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特集ワイド:愚問ですが 東京地検特捜部と西松事件 「ヤメ検」郷原信郎さんに聞く(2/4ページ)

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 --ところで、郷原さんは西松事件の捜査を批判していますが、検察に何らかの思いがあるのですか。

 郷原さん 検事としてのこれまでの現場での経験などから、言うべきことを言っているだけです。誤りを指摘されず、批判されない組織には向上は望めません。

 --政治資金規正法の専門家だそうですが、西松事件は違反にあたりますか。

 郷原さん 今回のケースが政治資金収支報告書の虚偽記載にあたるか否か疑問です。この法律は寄付を行った者を記載することを定めているだけで、出資者が誰かを記載する義務はありません。今回の事件では西松建設ではなく、政治団体が寄付者と書いたことが虚偽記載にあたると地検は判断しました。とすると、外形的には寄付の行為を行っている政治団体が「寄付を行った者」に当たらないという理屈が必要になりますが、全国に何千、何万とある政治団体の中には政治献金のためだけに設立しているものや、自らで意思決定しない政治団体は山ほどある。これらを寄付者と記載すると、すべて虚偽記載になる。そう考えれば、どんな政治団体、政治家、政党支部にも罰則が適用できて、検察の権限に歯止めが利かなくなります。

 --検事は政権交代に気を使うものなのでしょうか。

 郷原さん 個人レベルでは支持政党や選挙結果に対する願望が働いている可能性がなくはないかもしれませんが、検察が組織としてそのような意図を持って捜査するとは思えません。今回の事件はむしろ、上場企業の社長を形式犯で逮捕した西松事件を何とか政界捜査に結びつけようとする焦りから、通常なら立件しない事件をやむをえず立件した可能性が強い。その結果、これだけの疑念を持たれかねない起訴になったと思います。

毎日新聞 2009年4月20日 東京夕刊

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