最近、派遣社員が多くなり、自社商品の知識を十分に持ち合わせていない店員に接する機会が多くなった。単に商品知識を多く持っていれば良いというだけではなく、ユーザーサポートの面からももう少し、商品情報などは持ち合わせるべきである。

　これまでシャープ製ＰＤＡ（携帯情報端末）「ザウルス」を愛用する“ザウラー”だった私は、組み込み機器向けＯＳ「Windows Mobile」を搭載するソフトバンクモバイルのスマートフォン「X01HT」を使っている。スマートフォンとは、携帯電話とＰＤＡを融合させた端末だ。私は以前からザウルスで音声通話ができればいいなぁ、とひそかに思い続けていた。インターネット電話の一種である「スカイプ」が発表された当時は、ネットの掲示板で「ザウルスでの開発を！」と熱い要望の書き込みも見られたが、実現しなかった。

　ＰＤＡ業界は大手ソニーの撤退などであまりぱっとしない時期が続いたが、ウィルコムのWindows Mobile搭載端末「W-ZERO3」の登場により、スマートフォンという形で再び火がついた。私がW-ZERO3に飛びつかなかったのは、端末の大きさである。もう少し小さくなれば、と思っていた中でのX01HTの登場である。

　私はマニアとまではいかないまでも、あれこれといじり回すのが好きなほうである。購入前も後も、ネットでつぶさに情報を仕入れ、困ったこともネットの掲示板で同じような悩みが書かれていることを参考にしていた。あまりハードな使い方はしてこなかったのだが、この半年間で１回ほど端末を初期化する「ハードリセット」を行った。初期化はパソコンより簡単ではあるが、やはり避けたい作業ではある。

　ところが最近、またハードリセットしなければならないことが。

　X01HT付属のブラウザーソフト「インターネット・エクスプローラー」は使い勝手が良いとはいえないので、最近有償のブラウザー「NetFront 3.3」に切り替えたばかりだった。ネットの掲示板を見ながらあれこれといじり回しているうちに、うっかりしてソフトバンクのネットワーク接続の設定を消してしまった。

　ハードリセットする前に何か良い方法はないかと考え、お客様センターへ電話をかけると、お決まりの話中で時間がかかる。ネットの掲示板に書き込んでもすぐに返事は返ってこない。そこで、市内の比較的大きなソフトバンクショップへ駆け込んだ。

　店員に事情を説明するや否や、「大変申し訳ありません。X01HTの設定に関する知識を持ち合わせた者がおりませんので、電話で当方のセンターへつないで調べてみます」とのこと。

　自社商品にもかかわらず、客のトラブルに対応できないとは……。なんとかハードリセットせずに対処できる方法を確認してもらったのだが、答えは「ハードリセット」。

　私が自分でいじくり回した結果なので自己責任ではある。それにしても、正規のケータイショップに自社商品の知識を持つ店員がいないことには驚いた。

　ついでにその店員に聞いたところ、あまりX01HTを売りたがらないようであった。このショップでは、会社で使用するということで２台しか売れていないそうだ。

　Windows Mobile搭載のスマートフォンは、ケータイというよりもパソコン的な存在であり、店員に対して「モデムがどうのこうの」と話したところで誰もが理解できるような商品でないことは確かである。

　ソフトバンクはこのスマートフォンを売る気はないのだろうか？　最近、新色のX01HTが出回っているが、店頭で手にする人は少ない。ＮＴＴドコモでも、X01HTと同じ台湾のＨＴＣ社製商品を販売しているが、こちらは企業向けの販売のみ。

　米アップルが「iPhone」を発表するなど、今後、スマートフォン業界がにぎやかになることはうれしいが、マニアではない一般ユーザーが購入しやすく、サポートを受けやすい体制を整えることが急務であろう。

　インターネットが普及し、店員よりもお客さんのほうが多くの商品情報を持っている現代において、店員はよりユーザーの身になって接することが大切になってくるのではないか。よく耳にする「お客様第一主義」とは何だろう。