経営危機に陥っている米自動車大手のゼネラル・モーターズ(GM)は17日、ヘンダーソン最高経営責任者(CEO)が電話による記者会見で、再建計画の進ちょく状況を説明した。ブランド売却などリストラ策や債務・労務費圧縮を急ぐ考えを強調したが、肝心の労組や債権者である銀行団との交渉妥結のめどは立っていない。米政府は追加支援の条件として6月1日までに実効性のある再建計画の提出を求めているが、先行きは不透明で、日本の民事再生法にあたる連邦破産法11条の申請も現実味を帯びる。【坂井隆之】
「GMは依然として自力再建を目指しているが、必要なら破産法による再生も辞さない」。ヘンダーソンCEOは危機感をあらわにした。GMは2月に166億ドルの追加支援を求めて米政府に再建計画を提出したが、オバマ政権は3月末に「楽観的で甘過ぎる」と見直しを要求。ワゴナー会長兼CEO(当時)の辞任と引き換えに60日間の運転資金を与える一方、追加リストラ策や債務・労務費圧縮を含む確実な再建策の提出を改めて求めた。提出できなければ政府支援は打ち切られ、GMの自力再建の道は断たれる。
ワゴナー氏の後任となったヘンダーソンCEOは、GMが展開する8ブランドを半分程度に削減するリストラに着手。売れ筋の「シボレー」などは残す一方、大型SUV(スポーツタイプ多目的車)の「ハマー」や小型車「サターン」などは米投資家グループらと売却を協議中だ。
ただ、肝心の債務・労務費圧縮の見通しは立っていない。270億ドルの無担保債務の3分の2以上を株式に振り替える交渉は、シティグループなど大口債権者の反発が強く、進んでいない。また、労務費圧縮も、最大の焦点である退職者向け医療基金の拠出金の半分をGM株で代替する案について、UAW(全米自動車労組)の理解が得られていない。
このため、オバマ政権やGM経営陣は、連邦破産法11条を活用し、GMを収益力のある事業に絞ったグッドカンパニーと、不採算工場やブランド、従業員の医療保険債務などを引き継ぐバッドカンパニーに分離して前者の早期再建を図るプランも真剣に検討している。
一方、今月末に計画の再提出期限が迫っているクライスラーは、イタリアのフィアットとの提携実現が国による支援の条件。このため、フィアット側が求める労務費削減に向け、労組とギリギリの交渉を続けている。
ワゴナー氏の後任となったヘンダーソンCEOは、GMが展開する8ブランドを半分程度に削減するリストラに着手。売れ筋の「シボレー」などは残す一方、大型SUV(スポーツタイプ多目的車)の「ハマー」や小型車「サターン」などは米投資家グループらと売却を協議中だ。
ただ、肝心の債務・労務費圧縮の見通しは立っていない。270億ドルの無担保債務の3分の2以上を株式に振り替える交渉は、シティグループなど大口債権者の反発が強く、進んでいない。また、労務費圧縮も、最大の焦点である退職者向け医療基金の拠出金の半分をGM株で代替する案について、UAW(全米自動車労組)の理解が得られていない。
このため、オバマ政権やGM経営陣は、連邦破産法11条を活用し、GMを収益力のある事業に絞ったグッドカンパニーと、不採算工場やブランド、従業員の医療保険債務などを引き継ぐバッドカンパニーに分離して前者の早期再建を図るプランも真剣に検討している。
一方、今月末に計画の再提出期限が迫っているクライスラーは、イタリアのフィアットとの提携実現が国による支援の条件。このため、フィアット側が求める労務費削減に向け、労組とギリギリの交渉を続けている。
毎日新聞 2009年4月17日 21時24分(最終更新 4月18日 1時31分)