正確な基準があるわけではなく、便が長時間腸に溜まり、すっきりと良い便が出ていなければ便秘です。
ですから回数はあまり関係ありません。2日に一度の排便でもすっきりと良い便が出ていれば便秘とはいいません。
しかし、3日以上便が出ないときや、逆に1日に何度も排便があってもそれが古い便で、良い便が出ない状態を便秘といいます。
1.食べ物を食べると胃が膨らみます。
2. 胃が膨らむと大腸が蠕動運動(ぜんどううんどう)を開始します(胃結腸反射)。大腸の中の便が直腸に運ばれます。 |
3. 直腸に便がくると信号が脳に送られ便意を感じます。大腸の蠕動運動がさらに活発になります(直腸結腸反射)。 |
4. 肛門の括約筋がゆるみます。ここでトイレに行きおなかに力を入れていきむと便がでます。 |
胃結腸反射は胃が空っぽの朝が一番活発です。反射は便意を我慢する事で鈍くなります。
排便のメカニズムは自律神経が重要な役割を果たしており、精神的ストレスの影響を大きく受けます。
1.食事
便は消化されなかった食べ物のかすです。
良い便を出すためには、不消化物である食物繊維を多く含んだ食事を規則的に摂取することと、便の製造工場である腸内の環境を良くすることが重要です。
不規則な食事や、偏食、ダイエットのための過度の少食では良い排便はえられません。
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2.運動不足
運動不足は血液の循環を悪くし、蠕動運動が弱くなり、胃結腸反射や直腸結腸反射を鈍くします。
また、直腸までおりてきた便をスムーズに出すために必要な腹筋の力も低下します。(弛緩性便秘 /しかんせいべんぴ) |
3.間違った排便習慣
便意を我慢するとやがて便意は遠のいてしまいます。
これを繰り返すとせっかく便が直腸におりてきても便意を感じなくなります。(直腸性便秘)
また、あまり長時間トイレにいると肛門部がうっ血膨張し残便感や痔核の原因になります。
トイレは便意を感じたら速やかに行き、短時間ですませることが大切です。 |
4.ストレス
排便のメカニズムは自律神経に支配されています。自律神経は精神的ストレスや肉体的ストレスの影響を大きく受けます。
痙攣性便秘(けいれんせいべんぴ)の70%以上がストレスによるといわれています。(過敏性腸症候群) |
慢性の便秘は機能性の便秘か、あるいは器質性の便秘かをはっきり区分する必要があります。
何故なら器質性の便秘は大腸癌などの病気が原因となっているからです。
◆ 機能性の便秘
食事の量がすくなかったり、何らかの原因で腸の機能が低下したことによる便秘で3種類に分けることができます。
○ 弛緩性便秘
腸の筋肉の緊張がゆるんで、蠕動運動が弱いために便を十分に押し出せない状態。
高齢者、運動不足の人、筋肉の弱い女性に多く、腹筋の強化や良く歩くことが大切です。
○ 直腸性便秘(習慣性便秘)
便意があっても我慢をしていると、直腸の反射が鈍くなって、便が下りてきても便意を感じなくなります。
(若い女性に多い)また、骨盤底に異常があって、便を押し出すことができない事もあります。
○ 痙攣性便秘
ストレスにより腸の動きが過敏になって起こります。
腸が痙攣して、ところどころがくびれて狭くなるため、便の通過が妨げられ、コロコロ便になったり、
下痢や便秘を繰り返したり、急に下痢でお腹が痛くなったりします。
また、腹痛やお腹が張ったりするもので、このタイプの便秘の人が増加しています。
◆ 器質性便秘

大腸癌や大腸ポリープなどによって、便の通過が妨げられる場合があります。
大変危険ですので、手術を含む早急な治療が必要です。
便秘になった時の改善方法の原則は食事・運動・排便習慣・ストレスの軽減です。
便の量は食事中の食物繊維の量で決まります。日本人の食べ物の洋風化によって、食物繊維などはどんどん減ってきています。
これに比例して便秘の人が増えているわけです。十分な食物繊維をとることが一番大切です。
それに副作用や習慣性の少ない膨張性下剤や塩類下剤、腸内環境を整える乳酸菌・ビフィズス菌製剤を使用します。
習慣になりやすく、腸にダメージを与える刺激性下剤を使用するのは最後の手段です。
◆ 腸内環境を整える

便の質を良くするためには、腸内の善玉菌を増やすことが大切です。
このためにはヨーグルトなどの発酵食品の摂取や善玉菌のえさになるオリゴ糖の摂取が大事です。
ラックメロン・ラックビー・ビオスリー・ビオフェルミン・ビオラクトなどの乳酸菌・ビフィズス菌製剤は、腸内細菌の善玉菌を増やし悪玉菌を減らすことにより、
便秘を根本から改善できるようになります。経口摂取した乳酸菌は大腸に行く前に胃や小腸の消化液によって死滅するのが多いため、ビフィズス菌を大腸に届くまで、溶けないカプセルで包んだものも市販されています。
◆ 機能性食品
粉末状になった食物繊維や、食物繊維を含んでいるドリンク類など、市販されているものを上手に利用してもかまいません。
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◆ 水分について
便をやわらかくするためには水分が必要ですが、ただ水を飲んでも尿量が増えるだけです。
水分を含んだ便にするためには同時に食物繊維を摂取することが大事です。
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