Numeri 2004-6月 6/28 ぬめぱと変態レィディオ24時間生放送予告 6/27 弱さを抱きしめて 6/24 Numeri日記人気投票 6/23 英雄の挽歌 6/22 patoさんクッキング 6/20 若者をぶっとばせ 6/19 マイナスな友情 6/17 ハリーポッターとアズカバンの囚人-後編- 6/16 ハリーポッターとアズカバンの囚人 6/15 サーカス 6/12 四畳半の戦場 6/9 悪魔はそっとドアをノックする 6/7 素敵な日曜日の過ごし方 6/5 爽やかな朝 6/3 保険勧誘がやってきた 6/2 5000000ヒット 6/1 Voyage 2004 2003 2002 9月の日記はこちら 8月の日記はこちら 7月の日記はこちら 6月の日記はこちら 5月の日記はこちら 4月の日記はこちら 3月の日記はこちら 2月の日記はこちら 1月の日記はこちら 2001 12月の日記はこちら 10-11月の出来事はこちら |
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6/30 兄弟仁義 三橋君のお兄さんは、容赦なくできる人だった。 僕は小学校低学年くらいの時、母親が強烈に薦めるのでボーイスカウトなるものに入っていました。そこでは募金活動やったらり意味不明に公園でキャンプをしたり、応急手当てやロープの粋な結び方などを習ったりしたものです。で、、そこに地域の子供が沢山集まっていました。 同じように親から半ば無理矢理に入れられた子供や、親父がボーイスカウトの世話に狂っちゃって大幹部、当たり前の如く入れられているその息子がいたりしました。そんな中に、三橋兄弟はいました。 三橋兄弟の弟は僕と同じ歳、同じ市内に住んでいるのけど小学校が違うのであまり仲良くはありませんでした。で、その三橋君のお兄さんがとにかくできた、素晴らしい人物だった。 彼はボーイスカウトの上級生の部に所属していたのだけど、とにかく周りからの信頼が厚い。下級生は勿論のこと、同年代、シニアの部、世話役の大人にまでとにかく信頼されていた。 物凄く優しかったし、僕も何度か親切にしてもらった。もちろん学校での成績も優秀だったらしいし、スポーツも万能、とにかく女にモテたらしい。ボーイスカウトの制服も良く似合っていたし、とにかくカッコ良かった。 多分、休みの度に母親に無理矢理いかされるボーイスカウトの活動の中でも三橋君のお兄さんは僕の憧れだった。あんな素敵な先輩みたいになれるなら、ボーイスカウト活動続けてもいいかな?って思えるほどだった。 その反面、三橋弟は酷いものだった。僕と同じ小学校低学年のくせに、既に髪はウルフカット。ワルグループに所属し、万引きやらの悪さに勤しんでいるという噂が伝わってきたほどだった。こんなワルがなんでボーイスカウトにいるのか知らなかったけど、兄とは対照的にとにかく酷かった。 こんな事件があった。 ある年の夏だったか、山奥のロッジみたいな場所に各支部のボーイスカウトの面々が集結し、その実力を競い合う競技会みたいなものがあった。もちろん我が支部も全力を挙げて参加し、優勝を狙っていた。 競技の内容ってのが、オリエンテーションみたいなのだったり、丈夫に縄を結んだりだったり意味不明なものが多かったのだけど、僕ら下級生スカウトは早鉛筆削り競争なる最も意味不明な競技に駆りだされていた。 スタートの号砲と共に100メートルほど先にあるテーブルまで走っていき、そこで小刀を使って鉛筆を削る。スピードと削りの綺麗さを競う競技で、これができることで人生に何のメリットがあるのか皆目意味不明な競技だった。 僕は不器用なので、スピード美しさ共に芳しくない結果だったのだけど、ワルなのにボーイスカウト三橋弟はもっと凄かった。 スタートの号砲と共にテーブルまで走ったのは良かったのだが、小刀の使い方が分からない。普通は鉛筆と平行に刃を走らせて削るものなのだが、何を思ったのか三橋弟は鉛筆と垂直に小刀を振るい始めた。 ガシュガシュ!とても鉛筆を削ってるとは思えない打撃音が響き渡る。ついには手元が狂ったのか、振り上げた小刀は鉛筆を支えていた手の肉を思いっきり削り取った。 一気に血に染まる鉛筆削り競技会場。阿鼻叫喚の生き地獄。周りのガキどもも飛び散る鮮血に動揺を隠せず、悲鳴を上げて逃げ回る始末。というか、モロに指の肉とかえぐれており、あまりのエグさに大人たちも呆然と見守るだけだった。こんな大人たちが偉そうな顔で応急処置のやり方とかを子供スカウトに教えているのだからヘソで茶が沸く。 そこに颯爽と現れたのは三橋兄だった。他の会場で競技中だった彼だったが、弟のピンチとなれば話は別。呆然とする大人を退け、逃げ回るガキどもを蹴散らし、弟の元に駆けつけて手際良く応急処置をしていた。 ハッキリ言ってメチャクチャカッコ良かったし、ああはできないと思った。僕は多分弟が眉間から血を吹きだしていても逆に逃げるし、むしろ関わり合いになりたくないとすら思う。その点で三橋兄は凄かったし、誰も到達できないカッコ良さに上り詰めていたと思う。 僕はその光景を競技終了者待合所みたいな場所で見ていたのだけど、そこで一つ思うことがあった。三橋兄はとにかく凄い人だ。能力もさることながら人間的にも優れており、弟への愛も物凄い。その反面、三橋弟はバカだ。鉛筆も満足に削れない、ウルフカット、学校ではワル、とにかく兄とは対照的過ぎる。 きっと、兄が余りに素晴らしすぎる人物だとそれがコンプレックスになってしまうんじゃないだろうか。何をしても兄と比較され、お兄さんはこんなんじゃなかった、もっとお兄さんみたいになれ、そういった周りの声が逆方向に弟を走らせてしまうんじゃないだろうか。出来すぎた兄を持ってしまった三橋弟の不幸、子供心にそう思ったものだった。 それから10年以上の歳月が流れた。 もう僕も成長して立派な大人。あの頃のボーイスカウトの思い出などとうに忘れていた。地元のパチンコ屋を咥えタバコで闊歩し、フラフラと打つべき台を物色していた。 当時は、麻雀物語という連チャン台が大ブレイクしている時代で、台をガンガン叩けば液晶がずれて大当たりするなんていうキチガイじみた嘘攻略法が大ブレイクしていた。 台に座る面々も見ていて爽快になるくらい豪快に台をガンガン殴っていたのだが、そこで僕は途方もなく懐かしい人物を目撃するのだった。 咥えタバコ、伸びきった無精髭、髪だってボサボサ、それでもって死んだ魚のような目をして台をガンガン叩く男、それが三橋兄だった。あの頃から十数年が経過し、見るも無残に堕ちた男は間違いなく三橋兄だった。 優等生だった面影もない、誰からも信頼された男の片鱗すら感じられない。優しかったあの瞳も存在しない。ただただ、液晶に写った絵柄を揃えるためにオカルトチックに台を叩く男がそこにいた。 うわ、嫌なもの見ちゃったな。憧れを憧れのまま、あの日の美しい思い出をそのままとっておきたかった僕だった。できれば堕ちた三橋兄など見たくなかった。けれども、見てしまったものは仕方ない、例え今は堕ちていようとも、ボーイスカウトで世話になった先輩だ、ココは一発挨拶でもしなくては。 そっと三橋兄の台に駆け寄り、 「こんにちは、以前ボーイスカウトでお世話になったpatoです」 と挨拶をした。三橋兄はリーチがかかったらしく、台を叩くのに夢中だったが、ふっと僕のほうを見ると 「おお、patoか、覚えてるよ。お前背が高くなったなあ、昔はチビだったのに」 などと、まるでヤクでも景気良く決めちゃってるような腐った瞳をして言っていた。 「まあいいや、ちょっと裏に行こうか」 そう言って彼は僕の肩をそっと抱き寄せてパチンコ屋の裏まで引き連れていった。 今でも思い出す、パチンコ屋裏手の物置みたいな場所。クーラーか空気清浄機の室外機が轟々と鳴り、朽ち果てた廃棄台が乱雑に捨てられている。そこで三橋兄は僕の肩に手をかけながらこう言った。 「なあ?金貸してくんない。あの台もうちょっとで出るからさ。昔世話してやっただろ?」 この人、何を言ってるんだろう。 なんかこの人、僕にカツアゲかましてるんですよ。貸さなきゃ痛い目みるぜと言わんばかりのジェスチャーで金を要求する三橋兄。あの日の面影なんてどこにもありませんでした。優等生だった三橋兄、信頼された三橋兄、優しかった三橋兄、もうどこにもいませんでした。 「これ、参考書買うお金なんで」 と伝家の宝刀のごとき言い訳を見せ付けてその場から逃げましたが、あの三橋兄の凋落ぶりに酷くショックを受けた僕の頬には、一筋の涙が伝っていました。 どうして三橋兄はああなってしまったんだろう。何が彼をあそこまで変えたんだろう。沢山考えましたが、何も分かりませんでした。 それから数日後、街でばったり三橋弟に会いました。彼と会うのも兄と同じくボーイスカウト以来でしたが、彼もまた豹変していました。 なんというか、あの日のウルフの面影はなく、普通に真面目そうな好青年になってました。で、僕は三橋兄にカツアゲされかけたことを彼に告げたのですが、彼はシッカリと 「あのバカ。パチンコ屋にいるのか。今度またパチンコ屋で会ったら家に帰って来いって伝えてや。いや、帰ってこなくてもいいから、サラ金の借金だけちゃんとしろって伝えておいて」 と、物凄く一般常識を理解してますっていう顔で言ってました。なんでも、兄は末は博士か大臣かと将来を嘱望されていたのですが、高校卒業から豹変、定職についたり辞めたりを繰り返していたそうです。で、ある日フラリと家に帰ってこなくなり、消費者金融の請求書だけが実家に届くようになったそうです。 「あのバカ、親に迷惑ばっかりかけやがって!」 怒りに打ち震える三橋弟の瞳は、あの日のダメ弟ではありませんでした。何かの責任というか、何かの使命というか、そういうのをシッカリと理解した大人の男の目をしていました。 僕には三橋兄に何があったのか分かりません。三橋家のお家騒動にも興味はありません。けれども、たった一つだけ言えることがあります。あの日、出来た人だった三橋兄にダメなヤツだった三橋弟。それが今ではすっかり逆転してしまっている。 兄が出来すぎると弟がコンプレックスによってダメになる。けれども、兄がダメになると今度は「俺がシッカリしなきゃ」と弟がシッカリするようになる。2人兄弟ほど兄と弟は相反する鏡みたいなもので、お互いを映しあいながら補足しあっているのではないか、そういう傾向が強いのではないかと思ったのです。 この三橋兄弟のエピソードをフッと思い出したとき、僕は一つの不安が頭をよぎりました。 「もしかして、ウチの弟は僕にコンプレックスを持っているんじゃないか。あまりに出来すぎる兄である僕。それに劣等感を感じ、弟は苦しんでいたんじゃないか」 急に申し訳なくなった僕は、弟に「出来すぎた兄でごめんな」と謝ろうと電話をかけました。すると、電話口の弟は、 「今日な、オバサン(親父の姉)が来たよ。なんか兄貴はチャランポランでどうしようもないし、何も期待できない、というか犯罪さえ起こさなければ御の字。だからお前が家を継ぐんだぞ!って何回も何回も言われたよ。どうなってんだあのオバサン。あ、そうそう、どうでもいいけど3万円早く返せよ」 と言ってました。なんてシッカリした弟だ。 携帯電話を握り締め、西の空を見ると夕日がちょっとだけ目に滲みました。 はい、ということで来る7月3日に行われる「ぬめぱと変態レィディオ24時間生放送-pato vs 24人の美女スペシャル-」の予告です。 Numeri500万ヒットを記念して行われるこの放送では、従来のスタイルと異なり初のゲスト放送にチャレンジいたします。しかも24人の女性。この24人の麗しきゲストを1時間交代で迎えて24時間の放送を行います。 気になる放送開始時刻は7月3日の午後10時。そこから翌日の10時までゴリッと連続で生放送します。タイムテーブルは一部だけを以下に公開しておきます。空白の部分は後々発表していきます。 ぬめぱと変態レィディオ24時間生放送-pato vs
24人の美女スペシャル- タイムテーブル
出たがる人が殆どいなくて、方々に土下座して頼み込んだ結果出てくれることになった人々です。空白部分は後々発表していきます。 そんなこんなで、各ゲストさんコーナーで色々なテーマを設けてトークを展開していくことになるのですが、それ用にいくつか皆さんから投稿を募りたいと思います。生放送ですから放送中にも募集しますが、事前投稿の方が僕が楽なので、できればなるべく事前に投稿してやってください。 1.テーマ募集 2.恋愛相談募集 3.ゲストの方に聞きたいこと 他にも投稿ネタを思いついたら順次追加していきます。全ての応募は左のメールフォームからお願い致します。 ということで、物凄いトラブルとか、未曾有の事態とか予想されますが、7/3,4の「ぬめぱと変態レィディオ24時間生放送-pato vs 24人の美女スペシャル-」よろしくお願いします。 自分の弱さがとことん嫌になることがある。 この間、高速バスに乗っていた時のこと。僕はガラガラで空席だらけだったバスの後方の座席に座り込み、ドサっと持っていたリュックを隣の座席に投げ出した。 バスは走り、とある停留所に到着する。見ると、そこにはバスに乗り込まんとする大量の人、人、人。間髪入れず運転手から車内放送がアナウンスされる。 「当バスはこの停留所で満席となります。席に荷物などを置かれないようお願い致します」 あらら、満席になるのね。こりゃいかんね。そそくさと隣に置いたリュックを手に取り、膝の上に抱えるようにして隣の席をあける。 ドッと乗客がバス内に流れ込む。僕はリュックを抱えながら乗客を眺めある一つの望みだけを念仏のように唱えていた。 「カワイイ女が隣に座って欲しい」 こういった公共の乗り物に乗ると、僕の隣にはオッサンや爺さんが乗る率が極めて高い。いつもいつも加齢臭のする殿方ばかり。たまに女が座ったと思ったら、「オツカイに行ってきてよ」とお金を渡したらその足でシンナーを買いに走りそうなヤンキー女が関の山。 前なんて、東京行きの新幹線に乗ってたらアンドレみたいな体躯したオッサンが座ってきまして、もう、座席に収まりきってないのな。で、明らかに僕のほうの座席にもはみ出してきてて、東京までの数時間、圧死の危険性にハラハラしながら浜名湖とか眺めた思い出があるんです。 他にも、飛行機の隣に座った爺さんが入れ歯を飛ばしたり、電車で隣に座ったヤツが携帯でNumeri見てるようなクズだったり、とにかく隣の乗客に恵まれないんですよね。美女なんて絶対に座りやがらない。 そりゃね、隣に美女が座ったってどうってことないですよ。別にその美女が僕のものになるわけでもないし、いきなり「溜まってるんでしょ?ギンギンだぞぅ」って言ってフェラしてくれるわけでもなし。ただ、ちょっと良い香りがするくらいのもんです。隣に美女、別にどってことない。 でもな、そういうのでは割り切れない男の浪漫があるんだよ。そういうの、男ならきっと分かってくれると思う。分かってくれると信じてる。 でまあ、流れ来る乗客どもを眺めながら、「うわ、オッサンは勘弁」「美女じゃないけどお前で妥協してやる、こい、隣に来い!」などと一喜一憂しておったわけなんです。 どんどんと座席が埋まっていくのですけど、僕の隣に誰も座らない。いよいよ、空席は僕の隣だけだぞーって状態になった時、僕の胸は高鳴りました。次、あそこの階段を昇ってきた人間が間違いなく僕の隣に座る。他に空席はないんだ。間違いなく座る。一体どんな人が・・・。 カツカツ 階段を昇るハイヒールの音が聞こえる。来た、間違いなく女だ。美女かどうか知らないけど、間違いなく女。やった、隣に女が座る。喜びのあまり小躍りしそうな勢いでした。 しかし、乗降口を昇ってきた彼女は当たり前のように僕の座席をスルー。なんか、最後尾の座席の所でガスガスと補助席を出していました。そこまでして僕の隣に座りたくないのか。 ああ、また美女が座らないのか・・・。補助席を出す女性を落胆しながら見ていると、ガスガスと乗降口の階段を昇る足音が。 きたっ!次こそ僕の隣に座る人物だ。一体どんな人物が・・・。どんな、どんな。ドキドキする僕の目の前に現れたのは、途方もない残酷な現実でした。 うん、すげえ外人が立ってた。 見るからに外人。もう外人。超外人。人外な外人が立ってからな。腕毛とかモシャモシャ生えてて、体がでかくて、マリファナとかやりながらエキサイト、北斗の拳みたいなバイクに乗って一般人を鉄パイプで殴ってそうな外人だった。 で、そいつが僕の隣にドカッと座るのだけど、もう近くで見ると異常に怖いのな。赤鬼みたいで、拳銃とか持ってそうで殺されそう。それだけならいいんだけど、問題はバスが走り出してから。 ちょっと僕の座ってる体勢が良くないから体の位置を変えようと動いたんですよね。そしたら、外人のヤロウ、僕の上着の裾をその巨大な尻で踏みつけてやがるの。 動こうとするのだけど動けない。どうせ言葉なんて通じないだろうから、僕も上着をグイグイと引っ張ってフォリナーにアッピールするんだけど、フォリナーは気付く様子もなく観光ガイドみたいな本を読んでいる始末。 僕もまあ、自分の上着の裾を踏まれてるってことで怒りを増幅させ、お前らの国と戦争してもいいんだぞ、と思うわけなんですけど、気が弱いから言えないんですよね。もう、ただただ裾を引っ張って必死にアッピールするのみ。 それでも全然気付こうとしないクソ外人。というか微動だにしやがらない。そうこうしているうちにバスは高速を降り、僕が降りなければならない停留所にさしかかります。 「あ・・・降りなきゃ・・・」 グイグイと裾を引っ張り、僕は降りなきゃいけないんだ、ってことを必死にアッピールするのだけど微動だにしない外人。普通に座席に鎮座しておられます。 結局、外人のヤロウは終点までバスに乗っていやがったのですけど、降りられなかった僕も何故か終点まで一緒に乗ってました。全然目的地と違う停留所で降ろされ、その原因となった外人が、彼を迎えにきていたファミリーと楽しそうに談笑しながら去っていくのを見て、人知れず泣きました。自分はなんて弱いのだろう、と。 しかも、外人が踏んでた側のポケットにタバコ入れてたみたいで、シッカリとタバコがプレスされてました。うん、ただの板になってた。 見るも無残に板状になったタバコを咥え、火をつけるとボロボロと葉っぱが落ちてき、それを見てたらまた泣けました。 自分は何でこんなに弱いんだろう、もっと強くなりたい。裾を踏む外人を国際紛争になるレベルでガンガン殴りつけたい。それが出来ない自分が心底憎い。なんて気が弱いんだ。 もう弱い自分にはサヨナラだ、豪胆になってやる。そう思った僕は、今日のような手抜きでクソ面白くもない日記を豪快にアップするのでした。普段なら、さすがにこんな日記はアップできない・・・!と怯えるのに、豪胆に。 この間、近所のパチンコ屋でスロットを打っていたら、掃除のオバチャンから物凄い良い匂いがしました。もう、フェロモン女優かというほどのかぐわしい香りで、さぞかし高級なコロンをつけてるんだろうなーって思いました。 割ぽう着のオバハンですよ、オバハン。もう見るも無残にシワクチャで、たぶん生理だってあがってるし、乳だって干し柿みたいになってるオバちゃんですよ。そんなオバちゃんがいつまで経っても女の気持ちを忘れないで出かける前はコロンをはたく。僕は、その意気込みにいたく感動してしまったのです。 オバちゃんが通る度に匂いがきつく、目に滲みるような思いがして目押しもままならず、スイカとかボロボロと取りこぼしていたんですけど、それでも頑張って打ってたんですよね。 そしたらまあ、そのオバちゃん、どうも店の名物的存在みたいでですね、なんかアチコチの客に話しかけてるんですよ。 「アンタ、チャラチャラしてー!なんね、そのシャツは!」 とか、明らかに昼真っからブラブラしてて、女の金でスロット打っているようなホスト崩れに説教とかしてるんですよ。それはそれで拍手喝采ですけど、打ってる客としてはウザくて仕方ない。 「あんた、さっきからタバコの量が多いよ!」 なんて吸殻を掃除されながら怒られた僕なんかは、いちはやくアナルに卒塔婆でも突っ込んで死んでくれねーかなー、と沸々と怒りを蓄積したりしているのです。その間もフェロモンがプンプンだしな。 そんなオバちゃんですが、僕の隣に座って打っていたプリンみたいな頭したヤンキーお姉ちゃんに向かってですね 「あんた、かわいいわねー、タトーみたいだわ」 とか、おいおいt.A.T.uのことかよ、これまた古いなー。オバちゃんよく知ってたなー。しかも微妙に誉めてるんだか皮肉ってるんだかわかんねーし、と思ったのです。 で、閃光のように思い出したのです。そういや、t.A.T.uの話題よりp.A.T.oの話題だよな、と。去年の今頃、そのネタを使って、「p.A.T.oについて語ろう、よって抜粋日記を決める日記人気投票をやりまーす」と言ってサクッと手抜き日記を書いたんだよな。 ということで、フェロモン臭がすごい掃除オバちゃんのおかげで思い出しましたので、一年ぶりにNumeri日記人気投票をやります。もちろん、上位にランクインした日記は←側のカキモノのところに抜粋されますので、皆さんふるって投票してやってください。 対象となるのは、去年の人気投票終了後の7/1から今日までの日記です。たぶん、一人何回でも投票できますが、あんまそういうのはちょっとやめてください。 既に投票されている日記に投票するのはいいのですが、項目がない場合は「○月○日 日記のタイトル」という感じで投票してやってください。 ということで、どうぞ。 既にカキモノになっているものや、日記として成立していないものは対象外です。あくまで普通の日記の中から選んで投票してやってください。 投票締め切りは7/18まで、その結果を見て何個か日記を抜粋します。まで。 さらに、50項目しか投票項目を増やせないので、おかしな項目や重複しているものなどは削除していきたいと思っております。 t.A.T.uについて語るぐらいならp.A.T.o.について語ってやろうぜ、という寛大な心で投票してやってください。 ちなみに今日のような告知のみに特化した日記は対象外ですので。 よろしく!オバちゃん! 小さなコミュニティ、英雄になるのは簡単だった。 最近ではとにかく凄いガキがいるもんで、小中学生でアイドルだとか芸能人だとか、雑誌に乗るような功績をあげたりだとか、世界大会に出ちゃったりとか、ある種の低年齢化が止めどない勢いで進行しているように思う。芸能人にしてもスポーツにしても、知能にしても、とにかく低年齢化だ。 そんな凄い功績だとか才能を持ったガキが普通にゴロゴロしている状態では、クラスの英雄になるのは難しい。万物の低年齢化や情報化社会の発達は子供たちを無感動なものにし、クラスの中から英雄を消し去ってしまった。 そりゃあ、同年代の女の子がアイドル最前線で大活躍してるのを知ってれば、クラスにちょっとばかりカワイイ女の子がいたって凄いとは思わないし、オリンピックだとか目指すがガキがいるのを知ってればちょっとスポーツが得意なヤツがいても凄いと思わない。 要は、最近のガキは広い世界を良く知ってるし、上には上がいることも理解している、それでもってあらゆる事柄の低年齢化が同時に進行していく。それらが相まってクラスに英雄は存在しないし、どこか子供たちも冷めてて無感動になってしまってる。 英雄不在のクラスで学校生活を営むってのは、ある意味では個の発達と言うことも出来るし、団体意識の欠如と言い換えることも出来る。英雄を中心にクラスがまとまることもないし、意識が中へ向かない。それでもって、クラスという入れ物自体も存在価値のないものに成り果ててしまっている。そんな気がする。 こういった英雄欠如の状態が、少なからず学級崩壊やら少年少女の凶悪犯罪に影響を与えていると僕は思うし、あまり芳しくない状態なんじゃないかって感じている。 僕らが中学生だった時代、クラスの英雄になるのは簡単だった。 今ほど低年齢化は発達してなく、芸能人だってスポーツ選手だってみんな大人で、同年代に凄いヤツがいるなんて思いもしなかった。そういうのはいたのかもしれないけど、田舎だったこともあり情報はほとんど入ってこなかった。で、小さなクラスという囲いの中が全世界だったし、その中で英雄が確かに存在した。 一番勉強できるがり勉君も天才という名の英雄だったし、一番カワイイ子もアイドルという名の英雄だった。リーダーシップがあるヤツも勿論だし、ひょうきんなヤツも間違いなく英雄だった。皆がクラスに意識が向いていたし、その中でそれぞれの英雄が確かに存在した。 けれども、そんな天才やアイドルなんていう英雄を遥かに凌駕し、クラス中で崇め奉られ、さらに簡単になれる英雄が存在していた。 何がそうなのかというと、ぶっちゃけ、学校にエロ本を持ってきたヤツが英雄だった。 全男子が神として崇め、そいつは一気にクラスのスターダムにのし上る。どんなパッとしない男だって、いじめられっこだって、もやしっこだって、エロ本を持って来たその瞬間から英雄。そんなシンデレラストーリーがいくらでも転がっていた。 当時中学生だった僕らエロガッパどもは、「遊人」という天才漫画家が描いたエロマンガに夢中だった。校内写生、ANGEL、美味しんぼパパ、それらのマンガは未曾有のエロさで、純情な中学生男子のハートを鷲掴み、空気入れすぎたタイヤみたいに股間をパンパンにさせて読んだものだった。
6/22 patoさんクッキング 最近、若者のマナーの低下が叫ばれています。 渋谷なんかに行くと、地べたに座る若者やゴミのポイ捨てをする若者、とても通常の精神の持ち主とは思えないメイクをした若者など、数多く見ることが出来ます。 戦時中、この国のために命を落として言った人々に、現状の渋谷を是非とも見ていただきたいと思っているのですが、そういうことを嘆いても何も始まらないような気がしてなりません。 そもそも、いつだってオッサンってのは若者のことを苦々しく思っているものです。僕らが10代後半くらいの頃だって、周りのオッサンはしかめっ面で見ていたに違いないのです。 そんなこんなで、「若者のことを訝しく思っても仕方ない」と、自分的にも若者どもを大らかに見てあげたい気持ちがあるのですが、ところがどっこい、人間ってのはそんなに綺麗にできているものではないのです。 大らかにしなきゃ、大概の事は許してあげなきゃ、と若者に触れる度に思っているのですが、どうしてもコンビニ前にたむろする若者だけは許せない。許されるのなら散弾銃でぶっ放してやりたい、そう思っているのです。 他に娯楽のない田舎町ほど夜のコンビニに若者がたむろする、と言います。未だにミサンガが流行している地域であるウチの近所でもその傾向は強く、毎夜毎夜、深夜になるとシャコタンブギみたいな車がコンビニに集い、明け方まで店先で大騒ぎしています。 何が楽しいのか知りませんが、店先の駐車用の縁石に腰かけてですね、鳥の巣みたいな頭をした若者がゲハゲハと談笑しあう、これがもう我慢しがたいほど腹立たしい。 でもまあ、いくら僕かてただ若者がコンビニ前でたむろしているだけで腹を立てているわけではありません。いくら僕が短気だといっても、それだけで腹を立てるわけがありません。ちゃんと、僕が彼らを憎む正当な理由があるのです。 あれは、1ヶ月ほど前の夜のことでした。 急に空腹に襲われた僕は徒歩でコンビニへと向かったのです。徒歩でいける場所にコンビニがあるってのは素晴らしく便利だよなー、そう思いつつ、7の看板のお店へと歩を進めたのです。 コンビニ前には、まるで街路灯に群がるそういう虫みたいに若者がたむろしておりました。マンガの中にしか登場しないようなハイパボリックの頭をした若者や、明らかに仲間内では”公衆便所”とか呼ばれてる頭も尻も軽そうな女の子がいました。 通り際にチラッと会話を盗み聞きしたのですが、誰と誰がやっただの、誰々がムカつくからしめるだの、そういった日本経済には何ら影響を及ぼさないであろうことを話し合っておりました。 ふっ、まあ、コンビニにたむろしたい気分だってあるわな そんな大らかな気持ちで彼らの横をすり抜け、店内へ。彼は食ったもののゴミとかポイポイと投げ捨て、明らかにマナーもクソもなかったのですが、それでも健やかな気持ちで眺めていました。 いつものようにお茶やら食い物やら、それと忘れてはならないエロ本を購入しましてね、颯爽と店を出ましたよ。相変わらず店の前にたむろしている若者はクソ邪魔で、迷惑以外の何者でもないのですが、それでも大らかな気持ちで通り抜けました。その瞬間でした。 「なー、コンビニでエロ本買うとかありえなくねー?」 たむろする若者の一人、その中のリーダー格の男が言いました。間違いなく僕の手に持つビニール袋の中のエロ本を指し、そう言いました。 「だよなー、っていうかエロ本買うってのが信じられない」 「そういうの買う人ってモテないんだよ、可哀想なんだよ」 それに応じるようにしてエロ本を貶める若者達。帰り行く僕の背中に正に後ろ指を差していく若者達。なんというかな、すげえ泣けた。 確かにですね、セックスと暴力に明け暮れている若者達から見たらエロ本を買うオタクなオッサンってのは物笑いの種だと思いますよ。でもですね、そういった人々を指差して笑う、そういうのってゴミのポイ捨て以上にやってはならないことだと思うんです。 あまりの悔しさにその日は泣いて暮らし、彼ら若者を忌み嫌ったりしたのです。それこそ「ジャイアン殺して僕も死ぬ」と言ったのび太の心境で沸々と殺意という名の悪魔を育てたものです。 こうして僕は、コンビニ前にたむろする若者を大らかな気持ちで見れなくなり、その日以来、いかにして彼らをギャフンといわせるか、いかにして彼らにたむろを止めさせるか、そればかり考えて暮らしている僕ですが、本日、その考えを改めざるを得ない事件が起こりました。 本日深夜、台風6号の接近の影響でしょうか、街は暴風に大雨にとてんやわんやの大騒ぎでした。それでも、ライフラインはコンビにのみの僕はコンビニに行くしかなく、ぐおおおおおおと強風に真っ向勝負で立ち向かって近所のコンビニに行ったのです。すると、 なんか、いつもの若者がコンビニ前にたむろしてた。 いつものようにグループではないのですが、リーダー格の若者が一人、それこそ未曾有の雨風をベチベチト受けてですね、それでもコンビニ前にいるんですよ。さすがに路面はビチョビチョですから座っていないんですけど、何かを待ってるかのように嵐の中を仁王立ち。何が彼をそこまで駆り立てるのか知りませんけど、とにかくびしょ濡れになって仁王立ち。 なんだ、最近の若者もなかなか見所あるじゃないか。 台風でも諦めずたむろする若者。その姿に感銘を受けた僕は彼のことを見直し、憎しみなど忘れて尊敬の念すら抱いたのでした。うん、ひどく感心しながら飯と飲み物とエロ本買って帰った。 ダメだダメだ言うけど、最近の若者もそうそう捨てたもんじゃない、そう思う事件でした。 まあ、台風の日も欠かさずにコンビニでエロ本買う僕も、たむろする若者も同じくらいダメダメなんだけどな。 マイナスな友情のなんと脆いことか。 マラソン大会のスタート前。寒い寒い冬の日でした。僕ら季節感のない小学生どもは半袖に半ズボンの体操服。今から走らねばならない数キロの道のりを想像し心底ブルーでした。 友人のT君が言いました。 「なあ、マラソンなんてダルいよな。一緒に適当に走らねえ?順位なんてどうでもいいじゃん」 「だな。競争するから疲れるんだって。いいよいいよ、一緒にマイペースで走ろうぜ」 そう協定を結んだ僕とT君でしたが、いざスタートの号砲が鳴るとT君は光の如き速さでダッシュしていきました。スタート前まで協定を結んだ友人同士だったのに、舌の根も乾かぬうちに赤の他人に。 序盤に飛ばしすぎたT君、バテてきたのかマイペースで走っていた追い抜かれました。あと数メートルでゴールという場所です。その瞬間、鬼の形相に変わり、最後の力を振り絞って僕を抜きかえしにかかるT君。まさに死力を尽くしたランニングでした。 ゴール前で迫りくるT君。スタート前、「一緒に走ろう」そう言っていたT君。彼が山姥みたいになって追いかけてくるのです。その豹変ぶりが子供心に何とも怖かったのを今でも覚えています。 ”マイナスな友情”ってのはいとも簡単に壊れるものだと思います。ダルイから一緒に走ろう、勉強せずにテスト受けようよ、一緒に追試うけようよ、彼氏なんてつくらないもんね、俺達30歳まで童貞を守って魔法使いになろうぜ、このように友人を巻き込み、ある意味足止めをするような行為を僕は”マイナスな友情”と呼んでいます。 一緒に何々しない、一緒に手を抜く、一見すると美しい友情のように見えますが、ところがどっこいそうではありません。逆に、一緒に何々をしよう、何かを達成しよう、一緒に頑張ろう、ってのはお互いに高めあう友情ですから”プラスの友情”で、非常に喜ばしいことなのです。 小学校の頃のT君のマラソン事件の衝撃が凄まじく、僕はこのマイナスな友情ってのが怖くて仕方ありませんでした。それに、大学生の時、コレと同様のマイナスな友情が引き起こした悲しい事件があったのです。 大学生の頃、僕はS君という男の子と友達でした。僕もS君も大のパチンコ好きで会ったその日に意気投合。瞬く間に親友と呼べる間柄になったのです。 そんな折、S君が言いました 「俺達、女なんかいらないよな。彼女なんか作らないよな!」 そんな誓いを立てなくてもお互いに彼女を作るのは難しいスペックである事は明白でしたが、いつの間にか僕らは彼女を作らない硬派な大学生パチンカーとなったのでした。 大学に行き、パチンコに行き、たまに勝てば一緒に酒を飲みに行く。そんな楽しい日々が続いたある日、僕はフラリとS君が住むアパートに遊びに行ったのでした。 「おー、いるかー?暇だから遊びに来ちゃったよー」 そういう僕に対して、玄関で出迎えたSは明らかに狼狽していました。 「いや、えと、その、あの」 明らかに様子が変でした。いつもは玄関先にズデーンとエロ本が転がっていて、ドアを開けた瞬間からほのかにイカっぽいフレグランスが漂ってくる彼の部屋でしたが、妙に整理整頓された玄関、部屋の中も無臭でした。 それよりなにより、玄関に小さくてカワイイ女物の靴が置いてありました。もうほんと、チョコンと、それでいて存在感抜群に置いてありました。 まさか・・・コイツの部屋に女性が・・・。 僕はあまりにビックリして尻こ玉が抜け落ちるかと思った。 とりあえず、玄関先で狼狽するS、そして部屋の中には彼女がいるでしょう。そして、「まずいとこに来ちゃったなー」と早くも後悔している僕。その微妙な空気に耐えかねた僕は 「なあ、パチンコでもいかねー?」 何をトチ狂ったのか、そんなことを口走っていました。そのまま部屋に上がって彼女とご対面とかマジ耐え切れなかったし、そのまま何事もなかったかのようにSと彼女に2人の時間を過ごさせるのも癪だった。そんな理由から出た言葉だと思います。 「え・・・?あ。うん、じゃあ、いこうか。あんま金持ってないからちょっとしか打てないけど」 僕を追い返せないと判断したSは、渋々靴を履き、僕とパチンコに行くことを決意。ああ、この重苦しい沈痛な空気から開放されると喜んだその瞬間でした。 「じゃあ、ちょっと、友達とパチンコ行ってくるね」 部屋の奥に向かって話しかけるS。そして 「はーい、いってらっしゃい(はあと)」 答える黄色い声。こいつらは一緒に住んでるんですか。 なんていうかな、そのラブラブっぷりにボットボトと連続で尻こ玉が抜け落ちる思いがした。敗北ってこういうことなんかなーってそれとなく感じられた。 結局、その後、Sと一緒にパチンコ行ったんだけど妙に余所余所しい微妙な雰囲気。お互いにあのスケの事は口にしないし、意識で触れないようにしてた。淋しいもんだよな。友達だったのに、彼女が出来たとたんこれだぜ。 そんな雰囲気のパチンコは全然楽しくなくて、持ってた金も強盗にあったみたいに素早くなくなっちゃったしでさ、お互いの家に帰ることになったんだけど、 「ちょっと待って、タバコ買ってくるわ」 と、自販機に向かっていったS。見ると、タバコじゃなくて、自販機の横の小さい自販機でコンドーム買ってた。遠目で良く分からなかったけど、間違いなくアレはコンドームだった。コンドームだった。避妊具だった。 それを見た僕は思いましたよ。ああ、敗戦とはこういうことなのかと。太平洋戦争を戦った僕のお爺ちゃん、きっと玉音放送をこんな気持ちで聞いてたんだろうなって。その夜は友に裏切られた気持ちと敗北感を胸に、家に帰って熱烈オナニーをしたもんです。 結局ですね、僕はこういったマイナスな友情が大嫌いなんですよ。凄く青臭いことを言えば友情ってのはお互いを高めあったり助け合ったりするものであって、甘やかしあって足を引っ張り合うものじゃないと思うんですよ。 ゆっくり走ろうね、一緒に赤点とろうよ、彼氏彼女なんて作らないでいようね、なんてことはね、ただの甘えでしかないし足の引っ張り合いでしかない。 それにね、言い出したヤツが先に裏切るんですよ。こういうの言い出すヤツって、本当はマラソンで1つでも順位上げたいし、彼女が欲しくて仕方がないんですよ。で、その焦りがマイナスな友情に現れる。そういう気持ちだから裏切るのは火を見るより明らか。 あの日、鬼の形相で僕を抜きにかかったT君。知らぬ間に彼女を作っていたS。いつだってマイナスな友情を言い出した方が裏切って先に走っていっちゃう。勝手に足枷をはめておいて、自分だけとっとこ先に行っちゃう。だから僕はマイナスな友情が嫌いなんです。もう絶対にそんな友情には乗るもんか。
「俺は絶対に年金なんか払わない。どうせ払ったって貰えないんだから、払わない。な、払わないよな?」 と、物凄い剛毛な鼻毛を出しながら言ってました。年金を払わなよな、というマイナスな友情を持ちかける関口。それを受けて僕は、 「あたりめえだよ、払うヤツはバカ。払うもんか!」 と、もう一度だけマイナスな友情に乗っかることに決めました。なぜなら、僕はサラリーマンで自動的に年金を払ってるから。払うも払わないもなく、既に払ってるから。 あの日、僕を裏切って先に走っていったT君、そしてS。今度は僕が先に走る番だ、年金制度問題のエトセトラとか考慮せず、単純に関口を裏切って払っている自分が嬉しくて仕方ない。見てろよ、関口!走り去ってやるからな!と沸々と闘志を燃やしたのでした。 ちなみに、このマイナスな友情の裏切りが判明するのは40年後ぐらいの年金の受給が開始してから。それまで関口と友達でいるかというと、その可能性は限りなく低いと思う。 見てもないのに映画レビュー、息もつかせぬ急展開の後編をどうぞ。 ----前編のあらすじ---- 後編 対峙するかつての盟友、ハリー&ポッター。 「アズカバンという名前を聞いてピンときたよ、ポッター。いつも言ってたもんな」 そっと懐に忍ばせたマグナムに手をかけながら話しかけるハリー。 「ああ、やっぱり親父のこと、忘れられないんだろうな・・・」 いつも聞いていた話だった。ポッターの親父はポッターが5歳の頃、終身刑になった。当時はニューヨークに住んでいたポッター一家、そこで親父は2年間で実に5000人の女性をレイプしたのだった。当時、「摩天楼の連続強姦魔」としてニューヨーク中が恐怖に震え上がったと記録に残っている。 「終身刑になった親父はいつも”アズカバン”とだけ書いた手紙を獄中から送ってきた。そうだったよな」 「ああ、そうだ。意味なんかわかりゃしねえ。けれどもな、その言葉だけが俺の中の親父の思い出だった。そして、刑務所という場所のイメージだ」 「だからアズカバンという名前を・・・ポッター、お前が暴動の首謀者なのか?」 「違う、俺はただフランクにそう提案しただけだ。暴動の提案に乗っかり、開放同盟の名前をそう提案しただけだ。フランクは最初から暴動を起こす気だったぜ」 「フランク・・・そいつが首謀者なのか・・・?」 ポッターはうなずかなかった。しかし、お互いに分かっていた。ここで殺しあうことになるだろうと。ポッターだって譲れない信念があって開放同盟に参加したのだろう。もちろん、ハリーだって悪を許せない。先に進まねばならないのだ。お互いに信じた道は何があっても譲らないのだ。 「久々にやるか?」 「ああ、ちょっとは腕前上げたのか?」 署内の道場でいつも手合わせしていた2人。しかし、今は手合わせなんかじゃない、本気の殺し合いだ。ああ、どうして2人が殺しあわねばならないのか・・・。 「そこにいるのは誰だ!」 突如、通路横からサブマシンガンを持った囚人が現れる。開放同盟の見張り役だろう、ハリーに向かって発砲してきた。 「ちっ、ひとまず撤退だ」 敵の急襲に撤退するハリー。ポッターと殺し合わなくて済んだことにどこかホッとしている自分がいた。そして、銃を構えたまま同じような表情をしているポッターがいた。 刑務所を出て本部に戻ったハリー。早速捜査員に「フランク」という囚人について調べるように指示する。その時だった。 捜査本部に置かれた無線が突如鳴り出したのだ。 「国内全ての刑務所内にて同時多発的に暴動が発生。国内全ての刑務所で暴動発生中」 「ば、ばかな・・・!?全ての刑務所で暴動が?」 パニックになる捜査本部。その中でハリーだけが冷静に、「こりゃあ、ただの暴動事件じゃない。もっと大きな背後関係があるはずだ。じゃなきゃ同時多発暴動など・・・」 そこに若い捜査員が小走りにやって来る。 「フランクのことが分かりました。ヤツは詐欺罪で懲役12年で服役中の囚人です」 「ほう、詐欺罪・・・どんな詐欺だ?」 「はい、どうも宗教団体の代表らしく、信者からのお布施に関するトラブルがあったようです」 「なるほどな、これで全てが繋がった」 とまあ、ここからハリーの謎解きが始まるわけです。詳しくはまだ見てない人のためにネタバレを防ぐために書きませんけど、結果だけ書くと、フランクがやっていた宗教団体はインディアン部族の流れを汲む宗派で、虐げられてきた自分達が開放されることで真の幸福を得るという教義を持っていたのです。「抑圧から解放される時に真の幸福が訪れる」と。 そこでハリーはピーンときたのです。連続していた動機不明の凶悪犯罪。これは信者達の手によるものなのじゃないかと。抑圧から解放されるためには抑圧される必要がある。教祖のフランクをはじめ、彼らが選んだ抑圧とは「懲役」でした。そしてそこから開放されるために暴動を起こしたのです。全ては教義を実現するために。 しかし、連続していた犯罪の犯人は全て関連性のない人物でした。これは、フランクの教団がネットワーク型宗教という新しいスタイルの宗教で、インターネットを介して活動していたからで、信者同士の繋がりが分かりにくくなっていたのです。 「答えは分かった。暴動をは全てフランクの信者達が中心になって起こしている。ならばフランクを捕まえれば全ての暴動が収まるってわけだな」 マグナムに弾を込めながら決意するハリー。フランクを取りに行く以上、ポッターとの対決も避けられない。けれどもハリーは行かねばならないのです。 でまあ、またも無鉄砲にも単身で刑務所内へと突入するハリー。この辺は割愛しますが、とにかく凄いアクションです。並み居る囚人を千切っては投げ千切っては投げ、とにかく鬼無双の大立ち回り。きっと、怒りがハリーを鬼に変えたのでしょうね。 そして、ついに刑務所屋上での最終決戦に臨むハリー。闇の中を照らす投光器の先にはポッターとフランクが立っています。 「キサマがフランクか!こんなことをしてどうするつもりだ!?」 「ふふふ、しれたことよ」 黒マントを翻すフランク。ふてぶてしく答えます。そして、その横で仁王立ちのポッター。 「フランク、貴様がやりたいのは教義を実現することじゃないのか!?自らで勝手に抑圧し、自らを解放する、そういうことじゃないのか?」 「フハハハハハハ、愚かな。確かに信者を言いくるめるためにそのようなことを言ったわ。けれどもな、真の狙いはそんなものではない。私の真の目的は長年虐げられてきた我が部族の開放、それだけだ。現政府の転覆、それには全犯罪者の解放が一番手っ取り早いのだ」 「くっ、コイツ、狂ってやがる・・・」 「さあいけ、ポッターよ、邪魔する者を片付けるのだ!」 武器を構えてにじり寄るポッター。迎え撃つハリー。やはり2人の衝突は避けられないのです。 でまあ、2人の対決は間違いなくクライマックス。お互いに涙を流しながら一進一退の殴り合い。もう、とにかく凄い戦闘シーンで、あまりに過酷な撮影のためか、このシーンの撮影でADが8人死んだらしいです。 「ゆるせ、ポッター」 最終的にはハリーの勝利。ハリーが放ったマグナムの銃弾はポッターの胸を捉えました。 「ポッタアアアアアアアア!!」 自分で撃っておきながら叫ぶハリー。スローモーションになり、二人の思い出が走馬灯のように流れます。さらばポッター、さよならポッター。 「フランク、キサマだけは、キサマだけは絶対に許さん!」 ポッターの死体の横で怒りを燃やすハリー。死に物狂いの表情でフランクに飛び掛ります。 しかしながら、フランクが強い強い。相当武術を習得しているらしく、怒りに燃えるハリーを子ども扱い。一気にフェンス際まで追い込まれたハリー、もう一押しで屋上から転落するところまで追い詰められます。 「フハハハハ、コレでお終いだ、死ね!」 その瞬間でした。 ズキューーーーーン 背後からフランクの頭部が撃ち抜かれました。そしてそのまま、声とも悲鳴とも付かぬ音を立てて倒れこむフランク。命拾いしたハリーが銃声がした方を見てみると・・・ 「ポッター!なんでお前!」 そこにはポッターが立っていました。 「防弾チョッキさ!」 なんでも、ポッターは内偵調査のために刑務所に入り、フランクに近づいていたそうです。FBIはフランクが興した宗教の不安な動きをいち早く掴んでいました。そして、その企みを阻止するため、ポッターに内偵調査を命じたのです。 「じゃあ、お前が起こしたあの犯罪は・・・」 「そんなの嘘に決まってるじゃ」 ポッターがそう言いかけた時、何処からともなく声がしました。 「いいや、本当だ!」 チョッパー課長でした。 「ポッターが幼女にイタズラをして逮捕されたところまでは本当だ。けれどもな、ポッターは司法取引をしたんだよ。捜査に協力するなら無罪放免にする、そう取引して内偵調査に当たっていたんだ」 「てへ、ばれちゃ仕方ねえや!かわいかったなあ、あの子」 「コノヤロウ、心配したんだぞ!法廷にまで立たせやがって!」 「メンゴ、メンゴ」 こうして、いつものハリー&ポッターコンビが復活したのです。 「なあ、ハリー、いつものセリフ言ってくれよ」 「そうだな・・・・。アズカバンの囚人はみんなの心の中にある。白人も黒人も関係ない」 感動しました。 そして意味も分からずはしゃぐポッター。 「ひょー、意味わかんねえけど最高にクールだぜ」 「さあ、帰ろう、ロスで山ほどの事件が俺達を待ってる」 ヘリに乗り込むハリーとポッター、そしてチョッパー課長。機体は静かに飛び立ち、シカゴの夜景を映し出します。 「なあポッター、俺な、お前の親父さんが残した言葉の意味、実は知ってるんだ」 「ん?アズカバンの意味か?」 「ああ、アズカバンはアフリカ奥地の言葉で”しゃくなげの花”の意味なんだ、そして、”しゃくなげの花”の花言葉は”愛する者への謝罪”。親父さん、お前に謝りたかったんじゃないのかな」 「・・・・親父」 誰もいなくなったシカゴ刑務所、その周りをぐるっと囲むように、しゃくなげの花が咲き誇っていました。まるで誰か愛する人に謝罪するかのように。 とまあ、後はシカゴの夜景とヘリを映しながら、エンディングテーマであるエミネムの「俺達ひょうきん族」が流れ、感動のうちに終ります。全体として親子愛やら熱き友情、人種差別問題などをリリカルに演じ、果ては戦争批判まで。それらがなんの抵抗もなくスーッと心に入ってくる感じがして最高に感動しました。いい映画だと思いました。 評価☆☆☆☆☆ 次回の見てもないのに映画レビューは、「ハリーポッターと炎のゴブレット」公開時です。予告編によると、ロサンゼルスに突如として現れた巨大ロボット、それに対抗するためにロス市警はハリー&ポッター型巨大ロボットを製造。いつもの2人がロボットになってハチャメチャ大暴れ、NASAまで巻き込んでさあ大変。というイメージらしいです。サブタイトルは「ハリーポッターとロボット大戦争」ご期待ください。
6/16 ハリーポッターとアズカバンの囚人 シリーズを通しての主題歌であるジャネットジャクソンの「妾の恋」が流れる。このナンバーが流れると、ああ、ハリーポッターが始まるんだなと感じるから大したものだ。ロサンゼルスの町並みを一通り映しながらキャストの紹介、そして物語が始まる。 「ヒャッホー!」 この辺の部分では回想シーンで、幼女に変態的にイタズラするポッターが出てくるんだけど、コレが妙に生々しくてグッド。このイタズラされる女の子役はオーディションで選ばれたらしく、妙に素人っぽいカワイイ子です。 殺人課の面々もこのニュースにビックリ仰天。しかし、シカゴは管轄外ということもあるのだろうか、その顔はどこか余裕を感じさせるものだった。制服の黒人警官などは「やるぅー」と言わんばかりに口笛を吹く仕草を見せていた。しかし、ハリーだけは違っていた。 「開放同盟アズカバン・・・まさか・・・」 何かを思い出すかのようにハッとするハリー。そこに一本の電話がかかってきた。 「残念ながら他人事じゃなくなった。応援要請だ。ハリー、シカゴ刑務所まで至急行ってくれ」 こうして、ハリーは暴動の起きるシカゴ刑務所に行くことになったのだった。 シカゴ刑務所。 物々しい警備、刑務所の外周をぐるっと無数の警官とパトカーが取り囲んでいる。 そこに颯爽とヘリで現れるハリー。ムチャクチャカッコイイ、痺れる。 「首尾はどうだ?」 対策本部に乗り込み、現場責任者のジャッカル刑事と話をするハリー。 「はい、開放同盟の交渉役にあたる囚人が、あなたを出せと要求してきました。それで急遽ロス市警に応援要請を出しました」 「なに?俺を名指し?やはりか・・・、いいだろう、俺が交渉に行こう」 アルマーニのスーツ、その上着を脱ぎ、刑務所の入口へそっと近づくハリー。取り囲む警官隊に緊張が走る。固く閉ざされた刑務所の扉は、まるでハリーを迎え入れるようにユックリと開く。そこに単身で乗り込んでいくハリー。 内部へと続く薄暗い通路、射殺されたのだろうか、看守の死体が無造作に数体転がっていた。そして、その先に一人の男が立っていた。交渉役の開放同盟メンバーだ。 「ふ、やっぱりな。久しぶりじゃないか」 「お前こそ、まさかこんな形で会うとはな」 そう、開放同盟アズカバンの交渉役が立っているであろうその場所には、他でもないポッターがヨレヨレの囚人服を着て立っていた。 性犯罪で捕まり服役中のポッター、かつての相棒が、敵としてハリーの前に立っていた。どうなる!?ハリー&ポッター!? 長いのでつづく 子供の頃、どうしてもサーカスに行きたかった。 僕が小学生ぐらいの頃だっただろうか、いつも母親と車に乗って通る自衛隊基地の横の広大な空き地に、突如として大きなテントが現れた。 カラフルであるが、どこか色褪せているテントは魅惑的で、幼き日の僕の心の琴線をブルブルと振るわせたものだった。あのテントはなんなんだろう。あんな大きいテントなんてアリなんだろうか。考えることはテントのことばかりだった。 しばらくして、そのテントの正体はサーカスであることを知った。数ヶ月ごとに地方を転々とするサーカス。たしか「木下大サーカス」だったと思う。娯楽もない閉鎖的な田舎町にとってサーカスの到来は話題性抜群で、学校で皆が口々に噂していた。 なんでもクマとかトラとか猛獣が出るらしい。 空中ブランコがあるらしい。 それはそれは楽しい夢のひと時らしい。 噂が噂を呼び、頭の悪い児童たちはたちどころにサーカスの虜になった。「俺も行きたい」「親に頼んでみる」、とにかく、誰が話題のサーカスに行くことが出来るのか、それだけが話題の焦点だった。 とにかく子供にとってサーカスってのは魅力的で、映画「マイライフ」でも子供時代のサーカスにまつわるエピソードが登場し、涙を誘ってくれる。それだけ僕ら子供はサーカスに魅了されていた。 映画館すら存在しなかった田舎町。一年に一度だけ市民会館に大長編ドラえもんの上映がやってきていたのだけど、どういう繋がりかその映画の割引券が必ずと言っていいほど学校で配られていた。そして、今回のサーカスの入場割引券も、どういう繋がりか知らないけど学校で配られていた。 今でも忘れない、禍々しいトラのアップの写真があって空中ブランコの写真がある。あの魅惑のテントの中身をふんだんに表現した割引券だった。たかが割引券、されど割引券。 この割引券配布は頭の悪い児童には効果覿面で、普段は大切なプリントすら家に持って帰らない僕ですら大切に大切に、余った分まで大量に持ち帰った。 「サーカスに行きたい、観に行きたい。これ、割引券」 家に帰り、元服を迎えた青年のように神妙な面持ちで親父に申し出る。しかし、端から分かっていたのだが、ウチの親にこんなことを言っても絶対に通用しない。欲しい物を買ってもらえることなんてなかったし、行きたい場所に連れて行ってもらえることなんてなかった。最初から分かってることだった。 それに、ウチの親父はサーカスだと演劇だとか映画だとか、そういったものを観るという行為が大嫌いだった。なんでも他人に見せられる、つまりは魅せられるという事実が極度に悔しく腹立たしいらしく、見るたびに歯がゆく思うらしい。つまり、プロ野球を観ては野球を出来ない自分が歯がゆいし、サーカスを見ては空中ブランコができない自分を歯がゆく思うらしい。だから、絶対に無理だって分かっていた。 「ダメだダメだ。サーカスなんてつまらん」 案の定、親父の返答は軽々と予想できるものだった。けれども、僕だってただでは引き下がらない、ちゃんと代替案を用意して親父との交渉に臨んでいたのだ。 「今度のテストで100点取ったら連れて行ってよ」 100点を取ったら連れて行け、そんあ条件を出したのだ。正直、いくら激烈に簡単な小学校のテストとはいえ、青っ鼻垂らした救い様がないバカだった僕にとっては厳しい条件だった。100点なんて夢のまた夢、夢の中で、だった。 「おっしゃ、100点取ったら連れていったるわ」 親父も「絶対無理」そう悟ったのか気さくに了承してくれたのだった。それからが戦いだった。 全然勉強なんてしたことないのにとにかく勉強。100点を取るため、サーカスに行くため、とにかく勉強して勉強しまくった。クラス一の優等生に勉強を教えてもらったりもしたし、先生にも質問した。とにかく分からない場所は何としても分かるまで勉強した。 その甲斐あってか、その後に実施された理科のテスト、あろうことか見事に100点だった。もう、受け取った瞬間に膝がガクガク震えるし、「よく頑張ったわね」っていう先生の労いの言葉も聞こえないくらいだった。 いける、これでサーカスにいける。トラも見れるし空中ブランコも見れる。大興奮だった。100点取った喜びよりサーカスを見れる喜びの方が明らかに大きくて、まさに五里霧中、夢見心地な瞬間だった。 どうだ、100点取ったぞ。サーカス連れて行け、さあ連れてけ、ホレ連れてけ、と実際に言うと間違いなく殴られるので、言わんばかりの表情で親父に100点の答案を見せました。 まさか本当に取ってくるとは思っていなかった親父。ぐうの音も出ないといった表情でマジマジと答案を見つめ、「約束だ、仕方ない」とサーカス行きを了承するのだった。 これには大歓喜だった。ついに、あの、憧れのサーカスにいける。夢のようなあのテントの中にいける。これほど喜んだことがあっただろうかという勢いで喜んだ。そして、付随して一緒に行けることになった弟もまた大喜びしていた。 「やった、サーカスいけるよ、お兄ちゃん」 「やったな、お兄ちゃんが100点取ったおかげだぜ」 微笑ましい兄弟愛も見られ、僕らは手と手を取り合って喜んだものだった。 サーカスには次の休みに連れて行ってもらえることになった。その日まで僕ら兄弟は結婚前の新婦みたいな落ち着かない日々を過ごし、サーカスの到来を待ち侘びていた。 行きたい、早く行きたい、クマを見たい、トラを見たい、空中ブランコを見たい。いけると分かっているのだけど、その日の到来がまどろっこしくて仕方ない。早く週末にならないか、休みにならないか。そんなことばかり考えている兄弟がいた。そして、その想いが爆発する。 「サーカスごっこ」 サーカスを待てないバカ兄弟が考え出した遊びだった。思えばコレが不幸のどん底への第一歩だった。 これは、近所の6区子供会公園という場所にあった遊戯具を使った遊びだった。近所の大工が調子に乗って作ったみたいな微妙にアスレチック風な遊戯具の一部に、少しばかり高い場所をロープを伝って移動するものがあった。 横に伸びた丸太から垂れ下がった何本ものロープを伝い横に移動していく。それだけの遊戯具だったのだが、バカ兄弟はコレを利用してサーカス遊びをすることを思いついた。 まあ、簡単にいってしまえば空中ブランコ遊びなのだけど、何本も垂れ下がったロープをほとんど丸太の支柱に巻きつけてしまい、端っこの二本だけにする。で、その二本を使って空中ブランコみたいにアクロバティックに遊ぼうというものだった。バカとしか言いようがない。 端のロープに僕がぶら下がり、もう一方の端に弟がぶら下がる。ここから反動をつけて左右に動き、あわよくば弟の方のロープに飛び移ったりしたかったのだけど、怖いからやめておいた。で、 「おい!早く飛び移って来い!」 怖くて出来なかった僕は弟にそうするように命じた。兄の命令は絶対である弟、逆らえずに反動をつけて動き出す。その動きはまるでサーカスみたいで、間近に迫った本物のサーカスを身近に感じさせてくれるものだった。 「よし!今だ飛び移れ!」 今考えると、この遊戯具のロープはそんなに長くなく、子供一人がやっとぶら下がれるくらいの長さだった。なのに、僕と弟の距離は3メートル以上あり、たとえカールルイスでも飛び移れないものだった。 「い、い、い、い、いくよ!」 兄の命令に逆らえず、目を瞑って覚悟を決めたかのように宙を舞う弟。エネルギーを失い、僕の目の前で無残にも落下していく弟。無残に地面に叩きつけられる弟。ボシャっという聞いたことないリアルなサウンド。全てが忘れられないものだった。 「ぎゃああああああああ」 弟の断末魔の叫び。どうも落ち方が悪かったらしく、明らかに体の一部分に異常をきたした悲鳴だった。 弟を愛して止まない僕は遊戯具から降り、狂ったように痛がっている弟に駆け寄った。 ゆあーん ゆよーん ゆあゆよん そんな擬態語が適切なほど、弟の右腕はプラプラと揺れていた。後に医者に行って分かったことだが、弟は骨折まではいかないものの、右肩を脱臼していたらしい。本気でロープに飛び移ろうとした結果、肩口から地面に叩きつけられたのだろうか。 もちろん、泣き叫ぶ弟を家に連れて帰ると我が家は大騒ぎ。やれ病院やら、やれ湿布やら、支える木をくくりつけたほうがいい、だとか、父と母が右往左往の大騒ぎだった。 もちろん、弟が医者に行った後は怒りのアフガンと化した両親にこってり絞られ、親父には頭の形が変わるぐらい怒られた。まあ、当然のことだけど、サーカスの話もお流れに。 今でも思うことがある。あの時憧れていたサーカスのテント小屋の中、あの中には一体どんな世界が広がっていたのだろうか。それは、夢もクソもないこの世界に潤いを与えてくれるものだったのだろうか。空中ブランコのようにゆあーんゆよーんと揺れる弟の右腕を思い出しては切ない気分になるのだった。 「お前は頭の中がサーカスなのかっ!」 その時、烈火のごとく怒っていた親父が僕に投げつけた言葉。この言葉の意味は今でも分からない。 へへ、やっぱり血には抗えないもんだな。またこの戦場に舞い戻ってきちまったよ。 今を遡ることおよそ2ヶ月前の4月、テレビとビデオという戦友を同時に失った俺はエロビデオから引退した。血で血を洗うエロビ闘争から一歩身を引き、悠々自適の隠居生活、そうなるはずだった。 けれどもな、一度染まっちまった血ってのはなかなか元にゃ戻らねぇ。俺の中を脈々と流れるエロビソルジャーの血が、ピンク色の血が、平穏な日常を許しちゃくれないのさ。 泣き叫ぶ妻子を置いて俺はまた戦場に舞い戻った。レンタルビデオショップのエロビデオコーナーという名の戦場。広さたった四畳半ほどの小さな戦場。甘えも妥協も命取りでしかないこの世界に舞い戻ってきたんだ。 俺の装備は心もとない。相変わらずテレビも、ましてやビデオもありゃしねぇ。けれどもな、戦場でそんな泣き言を言うヤツなんていやしねぇ。ココじゃあ装備よりも魂だ。それに、今は便利な世の中になったな、俺にはDVDってやつがある。これだけありゃあいくらでも立派に戦ってみせらあ。 くくく、やはりココは戦場だぜ。どいつもこいつも焼け付くようなギラギラした目をしてやがる。ハズレのビデオを選ばないように、間違って最新作を借りてしまわないように、予算内に収まるように、どいつもこいつもナイフみたいな目をしてやがる。 四畳半ほどの広さの戦場に、俺を含めて3人もの男がいやがる。他のナヨナヨした男とは違う、牙を持った男達、それも信じられないくらい研ぎ澄まされてやがる。 俺には分かってるぜ。お前らも信念があってこの戦場にいるんだよな。男には自分の世界がある。例えるなら空を翔ける一筋の流れ星(ルパンザサード)。 おっと!いきなり死のカーテン(注1)か。相変わらず手加減もクソもありゃしねえ。ブランク明けのこの俺に情け容赦なく死のカーテン。へへ、鬼どもが棲む世界はこうでなくちゃな。 (注1 死のカーテン−エロビデオを選んでいる人の前に立ちふさがり、選ぶのを妨害する行為。エロビソルジャーとしてはローキック並みに基本) 俺の前に立ちふさがる今時風の若者。名前はリトルジョン。なかなか良い動きしてるじゃねえか。だがな、移動の際に左肩が開く癖はいただけない。それじゃあ死のカーテンの意味がないぜ。おっと、ついつい先輩風吹かしちまった。ここじゃあ全員敵だったな。敵対心も忘れて忠告とは、俺も年取ったもんだぜ。いやいや、ブランクのせいかな。 おっと、こちらのオタク風のお兄さん(サンダース)はゾーンディフェンス(注2)か。この動きを見ると、俺は戦場に帰ってきたんだなあって思うよ。 (注2 ゾーンディフェンス−目ぼしい作品をキープしまくり他の人が借りられなくする手法。ガッチリキープした作品群から吟味し、最終的に借りる作品を決める。堅実派ソルジャーが好んで使う戦略) この世界は何も変わっちゃいねえ。いつまで経っても戦場は戦場だ。今日が復帰戦だって甘ったれた気分も吹き飛んじまった。さあて、俺も極上のエロDVDでも借り漁るか。見てろ、リトルジョン、サンダース、これがプロのエロビソルジャーのエロビチョイスだ! ブランクもものともせず借りまくる。いや、駆りまくる。そう、コレだよコレ。俺が求めていたものはコレだ。平穏な日常なんてクソ喰らえ、男と男のプライドを賭した戦い、生きてるってこういうことなんだ。 血を沸騰させながらエロDVDをキープしていく。その様を見て格の違いってヤツを悟ったのか、リトルジョンはスゴスゴと退散した。妥協して選んだのだろう、数本のエロビデオを大事そうに抱え退避した。戦場に背を向けた男、リトルジョン。なあに、まだ若いんだ、いくらでもやり直せるさ。 さて、そろそろ俺の方もサンダースに引導を渡して仕上げにかからなきゃな。おや?さっき戦場に背を向け、数本のエロビデオを持ってカウンターに行ったはずのリトルジョンが戻ってきやがった。一度戦場に背を向けた男が戻ってくる、これは只事じゃないぜ。 ふと棚の隙間からカウンターを覗いてみる。一体リトルジョンの身に何が起こったのか。ヤツを戦場に舞い戻らせたものは何なのか。塹壕から覗き込むように確認した。 バ、バカな!カウンターの店員がカワイイ婦女子に代わってやがる! おかしい。さっきまでは屈強な憲兵みたいな店員だったはず。確かにそうだ、店に入った時に確認したはず。確かに憲兵だった。それが、今やカワイイ婦女子に。これだから戦場ってヤツは恐ろしい、何が起こるか分かったもんじゃねえ。 男店員だと思ってエロビを持っていったらカワイイ女に代わっていた。それでリトルジョンは血相変えて戻ってきたってわけか。 確かに恐ろしい。ビデオ屋の女性店員は地雷原みたいなもんだ。うっかり足を踏み入れたらとんでもないことになる。できれば避けて通りたいものだ。 でもな、戦場において「地雷原だから通れない」は通用しねえ。そこが地雷原だろうがなんだろうが先に進むのみ。俺たちエロビソルジャーは不器用だからな、それしかできねえんだ。 「このままじゃ、いつまで経っても行けない。よし、勇気を出して行ってみよう!」(リトルジョンの心の声) 「まちな」(俺の心の声) 「え・・・!」(リトルジョンの心の声) 「あたら若い命を散らすでない。お前はまだ若いんだ。俺が行く」(俺の心の声) 「そ、そんな、だって俺・・・アンタが選ぶのを邪魔したり・・・」(リトルジョンの心の声) 「なあに気にするな。昨日の敵は今日の友。一緒に戦ったらもう戦友さ」(俺の心の声) 「俺・・・俺・・・」(リトルジョンの心の声) 「女店員は俺がひきつける。その隙にオマエらは周り込んで男店員の方を突破するんだ、いけ!リトルジョン!サンダース!」(俺の心の声) 「隊長・・・!」(リトルジョンとサンダースの心の声) うおおおおおおおおおお。塹壕を飛び出し、迫り来る砲弾をかいくぐって敵将の元に辿り着いた俺。早速、吟味したエロDVDを差し出す。「レイプ!レイプ!レイプ!」タイトルだけで10年くらい懲役になりそうなDVDを麗しき女店員に差し出す。 「会員証をお願いします」 「なにをやってるんだ。リトルジョン、サンダース。早く、俺がひきつけてる間に周りこめ!」(俺の心の声) 会員証を受け取り、バーコードを読み取る女店員。その隙にリトルジョンとサンダースが塹壕を飛び出し、男店員の方に回りこむ。これでいい、これでいんんだ。そんな心配そうに見るな。老兵は死なず、ただ消え去るのみ。年老いたロートルが若い世代にしてやれることなど、これくらいのものだ。 「あれ・・・あれ・・・?」 戦場ってヤツは魔物が棲んでいる。何が起こるかわかりゃしねえ。女店員は必死でエロDVD「レイプ!レイプ!レイプ!」のバーコードを読み取ろうとするのだけど、全然読み取れない。 「田中さん、バーコードが・・・」 女店員は横の男店員に懇願するように話しかける。 「んあ?なんのソフトが読み取れねえの?ソフトによってたまにあるんだよなー」 「レイプ!レイプ!レイプ!です」 ごふっ! やられちまった。やられちまったぜ。これじゃあ晒し者じゃねえか。婦女子の口から借りたエロDVDのタイトルを言われる。間違いなく致命傷じゃねえか。 「リトルジョン、サンダース、良く聞け。俺はもうダメだ。敵の次の砲撃が来る時、俺はもうこの世にいないだろう」(俺の心の声) 「隊長ーーー!」(リトルジョンとサンダースの心の声) リトルジョンとサンダースは、俺の横の列に並びながら悲しげな目で、悔しげな眼差しで見ている。 「なあ、今度生まれ変わったら戦争のない世界で過ごせるのかな。俺達ソルジャーが気兼ねなくエロビデオを借りられ、誰と争うこともなく好きなエロビデオを借りられる、そんな世界が来るのかな・・・・ガクッ」(俺の心の声) 「隊長ーーー!」(リトルジョンとサンダースの心の声) リトルジョンとサンダースをかばうため、若き次世代に自分の意思を受け継がせるため、戦死したはずだった。しかし次の瞬間、奇跡が起こった。 「あー、いいよ。こっちでやるから。貸して」 男店員は俺の「レイプ!レイプ!レイプ!」を女店員から受け取ると、自分のレジで処理し始めた。すんでの所で命拾いだ。そして、 「お待ちのお客様、こちらにどうぞー」 手が空いた女店員のその言葉は、他でもないリトルジョンとサンダースに向けられていた。 リトルジョン、サンダース、戦死。 エロビデオコーナーという名の四畳半の戦場。ココでは何が起こるのか分からない。少しでも気を抜けば即座に命を落とすことになるだろう。 あばよ、リトルジョン、サンダース。お前らの墓参り、ちゃんと行ってやるからな。いや、俺らに墓参りなんて似合わないな。お前らが命を落としたこの場所に、お前らの大好きなエロビデオ持って来てやるからな(1週間後に返却しに)。 はい、というわけで、半年に一度のNumeriオフが地獄のマッドシティ大阪で開催されます。日時は7月18日、この日は日曜日にあたりますが、次の日は海の日で休みという素敵な日程です。 気になるオフの内容ですが、当初は本気で大阪ドームで野球をやるつもりでしたが、大阪ドームの使用予約をする日にpatoとかいう人が劇的に寝坊したらしく、予約できなくなったそうです。 そんなこんなで、急遽新しい内容を考えまして、今回の大阪オフは以下のような内容に決定いたしました。 Numeri-OFF Osaka 2004 屋形船でクルージングだオフ なんかpatoとかいう人が「屋形船に乗りたい」とか訳の分からないことを言い出したみたいで、値段が高いとか船酔いとか全く考慮せず、コロッと屋形船オフに決まったようです。 そんなこんなで、7/18の夕刻頃からモサッと屋形船を借り切って飲めや歌えやの大騒ぎをしますので、まあ、参加してやるかって人は適当に参加してやってください。 日時:7/18 PM19:00- ちなみに、夏に開催されるオフ恒例としまして、浴衣などの和装で来られた方は2500円オフという大盤振る舞いを発揮したいと思います。和装で来られた人数分が僕の赤字に直結しますので、できれば洋服で来て下さい。 今回のオフはキャラバンなどと違い参加表明が必要です。船を押さえる関係でどうしても人数を把握しなければなりません、そんなに参加しないと思いますが、50名前後で打ち切りにしたいと思います。よろしくお願いします。 オフのたびに5万円くらい赤字を出す僕ですが、今回は一体どれだけ赤字を出すのか、今から楽しみでなりません。 ということで、皆さん、7/18日、大阪で会いましょう! あ、もちろんキリンを観に行く0次会もやるよ。
6/9 悪魔はそっとドアをノックする 日曜日の朝っぱらからパチンコ屋に並ぶヤツはクズです。今日は127番台が出るかな、ちくしょう今日は寝坊しちまって列の後ろの方だ、お目当ての台取れるかな、うわ、またあの常連軍団が列に横入りしやがったよ、殺してえ、などと朝っぱらから悶々とするのは精神衛生上よろしくありません。 おまけに丸1日かけて休日をパチンコに費やすなど愚の骨頂。金も減るし精神的ストレスも相当なもんです。そう、間違いなく言える、休日をパチンコに費やすなど愚か以外の何者でもない。 最近やっとこさその事実に気がついた僕は、休日パチンコを止め、日曜日は人並みに優雅に過ごすことにしたのでした。うん、真っ当な日曜日を過ごすことにした。 朝も早くから起きてまだ人通りの少ない並木道を歩く。心地よい木漏れ日を受けながらあてもなく歩く。これだけで自分が至極真っ当な人間に思えるから不思議なものです。朝っぱらからパチンコ屋に並んでると自分はカスかそれ以下にしか思えないけど、並木道を歩けば普通レベルになれる。人間なんて簡単なものです。 そんなこんなで、フラフラと、太陽の光に溶かされそうになりながら、慣れないことするもんじゃねえな、と早くも後悔しながら歩いておったのですが、ふと前方を見ると何やら異常というか異変というか、静かな田舎町の朝の風景に似合わない光景が広がっていました。 いやな、なんか、とある建物にオバハンが密集してるんだよ。 建物の入口にオバハンが列を成して、扉が開くのを今や遅しと待ってるの。こんな光景、シーズンごとの大バーゲンか銀行の取り付け騒ぎくらいでしか見られません。おうおう、銀行でも潰れたかーと近づいてみますと、そこは何てことはない、ただの市民会館でした。 市民会館の入口で今や遅しと会場を待つオバ様方。なんというか、パチンコ屋の開店待ち以上に荒み澱んだ空気が蔓延しておりました。で、そんなオバさんどもの一団から離れて制服を着た中高生が屯しており、皆様手には麻薬でも入ってそうな黒いケースを持っておりました。 なんだろう?なんかの集まりか?それにしても異様だ。 妙に気になった僕はさらに市民会館に近づき、一体今ココで何が起こってるのか確かめようとしたのでした。 「中高吹奏楽連盟合同練習会」 市民会館の入口にはそう書かれていました。なるほど、これは市内の中高生、それも吹奏楽部の連中が集まって練習をする会なのか。それならば制服の彼らが黒いケースを持って待っているのもわかる。きっとあの中には楽器が入ってるんだろう。で、このオバハンたちは保護者ってわけか。自分の子供の演奏をより良い場所で聞くために開店待ち。まるで豚舎みたいな状態で開店待ちしてるってわけか。 ハッキリ言って、僕は吹奏楽というものがどんなものか良く分かりません。今までほとんど触れずに過ごしてきました。中学校の時に好きな子が吹奏楽部に入っていたので気を惹こうと興味あるふりをした事はありますが、基本的には全く無縁の場所で過ごしてきました。 そんなこんなで、ここは「そっか、吹奏楽の練習会かー」とスルーし、何の目的もない散歩を再開するところなのですが、ここで妙な考えが起こってしまったのです。 まてよ、吹奏楽を聴いて1日過ごすのもいいんじゃないか。 パチンコなんてカスがすることです。それならば市民会館で中高生の吹奏楽を聴く。これってば人間的に5ランクぐらい上、物凄く文化的な日曜日の過ごし方じゃないんでしょうか。 そんなこんなで、幸い入場無料で誰でも入れそうな雰囲気でしたし、わるで、「僕も保護者です」と言わんばかりの顔でオバチャン連中の列に加わり、市民会館の扉が開かれるのを今や遅しと待ち構えるのでした。 いよいよ開場。市民会館職員の手によって重苦しいほどに重そうな扉が開け放たれます。その瞬間でした。 ドドドドドドドド 並んでいたトドのような主婦達が一斉に開場に雪崩れ込みます。娘のため、息子のため、子供たちの演奏をベストポジションで聞くため、我先にと走り出すのです。なんか、福男を決める祭りみたいな状態になってた。なんだよこれ、パチンコ屋の開店時より酷い状態じゃないか。 でまあ、主婦達に揉みくちゃにされつつ会場に入った僕。なんとか後ろの方の席をキープしつつ、演奏が始まるのを待ちます。 なんか、今日は発表会だとかコンクールだとかそういった形式のものではなく、練習会です。ですから、会場の半分は中高生の吹奏楽部、そしてもう半分は保護者や関係者。ざっと見、この広い会場の中で吹奏楽に縁もゆかりもないのは僕ぐらいのようでした。なにやってんだ僕、こんな場所で。 でまあ、会場の半分が吹奏楽部部員、それも今日は練習をしに来ているのですから楽器を携えて座席に座ってるわけなんですよ。で、後に壇上に上がって演奏をすることになりますから、ブーとかピーとか、席に座りながら音出ししてるんですよ。それが数百人規模なもんだから鼓膜を破りとらんばかりのうるささ、ハッキリ言って気が狂うかと思った。 そんな中、僕は主に保護者が座ってる辺りに陣取っていたのですが、一生懸命に人妻を眺めたりしてました。最近のお母さんってのは若くてオシャレな人が多く、「お、おれ、この人となら不倫してもいい」だとか「今すぐにでも旦那と別れて僕と」だとか「あらら、ちょっと勘弁願いたい」だとか「関取としか思えない」だとか、奥様鑑定を始めたりしてました。 そうこうしてると、こういった吹奏楽関係で一番偉い人でしょうかバッハみたいな頭をしたオッサンがマイクを持って壇上に上がり、挨拶を始めました。それに合わせて吹奏楽部員の音出しも止まり、ホール内が静寂に包まれました。 「みなさんこんにちは、今日は合同練習会です」 バッハみたいなオッサンは颯爽と挨拶を始めます。ってか、このバッハの挨拶が僕を決定的に打ちのめし「吹奏楽の世界って恐ろしい」と徹底的に思い知らしめるものでした。 「今日はミサイルは飛んできません」 え?吹奏楽なのに何でミサイル!? 「今日は地雷も埋めてありません」 なになに!?地雷って何!?なんかおかしくない!?この人ボケてるの!? 「テロリストだっていません」 いや、いたら嫌だけど・・・。ってかこの人何が言いたいの!? 「こうして平和に吹奏楽を楽しめる喜びを皆さんに噛み締めて欲しい。吹奏楽が出来る喜びを。喜びを!喜びををををををを!」 まさにシャウト。バッハのシャウト。魂の叫びと言わんばかりの熱き挨拶でした。遠めでちょっと分かりにくかったのですが、バッハのヤツ、なんか最後の方は涙声になってましたから、悦に入って目に涙を浮かべながらシャウトしていたに違いありません。 確かに僕もそう思うことはあります。学校で習う様々な学問には、「学ぶ」という文字がついています。国語は「文学」、理科は「理学」など、算数は「数学」です。しかし、音楽だけは学ぶではなく楽しむなのです。つまり僕らはもっと吹奏楽を楽しめる喜びを噛み締めて・・・ っておい。明らかにおかしいじゃないか。ただの合同練習会の挨拶なのに、明らかに熱すぎるじゃないか。ミサイルだとか地雷だとか、言いたい事は分かるけど、まるで宗教団体の集会みたいな挨拶じゃないか。 ねえ、おかしいよね。おかしいよね。あのバッハみたいな人おかしいよね。バッハみたいな人狂ってるよね。と同調を求めるかのようにキョロキョロと周りの保護者を見回したのですが、皆様、ブラボー!と言いながらスタンディングオベーションをせんばかりの勢いで拍手してました。バッハに同調したのかウルウルと目に涙を浮かべる奥様もチラホラ。 なんか、この広い会場の中でバッハも保護者も部員もノリノリなのに、どうも乗れてないのが僕一人、みたいな疎外感でした。 でまあ、その後はバッハの指導の下、各部が順番に壇上に上がって演奏とかしてたのですが、あまりにバッハに怒られるがあまり壇上で泣き出す子とかいました。怒られて泣いてる子を数百人が見守る、怒り狂っているバッハを数百人で見守る、そんな異様な光景が繰り広げられてました。何だこの会、バッハの公開プレイを見せられてるようなものじゃないか。 僕だって最初は純粋に音楽を聴いていたのですが、朝っぱらから夕方まで聴くとなると大変です。最後の方は、「あのラッパの子がフェラ覚えたら凄いぜ」だとか「クラリネットプレイとかするんかなー」とか邪悪としか思えないことを考えてました。 そんなこんなで夕方になって合同練習も終わったのですが、終った瞬間に我先にと我が子に駆け寄ろうとする主婦達の肉弾戦。またもや、「あんた、俺と一緒に花園目指さないか」と言いたくなるような猛烈なタックルなどが見られました。すげえぞ、あの主婦パワーは。 夕暮れ時の並木道を歩きながら今日一日のことを思い返しました。パチンコ屋より激しい場所取り競争、宗教団体のような挨拶、バッハの公開プレイ、そしてまた肉弾戦、それらを思い返しながら「吹奏楽の世界、思ってたより途方もない世界だぜ、侮れない」などと思ったわけです。 折角の休日に何の縁もゆかりもない吹奏楽の練習会を1日かけて聴いていた自分を思い返し、僕はなんて無駄な1日を過ごしてしまったのだろう、と途方もない思い気分になりました。 こうして無為に吹奏楽を楽しめる世の中の平和さを、自分の暇さを思い、バッハとは別の意味で泣けてきました。ミサイル飛んできてもいいと思うくらい泣けてきました。こんなことならパチンコ行っておけばよかったと思いながら。 爽やかな朝。心地よい目覚め。 僕らは太陽と共に生きる生物ですから、やはり朝日と共に目覚めると気持ち良いものです。 僕の仕事場は比較的フランクで、あまり遅刻に厳しくないといった側面があります。しかしながら、やっぱりゼッタイに遅刻してはいけない日というのもあって、毎週月曜日と水曜日だけは諸般の事情で遅刻が許されないのです。この日に遅刻したら首になってもおかしくない。 そんなこんなで、遅刻して良い日と絶対にしてはいけない日が交互にやってくるような状態ですから、物凄く生活のリズムが狂うのですよね。 遅刻していい日は、だらけきって大遅刻しまくり。そうなってくると次第に夜型の生活リズムにシフトしていきますから、遅刻してはいけない日に起きるのが辛くなります。間違っても寝坊などできないですから徹夜で起きてて出勤するという手段を取ります。そうするとまたリズムが狂う。 そんなこんなで、現状の僕が清々しい朝を迎えるというのはあまりなく、徹夜明けで黄色い太陽だったり、朝というよりは昼に近いような太陽だったり、「やべー遅刻だ!死ぬ!死ぬ!」とテレポーテーション能力を切望するような状態だったりするのです。 しかしながら、まれに生活リズムががっしりスクラムを組んで合致することがありまして、リズムが狂いすぎるあまり一周して正常のリズムに戻っちゃった!ということがあったりするのです。そういう朝の清々しいこと清々しいこと。 つい先日もそんな状態で久々に爽快な朝を迎えました。 いつもは余裕ないのであれですが、まずはベランダに出て布団を干したりします。天気も最高、時間もまだまだ余裕。窓の外では二匹のスズメが仲睦まじく飛んでいて、下に見える道路では小学生が集団登校しています。なんて素敵な朝なんでしょうか。 さあて、そろそ出勤するか、とスーツを着ます。で、一回出勤途中にウンコしたくなって括約筋が大活躍の悪夢のドライビングをしたことがありましたので、そういった悲劇を繰り返さないようにトイレへと向かいます。 よーし、爽やかな朝だし、いっちょ豪快にウンコでもして出勤するかーと意気込んで、物凄い勢いで便器に座りました。その瞬間でした。 がぽっ! 見事に尻が丸ごと便器に吸い込まれる。もう、下手したらそのまま流れちゃうんじゃないかって勢いで便器に飲み込まれたからな。 なんか、便座が上がってた状態なんですけど、それが下りてると勘違いしちゃったみたいで見事に便座が上がってる便器に座っちゃいましてな、半分尻を出した状態で見るも無残なことになってた。便器に喰われかけの人みたいになってた。 しかもな、その状態になると起き上がれないのよ。ガッポリと尻が便器にフィッティングしてますし、足は虚しいほどに虚空浮いた状態。手はかなりフリーな状態ですが、近くに捕まるものがありません。もう、裏返った亀みたいな状態。 やばい、下手したらここから抜け出せないかもしれない。 こんな状態でずっと抜け出せず、餓死でもしようものなら目も当てられません。数ヵ月後に異臭がすると隣の部屋の住人から通報。発見した刑事とかも笑いを堪えるのに必死で鑑識も笑ってばかりで仕事にならない。Yahooのトップには「便器にはまって怪死-27歳独身男性、孤独の恐怖-」と書かれるにちがいありません。で、各ニュースサイトでおバカな事件として報じられるわけです。 やばい、それだけは絶対に避けねばならない。 なんとか必死にもがいて便器から脱出しようとする僕。爽やかな朝、こんな町の片隅のアパートの一室、それもトイレの中で生死を賭した戦いが行われているとは誰も思うまい。 結局は、ちょっと無理な体勢に体を捻れば易々と便器から脱出することが出来たのですけど、ズボンは便器に浸ってビチョビチョな状態。おまけに少しアンモニア臭がします。 僕はスーツを一着しか持っていませんから、泣きながらズボンを洗濯し、アイロンで無理矢理乾かして出勤しましたところ、見事に遅刻しました。すげー怒られた。爽やかな朝なんてクソだ、いや、せっかくの朝がクソのせいでクソなものになったと言うべきか。 世の中には勧誘という名の怪しい魔術がはびこっておるものです。 宗教勧誘に新聞勧誘、セミナーやマルチ、ペーパー商法の勧誘などなど。新しく学校に入れば部活動の勧誘だってありますし、大学に入ればスーパーフリーみたいなサークルが鼻息も荒く勧誘してくるはずです。 往々にして、「勧誘」と名のつくものは大体胡散臭いものであり、何か罠が潜んでいるものです。そりゃあ、本当に良いものなら勧誘なぞしなくても人が殺到します。わざわざ勧誘して人を引き込もうとするからには必ずやマイナスな何かが潜んでいるものです。 私はまだまだフレッシュな独身男性で、糖尿病の気があるという以外はまずまずの健康体です。生命保険だとか入院保険みたいなものに全く加入しておりませんから、保険外交員の人々から見たら手付かずの大自然みたいなもの。非常に美味しい存在のようです。 やはり、外交員の方々も勧誘ノルマというものがあります。月々に何人かの、何件かの契約を取らなければ上司に激しく叱責される。勧誘がメインの仕事ですからそれはそれは厳しい世界が展開されているようです。 それに、保険という業界は若干特異的であります。美乳に1億円の保険をかけて鮮烈にデビューした巨乳タレントなどを除きますと、殆どの人が勧誘によって保険に入っていると言えます。つまり、殆どの場合が自主的に加入していないのです。 これは、どうも、自分から「生命保険に入りたい」と言い出す輩にはロクな者がいないということに起因しているようです。保険金詐欺や保険金目当ての殺人、自殺など、自分から進んで入ってくる者は何か企んでいるという予想です。保険会社に重大な損失を与えるという警戒から、丁重にお断りしているようです。ですから、殆どの保険屋の営業所は顧客がやってきて加入するようなシステムにはなっていません。 そんなこんなで、ほとんどの保険屋が勧誘による契約によって成り立っているという現状から、勧誘力の強さが保険会社の強さに直結しています。ですから、どこの保険会社もそれはそれは熱烈に、それこそ人殺し以外なんでもやるんじゃねえかという勢いで勧誘してくるのです。 前述したように僕は何の保険にも入っていないので外交員から見たら非常に勧誘しやすい存在。おまけに僕の仕事場は個室なもんですから、物凄く勧誘しやすいみたいなんです。やっぱ大勢人がいるオフィスよりも個室のほうが追い込みやすいみたい。 そんなこんなで、5月くらいから僕という手付かずの大自然を見つけた各保険会社の皆さん、それはそれは熱烈に、各社入れ替わり立ち代りで僕の仕事場にやってきては、「とてもお得な保険で」などと熱烈勧誘トークをしてくれるのです。 僕も僕で気が弱いものですから、そういった勧誘を無下に断ることが出来ず、 「いや、まだ保険とか考えてないっすから」 「僕に家族とかできたら考えるんですけどねぇ」 「僕、糖尿病の疑いがあるのですよ」 「電気代すら滞納して停められるくらいです。保険料なんてとんでもない」 と、いちいち仕事の手を中断しては対応にあたっているわけなんです。ホント、仕事なんてしてないけど、これじゃあ仕事になりません。 そりゃあね、僕かてそういった勧誘に対して「いらん!」と一言で断ったりとかしたいですよ。もう完全に冷血に、アメリカのビジネス界の如きドライさでバシッと断ってみたいですよ。でもね、必死で勧誘してくれる外交員の人を無下に断ることなどできない。「いらん!」と断罪することなんてできないのですよ。気が弱いですからね。 そんなこんなで、やんわりと何度断ってもめげずにやって来る外交員の皆さんの対応をしつつ、それでも普段の業務をこなす社会人の鏡みたいな僕の姿があるのですけど、そんな折、僕のデスクに一本の電話がかかってまいりました。 「もしもし、○○さんでしょうか?」 聞いてるだけで耳から精液が出てきそうなほど可愛らしい声。声優とかそういったものを超越した、本人の可愛らしさが教師ビンビン物語並に伝わってくるキューティクルな声でした。 「はい、そうですけど」 ヤバイ!アツイ!間違いない!なんだ、この可愛らしすぎる声は!と弾む心を抑えつつドライでクール、それでいてアンニュイな感じで返答しました。 「こちら、社会保険○○協会のものですけど、今日は今何かと話題になっている年金のことで○○さんにお話がありましてお電話したのですが」 おいおい、なんだ、その社会保険○○協会ってヤツは。怪しい匂いがプンプンするじゃないか。微妙に社会保険庁っぽい名称を名乗って公的な団体だと思わせて年金の話をする、そうすれば誰もが話を聞かなければいけないような錯覚に陥るというものです。 「はあ、社会保険庁ですか?最近の社会保険庁はそんなことまでしてるんですか?」 と僕が確認のために訊ね返すと 「いえ、社会保険庁ではありません。社会保険○○協会です。これは保険会社が共同で立ち上げた協会なんですけど・・・」 とまあ、やはり保険会社が作った協会であることをカミングアウト。 「で、あなたは何処の所属なんですか?」 「・・・○○生命です・・・」 やっぱり保険会社でした。社会保険○○協会という名前を名乗ってまでして年金の話を持ち出して話を聞いてもらおうとする。おそらく微妙に年金の話などをして「年金ではそんなに保証はないんですよ」みたいなこと言って不安を煽る。そこで年金型の保険だとか生命保険などを勧めるという手段に出るのではないかと思います。そこまでするのか、という感じなのですが、保険の勧誘とはここまで必死なものなのです。 「いいです、保険には興味ないですから」 と、仕事場にまで来られちゃまた仕事になりませんから、そう言って断ろうと思ったのです。仕事場に来られたらまた無下に断れず、淡々と話を聞くことになって何度も何度も訊ねて来られる、そんな地獄のラビリンスに陥ることを怖れたのでした。しかしながら、この僕の脳髄を刺激せんばかりのキューティクルボイスの持ち主、さぞかし美麗な容姿の持ち主に違いありません。 いやな、もうアイドルばりにカワイイ女性が必死になって勧誘電話をかけてるんだけど、誰も話しを聞いてくれなくてちょっと涙目。わたし、この仕事に向いてないのかなあ・・・。ううん、ダメよ、そんなんじゃダメよ。私は保険で皆を幸せにするって決めたんだから。子供の時からの夢だったじゃない。頑張らなきゃ。ファイト!好子ファイト! そんなまだ見ぬ好子の姿が思い浮かんでな、正直言って萌えた、ハッキリ言って萌えた。ぶっちゃけ、受話器握り締めながら勃起してた。 「はい、じゃあ明日の午前中なら大丈夫ですので、僕の仕事場に来てもらえますか?」 と鬼よりも力強く、皇帝よりも誇らしげに言ってました。保険に入る気はないけど、この声の持ち主だけは見ておきたい。いや、あまりにカワイイんだったら保険に入ってもいい。そう思っていました。 よくよく考えても見てください。相手は契約が欲しくて欲しくてどうしようもないキューティクル女性です。それこそ 「いやー、いい保険だってのはわかってるんだけどね」 「この機会に是非お願いします」 「でもねー、僕にはまだ保険は必要ないと思うわけよ。明日生きるので精一杯だしね」 「でも、何かあったときのためですから」 「そういってもね・・・何かもう1つ付加価値のある保険なら考えるけどねぇ」 「わかりました!」(恥ずかしそうに俯いて) 「・・・・・え?」 「私をつけます!私を好きにしていいですから」 「おやおや、困った人だ」(といいつつ仕事場の入口の鍵を閉める) 「・・・・約束ですよ、ゼッタイに契約してくださいね」(ブラウスのボタンを外しながら) 「ああ、分かってる。さあ、脱いで」 それからはもう仁王立ちでフェラーリとか大車輪とか、保険契約を人質にやりたい放題。このキューティクルな女性(しかもスーツ姿!)をやりたい放題。下手したらアナルとかもするかもしれん。ちょっと目に涙を浮かべつつ、契約だから仕方ないと喘ぎ声を押し殺す外交員。それでも漏れてしまうか細い喘ぎ声。もう、一人で勃起しつつ、「保険外交員、陵辱の夜「お願い、契約してください・・・」-性命保険、私の体が特約です-」なんていう三文エロビデオになりかねないタイトルを思い浮かべて悶々としてました。 「はい、じゃあ、明日伺います!午前中ですね」 妄想パラダイスな世界はさておき、現実の世界では余程嬉しかったのか外交員の方が嬉々として言ってました。うんうん、やはり声が可愛すぎる。もう明日が楽しみで楽しみで仕方ありません。 そして次の日。 ワクワクして待つ僕の部屋に、ついに噂の彼女がやってきました。 「こんんちはー。○○生命のXXですけどー」 うんうん、やっぱカワイイ声。さあ、どうぞ入って入って。いくらでも話聴くから。と、彼女を部屋の中に招き入れようとドアを開けると、 なんじゃこりゃ、としか言いようのないオバハンが保険のパンフレットを大量に持って立ってました。うん、ものすごい鉄板すぎるほどお約束なんだけどさ、声だけカワイイおばさんだったみたい。 しかもそれが普通のオバサンじゃなくてな、すげえデブで、武蔵丸に必死になって狂ったように女性ホルモンを注射したみたいな、山下君のお母さんみたいなオバハンが立ってた。見た瞬間に死ぬかと思った。心臓が止まるかと思った。 「では、早速ですが保険のお話を・・・」 そう切り出すオバハンに言ってやりましたよ。 「いらん!」 と。オバハンが来てからこの間3秒。もう瞬殺で断ったからな。 それでも諦めないオバハン外交員。 「あらら。では、また機会を改めて、来週の同じ時間に来ますのでー」 と、物凄い厚化粧な顔近づけて言ってきました。 オバハンを部屋から追い出した後、また来週も来るのか。それどころか毎週来そうな勢いだよな。ということは毎週オバハンの顔見て寿命が縮む想いがするのか。こりゃあ、生命保険くらい入った方がいいかもなあ、と思う僕の姿がありました。 ということで500万ヒットしたわけなんです。もう、500万というとそれはそれは途方もない数でございまして、例えば僕がその500万人全員とセックスすると考えると、その途方もないエロス天国に身悶えると同時に気絶しそうになるのです。500万個のマンコ(絶妙!)1000万個のオッパイ、毎日5回やったとしても3000年くらいかかります。そりゃチンコも取れるし、終いにはドリルみたいな形になってるんじゃねえかな。 平均的な日本人男性は一回の射精で約一億匹の精子が放出されると言われています。容量にすると平均で約5 ml。500万回のセックスでは実に500000000000000匹の僕の分身が天に召され、25000リットルの精子が放出されることになります。1.5リットルのペットボトル16666本分ですから、適度な広さの街に配置すれば僕の精子入りペットボトルで街中の猫が裸足で逃げ出すことになります。 そんなこんなで、500万と言う数字をセックスに換算する時点で何かを大幅に間違えており、微妙に分かりにくくなってしまいましたが、とにかく500万ヒットです。別にカウンタのログファイルの数値を直接書き換えれば何億ヒットでも瞬時に可能なのですが、とにかくありがとうございます。 そんなこんなで、前々から予告していましたとおり500万ヒット記念企画の告知と募集、さらに夏に行われるNumeri-OFFの告知などをしてお茶を濁しまくってみたいとおもいます。 ●500万ヒット感謝企画「トップ絵祭2004」 約1年ぶりにpato画伯が帰ってくる!奇才、天才と賞賛され、トップ絵会にルネッサンスをもたらしたあの画伯が帰ってくる!誰しもが自サイトに3日も飾れば限界、飾りたくないがために閉鎖したサイト数サイト、そんな一般人には理解されないトップ絵を渾身の力で書き上げるpato画伯、一年ぶりに登場です。 そんなこんなで、500万ヒットを記念して懲りずにトップ絵祭を開催します。この企画は、僕が応募のあったサイト様全てに渾身の力でトップ絵を描き上げる企画で、過去に数度行われたこの企画で51枚の力作を描きあげ、様々な賞賛を頂きました。ちなみに、過去の作品はこの辺を見るとよく分かります。 サイト持ちの方なら誰でも応募できますので、遠慮なくガシガシと応募してやってください。トップ絵を希望される方は「サイト名」「サイトURL」「欲しい絵のサイズ」「どのような絵を希望するか」を明記の上、こちらまでご応募ください(募集終了しました)。メールのサブジェクトを「トップ絵祭り係」にしてくれると大変助かります。 ちなみに、いくつかアドバイスをすると、 1.絵のサイズは指定した方が良いです。 3.描いた絵は別に自サイトに張らなくてもいいです。 そんなこんなで、応募期間は今から24時間(あまりに多かったら途中で打ち切ります)。トップ絵発表は7月頃を考えております。
こちらのネットラジオ放送が7月3日PM 22:00-(予定)に行われます。この番組は従来の変態レィディオと趣向を変えまして、24人の女性ゲストを招き、1時間ごとにゲスト交代で24時間放送するというスタンスで行います。 各パートではそれぞれのテーマを設けて投稿メールを中心に女性ゲスト様とトークを展開して行こうかと考えております。で、一貫して番組に共通するテーマは「女の子の本音」ということで進めていきたいと思います。 そいでもって、この放送をするには当然ながら24人の女性ゲストが必要となりますが、どうも僕の力では3人くらいを集めるのが限界でした。あと数人はこちらからお願いしてやっていただくことになると思いますが、残りの女性ゲストをここで募集したいと思います。 我こそはゲストに出たい、という奇特で危篤な女性の方がおられましたら、「HN」「サイト名(あれば)」「簡単な自己紹介」「設備状況(マイク持ってるとか)」「出演できそうな時間帯」を明記して、「変態レィディオ係」宛までご応募ください。送付先メールアドレスはこちら ●Numeri-OFF Osaka 2004 昨年11月にプレ大阪オフが開催されましたが、キャラバンなどの関係で現在まで本オフを行えていませんでした。やっとこさ7月18日に大阪で開催されますので、どうぞ奮ってご参加ください。 こちらの方はオフの詳細な内容など未決定事項が多いので、まだ募集を開始しませんが、そのうち特設ページを作成して参加表明を受け付けますので、今しばらくお待ちください。 そんなこんなで、今日は告知と募集のみでお終い。さっさとオナニーして寝ます。500万ヒットありがとうございました。これからもNumeriをよろしくお願い致します。 僕のお父さんは会社の社長です。 それを受け取った親父は一笑に付し、「片腹痛いわ、感謝してるなら肩でも揉め、がははははは」と笑ったものでした。強制的に肩を揉まされながら「お父さん大スキ」などと書いた自分の甘さを、自分のセンチメンタルさを心底呪ったものでした。今となれば良い思い出です。 あれから年月が流れ、僕は母の日や父の日に何の感謝も示さないまま現在の年齢になりました。両親に対して感謝の気持ちを示すというのが微妙に照れくさく、何も親孝行できないままこの歳になってしまいました。 さすがにもう僕もいい歳した立派な大人です。それに経済的にも完全に自立した大人になりました。ここまで育ててくれた父に感謝し、あの日の手紙以来、何か父の日にプレゼントしたいと考えたのでした。 今年の父の日は6月20日。ここで何か気の効いた物でもプレゼントし、感謝の意を示そう、そう思ったのでした。 しかしながら、圧倒的にセンスの悪い僕。僕が贈答品を選ぼうものなら、それこそ嫌がらせにしか成り得ません。贈り物ってのは当人に喜ばれてナンボですから、何が欲しいのか当人に聞くのが一番手っ取り早いのです。 ちょうど、僕の車の車検手続きの関係で実家に帰らねばならず、この土日を利用して実家に帰省してまいりました。で、その時に親父に「何か欲しいものはあるか」と聞こうと企てていたのです。 長い道のりを運転し、実家に帰省。夜を通して運転して帰ったものですから実家に到着したのは土曜日の早朝でした。 異様に早起きなウチのクソ親父、当然もう起きているだろうといつも親父がくつろいでいる会社の事務所へと向かいました。 「おう、帰って来たぞ。いやー遠かった」 と言いながら事務所の扉をくぐると、 「なんだ、帰ってきたのか?」 と親父が、椅子の上に立ってコマを廻してました。何か知らんけど、必死になってコマを廻してた。 なんでコマなんだよ!とツッコミたくなる思いを必死に堪え、事務所の中に入ろうと靴を脱ごうとしました。すると、親父が言うんです。 「ちょっとまて、靴は脱がなくていい。土足で上がれ」 いつもは土足厳禁の事務所です。以前に、ちょっとした用事で事務所に行くことがあり、靴を脱ぐのが面倒だった僕が土足で上がったことがありました。それを知った親父は激怒し、頭の形が変わるくらい殴られてものでした。なのに、今日だけは土足で良いと言う親父ついに狂ったかと思いました。 「なんでよ?洋風スタイルに変更したのか?」 不審に思った僕が問いただします。 「いやな、ススとかで事務所全体が汚れてるんだわ。だから土足で上がった方がいい」 そう説明する親父。そんな返答をされても皆目検討つきません。 「はあ?スス?なんでススが出るんだよ?」 と問いただしました。すると、親父のヤツが奥の部屋を指差すんですよ。奥の部屋に土足の秘密が、ススの秘密がある!と言わんばかりに沈痛な面持ちで指差すんですよ。 ウチの事務所の奥の部屋は簡単な台所になっていました。料理などが出来るよう設置された台所は親父のライフラインとなり、普通に事務所で家事などが出来るようになっていたのですが、そこに何か秘密があるようです。 一体奥の部屋に何があるのか。台所に何があるのか。気が気じゃない僕は土足で事務所に駆け上がり、コマを廻す親父を退けて台所に入りました。そして、そこで途方もない光景を目撃してしまうことになったのです。 台所が、焼け落ちてました。 画像が若干分かりにくいかもしれませんが、黒い部分は全部焦げです。真ん中の四角い空間は換気扇があった場所で、見事に焼け落ちてました。換気扇跡から入ってくる木漏れ日が何とも美しく、泣けてくるくらいに爽快でした。 ちなみに外から見ると こんな感じ。見事に火事です。火事としか言いようがありません。ウチの親父、どうも事務所でボヤを出したみたいです。久々に実家に帰省したら親父がボヤを出して台所が焼け落ちている、そんな息子の気持ちにもなってみてくださいよ。ホント、ありえないと思った。 事の顛末はこうでした。 その日は極上の小魚が手に入った親父。それをテンプラにして振舞おうと考えたそうです。海の町の男ですから、魚だけは自分で料理しないと気が済まない、そう思ったそうです。 で、とろ火でテンプラ油を加熱しつつ、客人が来たらヒョイと揚げて客人に出す。事務所であり親父の友人の溜まり場みたいな場所ですから、入れ替わり立ち代り客人が来ます。それでホイホイと揚げては出しを繰り返していたそうです。 極上の小魚テンプラを肴に酒をかっ食らう親父に友人達。宴も進み、そのうち友人達は帰路に、親父はそのままソファーで眠ってしまったそうです。その間もずっとテンプラ油は加熱されっぱなし。 数時間後、煙にまかれた親父は目覚めました。事務所中が煙だらけで、異常に熱かったそうです。で、親父が飼っているイグアナが煙にまかれて右往左往していたそうです。 あ、しまった!テンプラ油! そう思った親父は急いで台所の扉を開けました。すると、炎がまるで生き物のように天井を這って襲ってきたそうです。映画バックドラフトのように、まるで意思を持ってるように襲ってきたそうです。 あ、イカン!こりゃヤバイ。 そう思った親父は消防署に通報とか以前に、自分で消そうと考えたそうです。ちょうど傍らに引越しの際に僕の部屋からパクった絨毯があったらしく、それをテンプラ鍋にかぶせました。 それでも火の勢いは収まらず、絨毯の横からボボボボボボボボと炎が吹き出ていたようです。で、仕方ないから、かぶせた絨毯にホースを使って水をかけて消火にあたりました。 普通、油系の火災の場合、水をかけると余計に炎が広がるといわれます。これは水と油が二相分離するためで、水相の上に油相が乗り、火がついた油が一気に広がるためなのですが絨毯をかぶせてそこに水をかけたのが功を奏したようです。次第に火は鎮火に向かったそうです。 しかし、相変わらず火事によって高温な台所内部。温度上昇に耐え切れなくなった密閉された容器、つまり炊飯器や電気ポットなどが次々に破裂したそうです。 ドカーン! と破裂する電気ポットを見ては「スプラーッシュ!」と叫び、奇声を発しながら消火活動をしてたみたい。やっぱ狂ってるよね、この人。 やっとこさ鎮火した台所、特にそれ以外も被害はなく、事務所中にススが広がっただけで済んだそうです。しかしながら、消火活動によって火傷をしていた親父、そりゃあ炎の中に突っ込んで絨毯とかかぶせていたのですから火傷だってします。 で、消火中はアドレナリンがビュンビュンに出ているから気がつかなかったのですけど、鎮火してホッと一息ついたら急に熱くなったそうです。 熱い、顔面と両の腕が焼けるように熱い。 何かで冷やさねば。そう思った親父の目に、田舎の農家に嫁いだ姉が昼間に持ってきたキャベツの山が目に入ったそうです。 コレで冷やすしかない。 何を食って育ったらこんな思想に至るのか知りませんけど、とにかく親父はそう思ったそうです。で、「あちーあちー」と言いながら一枚一枚キャベツの葉を剥ぎ取っては患部に装着して言ったそうです。 想像するだけで、顔と両の腕がキャベツに覆われた中年像が浮かび上がり、キャベツの聖闘衣(クロス)を身に纏った聖闘士(セイント)が浮かび上がり精神衛生上よろしくないのですが、とにかくそんな状態で後片付けしたそうです。キャベツ座の聖闘士か。 「いやービックリしたよ。危うくイグアナとワシのテンプラが出来るところだったわ、がははははは」 台所が焼け落ちるほどの火事を出しておきながら、消防署に通報もせず病院も行かず、コマを廻しながら屈託のない笑顔でそういう親父を見て思いましたよ。 コイツは狂ってる、間違いないと。 父の日に何が欲しいのか親父に聞くのを止め。問答無用で消火器をプレゼントしよう、そう思った次第でした。 僕のお父さんは会社の社長です。
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