1998.9.19
グループサウンズ・カーニバルVOL. 松戸・森のホール21



80年代後半から90年代半ばにかけての、タイガース・メモリアル・クラブ・バンドの活動を継承する形で、元GSメンバーによる「グループサウンズ・カーニバル」と銘打ったライブ活動が、現在も時おり行なわれています。

9月19日のメンバーは、タイガースの加橋かつみさん、オックスの真木ひでとさん、ジャガーズの岡本信さん、カーナビーツのアイ高野さん、パープル・シャドウズの今井久さん、ゴールデン・カップスのマモル・マヌーさん、モップスの鈴木ヒロミツさん。そして、不参加となったシャープ・ホークスの安岡力也さんの代役で、ブルーコメッツの三原綱木さんが出演しました。

30年前は少女だった(!)女性の観客達が黄色い(?)声援を送るなか、メンバーがそれぞれの持ち歌を歌いながら、コンサートは進行してゆきました。岡本さんの「君に会いたい」「キサナドゥの伝説」「マドモアゼル・ブルース」、アイさんの「好きさ好きさ好きさ」、「恋をしようよジェニー」「オーケイ!」、マモルさんの「長い髪の少女」「愛する君に」、真木さんの「スワンの涙」「ガールフレンド」「ダンシング・セブンティーン」、鈴木さんの「たどりついたらいつも雨降り」「傘がない」、今井さんの「小さなスナック」など、一連のGSのヒット曲、各バンドのレパートリー曲が次々に演奏され、観客もGSのメンバーも、懐かしいライブを楽しんでいる様子でした。

安岡力也さんのピンチヒッターとして三原さんが登場。「北国のふたり」「ブルーシャトー」を演奏し、「GSに貴公子はたくさんいたけど、こいつほどの貴公子はいないよ!」という紹介で、加橋かつみさんが登場しました。相変わらず「トッポーっ!」の声援も聞かれましたが、「廃虚の鳩」を歌いだした途端、観客が加橋さんの歌に引き込まれ、会場の空気が一変したように思えました。

沢田研二さん(ジュリー)というボーカル専門の(しかも人気NO.1の)メンバーがいたタイガースで、「花の首飾り」「廃虚の鳩」、再結成時の「色つきの女でいてくれよ」といった、加橋さんのリードボーカルによるヒット曲があることからもわかるように、そのボーカルには独特の素晴しい魅力が感じられます(「Q盤シリーズ」で、タイガースのアルバムと合わせ、昔のソロアルバムが何枚か再発になっています)。

タイガース時代、リードギターを担当し、トッポのニックネームで人気のあった加橋さんは、1969年3月、まだ人気絶頂のタイガースを脱退してしまいます。その後は、ミュージカルに打ち込んだり、マイペースでアルバムを制作したり、ある時は演歌を発表したり、映画やアニメの主題歌を歌ったりしていましたが、82年のタイガース再結成で再び脚光を浴び、以後タイガース・メモリアル・クラブ・バンド、グループサウンズ・カーニバルに参加しながら現在に至っています(僕自身、加橋さんと1度お話ししたことがあります。加橋さんの以前の事務所に、ライブの予定があるかどうか聞こうと思って電話をかけたら、電話を取られたのが加橋さんでした)。

89年のタイガース・メモリアル・クラブ・バンドの時以来、久々に観たGSのライブでしたが、意外なほどの観客の熱狂ぶりを見て感じたのは、50歳前後の、昔GSのファンだった世代の人達が、音楽を含めて何かしら自分が心から楽しめるものを求めているのでは、ということです。だからこそ、グループサウンズ・カーニバルのような活動の意義が感じられるような気がしました。

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