いつから無修正画像が解禁されたんですか?その2
未成年者保護は中国も日本も同じ
前回、中国の検索サイト「百度日本」のアダルト検索で、誰でも無修正画像が閲覧できると言う記事を書いて、複数のコメントをいただいた。今回は、いただいたコメントを元に、前回書かなかったことも含めて、再度「百度日本」の無修正画像検索について述べてみたい。
前回の繰り返しになるが、この「百度日本」は、中国最大の検索サイト「百度」が3月下旬からスタートさせた日本語による検索サービスである。画像検索で「アダルト」と入力すると、サムネイル形式の写真と写真サイズ、ハイパーリンクなどが出てくる。
個人的な無修正画像の閲覧は、何ら法律で禁止されることではない。この点は、前回説明不足だったため、読者のみなさんに誤解を与えることになってしまった。単に個人で画像を「見る」と言う行為なので、そこまでは法律では取り締まることはできない。
しかし、その無修正画像を「どこを経由して」見ているかが問題なのである。
刑法第175条は、「わいせつ文書、図画その他の物を頒布・販売し、公然と陳列する行為、又は、販売の目的で所有した者」を処罰する規定である。この刑法第175条については、その解釈の仕方などが問われ、過去の判例からも多くのことを学び取ることができる。
インターネット上の検索サイトが、果たして「公然陳列」の場にあたるのか。また、インターネットはサイバー空間であり、有体物ではない無修正画像データそのものが「わいせつ物」になるのかどうか、という点。私は法律の専門家ではないので、そのあたりの議論は専門家に任せることにするが、本人が意図しないアクセスおよび未成年者への対策は講じなければならない。
たとえば、「ヤフー!ジャパン」や「グーグル」の画像検索機能で「アダルト」を引くと、誰もがその場で無修正画像を閲覧することができるだろうか?
「ヤフー!ジャパン」では、アダルトフィルタやチャイルドロックなどで有害情報をブロックしている。万が一、有害情報が出てきた場合、問い合わせフォームから通報できるようなシステムになっている。
子どもたちのインターネット利用を進める学校では、独自にフィルタリング・ソフトを導入し、有害情報から子どもたちを保護しようと言う動きがここ数年続いている。あまりにもフィルタリングをがちがちにかけたため、「花」を検索したら「禁止用語」と表示されて、花を調べることができなかったと言う笑い話もある。
家庭におけるフィルタリング・ソフトの導入はさほど進んでいないが、保護者よりもパソコンに詳しい子どもたちが多いことを考えると、プロバイダによる何らかの対策は必要であろう。
今回の「百度日本」のアダルト検索に関しては、「百度日本」側のフィルタリング技術の問題ではないかと言う見方もあるようだが、「天安門事件」「民主化」などの政治的表現はきちんとフィルタリングされていることを考えると、今回の無修正画像検索は、性的タブーが日本よりも厳しい中国の事情が関わっているのだろう。
「性の改革・解放路線」ではないが、「百度日本」がその旗振りをしていることは間違いないからだ。4月30日現在でも、「百度日本」でアダルト検索すると、まだ無修正画像がヒットする。
だが、やはり社会的な「性秩序ないし健全な性的風俗」「健全な性的道徳感情」を確立するためには、「百度日本」は不特定多数の者が無修正画像を閲覧できるという現在の状況を、変えていかざるを得ないだろう。
中国国内に与える影響と同じくらいの影響を日本にも与えているということを、「百度日本」は認識して欲しい。