地域色豊かなテーマが好奇心を刺激する。学生たちに地元の魅力を知ってもらおうと、香川大学が本年度から始めた「讃岐学入門」講座である。
対象は一、二年生で前期のみ実施。十二のテーマを設け、それぞれに精通した地域の専門家たちを講師に招く。金刀比羅宮の神職が、その歴史と魅力を語れば、「讃岐うどん・味の秘密」では、讃岐うどん店の経営者が、実演もまじえて講義するといった具合だ。
このほか、世界初の成功から昨年で八十周年を迎えたハマチ養殖や、文豪・菊池寛ら郷土の先人、ため池、漆芸など多彩である。実体験などを通した豊富な知識や情熱で、地域の良さを存分に伝えてほしい。
せっかく全国各地からやって来た学生たちが、「学びの地」の良さを知らずに卒業していくのはもったいない。県内出身者はもちろん、県外出身者には土地を去ってからも愛着を感じてもらいたい。
地域を見据えた大学の取り組みは、他でも広がりつつある。経済の地域格差などを背景に、依然として大都市への人口集中が進む。地方が元気になるには、地方分権とともに地元への愛着を深めることが欠かせない。
学生だけに任せるわけにはいくまい。季節も上々。外へ出て、知っているようで知らない地域の姿をゆっくり探してみるのもいい。