2009年4月18日15時1分
文科省は近年、「各大学の特色が出るように」と競争的資金を増やしてきた。さらに、件数を絞って1件当たりの額を多くしたプロジェクトも増やしている。この結果、もともと研究者の層が厚く、体制が充実している有力大がいっそう資金を集める傾向が強まった。
「稼げない」大学のよりどころが運営費交付金で、教育研究の基盤として学生数などに応じて配分されるが、これについても財政再建策の一環で毎年1%ずつ減らされている。まさに「弱り目にたたり目」の状態だ。
資金配分の問題に詳しい竹内淳・早稲田大教授は「米国ではトップ大学の10分の1以上の研究費を得ている大学は80校余りあるが、日本では13校しかない」とすそ野の狭さを指摘する。「科学技術創造立国を目指す日本の課題は一線級の研究環境にある大学を増やし、国全体の研究力を上げること。それなのに、最近の流れはそれに逆行している」
文科省の永山賀久・国立大学法人支援課長は「競争的資金はそれぞれの大学が力に応じて獲得していると考えている。教育研究を支える基盤的経費の確保に努めたい」と言う。(杉本潔)