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【主張】消費者庁 国民の利益本位の組織に

2009.4.20 03:35
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 消費者行政の一本化をめざす消費者庁設置関連法案が与野党の修正協議の末、衆院を通過した。今国会で成立、今秋にも新設される見通しだ。

 食品偽装など行政の対応が後手に回る事件が相次ぎ、福田康夫前首相が政策の目玉として掲げながら、与野党の綱引きでたなざらしにされてきた法案である。

 その最大の目的は縦割り行政の弊害を是正し、業界寄りから消費者重視の行政へ転換することにある。具体的な制度設計はこれからだ。各省庁は新組織に中身が伴うよう協力しなければならない。

 法案の柱はまず消費者庁を内閣府の外局とし、消費者行政の司令塔とする点だ。国民の苦情や相談などに関する情報を一元的に収集し、各省庁への是正勧告や、法律がない「すきま事案」などでは直接事業者に対して販売停止などを命令する権限を持つ。警察庁や経済産業省、農林水産省などから計約200人が出向する予定だ。

 問題は、消費者庁が本当に司令塔の役割を果たせるかどうかだ。法律では大半の業務が従来監督権限を担ってきた省庁と共管とされているため、命令や指揮系統が混乱する可能性がある。出向者らが出身母体に気兼ねすることもあってはならない。職務の線引きを明確にし、「なれ合い」を排除する国民本位の心構えが不可欠だ。

 もう一つの柱は、有識者らで構成する消費者委員会だ。政府案では消費者庁内の諮問機関的位置付けだったが、修正協議で同格に格上げされた。重要なのは消費者庁の監視だけではなく、首相への勧告・建議を通じて各省庁に目を光らせる権限を持たせたことだ。

 ガス瞬間湯沸かし器中毒事故や事故米の不正転売問題などでは、実態を把握しながら長年放置してきた行政の責任が問われた。消費者委員会には、消費者目線で厳しく監視する役目を期待したい。

 ただ、新組織を立ち上げて官僚機構が焼け太るような結果になっては困る。耐震偽装事件後、国土交通省の規制が行き過ぎて、住宅着工が大きく停滞したことは記憶に新しい。消費者を守るのは当然だが、過剰規制がかえって消費者の利益を阻害することがある。付与された権限の行使にあたっては公正さとバランスが必要だ。

 新組織の守備範囲は国民生活全般にわたる。消費者行政は健全な企業活動と表裏の関係にあることも忘れないでもらいたい。

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