2009年4月18日13時17分
街頭演説の聴衆と握手する渡辺喜美元行革相=東京・有楽町、内田晃撮影
渡辺喜美元行革担当相が1月中旬に自民党を離党して3カ月。捨て身で挑んだ「麻生降ろし」は不発に終わり、新党立ち上げのめども立たない。集会や街頭活動で全国行脚し「同志」の発掘に取り組むが、自民、民主に対抗する第三勢力を結集できるかは依然未知数だ。
12日、甲府市の催事場。元警察官僚で小泉チルドレンの小野次郎衆院議員の集会で、講師に招かれた渡辺氏が「小野さんは官僚人生を極めて天下りの道もあったのに政治家になった。私の運動にリクルートしたい」と訴えると、会場から拍手がわいた。
麻生首相をこき下ろして自民党と決別した渡辺氏に、党執行部は衆院選での「刺客」擁立を検討するが、「逆刺客」などの反撃を恐れて構想は宙に浮いた状態だ。
そんななかで、自民、民主党の若手や無所属議員から知名度を当て込んだ講演依頼が舞い込んでいる。
だが、こんな人気ぶりとは裏腹に、当初描いた早期解散を目指した「反抗のシナリオ」は、思惑通りにはいっていない。情報発信と政策提言を目指し、無所属の江田憲司衆院議員とつくった「国民運動体」は、期待した知事や市町村長などの首長は加わらず、政局を動かすまでにはなっていない。自民党内の「麻生降ろし」の空気が静まるなかで、テレビなどメディアへの露出も激減している。
渡辺氏は近く出版する江田氏との共著で、「時間は少ないが、できるだけ全国各地に根っこをはやしていきたい。その結果、第三極の『新党』という可能性が広がる」との展望を語る。愛媛県内での11日の講演でも衆院選前に新党を立ち上げる考えを表明したが、候補者の頭数をそろえられるかどうか、具体像は見えないままだ。(内田晃)