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- ▼-「マイルス・デイビス『Kind of Blue』50周年」 [ＷＥＢ多事争論編集委員 吉岡 弘行] (02/27 14:10)
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- │└筑紫さんの音楽遍歴 [吉岡弘行] (03/12 15:26)
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- │└ＭＪＱ [吉岡弘行] (03/12 15:27)
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- │ └雑食系なれど・・・ [吉岡弘行] (03/07 00:36)
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- └Re:「マイルス・デイビス『Kind of Blue』50周年」 [Ｈ．Ｔ] (04/13 13:45)
[2] 「マイルス・デイビス『Kind of Blue』50周年」
- 投稿者
- ＷＥＢ多事争論編集委員 吉岡 弘行
- 投稿日
- 02/27 14:10
今からちょうど半世紀前の1959年、マイルス・デイビスは『カインド・オブ・ブルー』をレコーディングした。
3月2日に3曲を、4月22日に2曲を録音し、たった5曲でこの年の夏にリリースされたのだ。それから50年、今年は春から夏にかけてマイルス・ブームが起きると予言しておこう。
早速、今週の『NEWSWEEK』誌でマルコム・ジョーンズというライターが次のような興味深いエピソードを紹介している。
レイシズムと音楽的タレントについてのマイルスの考え方だ。
「マイルス・デイビスは白人からも黒人からも批判をあびた。ビル・エバンスをバンドのメンバーに加えたときは黒人コミュニティーから激しく批判された。だが彼は、自分は短気でひねくれているが音楽に関しては鋭い判断力があり、肌の色は無視すると断言した」
５０周年記念盤には、ピアノを弾くエバンスの背後からマイルスが手を伸ばして何かア
ドバイスしている写真が入っているという。このことに関してもジョーンズは、こう述べ
ている。
「今なら何ということもない写真だが、59年に公開されていたら『黒人が白人に密着す
るほど近づいて何かを教える』などという場面はリンチに直結してもおかしくなかった」
バラク・オバマ大統領のiPodにも、マイルスの曲が入っているという。
1991年9月に亡くなったマイルスは、黒人の大統領の誕生をどう受け止めたのだろう？
就任式では黒人シンガーのアレサ・フランクリンが祝福の熱唱を披露した。
マイルスが生きていたら、あのミュートがホワイトハウス前で響いたかもしれない。
私のジャズ歴、入口は白人ピアニストのビル・エバンスだった。
小平市から国立市に下宿を移した大学の後期、彼の『ポートレイト・イン・ジャズ』（1959）、『ワルツ・フォー・デビー』（1961）といった代表作を聴きまくった。
中でも『エクスプロレーションズ』（1961）が特に好きで、一日中くりかえし聴いた日もあった。もしもエバンスに出会わなかったら今ほどジャズを好きになっていないかもしれない。私にとってそれほど重要な人物だ。
しかし、相手が悪かった。マイルス・デイビスがアイドルの座を奪うのにそれほど時間はかからなかった。もちろん二人を並行して聴いていた時期はあるのだが、今ではエバンスのＣＤを聴くのは年に数えるほどしかない。
マイルスは死後も次々と音源がＣＤ化されるので、馬券を買うついでに新宿のレコード店に立ち寄っては購入し、今も聴き続けている。
『カインド・オブ・ブルー』は半世紀で500万枚を売り上げ、今も週5000枚のペースで
買われているというお化けのようなアルバムだ。実際、私も人に貸して戻ってこなくなり、
3回ほど買いなおしている。
こんなアーティストが皆さんにもいるでしょう？
日本のロック・ポップスで名盤を5枚あげよと尋ねられたら、私は年代順に次の5組を選ぶ。
★矢野顕子の『ジャパニーズ・ガール』（1976）
～30年以上前の作品とは思えない。今聴いても新鮮だし30年後も同じだろう。
★中島みゆきの『愛していると云ってくれ』（1978）
～15歳の時に購入した「語り」から入るトータル・アルバム。『怜子』名曲です。
★ＹＭＯの『ソリッド・ステイト・サバイバー』（1979）
～衝撃的！『夜のヒットスタジオ』に彼らが出演した日は、今でもよく覚えている。
★ＲＣサクセションの『ラプソディー』（1980）
～このライブを観た人が心底うらやましい！
★ユーミンの『昨晩お会いしましょう』（1981）
～伝説はここから始まった。同時期に石川ひとみに提供した『まちぶせ』も名曲。
10代の後半に彼ら彼女らに巡り合えた幸運に感謝！5組のアーティストは、若干の例外を除いて、いまだに新譜を聴き続けている。
サザンがはいってないじゃないか？という声も聞こえてきそうだが、私は好きになれなかった。初期の『勝手にシンドバッド』と『いとしのエリー』を超える楽曲はついに現れなかったと思う。数々のヒット曲がありセールスは上記5組を超えているのだろうが、その後どの曲を耳にしても新鮮な驚きはなかった。若くしてプロ野球でいう『殿堂入り』した感が否めないのだ。（桑田さんファンの皆さん、多事争論ということでゴメンなさい）
「本物の芸術家」は時代とともに変幻自在にかわっていく。
マイルスの話を友人や後輩とするときに、私はよくピカソをひきあいに出す。
作風を次々と変え、彫刻や陶器といった作品も膨大な数を生み続けたピカソ。
ロックやファンク、ラップといった要素を吸収し、自らの作品に昇華させていったマイルス。二人ともひとつのカテゴリーに収まることをしなかった。いい意味でファンを裏切るのだ。
赤坂の行きつけの喫茶店『ミコレ』のご主人はジャズ・レコードのコレクターだが、「エレクトリック時代以降のマイルスは嫌い」といっていた。ピカソのファンでも『新古典主義』や『青の時代』は好きだけど、『キュビズムの時代』はどーも・・・という人は多いだろう。私はすべてが好きだ。それが彼らのスタイルだから。
先にあげた日本の音楽家の中で、最もスタイルが近いのが坂本龍一氏だろう。
先日発売された初めての自叙伝『音楽は自由にする』（新潮社）は、タイトルがそのことを物語っている。3時間かけて一気に読んだ。さらに熟読したい本で、若い人に是非お薦めしたい。坂本氏の作品群をながむれば、初期の『千のナイフ』に『エンド・オブ・エイジア』、クラプトンがカバーした『ビハインド・ザ・マスク』、マドンナに提供した『レイン』、オスカー授賞の『ラストエンペラー』等々、100年たっても色あせない真の音楽がある。
来月リリースされる5年ぶりの新作『out of noise 』もそれはそれは素晴らしい出来栄えで、今から日本ツアーが待ち遠しい限りだ。
生前、筑紫さんとジャズの話をしたことが何度かあった。
無人島にジャズのレコードを一枚だけ持っていくとしたら何にするか？といったたわいない話だが・・・。
私は迷わず『カインド・オブ・ブルー』をあげた。筑紫さんは「まぁ一般的にはそうだろうな」と認めながら、朝日新聞ワシントン支局時代からのお気に入りで、親交もあった「モダン・ジャズ・カルテットにする」と言った。
実際、棺にはＭＪＱのドーナツ盤のレコードが収められた。今も天国で愛聴されていることだろう。
私は今年もマイルスを聴く！
[3] Re:「マイルス・デイビス『Kind of Blue』50周年」
- 投稿者
- 太一
- 投稿日
- 02/28 00:38
筑紫さんってJAZZ聴かれてたんですか？ 意外？ どれくらい解ってたんだろう？ 深いんですか？ 浅いんですか？ 別に深くなくてもいいんですけどね。 浅く楽しんでもJAZZはJAZZ、そういう楽しみ方もある。 私もビルエバンスの空間は好きですね。
[5] 筑紫さんの音楽遍歴
- 投稿者
- 吉岡弘行
- 投稿日
- 03/12 15:26
筑紫さんは、米軍統治下の沖縄、ワシントン支局、ニューヨーク赴任とアメリカとは切っても切れない関係にありあました。一般にはクラシックやオペラ通ということになってますが、先日、家族の方がレコードの整理されたとき、膨大なジャズのコレクションが見つかり、娘さんが聞かれているそうです。
ニューヨーク時代は『ブルーノート』は勿論、『ヴィレッジバンガード』『バードランド』等々ジャズのライブハウスによく出かけ、おそらくマイルスなんかも生でご覧になっているのではないでしょうか。その知識たるや、半端なものではありありませんよ。なにせ、本場で有名無名、いろんなミュージシャンを目撃してるんですから。
私の痛恨の後悔はマイルスのパフォーマンスを生で観ていないことです。
太一さんは「ジャズを解っていたのかな？」と問いかけられていますが、この
「解る」という表現はとっても曲者です。何でジャズだけ「解る、解らない」といった議論に傾きがちなのでしょうか？基本的な歴史を抑えることがよりジャズを愉しむ方法には違いないのですが、そんな系統じみた知識など無視してもいいと思います。
坂本さんの『音楽は自由にする』ではないですが、音を楽しめば、それで十分だと思いますよ。そのうちお気に入りのアーティストができて、共演者や同じ楽器の別の演奏者も聞いていく。そんな感じでいいんじゃないでしょうか。
[4] Re:「マイルス・デイビス『Kind of Blue』50周年」
- 投稿者
- N.H.
- 投稿日
- 02/28 18:35
『棺にはＭＪＱのドーナツ盤のレコードが収められた』
―うれしいなぁ。アルバムはなんだったんだろう。以前、ジャズ関係のコラムに筑紫さんは「私が選ぶこの一枚」にMJQの「DJANGO」を挙げてましたね。
その記事をずっと憶えていたので、筑紫さんが亡くなられた1週間、毎日夜「DJANGO」を聞いてました。
私にとってこの作品は大切な人の「死」が重なってて今回筑紫さんの「死」でさらに印象が深くなりました。
まずはじめの「DJANGO」は祖父の訃報を聞き、葬儀に出るため九州の実家に帰る飛行機で聞きました。伝説のジプシーギタリスト、ジャンゴ・ラインハルトを偲んで作られた曲で、出だしの物悲しさが祖父の「死」と重なり、大変深く印象づけられた曲です。それ以来、物悲しくも大好きになった曲ですが、筑紫さんの「死」によりより悲しみが深く刻まれました。それでも、聞きたくなる一枚です。
筑紫さんの棺に入れられたMJQはなんだったのですか？
[7] Re:ＭＪＱ
- 投稿者
- N.H.
- 投稿日
- 03/02 23:02
やはりそうでしたか。
筑紫さんの音楽の楽しみ方というのがすごく素直で、僕は大好きでした。
「僕は、音楽は雑食系だからね、なんでも好物なんだよ。ただし、演歌以外ね（笑）」
はにかみながら、そう言ってた筑紫さんが脳裏にすぐ浮かびます。
あの笑顔がもう見れないのかと、改めて残念でなりません。
劇場や映画館でお見かけする筑紫さんはいつもあの笑顔でしたね。
僕も筑紫さんのようにいつまでも好奇心を持ち続けたいですね。
[8] 雑食系なれど・・・
- 投稿者
- 吉岡弘行
- 投稿日
- 03/07 00:36
「音楽は雑食系。なんでも好き。演歌以外は（笑）」－－－－
私も同じような話を何回か耳にしました。奥様によると「筑紫は演歌嫌い。だから
結婚してこのかた『紅白』を一緒に見たことがないのよ」とのこと。
ただし私が知る限り、例外が２つあります。
まず、中島みゆきが黒部ダムの中から、『プロジェクトＸ』のテーマ曲をやった年。このときの大みそかは、確か年越し麻雀をご一緒してて、中島みゆきのときだけ、闘牌の手を休めてテレビで観ました。「カメラワークがどーのこーの」と皆で
文句を言った記憶があります。
もうひとつは、歌手の石川さゆりさん。筑紫さんがファンだった女性演歌歌手（といっても、石川さんはポップスのアルバムもいいんですよね）では、唯一の例外では。去年11月7日、筑紫さんが亡くなった晩も、石川さんは、駆けつけて枕元でお別れの歌をしんみりと口ずさんで焼香されていかれました。
本サイトでも『追悼メッセージ』をクリックすると石川さんの追悼メッセージが
ご覧いただけます。
[9] Re:雑食系なれど・・・
- 投稿者
- こるち E-MAIL
- 投稿日
- 03/09 14:56
>「音楽は雑食系。なんでも好き。演歌以外は（笑）」
というのには共感いたします。
どうも演歌はダメです。一部を除いては全くと言っていいほど、、同じような曲に聞えてしまいます。
JAZZ。たぶん、ジャズをあまりご存じでは無い方は、やっぱりどの曲も同じように聞えると聞いたことがあります。ロック然り…。ジェームズ・ボンドでさえ、映画の中では「ビートルズは耳栓をして効くべし」などといっていますから。
ところで「Kind of Blue」歴史的な名盤として知られていますが、マイルスのアルバムの中でターニングポイントというか、マイルストーン的なものとしては、一つ変ったところがありますね。
みなさんご存じだとは思うんですが、ジャケットに女性が登場していません。電気楽器を初めて導入した「キリマンジェロの娘」やこれも歴史的な名盤である「Bitches Brew」には、ジャケットに女性が登場しています。
マイルスもビートルズもそうですが、結構音楽的には「雑食」だったかもしれませんね。私ももう少し雑食を続けたいと思います。
[59] Re:「マイルス・デイビス『Kind of Blue』50周年」
- 投稿者
- Ｈ．Ｔ
- 投稿日
- 04/13 13:45
吉岡さんへ
吉岡さんと、皆さんともっともっと沢山音楽や映画や芸術のお話をしたくって、最近は、お休みの日に、ここで薦められた作品を鑑賞する事が楽しみでした。
吉岡さんはいつも、どなたにも親切に丁寧にコメントを下さいましたね。そんな誠実で優しい吉岡さんを私は心から尊敬しています。 Jazzはまだなかなか敷居が高くて聴いていないと、以前話しましたが、マイルス･デイビスのkind of Blueから聴き始めてみようと思います。また聴いたら、感想おくります。「日本のうた」は本当に素晴らしいシリーズだと思います。また坂本龍一さんのお話もお聞かせ下さい。
吉岡さんが戻って来られるのを、楽しみに、ずっと待ってます。