きょうのコラム「時鐘」 2009年4月20日

 通りかかった寺の掲示板に、目を引く言葉が書かれていた。「子ども怒るな来た道だ。年寄り笑うな行く道だ」。なるほど、と思う。そんな戒めが心にしみる年齢になったか、とも思う

70歳以上の運転者の目印として、とかく評判の悪かった「もみじマーク」表示を、罰則のない「努力義務」に戻す法改正があった。75歳以上には表示が義務化され、違反者には反則金4千円が科されていたため、高齢者いじめという批判が出ていた

もみじマーク該当者とおぼしき運転手のタクシーに乗ると、ひと安心する。スピードは控えめ、ブレーキは早め。年齢が仕事に穏やかさを加える振る舞いは、笑うどころか、頭の下がる思いがする

もみじマークは一件落着だが、もう1つの高齢者いじめと言われている後期高齢者医療の見直しは、どうなっているのだろう。厚労相が見直しを口にし、政府与党が一体で取り組むといいながら、先ごろ、抜本見直しは秋に先送りと報じられた。何をおいても総選挙か

大人自身に向けた戒めが、先の掲示板にはなかった。さしずめ、「大人さぼるな寄り道だ」とでもするか。