自殺予防へ専門家結集 医師・弁護士らNPO法人設立 2009/4/19 10:34
全国の自殺者が十一年連続で三万人を超え、深刻な社会問題となる中、徳島県内の精神科医や看護師、弁護士ら多彩な顔ぶれが結集し、自殺予防に取り組むNPO法人「アプローチ・フォー・ライフセーバー(AFLS)」を設立した。相談業務だけでなく、県内では不十分とされてきた自殺未遂者や自殺者遺族の心のケアをはじめ、全県できめ細かい対応ができるようにネットワークづくりに取り組む。
設立の中心となったのは、県医師会自殺予防対策委員長の勝瀬烈さん(66)。精神科医として長年、うつ病の治療に当たってきた豊富な経験を生かし、自殺予防に欠かせない各方面の専門家に参加を呼び掛けた。
現在、会員はさまざまな職種の十五人。精神科医や臨床心理士が心のケアに当たり、大きな自殺理由となる経済破たんや離婚の悩みには弁護士や司法書士が対応する。インターネットでの啓発をパソコンの専門家が手掛けるなど、会員の技能や知識を生かした効果的な支援を目指す。
本県では、県自殺予防協会が運営する「徳島いのちの電話」の三十年を超える相談活動など、自殺予防への取り組みが根付いており、自殺者数は比較的少ない。しかし、警察庁の二〇〇八年のまとめでは、二百二人と五年ぶりに二百人を突破した。深刻な経済不況が続く中、自殺者が増える恐れもある。
さらに、自殺対策に取り組むNPO法人ライフリンク(東京)の調査では、徳島は啓発は熱心だが、自殺未遂者のフォローや市町村レベルのネットワークづくりが不十分だと指摘されている。
AFLSでは、既存団体では手の届きにくかった支援を充実させていく方針。特に、自殺未遂者は再び自殺を図る可能性が高いため、救急病院や保健所と連携して、自殺未遂直後の心のケアに重点を置く。
当面の活動は、啓発パンフレット「しなれんでよ」を発行するほか、五月三十一日に徳島市内の県建設センターで既存団体と合同で「自殺予防サミット」を開催。その後、会員数を増やし、九月に設立総会を開いて具体的な支援に乗り出す。
会員の申し込みはホームページ(http://www.afls.jp/)上のメールで受け付ける。