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ECB:総裁インタビュー一問一答

毎日新聞とのインタビューに答えるECBのトリシェ総裁=東京都内のホテルで、小林努撮影
毎日新聞とのインタビューに答えるECBのトリシェ総裁=東京都内のホテルで、小林努撮影

 欧州中央銀行(ECB)のトリシェ総裁との一問一答は次の通り。

 --このところ、明るめの経済指標や楽観的な首脳発言が伝えられています。世界経済は底を打ったのでしょうか。

 ◆持続的な回復が認められるのは2010年になってからだと思う。09年に関しては非常に厳しい年になるとの覚悟がいる。

 --(米欧金融機関への公的資金投入など)金融安定化策は十分ですか。

 ◆基本的にそう考えている。今肝心なのは、すでに決定した対策の効果的で迅速な実行だ。財政政策についても同じで、決定済みの支出をどんどん実行していくことが信頼感につながる。「新たな政策決定の積み上げはもうするな、決めたことを早く実行せよ」と言いたい。

 --新たな景気対策は必要ないと?

 ◆決定済みの対策を全部合わせれば、それで適切だというのが、今月初旬にロンドンで開かれた主要20カ国・地域(G20)による金融サミット(緊急首脳会議)以降のコンセンサスになっている。また、家計や企業のコンフィデンス(先行きへの信頼感)は、財政支出が積み上がることによってもたらされるものではない。今日の借金をどうやって返済していくのか、子や孫の負担はどうなるのか。今最も欠けているのはコンフィデンスであり、それを高めてくれる出口戦略は、景気回復のためにも重要なのだ。

 --中国人民銀行の周小川総裁が、ドル基軸体制の限界を指摘し注目されました。戦後のドル体制は終わりに近づいていると考えますか。

 ◆2点だけ言いたい。我々は世界中でユーロを使ってもらうことを目指す運動をやっているわけではない。使う通貨を決めるのはあくまで投資や貯蓄をする当事者だ。次に、バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長やガイトナー財務長官ら米国の当局者が「強いドルは米国の国益」と言っていることを大いに評価したい。

 --今、最も懸念していることは?

 ◆今回の危機から学ぶべきことを取り違えたら大きな代償を払うことになる。(00~01年の)ITバブル崩壊後、実際に我々は間違った判断をした。金融業界がショックを吸収したのは、デリバティブ(金融派生商品)のお陰で強靱(きょうじん)な体質になったから、と誤解してしまった。今回は正しい処方せんを書き、正しく解決できるよう注力しなければならない。自信はある。

毎日新聞 2009年4月20日 0時02分(最終更新 4月20日 1時41分)

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