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4月15日の中医協

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 中央社会保険医療協議会は4月15日、診療報酬改定結果検証部会と診療報酬基本問題小委員会を開いた。検証部会では、昨年度に実施した「病院勤務医の負担軽減の実態調査」の結果概要(速報)を報告。それによると、「入院時医学管理加算」「医師事務作業補助体制加算」「ハイリスク分娩管理加算」のいずれかを届け出ている病院では、「入院時医学管理加算」の届け出割合が低いことが分かった。小委では、DPCの新機能評価係数について話し合い、「手術症例割合に応じた評価」など7項目の来年度の診療報酬改定での採用を見送るほか、今年度のDPC準備病院を募集することで合意。また、来年度の報酬改定に向け、初・再診料や入院基本料など「基本診療料」に関する議論も再開した。

【関連記事】
次回改定でも勤務医の負担軽減を
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「手術症例割合」など7項目が“落選”―DPC新係数
今年度DPC準備病院の募集を合意―中医協・基本小委
基本診療料めぐる議論再開―中医協基本小委

■「次の改定でも勤務医対策を」検証部会で遠藤委員
 検証部会がこの日、公表した「病院勤務医の負担軽減の実態調査」の結果概要(速報)によると、「入院時医学管理加算」「医師事務作業補助体制加算」「ハイリスク分娩管理加算」のいずれかの届け出病院516施設のうち、「入院時医学管理加算」を届け出ているのは74施設で、「医師事務作業補助体制加算」の339施設、「ハイリスク分娩管理加算」の310施設を大きく下回った。
 遠藤久夫委員(学習院大経済学部教授)は、これら加算の対象施設を増やす必要性を強調し、「要件が適切だったのかどうかも、議論する必要性がある」と述べた。
 厚生労働省側は、入院時医学管理加算を届け出ない理由として(自由記載)、施設基準や標榜診療科、全身麻酔の件数などの要件を満たせないとの回答があったと説明した。

 これら加算を届け出ている病院の医師責任者に、医師の勤務状況が1年前に比べて改善したかどうかを聞いた質問では、「変わらない」が全体の41.3%で最多。「どちらかというと悪化した」か「悪化した」とする回答は40.8%だったのに対し、「改善した」か「どちらかというと改善した」は16.8%にとどまった。
 また、負担軽減策として、「医師・看護師等の業務分担」に取り組んでいる病院の医師責任者のうち、入院診療の業務負担が1年前から「軽減」したと回答したのは7.3%で、「変わらない」の47.4%、「増加した」の43.3%を大幅に下回った。

 遠藤委員は「医師の業務負担の軽減に診療報酬だけで対応するのは難しい」としながらも、前回に引き続き、次の報酬改定でも勤務医対策が重要な目的になると指摘した。

 調査では、「救急科」と「産科・産婦人科」に勤める勤務医1か月当たりの平均当直回数がそれぞれ5.48回、4.51回で、診療科全体の平均2.78回を大きく上回っていることも分かった。
 直近1週間の平均実勤務時間を診療科別に見ると、医師責任者、勤務医のいずれも「救急科」が最も長く、それぞれ62.6時間、74.4時間だった。以下は、医師責任者では「脳神経外科」(62.3時間)、「産科・産婦人科」(60.2時間)、勤務医では「外科」(65.0時間)、「脳神経外科」と「産科・産婦人科」(共に63.9時間)が続いている。特に「救急科」の勤務医は、2番目に長い「外科」を9.4時間も上回った。

 この日はまた、昨年度の診療報酬改定を受け、「回復期リハビリテーション病棟入院料において導入された『質の評価』の効果の実態調査」など5調査を年度内に実施することを決めた。このほか、後発医薬品の使用状況についても、昨年度に引き続き調査することになった。

 昨年度改定では、従来の「回復期リハビリテーション病棟入院料」を再編し、「回復期リハビリテーション病棟入院料1」を新設。サービスの質を評価する観点から、自宅などへの復帰率が高い場合などに、より高い点数を算定できる仕組みを試験的に導入した。同調査では、「居宅等への復帰率」や「重症患者の受け入れ割合」のほか、リハビリテーションの提供体制を把握する。
 5調査は7‐8月に実施し、9月に集計。10−11月に結果を報告する。

※【次回改定でも勤務医の負担軽減を】と【救急科医師の当直回数は平均の2倍】もご覧ください。

■新係数の候補、21項目に
 一方、診療報酬基本問題小委員会では、DPCの新機能評価係数について話し合い、「手術症例割合に応じた評価」など7項目の次回診療報酬改定での採用を見送るほか、今年度のDPC準備病院を募集することで合意。また、来年度の報酬改定に向け、初・再診料や入院基本料など「基本診療料」に関する議論も再開した。

 この日、DPC評価分科会の西岡清分科会長が小委に提出した「『機能評価係数』に関する検討の経過報告3」では、これまで検討してきた新係数の候補を、▽DPC対象病院で評価を検討すべき項目▽急性期入院医療全体として評価を検討すべき項目▽次の診療報酬改定では評価が困難な項目−に3分類した。

 今回、新係数としての採用が見送られたのは、次回改定での評価が困難とされた8項目のうち、「手術症例割合に応じた評価」「術後合併症の発生頻度による評価」「標準レジメンによるがん化学療法の割合による評価」「希少性指数による評価(難病や特殊な疾患等への)」「望ましい5基準に係る評価」「高度な設備による評価」「治験、災害等の拠点病院の評価」の各項目。これにより、新係数の候補は21項目になった。

 今後、DPC対象病院での評価を検討するのは、「患者の年齢構成」や「がん診療連携拠点病院」など9項目で、分科会で引き続き候補を絞り込む。
 また、「産科医療の実施状況の評価」や「後発医薬品の使用状況による評価」「医療安全の評価」など8項目については、小委を中心に急性期全体での評価を検討する。

※【「手術症例割合」など7項目が“落選”―DPC新係数】もご覧ください。

■DPCの「退出・再参入ルール」、分科会が月内にも原案
 一方、DPC準備病院に関しては、今年度も引き続き募集を行うべきかが論点になった。対象病院を2012年度までに1000病院にまで増やすという政府目標が、年度内に達成される見通しのためだ。
 西澤寛俊委員(全日本病院協会会長)は、自治体病院などDPCに移行できなかった多くの病院が参入をあらためて表明しているとし、昨年度と同じ形での募集を主張。対馬忠明委員(健康保険組合連合会専務理事)も西澤委員に同調した。

 対象病院に移行するまでの準備期間は最低2年間とされているため、今年度に準備病院になった場合、対象病院への移行は最短でも11年度から。準備期間中に診療報酬改定をまたぐことになり、改定前後で点数の異なるデータを使って調整係数を計算しなければならなくなる。
 今年度の対象病院も準備期間中に改定をまたいだが、今回はさらに、調整係数の段階的廃止が決まっており、厚労省保険局の宇都宮啓企画官は、「考え方が一層、複雑になる」と述べた。

 中川俊男委員(日本医師会常任理事)は、「今年度の募集の議論をする時に、少なくとも退出ルールも同時に決めなければならない」と述べ、対象病院によるDPCからの自主退出に関するルールの早期策定を要請。中川委員は、ルールについて小委で話し合うべきだとも主張したが、最終的に、まずはDPC評価分科会で議論し、分科会の報告を踏まえてあらためて小委で話し合うことになった。

 3月25日の前回小委では、DPCから出来高への自主退出を認めることで合意しており、今後は退出時のルールや、いったん出来高に退出した病院によるDPCへの再移行に対する考え方の明確化などが課題となる。厚労省は、分科会に自主退出や再参入に関するルールのたたき台を提示。分科会では、これらのルールの原案を月内にも取りまとめる。

※【今年度DPC準備病院の募集を合意―中医協・基本小委】もご覧ください。

■基本診療料めぐる議論、小委で前倒しも
 一方、基本診療料をめぐる議論で、同省が提示した資料では、入院基本料について、「入院の際に行われる基本的な医学管理、看護、療養環境の提供を含む一連の費用を評価したもの」と説明。入院基本料に含まれるものとして、「簡単な検査、処置等の費用」を挙げている。西澤委員は、この資料について「(入院基本料を)かなり整理できた」としながらも、「一方では、非常に複雑だという思いがある。何が含まれているか、なかなかよく分からない」と述べ、より詳細な内訳の提示を厚労省側に求めた。

 佐藤敏信保険局医療課長は、検証部会による特別調査結果や入院基本料の届け出状況などのデータを基に次回以降、入院基本料の状況を説明する方針を表明。さらに、「社会医療診療行為別調査が出てこないと分からない部分もあるにせよ、今あるデータの範囲で、夏までに論点整理したい」と述べた。

 前回の診療報酬改定を受けて検証部会では昨年度、「外来管理加算の意義付けの見直しの影響調査」など5調査を実施。この日に公表した「病院勤務医の負担軽減の実態調査」で、すべての結果が出そろった。調査結果は、検証部会が中医協総会に報告し、了承を受ける。佐藤課長は「その結果をもって、個別の議論にと考えている」と述べ、総会での了承を待ってデータを使った本格的な議論に入る方針を示した。
 これに対し藤原淳委員(日医常任理事)は、「総会に掛けた後に小委があるので、わたしとしては少しペースが遅いと思っている。勤務医の負担軽減や外来管理加算について、速報値でも構わないので、小委で議論させていただきたい」と主張。最終的に、総会での了承と同じ日に小委を開いて議論を開始するか、それが困難なら、総会での了承を待たずに小委で議論をスタートさせることになった。

 対馬委員は「できるだけ早く議論することに異論はないが、全体としての議論をお願いしたい」と、小委での議論を外来管理加算だけに特化させないよう藤原委員にクギを刺した。

※【基本診療料めぐる議論再開―中医協基本小委】もご覧ください。


更新:2009/04/18 10:00   キャリアブレイン

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