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社説:結核対策 「過去の病気」ではない
結核が過去の病気ではないということを、あらためて思い知らされる事案が国内で相次いでいる。
今月上旬、人気お笑いコンビ「ハリセンボン」の一人が肺結核と診断されて入院したことが報じられると、ライブを見た若者らから感染を心配する電話が東京都の相談窓口に殺到したという。これと相前後して大阪府内では助産師、看護師が肺結核に罹患(りかん)していることが分かり、それぞれの病院では接触した可能性のある患者や新生児らの検査に追われている。
結核は早期に発見されれば周囲に感染を広げる心配もなく、内服治療で克服できる病気である。自分のため、そしてほかの人のためにもまず検診をしっかり受けることが肝要だ。
かつては「亡国病」とまで恐れられた結核だが、1950年代以降は国を挙げての対策が功を奏し、死者、患者数ともに以前に比べ大幅に減少している。ただし、2007年の国内の新規患者数は2万5311人、死者は2188人に上っており、依然として国内最大級の感染症であることに変わりはない。
しかも、人口10万人当たりの日本の罹患率19・8人はカナダの4・5倍、米国の4・4倍と先進国の中では高く、世界的には中程度の「まん延国」と位置付けられている。「今の日本は米国などに比べて対策が40年遅れている」と厳しく指摘する専門家もおり、現状は決して楽観視できるものではない。
罹患率が13・3人(07年)と全国平均を下回っている本県とて、油断は禁物だろう。同年の新規患者数は前年より17人少ない149人で、10年前に比べほぼ半減した。だが、死者数は15人とあまり改善傾向が見られない上、高齢者の発症する割合が年々高まっている点も課題となっている。
結核は感染したときに発症しなかった人でも、数十年後に老化による免疫力の低下で発症の危険性が高まるしぶとい病気だ。戦後の流行期に感染した人が今になって発症するケースが多いとみられ、県内の新規患者の約8割を60代以上が占めている。高齢化が急ピッチで進む中、実態に即した、よりきめ細かな対策が求められよう。
結核再燃の兆しが顕著になったとして、国が緊急事態宣言を出したのはつい10年前である。行政や医療現場の懸命な取り組みによって、本県でも患者数の増加に歯止めをかけることができたが、当時の危機意識が昨今は相当薄らいでいることは否めないのではないか。
最近頻発した感染騒ぎによって、結核は怖い病気なんだと再認識した人も多いはずだ。県が05年に策定した結核予防推進計画には、県民の役割として「予防に必要な注意を払うとともに、有症状時には早期に受診する」などとある。基本の徹底なくして封じ込めは難しい。
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