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【主張】対北交渉資料 不明朗な経過の真相示せ

2009.4.20 03:35
このニュースのトピックス主張

 6カ国協議の米首席代表を務めたヒル国務次官補の駐イラク大使承認にあたり、ヒル氏の関与した対北朝鮮交渉の記録を公表するよう、共和党のブラウンバック上院議員らがクリントン国務長官に求めた。

 北朝鮮はミサイル発射を強行、制裁の徹底強化論が高まっている。この時期に、前政権で不信を招いた交渉経過を明らかにすることは無駄でない。プロセスを開示して、オバマ外交への教訓として生かすよう望みたい。

 要求されたのは、マカオの金融機関、バンコ・デルタ・アジアの北朝鮮資金凍結解除に関する資料だ。シーファー前駐日米大使が在任中の2007年、「北朝鮮が拉致事件に誠実に対応しないならテロ支援国家指定解除を避けるべきだ」とブッシュ前大統領に進言した公電の公表も求められた。

 バンコ・デルタ・アジアは北朝鮮による偽ドル札の受け入れや麻薬密輸による“あがり”の資金洗浄拠点になっていたとされる。米財務省は05年に資金凍結の金融制裁を科し、北の経済に大きな打撃を与えた。テロ支援国家指定も、拉致解決を北朝鮮に迫るうえで日本の強い味方だった。

 しかし米国の交渉責任者であるヒル氏は、日本などの反対を押し切って07年と08年にこれらの有効な制裁を解除し、北に望外な利益を与える結果に終わった。

 一連の経緯については、交渉進展を急ぐあまりにヒル氏が譲歩をしすぎたとか、何らかの米朝密約を交わしたとか、さまざまに憶測されている。しかし、その真相がこれまでつまびらかにされたことはない。前政権時代のこととはいえ、日本ではヒル氏の采配(さいはい)ぶりや対北政策の迷走に対するわだかまりが今もくすぶっている。

 ブラウンバック議員らはヒル氏の融和的な対北交渉の手法を以前から批判し、重要大使ポストへの起用に反対しているという。資料公表を求めたのは、そうした背景からだとの見方もある。

 ヒル氏の大使就任が適当かどうかはもとより米国とイラクの問題で、日本が口をはさむ筋合いではない。ブラウンバック議員らの意図を忖度(そんたく)する必要もない。

 しかし、資料が公表され、不明朗な印象がぬぐえなかった問題の真相が明らかになるなら、歓迎すべきだ。日米が対北交渉を練り直す有益な材料になる。クリントン長官の英断に期待したい。

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