは太平洋を望める全室オーシャンビューの素晴らしいロケーションなのだが、これが廃虚とはいただけない。

 こんな異様な風景が20年近くも続いているのである。

 この旧青島橘ホテルは20年ほど前に倒産し、旧第一不動産(現:FRE)が買収したものの、破産。現在、ホテル施設の撤去費用の約7億6000万円を誰が負担するか、跡地をどう利用するかなどの問題を巡って、宮崎市と、破産管財人が交渉を繰り返しているが、進展は見られない。宮崎市はホテル跡地の開発計画との整合性をとりながら、2015年度までに青島観光に関する基本構想を実現させる計画であるということだ。
 
 青島駅近くの公共駐車場に車を止めて表通りにまで歩いた。地元の人は誰も歩いていない。

 5分も歩くと、「歓迎! 東京読売巨人軍」という大きな看板が立てられた青島の入り口に着く。青島神社の参道である通りは、夏には青島海水浴場へ向かう人でごった返すが、シーズンオフの今は、ひっそりとしていた。土産店のなかには、シャッターが下りたままのところもあった。青島名物のういろうを売っている店も食堂も開店休業中。観光地区から100メートルも離れると、歩いている観光客もまばらである。青島は、宮崎市内においても高齢者の割合が高い地域なだけに、出会う地元の人はほとんどが高齢者であった。

青島神社へ向かう団体旅行客と出会った(撮影:大谷憲史)

 青島神社は縁結びの神様としても知られている。その左手には、子どものころ家族でよく出掛けた、青島海水浴場が広がる。砂浜の侵食を食い止めるための工事を行ったため、海の家はなくなり、昔のような海水浴場ではなく、青島リゾートと呼ぶにふさわしくフェニックス並木が整備されている。南国気分が味わえるのだが……。

 並木沿いの歩道を、廃虚ホテルを見上げながら、考えながら歩いた。ここに羽柴氏がいう温泉施設ができたとしても、果たしてそれが青島観光浮上につながるのだろうか……。

 最近、宮崎市のNPO法人が青島地区内で約1万3000平方メートルの敷地を購入し、入居者の生活スタイルに応じた集合住宅や一戸建てを建設するという「シニアタウン構想」を発表した。宮崎の温暖な気候と風土を生かした高齢者に優しいまちをつくろうとするものである。素晴らしい構想であり、「青島はこのままではいけない」という思いの現れだと思う。

青島海水浴場背後に建つ旧青島橘ホテル(撮影:大谷憲史)

 旧青島橘ホテルも青島観光のために建てられたのだが、個別の観光開発であったために問題を残すこととなった。宮崎市が構想を練っているように、行政・民間・地元で十分に総合的な基本計画を立て、持続可能な観光開発を進めていかなければならないだろう。

 帰り道、国道220号青島バイパスの撮影スポットに寄った。高台から見る青島の風景は確かに素晴らしい。何も新たに開発しなくても、そのままの自然を観光として売り込むこともできるのではないだろうか。

 宮崎を観光地として整備したとして知られる「宮崎観光の父」岩切章太郎。今度は私たち1人ひとりが、岩切章太郎氏に代わって宮崎観光復活のために立ち上がらなければならない。

 



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