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としなんぼ?

58歳

2009年04月08日

写真

 伊丹あさ子 農業 交野市

 【家族】夫、義父、義母【いま興味があること】夏野菜の苗作り【好きな食べ物】自分で手作りした餅やおこわ【最近の買い物】イチョウイモの種芋(500グラム1280円)【最近読んだ本】「奇跡のリンゴ」【最近腹が立ったこと】畑に竹が生えてきた【あなたのヒーロー】曽野綾子さん。気持ちを代弁してくれる【10年後】農業を続けながら、もっと自分の時間を持てれば

 【ひとこと】栄養士をしていた24歳のとき、高校の同級生と結婚して「農家の嫁」になりました。夫は会社勤めなので、そのうち転勤になるだろうと気負いもなく来たんですが、車の行き交えない山道を約3キロ進んだ先の集落で、民家は5軒だけ。携帯も通じない。そんな中で家事を担当し、一時は8人分の食事をつくっていました。

 私は公務員の娘で町中育ちです。慣れない生活でしたが無我夢中でやるしかなかった。私の出番がこの家ではある、家がうまく回ればいいと思って家族中心の生活をしてきました。実家の親類は同情してたみたいですが、特段不幸とは思いませんでした。

 町暮らしでは得られない豊かさがあるんですよね。栄養士だったので食には興味がありました。みそや梅干しを作ったり、ワラビやタケノコを取りに行ったりするのは毎年の楽しみです。アケビやレモングラスのつるでかごを編んだり、乾燥中のハーブは入浴剤にするつもり。草木染にも挑戦したいと思ってます。

 義父母が高齢になって5年ほど前から自分でも野菜をつくるようになりました。自然食品店の考えに共鳴して、農薬や肥料を使わないようにしています。草は抜いた分生えてくるし、虫を指でつぶすのは後味が悪い。それでも、長女の助けを借りて始めた野菜のネット販売に「こだわりの野菜が手に入る」と反響があって、やりがいを感じています。

 ただね、ふつうに農業をやっていても生計は立てられない。大規模にできるとか珍しい作物を作るとか、強みがなければ無理。消費地に近いメリットを生かせるはずと思うんですが、販路が限られているんですよね。農業は私たちの代でおしまいかなあ。

 地域には高齢夫婦だけの世帯もあります。持ち回りでお寺とお宮の掃除やお供えをしてきましたが、当番制でよもぎ餅をつくる習わしは、負担を軽くしたいとの声が出て中止されました。私も今は車でどこでも行けますが20年先はわからない。でもないものねだりは性分に合わない。自分の手の中にある幸せを大切に、人生を楽しみたい。

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