EUの対中政策は失敗、強硬姿勢と同時に相互協力も=シンクタンク

2009年 04月 17日 19:18 JST
 

 [北京 17日 ロイター] 欧州連合(EU)のシンクタンクである欧州外交評議会(ECFR)は、通商から人権問題に至るまでEUの対中国政策はことごとく失敗しているとした上で、中国政府に対し強硬姿勢を取ると同時に中国を強くひきつける要素も必要だと指摘した。

 ECFRによると、EUは経済・外交大国としてよりも、むしろ発展途上国としての中国に対応することで満足している一方で、中国はEU内の亀裂に積極的に付け込もうとしている。

 ECFRはリポートで「無条件で取り組むという戦略はもはや機能しなくなっている。旧来のアプローチは、中国が持つ力や欧州の弱点に巧みに付け込もうとする姿勢のほか、民主国家になることを拒否していることなどで陳腐化している」と指摘した。

 EUは中国にとって最大の輸出先であるが、対中国貿易赤字は拡大している。

 貿易不均衡問題に加え、チベットや台湾問題のほか、中国とスーダン、ミャンマーなどの国々との関係をめぐってもEUと中国の間には摩擦が起きている。

 ECFRは「EUの対中国戦略は、中国は欧州の影響下で経済の自由化、法の支配の改善、政策の民主化などを行うという時代遅れの信念に基づいている」と指摘。「しかし、中国の外交・内政政策は欧州の価値にほとんど留意しないような形で進められてきた。現在では中国は定期的に欧州の価値を無視し、あるいは損なうことさえしている」と述べている。

 しかしEUには、イランの核開発や気候変動問題などで中国がグローバル・パートナーとしてより積極的な役割を果たすよう仕向ける切り札もあると指摘、対中国武器禁輸措置の解除や再生エネルギー技術の供与などを挙げた。

 その上で「欧州にとって中国は、より良好なパートナー、より良好な世界市民となる必要がある。これを実現するためには相互協力が大きな役割を果たす」と述べた。

 
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