Numeri 2004-4月 4/29 コスプレについて本気出して考えてみた 4/27 シャッキング 4/25 ウチ 4/23 免停 4/21 C子 4/18 ぬめり本通販 4/17 ミイラ取り 4/15 ディープインパクト 4/11 新生活、頑張ってます 4/10 400万ヒット記念企画 4/3 引越し戦線異常あり-後編- 4/2 引越し戦線異常あり-中編- 4/1 引越し戦線異常あり-前編- 2004 2003 2002 9月の日記はこちら 8月の日記はこちら 7月の日記はこちら 6月の日記はこちら 5月の日記はこちら 4月の日記はこちら 3月の日記はこちら 2月の日記はこちら 1月の日記はこちら 2001 12月の日記はこちら 10-11月の出来事はこちら |
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3月10日で止まっていたNumeriキャラバン2004全国縦断オフの旅日記の続きです。長野甲府と周り、甲府の田舎っぷりに唖然としながら翌日、岐阜に向かうところから再開します。 3月11日岐阜名古屋編 ホテルで目覚めた僕は、そろそろ疲労の限界でマトモに開かない両の眼を無理矢理こじ開け、ホテルを後にした。車を走らせ、岐阜県を目指す。 甲府−岐阜なんちゅーのは文字で書いてしまうと5文字くらいで済んでしまうのだが、実際に走ってみると異常に遠い。お手元に地図などがあるのならば皆さんも見てみるといい。ハッキリ言って尋常じゃない距離だから。誰だ、こんな日程を組みやがったのは。 朝もやの中、舐め腐ってるとしか思えない甲府の町を疾走し、高速道路に乗る。さてさて、そろそ燃料もなくなってきたしガソリンスタンドに行かなくては。高速道路に乗ってすぐのサービスエリアに立ち寄り、燃料を補給する。 「すいませんーん、岐阜まで行きたいんですえけど、どうやって行くのが一番近いんですかね?」 ガソリンスタンドのオジサンに岐阜までの近道を訊ねる。普通に高速に乗っていくのが最良だとは思うのだが、地元の通しかしらない近道があるのかもしれない。スタンド店員と言えば地元の人間、しかも道のスペシャリスト。きっと岐阜へと続く素敵な近道を知っているに違いない。 「あーん?しらねえなあ。ワシら山梨のモンは岐阜なんかいかねーからなー」 と思ったのだが無碍なる返答。こりゃダメだと思った瞬簡にもう一人年配の店員さんがやって来た。 「あー岐阜ならね、高速でずっと行くより早い道があるよ。高速で長野県の松本まで行って、そっから国道で行くんだわ。そっちのほうが断然早いから」 親切に地図のコピーまでくれた店員さん。地図の方は長野を中心とした地図なので肝心の部分が切れてしまっているが、確かに松本から少し西に行けば「岐阜県」と書いてある。なんだ、何も全部高速に乗ること無いじゃないか。店員さんの言うとおり松本から国道で行こう。そう決意したのが悲劇の始まりでした。 店員さんの言うがまま、高速で長野県は松本市まで行って指定された国道をひた走る。普通に走りやすい道で、こりゃナイスな近道だなーとか思っていたら、 鬼のように豪雪。しかも超絶なるワインディングロード。 なんかね、峠の部分がシャレになってないほどヘアピンカーブの連続で、雪が積もってた。おまけに道路が異常に狭くなるわ、この狭さなのにそりゃ異常だろってツッコミたくなるような大型バスが前を走ってるわ、どう考えても普通じゃない道路が延々と続いてました。前を走るバスが崖から落ちそうになってたものな。 それでもまあ、この峠さえ越えれば岐阜に着くわけだし、あとちょっとで峠を越えそうだし、もうちょい我慢我慢、とスリップしまくる車に身悶えながら峠を抜けましたところ、やっとこさ岐阜県に突入。やっぱ早いじゃねえか、これで岐阜市にも遅刻せずに到着したも当然だなーと喜んでおりましたら、衝撃の案内表示板が目の前に飛び込んで参りました。 「岐阜 140km」 ひゃ、ひゃくよんじゅっきろー!まだそんなにあるのー! どうもですね、僕が突入した場所、岐阜県は岐阜県なんですけど飛騨高山とかいう場所で、分かりやすく言うとキングボンビーのカウントをリセットする場所らしく、岐阜市は遠く彼方にあるとのことでした。うん、あのガソリンスタンド店員、ペテンにかけやがった。 世知辛い世を憂い、ガソリンスタンド店員と言えども信用ならん、と自分に言い聞かせてドライビング。当然ながらずっと高速に乗っていけば間に合ったものを、変な近道使ったものだから大遅刻。もう見るも無残な遅刻っぷりで岐阜市に到着しました。 おまけに、集合場所の岐阜アリーナ。アリーナと言うくらいだから浜崎あゆみがコンサートするような大体的な場所を想定して探していたのですが、全然見つからない。彷徨い走っていてさらに遅刻してしまいました。
こんなのが岐阜アリーナですぜ。見つかるわけないだろ。ただの体育館じゃねえか。 15-1岐阜市 岐阜アリーナ このまま名古屋を目指すのですが、遅刻なのに飯なんか悠々と食ってたから名古屋開催まで遅刻するのは確実。おまけに夕刻、車の量も半端じゃないので渋滞は確実。車で行ってはいつ名古屋に到着するのか分からない状況。こりゃJRで行く方が確実だな、岐阜参加者さんの提案を受けて僕はJRで名古屋入りすることを決意するのでした。 岐阜駅の駐車場に車を停め、そこからJRに飛び乗ります。車で行くと渋滞で1時間くらいかかるらしいですが、電車で行けば20分。本当は岐阜−名古屋ってのは近いのです。 そんなこんなで、この旅初のJR利用。微妙に満員な電車に揺られ名古屋の街を目指します。富山、長野、山梨、岐阜などという日本を代表する田舎を駆け抜け、久々に大都市に行くことになります。電車の窓から見える景色も近代的で、なんとなく現代に帰ってきたような錯覚を覚えます。 名古屋駅前にそびえ立つバベルの塔みたいな建物を横目に眺め、タクシーに飛び乗って集合場所であるオアシス21へ。まあ、道路が渋滞してたから遅刻したんだけど、もう普通に遅刻とか仕方ないよね。 そんなこんなで集合場所に行くと、もう、オアシス21がビックリするぐらいに近代的な場所で、闇世の中で燦然と輝いていてビックリしました。そんな中、オアシス21から少し離れた闇の中で蠢く数十人の人だかり。あれがオフ参加者に違いない。「僕参加者です」という顔をしてその人ごみに紛れることで名古屋開催が始まりました。 15-2名古屋市 オアシス21 備考 でまあ、大変盛り上がって二次会に行きたいのも山々だったのですが、何故だか知らないけど翌朝10時に静岡市、なんていう途方もないスケジュールを組んでいた僕、夜移動をしないと間に合いそうになので泣く泣く皆とお別れ、電車に乗って岐阜に帰りました。 岐阜に帰り、駐車場から車を出そうとしたら自動精算器に1000円札しか入らないという衝撃の事実が発覚。しかも持ってるのは万札のみ。こりゃあ駐車代金払えない、車を出せないじゃないか、と辺りを見回すと、両替できるような店がビタイチ開いてませんでした。恐るべし岐阜駅。夜中になると信じられないくらい閑散としてます。 タクシーの運ちゃんに両替してもらおうと思ったのですが、「両替はしないよ」と無下に断られました。冷たい街です、岐阜は。仕方ないので両替できそうな店を探してフラフラと歩いていたのですが、どうもコンビニとかそういったものも全くなく、何故か駅前に山のようにソープランドがあるのみでした。これが有名な岐阜のソープ街ですね。しょうがないので、ソープの呼び込みのオッサンに事情を説明して両替しようと思ったのですが、ここでも断られました。 頭に来ちゃった僕は駅に舞い戻り、先ほどのタクシーに乗り込んで 「1メートル進んでくれ」 で、初乗り運賃を1万円で払って千円札を大量にゲット。駐車場代を支払って車を出し、静岡へと向かいました。 途中、体力の限界のためか浜名湖で力尽き、浜名湖パーキングで車中泊となりました。 静岡神奈川編に続く。 3/11のまとめ 前々からそこはかとなく感じていたんだけど、なんでDoCoMoショップのお姉さんの制服ってのはあんなにソソルんだろうな。何でかわかんねーんだけど、すげえソソルよな。 まず、あのスカーフみたいなのが妙に艶かしいし、スカートとかもう最高。おまけに結構美人なお姉さんが多くて、それでいてバリッとした格好だもんな。あの制服で興奮しないなら何で興奮するっていうんだ。 皆さんご存知の通り、僕は自分の預金口座から勝手に金が減ることが大嫌いなほどの金の亡者ですので、様々な料金の口座引き落としというものを全くやっておりません。ガス、水道、電気、電話、家賃、全ての支払いを引き落としにせず、直接払っております。 携帯電話料金も例外ではなく、いつもいつも近くのDoCoMoショップまで直接赴いて支払っているわけなんですが、そこでDoCoMoショップのお姉さんですよ。もうなんちゅーかな、別に乳とか出てるわけでもないし、股間からハミ毛してるわけでもなく、普通に事務的な制服なんだけど、そこはかとなくエロい。なんなんだ、あの制服は。 「あ、あの、料金払いに来たのですけど!」 とか言いながら、僕の股間のアンテナはバリ3、もはやマトモな精神状態でいられないわけですよ。ぶっちゃけ、何も怖れることなく言わせてもらうと、あの制服を着た女性とプレイしたいし、できることならあの制服を頂きたい。そいでもって部屋に飾っておきたい。それぐらい僕はDoCoMoショップのお姉さんの制服に魅了されているわけですよ。 こういったある種の特定衣装を好むこと、着て喜ぶことも着てるのを見て喜ぶこともひっくるめてコスプレ、と呼びます。今日はちょっと、このコスプレについて取りとめもなく色々と考えてみましょう。 コスプレ、この言葉は大別して2つの流派に分けることが出来ます。1つはアニメやゲームキャラなどと同じ格好をするコスプレ、コミケなどにいけばサバトの如く繰り広げられているアレですが、どちらかといえば世間的にコスプレと言った場合、こちらの方を連想する人が多いかもしれません。 こちらの方はコスチュームを着る人もエロティックな格好でポーズを取るぐらいで、見て喜ぶ人もバズーカみたいな福山雅治カメラで撮影するくらいです。プレイと呼べるものは皆無で、どちらかというとコスプレの「コス」が強い、コスチュームが主流の流派とも言います。 で、もう1つが職業系コスプレ。前述のアニメ系のコスプレとは対照的に、こちらは至極現実的。実際に各種職業の制服を女性が着ることにより、女性自身も違った自分を演出することができ、男性自身も興奮することができる、一挙両得なものです。風俗産業やマンネリカップルなど、極めて性的な世界で「コスプレ」といった場合、大体がこちらの職業系の方を指します。性的プレイが伴うことが多く、言うなればコスプレの「プレ」が強い、プレイ主流の流派とも言います。 世の中には沢山の制服があります。セーラー服にブレザー、ナース服にスチュワーデス、婦人警官、他にも事務員さん風とかOL風とか銀行員風とか、マニアックなところでファーストフードやファミレスの制服など、数え上げたらキリがありません。当然、それに対応した数だけ制服フェチというものが存在します。 世の男どもは制服に対して洗い息遣いをし、何気なく行ったヘルスでついつい別料金オプションの「ナースコスプレ」などをオーダーしてしまうわけです。ホント、悲しい生き物だよね、男って。 アニメ系コスプレと制服系コスプレ、どちらも違った人格を演出する点では違いがありませんが、1つだけ決定的に違う点があります。僕はアニメ系のコスプレをする人の気持ちも、それを見て興奮する人の気持ちもサッパリ分かりませんが、これだけは言えます。 アニメ系コスプレは憧れの対象、職業系コスプレは性的憧れの対象。 どちらも憧れの対象である事は間違いないのですが、性的部分に結びつくかつかないか、その部分が決定的に違うのです。 例えば、コスプレが日常的であるイメージクラブ、通称イメクラといった性風俗を対象にしますと、やはりプレイ時にお客が選択する制服はセーラー服とブレザーがダントツ、次いでナース、OL、スチュワーデスとなります。アニメキャラのコスチュームを用意している店は少ないですし、あったとしても選択するお客は少ないです。 もう1つ例を挙げると、例えば夫婦間の営み。熟年のカップルが倦怠期を迎え、夜の営みに変化を持たせようとトチ狂ったことを考えたとします。そこで老夫婦はコスプレを思いつき、更年期の妻にコスチュームを着用させます。 そして、いざプレイとなった時、いつもと違う妻の姿に発奮した夫が妻にのしかかったその瞬間、何を間違ったのか多感な時期を迎えている高校生の息子が夫婦の寝室を訪れたとします。そこで息子は見てしまうわけです、ギンギンにモノをいきり立たせた父を、そして、コスチュームを着て頬を赤らめている母を。 その時に、母が着ているコスチュームがセーラー服だったとします。自分の母が、いい歳したオバハンのセーラー服姿なぞブルーフィルムの世界でしか見ることが出来ず、コレはコレでショックですが、息子だって分かってくれるはずです。ああ、親父はセーラー服が好きなんだな。まったくしょうがねえな。などと思ってくれるはずです。 しかし、アニメ系コスプレだったらどうでしょう。いい歳したオバハンが、自分の母が、キューティーハニーのコスチュームで夜の営みをしていたらどうでしょう。甲高い声とか出してたらどうでしょう。ショックどころの話ではありません。きっと息子さんは塞ぎこんでしまい、世捨て人となるのではないでしょうか。そう、職業系コスプレは性的世界では暗黙のうちに適用が許されますが、アニメ系の場合は受け入れがたいのです。 制服を着た女を征服したい、とは良く言ったものです。職業系の場合は征服欲というものが自然とついてきます。ナースを陵辱したい、女子高生を手篭めにしたい、OLにセクハラしたい。そんな征服欲が職業系コスプレの性的意味合いを強めるのでしょう。逆にアニメキャラを征服したい、なんてのは一部のコアなお兄さんぐらいしかおらず、これがアニメ系が性に結びつきにくい要因になっているのです。 ある特定の職種の人間を征服したい、これが職業系のコスプレの根本的な部分になるのですが、これがまた実に厄介で悲しき感情であることに多くの方が気付いていることと思います。 ナースを陵辱したい。これは言うまでもなく、普段は白衣の天使だとか言われ、清純さの象徴であるナースに淫らなことをしたいという感情が根底にあるはずです。患者さんに優しくしてくれるナースや清潔感溢れるナースを征服したい、もうドロドロのエロエロの、とんでもないことをしたい。それがまずあるわけなのです。 しかし、多くの男性が性風俗でナースコスプレをオーダーしていたり、どっかから買って来たナース服をヤンキーな彼女に着させて楽しんでいることを考えると、いつのまにか征服する対象がナース服を着た人になってることが殆どなのです。ナースが対象ではなく、ナース服を着た人が対象に。極論を言うと、「制服を着た女を征服したい」のではなく「制服を征服したい」になっているのです。これはもう、何かを根本的に吐き違えているとしか思えない。 やはり、本物のナースがそういったエロい事をしてくれるのが至高であって、その辺を歩いている闘牛みたいな女にナース服を着させても何ら意味が無いのです。 代替行為的職業コスプレはアニメ系コスプレと何ら変わりありません。もはやどちらも非日常の世界に成り下がりますから、本質的には等価になります。前述したように、この種のコスプレは性的な部分に結びつくべきものではありません。 話がDoCoMoのお姉さんのコスチュームに戻りますが、僕は何もあの征服に興味があるわけではありません。極論でいえば、制服には興味ありません。 DoCoMoのお姉さんの制服たまんねー、と言いつつ、その実で本当はあのDoCoMoのお姉さんを征服したいだけなのです。ちょっと高飛車で、「わたしドコモよ」とでも言いたげな顔でツンケンと仕事をするお姉さん、アレをヒーヒー言わせたいのですバイ。 長々と書いてきて言いたかったことを物凄くかみくだいて説明します。 DoCoMoショップに料金を払いに行ったら、携帯代が8万円でした。どうも、iモードで素人投稿系サイトを巡り、狂ったようにエロ画像を集めていたらパケット代がエライことになっていたらしく、途方も無い料金を請求されました。 で、次世代携帯FOMAならパケット代がお得ですよ、ただしエリアがちょっと狭くなるんですけど、とお姉さんに薦められ、「エリアが狭くても多分ウチなら大丈夫だろう、けっこう都市部だし」と考えて、二つ返事でFOMAに機種変更、喜び勇んで帰ったら、職場も我がアパートもモロに圏外でした。FOMAエリア狭すぎ。 忠告されたのに聞く耳持たなかった僕が悪く、完全なる自業自得で、もう見るも無残な逆恨みなんですけど、FOMAを薦めた鈴木あみ似のDoCoMoのお姉さんを陵辱したい。あの制服を半脱ぎ状態にして、てめえが薦めるから、圏外で使えねえ携帯買っちまったじゃねえか、とFOMA突っ込んでバイブレーション機能とか、iモーションとかしたい。 ということです。そう、あのゴーマンチキなDoCoMoのお姉ちゃんを陵辱したいのです。 いや、もうこの際、DoCoMoの制服とかコスプレの本質とかどうでもいいですから、FOMAのアンテナだけなんとかしてください。 ゴールデンウィークを直前に控える4月下旬なのに、何をどう勘違いしちゃったのか寒風吹き荒れる天気となりました今日この頃。職場の個室で一人仕事をしていてもガタガタと窓が、恐ろしいくらい揺れていました。 年代物の建物だけあって、強風に震える窓ガラスはまさにポルターガイスト。窓ガラスが割れるとかそういったレベルを超越し、今にも窓枠ごと飛んで行きそう。っていうか、隙間風が寒すぎる。そんな職場やねん。 なんというか、個室を与えられて一人で悠々と仕事をしてるのですが、それはそれで妙に寂しく、下手したら職場で誰にも会わないまま1日が終ったりするので、ちょっと何かをまかり間違ったら発狂するんではないかという心情になっています。 やっぱり人間ってのはどうしても一人で生きていけるもんじゃなくて、必ずや誰かと関わりを持って生きていたいと望むもの。僕だってこんな個室で一人寂しく仕事をしてるんじゃなくて、セクシャルダイナマイツな秘書をつけてもらって仕事したい。モニカ・ルインスキーさんみたいな秘書つけてもらって机の下でチンコとかねぶってもらいたい。とにかく孤独が嫌だし、静かなのが大嫌いだ。 個室内を包む沈黙がうるさく、あまりの無音に気が変になりそう。いつもそうで、沈黙をかき破るため一人で「さくらんぼ」を100回くらい唄ったりするのだけど、今日だけは風の音、窓が揺れる音が救いだ。大嫌いな静寂を打ち破る音は嬉しいのだけど、風の音は風の音で、窓が揺れる音は揺れる音で、僕には別のトラウマがある。 僕がまだ年端もいかない子供だった頃、我が家はシャレにならないレベルの貧乏で、家には毎日借金取りが押しかけていた。怖そうな外観の、下手したら人間の5,6人くらい殺めていそうなオジサンがやってきていた。 ウチのクソオヤジは脳みそまで全部筋肉でできているようなバカなので、いつもいつも友人の借金の保証人になっていた。まるで「へぇボタン」を押すかの如く気さくに実印を押す親父。いつも友人に逃げられて借金の肩代わりをしていた。 破滅的に人が良いのか、それとも正真正銘のバカなのかしらないけど、友人に逃げられ借金を背負わされても、彼はまた別な人の保証人になっていた。結果、数千万円だか良く分からない膨大な返済を背負っていたようだった。 幼い頃、僕が家に爺さんといると、その負債を取り立てに借金取りがやってきていた。父や母に「誰が来ても出るな、アイツらは嫌がらせで来るんだから」と言われていた僕は、いつも居間の隅で震えていた。借金取りに見つかったら殺される、そう怯えて生きた心地がしなかった。爺さんはボケてるのかテレビ見てボーっとしてた。 「○○さーん、いないの?いないの?○○興行だけど!」 怒りに満ち満ちた怒声が玄関先から聞こえる。今思うと、あれは近所中に聞こえるようにワザと言っていたのだと思う。しばらくすると怒声が止み、今度は居間の窓ガラスがガタガタ揺れる。痺れを切らした借金取りが居間の方に回ってくるのだ。 「いるの分かってるんだから、開けてよ!」 障子が閉まっているので姿は見えないのだが、それでも窓を揺さぶる借金取りのシルエットは今でも鮮明に覚えている。本当に怖かったし、何か自分の家の居心地の悪さが心底情けなかった。何も買ってもらえないことも飯が質素なことも、毎日同じ服を着ていたことも我慢できたけど、これだけは我慢できなかった。 もう20年も経つというのに、未だに窓が揺れると怖い。強風が吹き、ガタガタと揺れる窓、仕事をしていてもあの日の借金取りのシルエットが窓に浮かび上がりそうで怖い。 風の音に震え、トラウマと静寂どっちのほうがいいのだろう・・・と考えながら仕事をしていると プルルルルルルルル 電話が鳴った。個室に備え付けられた電話が、まるで僕の恐怖と孤独を見透かしたかのように鳴り出した。 「はい、もしもし?」 「もしもし、こちらは○○○ですけど?」 聞けば誰でも知ってる消費者金融だった。某アイドルをブレイクさせ、精力的に活動している某社だった。 「今月分の返済が確認できておりませんが、どうしたのでしょうか」 電話口のお姉さんは小さい子に言って聞かせるような口調でそう言った。僕は上記のような体験があるため、借金をすることが嫌いだ。高利貸しってのがとにかく嫌いだし、どんなに金に困っていても借りる気にならない。だから、どう考えても消費者金融に「返済が遅れている」などと言われる筋合いはないのだ。 「あー、それは前にこの部屋に入ってた○○さんですね」 実はこんな電話はこれが初めてじゃなかった。4月にこの個室を与えられてから、頻繁にこういった電話がかかってくるようになっていた。基本的に住居とかの引越しとは違うので、職場の個室は住人が変わっても電話番号は同じ、つまり、前にこの部屋で仕事をしていた人宛に督促の電話がかかってくるのだ。 ザッと数えただけで15,6社くらい。誰もが聞いたことある大手から、聞いたことないようなサラ金まで、とにかく前この部屋で働いていた人は鬼のように借金をしていたようだ。1社50万借りてると計算しても800万くらいは借りて逃げたんじゃないだろうか。そんなに借りる方も借りる方だが、貸す方も貸す方だ。 最近はとにかく思うのだけど、日本人ってヤツは金に関して品性を失っているような気がする。ある瞬間からパラダイムシフトみたいに変わっちゃって、金に関することなら何でもアリみたいな風潮が流れてる気がする。 昔は借金ってのはそれこそ恐怖で、冒頭の幼き僕のように心底震え上がるようなものだった。事業者や大きな買い物をする人は仕方ないが、遊ぶ金欲しさに借金だとか、ギャンブルのために借金だとか、そういうことをする人は間違いなく終ってる人だった。 それが今やバンバンとテレビで金貸しのCMが流れ、チワワやらアイドルでオブラートに包みながら借金を促す。気さくに借金って言ってるのは明白で、契約すらも自動契約機でやっちゃって後ろめたさを希釈する。もうなんていうか、言葉が適切じゃないのは分かってるけど、昔の借金に比べて明らかに品が無い。 詐欺にしてもそうで、昔の詐欺ってのはもっと品があった気がする。見事なまでの詐欺手法ってのが主流だった気がするが、今や出会い系サイト架空請求花盛り、オレオレ詐欺大盛況、とまあ品のクソもないような気がする。 アドレスが簡単なためか、僕の携帯には詐欺の匂いがプンプンするスパムメールが日に50通届くのだけど、その騙し文句を見ているとメチャクチャだし何でもアリ、品性もクソも無い。見事に騙して詐欺をしようとしてるようには見えず、数撃ちゃ当たる戦法に見える。 老人の子や孫を思う気持ちに付け込むオレオレ詐欺なんて品性のカケラも無いし、ソレをやれるヤツなんて人間じゃねーと思う。棺桶に片足つっこんだ老人が年金をセッセと貯めた金を騙し奪い去る。必死にATMに振り込むお爺ちゃんの姿を想像すると泣きそうになるわ。 安易に借りられる品性のない借金、品性もクソもない何でもアリのムチャクチャな詐欺。なんていうか、金に関して本当に殺伐としていると思う。大きな国道をちょっと走ってれば金貸しの無人契約機がアホのようにあるし、銀行のATMにいけば「オレオレ詐欺に注意」の張り紙が、一体いつからこんな時代になってしまったのか。 「○○さんのご返済が遅れておりますが」 「関係ないです。その人はもう当社にはいません」 仕事部屋にかかってくる前の住人宛の督促電話。こんなやり取りを何度となくしながらも、やはり殺伐としていると思わざるを得ない。一介のサラリーマンが担保も何もなしに数百万の借金を気軽に作れる時代、たぶん、ここまで誰にも会わず、全部無人契約機で済んだに違いない。後ろめたさも何もなかったのだろう。なんとも狂った時代だ。 プルルルルルルル また電話が鳴る。また前の住人宛に督促電話かー、こんどはどこだよーと思いながら電話に出ると 「おう、俺だけど。携帯でないから職場にかけたわ」 と、我が弟からの電話だった。 「おめー、俺が貸した3万円いつ返してくれるんだよ。言っとくけど利子がついて27万円になってるからな。返さなかったら追い込むからな」 弟から僕宛に借金督促の電話でした。そういや、数年前に弟に3万円借りたわ。 借金が嫌い、といいながら実の弟に3万円借りていた事実に身悶えながら、既に27万円に膨れあがっていることに震えあがったのでした。我が弟ながらなかなかの高利貸し。お前はミナミの帝王か。 「やべえ、返さなかったら実の弟に追い込みかけられることになる、やっぱ借金なんてするもんじゃねえな」 強風を受け、ガタガタ震える窓ガラスを背景に、あの日のトラウマをさらに思い出し、弟への借金で震え上がる僕がいたのでした。 弟様、あまり金のことで殺伐とするのはやめましょうよ。 僕が小学生だった頃、クラスの間で「手紙回し」なる珍妙な遊びが流行った事がありました。読んで字の如く手紙を回すことが主流だったこの遊び、なんか小さい紙に他愛もないことを書いて回し合う遊びだったように思います。 書いてあることと言えば、本当にどうしようもなくて、「ねえ、先生、昨日と同じ服だよ」とか「山田のネグセすげえなあ」とか、知らなくても何不自由なく生きていけそうな情報がテンコ盛りでした。 それを小さな紙に書いてテクニカルに折りたたむ。で、先生の目を盗んでスリリングに手紙のやり取りをする。別にみんな本当に手紙に書いてある内容が知りたいわけじゃなくて、純粋にスリルだけを楽しんでいたように思います。 言うまでもなく、この手紙は連絡網より強烈な確実さでクラス中を駆け巡るわけですが、どういうわけか僕にだけは回ってきませんでした。クラスの皆に回るというのに、何故か僕にだけはビタイチ回ってきませんでした。 それもそのはずで、僕の隣の席に内田君という男の子が座っていたのですけど、その彼が意地悪をして僕にだけ手紙を回さなかったのです。皆が嬉しそうに手紙を回しているのに、内田の所で全てストップ。まるで水を塞き止めるダムの如きストップ力を見せ付けていたのです。 「あれ、すげえ面白かった。危うく笑いそうになったよ」 「笑い堪えるのに必死だった」 休憩時間、楽しそうに手紙の内容について話し合うクラスメイトたち。本当に楽しそうだった。本当に羨ましかった。できれば内田が死んで、僕にも手紙が回ってくればいい、とすら思っていた。 あれから10と数年。あの日手紙を回してもらえなかった僕にもしりとりリレーコラムなる企画のバトンを渡してもらえるようになりました。こういった企画を回してもらえますと、あの日手紙が回ってこなかった日々を思い出し、嬉しいやら気恥ずかしいやら面倒くさいやら、色々な気持ちが湧き上がってくるのですが、それでもせっかく回してもらったのですから意気込んで書いてみようかと思います。 この企画は、各サイトでバトンを渡しながらしりとりでコラムを書いていく企画のようでございまして、前のサイトが書いたコラムのお題が「ラオウ」よって「う」から続く「ウチ」というタイトルでコラムを書きたいと思います。正直、あんま何も浮かんでこないので、サックリと書いてみようかと思います。 「ウチ」 住めば都、なんて言葉がある。これはまあ、どんな劣悪な場所でも住んでれば慣れてくる、そここそが都で離れ難いものになるんだよ、という意味なのだが、これが結構曲者だ。 僕はこの4月に広島を離れて新天地に移り住んだ。広島で住んでいた劣悪な住環境も、まさしく「住めば都」、引っ越す頃には離れ難いものになっていた。でもまあ、引越しがハチャメチャすぎて感慨にふける暇なんてなかったのだけど。 引っ越す先も決めずに引っ越し作業をしちゃったものだから、「どんな部屋でもいい、すぐ入居できる場所にしてくれ」なんていう豪放なやりとりで部屋を決めた。そして、盗賊としか思えないオヤジの働きかけにより家財道具を全て失った。 ロクに物件も見ずに部屋を決めたものだから、とにかく今の住環境も劣悪そのもの。今日は住み始めてもうすぐで1ヶ月になろうかという僕のウチを紹介してみようかと思う。 まず、我がアパートの立地条件。 職場まで車で片道一時間かかるという微妙な場所にある。毎朝6時に起きて5個ぐらいの自治体を駆け抜けて職場まで通勤している。仕事が終って帰る時も同じく5個の自治体を駆け抜ける。 で、アパートの位置する場所は微妙に大通り沿いで、コンビにもパチンコ屋もエロ本屋もスーパーも徒歩圏内にあり。微妙に便利だが、どうも近所のコンビニが暴走族の溜まり場になっているらしく、週末の夜はブルンバルンとシャコタンブギなサウンドを聞くことができる。 おまけに空港が近くにあるため、朝8時になると旅客機が轟音を轟かせ、我がアパートを掠めるようにして着陸する。そのサウンドはどんな目覚まし時計よりも強烈に効く。 次に住人。 セクシャルな女性や、明らかに暴走族、シングルマザーや同棲カップルなど、雑多な人種がアパートに住み着いている。基本的にどの住人もおセックスが盛んで、夜にもなれば各部屋からアバンギャルドな性的サウンドが漏れ聞こえてくる。 ゴミの分別が苦手な住人が多いらしく、ゴミ捨て場はとことんカオス。分別のぶの字もなく、燃えるゴミ置き場にズガンと自転車が2台捨ててあったりする。とことんカオスでマナーのカケラもない、豪快なゴミ捨て場。 あまりにスラムちっくな外観に、スラムな人種が多く住む。その事実を鑑みると、もはや何でもありな状態。一階に住む住人はサーファーらしく、たまにダイビングスーツみたいなのをドアの前に干しているのだけど、深夜に帰宅するとそれが首吊り死体に見えるのだから不思議だ。それだけ何でもありなアパート。 最後に、僕の部屋の中。 家財道具は全て親父の手によって差し押さえられたので、基本的に何もありません。しかもフローリングの部屋ですから何も無いとそこはとなく寂しさが込み上げてきます。 これが成人男性が1ヶ月間生活した部屋ですからね。何もなさすぎ、すっきりしすぎ。精神と時の部屋みたいな状態になってます。オヤジから死守したパソコンが淋しげに部屋の隅に鎮座してますが、パソコンを置く台もないのでデスクトップPCを地べた置き。 また、部屋の中央にキンチョールが置いてありますが、これはゴキブリが我が物顔で闊歩してくるためで、引っ越したて来た初日にヘビー級でアブラギッシュなゴキブリが登場し、パニックになった僕が購入したものです。 部屋の全体図、別角度から。 良く意味の分からない場所に、意味の分からない大きさの窓があります。何を考えてこんな場所に窓があるのか。しかもこの窓、ぶっ壊れてるのか開きません。なんやねん。 でまあ、ゴキブリはともかく、部屋に何も無いってのは明らかに僕の責任ですが、この物件自体もとにかく凄い。前の住人がどういった住み方をしていたのか理解に苦しむ部分が多々あります。 まず、前の住人が引越し、綺麗にして明け渡されたはずの物件であるのに、最初に部屋に入った時に玄関にタウンページが3冊置いてありましたからね。どういった類の嫌がらせか皆目検討もつきませんが、とにかくタウンページが3冊。 で、次に凄いのがトイレ。 一番最初にウンコをしようとトイレに駆け込み、トイレットペーパーが無いわ、新聞紙で拭こうかな、などと一人であたふたしていたのですが、そんな僕の目の前に途方も無い便器が飛び込んできました。 画像が分かりづらいですが、真ん中の水が貯まる部分が黒くなっていました。これ、その部分だけ塗料が剥げてるんです。塗料が剥げて下地がモロンと出てるのですが、最初見た時、ウンコがこびり付いてるかと思って腰が抜けそうになりました。 で、極め付けがコレ。キッチンの流し台の横の部分なんですが、 ドラゴンボールのシールが3枚貼ってありました。 シールくらい部屋を引き渡す時に剥いでおけよ!とかツッコミを入れそうになるのですが、それ以前に前の住人が何を考えてこのシールを貼ったのか、しかもキッチンに貼ったのか、理解に苦しむこと山の如しです。左下のクリリンがなんとも勇ましい。勇ましすぎて泣けてくる。 そんなこんなで、劣悪な立地条件、カオスな住人達、ありえない部屋の状態、などと活路を見出すことの方が難しい住環境ですが、今最も危惧してるのは、こんなウチでも住んでればそのうち都になるのかな、って部分なのです。出来ることならこんなウチ、都にしたくねーなー、などと思うそんな今日この頃なのです。 そうそう、思い出したのですけど、冒頭に出てきた内田君。彼は学校の目の前、校門の前に家があるという小学生にとっては素敵な住環境だったのですけど、学校帰りに僕が内田君の家を見ながら 「内田君のウチだ、がははははは」 とか言ってたら、ランドセルをしょった内田君が強烈に遺憾の意を表明するような顔をしてました。思えば、あれから内田君が手紙を回してくれなくなったのです。うん、僕が原因だった。 --------------------------- 破竹ネットさんどうぞー。 4/24 ぬめぱと変態レィディオ-ADSL開通記念スペシャル泥酔ラジオリローデッド- 2003年クリスマスイブ。仕事において重要なプレゼンを翌日に控えた男がネットラジオの放送を行った。一人でケーキを食べ、一人でシャンパンを飲み。 極度の疲労、シャンパンの高級さ、そして孤独さ。全ての要因が男に襲い掛かり、男はあっという間に酔いつぶれた。 リスナーに対する暴言、セクハラ発言、ろれつの回らないトーク、嘔吐、そして愚痴。クリスマスイブの夜、酒に飲まれた酔いどれ男がネットラジオを繰り広げた。・・・・あれから4ヶ月。 ということで、400万ヒットありがとう企画と題してまして、酒をかっくらいながらお届けする「ぬめぱと変態レィディオ-ADSL開通記念スペシャル泥酔ラジオリローデッド-」がいよいよ今夜放送されます。 番組名 ぬめぱと変態レィディオ-ADSL開通記念スペシャル泥酔ラジオリローデッド- 放送開始時間 終了しました 気になる放送内容は 「僕の私の最高のオナニー」 「お酒で失敗した体験談」 「patoさんラジオ相談室」 「全国キャラバンのお話」 「本当にあった私の初体験(女性限定)」 「ぬめり本通信販売のご案内」 「お母さんとお父さんのおセックスを見ちゃった人大募集」 と盛り沢山になっております。まあ、この企画の半分は酔いつぶれてしまって忘れていると思いますが。全てのネタ投稿は左側のメールフォームから。雑談などはBBSにどうぞ。 ということで、およそ4ヶ月ぶりに帰ってくる伝説の泥酔ラジオ、酔っ払いを温かい目で見ることができる大らかな人は聞いてやってください。 免停になった、たぶん60日免停 いやー、まいったまいった。何がまいったって職場の同僚ですよ。ホント、今日は同僚にビックリドッキリした1日だった。 まあ、それ以前にビックリしたのがマイルドセブンのデザイン変更なんですけど、僕が常日頃から吸っているタバコであるところのマイルドセブンライトのデザインが大幅に変更されてましてね。朝っぱらから大パニックですわ。 いつもの如く出勤途中に立ち寄ったコンビニで、タバコを買ったんですわ。頭の悪そうな茶髪のアルバイト学生にですね、「マイルドセブンライトひとつ」ってハードボイルドにオーダーしたんですよ。そしたらいつもの定番デザインのマイルドセブンシリーズが棚に無い。バイトの学生は焦るわ、注文した手前僕も焦るわ。下手したら後ろに並んでたスカルノみたいなオバハンも焦ってたかもしれない。 でまあ、なんとかデザインが変わってることに気がついたバイト学生。ホッと胸を撫で下ろしながら新デザインのマイルドセブンライトを差し出してくれて事なきを得たのです。 それにしても、今回のデザイン変更はいかがなものかと思います。マイルドセブンがセブンスターチックなデザインから現状のデザインに変更された時も衝撃を禁じ得ませんでしたが、まさかマイルドセブンシリーズ全てがデザイン変更になるとは。 左側が旧デザイン、右側が新デザインのマイルドセブンシリーズです。Numeriのサイトデザインにも継承されていることからも分かるように、僕は旧デザインのように左側にラインのように色がついているのが大好きでした。それがこんな品性もクソも無い新デザインになるとは。なんですか、中央のマンコマークみたいな模様は。これは壮大なセクハラですか。マイルドにセクハラですか。 とまあ、異常に話を打線させ、冒頭から怒りを顕にしたわけなんですが、とにかく驚きました。朝っぱらからコンビニで破廉恥なマークを見せつけられ、脱糞するんじゃねえかってくらいに驚きました。でもまあ、その後の職場ではそれ以上に驚く脅威の事態が待っていたのです。 この春から新職場で働くことになった僕。新職場では個室業務を命じられ、今にも朽ち果てそうなクラシックな部屋で1人居眠りしたりオナニーしたりしてるわけなんですが、やっぱ孤独な個室業務と言えども同僚ってヤツは存在するんですよね。それぞれ同僚達も個室で業務にあたっていますから顔を合わせる事は少ないのですが、確かに同僚ってのは存在するんです。で、その同僚にとにかく驚かされた。 僕がこの職場に採用された時、それと同時に10人の若人が採用されていました。つまりまあ、この人たちは同時に入社した同期ともいえるんです。で、この同期の人間の中にとにかくスパイシーなヤツがいる、っていうお話です。 ぶっちゃけ、そのスパイシーな同期ってのが女性なんですが、この人がとにかく変わった経歴を持ってる。便宜上その女性をC子って呼びますけど、すごく変わった人物。 まず、彼女は高校を卒業し、その後単身でアメリカに渡ったそうです。アメリカの大学に通い、語学とアメリカ文化を体得、卒業後帰国して畳屋に就職したそうです。アメリカから畳屋て。アメリカで体得したことをどのようにして畳屋で活かしたか謎なんですけど、とにかくそうらしいです。で、その畳屋を数ヶ月で退職し、現在の職場に正式採用されたらしいのですが、経歴だけでなくその立ち振る舞いまでが全て異様。 初出勤の時、僕ら新人を集めて職場で一番偉い人、つまり社長のお話があったのですが、C子さんはその時点からブイブイ飛ばしてました。もう、疾走というレベルまで飛ばしてました。 僕なんかは、初出勤で緊張、おまけに一番偉い人が目の前に、なんて考えちゃってガチガチ、この人に逆らった明日から無職だぜ、なんて恐れおののいていたのです。もう、社長が尻出せって言おうものなら喜んでペロンと尻出して掘られたと思います。それぐらい服従してた。 でもC子さんは違う。社長の問いかけにも冷ややかな態度、むしろふてぶてしい態度。何か喋ってかと思ったら宇多田ヒカル並に社長にタメ口だし、社長のジョークにもピクリとも笑いやがらねえ。他の9人が顔の筋肉を最大限に活動させて愛想笑いしてるのに、ピクリとも笑いやがらねえ。能面みたいに微動だにしやがらねえ。 でもまあ、そういった物怖じしない態度ってのもアメリカナイズされたものって考えれば済みますし、特異な経歴ってのもちょっと変わった人なら珍しく無いかもしれません。しかし、それ以上に特筆すべきは彼女の外観。 いやな、こういっちゃなんだけどな、ハッキリ言ってすっげえブス。もうなんていうかな、見てて爽快になるくらいのブス。見ててスポーツマンシップにのっとりたくなるほど掛け値なしのブス。言い方を変えると歴史的ブスだからな。 いやね、僕かて人の容姿をとやかく言えるほどの容姿でないことは分かってますよ。でもね、この人だけは言わずにいられないというか、むしろ言った方がいいというか、悪い意味じゃなくて良い意味でブスなんですよ。そう、マジで良い意味でブス。 でな、ぶっちゃけると顔とか別にどうでもよくて、良い意味でブスとか関係ないんだけど、すっげえ巨乳なのよ。これがもう、地方とかによく飾ってあるお化けカボチャを髣髴とさせる巨乳。ABCDEFGとか軽々と超越してるレベルで、さすがアルファベットの国の大学に行ってただけあるよなーって思うほどの巨乳でした。 男ってやっぱどんな場面でもオッバイに興味があるじゃないですか。たとえ愉快痛快なブスでもアルファベットを越える巨乳ですよ。男ってヤツはですね、口ではどんなにカッコイイこと言ってても頭の中はオッパイのことばかり、悲しいかな、そういう生き物なんです。 でまあ、当然ながら僕も社長もその他の男性同期もC子さんの巨乳に視線は釘付け、股間は泉ピン子以上にピンコ立ち。やっぱ巨乳ってすげえよな、あらゆる意味でポテンシャルが高すぎる。 そんなこんなで、言動がおかしい、痛快なブス、ギネス級の巨乳なんていうあらゆる要素をふんだんに備えたゴールドセイントみたいなキャラの出現に動揺を隠せず、この職場でも妙に濃いキャラがいたもんだぜ、などとワクワクやらブルブルやらしたのです。 しかしまあ、完全個室制であるところの我が職場が、当然のことながら同僚どもは互いに顔を会わせることなどありません。つまり、初出勤の時こそC子のファーストインパクトに驚いたのですが、それ以降は彼女と顔を合わせることもなく、平穏な日々が続いたのでした。 しかしながら、今日のことです。いつものごとく個室にこもって平穏に仕事していた僕。その静かな日常の1コマを打ち破るかのように電話が鳴りました。僕の個室にはバッチリと内線電話がついてるんですけど、その電話がけたたましく鳴りました。 「はい、もしもし」 完全に仕事モードな僕は物凄い男前な表情をして電話に出ました。すると、受話器の向こうからは 「Hello」 とか聞こえてきました。電話に出たらイキナリ舶来語ですからね。日本の片田舎で普通に仕事をしてて、内線電話に出たらフレンドリーに舶来語ですからね。もう焦っちゃって焦っちゃって、どうしていいか分からず「・・・・・へロー」とか答えてましたからね。 でまあ、完全にアメリカ留学経験アリのC子の仕業なんですけど、あまり面識無いのにイキナリ内線電話でヘロー、コイツは狂ってるのか。頭の中にロックフェラーでも飼ってるのか。これが世界の警察たる米国のやり方ですよ、恐ろしい恐ろしい。 「パソコンが壊れちゃったみたいなんですけど、ちょっと見てもらえませんか?」 C子の用件は、要はパソコン壊れたから直せよ、おまえ、趣味はパソコンだって自己紹介の時に言ってたじゃねえか、ってことでした。まあ、便利屋みたいなものですわな。 しょーがねーなー、と思いつつ、もしかしたら偶然を装って乳を揉めるかもしれない。そう思ってC子の個室に向かいましたよ。「君の乳首にポートスキャン!」だとか「右の乳をウィルスチェック!」だとか言いながら揉みしだけるかもしれない、そんな下心を過積載にして彼女の部屋に向かいましたよ。 コンコン! と彼女の部屋のドアをノックし、中に入ったその瞬間でした。 C子のヤロウ、ノーブラでTシャツ姿。もう、たわわに胸だけが別の生物みたいに蠢いてました。Tシャツがケンシロウみたいにはちきれそうでした。痛快なブスによるK点越えの巨乳見せ、しかもノーブラにTシャツ。これが超大国アメリカのやり口です。 コイツは僕を誘惑してるのか、それともこれが世界の標準、いわゆるグローバルスタンダードなのか知りませんけど、とにかくそんなに乳を見せ付けられても困るわけで、乳ってのは隠してるから神秘的で素敵なものなわけで、僕らも憧れるわけで、などと赤面しながら視線を逸らすのが精一杯でした。 「で、パソコンはどこが悪いのですか」 「なんかぁ、すぐにフリーズしちゃうんですぅ」 フリーズの発音が非常によろしく、さすが本場だぜ、などと思いながら彼女のパソコンの画面に目を遣りました。そして、巨乳とかブスとか超越した次元で驚き、腰を抜かす事態となったのです。ハッキリ言って目が飛び出るかと思った。 いやな、彼女のデスクトップの壁紙、黒人マッチョだった。 照り焼きみたいにテカってブーメランみたいなパンツをはいた黒人2人がな、子供が小学校に入学した時みたいな笑顔で股間を擦り付けあってる画像だった。 「おいおい・・・・何考えてこんな壁紙にしてるんだよ、モッコリしてるじゃねえか」 などと腰を抜かしそうになっている僕の背後で、C子は南米に原生する果実のように乳を揺さぶってコーヒーを入れてました。 痛快なブス、巨乳を越えた超巨乳、そしてアメリカナイズされたやり口、そしてマッチョな壁紙。とんでもない濃いキャラが出てきたなーと思いつつ、パソコンのエラーチェックをする僕の姿がありました。ホント、あの壁紙には死ぬほど驚いた。 新同僚キャラC子の今後の活躍に期待しつつ、やっぱコイツは濃すぎる、と驚きを隠せませんでした。 まあ、本当に本日一番驚いたのは、マイルドセブンのデザインチェンジに関する資料を集めようと「マイルドセブンライト」で検索をかけたんですけど、そしたらウチの日記の「マイルドセブンライター」がJT(日本たばこ産業)のサイトの次に出てきたことでした。 こんなクソみたいな日記が出てきちゃアカンだろ。
ということでお待たせしました。誰が待っていたのか知りませんが、ぬめり本通販のお知らせです。先のNumeriキャラバン2004で全国60都市で販売された自費出版本「ぬめり」の通信販売です。 キャラバンによる販売では、皆さん集団催眠にでもかかってるんじゃねえの?という勢いで買っていただき、当初予定の700冊が早急にソールドアウト、増刷分の400冊も早々とソールドアウトしてしまい、1100冊売ったにも関わらずおおよそ半分の都市で販売できない事態となりました。 折角オフに足を運んでいただいたのに、本が買えないのは申し訳ない。そのような理由から通信販売に踏み切ったわけです。あくまでオフに来たのに買えなかった方が販売対象ですので、以下のように販売の優先順位をつけさせていただきました。 1.大阪オフに参加した方(先行予約すらなかったので) 2.各地のオフで予約ノートに記入された方 3.キャラバン未開催地域にお住まいの方(海外含む) 4.その他 上に行くほど優先とさせていただきます。 また通信販売ですので本の販売料金以外に送料が必要となります。申し訳ありませんが、負担してやってください。冊子小包郵便で送りますので送料は3冊までなら均一で280円(梱包費含む)です。3冊以上は3の倍数ごとに送料が上がります。つまり 1冊購入の場合 1000円(本の代金)+280円(送料)=1280円 3冊購入の場合 1000円×3(本の代金)+280円(送料)=3280円 5冊購入の場合 1000円×5(本の代金)+280×2円(送料)=5560円 となります。海外への発送を希望される方は個別に送料をお知らせいたします。また、銀行振り込みによって料金を支払って頂きますが、その際に振り込み手数料も発生します。本当にすいませんが、負担してやってください。振込口座にはジャパンネット銀行を使いますので、ジャパンネット銀行から振り込んでいただければ手数料も52円とお徳です。 さらに、これは最も注意して頂きたい箇所ですが、印刷の納期の関係で、現在申し込んでいただいても発送まで2週間前後かかります。どうしてもお急ぎという方は手元に5冊だけありますので、申し込みの際にその旨をお知らせください。 では、分かりやすく通販の流れをもう一度説明します。
最後に言いますが、通販で面倒な思いをしてまでして買う本ではありません。過去ログをまとめて手直ししただけのクソみたいな本です。ちょっと迷ってるとかいう方は買わないことをお薦めします。 それらを踏まえまして、通販オーダーフォームから購入してください。 全国を売り歩かなくていいということで、今回の通販では若干の黒字が見込まれます。黒字分はNYラウンドへの旅費、もしくは家電製品にまわさせていただきます。ありがとうございます。 ミイラ取りがミイラになる。 なんて言葉がある。誰かを説得しに行った人が逆に説得されちゃって、最終的には別の誰かに説得される立場になっちゃうとか、そういった本末転倒な場面で使われるのだけど、これってば実に良く出来たコトワザだと思う。 このコトワザの起源を推察するに、たぶん、古の時代にミイラを取りに行く人かなんかがいて、その人が取りに行ったっきり帰ってこない。で、何で帰ってこないんだろーなーって思ってたら、その人が見事にミイラになってた。きっと、こんなエジプト人もビックリの事があったかなんかでこの言葉が出来たのだと思います。 でまあ、この言葉について色々と思いを馳せてみるんですけど、やっぱりこの言葉は良く出来てるなーって思うんです。本末転倒な事を表す言葉やら、こういったミイラ取りミイラになる的な事柄を表す言葉って何でもできると思うんです。 新興宗教のインチキを暴きにいったら入信していた。 暴走族を捕まえようとしたら、いつの間にか自分が暴走していた。 痴漢を捕まえに行ったら自分が痴漢になってた。 下着ドロを捕まえようとしたら右手にパンティエを握っていた。 山菜取りに行ったら三歳になってた。 最後のヤツ以外意味合いは同じで、何でも表せると思うんですけど、やっぱ「ミイラ取りがミイラになる」には勝てない。ミイラって言うと妙に生々しくて悲劇的、こういった本末転倒な出来事を表すのに微妙にマッチしてる。ミイラを取ろうと意気込んでいったら自分がミイラになってる、これほど悲劇的なことがあるか。 それに、この言葉、なんていうか語呂がいい。ミイラ取りがミイラ、ラップとかに出てきそうなほどビビッとに富んだ語呂の良さがあるような気がする。うん、とにかく「ミイラ取りがミイラになる」この言葉ってヤツは良く出来てると思う。 小学生の頃、僕のクラスでは今考えると信じられないトンデモなイベントがあった。「励まし会」というセンスのカケラもないネーミングのこの会、とにかく訳の分からないものだった。 放課後、「励まし会」の時間がやってくる、すると会の名前の通り、クラス中の子供がお互いを励ましあう。向かい合ったクラスメイトの良い場所を無理矢理探し、「メガネかけるようになったんですね、すごく勉強できそうですよ」などと意味不明に誉めたりして励ます。そんな会だった。 誉めるべき場所がある人間が対面に来るのなら良かったのだけど、どうしようもないチンカスみたいなクラスメイトが来た場合は大変で、「今日は忘れ物しなかったですね、偉いですね」などと、誉めてんだか皮肉言ってんだかわかんない状態になってた。で、そうやってギクシャクしながら互いに励ましあう児童の様子を「ウンウン、青春だわ」と言いたげな微笑で眺めるクソババア教師、なんていう異様な空間が出来上がっていた。 しかしまあ、こんな励まし合う儀式なんてのはカワイイもので、子供心ながらに「こんなクソみたいなことやって意味あるのか」と思いつつも、黒ミサみたいなものだと割り切ってしまえば何てことなかった。励ます会の恐怖は別な場所にあったのだった。 一通り励まし合う儀式が終了すると、大部分の児童は無罪放免、そのまま帰宅することを許された。しかしながら、当番制で2人だけその後も継続して任務を遂行することになっていた。 不登校の児童を2人で励ましに行く。 なんとも信じられないことだけど、選ばれた当番の2人は何ヶ月も登校して来ない不登校児童を励ましに行くことになっていた。プリントやら給食で余ったコッペパンとヨーグルトを手に、不登校児童の家を訪問し、その子に学校であった事などを話さなければならなかった。 僕がもし不登校児童の立場なら。そんなことしなくていいから、ほっといてくれ、などと思うものだが、そんなことお構い無しに月一くらいで催され、不幸にも励まし当番になった児童が不登校児童の家を訪問していた。 ある日のこと、いつものように励まし会を迎え、ギクシャクしながら励まし合いの儀式を執り行い、針のむしろのような時間を存分に満喫していた僕。相変わらず気が重かったのだけど、それ以上に気を重たくさせていたのが「不登校児訪問」の当番が自分に回ってきてるという事実だった。ハッキリ言って死ぬほど面倒くさい。 しかも、一緒に行くパートナーが粗暴で暴力的で自己中心的なことで有名な典型的なガキ大将タイプの岡村君、考えうる限り最悪のパートナーを伴って行かねばならにことが憂鬱だった。 「あーあ、面倒だなあ、行かなくてもバレないんじゃねえ」 不登校児童、松本君の家を訪問する道すがら岡村君が気だるそうに言う。さすがガキ大将、行かなくてもいいんじゃねえ?とは大胆すぎる発言だ。 「さすがに行かないとバレるでしょ」 余り気が進まない僕は控えめに言うのだけど、それでも岡村君は止まらない。 「もうさ、行かずに帰らねえ?ヤツに持っていくプリンも俺達で食っちゃってさ、プリントなんて捨てちゃえば分かんねえよ」 とにかく「行きたくない」「面倒くさい」を連呼する岡村君だったけど、僕は知っていた。これから向かう先の松本君が不登校になった理由は、岡村君の度重なるイジメだった。岡村君が執拗に彼を虐めたことにより松本君は学校に来なくなり、不登校になったのだ。そりゃあ、虐めて不登校にした張本人だ、励ますもクソもないし、どのツラ下げて会おうっていうんだ。 「でもさ、行かなかったことがバレるとさ、またあのクソババア(先生)に怒られるしさ。行くだけ行こうよ。」 何とかなだめすかし、嫌がる岡村君を引き連れて松本君の家に行く。実は僕には少しばかりの勝算があった。それがあったから彼を引き連れて悠々とお宅訪問をしたのだった。 これまでに何度か励まし当番が松本君の家を訪問したのだが、誰一人家の人に会えた事はなかったのだ。いつも不在で、多分松本君は家にいたのだろうけど居留守を使っているらしく、いつだって不在だった。だからプリントなどを玄関に置くくらいの軽度な任務だったのだ。 「多分さ、松本君も居留守使うしさ、プリントとプリンを玄関に置くだけだよ、だから行こうよ」 どうせ誰もいないんだろ、そんな期待を抱きつつ、僕ら2人は松本君の家へと向かった。 「こんにちはー、誰かいますかー?」 インターホンという文明の利器を知らない僕らは玄関の扉を開け、大声で叫ぶ。やはりというかなんというか、家内には僕らの声がこだまするだけで誰も出てくる気配は無い。 「な、誰も出てこない。さ、プリント置いて帰ろうよ」 そう岡村君に言い、帰ろうとしたその瞬間だった。 「・・・・・上がってよ」 廊下の奥の方、遥か彼方にヌボーッと突っ立っている松本君の姿があった。元々弱々しくてか細い彼だったけど、不登校による日陰生活と相まってか陰鬱な雰囲気を鬱蒼と醸し出していた。 「よ・・・よう・・・久しぶり・・・元気?」 予想だにしてなかった松本君の登場に動揺を隠し切れず、無難な挨拶をしながら取り繕った。松本君の家に訪ねていって松本君が出てきたら驚くってのも変な話なんだけどな。 (ちくしょう、なんだって今日に限って出てくるんだ。いっつも居留守なくせに今日に限って) ホント、正直言ってそう思ってた。でもまあ、「上がれよ」って言われてるのに上がらないわけにはいかないので、僕と岡村君は大人しく靴を脱いで上がった。 自分が虐めて虐め抜き、不登校にまで追いやった相手を目の前にし、岡村君は少しバツが悪そうな顔をしてたけど、それでも上がらないわけには行かなかった。 でまあ、岡村君と2人で廊下を歩きながら松本君の部屋を目指すのだけど、ここで異常事態発生。なんかな、部屋に続く途中の階段の踊り場みたいな場所があるんだけど、そこに竹刀持ったモヒカンのお兄さんが座ってるんだよ。メジャーリーガーみたいにクチャクチャとガムを噛んでな、ウンコ座りしてるんだよ。 もうこのお兄さんが凄くてな、明らかに薬物とかやってそうな目しててモヒカン頭、しかも毛の部分が真っ赤ときてる。なんかな、マサイ族かどっかの「部族最強の戦士」みたいないでたちしてるんだよ。それが竹刀持ってウンコ座り。ハッキリ言って殺されるかと思った。 「おい、お前らか?義人を虐めたのお前らだろ」 そのマサイの戦士は松本君の実兄だったらしく、言うわけですよ。「お前らが弟を虐めて不登校に追いやったのか」と。 冗談じゃないですよ。「お前ら」とか括られても困るわけで、虐めてたのは明らかに岡村君のスタンドプレーで、僕は全然関係ないわけ。誤解されちゃかなわないから首がねじ切れそうな勢いでブルンブルンと横に振るんだけど、マサイの戦士にそんなのは通用しない。 結局な、僕と岡村君、彼の家の台所で正座させられてマサイの戦士に説教されたよ。場所が台所だけにマサイの戦士が凄い勢いで狂っててな。包丁片手に舞ったりとか皿を割ったりとか、とにかく薬物依存症としか思えない暴れっぷりで説教されたわけよ。人間ってここまで狂えるんだなって感心したもの。虐められた弟を思ってトチ狂う、麗しき兄弟愛だなって思うけどさ、さすがに包丁持ってってのはやりすぎ狂いすぎ。 な、何で僕はこんな他所の家の台所で正座させられてるんだろう・・・。 そこはかとない理不尽な想いが込み上げてくるんですけど、横で青い顔になりながらブルブル震えて正座している岡村君を見たら、そんな気持ちは吹っ飛んでしまいました。そりゃそうだ、弟が虐められてトチ狂ってる兄の目の前に虐めた張本人が座ってるんだから。 結局、その日は僕らも頑なに口を割らず、マサイの戦士に刺されることなく帰れたのですけど、帰りの道中岡村君はずっと 「やばいよ、やばいよ。俺、殺られるよ」 と青い顔して言ってました。それで次の日から学校に来なくなった。うん、なんていうか、岡村君まで不登校になっちゃったんだよね。 不登校児童、松本君を励ましに行って岡村君が不登校になる。 正に「ミイラ取りがミイラになる」だなーって思っていたのですけど、もっと感心したことがありまして。数ヵ月後に不登校を克服した岡村君が登校して来たのですけど、以前のガキ大将のような豪胆な彼の面影は見られず、やせ細って陰鬱で、目の下にデーゲームの近鉄の選手みたいなクマがある状態になってました。 うわ、これじゃあミイラじゃん。 本当にミイラみたいな状態になった岡村君を見て、やっぱ「ミイラ取りがミイラになる」って言葉はすごいなあ・・・本当にミイラになりやがった。などと思った次第であります。 結局、何が言いたかったのかといいますと、戦地の困ってる人を助けに行くボランティアってのは確かに立派なことだと思うけど、助けに行った人が助けられる立場になってしまって大騒ぎってのは本末転倒で、ミイラにならなくて良かったね、ってことが言いたかったのです。 ちなみにエロビデオを返却しに行ってまたエロビデオを借りてしまう、これも「ミイラ取りがミイラになる」。本末転倒だから。ホントよ、ビデオも無いのに何で借りてくるかな。DVDも借りたとはいえ何でかな(DVDはPCで見ることが出来る)。マジでミイラになりそうだぜ。 自分の愚かさを呪い、小学生時代の意味不明な「励ます会」、あれでもいいから誰かに僕を励まして欲しい気持ちでイッパイです。今日は開き直って高遠さんで抜くわ。 新生活というのは小さな喜びの連続です。日常のありとあらゆる場所に新しい発見があり、色々な喜びや好奇心が沸き起こってくる。少しばかり遊牧民の喜びが分かるような、そんな気持ちにさせてくれるのが新生活というものです。 ・新居の周りを散歩していたら、思ってもみない所に近道を発見した。小さな喜び、発見することの喜び。 ・自分の階下の部屋に色っぽいお姉さんが住んでることを知った。小さな喜び。毎晩床に耳をくっつけるほどの歓喜。 ・隣の部屋が毎晩夜1時になるとおセックスを始めることを発見した。小さな喜び。壁に耳をくっつける毎日。 ・家の近くにレンタルビデオ屋があるのを発見した。小さな喜び。 ・迷わずエロビデオコーナーへ。充実の品揃えに大歓喜。すぐさま入会した。通は入会するときの身分証明書に免許証ではなく保険証を使う。小さな喜び。 ・早速、大車輪のごとき勢いでエロビデオ借りまくり。レンタル料金5本で1000円という充実のプライス。調子に乗って8本も借りた。小さな喜び。 ・エロビデオは借りて帰る時が一番楽しい。早く見たいな、どんなにエロいんだろ、ワクワク。今日はもうすっごいのしちゃうぞー。まるで恋人を助手席に乗せて自分の部屋に帰るときのよう。小さな喜び。 ・家に帰って気が付いた。自分の家にはテレビも、ましてやビデオもないことに。 ・死にたくなった。 ということで、ビデオもテレビも持ってないくせにコアなエロビデオを8本も借りてしまった自分に心底落胆しましたので、今日の日記はこれでお終いです。もう、ビデオテープの色とかで抜いてやる。 ホント、小さな喜びどころの騒ぎじゃないよな。 さてさて、気候もすっかり暖かくなり、春うららかな風が心地よい季節となりました。僕のほうはと言いますと、家電品全てを盗み去っていった盗賊団(親父)から死守したパソコンをネットに繋ごうと四苦八苦しております。ADSLにするか、光ファイバーにするか、意表をついてISDNにするか悩んでおります。 そんなこんなで、全く脈略がないですが、いきなりの新シリーズです。題して「テキストサイトお宅訪問シリーズ」。普段何気なく読んでいるテキストサイトたち。往々にして管理者さんであるテキスト執筆者の方々の個性というかパーソナルな部分がクローズアップされることが多いかと思います。 テキストサイトにおいては、文章を読ませるというよりも個性の部分、つまりパーソナルを売り物して閲覧者さんを惹きつけることが多いかと思います。もちろん、文章だけで多くの人を唸らせる神のようなサイトもあるのですが、多くの場合は管理人の個性による部分が大きいのではないかと思います。 しかしながら、パーソナルを売り物にしていると言っても、そこはやはり管理人も人の子、サイトバレの恐怖やらその他諸々のしがらみにより、なかなか本当の意味での私生活というものは見えてきません。そう、個性を売り物にしつつ、私生活を見え難くしている、そういったアンバランスさがテキストサイトには多く存在するのです。 個人の考えや個人の行動、個人の生きてきた軌跡、そういったその人にしか書けないテキストを分かりやすい言葉で書いてくれるテキストサイト、管理人さん自身を身近に感じることができる、そんなサイトが大好きです。 身近に感じさせつつ、その半面でミステリアスな部分も感じる、そんな二面性をテキストサイト管理人は少なからず持ち合わせているのではないかと思います。 今回、私はサイト管理人の一員として、サイト管理人のミステリアスな部分の謎を氷解すべく、「テキストサイト管理人お宅訪問」シリーズを企画しました。あのサイトの管理人は普段どんな生活をしているんだろう?あの人の私生活ってどんなんなだろう?そういった疑問を解決すべく、ずかずかとサイト管理人の家を訪問し、あらゆる面を詳細にレポートしたいと思います。 お宅訪問シリーズの栄えある第1回目は「断崖絶壁」というサイトです。こちらのサイトの管理人「ねんまに」さんは、先のNumeriキャラバン2004関西ラウンドを同行してくれたほか、名古屋開催やドクデスにまで参加してくれるアホっぷりを見せ付けてくれました。サイトの方はといいますと「非モテ妄想系自虐童貞日記」という訳の分からないジャンルで精力的に活動されており、ネゲットしたのに10日間で振られるという伝説も打ち立てました。 サイトでは非モテを吹聴し、実際には女をとっかえひっかえ、無残に捨てた女の自殺未遂騒動が波紋を呼んだりと、サイトキャラと本人キャラとの隔絶が噂される彼ですが、今回はそんな彼のミステリアスな部分を、サイト管理人としてではなくパーソナルな部分を暴くべく、彼のお宅を訪問することとなりました。断崖絶壁のねんまに君、いったい彼はどんな私生活を営んでいるのか、とくとお楽しみください。 「おい、ねんまに。今からお前の家行くから、最寄の駅まで迎えに来て」 ある休日の昼下がり、携帯電話を手にした僕は突如彼にそう告げました。彼にとっては寝耳に水、予想だにしていなかったことで大層驚いたようです。 「ななななななにいってんですか。今からって・・・・どういうことですか?」 「どうもこうもない、行くっていってんだから迎えに来てよ。たしか○○駅だったよな」 「○○駅じゃあちょっと遠いので、XX駅で降りてください」 とまあ、訳の分からないやり取りがあり、晴れて彼の家を訪問することとなりました。 大阪府内に住む彼、某私鉄を乗り継いで彼の住まわす町に向かいます。指定されて駅に降り立つと、ちょっと年代の古さを感じさせる典型的私鉄沿線の町が広がっておりました。「ファミコンショップ」とデカデカと書かれた、今時ファミコン売ってどうするよ、とツッコミたくなるような店舗が立ち並んでおりました。 待ち合わせ場所でねんまに君と合流し、いよいよ彼の住む部屋へ。一緒に並んで歩きながら彼の部屋についてリサーチをします。 「いやー、駅から近いし便利が良さそうな所じゃないの。家賃いくらぐらい払ってるの?」 「19000円です」 圧倒的火力、圧倒的低家賃。大阪府内、私鉄駅からこれだけ近い場所にあるにも関わらず2万円を切る低家賃、普通に考えてありえません。資本主義じゃありません。「こりゃあ、途方もない部屋が出てくるに違いないな・・・」、彼の部屋へと向かう道中、まだ見ぬ地獄のような部屋を想像し、ギュッと兜の緒を締める僕の姿がありました。 彼に案内されるがままに古びた町並みを歩き、小学生ぐらいしかつかわね―だろ、と言いたくなるような近道を潜り抜けて、いよいよ彼の住まわすアパートに到着しました。 「ここが僕のアパートです」 笑顔でそう紹介する彼の背後に広がる廃墟のような朽ち果てた建物。北斗の拳に出てきてもおかしくないような佇まい。なんというかオロローンって効果音が聞こえてきそうな建物だった。 「こ、これが家賃19000円の物件・・・」 育ちの良い財閥出の僕なんか建物を見ただけで恐れおののいてしまうのだけど、そんなこと気にせずとっとこと歩みを進めていく彼。 「ここが僕の部屋です」 見ると部屋のドアにはネームプレートが貼ってあり、物の見事に彼の本名が相撲取りみたいなフォントで書かれていました。「ねんまに」とかHNを名乗ってやがるくせに部屋の前にはモロに本名、当たり前のことだけどちょっと笑ってしまいました。 しかし、部屋の中に入ってみるとさらにカルチャーショック。四畳半くらいの独房としか思えない部屋が口を開けて待ち構えてました。風呂もトイレも共同ですから別の場所にあります。つまり、ドアを開けると独房のような部屋が出てくるのみ。明らかに狭すぎる。ちょっと精神的に病んでる人なら発狂しかねない狭さ。 おまけにその部屋にテレビに冷蔵庫にコタツにパソコンに、何から何まで詰め込んでいるものだから、おもちゃ箱をひっくり返したような状態になってました。人間が入れる場所なんて布団の上のみ。8畳の部屋に住んで家財道具が何もない僕と比べたら物が多すぎです。 冷蔵庫なんてドアが閉まらないらしくてガムテープで止めてるし、テレビなんて今にも天に召されそうです。そのようなボロボロの家財道具に、家賃19000円の懲罰房のような部屋。お金がなくてさぞかし苦労している苦学生なんだろうなーと思うのですが、よくよく見ると何かがおかしい。 コタツの上を占拠する新品のハイパワーパソコン、これなんて相当高価なはずです。おまけに部屋の中を見回すとプレステにドリームキャスト、ゲームキューブなどなど、古今東西ありとあらゆる種類のゲーム機がありました。うん、金の使い方を間違っとる。部屋や家財道具に金を掛けず、ゲーム機とパソコンに金をかける。根本的になにかがおかしい。なんていうか、雑然と朽ち果てた部屋の中にある最新鋭のパソコンとゲーム機が異常なアンバランスだった。 で、家主であるねんまに君、どうやら自サイトの連続更新企画なんていうトチ狂った企画の真っ最中だったらしく、部屋に入るや否やパソコンに向かって狂ったように連続更新してました。 これだけ苦学生を地で行っている彼です、インターネット回線も「金がかかるから」という理由で貧弱なものである可能性が高いです。しかしながら、アンバランスにネットとゲームには惜しみなく金をつぎ込む彼、下手したら生意気にもADSLくらいは導入している可能性があります。 「ネットにはどうやって繋いでるの?アナログ?テレホーダイ?まさかADSLとか?」 と尋ねましたところ、 「光ファイバーです」 という驚愕のコメント。この部屋にファイバーだなんて。どんだけアンバランスやねんと。どんだけネットに狂ってるねんと。 彼がネットとゲームに狂い、それだけに金を注ぎ込んでいることは理解できました。次に、彼の部屋の片隅にある本棚を見ることにしました。本棚に並べられている本を見ればその人の人格が分かる、なんてよく言われることです。早速、並べられている本を見ました。 まあ、マンガ本がギュウギュウにつまっていて、それに混じってフランス書院などのエロ小説が微量だけ存在していたのですが、中でも目を惹いたのが「こち亀」の存在。 「こちら葛飾区亀有公園前派出所」通称「こち亀」という週刊少年ジャンプで連載されているご長寿マンガの単行本が並べてありました。もう140巻ぐらいまで単行本が出ている化け物みたいなマンガなのですが、その単行本がシッカリと彼の本棚に鎮座。 「お、こち亀あるじゃん、全巻集めてるの?」 「いやー集めようかと思ったんですけど、途中で挫折しちゃって」 見ると本棚には飛び飛びで単行本が並べられていました。 1巻、3巻、8巻。 どういう買い方をしたらこんな飛び飛びになるのか理解できないですけど、それ以上に驚愕したのがその後に続く単行本でした。 1巻、3巻、8巻、120巻。 8巻から120巻にいきなり飛んでました。8巻と120巻の間、彼に何があったのか、そればかりが気がかりでした。というか本当に全巻揃える気だったのかよ。 「これ食べます?」 気を使ったのか、ねんまに君が棒状のゼリーを差し出してきました。駄菓子屋でよくありそうな原色バリバリの食ったらガンになりそうな駄菓子。しかも30本入り。このようなものを客人に出す時点で何かがおかしいと思うべきです。 その後は「連続更新なんてどうでもいいよ」という彼と桃鉄をプレイしたり、宅配でピザを注文したのですが、机の上には容積率700%くらいでパソコン様が鎮座しておられたので食べる場所がなく、布団の上にピザを広げてストリートチルドレンみたいに食ったりしました。 で、その後は狭い部屋で完全なる雑魚寝。始発ぐらいの時間に目が覚めた僕は、ぐっすり眠る彼を横目にエロ本捜索をしたりして部屋を後にし、始発で帰りました。 異常にアンバランスな彼の部屋、朽ち果てているくせに高価な品物があったり、光ファイバーだったり、こち亀の単行本の揃え方がおかしかったり。このアンバランスさが狂気へと変わり、彼の生み出す文章のクレイジーさを演出しているのではないかと思いました。 そうそう、サイトでは非モテで売っている彼でしたが、部屋の壁には女子高生とキスしているプリクラやらホテルでプレイしている写真やハメ撮り写真が飾ってありました。しかも全部違う女性、みんなけっこうカワイイ。サイトでは非モテのくせに実際にはプレイボーイ、それが一番のアンバランスでした。 サイト管理人の私生活をクローズアップする「テキストサイトお宅訪問シリーズ」。次回はあなたの家にお邪魔するかもしれません。 まあ、この春から新生活を迎えたのは僕だけではないと思います。多くの方が進学や就職や転職、転勤や左遷やリストラや離婚などで新しい生活を迎えたことと思います。 新しい環境で心機一転、ブリバリ頑張るぞーって思ってる人もいるでしょうし、早くも困難に直面し、もう辞めたい、田舎に帰りたい、などと思っている人もいるかもしれません。中には、新しい環境の寂しさに耐え切れずホームシックにかかっている人もいるかもしれません。 苦しい人も沢山いるでしょう。辛い人もいるでしょう。新生活に戸惑っている人もいるでしょう。けれども、もう少しだけ頑張ってみることお薦めします。全てを投げ出し、辛い状況から逃げ出すことなんて簡単です。でも、それじゃ余りにも悔しいじゃないですか。もう少しだけ、もう少しだけ頑張ってみる。そうすることで何か道が開けるかもしれません。なにはともあれ、頑張れ、フレッシュマンたち。 そんなこんなで、僕もこの春に転職をし、てんやわんやの引越しを経て新天地で新生活を迎えたわけで、紛れもなくフレッシュマンであるわけなんですが、ここでちょっと僕の新しい仕事や新生活について書いてみようかと思います。 僕の新しい仕事は、これまでの仕事と内容自体は大きく変わっていないのですが、周りの環境が大きく変わりました。なんというか、これまでは同じオフィス内にB子やらヘルスズキやら、わけの分からないバカな同僚が山のようにいたのですが、今度は僕1人です。 そう、15畳くらいありそうな広大な個室を与えられ、中国の皇帝が使っていそうなゴージャスなデスクにポツンと座って仕事をしています。今まではチンコみたいな頭をした同僚やバカな同僚、筋肉女に囲まれてワイワイと仕事をしていたのですが、急に個室に移されて弱っています。前の職場ではあれだけ頑張って職場オナニーをしようと画策していたのに、今では個室なので楽勝、鍵さえ閉めれば職場オナニーし放題です。それは喜ばしいことですが、やはりなんか調子が狂う。 しかも、これまでの職場は比較的フランクな服装でよく、カジュアルな服装で仕事をしたりしていました。夏なんか短パンだったからな。どういう職場やねんって話なんですけど、今の職場にはそれが皆無。もう暗黙の了解で毎日スーツを着用することが義務付けられています。なんというか、毎日スーツってのは思ってた以上に苦しい。 おまけに、ありえない豪放なやり取りで住む部屋を決めたものですから、職場からアパートまでが異様に遠い。遠いとかそういったレベルではなく、もう既に住んでる場所と職場が別の自治体ですから、車で片道40分かけて通勤したりしています。面倒な時は高速道路を使ったりしてます。 そんなこんなで、これまでの環境とは全く異なっており、僕も戸惑いを隠せないのですが、それでもまあ、何とか頑張ってモリモリと仕事をこなしております。そう、新しい環境に戸惑う事は当たり前、それでも前向きに頑張る。それが大切なんだと思います。 新しい職場、与えられた僕の個室でカタカタとパソコンに向かって仕事をしていたところ、なんか個室に備え付けのパソコンが火を噴いて昇天しました。元々は白いボディをしていたようなのですが、月日の経過によりまっ黄色、しかもWindows95とかで、起動するのに8分くらいかかっていたので嫌な予感がしたのですが、僕が使い始めて1時間もしないうちに天に召されました。 「すいません、パソコンが壊れちゃったんですけど」 すぐさま別の部屋で仕事をしている上司にあたる人に相談しましたところ、 「ああん?もう壊したのか?ハッキリ言って新しいの買い与える予算はないから。自分でなんとかしろよ」 などという、アメリカのビジネス界みたいなセリフを吐かれました。前の職場の上司は・・・厳しいけど・・・優しかったのにな・・・。 パソコン壊れちゃったし、終業時間になったし、こりゃ仕事にならねーわー、と夕方くらいに車を走らせてアパートに帰宅しようと思ったのですが、いきなり上司に怒られて心底ブルーな僕、とてもじゃないが片道40分もかけて帰るほどの元気はありません。 「よっしゃ、今日は高速道路で帰ろう」 一般道で40分かかる道のりも高速道路を使えば20分足らず。ホント、高速ってのは素晴らしいものだと思います。この高速道路を使って元気に帰ろうと意気揚々とインターチェンジに向かいました。 それでまあ、見慣れない景色を眺めながらブボーンと高速道路を爆走、我がいとしのアパートめがけて走っていたのですが、ここで異常事態発生。うん、ちょっと信じられない、途方も無い緊急事態発生。 いやな、車のブレーキが効かねえの。 高速乗る前から今日はブレーキの効きが甘い、なんか踏んでも手応えが甘い、とか思ってたんだけどさ、高速道路に乗って最高速度で巡航中に完璧に効かなくなってな。もう、踏んでも手応えってヤツがないのよ。スカスカ。ブレーキペダルがただの飾りとしてぶら下がってる状態だった。 もしかしたら僕の命を狙う国際的犯罪シンジケートがブレーキに細工をして僕を亡き者にしようと画策して、とか考えるんだけど、そういうことは微塵もありえなくて、ただ単純に車の老朽化の問題だと思う。 たぶんな、全国キャラバンで1万キロ以上走ったのが良くなかったんだと思う。元々ガタが来ている車をさらに酷使したわけなんだから、ブレーキぐらい効かなくなって当然、むしろ何も起きない方がおかしい。 でまあ、100うんキロで走行中にブレーキが効かなくなるもんだからさ、僕はもうたちまちパニック。パニクルーよりパニックになっちゃってさ、キョエー!とか叫びながらブレーキ踏むんだけどさ、やっぱスカスカでさ、全然減速しやがらねえの。ハッキリ言って死ぬかと思った。 なんとか命からがら、エンジンブレーキとサイドブレーキを駆使して僕のアパートまで帰ってきたんだけどさ、ブレーキが効かないから車庫入れが難しくてな、モロに電柱にぶつけちゃったわけよ。 でまあ、いくらなんでもブレーキの効かない車を通勤に使うわけにいかないじゃん。だからさ、修理工場の人に電話してさ、レッカー車っていうの?あれで車を持って行ってくださいってお願いしたの。 電話もしたし、レッカー車が来るまで部屋で待ってようかなーってアパートの階段を昇ったんだけど、そしたらアパートの前に世紀末覇者みたいなヤンキーがアンパンでもやりそうな勢いでたむろしてやがったの。で、僕の顔を見るや否や 「てめー、誰に断って五番に停めてるんだ。あそこは俺のスペースだぞ」 とひどくご立腹しておりましてな。僕は不動産屋の人に5番に停めるように言われて停めてたんですけど、そこは彼のスペースだって言ってきかんのですわ。 「殺すぞ、早くどかせ!」 ブレーキが効かないので車を動かしたくないんですけど、それよりなにより、僕は言われた通りに5番に停めただけで移動させるいわれがないんですけど、殺されちゃかなわないので素直に移動させましたよ。 移動させる際に、後ろの方で仁王立ちして見ていたヤンキーをブレーキが効かないという理由で轢いてやろうかと思ったんですけど、それをやったら稲垣メンバーなのでやめておきました。 でまあ、そうこうしているうちに修理工場のオッサンがレッカー車でやってきたので車を運んでもらい、僕も車がないと困るので一緒にレッカー車に乗ってついていきました。 そしたら修理工場のオッサンが僕の車を見ながら言うんですよ。 「あんた、これ、ブレーキパッドが磨り減ってるとかの問題じゃないよ、これ、ブレーキパッドがないよ。跡形もなくなってるよ。よくこんなので走ってたわー」 とまあ、烈火の如く怒りながら言うんですわ。もう、身振り手振り、パントマイムみたいになりながら言うんですわ。上司に怒られ、ヤンキーに怒られ、修理工場のオッサンに怒られる。もう僕は半泣きになってました。 結局、車の方はブレーキパッドの交換だけでは終らず、その上の方の部品まで逝かれてしまっていたらしく、長期入院、高額の修理代になるとのことでした。敷金礼金を払ってしまって金が無い、おまけに家電品も買い揃えなきゃいけないのに、かなりの修理費になるそうです。 もうどうしたらいいかわかんねえよ・・・。 半泣きになりながらアパートに帰り、スーツを脱ぎます。このまま何もかも忘れて眠りたいところですが、そうは問屋が卸しません。 僕は今までカジュアルな服装で仕事をしていましたからスーツってものを一着しか持ってないのですよね。そう、キャラバン中に鹿児島で購入した5万円のスーツ一着しか持ってないの。前に持ってたヤツはアイロンがけに失敗して天に召されたからな。 それでまあ、間違いなく一張羅ってヤツを毎日着て行って仕事してるんだけど、やっぱさ、シャツだけは綺麗なもので仕事したいじゃん。でも、シャツも2着しかないやん。たった2着しかないやん。だからさ、家に帰ってから洗って干してさ、明後日も着なきゃならんわけよ。そう、ローテーション投手が二人しかいない状態で着回さなきゃいけないわけ。 洗って着るって簡単に言うけどな、親父の手によって洗濯機を奪われた僕には大問題でな。もう洗う術がないんだよ。洗濯機が無いって大変なことだよ。それでまあ、毎日毎日流し台で手もみでシャツを洗ってな、オシンみたいになりながら洗濯してるわけよ。 でまあ、洗い終ったし後は乾かすだけだぜーってベランダに出て一枚だけシャツを干したんだけどな、干した瞬間に強風に煽られてシャツが飛んでいってなぁ・・・。もう、それはそれは見事に巣立ちする鳥みたいに見事に飛んで行ってなぁ・・・。2枚しかないシャツの1枚を失っちゃったわけ。何も無い部屋の中央で泣きそうになったわ。 おまけに、車が入院しちゃって無いもんだから、電車とバスを乗り継いで通勤しなくちゃいけなくてな、異様に乗り換えの接続が悪いもんだから2時間以上かかるんだわ、これが。ということで毎朝5時起き。 パソコンぶっ壊れ、車ぶっ壊れ、シャツが飛んでいく。上司に怒られヤンキーに怒られ、修理工場のオヤジに怒られる。オマケに連日の5時起き。職場に行ったら独房みたいな部屋で仕事。もうボランティアの人の介護が必要なくらい不遇な僕で、新生活が辛くて辛くて仕方ないのですが、もう少しだけ、もう少しだけ頑張ってみようかと思います。 今日が頑張れたら明日を、明日を頑張れたら明後日を、そうやって少しずつ少しずつ頑張っていこうかと思います。た、たぶん頑張れるよな・・・。たぶん。 ということで、この春新生活を始めたフレッシュマンの皆さん。共に少しずつ頑張っていきましょう。 いつの間にか400万ヒットしたみたいです。皆さんありがとうございます。こんなサイトがどこをどうやったら400万ヒットもするのか不思議で仕方ないのですが、多くの方に見てもらえるというのは嬉しいものです。 400万というとそれはそれはスゴイ数字で御座いまして、例えば400万人とおセックスすると考えてもらえれば分かりやすいかと思います。400万のフレッシュな女性とおセックス、気に入った娘とは2度3度しますから、ざっと500万回くらいはしなければなりません。 日本人男性の一回のおセックス時の平均ピストン回数は80回とする研究結果から推算しますと、4億回ほどピストン運動をしなければなりません。そりゃあ腰だって砕けますし、チンコだって取れるというものです。 ということで、そんな喜ばしい400万ヒットを記念しまして、久々に記念企画でもしてみたいと思います。 記念企画をするに当たって、何か目新しい企画でも提案してみようかと思ったのですが、「ヌメラーから400万本陰毛を集める」とか「400万円借金してきて豪遊する」とかロクな企画を思いつかなかったので、普通にラジオをしてみようかと思います。題して 400万ヒットありがとう企画 「ぬめぱと変態レィディオ-ADSL開通記念スペシャル泥酔ラジオリローデッド-」 昨年のクリスマスの悪夢再び、泥酔ラジオが帰ってきます。酒に弱いことで有名なpatoが酒を片手にラジオ放送。放送事故を超越した素晴らしいライブが聴けるのではないかと思います。うん、新天地の地酒とか、強い酒とか、各種用意して放送に臨みたいと思います。 気になる放送内容は 「僕の私の最高のオナニー」 「お酒で失敗した体験談」 「patoさんラジオ相談室」 「全国キャラバンのお話」 「ぬめり本通信販売のご案内」 「お母さんとお父さんのおセックスを見ちゃった人大募集」 と盛り沢山になっております。まあ、この企画の半分は酔いつぶれてしまって忘れていると思いますが。 ということで、およそ4ヶ月ぶりに帰ってくる伝説の泥酔ラジオ、酔っ払いを温かい目で見ることができる大らかな人は聞いてやってください。 放送日時は未定、我が家にADSLが開通してからになりますので、おそらく4月中旬から下旬になるかと思います。 やはり僕かて人間であることは当然なので、感情の起伏があるのは当たり前。苦しい時も悲しい時も寂しい時も喜ばしい時も、いつも僕の思い出のワンシーンの中にはこの部屋があった。 今時、時代遅れのボロアパート。時代錯誤も甚だしい造りに圧倒的に劣悪としか言いようのない立地条件。誰しもが驚く低家賃。そして、ちんどん屋の行列の如く奇妙奇天烈な住人達。借金から逃げてそうな老夫婦や幼女を誘拐してそうなデブオタ、宗教にどっぷりはまってるヤツやカブレラなどなど。そうそう、出会い系サイト架空請求の本拠地みたいな事務所が丸ごと越して来たこともあった。 そんなありえないアパートだったけど、それでもやっぱり僕にとってはそこがマイホームなわけで、プライスレスな思い出が数多くこの部屋に同居していた。最底辺で必死にもがき苦しみ、それでも生きていく僕を、この部屋はずっと見ていた。 何年間も苦楽を共にし、共に戦ってきたマイルーム。戦友と過ごす最後の夜があける。昇る朝日が色褪せた畳を明るく染め、戦い疲れボロボロになった彼の姿を顕著に見せ付ける。 「ありがとう、何年間もありがとうな。僕は遠くに旅立って行くけど、この部屋のことは一生忘れない。異様に閉まりの悪い玄関ドアも、結露が酷く、カビだらけになる君のことも、僕は一生忘れない」 戦友にそう別れを告げ、涙を堪えて袂を別つ。そんなクールドライブメーカー並にクールな部屋との別れを、旅立ちの時を、部屋で過ごす最後の朝を迎えるはずだった。そう、男の旅立ちにふさわしい、そんな朝を迎えるはずだった。 けれども実際にはそんなカケラすら微塵も存在せず、全てを運び出してしまった部屋の中央に寝転がり、まるでミノムシのようにカーテンに包まって「寒い寒い」と連呼する小汚い男の姿だけがあった。なんというか、クールな朝には程遠い。その前の日の朝なんて雨の中泣きながらエロ本を縛ってたからな。 そんなこんなで、約束どおりに朝10時には不動産屋からの刺客が引き渡す部屋のチェックにやってくることになっていたので、唯一清掃の済んでいなかったトイレ掃除を敢行。便器にこびりついて地層みたいになっている糞尿を涙目で剥ぎ取っていました。さすがに、こんな古代遺跡みたいな汚い便所を不動産屋に見せるわけにはいかない。 「こんにちはー、不動産屋のものですけどー、部屋のチェックに参りました」 聞き覚えのある声が玄関から響く。「大家さんのほうから家賃が振り込まれていないという連絡を頂いたのですがー」と月初めになるといつも電話してくるあの女だ。家賃滞納常習者の僕が出て行くことを一番喜んでいるのは彼女かもしれない。 「あー、どうもどうも」 そう僕が挨拶しながら玄関へと躍り出ると、そこにはスーツを着たキューティクルな女性が立っていた。おまけに爆乳、推定でGはあろうかという高ポテンシャルな女性が立ってた。一見すると大人しめで地味な印象を受ける彼女なのだが、その胸についた二つの兵器が彼女のポテンシャルをふんだんに語っている。 ハッキリ言って、大人しめの女性のスーツ姿ってヤツは最高だ。そこから受ける清楚な印象や知的な印象、そしてそこはかとないアダルティーな雰囲気、どれをとっても僕の好みにストライク。大人しめ女性のスーツ姿、下手したらセーラー服やナース服などの定番コスチューム、いや、裸やマワシ姿すら凌ぐ究極のコスチュームかもしれない。おまけに爆乳。 「なんてこったい、こんなステキングな女性が相手なら、もっと素直に家賃を払っておくべきだった」 などと、意味不明にこれまでの所業を後悔したりしたのだけど、別に僕が素直に家賃を払ったところで彼女を手篭めに出来る訳でもないので「別にいいや」などと思った次第なのでした。 そんな僕とは無関係に、づかづかと部屋に上がりこんでチェックを始める不動産屋の女性。畳や壁紙の汚れ、施設の破損状態などを見てチェックリストに記入していくのだけど、改めて見るとこの部屋は酷い。 畳なんてラーメンこぼした汁やらジュースやらで蒙古斑より酷い状態になってるし、壁紙なんて幾年のタバコで真っ黄色、おまけに所々剥がれている。それどころか月のクレーターのように穴が空いてやがる。アナルみたいな穴が相手やがる。おまけに玄関のドアは壊れてるしな。 もうなんというか、このキューティクル女性にそういった部屋の汚点を順々にチェックされていく、これがもう得もいえぬ快感。ああ、あんな汚い場所を彼女が見ている、ああ、便器にこびりついた「何か」を彼女が見ている。羞恥プレイとかそういったものに類推される快感だと思う。あちこちチェックされながら独りで悶えてたもんな。 「破損と汚れがすごいですね。大家さんと相談になりますが、おそらく敷金ではまかない切れません。結構な額の追加料金を請求することになりますので引越し先を教えてください。請求書をお送りしますから」 妄想を膨らまし、頭の中で彼女を裸にひん剥いて「不動産屋の女-部屋のチェック中に犯されました-もう許してください敷金礼金は体で払います」という三文エロビデオ的ストーリーを考えていたというのに、不動産女は冷徹なる一言。「もっとかね払うことになると思うから」というクールでドライな一言。お前はアメリカのビジネス界か。そんなこと言わんでいいから乳の一つでも出せと。 「すいません、じゃあ請求書はこっちに送ってください」 ヘタレな僕は、この世にこれだけ謝る人がいるのだろうか、といった勢いで平謝りし、「まだ新住所が決まっていなから・・・」とだけ言って携帯電話の番号だけを教えるのでした。これから引っ越すのに、新住所が決まってないとか、彼女もすげー驚いてた。というか、絶対に夜逃げだと思ったに違いない。 さあ、これで不動産屋との部屋の引渡しもケリがつき、あとは新天地に向けて車を走らせるだけ。長く辛く苦しい、ありえない引越しで、家電製品を全て失うことになったけど、それでもやっとこさ新天地に行くことができる。これでニューライフは約束されたようなもの。やればできるじゃないか、よし、さあいこう、僕の新天地へ、と決意し、不動産女にお別れを言って部屋を出ようとしたその瞬間でした。 「私、さっき下のゴミ捨て場を見てきたのですけど、あれはpatoさんのゴミですか?でしたらあの状態ではゴミ回収車が回収してくれませんので、きちんと綺麗にゴミを積み上げておいてください」 などと、またもや冷徹なる一言。そういうのはいいから乳の二つでも出せと。そう言いたくなるようなドライな一言。まさに一刀両断。ホント、下手したらゴミにまみれてコイツをレイプしていたかもしれん。今から旅立とうと言うのに、モロに出鼻を挫かれたからな。 でもまあ、ヘタレな僕は彼女をレイプするわけでもなく、何も文句を言うわけでもなく、ただただ乱雑に散らかっているゴミ捨てブースを黙々と片付けるのでした。うん、僕以外の人が捨てたゴミとかまで片付けさせられた。サボって逃げよう、引っ越しちゃうしいいよね、とかも思ったのですが、20メートル先で不動産女が鬼の形相で仁王立ちしていたため、そういうことも全く出来ませんでした。もう死にたい。 小一時間ばかり悪臭と戦い、なんとか許してもらえるレベルまでゴミ捨てブースも片付きました。で、不動産女と「お世話になりましたー」「はい、ありがとうございましたー」なんていう心の片隅にもないような感謝の言葉を述べ合いお別れ、やっとこさ長く住んだこのアパートを後にするのでした。 車に乗り込み、エンジンをかける。何千回も駐車した駐車スペースも今日が最後。フロントガラス越しに二階を見上げ、自分の部屋だった場所の窓を眺め。部屋に向かって最後の挨拶をするのでした。 高速道路をひた走り、ひたすら新天地めがけて運転します。車の運転は基本的に好きなのですが、それでも数日前まで行っていたNumeriキャラバンの影響か、ちょっとばかり飽き飽き。そりゃあ、ブリブリと日本全国を運転していれば飽きるわな。 あとまあ、もう一つの問題点としては、家電品は全部親父の手によって盗まれてしまったのだけど、それでも小物のダンボールはこの車に満載になってるわけで、もう運転席以外は全てが荷物という状態。もうバックミラーどころかサイドミラーも見えない状態だったからな。しかもな、カーブとかになるとゴロゴロンと上のほうに積んでた炊飯器とかが落ちてくるんだわ。運転している僕の頭を直撃したりしてな、痛さに悶えながらドライビングとかしてた。 そんなこんなで、数時間に及ぶドライビングを経て、いよいよ新天地へと到着。到着した時にはもうどっぷりと夜になっていました。ここでめくるめく僕の新生活が始まる、そう思うと自然と胸が高鳴ります。 早速、電話によってありえない部屋探しをした不動産業者を探し、そこを訪れます。「すぐに入居できる物件なら何でもいい、他は関係ない」、かつてないほど豪放な交渉をし、不動産会社が勧めるがままに部屋を決定、あとは契約だけという状態になっていました。時間さえあれば「出窓がついてないとやだ」とか「異常な住人がいないアパート」だとか「デフォルトで光ファイバーがきてるとこ」だとか「バルコニーは英国風で」だとか、心躍る部屋探しをしたんですけど、あいにくそんな優雅な引越しをしている暇なぞありません。 「こんにちはー」 やっとこさ不動産会社の場所を探し当て、ビクビクしながら担当の方に話しかけました。 「あ、昨日の電話の方ですねー、書類は全部準備できてますよー、すぐにでも入居できますので」 「いやー、よかった。僕、明日から新しい職場で仕事なんですよね。部屋がなかったらどうしようかと思った」 満面の恵比須顔の不動産屋店員。広島で僕を徹底的に苛め抜いたセクシーダイナマイト不動産屋店員も彼の愛想の良さを見習うべきです。うん、こっちの不動産屋はなかなかシッカリしてるじゃないか。僕の要求を見事にクリアしてるじゃないか。これでフレッシュな新部屋ライフが送れる、どうなることか不安だったけど、これでやっとこさ新生活が始まる。とか思ったんですけど 「じゃあ、敷金と礼金、一か月分の家賃、火災保険と鍵の交換料、あと仲介料を合わせまして31万円いただけますか?」 というビジネスライクな不動産店員の言葉。なんかすげー金が必要みたいです。現金を20万円程度しか持っていなかった僕は契約することが出来ず、ただただガックリと肩をうなだれながら 「すいません、明日またお金持ってきます・・・」 と言い残して不動産屋を去るのでした。即日入居できる物件を用意しろ、とスパークしておいて、敷金礼金払えずで即日入居できず。ホント、ボランティアの方々の手によって大きい病院に入れられてもおかしくないくらいボケが進行しているとしか思えません。 車の中にパンパンに詰まった荷物を抱え、あてもなく、何の土地勘もない新天地の夜の町並みを走る寂しげな男の姿だけがありました。うん、引越しって辛いもんだな・・・。 結局その日はホテルに宿泊し、ホテルから新職場に初出勤、なんていう大名みたいなことをやっちゃったわけですが、仕事が終わってからお金を工面し、不動産屋で正式契約、入居、となりました。 入居の時に初めて自分が住む物件を見たのですが、なんか僕の住むアパート、駐車場にやたらヤンキー的な改造車が駐車されてるんですよね。うん、アパートの駐車場がシャコタンブギみたいな状態になってた。すげー先行きが不安だ。 それでまあ、初仕事で疲れてる体に鞭を打って、車の荷物を部屋に運び込んだのですけど、やはり親父に家電製品を全て奪われたのが痛く、日用小物や洋服などが部屋の隅にポツンとあるだけの状態になってました。 辛い引越しさえくぐり抜ければ、心躍る新生活が待っている。僕はどんな素敵な部屋に住むんだろう、えへへ、引っ越したらオシャレなソファーとか買っちゃおう、そうだ、張り切って毎日自炊とかしちゃおうかなー、などと僕なりに新生活に夢や希望を持っていたのですが・・・。 実際には、何もない、ただっ広いフローリングの部屋の中央に体育座りをし、「そういや車に載りきらなかったダンボールも親父に持っていかれたんだ、あれにはエロビデオが入ってるんだけどなあ・・・まあ、エロビデオだけあってもビデオも、ましてやテレビもないから関係ないんだけど・・・」などと思ったりする、夢も糞もない新生活が始まったのでした。 何も知らない街のチンケな夜景、窓から差し込むその光だけが僕を照らし、「引越しとはなんと辛くて切ないものなんだろうか」などと泣いてしまう僕の姿がありましたとさ。 あ、あと、親父の持ってきた魚が腐敗を始めたらしく、部屋の片隅で腐臭を放ち始めていました。うん、新居なのにいきなり腐った匂いとかこびりついた。 引越し戦線異常あり-おわり- ということでNumeri新天地編が始まりました。新生活に慣れるまで更新頻度が落ちるかもしれませんが、温かい目で見守ってやってください。 4/2 引越し戦線異常あり-中編- とある方に言われました。「クロネコヤマトのCMなどを見ていると凄く優雅な引越しに見えるんですけど・・・」などと。なるほど、確かにその通りです。引越し屋に頼み、梱包から積み込み、運搬に至るまで全てやってもらう、確かにそれは楽だと言えます。 しかしながら、そには当然ながらお金と言うものが発生します。それに見ず知らずの他人の手が加わることによる羞恥心と言った問題もあります。そう、大量の産業廃棄物のごとく溜まりまくったエロ本の山や、各種エログッズ、貰った女子高生の制服に至るまで、僕の私生活全てが他人に見られてしまう。さすがにコレ、いささか恥ずかしいものが御座います。 それに、なんというか人間の温かみがないじゃないですか。自分で苦労して梱包して運搬する。エロ本を縛ったヒモをエロ中学生に解かれて泣きそうな思いをする。予想だにしなかった古の物品を発見し思い出に浸る。自らの手による引越しにはこういった暖かさがあるのですよ。 親父がわざわざ田舎からトラックで出てきてくれて、仕事まで休んで引越しを手伝ってくれる。そういった親子愛というかなんというかの人間ドラマもありますし、苦労はするものの、やっぱり自らの手による引越しはいいな、そう思うのです。お金もあまりかからないしね。 そんなこんなで、まっこと苦労した僕の引越し話の続きです。前回は現代の使い捨て文化の象徴の如きゴミの山(主にエロ本)をなんとか処分し、親父が到着するまでに引越しの体裁を整えることにしました。やってきた親父は、、これから息子が引っ越そうとしているというのに、それはそれは立派な生魚を発泡スチロール4箱も持ってきやがりまして、「お前、料理して食え」などとおっしゃっていました。彼は手伝いに来たのか邪魔しに来たのか、全く持って謎で仕方ありません。 「とにかく荷物を運び込もうや」 とりあえず荷物のことは置いておき、先ほどまとめた荷物をトラックに積み込もうと促しました。このまま生魚に驚愕しているだけでは、いつまで経っても引っ越せません。 「じゃあな、大きな家電品をワシのトラックに積み込め。で、お前の荷物とか衣服とか、当面必要になりそうな小物をオマエの車に積み込め」 何故だか知りませんけど、親父はそう指示しました。僕としては大物家電品も小物も親父の車に積み込み、親父はトラックに乗って新天地へ、僕は自分の車に乗って新天地に向かう計画でした。しかしながら小物と大物を分けて乗せろという親父の指示、全く持って訳が分かりません。 「なんでよ?全部トラックに乗せればいいじゃん」 「ダメだ、分けろ」 僕も必死で反論するのですが、詳しい事情説明は一切なし。全く持って取り付くしまがありませんでした。彼は言い出したら聞かない性質ですし、こんなことで口論していてはいつまで経っても引っ越せません。とにかく親父の言う通りに小物を僕の車に積み込むことにしました。 しかしながら、ここで問題が一つ。僕の車の車内はNumeriキャラバン終了時の時のままなのです。そう、全国で皆様から頂いたお土産や差し入れの数々(食えるものは食っちゃいました)何をトチ狂ったのかコアなエロ本やバイブ類など、それはそれは見るも無残な物品で溢れかえっているのです。その量たるや相当なもので、とてもじゃないがここに小物とはいえ引越し荷物が積み込めるとは思えません。 「じゃあ、積み込めるように車の中を片付けるわ」 すげーめんどくせー、と思いつつも、渋々と後部座席を片付ける僕。キャラバンで全国を回った際に貰ったバイブやらバスケのユニフォームやらストッキングやら生理用品やらアナルに出したり入れたりして楽しむボールやら、おおよそ正常な人間の所有物とは思えないものがボコボコ出てくる始末。一体どんな車やねん、と自分で自分にツッコミを入れつつ片付けました。 「おい、まだ片付かないのか。一体どれだけ散らかしてるんだ」 そこに痺れを切らした親父が歩み寄ってきます。そりゃ、はるばる遠くから引越しを手伝いに来て待ちぼうけくらったんじゃ彼だって怒ります。その怒り、ごもっとも。まあ、それは良く分かるんですけど、問題は別の場所にあって、親父が片付ける僕の横にやって来た時にですね、ちょど僕はイボイボつきの極悪なバイブをビニール袋に今まさに押し込まんとしてる時でしてね、なんというかモロに見られちゃったんですわ。なんか親父、どう反応していいのか分からないといった複雑な表情をしてた。 僕が高校生だった頃、タバコを吸ってる姿を親父に目撃されて殴られたことがありました。僕が高校生だった頃、クラスの女子と放課後に歩いているところを4トントラックに乗った親父に目撃されたこともありました。他にも数え上げたらキリがないほど色々な姿を親父に目撃され、幾多の辛酸を舐めてきたわけなんですが、もうなんというか、バイブを必死で袋に詰める姿ほど情けないものはなかった。引越しとかそういったものを超越し、人生自体がどうでもいいものになりつつあった。 そんな悲しき親子のすれ違いを乗り越え、いよいよ引越しが始まる。大型の家電品を親父のトラックに積み込み、生活雑貨の詰まった小物ダンボールを僕の車に積み込む。なんとも気の遠くなるような作業だが、昨晩の涙のエロ本捨てのことを考えれば軽い軽い。それに二人掛りだからなんとかなりそうだ。 「ワッセ、ホイセ」 奇妙奇天烈としか思えない親父の掛け声を受けつつ、なんとか二人で協力して家電品をトラックに積み込む。冷蔵庫にテレビ、電子レンジに洗濯機、他にも大物の棚とかを積み込む。あまり大きなトラックではなかったので、瞬く間に親父のトラックの荷台は満杯になりました。 で、次は小物ダンボール。小物とはいえ、さすがに生活用品を詰め込んだダンボールなのでその数はなかなかのもの。なんとか必死で僕の車に積み込んだのだけど入りきらない箱がいくつか。これはもう仕方ないので親父トラックのほうに乗せたのでした。 さて、これで部屋のほうは空っぽになりました。数時間前まで極度に日常だったこの部屋を鑑みると、ここまで引っ越し体制が整ったのは奇跡とも言えます。もう怖いものなんて何もない。引越しでも何でもかかってこんか。 とか思うのですけど、僕はふと我に帰り、「まだ新天地での新居が決まっていないんだった」ということを思い出したのでした。うん、出て行く体制は整ったのだけど、無残なほどに受け入れる先が決まってなかった。 「おまえ、引越し先での部屋は決まってるのか」 「当たり前、決まってるよ、ハハハハハ」 引越し先が決まっていない、なんて言ったら親父に殺されかねませんので、最初に合流した時に僕はこう答えたのでした。こんなことを言ってしまった手前、親父の目の前で大っぴらに部屋探しをするわけにはいきません。 荷物の積み込みが終わり、必死なまでに部屋の掃除をしている親父を尻目に部屋を抜け出し、僕はあらかじめ調べておいた引越し先での不動産会社に電話をしたのでした。そう、まるで人目をはばかるかのように部屋探しを始めたのでした。 「はい、○○不動産です」 「あ、すいません、部屋を探してるんですけど・・・」 「はい、どんな物件がよろしいでしょうか?」 「えっと、とにかくすぐに入居できる物件です」 「はあ・・・他に条件などは・・・」 「ありません」(きっぱり) 「・・・でしたら、○○町にある物件で家賃はXX万円のものがあるのですが」 「じゃあそこでいいです。今日行きますので用意しておいてください」 かつてないほどに豪放な部屋探し。間取りとか立地条件とか関係なし。部屋の下見とかそういったもの皆無。もうなんというか、下手したらギネスに乗るかもしれないほどに豪快な部屋探しです。不動産屋の人もさぞかしビックリしてました。こんな部屋探し、やまだかつてない。 さあ、これで引越しの体制は整いました。異常に大変な引越しでしたが、出て行く準備も完了、受け入れ先の部屋も決まりました(どんな部屋かは知りませんが)。あとはトラックと僕の車で連なって新天地に向かうだけです。意気揚々と親父が掃除している部屋に戻りましたところ、そこには驚愕せざるを得ない信じられない光景が広がってるのでした。 いやな、親父のヤツ、掃除の手を中断してぬめり本を熟読してた。 (注:ぬめり本-思い出話を中心にNumeri日記をまとめた自費出版本。つまらない、21世紀最大の悪書との評判高し。当然ながら親父ネタ満載の本) うん、売れ残ったぬめり本を5冊ほど空になった押入れに置いてたんだけど、親父のヤツがそれを発見して読んでやがった。ぬめり本を買って読んだ人なら分かると思うんだけど、最初の話が「嵐の中で」っていうモロ親父ネタなんだけど、それをかなりの勢いで熟読されてた。もう死にそう。 まあ、親父は不気味なくらいに無反応で、著者が他でもない自分の息子だと気がついたのか、そもそも何も気がついていないのか知らないけど、なんとも微妙な反応を見せてくれてました。 バイブやらぬめり本やらを目撃され、できれば記憶の片隅に封印したい思い出を量産しつつ引越しは終了。あとはトラックと僕の車で移動することとなりました。 「じゃあ、いこうか」 手伝いに来てくれた親父の愛に感謝しつつ、もうちょっと頑張って引越しを完了させちゃうかと問いかけたのですが、 「はあ?何言ってんだ。まだ不動産屋に部屋を引き渡さなきゃいかんだろ。勝手に出て行ってはいそれまでよってわけにはいかんだろ」 などと、キチガイ親父に至極真っ当なことを言われ諭されてしまいました。うん、確かにその通り、すっかり忘れてたわ。 で、不動産屋への部屋の引渡しのことをすっかり忘れていた僕。またもや親父の目を盗んでコソコソと不動産屋(今度は広島の)に電話。「もう出て行くからすぐに部屋の点検に来てほしい」と伝えました。その返答は「今日はもう無理だから明日立会いに行く」という冷酷無比なるもの。なんというか、このまま引っ越すわけにはいかなくなったのでした。 「なんかな、不動産屋は明日来るってさ。今日は出発できないわ」 と親父に告げました。引っ越す気満々の親父にそのような不手際を露見し、しかも出発できないなどと言ったら烈火のごとく怒られるかと思ったのですが、 「ふむ、それならば仕方ないな」 などと予想に反して柔和なもの。こちらが拍子抜けするほど穏やかに翌日出発を了承されたのでした。しかし、その後に続く彼のセリフが僕を地獄のどん底に叩き落すこととなったのでした。うん、ここからが引っ越し地獄の本番だった。今までの地獄が天国に思えるほどの地獄の到来だった。 「あのな、ワシ、今日はもう帰らなきゃいかんのだわ。だからな、ワシはこのままトラックを運転して帰る。載ってる冷蔵庫やらテレビやらは欲しがってる友人がいるからソイツにやるわ。お前は引っ越し先で新しく買えや」 そう言うと彼はやおらトラックに乗って走り出し、僕の命とも言える家電品を満載にして地元鳥取へと旅立っていったのでした。うん、テレビも冷蔵庫も洗濯機も電子レンジも、ちょっとお気に入りの棚も、全てを満載にして親父トラックは旅立って行った。 「え?ちょっとまってよ。家電品返してよ」 家電品を全て奪われてはかなわんと思い、まるで好きな子が転校するとかなんとかで家具満載のトラックを追いかける少年の如くですね、僕の家電品を満載にした親父トラックを追いかけたのですが、さすがに追いつけるはずもなく、僕の愛すべき家電品たちは見事に親父にかっさらわれていったのでした。 というかな、親父は引越しを手伝いに来たんじゃないと思う。最初から僕の家電品をシーフの如く騙し取るのが目的だったんだと思う。だから家電品と日用品を分けて載せろなんて言ったのだと思う。くそ、計画的犯行じゃねえか。親子愛が聞いて呆れるぜ。 そんなこんなで、引っ越すつもりで全部積み込んでしまい、おまけに家電品を全て親父に奪われたため、何も無くなってしまった部屋に一人佇みながら、僕は引越しとは何と寂しいものだろうと涙するのでした。明日、不動産屋に引き渡すまでこの部屋で過ごさねばなりません。 前日からマトモに寝てなかったためか、何もない部屋でも、家電品を全て失ったショックがあろうとも、眠たくなって寝てしまうもので、全てを運び出して「こんなに広い部屋だったのか」と感じる部屋の真ん中で大の字になって眠るのでした。 夜中寒くなって目が覚めたので、積み込み忘れてたカーテンを窓から剥ぎ取り、カーテンに包まって朝まで深く深く眠りましたとさ。 次回、引越しシリーズいよいよ完結。 4/1 引越し戦線異常あり-前編- ということで、引越ししなきゃいけないのに物件が決まってない、さらには部屋は引越しの「ひ」の字も見当たらないカオスな状態。おまけに、妙に張り切っているオヤジがトラックに乗って手伝いにやってくる状況。まあ、間違いなく切羽詰った状況であったわけなんです。 親父がやってくる数時間の間にやらねばならないこと これだけでも途方もないことで嫌になるのですが、さらにオヤジが到着した後には荷物をトラックに積み込み、からっぽになった部屋を不動産屋に引渡し、新天地に向けてムリムリと車を運転しなければなりません。 まあ、ざっと考えても物理的に不可能。小人さんが万人単位で手伝ってくれても出来るかどうかわからない状況で途方に暮れます。なんでこう切羽詰った引越しになるのか不可解、どうして用意周到に準備できなかたのかと後悔するばかりです。もはや引越しできる可能性を見出せない。 でもまあ、このクソ面倒な引越しさえ潜り抜ければ新天地での新生活が待っているわけです。新しい住まいに新しい環境、見るもの全てが新鮮で目くるめくようなニューライフが待ち受けているのです。そう、前向きに考えれば引越しって実は明るい未来なんです。 とりあえず、「やばいやばい引越しできないよ」などと後ろ向きにオロオロしたって状況は何ら進展しません。それどころか、その窮地を伝えるためだけに一生懸命日記更新をするんなんて持っての他です。そう、歩き出さねば事態は何も進展しないのです。 ということで、まずは部屋の掃除に手をつけることを決意。断腸の思いでネット回線を断ち切った僕は、何かを決意した武士のように立ち上がり、部屋の片隅にうず高く積み上げられた雑誌類に目を向けるのでした。 そう、時間のない切羽詰ったこの引越し、普段ならアンニュイに必要な品とか大切な品とかを選別して荷造りするのですが、あいにくそんな時間は与えられていません。とにかく捨てて捨てて捨てまくる。目に付くものを捨てまくる。そんなバブル経済の象徴のような引越ししか道はないのです。 ということで、もう捨てられるものは何でも捨てると決意した僕。まずは最も大物であると考えられる雑誌類を片付けることにしたのでした。もう数年前から購入している週間マンガ雑誌数百冊、おまけにエロ本コレクションが数百冊。これをペンペン草一本残さぬように綺麗さっぱり捨てることにしたのでした。 ええ、苦しいですよ。悲しいですよ。寂しいですよ。何年もかけてためた雑誌類、愛娘のように愛でていたエロ本たち、それらあ間違いなくプライスレスですから、できれば捨てずに新天地に持って行きたいのです。けれどもそんあ余裕は残されていません。使えるエロ本だと、お世話になったエロ本だとか、殿堂入りエロ本だとか、そんなものを選別している暇はありません。とにかく捨てるしかない。 僕の住んでいる地域は雑誌類は紐で縛って捨てねばなりませんので、昼間にホームセンターで買ってきた紐で次々と雑誌類を縛っていきます。10冊ほどを1つのブロックとし、それを見事にヒモで縛る。で、それをアパート前に設置されたゴミ捨て場に捨てに行くのです。 大体10冊のブロックが40ほどできたでしょうか。どんだけエロ本と雑誌を所持していたんだという話なんですけど、あるものは仕方ありません。黙々と作業していきます。エロ本ばかりのブロックとか作っちゃうと世間体が悪いので雑誌7にエロ本3くらいの割合で混入しつつ、黙々と作業。 雑誌処理が終わったのが真夜中の二時過ぎでした。もうこの時点でアパート前のゴミ捨てブースは溢れかえってました。うん、普通にブースの外に雑誌が溢れかえってた。 さて、一番厄介と思われる雑誌処理が終了。少しばかり気が楽になったので次は荷造りを始めます。4年間ほど手付かずの大自然のと化していた押入れの下の段を探索していたら大量のゴミと共に大量のダンボールが発掘されたので、それを使って荷造り作業を開始。 基本的には「捨てる」という姿勢で使うものと使わないものを選別。使わないものはゴミ袋へ、使うものはダンボールへと振り分けていきました。うん、大体9割くらいの確率で捨てていきましたので、荷造りダンボールが1個完成するのに9袋くらいゴミ袋が満杯になってました。深夜に荷造りとかしてると夜逃げみたいで泣きそうになってくるんですけど、7年物の砂糖の袋とか、インコの糞みたいに地層状態になっている「何か」とか生命の神秘としか思えないものが多数発掘され、ちょっとだけ感動した後に全部捨てました。 でまあ、このゴミ袋もゴミ捨てブースに捨てなければいけないんですけど、さっきの雑誌類で満員御礼ソールドアウトな状態。ゴミが捨てられません。仕方ないので雑誌類を全部ブースの外脇に並べ、空いたブース内にゴミをドンドコと捨てて行きます。部屋とゴミ捨てブースを何度も何度も往復し、お百度参りみたいにしてゴミ捨て。ホント、引越しってのは辛いものです。 しかもまあ、人が必死でゴミ捨てしてるっていうのに、なんか空からはパラパラと雨が降ってきやがりまして、最初は小雨だったのにどんどんとクライマックスに、最後のほうはマトリックスのラストバトルの時みたいな大雨になってました。普通にビショビショ、ドブネズミ以下の状態でゴミを捨ててました。 でまあ、なんとかゴミ捨てブースにゴミ袋のタワーを築き、その周囲を有象無象の雑誌ブロックが固めるという異様な光景が完成。朝になって子供とかが見たら泣くかもしれません。うん、軽く1トンくらいはゴミを捨てたような気がする。俺はゴミ屋敷の主人か。ゴミ御殿の主人か。ハッキリ行ってこれはテロだよ、テロ。 で、後はオヤジトラックの到来に合わせて積み込む予定のテレビ(ワイドで大型テレビ)だとか冷蔵庫、洗濯機などが残された状態になりました。これを積み込みやすいような体制に整えた時点で夜が開け、晴れてオヤジを迎え撃つ体制が整ったのでした。 しかし、引越しはこれで終わりではありません。大家に引き渡すためには「来た時よりも美しく」の精神で物件を綺麗に磨き上げなければいけません。大量のゴミを整理し、荷造りを終え、大物家電品を整理した後の部屋を見ると、まあ、これが酷い有様。 畳の各所にはどす黒いガンの影みたいなシミが。飲み物とかラーメンの汁とかこぼして放置していたためか、変色して元の色が分からない状態。カンフー映画を見た時に空いた壁の穴、友人N君が壊したドア、タバコの吸いすぎて黄色くなった元白い壁。結露が酷い部屋でしたからサッシ周辺はカビ王国になってました。うん、狼に育てられた少年とかに部屋を与えたらこんな状態になるんじゃないかなって状況。 この状況を見て軽く自殺しそうになったもんな。今すぐ核戦争でもおきねーかなーとか思ったもんな。雨の中の薄い朝日を浴びて空っぽの部屋がオドロオドロしく輝いてたからな。こんな絶望的な引越しってなかなかないぜ。 でまあ、半泣きになりながら畳み拭いたりカビを取ったり、もうやけっぱちになって「お風呂の洗剤」とかを畳みに使ってたからな。それでも全然落ちねーんだわ、これが。 でもまあ、ほんの数時間前まで日常キングダムな部屋だったのだけど、僕の夜逃屋本舗並の奮闘が効いてか誰が見ても引越しと分かる状況に。なんとか親父の到着に間に合わせて最低限の引越しポーズだけは整えることができました。人間やればできるものです。 さすがに僕も夜通し頑張ったですし、そろそろ親父がトラックに乗って到着する時間です。こりゃあ、親父が到着するまで朝飯でも食って休憩するかー、ともう少しで僕の部屋じゃなくなる部屋を出て、コンビニに向かおうとしたその瞬間でした。僕は衝撃的な、下手したら人生において初めて殺人を犯してしまいそうな光景を目の当たりにしてしまったのです。 いやな、さっきゴミ捨てブースにゴミパラダイスを建立したじゃない。真ん中にゴミタワー、その周辺にエロ本を含む雑誌ブロック、そんなゴミの希望みたいな前衛的なオブジェを建造したじゃない。そのゴミブースの周りにな、青いジャージを着てヘルメットかぶった少年が8人くらいたむろしてるのよ。運、どっからどう見ても掛け値なしに中学生。春休みの時期のこんな早朝に学校指定のジャージ着てヘルメットかぶってところから見ると部活の朝練習とかにいく中学生なんだろうけど、そいつらが「すげーすげー」とか騒ぎながらゴミブースに群がってるの。 うん、僕が捨てたエロ本を盗んでた。 雨の中、もう顔を輝かせながら雑誌ブロックの紐を解いてな、ジャンプやマガジンはバシバシとリジェクトしてエロ本だけを的確に回収してた。そう、雑誌ブロックの紐を解いて、あれだけ苦労して縛ったヒモを解いて。温厚な僕もおれにはさすがにリミットブレイク。 「このクソガキどもがー!人がせっかく縛ったのに!!」 大声で怒鳴りましたね。僕はガキどもがエロ本を拾っていたから怒ってるわけではありません。むしろエロ本ってのはそうやって捨てる拾うを繰り返して世代から世代へ受け継いでいくべき物だと思っていますから、エロ本を拾う行為自体を否定しているわけではありません。問題はやつらがあれだけ苦労して縛ったヒモを解いていたこと。 もう子猫を失った母猫みたいな形相で小僧どもに突進して行ったのですけど、それにビビった小僧ども、大切なエロ本だけを抱えて蜂の子を散らすかのようにして自転車に乗って逃げていきました。そう、後にはヒモを解かれて乱雑に散らばった雑誌類、しかも雨でベロンベロンに濡れた雑誌ブロックの残骸だけが残されていたのでした。 さすがにゴミブースの周りに乱雑に雑誌類が散らばったこの状態では引っ越していけません。最後の引渡しの時にやってきた不動産業者がこの光景を目にし、熱烈に糾弾されるのは目に見えてます。 「ちくしょう、あのガキども・・・エロ本ほしいなら縛る前に言えよ・・・」 雨の中、半泣きというか全泣きで雨だか涙だか鼻水だか分からない物で顔をグシャグシャにしながら再度雑誌類をヒモで縛る僕。各ブロックにエロ本を分散させたのが災いしたのか、全部のブロックが見事に解かれてました。もう引越しとかどうでもいいから楽になりたい、樹海にいきたい、そう考えていました。 「よー、手伝いに来たぞー、さあ引越すかー」 そこに素っ頓狂な声を出してトラックに乗った親父が登場。ゴミ捨て場で泣きながら本を縛ってる息子が彼の目にどう写ったか知りませんが、彼はかなり上機嫌そうでした。 はるばる遠くから、息子の引越しを手伝うためだけにブリブリとトラックを運転してきた親父。その熱意や親の愛情とかそういったものに感謝しながら彼を眺めていると、 「ほれ、土産だ。立派な魚だぞー」 と言いながら、発泡スチロール4箱にギッシリと詰まった生魚を差し出してきました。ありえない。アリエナイ。arienai。 これから引越しをしようとしている息子に生魚のお土産。しかも4箱。彼の精神構造がどうなっているのか偉い先生に分析して欲しい所ですが、僕は思いましたよ。 「ますますもって引っ越せる可能性が見出せない」 絶望という暗雲が立ち込める中、僕と親父の間に置かれた生魚だけが生臭いファンキーなスメルを放っていました。 波乱万丈の引越し戦闘記「引越し戦線異常あり-中編-」につづく 親父の目の前でキャラバンで貰ったバイブが!
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