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【磐田南高校80周年 磐田が原の台地に】

第3部 磐南の今 国際交流(上) 米国・加州の高校と姉妹に

2002年8月6日

 今から十年前の一九九二(平成四)年六月。磐田南高校創立七十周年記念式典の場で、同校と米国カリフォルニア州・マウンテンビュー高校との姉妹校提携調印式が行われた。磐南の若者三十人が、米国へ旅立ったのは翌年の三月だった。

 以来計五回、百五十人の生徒が米国の地を踏み、マ校の生徒を四回受け入れた。創立七十周年を機に始まったこの相互訪問は、現在の磐南の教育の目玉の一つだ。

 姉妹校提携の陣頭指揮にあたったのは、当時の校長の杉田豊さん(前県教育長、現在静岡文化芸術大学常務理事)。実現までは困難の連続だった。もちろん、今のような電子メールはない。

 英語教諭に通訳を頼み、時差を考えて早朝の電話。「ある時、突然、向こうの校長と連絡が取れなくなった」ということも。校長が変わり、さらにその新任校長に子供が産まれて「姉妹校提携どころじゃなかったみたい」と苦笑いで振り返る。しかし、ねばり強く交渉して、提携にこぎ着けた。

    ◇

 「あの経験がなかったら、今の仕事をしていなかったかもしれない」。九五年に訪問した小沢美穂さん(23)=周智郡森町、高四十九回卒=は昨年の春から、春野高校で英語教諭として働いている。

 英語は得意だった。しかし、普通の会話はできても「深い話や本当に考えていることが表現できなかった」といい、「漠然と学んでいた英語を、もっと勉強する気になった」。小沢さんはその後も英国に語学留学した。

 「通じることが大切だって、米国や英国に行って分かりました。だから、自分の英会話授業でも、文法が間違ってても身ぶりや手ぶりも入れて何とかして伝えようとする生徒を評価します」。マ校での経験が、今の授業でも生かされている。

 「磐南の子どもたちはまじめで純朴。この子たちを海外に出して経験を積ませ、これからの国際化時代をリードしてもらいたい」。杉田さんの熱意は、小沢さんのようなマ校を訪れた生徒たちに伝わり、十年を経た今、少しずつその成果が実り始めている。

磐南を語る 3年 振角 瞳さん

 私が最近感じること……それは「自分は幸せなんだなあ」ということです。家族がいて、友達がいて、たくさんのことを教えてくれる学校がある。私は正直言って勉強は嫌いです。磐南はどちらかというと「勉強学校」というイメージがあるけれど、実際はそうでもなく(?)居心地がいいし、頑張ることの大切さやかっこよさがすごく伝わってきます。これからも人間として大切なことを、この学校でたくさん学んでいきたいです。磐南万歳!

(文中敬称略)

 

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