「ETC(自動料金収受システム)を取り付けても大丈夫でしょうか」。民主党本部には最近、こんな問い合わせの電話が相次いでいるという。「どう答えればいいものか」。党関係者が苦笑交じりに話していた。
高速道路などでETC装着車を対象にした割引制度が始まったが、高速道路無料化を公約に掲げる民主党が政権を取れば「無用の長物」という懸念がよぎるのだろう。国民が政権交代を意識している証しともいえる。だが、民主党には越えなくてはならないハードルがある。違法献金事件で秘書が逮捕された小沢一郎代表をめぐる問題だ。
党幹部は「政権交代を前にした最後の試験。これにパスしないと政権は取れない」という。一時、党内には「政権交代間違いなし」との空気もあったが、戦後政治の大きな節目となる政権交代。さすがにETCのようにノンストップとはいかないようだ。 (久保田敦)
=2009/04/20付 西日本新聞朝刊=