GS (グループサウンズ)
ボクのロック初体験


 小学校に入った頃からTVの歌謡番組が好きでよく見ていた「おませなガキ」だったが、いつの間にかGSが大好
きになってしまい、GSの出る番組はほとんど見ていたと思う。全盛期には毎日のように、どこかのチャンネルで
GSの番組があった。その頃のお気に入りはタイガースとブルーコメッツ。レコードは一枚も買っていないが、それ
以外のバンドを含めて、ヒットした曲の多くは歌詞を見なくても唄える。

’94〜5年頃に 黒沢進(GS研究家)著「日本ロック紀」(シンコーミュージック)という本を買った。内容はGSの当
時のレコードと発売中のCDを多岐にわったて解説するものでその本がきっかけで、小さい頃い聴いていた曲が
聴きたくなって何枚かCDを購入したが、著者が企画したB級GS(別名「カルトGS」)のCDまで手を出すようになっ
てしまった・・・

 GSブームは意外と短い。’65年誕生期、’66年成長期、’67・8年が全盛期、’69年からはすでに低迷期となっ
た。ヒット曲の大半が’67・8年の僅か2年間に出されたレコードである。ちなみに最初のGSのレコードは’65年に
スパイダースが出した「フリ・フリ」(かまやつひろし作)というのが定説。

*このHPで「サイケ」「サイケデリック」という言葉が使われる場合、ダイナマイツの「トンネル天国」あたりの雰囲気
を想定して使用している。・・「トンネル天国」を知らなかったら・・・どうしよう・・・




『タイガース』 
 言わずと知れた KING OF GS。レコードの売り上げは、他の有名バンドの比ではないだろう。でもヒット曲だけで
なく「ヒューマンルネッサンス」というアルバムを聴いてほしい。
中世のファンタジーのような世界。それを演じきれるGSは、卓越したヴォーカルセンスを擁するタイガース以外に
考えられない。ロック色は薄いがヴォーカルアレンジが最高で、ジュリー以外のメンバーも唄えることを証明して
いる。最高4声まで自分たちでハモれるGSは彼らだけだ。全オリジナルアルバムがCDで入手可。
小学校の頃、1人でタイガースの映画を何回か見に行ったな〜。

 大学生の時、吉祥寺駅構内のカレー屋でサリー(岸部一徳)と出会った。その頃、年相応にツッパッていたので
シカトしたが、今だったら当然話しかけていただろう。惜しいチャンスを逃がしたな・・・


『テンプターズ』 
 タイガースとよく比べられるが、ヒット曲の一部とカバー曲以外は、ほとんどメンバーの自作だという所が大きく
違うし、ロック度はこちらの方がかなり上。ただしヒット曲は、タイガースの世界に近いものもある。サイケデリック
なギターとランニングベースがカッコイイ!全オリジナルアルバムがCDで入手可。


『ブルーコメッツ』
 他のGSと違い、他人のバックでスタジオワーク等を長くやっていたので、ロック色は薄いが、職人気質のバンド
とでも言ったらいいのか。よく聴くとギターの三原綱木は派手なソロはやらないが、バッキングやアコースティック・
ギターの使い方が抜群に上手くて、当時としては群を抜いている(例えれば、寺内タケシはリッチーで、彼はスティ
ーブ・ルカサー)。井上&三原のツインボーカルが、ユニゾンで始まりサビでハモるというGSの黄金パターンを確
立した(もう一つ、エンディングでもハモるパターン多し!)。後期の歌謡曲路線の曲も好きである。

 作曲の多くは故井上大輔(ヴォーカル、フルート、サックス、当時は忠夫)で、小学校低学年の頃、なぜかボクの
アイドルだった・・・合掌。タイガースと共にGSの典型的パターンを確立した偉大なバンド。以前はオリジナルアル
バムのCDも出ていたが、今はベスト盤のみ。ただし「ブルコメ大全集」といった、壮大なCD(内容未確認)も出て
いる。


『スパイダース』
 ヒットした代表曲は大好きだが、なぜかバンドに思い入れは少ない。理由はヴォーカリスト(堺正明、井上順)に
ロックをあまり感じないから。ただ、かまやつひろしの作品には「バン・バン・バン」等の秀作多し。ベストCDしか持
っていないが、全オリジナルアルバムもCDで入手可のはず。


『ゴールデン・カップス』
 いち早く海外のニューロックの影響を受けたバンドだが、初期はR&Bの影響が強く、ヒット曲以外はけっこう地
味な演奏である。「銀色のグラス」は最高にかっこいい!ルイズ・ルイス・加部(PINK CLOUDのページ参照)が在
籍したバンドであり、近年になり興味が沸いてきたので、オリジナルアルバムがCD化された時すぐに購入したが
現在は廃盤。ベストCDは入手可。


『ワイルドワンズ』
 「愛するアニタ」は、もともとタイガースに作られてレコーディングも終わっていたが没になった曲で、自分のバン
ド(ギターの加瀬邦彦が作曲)で唄ったらヒットしてしまったことをご存知だろうか。カップスとは正反対の「湘南の
優等生バンド」というイメージだった。鳥塚繁樹より植田芳暁の唄う曲のほうが好き。12弦のエレキを歪ませる
(当時はファズ)のはその後ジミー・ペイジにも影響を与えた・・・というのは嘘だが、斬新でカッコイイと思う。
これもベストCDしか持っていないが、以前はオリジナルアルバムのCDも出ていた。





ここからのバンドはヒット曲が少ないので、
たとえベストCDを買っても知らない曲がほとんどだったりしする。
でも弾みで買ってしまったので解説しちゃうぞ。


『ジャガーズ
 ヒットは「君に会いたい」「キサナドゥの伝説」。ここのギタリストはオリジナリティーがあって好きだが、アルバム
でクリームの「ホワイト・ルーム」をカバーした際にコードを間違えてコピーしている。多分、本人も後日気づいて恥
ずかしかったのではないだろうか。
この辺のバンドになると、シングルは連発しているがアルバムがめっきり少なくなる。ジャガーズもアルバムは2枚
しかなく、CD2枚でアルバムと全シングルが入ったものが発売されている。

 ’94年頃、勤め先の近くにあったオールディーズ専門のライブハウスに 「岡本信とニュージャカーズ」の告知が
あった。ニュージャガーズはまずいんじゃないの?(カルトGSの項参照)と思いながらも、どんなメンバーか判らな
いのが不安で、とうとう見に行かずじまい。う〜、行っとけばよかったな〜。岡本信はリードヴォーカルの人です。


『カーナビーツ』
「好きさ・好きさ・好きさ」が大ヒットで、これも含めて少々ヒットした曲は海外のカバーがほとんど。例外は「恋をし
ようよジェニー」(これはいい!)。ジャガーズ同様、CD2枚でアルバムと全シングルが入ったものが入手可だが、
このバンド下手!(笑) ヒット曲以外は聞くのが辛い曲が多い・・・
ビートルズの「サージェントペッパーズ・・」をカバーしているが、ギターやベースが音を外している。アレンジしてい
るのではなく、コピーをしたつもりがちゃんと聞き取れていないので、コピー出来ないのだというアマチュアレベル
のお話 (T_T)。


『ダイナマイツ』
 数年前インディーズで当時のライブがCD化されるなど、一部のマニアには今でも評価の高いバンドであるが、
ロックというよりR&Bなので、個人的にヒット曲以外そんなに好みではない。「トンネル天国」と「恋はもうたくさん」
だけで充分だが、この2曲はアルバム収録時にバンドの意向で再録されており、そちらの方がラフでカッコイイ!


『パープルシャドーズ』
 もともとインストバンドだったらしいが、GSというよりムード歌謡のバンドだと思う。「別れても好きな人」はこのバ
ンドがオリジナル。数年前「小さなスナック」のギターをちゃんとコピーしてみたら、意外と難しいので本当に苦労し
た。この曲が聞きたいが為にベストCDを買ってしまったのだった・・・
リードギターの人以外は当時とは他のメンバーで、今でもバンドは残っているらしい。


『オックス』
 ここも「スワンの涙」と「ガールフレンド」ぐらいで充分かも。しかしこの2曲は、タイガースに始まった「メルヘンチ
ックな世界」を発展させた名曲だと思う。関西のバンドで、実家の近所のボーリング場が練習場所だったらしい
が、見たことなし。


『モップス』
 70年代になってからの方が「月光仮面」「たどり着いたらいつも雨降り」のヒットで有名になったと思うが、デビュ
ー曲の「朝まで待てない」もそこそこヒットした思う。
2枚目のシングル「ベラよ急げ」はサイケデリックの名曲でファズギターのフレーズが最高! バンドの初期は「カ
ルトGS」の領域なのかもしれない。


『ヴィレッジシンガーズ』
 「バラ色の雲」「亜麻色の髪の乙女」は大ヒットし、大好きな曲だが、それ以外はなぜか興味が沸かない・・・ヴォ
ーカルにロックを感じないのだ。末期にはムード歌謡路線だったらしいが、耳にした事なし。
高校の頃、初めて見に行った「日活ロマンポルノ」に、ここのドラマー(林ゆたか)が準主役で出ていたのが忘れら
れない。確か主役は泉じゅん・・・


『リンド&リンダース』
 大したヒットがないので知らない人が多いと思うので、曲名は書かないでおく。大阪ローカルではよくTVに出てい
て、かなり人気があったらしいが、CDで聴いても曲はまったく覚えていなかった。マニアの中では「一番有名なカ
ルトGS」という評価らしい。
梅田のスケート場に行った時、何かのイベントで演奏しているのを見た。小学校3〜4年の頃の話で、生で見た
唯一のGS。


 一応、名の知られたGSはこれくらいではないだろうか?今でも、GSのヒット曲を集めたオムニバスCDが何枚も
出ているので、リンド&リンダース以外なら、比較的簡単に聴くことが出来る。




・・・こぼれ話
涙のシャポー / タイガース
 これは当時未発表で、あるCDで初めて日の目を見た曲。 「青い鳥」の次、69年の3月ぐらいに出る予定のシン
グル候補として録音された曲の1つだったが、トッポ(加橋かつみ)が失踪(これはプロダクションの演出で、実際
は話し合いの末脱退)したのでお蔵入りになってしまった。リードヴォーカルこそジュリーだが、トッポのハイトーン
でのコーラスが大きくフューチャーされているので、脱退したメンバーが目立っている曲は外されたのであろう。
なぜ取り上げたかというと、すごくいい曲だからで、そのまま発売されていれば、間違いなくタイガースの代表曲
の1つとして残っていたであろうと思う・・・残念。




注:バンド名表記に「The(ザ)」が付くバンドも多いのですが、
有名バンドの場合、メディアによって表記が
統一されていないので、すべて省略しました。


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