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宙に浮くマイホーム・・・「突然破産」の波紋
住宅メーカー・富士ハウス(静岡県浜松市)が、過剰な設備投資や個人消費の伸び悩みなどで関連会社2社を含め負債総額約638億円を抱え破産。マイホームを夢みて契約した人は、2100人にのぼっている。富士ハウスは、破産などで工事ができなくても前払金や追加費用を保証する「住宅完成保証制度」に加入しておらず、地元の静岡県弁護士会などは、各地で契約者説明会を開き、救済に乗り出している。しかし、破産から半月が過ぎて、深刻な問題が次々明らかになってきた。
東京の土地を購入した契約者は、「割引になるから」と言われ、建築費約2000万円全額を前払いした直後、富士ハウスが突然、破産したという。全額を銀行に振り込んだのは、先月29日の午前。ところが、富士ハウスは同じ日に自己破産を申請し、その日の夕方6時に破産手続きの開始決定を受けていた。「破産が数日前から、わかっていたなら、集金は止めるべきだった」という声もあり、契約者は「悪質な詐欺ではないか」と怒る。
契約者の多くが富士ハウスを選んだのには、理由があった。住宅展示場などで、いくつかの住宅メーカーの住宅を比較したところ、富士ハウスが国土交通省の第一回「超長期住宅先導的モデル事業」の認定を受けていることがわかり、国のお墨付きがある会社と考え、信用したという。この事業は、長期的に使える住宅づくりを推進するのが目的。国交省が耐久性や耐震性などをもとに認定するが、富士ハウスは去年7月、認定を受け、パンフレットなどでPRしていた。
契約者の1人は「なぜ、半年後に破産する会社が認定を受けるのか」と憤る。これに対し、国土交通省住宅生産課は「財務状況については見ていない。認定の審査は長期優良住宅としての技術・耐久性をみている。財務状況を積極的に見るかとなると、事業の性格上なじまない」と話す!#
こうした中、裁判所から選ばれた破産管財人(弁護士)は今月28日までに完成予定の物件は、富士ハウスが工事を続行し完成させ、来月1日以降に完成予定の物件は、別の会社が工事を続行することを決めた。この場合は、契約者には追加の費用負担があるとしている。未着工の物件については、契約者に支払額の1割〜2割程度を返還する見通しになるという。しかし、これ以上の具体的な救済策はなく、契約者の不安と不満は広がっている。