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「飾磨郡」や「秦」などの文字が刻まれた石板=26日、山口市 |
1963年ごろ、現在の山口市で出土した石板に、兵庫県の地名「飾磨郡」や渡来系の氏族名「秦」が刻まれていることが分かり、神戸大大学院の坂江渉講師らのグループが26日、発表した。
書風から奈良時代中期ごろに刻まれたとみられる。出土地点の周辺は当時、東大寺領の荘園があったとされ、坂江講師らは「高度な技術を持つ秦氏が、飾磨郡から来て水田開発などに携わったのかもしれない」と話している。
石板は山口市小郡文化資料館所蔵。縦が23センチ、横が最大15・9センチで、将棋の駒に似た形。
表面に「餝磨郡因達郷秦益人石」、裏面には「此石者人」「石在」と刻まれていたほか、はっきり判読できないが「磨」とも読める字もあった。複数の小さな円形状の文様もあった。
飾磨郡は当時の播磨国の一部。因達郷に住んでいる秦益人の石との意味とみられる。
上部に直径1センチの穴があり、ひもなどを通して携行していた可能性がある。側面には線状の跡が多数残り、砥石としても使用されたと考えられるが、もともとの用途は不明という。(共同通信)
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