宇高連絡船として旧国鉄時代から約100年の歴史を誇る宇野(岡山県玉野市)-高松航路が、高速道路料金の割引により瀬戸大橋利用が増え、存続の危機にある。同区間を運航するフェリー3社のうち津国汽船(同市)は1日に撤退、他の2社も「歴史ある航路を残したいが、収支を見極めて」と先行きは不透明で、地元自治体は国へ支援を求めている。【椋田佳代】
同航路は1910(明治43)年、旧国鉄宇野線の開通に合わせて開設された。津国汽船は59年から運航を始め、04年からは四国フェリー(高松市)との共同運航で、24時間往復50便を運航していた。
津国汽船によると、燃料高騰に加え、昨年9月から顧客の約8割を占めるトラックが、高速料金が3~5割引きになるETC割引で激減。昨秋以降1日40~44便に減便して対応したが、利用者減は続き、平均積載率は5割未満に。マイカー客も、今年3月から休日の高速料金が1000円とフェリー運賃の約3分の1になり減少、経営圧迫に追い打ちをかけた。
四国フェリーの堀川智司専務は「トラック割引の影響が大きい。営業しても、運賃割引を求められるので、八方ふさがり」と話す。同航路には国道フェリー(高松市)も就航するが、同社は「ゴールデンウイークごろまでに収支がどうなるかを把握して、対応を考えたい」としている。
こうした事態を受け、黒田晋・玉野市長、大西秀人・高松市長は今月7日、国交省を訪れ、港湾使用料の減免などの支援策を求めた。瀬戸大橋完成時は、本四特措法が制定され、事業を廃止・縮小する海運業者に国から計119億円の交付金を支払ったことがある。
毎日新聞 2009年4月19日 13時54分(最終更新 4月19日 18時14分)