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新米弁護士の3割、年収500万円台以下 満足度も低下

2009年4月20日8時2分

 新米の弁護士の年収は500万円台以下が約3割にのぼり、弁護士になって良かったと思う人は6割止まり――。登録後5年以内の大阪の弁護士に対する弁護士グループのアンケートで、若手の業務環境が悪化している実態が浮かんだ。法曹人口の急増に伴う就職難や競争激化が背景にあるとみられる。

 アンケートは昨夏、大阪弁護士会の会員グループ「春秋会」が03〜07年に就職した若手弁護士692人に実施。29%の200人から回答を得て今年2月に結果を会員に知らせた。

 就職した初年度の年収が「500万円台以下」と答えたのは回答者全体の19%。07年の就職組では28%を占め、03〜06年の就職組の平均13%の2倍だった。一方、「800万円以上」は全体では16%だったが、07年組では8%にとどまり、03〜06年組の平均21%を大きく下回った。

 「弁護士になって良かったか」との問いに「はい」と答えたのは全体で66%。03〜05年組では68〜78%だったのに対して、06年組が63%、07年組が60%と、年を追うごとに満足度は下がっていた。

 また、働き始めた現状については、「給料が少ない」(07年組)▽「薄利多売で、質のよいサービスが出来ていない」(06年組)▽「公益活動をする余裕がない」(同)など不満が目立った。

 法曹人口をめぐっては、司法試験合格者を来年ごろまでに3千人程度に増やすという政府計画により、かつて500人前後だった合格者が昨年度は2209人に増加。法律事務所に就職できず、経験もないまま「即独立」を強いられる新人弁護士が相次ぐ。大阪弁護士会などによると、「就職浪人」は08年組だけで全国で60人余りいるという。

 アンケートをまとめた一人である同弁護士会の増田広充弁護士(98年就職)は「若手の苦境が急激に強まっている印象だ。かつては人権活動や労働問題など取り組みたいテーマに合わせて就職先の法律事務所を選べたが、そんな余裕も失われている。国を挙げた対策が必要だ」と話している。(阪本輝昭)

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