学校給食で脱脂粉乳を飲んだと言えば年齢が分かってしまいそうだ。お世辞にもおいしいとは言えず、目をつぶり一気に飲み込んだものだ▼日本で最初に学校給食が実施されたのは明治半ば、山形県内の私立小学校だったという。貧しくて弁当を持参できない子どもに、おにぎりや焼き魚などを出したそうだ▼戦後の食糧難では、ユニセフやアメリカから援助物資として脱脂粉乳などが贈られた。さらに給食を継続するため一九五四年、学校給食法が制定された。給食は子どもたちの栄養改善に大切な役割を果たし、保護者にも強い味方だった▼飽食の時代ともいわれる今、給食事情も様変わりしている。給食を申込制にする自治体が目立ち、県内でも高根沢と上三川町が導入した。近年、問題になっている給食費未納と食物アレルギーへの対策が背景にある▼今月から、県内九市町の学校が給食費を引き上げた。原料費高騰の影響で、牛肉を豚肉にするなどの献立の工夫も限界という。さらに今月は、大幅に改正された学校給食法施行の月でもある。改正法には食材の生産や流通、食文化などを学ぶ食育の視点が盛り込まれた▼脱脂粉乳世代には現在の給食は「ごちそう」で隔世の感がある。時代とともに変わる給食の役割についてあらためて考えたい。