安倍晋三元総理と前原誠司民主党元代表とがワシントンで肩を並べ、親しげに談笑しました。現地時間で4月15日の夕方です。
場所は駐米日本大使の公邸でした。自民党と民主党のそれぞれ大物がいまなぜ、という推測をも生む、微妙な時期の顔合わせでした。
実はこの二人は最近、防衛大臣を短期間ながら務めた自民党の林芳正参議院議員とともに、日米の海上安全保障に関する大きなセミナーの参加するためにワシントンを来訪したのです。16日からのセミナー開催を前に、藤崎一郎駐米大使が日米の安全保障関係者を多数、招き、安倍氏らを賓客とするレセプション15日の夕方、開きました。
このレセプションにはオバマ政権の政府や軍の要人や前ブッシュ政権の元高官たちも多数、出席し、米側のアジア政策担当者、研究者たちのオンパレードでもありました。主賓の安倍、前原、林の三議員は藤崎大使とともに、レセプションの入り口に立って、来客に挨拶し、さらに内部で懇談を重ねましたが、自民党と民主党の有力政治家である安倍、前原両氏が親しげに言葉を交わす光景は日本側出席者たちの注視を集めていました。それはとくに根拠はなくても、どうしてもいままたちらほらうわさされる「大連立」とか「政界再編成」という言葉を連想させるからでしょう。
安倍氏はとくに元気いっぱいでした。この日、バイデン副大統領との会談をすませ、このレセプションでも最主賓として挨拶に立ち、草稿もメモも使わず、またオバマ大統領のようにプロンプターも見ずに、10分ほど演説をしました。内容は主としてアジアの海上安全保障、シーパワーの重要性であり、日米の海上安保協力の必要性、北朝鮮の脅威への共同対処の緊急性などでしたが、
前原氏と同席したことにも軽く触れていました。
「民主党の前原氏と自民党の私氏がこの時期にこうして姿を並べると、日本のメディアは肝心の海上安全保障についてはさほど関心を示さずに、もっぱら安倍・前原会談のほうに関心を向けているようです。だが前原さんと私は日本の総選挙前についても、選挙後についても、なんの合意もしてはいません」
安倍氏はこんなことを述べて、会場を笑わせていました。
あまり深読みは禁物ですが、おもしろい情景ではありました。
by 古森義久
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