Numeri

ipato@mcn.ne.jp


 2003-9月

9/30 部活

9/29 出会い系サイトに挑戦してみた

9/26 モノマネ

9/25 動物愛護

9/24 インソムニア

9/23 あの日の過ち

9/22 考え事ドライブ

9/19 SDその後

9/18 キャッツアイ

9/16 メル友

9/15 盲目の天使

9/14 ロストナンバー

9/13 仙台速報3

9/12 仙台速報2

9/11 仙台速報

9/10 Mement Mori

9/9 フラクタル

9/8 イラストレーター

9/6 スーパードルフィーの世界 Numeri Side

9/5 ノートPCクライシス

9/4 バレンタインおにぎり事件

9/3 短い日記だって書けるもん

9/2 さよならだけどさよならじゃない


2003

8月の日記はこちら

7月の日記はこちら

6月の日記はこちら

5月の日記はこちら

4月の日記はこちら

3月の日記はこちら

2月の日記はこちら

1月の日記はこちら

2002

12月の日記はこちら

11月の日記はこちら

10月の日記はこちら

9月の日記はこちら

8月の日記はこちら

7月の日記はこちら

6月の日記はこちら

5月の日記はこちら

4月の日記はこちら

3月の日記はこちら

2月の日記はこちら

1月の日記はこちら

2001

12月の日記はこちら

10-11月の出来事はこちら

過去の出来事

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9/30 部活

公式プロフィールによると、patoさんは中学時代は帰宅部だったということになっていますが、実はこれ、真っ赤な嘘です。公称では部活動をしていなかったとなっていますが、実際にはとある部に所属し、しっかりと部活動に勤しんでおりました。

中学生時代に経験した部活動には、あまりにも恥ずかしい、あまりにも不甲斐ない事件が数多くあるため、知らず知らずのうちに記憶の奥底に封印されていたのでしょう。僕は中学時代、部活動などやっていなかった、そう思うことで辛い記憶をいくばくか薄めようと必死だったのかもしれません。

幼少時代、親から酷い虐待を受けていた子供は、大人になってもその時の失っていることが多いと聞きます。つまり、あまりに辛すぎる記憶は無意識下でなかったことにし、今という時間を精一杯生きることができる、人間というものはそのように出来ているのでしょう。高度で複雑な精神構造を有する人間という生物独特の防衛本能なのかもしれません。

さてさて、少し本題からズレましたが、中学時代の部活のお話戻ります。

中学時代、僕はハンドボール部に所属していました。別にこれといってハンドボールに興味があるわけでもなかったのですが、入学して間もない時に友達になった山本君が「おれ、ハンドボール部に入るよ」と純粋で真っ直ぐな目をして言っていたものですから、「じゃ、俺も入るわ」と物凄く安易に入部を決めてしまったのです。

「父さん、おれ、ハンドボール部に入ったよ!」

と、元気いっぱいにウチのキチガイ親父に報告したところ、僕の身長の高さを利用してバレーとかバスケだとかをやって欲しいと願っていた父は、

「ハンドボールなんて、そんな東南アジア人がやるスポーツやってどうするんだ」

と、ハンドボールをやってる人に至極失礼極まりない、それでいて意味不明な悪態をついていやがりました。なんやねん、東南アジアて。

そんなこんなで、ハンドボール部に入部した僕でしたが、そこでは鬼のように厳しい練習が待ち構えていたのです。ボールなんか持たせてもらえず、来る日も来る日もランニングと筋トレ、それに声出しばかり。炎天下の中で走らされ、暑さときつさでゲロを吐く1年生が多発。

県内でもなかなか屈指の強さを誇るハンドボール部でしたから、練習はとても厳しかったものです。なんか、ありとあらゆる方面で勘違いした厳しさの部でした。

そんなこんなで、日々の練習は進行していくわけなんですが、ランニングや筋トレ以外の練習は至極退屈なものでした。ハンドボールをやられてことがある人はご存知かもしれませんが、このスポーツはフォーメーションなどが重要になるスポーツです。

攻撃、守備、両方の面でバスケのようにフォーメーションが大切。最終的にはサッカーゴールより少し小さめのゴールにボールを投げ込むことが目標となるスポーツですが、その他の部分はほとんどバスケに似ています。

それでまあ、先輩達は熱心にフォーメーションの練習などをしてるわけなのですが、一年生達はコートの周りで必死に声だし。「オーイエス!」とかいう意味不明の掛け声や、「○○先輩ナイス!」とか心にもないことを声が枯れるやらねばならないのです。

その声だし以外にも重要な仕事がありました。それが松ヤニの缶を持つことでした。

バスケのようなスポーツではあっても、最終的にはボールをゴールに投げ込むスポーツです。当然ながら、ワンハンドでボールを掴み投げ込むシュートが主体となりますので、片手でボールを掴めないとお話にならないのです。

それでまあ、普通に握っていては滑ってしまい、なかなか上手く掴めないので滑り止めの松ヤニを手に塗りたくる必要があるのです。で、それを練習中の先輩方が塗れるよう、コートの端で松ヤニの缶を持ってスタンバイしておくヤツが必要になるのです。

僕は何故だか知りませんが、よくこの松ヤニの缶を持つ係に任命されていました。なんというか、ハンドボール部にいながら松ヤニ部にいるような感覚でした。

日々、先輩の華麗なるプレイを見ながら松ヤニだけを持つ日々。そんなシステマティックなルーチンワークの中でも、向上心を忘れない僕は次第に工夫をすることを覚えたのです。

「このような角度で缶を持っていたほうが先輩は指に塗りやすいかな?」とか、「○○先輩はこのタイミングで松ヤニを塗りに来るから缶の蓋を開けておこう」とか、「○○先輩は左利きだから逆側に缶を傾けておいたほうが塗りやすいな」などと、松ヤニボーイのプロと言えるほどのプロフェッショナルさを発揮していたのです。

このように甲斐甲斐しく松ヤニの缶を持つ僕です。当然ながら、「アイツの缶の持ち方はいい、すげえ塗りやすいんだ」などと先輩の間で評判だったのですが、そんな中にあって僕に辛くあたる先輩が1人だけいました。

森山先輩という先輩なのですけど、彼だけは「オラっ!ちゃんと持ってろ!松ヤニが塗れねえだろ!」と、松ヤニみたいな顔しやがってからに厳しく言ってくるのです。

森山先輩はすごくハンドボールに熱中してて、大会に勝つことだけを目標に生きている人でした。なんというか、ハンドボールバカといった感じで、彼のハンドボールへの情熱や日々の生活がそのままジャンプでスポーツマンガとして連載できるレベルの熱中ぶりでした。

そこまで熱中しているものですから、周りの、文字通りクラブ活動気分で集っている部員達に対して苛立ちを隠せなかったようです。というか、「クラブ活動気分でやってんじゃねえ!」と、クラブ活動なのに何度も怒鳴られました。たぶんきっと、森山先輩は狂ってたんだと思う。

そんなこんなで、日々、森山先輩に怒鳴られながらも、甲斐甲斐しく松ヤニの缶を持つだけの日々が続き、大会の日が近づいてきました。それに伴い、練習の時間も増加し、森山先輩の怒りもビートが増す日々が続きました。

そんなある日、いつものように授業を終えた僕は、ダッシュで部室へと向かいました。別に部活が死ぬほど楽しみでいてもたってもいられない、早く部室に行かなきゃ!なんていう気概は微塵もなく、ただ一年は先輩よりも先に部室に行き練習の準備を整えておかねばならなかったからです。先に行かねばならないといっても、先輩も一年生も同じ時間に授業が終わるのですから、それはもう1分1秒を争う熾烈なタイムアタックでした。

で、ダッシュで部室へと向かったのですが、あいにくまだ他の一年は来ていない。仕方ないから1人で練習の準備をするかと部室を開けたその瞬間でした。明らかに理解不能、常軌を逸した光景が僕の眼前に飛び込んできたのです。

いやな、部室の中の冷たいコンクリの床の上に、見紛う事なきパンティエが落ちてるんですよ。なんというか、圧倒的な存在感で灰色の床の上に鎮座しておられました。

男子ハンドボール部に、明らかに女物のパンティエ。白くフリルのついた、妙に柔らかそうなパンティエ。

そりゃあ興奮しましたよ。なにせオナニーで発電も可能な中学一年時代でしたから、とにかく大興奮。右も左も分からないほどに大興奮し、とにかくそのパンティエを拾い上げたんです。

いったい、何で男子の部室に女物のパンティエが。

そんな疑問もありましたが、それ以上に興奮した。猫がマタタビを貰った時以上に大興奮。もう辛抱たまらんといった状態でした。

とにかく、このパンティエを使ってオナニーをしなきゃいかん、そういった大宇宙からの使命を受けた僕は、とりあえずそのパンティエを拾い上げたわけなんです。エロスなものが極度に規制された現代において、中学生はなかなかエロツールを手に入れることが出来ない。そんな中で手に入れたパンティエはまさにお宝。もう一も二もなく拾い上げました。

でも、その場で即オナニーとかはやはり危険。今は部活開始前の準備時間です。この状態でオナニーしようものなら、ものの数分で他の部員がやってきます。そうすると無下にもオナニーの現場を目撃され、「オナニー帝王」とか「オナニアン」だとか自殺物のニックネームを授与されるに違いありません。

やはりこの場でオナニーは危険すぎる。とりあえずここは、このパンティエを確保することに専念しよう。なあに、パンティエの確保さえできれば十分。あとは家に帰って文字通り死ぬほどオナニーできるじゃないか。

そう判断して、とりあえずパンティエを確保することに専念することにしました。しかしながら、そのパンティエをポケットとかに入れて部活に参加するのはあまりに危険でリスキーです。筋トレで腹筋とかしてる時にポロッとパンティエが飛び出し、「パンティ皇帝」だとか「パンティ妖怪」だとか屈辱的なニックネームをつけられることは明白です。このお宝パンティエをポケットに確保、それは余りにも危険極まりない。

結局、悩んで悩んで悩みぬいた挙句、パンティエは松ヤニ缶が収納されている段ボール箱に隠すことに決定しました。前述するように、松ヤニ関連は僕専任みたいなものでしたから、この松ヤニの缶が大量に納められている箱なんて、僕以外に空ける人間はいない。そこに隠しておき、部活に参加、そいでもって部活後に速やかに回収し、家でオナニー勤しむ。こういった青写真を描いていたのでした。

そして、なんとか他の部員が来る前にパンティエを松ヤニの箱に箱に隠すことに成功し、そのまま部活へ。ランニングや筋トレと相変わらず鬼のような厳しさの練習でしたが、僕の心は今宵のスペシャルオナニー一色。パンティエという生のオカズを用いたスペシャルオナニー一色。それを考えると、厳しい練習もさほど苦ではありませんでした。

そして、その後のフォーメーションの練習となり、いつものように僕ら一年はコートの周りで声だし。僕は松ヤニの缶持ち、森山先輩は怒りでヒートアップ、となったわけです。

けれども、僕の心はここにあらず、気分はパンティエ一色。森山の怒りなどどうでもいい。勝手に吠えてろ。

もしかしたらあのパンティエは女子ハンドボール部の女の子ものなのかな?だとしたらすげえ興奮するんだけど。なんて考えながら、コートの向こうで練習をしている女子部を眺めていました。

そして部活終了。待望のパンティエタイムがやってきたのです。

薄暗くなったグラウンドを整備し、部室の片付けなどをして先輩達が帰るのを待ちます。そいでもって、「あ、いいよ、俺がやっとくから、先に帰りなよ」と、部室でボール磨きなどをしていた同じ一年坊を帰らせます。

そして、いよいよお待ちかねのパンティエへ。もうドキドキと松ヤニが収容されているダンボールへと向かいます。もうすっかりと日が落ち、簡易的な部室でしたので明かりもない部屋の中、月明かりだけを頼りにダンボールへと向かいました。

そして、ダンボールの缶の下に隠してあった下着を手に取る。ドキドキ、すごく興奮する。なんというか口から心臓が飛び出そうな感じ。なんて青臭い中学生っぽく興奮し、下着を手にしたのです。

ちょ・・・ちょっと、匂いとか嗅いでみようかな・・・。

スウェーデン王立科学アカデミーの調査によりますと、異性のパンティエを手にした場合、成人男性の8割が匂いを嗅ぐ、もしくは嗅ぎたいという衝動に駆られるそうです。また、性的に未熟な少年、とくに成長期にある少年の場合、9割以上に跳ね上がると言われています。つまり、異性の下着を手にすれば、ほとんどの男が匂いを嗅ぐということです。

当時の僕も、この法則にのっとり、ここは部室、匂いを嗅ぐという行為は非常にリスキーだ。ここは家に帰るまで我慢我慢。と分かっていたのですけど溢れ出る衝動は抑えがたく、ついに匂いを嗅いでしまったのです。その白いパンティエを顔に近づけ、ズルルルとパンティエ周辺の大気を自らの鼻に吸引したのです。

うん、すっげえ松ヤニ臭かった。

経験したことある人は多くないでしょうが、松ヤニってのは独特の臭いを発します。松ヤニの缶が大量に入っている箱に何時間もパンティエを隠していたものですから、その匂いがパンティエに移ってしまっていたのです。

だめだ、こんなんじゃ興奮しない。

パンティエをオナニーに用いる場合、大抵の人間は匂いを楽しみます。その匂いが松ヤニによって失われた今、このパンティエは本来のパンティエの半分以下の存在に成り果てます。

ちくしょう・・・こんなことならもっと考えて隠すんだった。これじゃあオナニーに使えないじゃないか・・・。

などと落胆し、部室の中央でガックリと肩を落とすのでした。月明かりというか、街灯というか、そういった光が部室の窓から入り込んでおり、僕の影だけがコンクリートの床の上に伸びているという絵がなんとも印象的でした。

「だれだ!まだ残ってるのは!」

その瞬間でした。怒号が聞こえ、誰かが不意に部室のドアを開けたのです。

それは、体育教師でした。部活も終わり、最後の点検にと各部室を見回りしていたようなのですが、そこでまだ残っている僕を発見したのです。

幸い、すでにパンティエをポケットにしまいこんでいた僕。なんとか、拾ったパンティエの匂いを嗅いで松ヤニ臭くて落胆していたなんていう恥ずかしすぎる事実は知られなかったものの、こんな遅い時間まで残っている生徒がいるということが大問題になったのです。

我が中学校では、よく知りませんが夜七時以降は学校に残ってはいけないという鉄の掟がありました。文化祭の準備とかそういったので残るのは黙認されていたのですが、なぜだか部活動で残ることだけは厳禁。発覚した場合は部全体で1週間の部活動停止となっていたのです。

で、その体育教師、僕を発見するや否や

「もう7時だぞ!なにやってんだ!部活動停止だ!」

と、怒涛の勢いで怒り出したのです。先生の時計を見たら、確かに7時を数分だけ回っておりました。

結局、パンティエのためだけに遅くまで部室に残っていた僕は、見事に規定の7時を超えてしまい体育教師に挙げられてしまった。それでもって、次の日から男子ハンドボール部は1週間の部活動停止処分になったわけなんです。

で、もちろん練習は出来ないわ、数日後に控えた大会に出れないわと大騒ぎ。もちろん、先輩にすげえ怒られたりなんかもしました。最後の大会だった三年生なんかちょっと泣きそうになってた。

でも、それ以上に心苦しかったのが森山先輩。あれほど燃え盛って打ち込んでいたのに、大会に出ることはできない。しかもそれが松ヤニの缶を持つくらいしか能がない一年のせいなんですから、それはそれは悔しかったと思います。

前述したとおり気性の激しい先輩でしたから、先輩に呼び出されたときは物凄く殴られるかと思いました。けれども、先輩は悔しさからただただ泣いており、「なんで、そんな時間まで部室にいたんだ」と涙声で僕に訴えかけていました。

きっと森山先輩はすごく純粋で、真っ直ぐにハンドボールに打ち込んでいたのだと思います。それ故、妥協することなどできず、練習中はあのように気性の荒い攻撃的な面が出ていたのだと思います。

そんな純粋な森山先輩の涙に触れた僕は、「なんであんな時間まで残っていたんだ」という先輩の問いに対し、「パンティエの匂いを嗅いでて」なんて言うことなどできず、「松ヤニの缶を持つ練習をしてました」としか答えられませんでした。

その後、僕のせいで部活動停止および大会不出場になったため、異様にバツが悪く、その後は部活動にいけなくなり、フェードアウトするようにハンドボール部を辞め帰宅部になったのです。

思い返す度に、森山先輩のピュアな涙とパンティエに染み付いた松ヤニの匂いがフラッシュバックし、なんとも僕の心を締め付けてしまうのです。そんな僕の部活動の思い出。

ちなみに、ハンドボール部では松ヤニの缶を持つことしかせず、一度もボールに触れないまま辞めましたので、未だによくハンドボールのルールを分かっていません。この世界広しといえども、ハンドボール部に在籍した経験がありながらハンドボールを触ったことのない人間なんて僕しかいないでしょう。まあ、ハンドボール先進国の東南アジアなら山ほどいるかもしれませんが。
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ということで、迷惑千万!ネタふり日記リレーという企画が回ってきたのでその日記を書いてみました。

この企画は、次の順番に人にネタを指定しつつ、日記を回していく企画らしく、いちごびびえすのふくやんさんから「部活」をテーマに回してもらったものです。

少年時代、退屈な授業中に小さい紙に手紙を書いて先生にばれないように廻すといった遊びが流行したのですが、教卓の前の席だった僕には廻してもらえませんでした。

ですから、こういった企画のものが廻ってくるというのは大変嬉しいものがあります。ありがとう、ふくやんさん。

それでまあ、意気揚々と指定された「部活」で長々と日記を書いてみたのですが、今度は誰かに日記を廻さないといけません。

ということで、知的で聡明そして酒豪で萌え声と評判、しかも人形の館で人形用下着を買ってくるという偉業を達成したif→itselfのifさんに廻したいと思います。ifさん、よろしくお願いします。

えっと、テーマは「スカトロ」でお願いします。


9/29 出会い系サイトに挑戦してみた

もうね、なんか必死でしょ、最近の出会い系サイト。見てて痛々しくなるくらい必死でしょ。

どうにかして男性利用者から金を巻き上げたいらしく、あの手この手のSPAMメールを携帯電話に送ってみたり、詐欺まがいの利用料金請求を行ってみたり、もはや何でもありの状態じゃないですか。

特に携帯電話に無差別に送られてくるSPAMメールは酷いものがあって、何とかして出会い系サイトにアクセスさせようと必死なまでに魅惑的なメールを送ってくるじゃないですか。

「女性登録者激増!限定男性会員募集!今すぐアクセス!」

だとか、

「男女比1:10の出会い系サイト、ライバルが少ないから出会いやすいよね」

とか魅惑的な文句で出会い系サイトに誘ったりしてくるんですよね。

それならまだいいほうで、もっと官能的な誘い文句を謳ったSPAMも届いたりして、

「欲求不満の人妻、濡れ濡れ熟れ熟れの肉体が疼いているの。今すぐ慰めて」

とか、

「セックスはスポーツ。誰とでも気軽にパコパコ」

とか、読んでるこっちが脱力しちゃうようなエロスなSPAMも数多く来るんですよね。最近では小中高の子供ですら携帯電話を持っている時代ですが、こういったエロス過積載のSPAMメールがそういった子供達の携帯にも無差別に送られているかと思うと嘆かわしい限りです。

エロスな文句でも何でもいいから、とにかく出会い系サイトにアクセスさせる。そして男性に登録させて利用させて利用料をガッポリ取る。その目的だけのためにSPAMメールは送られ続けているのです。

とにかくメールに記載されたアドレスにアクセスさせる、アクセスさせなければ騙すも何も話が始まらない。とにかくアクセスさせねば。業者側のそういった目的意識が強まってきたためか、最近では送られてくるSPAMメールもかなり巧妙化してきました。エロスな勧誘文句から、ほとんど騙してアクセスさせるようなトリック的誘い文句に形式変化してきたのです。

「ひさしぶり!ちょー面白いサイトみつけたよ。1回見てみて!アドレスはhttp://...」

友人を装い、面白いサイトがあるからと出会い系サイトにアクセスさせるSPAMメール。

「調査の結果、あなたの携帯電話はウィルスに感染していることが分かりました。今すぐhttp://...にアクセスしてウィルスを駆除してください」

と、飛んでみたら普通に出会い系サイトだった、なんてこともあります。「携帯電話がウィルス感染」って時点であらゆる方面でおかしいのですが、あまり詳しくない人だったらひっかかってアクセスしてしまうかもしれません。

こういった遠まわしの詐欺的勧誘もありますが、

「ついに出来た!無料の出会い系サイト!男も女もいくら使っても無料だから安心だよね!アドレスはhttp://...」

と、普通なら男はメール一通送るのに100円とか暴利な金を取られつつ利用する出会い系サイトが無料になりました!と誘っておいて、しっかり普通の、いや相場より割高の利用料を徴収するという完全なる詐欺も存在すると聞きます。

その他にも、サイトにアクセスした瞬間に利用料が発生し、海外回線なので1アクセス5万円かかります、とアホのような請求を平気な顔でしてくる業者もあると聞きます。

とにかく、あの手この手、騙してでも出会い系サイトにアクセスさせ、利用料金をせしめようという悪徳業者が、ない頭を必死に絞ってSPAMメールを送ってきますので、みなさんも騙されないよう注意しましょう。まあ、普通にしてれば騙されようがないほど馬鹿らしいSPAMばかりなのですけれどもね。

でもまあ、騙されるほうも馬鹿ですよ、馬鹿。こんな馬鹿みたいな誘い文句に釣られ、騙されて出会い系サイトにアクセス。使用料を請求されて馬鹿みたいな金額を請求される。もうね、死んだほうが良いくらい救いようのない馬鹿。ちゃんちゃらおかしいですよ。騙されちゃいけませんよ、こんなSPAMメールに。

そんなこなんで、僕の携帯電話のメールアドレスは驚くほど簡単ですので、このような騙しのテクニックを駆使したSPAMメールが親の敵のように届くんですよね。一晩で100通とか、泣きたくなるぐらい来るんです。で、それらの騙しSPAMに怒りつつ、それでも泣く泣く削除とかしてるんですけど、そんな中で僕の目を惹く一通のSPAMが。

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タイトル:誰でも簡単

本文:飢えた女性ばかりだから、誰でも簡単にヤレるよ。絶対ヤレる。容姿も年齢も関係ない、誰でもエッチな女性が入れ食い状態!!今すぐアクセス!!http://...
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とか、ものすごく衝撃的な内容が書いてあるんですよ。

いやいや、今まで色々な騙しSPAMやら、女性とやりまくれるようことを匂わせたSPAMってのはあったのですけど、ここまでド直球で。「誰でも簡単にヤレる」「絶対ヤレる」なんて明言したSPAMはなかったのですよ。遠まわしに「女性会員数が多い」とか「成功率が高い」って書いてあるのはあったのですけど、ここまで自信たっぷりに言い切った例ってのはないんです。

そうなってくると、ここまで自信イッパイに言ってるんだし、もしかしたら本当かな?って思うじゃないですか。知的で聡明な僕でもそう思うじゃないですか。

非モテの祭典ヒモテンピックが開催されても、間違いなくゴールドメダルに輝くだろうと予想されるほどの非モテの僕だって、この出会いサイトを使えばヤリまくりかなとか思うじゃないですか。処女膜とか破りまくりかもって思うじゃないですか。だって「誰でも」「簡単に」って書いてあるんだぜ。非モテの俺だって間違いなくいけるはず。

そんな思いを胸に、そのSPAMメールに書かれたアドレスにアクセスしましたよ。なんかチンケな出会い系サイトがジリジリと携帯の画面に表示されたんですけど、もう「やりまくり!破りまくり!」を胸にドキドキしながら利用登録とかしましたよ。

でまあ、とどこおりなく利用登録を済ませ、女性がメッセージを書き込んでいる掲示板を見たんですけど、さすが「やりまくり!破りまくり!」を謳ってるだけあって、すぐにでも抱けそうな女どものメッセージが、魅惑的で官能的でピンク色のメッセージたちが踊り狂っているんですよ。

「寂しくて我慢できない。一度でいいから誰か抱いて」とか

「彼氏は何も変態なことしてくれない。もっと変態的なプレイのできるセックスフレンドを捜しています」とか、

もうなんというか、世の中の女性はここまでエロスなのかと。あんなにエロには興味ありませんって顔して街を歩いているのに、そこまでエロスなのかと。おしゃまな顔して実はヤリたがりなんじゃねえかと。

というわけでございまして、僕はこの出会い系サイトSPAMメールの宣伝文句である「誰でもヤリまくり!」という文言を検証すべく、本当に僕のような非モテのスペシャリストでもヤリまくれるのかテストしてみることにしました。いや、決してヤリまくりたかったとかじゃないですよ。あくまでテストです、テスト。

そんなこんなで、この飢えていそうな雌どもの中からいくつかをピックアップし、実際にメールを出して見たなんです。

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投稿者:ゆき
タイトル:変態プレイ
本文:彼氏いるけど普通のエッチしかしてくれない。
恥ずかしくて頼めないし、もっと変態的なエッチしてみたい!
誰か割り切った関係で変態的なことしてくれる人いませんか?
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とりあえず、変態プレイ願望のある「ゆき」さんにメールを出してみることにしました。ここまで変態的なプレイに興味ある彼女です、きっと入れ食い状態で簡単に釣れるに違いない。とりあえず、彼女の変態願望を満たすよう、思いっきり変態チックにメールを書いてみました。

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送信者:ぬめぱと
タイトル:変態の総合商社
本文:こんにちは「ゆき」さん。変態ならおまかせください。アナルからウンコまで、何でも取り揃えております。もう、アナルもぺロリですわい。きっとご期待に添えるかと思います。
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とまあ、公開されたら国辱物のメッセージを送っておきました。なんやねん、アナルもぺロリて。で、それに対する返事は

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投稿者:ゆき
タイトル:Re:変態の総合商社
本文:どんな変態なことしてくれる?あと、プロフと写メつけて!
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といた返事が即座に届きました。「どんなことしてくれる?」って、そりゃあ「アナルをぺロリ」それ以外に思いつかないのですけどね。あと、プロフィールと僕の画像を添付して来いと要求してきました。何だか品定めをされているようです。ここは一発、思いっきりバリッと決めたいと思います。

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送信者:ぬめぱと
タイトル:Re:Re:変態の総合商社
本文:何って、アナルをぺロリですわい。プロフだけど、身長は188センチ、体重は74キロ、年齢は27歳だよー。趣味はパソコンとかエロビデオかな。あ、僕の画像もつけておくね。<画像添付>
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正直に自分のプロフィールを書き、しかも自分の顔の画像まで添付しておきました。携帯電話についているカメラを使って自分の画像を取ったりすると、自殺したくなるくらいブサイクに撮れることがあるんですけど、その自殺級のブサイク画像を添付しておきました。元々ブサイクな僕のさらにブサイク級画像。これで入れ食いだったら信じるほかありません。

で、このメールを送付して、変態プレイの到来を今や遅しと待ち構えていたのですが、このメールを最後に彼女からメールが来ることはありませんでした。ウンともスンとも言わなくなってやがった。くそっ!

-<終了>-

気を取り直して、別の女性に再度アタック。

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投稿者:あゆ
タイトル:よろしくね
本文:エッチ友大募集中なりぃ。ぃッぱぃエッチぃことしたいから、エッチぃひとメール待てるねぇ
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すごく頭が弱そうな仮名遣いをしている彼女にロックオン。またもやアナルをペロリとか、そういった国辱物のめーるを送っておきました。すると、

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送信者:あゆ
タイトル:Re:アナルをぺロリ
本文:ぃぃよー。でも、キモぃ人がぁ来たら嫌だからぁ、写メ送ってね☆
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と来たもんだ。先ほどの経験をふまえ、僕の画像を送ったら間違いなく終了するので、ここはなんとか画像を送らなくてもいいようにスルーします。

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送信者:ぬめぱと
タイトル:Re:Re:アナルをぺロリ
本文:ごめん、いま携帯のカメラ壊れてて送れないんだ
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とまあ、今時カツアゲされた小学生でももっとマシな言い訳をすると思うのですけど、ここはなんとか画像を送らずスルー。するとメール相手のあゆちゃんは、

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送信者:あゆ
タイトル:Re:ReRe::アナルをぺロリ
本文:じゃぁ、誰かに似てるっていわれるぅ?
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とか、バリバリ伝説に僕の容姿を聞きだそうとするんです。何かが彼女をそこまで駆り立てるのか知らないですけど、とにかく、「誰に似てる?」とか必死なまでの誘導尋問。

そこで僕もバリッと「伊藤英明に似てるとか言われます」とか嘘8000なことを言いたい、そうしたいのはマウンテンマウンテンだったのですけど、さすがにそれはあんまりなので正直にカミングアウト。

---------------------------
送信者:ぬめぱと
タイトル:Re:Re:Re:Re:アナルをぺロリ
本文:えっと、ウチの親父に似てるとかよく言われるよ
---------------------------

このメールが致命傷だったのか、あゆちゃんから返事が来ることはに二度とありませんでした。

-<終了>-

気を取り直して、再度チャレンジ。

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投稿者:美智子
タイトル:やりまくりたい
本文:仕事も私生活もストレスばかり。思いっきりやりまくれるひと居ませんか?
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このように欲求不満の塊のような女性はゲット率が高いと考え、果敢にアタック。

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送信者:ぬめぱと
タイトル:やりまくり
本文:アナルをぺロリ!こんにちは。僕はオナニーキングで日に何十回とオナニーしまくりです。きっとヤリまくりも可能ですよ!もうアナルもぺロリですわい。がははははは
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とか、何が僕をここまで「アナルをぺロリ」に駆り立てるのか知らないのですけど、とにかくアナルをぺロリ。公開されたら国辱物ののメッセージを恥ずかしげもなく送信したのです。すると、

---------------------------
投稿者:美智子
タイトル:Re:やりまくり
本文:あれ?送信者が「ぬめぱと」?もしかして
Numeriのpatoさんですか。いつも読んでますよ。やっぱり変態なんですね。
---------------------------

-<終了、異常に赤面しながら終了>-

といったわけで、「誰でも簡単にヤリまくり」という謳い文句のSPAMに誘われ、出会い系サイトに挑戦したのですが、やっぱりヤリまくれませんでした。広告に偽りありです。何が誰でも簡単にだ、全然じゃねえか。騙されたぜ、くそっ。

というわけで、こういった詐欺的誘い文句のSPAMメール。みなさんも騙されないように気をつけましょう。


9/26 モノマネ

あまりこういったことを日記上で連呼したくないのですが、最近、富に仕事のほうが忙しいです。職場全体がクレイジーな忙しさにてんやわんや、家内制手工業もビックリの忙しさに四苦八苦といった状態になっております。

僕かてやっぱり普段はサラリーを貰って細々と暮らす一般社会人です。霞を食って生きていくわけにも行きませんので、やはり本業の仕事は大切。仕事が忙しい時くらい日記の更新がおろそかになるのは当然の摂理ではないかと思うのです。

今までも何度か、「仕事が忙しい」を理由に、腐臭が漂うほどの手抜き日記を恥ずかしげもなくアップロードしてきたわけですが、今回の忙しさはマジで並じゃない。

下手したら過労死とかで死人が出るんじゃないか、といったレベルで職場全体で忙しい、皆がもう大車輪のごとき勢いで右へ左へと仕事に勤しんでおるわけなんです。

下手したら、忙しさのあまり発狂しだすヤツが居るかもしれません。あまりの忙しさに精神的にやられてしまい、いきなりチンコ出しながら職場内をガハハハと闊歩し、B子あたりの頭部に小便とかかけ始めるヤツがいるかもしれません。

もしくは、忙しさのまり、攻撃的な性格が前面に露出し、いきなりナタかなんかを手に出社して「上司を殺して僕も死ぬ!」と大立ち回りを繰り広げるヤツもいるかもしれません。

このように、いつ発狂するヤツが出てもおかしくない。特に心の弱い僕がいの一番で上記のように発狂するんじゃないかというデスマーチですので、今日の日記は軽やかに短めのネタでお茶を濁させていただきたく思います。

さてさて、いくら仕事が忙しかろうと、毎夜毎夜ステディに電話をし、愛の短歌を詠みあげることをを欠かさないマメな男であるこの僕。まさに彼氏にしたい男ナンバーワンといっても過言ではないのですが、そんな彼女との会話の中でこんなことがありました。

「ねえ、ヨッシーのモノマネしてよ」

とか彼女が言うんです。ヨッシーとは、モー娘。の吉澤ひとみではなく、間違いなくスーパーマリオシリーズに出てくる爬虫類の突然変異みたいな動物で、明らかにモノノケの類の生物なのですが、それのモノマネをしろと彼女は要求してきたわけなんです。

実は、僕の行うヨッシーのモノマネは好評でして、先日行った「ゲリラだよ!ぬめぱと気狂いレィディオ」の放送中にやったら、「すごく似ている!」「感動した!」とリスナーさんたちから絶賛の嵐だったわけなんです。

彼女もその放送を聴いていましたから、同じように感動したのだろうと、僕の行うヨッシーのモノマネに感動したんだろうと思いました。やはり、普通にプライベートな会話をしていたというのに、ラジオ放送でやったモノマネをもう1回やってなんて要求するのですから、尋常ではありません。よほど感動し、もう一度あのモノマネを聞きたいと彼女が熱望している、そう考えるのは当たり前のことです。

なんだよ、そんな俺のヨッシーのモノマネが似てて感動したか、それでもう一度聴きたいってか。よしよし、ういヤツじゃのー。しょうがねえなー特別に一回だけやってやるよ。

そういった心意気で、ソウルフルにヨッシーのモノマネをしたわけなんです。携帯電話に向かって、遠く離れた場所に居る彼女に想いよ届け、電波に乗せて届け!と言わんばかりに決死のモノマネを敢行したんです。

「ギョッヒー!ギョッヒー!」

まるでヨッシーの生まれ変わりかと見紛うほどの会心のでき。こりゃもう貰ったと、彼女は感動しているに違いない、そう思った瞬間でした。

「ふーん、やっぱ、全然似てないね

と、すげえ冷静に、しかも少し冷ややかに言われました。

なんということ!なんという異常事態!あれほどソウルフルなモノマネであったにも関わらず、「似てない」の一言で一蹴。しかも、自分で「やれ」と要求しておきながらこれですからね、世の中、神も仏もあったもんじゃありません。

結局彼女は、すげえ似てるから聴きたいとか、感動したから聴きたいというわけではなく、あまりに似ていないから聴きたかったということらしいです。

自分で要求しておきながら、「似ていない」と痛烈なる批判。というか必死でモノマネしている人に向かって「似てない」なんて、レイプするより酷い仕打ちではないですか。どんな氷の心やねんと、どんな冷徹なアメリカ式経営哲学やねんと。

尋常でない異常事態に深く傷ついた僕は、

「ごめん、仕事忙しいから電話切るわ」

と、涙を流しながら携帯電話のOFFボタンを押したのです。

それからというもの、あまりの悔しさに夜も眠れない思いをした僕は、なんとかヨッシーのモノマネで彼女を見返そうと、忙しい仕事の最中にあっても必死で「ギョッヒー!ギョッヒー!」とヨッシーのモノマネをしているわけなんです。

パソコンに向かいながら、「ギョッヒー!ギョッヒー!」と連呼する僕。周りの同僚から見たら、「ああ、忙しさでこの人発狂しちゃったんだな」と思われているでしょうが、僕はいたって正常です、たぶん。


9/25 動物愛護

いやはや、昨日の日記をアップした瞬間からなのですが、久々に沢山の反響メールを頂きました。日記に対する反響をここまでいただけたのも久しぶりなような気がします。

「なにやってんだ!それって虐待だろ!早く通報しろ!」

「patoさんには失望しました。子犬が撃たれているというのに見てみぬふりなんて」

「残念でなりません」

「最悪です。気分を害しました」

とまあ、カブレラが夜鳴きのうるさい子犬をエアガンで狙撃していた事実に対し数多くの反響を賜りました。特に、早く警察に通報しろといった意見が多く寄せられておりました。

僕は動物とかに関することに全く詳しくないので、ちょっと調べてみましたところ、「動物の愛護及び管理に関する法律」というものがキチンと存在しているのですね。ホント、無知で恥ずかしい限りなのですが、こういった法律が存在しているとは思いもよりませんでした。

この法律によりますと、「第27条 愛護動物をみだりに殺し、又は傷つけた者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。」と書かれております。この愛護動物には、広くペットとして飼われている動物の大半が含まれるようです。

どうやらこの法律は罰則規定が強化されたらしく、以前は「三万円以下の罰金」だったのですが、平成12年の法改正により「100万以下の罰金もしくは懲役」となったようです。

平成12年に総理府が行った世論調査によりますと、「動物愛護法の存在すら知らなかった」という方が全体の50%以上を占めるようです。また、「法の存在は知っているが、虐待がそこまで厳罰化されているとは知らなかった」という方を含めるとなんと全体の70%程度にもなります。つまり、この法律は、あまり広く世間に認知されていない法律と言えるかもしれません。

これはあくまで予想の域を超えないのですが、もしかしたら動物を虐待する人というのはこの法律の存在を知らないのではないでしょうか。半数以上が認知していない法律です、カブレラもその辺の部分を知らずに子犬を狙撃していた可能性が十分あると思います。

一応、法律で明言されているのならば、カブレラの行っていることは不法行為です。それに、飼い主側の責任も問わねばなりません。動物愛護法によると、「近隣住民の生活環境を乱さないように配慮すること」と飼い主側の責任も明確に記されています。

ということで、その辺の部分を所轄警察署に電話で問い合わせてみました。名前も名乗らず、全くの匿名で問い合わせたのですが、

「近所の住人が他所の家の犬をエアガンで狙撃しているんですが」

といった僕の通報に対しては

「その犬の生命に関わるような虐待でないと、動物愛護法の適用は難しい」

とのことでした。つまり、エアガンで撃つくらいでは生命の危機と呼べず、法的には虐待の範疇に入らないかもしれないということらしいです。

ついでに、「犬の夜鳴きがうるさくて」といった申し出に対しては、「飼い主本人か行政に苦情として申し出てください」ということでした。

ということで、通報は行ったものの、特にこれといった収穫も得ることができませんでした。どうも、この動物愛護法の適用基準については、各地方ごとに曖昧なようです。

動物の生命の危機に直面しない、エアガンで撃つ程度の虐待なら動物愛護法により罰則を与えられない、という意見もありますし、静岡県沼津市では、空気銃で猫を狙撃した猟友会会長が略式起訴されたこのような例もあります。

一口に「動物愛護法」だとは言っても、その判断基準はかなり曖昧なようです。

ですから、通報はしたもののカブレラの子犬狙撃は止まりそうにありません。けれども、カブレラ自身はそれが法に反しているということを知らずに行っている可能性があります。(基本的に法律には生命の危機となる虐待だけが罰則の対象とは書かれていない)

ですから、そっとそれが法律に違反している可能性があるよということを知らしめるため、上記の動物愛護法を文章で示したこのテキストと、猟友会会長が罰金50万円の略式命令を受けたことを報じる記事をプリントアウトしたものを彼の住まわす部屋のポストに入れておきました。これで、彼が自覚し、そういった行為を止めてくれるといいのですが。

あと、僕がいつも車を駐車している位置を変更し、カブレラの部屋から子犬の繋がれている場所の中間に車を駐車し、彼が部屋から狙撃できないようにしておきました。

そんなこんなで何かとお騒がせなカブレラ君ですが、そういった虐待を止めさせるための文書を彼の部屋のポストに入れておこうと昼休憩を利用して我がアパートへと舞い戻ったのですが、丁度その時、カブレラ君はアパートの駐車場で活発に活動してました。

どっから持ってきたのか知りませんが、20台ぐらいの原付バイクを駐車場に並べ、磨いたりパーツを取ったりと甲斐甲斐しく作業していました。人の駐車スペースに原付を並べて楽しそうに。いやな、どっから持ってきたねんと。

どうも見るに、廃車になった原付を拾ったとか言うわけではなく、ナンバープレートもつきっぱなしだったし、中には鍵の部分が壊れているやつもありました。もしかしたら、これは彼が盗んできたものかもしれません。

盗んできたバイクを整備し売りさばく、仕事をしていない彼が収入を得ているのはこれだったのかもしれません。20台以上の中古原付が並ぶ我がアパートの駐車場。そして甲斐甲斐しく作業するカブレラ。

それを見ながら、「ヤツが動物虐待で逮捕されるのが先か、バイク泥棒で逮捕されるのが先か、一刻の予断も許せませんな」と思い、彼にバレぬように彼の部屋のポストに手紙を入れるのでした。


9/24 インソムニア

最近、全く眠れない。

元々、ナイーブでセンシティブで傷つきやすくて、夜はバルコニーから星空を見上げて、「どうして人は争ったりするの」なんて涙を流す僕です。非常に神経質で満足に眠れることが少なかったりするのですが、最近はより一層眠れなくなっているんです。

僕の住んでいるアパートは異常にキチガイが多く棲んでおり、キチガイ版トキワ荘みたいな状態になっているのは前にも述べたことがあるかと思います。廊下を歩きながら奇声を発する御仁がいたり、夜な夜な壁を叩く祈祷師みたいなのがいたり、明らかに熱心にドメスティックバイオレンスに精を出しているようなバイオレンスな物音が聞こえることもあります。

僕の住んでいる街の家賃の相場が4万円から6万円くらいなのですが、僕のアパートは普通に3万円、明らかに格安です。多分、少し頭がいっちゃったような人物が数多く棲んでいるため安い家賃設定になっているのだと思います。

そんな安い6畳の部屋で同棲している輩や、明らかに借金から逃げているようなオッサン、下手すれば家族で棲んでいるような人々も居ます。僕はもう、このアパートの一室に、不法入国してきた中国人が20人ぐらい雑魚寝してても何ら驚かない、それほどにスラムチックな装いをしているわけなんです。

もちろん、そんな広島のスラムと名乗れるほどのボロアパートです。当然ながら夜中の騒音も物凄い。前述した騒音に加え、住人どもが乗り回すシャコタンブギのようなお下品な車の騒音、アパートの通路で焼肉パーティーをするような下劣なる民族の結集、週末が来るとパソコンに向かって一人でブツブツ、ゲラゲラ「変態レィディオ」などと騒ぐ青年。どれをとっても平穏な日常生活からは程遠いものがあります。

中でも、斜め下の部屋に住まわすカブレラはひどいものがある。斜め下の部屋のネオ女子大生(けっこうキューティクル)と同棲するカブレラ。生粋の日本人でありながら、外見は西武ライオンズのカブレラに激似。ありえない筋肉で住人ども威嚇し、なぜか秋になった今でも日がな半ズボンという豪傑です。

そのカブレラが、夜通し駐車場で素振りをしたり、爆音を轟かせて愛車ムーブのマフラーの点検をしたり。酷い時になると意味不明に壁を殴っているらしく、ドスンドスンと僕の部屋まで衝撃が伝わってくるのです。

最初こそはこの異様で亜空間ともいえるアパートに驚き戸惑い。実家に帰りたいようなどとホームシックにかかったりしたものですが、5年以上も棲んでいると慣れてくるものです。今ではもう、キチガイどもがどんな宴を繰り広げていようとも、微動だにせず深い眠りにつくことができます。

ですから、アパートの住人達がキチガイすぎて眠れない、なんてことはないのです。そんなもの跳ね除けて寝るほどの豪胆さをこの5年で手に入れました。眠れない理由はこれじゃない。

ちょうど1週間ほど前でしょうか、僕の眠りを妨げる新たなツールが我がアパート周辺に配備されました。

僕のアパートは、見渡す限りの田園風景、他に何もない荒野の一軒屋みたいな場所に建っているのですが、実は隣接する土地に古めかしい一軒家が建っているのです。比較的ボロい、昔ながらの日本風建築みたいな民家があるのです。

この一軒家が不思議なものでして、どっからどう見ても明らかに空き家なのですが、たまにモモヒキ姿で部屋の中を闊歩する老人の姿が見られるのです。他にも、いつもは真っ暗で「誰も住んでないんだな、やっぱり空き家だ」なんて安心してると、温かそうな家庭の明かりが灯されていたり、酷い時は小さい子供が嬉しそうに遊ぶ歓声などが聞こえてくるのです。

もう、このアパートに5年以上も住み、僕の部屋の窓からその一軒家を見渡せるのですが、未だに隣の一軒家が空き家なのか人が住んでるのか判別できないのです。

本当に普段は空き家だと信じて疑わないほどに閑散としており、生命エネルギーの欠片も感じられないのに、時折、人々が生活しているような痕跡が出てくる。本当に謎な一軒屋なのですが、1週間前、その謎の空き家に動きがあったのです。

その一軒家の庭にあたる場所、ちょうど建物から見て我がアパート側にあたるスペースに二つの犬小屋が配備されたのです。当然ながら、犬小屋だけでなく、それに伴って二匹の黒い子犬が繋がれていました。

「ああ、犬を飼い始めたのか。やっぱ人が住んでるのかな」

と、またもや人が住んでるのか空き家なのかのパラドックスに陥り、しばし混乱したのですが、この2匹の子犬がとんでもない曲者だったのです。読売巨人軍の元木以上に曲者だったのです。

いやはやな、弱い犬ほどよく吠えるっていうけど、この二匹の子犬、明らかに吠えすぎ。まだまだ年端もいかない小さな子犬なんですけど、二匹揃ってワンワンキャンキャン。吠えるのが犬の仕事だっていう意見もあるかもしれないですけど、いくらなんでもやりすぎ吠えすぎ騒ぎすぎ。

日中、深夜、早朝、関係なしに吠えまくり。しかも二匹揃って大合唱なもんだから、マジでありえない音量になってるんですよ。ふつうに我が部屋の窓ガラスをスルーし、ガンガンと部屋の中に響く勢いで吠えてるの。

「よーし、明日は朝早くに会社いかないといけないし、今日は早めに寝ちゃうぞー」

とか意気込んで深夜12時ぐらいに布団に入ることがあるんですけど、その二時間後には祭囃子のように騒ぎまくる二匹の子犬によって起こされますからね。それで、朝までそういう祭みたいな勢いで騒ぎまくり。もうホント、なんというか全然眠れない。

それでまあ、毎晩の如くサバトを繰り広げる子犬たちのせいで、寝不足になること山の如しのpatoさん。家では犬がうるさくて眠れないから、会社で寝たり公園に車を停めて寝たりとかしてるんです。ホント、犬のせいで不眠症。

まあ、ちょっと血気盛んな若者とかだったら、うるさい犬なら殺してしまえ、と言わんばかりに怒り狂い、その子犬二匹を鈍器のようなもので撲殺したりするんでしょうけど、僕は違います。僕は心優しき青年ですので、いくら眠りを妨げられようとも、その犬に向かって怒るような真似はしません。逆に魚肉ソーセージとかをその犬にあげたりしてるくらいです。

ホント、犬がうるさくて眠れない、とか世界情勢からみたら些末な悩みです。特にこれといって怒ったり深刻に悩んだりする必要はないわけです。眠れないなら、眠れる場所で寝ればいい、ただそれだけなんです。

けれどもやっぱ、柔らかい布団の上で眠れないというのは、なかなか疲れが抜けないものです。毎日毎日、職場の椅子で寝たり、決して広くないボロ車の中で寝たり、そういうのは一時的に回復したように感じますけど、やっぱ疲れが抜けきってない。

やっぱたまには布団で寝なきゃな、そう感じた僕は、久しぶりにアパートに帰り、自分の布団で寝ようと決意したのです。

やはり、久々に家で寝るといっても、相変わらず犬の吠える声がうるさい。こんなに吠えていて君らは疲れないのかと思うほどに深夜だろうとワンワンキャンキャン。

けどね、やっぱ人間って慣れるものですね。ウチのアパートに住まわす奇人変人どもの蛮行に慣れたように、犬の鳴き声にも慣れちゃうんですよ、これが。

もう、いくら二匹の子犬どもがキャンキャンワンワン泣き喚こうが無関係。全く気にすることなく、もうすごく深い眠りについたわけなんですよ。犬の鳴き声、取るに足らん。我が眠りを妨げるものなどこの世にない、がははははは、と久しぶりに爽快な朝を迎えたわけなんです。

キャンキャン!

まあ、朝であろうとなんであろうと区別なく、それでも鳴き続ける隣家の子犬。貴様らは一体いつ寝てるんだ、朝すらも鳴いてるのか、24時間ラジオとかやっちゃうやつよりタフネスじゃねえか。なかなかやるな子犬ども。

なんて、子犬の鳴き声を克服し、完璧なる睡眠を手に入れた僕は余裕で思っていたのです。爽やかな朝の光を浴び、テレビの天気予報をみながら、少し心にゆとりを持ちつつ、ワンワンキャンキャン鳴く犬の声を聞いていたのです。その瞬間でした。

キャンキャン!

バシュ!

ギャヒン!

異様な音に続き、明らかに今までとは違う犬の悲鳴のような声が聞こえたのです。続けざまに何度も

バシュ!

ギャヒン!

バシュ!

ギャヒン!

何事かと思い、窓から子犬どもの様子を見てみると、いつもは犬小屋の前で踊るような勢いで吠えまくっている二匹の子犬でしたが、なんか犬小屋に隠れてブルブル震えているんです。

な・・・なにがあったんだ・・・・

起きたばかりでチンコ丸出しでしたから、急いでパンツとズボンをはき、階下へと降りてみました。

するとそこには、明らかに震える子犬二匹と、その犬に向けられた銃口が一つ。なんか、一階の部屋の窓ガラスが少しだけ開けられており、そこからニュッとどす黒い銃口が飛び出しているのです。

そして、バシュ!という音とともにBB弾が弾き出され、震える子犬に的確にヒット。とんでもないことです。

見ると、その銃口のヌシはカブレラでした。眠れなくてよほど頭にきたのかエアガンで子犬を撃ちまくってるのです。そして、弾が当たるたびに筆舌に尽くしがたい悲鳴をあげる子犬。これはもう、明らかに動物虐待です。

「ちょっとあんた、そんな酷いことは止めなさい。いくら眠れないからってやていいことと悪いことがあるぞ」

と、カブレラにいってやろうと思ったのですが、銃を構えるカブレラの目が、もうまさにスナイパーのソレで、なんというか途方もない殺気を感じてしまったのです。ありゃあもう、ホームランを狙うときのカブレラ(本物)以上に鋭い目つきだった。

そんなリミットブレイクしちゃってるカブレラに、忠告とか注意とかしようものなら、僕までエアガンで弾かれかねません。

バシュ!

ギャヒン!

とか僕が言う羽目になるのは目に見えてます。ホント、チキンで臆病者でダメなんですけど、あまりにもカブレラが怖くて何もいえませんでした。

今宵も、夜な夜な子犬が鳴く、そしてそれと同時にエアガンが火を噴く乾いた音と、子犬の断末魔の悲鳴が鳴り響く。深夜のアパートに鳴り響く。子犬の悲鳴自体はうるさいとか感じなくなっているので気にしません。ですから、鳴き声で眠れないということはないのです。

けれども、「うるさいから」という理由だけで、なんの抵抗もなしにエアガンで子犬を銃撃できるカブレラが、そんな獣が同じアパートにいるということを考えると、怖くておちおち眠れないのです。

「お前、オタクっぽいから」

なんて理不尽な理由でカブレラに狙撃される日が来ると思うと、怖くて眠れないのです。不眠症。


9/23 あの日の過ち

若気の至り、なんて言葉がある。若さ故の血気盛んで無分別な考えとでも言うべきだろうか、とにかく、若いうちは何かと無謀で無軌道な行動をとりがちだ。「若さ故の過ち」ってのもまさにそれなんだろう。

若い頃は、盗んだバイクを乗り回し、車線も信号も無視しまくり。追いすがるパトカーを片っ端から潰していったっけ。若かったな、あの頃は。なんて過去の犯罪行為を懐かしげに語る人がいる。

僕らの時間は、常に未来に向かって流れている以上、過去に対する認識は「懐かしさ」と「後悔」のどちらかしか存在しない。過去の出来事を懐かしく感じるか、死ぬほど後悔するか、そのどちらかしか存在しない。

けれども、その中でも「若気の至り」に関する感情は、「懐かしさ」と「後悔」このどちらもが入り混じった微妙な感情を抱くことが多い。

「若さ故の過ちかな」って言葉をつけて続く過去の思い出は、どこかに後悔の念があり、どこかに懐かしみもある。そして少しばかり誇らしい気持ちというか、その当時の自分が輝いていたかのように錯覚させることも多い。

けれども、中には後悔の念しか感じさせない「若さ故の過ち」もある。

話は2年前に遡る。

我が職場のインターネット導入は比較的遅く、二年前にやっとこさ本格的な導入が始まった。職場中にLANケーブルが張り巡らされ、職員全員にメールアカウントが配布された。

配布されたメールアカウントは、それぞれ各々が好きなようにメールアドレスを設定できるようになっており、皆が我先にと好みのアカウント取得に躍起になっていたのだ。

なんだか良く分からないサーバーマシンみたいなのにログインし、好みのメールアドレスを設定する。やはり、ありがちな名前を使ったアドレスは人気で、「yamada@会社のアドレス」なんてヤツは一瞬にして取られまくったのだった。

当時、このNumeriというサイトを立ち上げ、血気盛んな若者の代表格であった僕は、「やっぱ職場のアドレスといえども、自分のサイトに関連したメアドにしてえよな」なんていう、トチ狂ったとしか思えない考えを発動し、立ち上げたばかりの当サイト、Numeriで使っているpatoというハンドルネームをメールアドレスに設定したのだった。

つまり、「pato@会社のアドレス」なんていう、神をも畏れぬアドレスにしてしまったのだ。

あの時は本当に若かった。それよりなにより、このサイトがそんなに長く続くとも思ってなかったし、ましてや100万ヒットとかするとも思ってなかった。それよりなにより、上司や同僚の悪口を書きまくるようなサイトになるなんて夢にも思っていなかった。

一度設定した職場アドレスは、退職でもしない限り二度と設定しなおせないようになっている。つまり、僕は永遠に、プライベートなサイトで使っているハンドルネームが入ったメールアドレスを職場で使い続けなくてはならなくなったのだ。

今現在でも、ウチのウンコ上司なんかが、

「おい、ちょっと書類を添付して送りたいんだけど、お前のメールアドレスなんだったっけ?「ぱと」だったっけ?」

なんて言われるたびに心臓が止まりそうになる。

「p・a・t・o、ぱとだよな!」

と言われるたびに、ちょっとだけ尿漏れしてしまう。

職場での僕と、Numeriでのpatoはあくまで別人という認識であるにも関わらず、バリバリ仕事関係の上司の口から「ぱと」という単語が飛び出す矛盾。ホント、職場にサイトバレなんかした日にゃ僕は切腹するしかない。

喜び勇んで、立ち上げたばかりのサイトに関連したアドレスを設定する僕。なんというか、やはりあの当時の僕は若かった。全く先が見えず、ただただ無鉄砲に行動しているだけだったのだ。

「若さ故の過ち」であることは間違いないんだろうけど、こればっかりは懐かしさも何もなく、ただただ後悔の念だけが渦巻いている。そう、中には後悔しか感じない「若さ故の過ち」もあるのだ。

ちなみに、その当時、「おれ、設定の仕方わからんわ、アドレス設定してくれない?」と同僚の山田君に頼まれ、設定するマシンにログインした僕。親切に「yamada@会社のアドレス」を取得してあげようとしたのだけど、既に取得されまくっており、「t-yamada@会社のアドレス」とか色々とチャレンジするのだけど全然ダメ。あまりにも面倒で頭にきた僕は、何の迷いもなく「yamada69@会社のアドレス」を取得して彼に渡してやった。

それ以来、重要な得意先やお偉方に対して、「僕のアドレスはヤマダシックスナイン@会社のアドレスです」と、泣きそうな顔しながら言う山田君を見て、「ああ、あんなアドレスにしてしまってなんて悪いことしたんだ」という念と、「なんて面白いんだ」なんていう念が入り混じる。

シックスナインを冠するメアドを山田君に授けた僕、確かに若さ故の過ちなんだろうけど、こういうのは「懐かしい」と「後悔」が入り混じっていて、本当に正当な「若さ故の過ち」なんだなって思う。

きっと、そう遠くない将来、僕にとっては、このサイトをやってたこと自体が「若さ故の過ち」になっているかもしれない。できることなら、「懐かしい」「楽しかったなあ」なんていう思いを一緒に抱き、「後悔」しか感じられない過ちにはしたくない、そう思ったのだった。

ちなみに、シックスナインの称号を持つ山田君は、そのアドレスが余程嫌だったのか、その数ヵ月後に退職しました。さすがにその時は「後悔」の念しか感じられなかった。


9/22 考え事ドライブ

週末夜、眠れない僕はいつも車を走らせる。

寝静まった街を愛車で駆け抜け、少しばかり温度の下がったアスファルトの上を焦がすように走り抜ける。街灯と、点滅する黄色信号だけが瞬く夜の街は、なんとも爽快で、考え事をするに充分な環境だ。

カーラジオから深夜ラジオがごく小さい音量で流れ、あまり代わり映えしない風景を眺めながらステアリングを握る。カーブをするりと抜けながら、日記のネタのこと、私生活のこと、仕事のこと、将来のこと、ありとあらゆることに考えを巡らす。

情報の洪水に飲まれ、思考停止を余儀なくされている僕らにとって、無意味な行動をしている時にしか、純粋に考えごとをする時間は残されていない。意味もなく深夜のドライブをしたり、意味もなく何時間も湯船に浸かってみたり、意味もなくボーっとしたり、そういった無意味な時間にだけが、考え事をすることを許される。

考え事をしながら深夜の街を駆け抜ける僕は、いつの間にか高速道路に飛び乗っていた。

高速道路は、考え事をするにうってつけだ。

街乗り以上に代わり映えしない景色、信号も何もない。ただただ、前後の車の動きとオービスに注意するだけ、アクセルだってずっと踏みっぱなし。より一層、考え事をすることに集中できる。

週末深夜のハイウェイ。何も考えず、ただただ爆走する車が一台。

気がつくと、僕は大阪まで来ていた。広島から山陽道を抜け、中国道と合流、そのまま吹田I.Cまで到達していた。山間を抜け、左右に万博記念公園とモノレールが広がる景色は、都会に来たことを急激に実感させてくれる。

吹田I.Cで高速を降りた僕は、そのまま大阪の街を走り抜ける。深夜といえども、大阪の街は交通量も多く、さらに街自体も明るく活気がある。注意を惹かれる対象物が多く、大阪の街乗りはとても考え事ドライブをする環境ではないことに気がつく。

それよりになにより、走っている車の交通マナーが悪すぎる。とてもじゃないが、大阪の車たちは事故を起こしたくて走っているとしか思えない。なんだあれは、ほとんど暴走行為じゃないか。一般公道の皇族と呼ばれるほど運転マナーの良い僕は、乱暴な大阪の車たち(特にタクシー)の暴走行為に恐れおののき、ただただ震えながらステアリングを握ることしかできなかった。とんでもない街だ、大阪は。

さすがに、こんなクレイジーライダーみたいな運転環境で、考え事ドライブなど出来るはずもなく、とにかく必死に運転をすることのみ。ただただ生きてこの死の町大阪から生還することだけを祈りつつ、荒ぶる神々のような大阪カーたちの間を縫ってドライビン。

寿命が縮まる思いをしながら、それでも決死のドライビン。僕の命をつけ狙う「なにわ」とか「大阪」ナンバーカーとの決死の公道バトル。さすがに疲れきってしまった僕は、道路脇にあったコンビニへと立ち寄る。地図を見て自分の現在位置を確認したかったし、それよりなにより、真剣な命のやり取りで喉が渇いてしまった。命の洗濯とばかりに潤いを求め、コンビニへと立ち寄ったのだった。

それに、もう一つ大切な目的があったのだ。とにかく、ただの勢いのみで、着の身着のままで家を飛び出し、大阪までやってきてしまった僕。所持金は800円のみで、他にはハイウェイカードとタバコぐらいしか持ち合わせていない。いくらなんでも大阪くんだりまでやってきて所持金800円はマジでありえない。せめていくばくかのお金は手にしておきたいと、コンビニへと立ち寄ったのだ。

最近のコンビニはとても便利になったもので、普通に銀行用ATMが設置されており、深夜だろうがなんだろうが24時間金を下ろしたりできる。僕の住む広島は田舎なためか、未だにコンビニATMが普及していない。けれども、ここは大都市大阪、さすがにコンビニATMがアホの子のように普及している。

何処のコンビニにも銀行ATMが設置され、いたって普通に深夜であろうが金を下ろしたり入金したり。なんとも便利な世の中になったものだ。真夜中に所持金800円で街をうろついていようが、口座に金さえあればいくらでも下ろせるのだ。なんて素敵な便利さなんだろう。

そんなこんなで、コンビニへと飛び込んだ僕は、さっそく店の端に設置されていたATMマシーンへと駆け寄り、銀行のキャッシュカードを叩き折れんばかりの勢いで投入する。

「暗証番号を押してください」

無機質な機械の音声が店内へとこだまし、言われるがままに4桁の暗証番号を押す。

しかし、いつものことなのだけど、僕はこの機械の操作が大の苦手だ。まず、圧倒的にボタンを押す圧力が強いらしく、上手く押されていないことや連打になっていることがある。さらには、異様に太い僕の指は、隣のボタンまで無意識に押してしまう。

まあ、僕のキャッシュカードの暗証番号は「0721」なんだけど、それが連打やボタン無反応、隣のボタン押しなどが相まってしまい、「0071」とか「7351」とかわけの分からないことになってしまうことが多々ある。

それでまあ、この日もいつものごとく暗証番号入力を大失敗。

「暗証番号が間違っています」

「暗証番号が間違っています」

2回続けての大失敗。このままでは非常にまずい。

こういったキャッシュカードの暗証番号などは、3回間違うと全てがお陀仏。カード自体が使えなくなり、そのまま金を下ろすことも、ましてや残高照会をすることもまならなくなってしまう。結果、所持金800円で大阪の街に放り出され、広島に帰ることも出来ず、ホモ相手に泣きながら体を売って小銭を稼ぐことになりかねない。

「マズイ、チャンスはあと一回だ。ま、間違えないようにしなくては」

緊迫した空気が張り詰める。まさか、こんな大阪のちょっとしたコンビニの一角で生死をかけた番号バトルが行われているとは夢にも思うまい。

とにかく、落ち着いて、落ち着いて、「0721」この番号を一つ一つ冷静に押していかねばならない。なあに、4つの番号を押すだけ、簡単じゃないか。落ち着いて冷静にやればいけるはず。さしたる問題ではないはずだ。

「0」・・・「7」・・・「2」・・・

まるで初めて女性器を触る時の童貞男性のように、恐る恐る丁寧に一つ一つのボタンを押していく。そしていよいよ、最後の「1」を押すその瞬間だった。

「すいません!摂津ってどうやって行ったらいいですか!」

と、血気盛んそうな若者がコンビニ店員に話しかけている声が耳に飛び込んできた。

摂津というのは、大阪はずれに存在する「摂津市」のことだろう。モノレールの駅も存在するし、たしか新幹線の車両基地がある場所だ。近畿道を通って、摂津市に差し掛かった辺りで眼下に広がる新幹線車両基地は爽快な眺めで、「のぞみ」「ひかり」「こだま」がイモ洗いのように整然と並んでいる姿を拝むことができる。新幹線好きにはたまらない光景だ。

どうやら、若者はその「摂津市」に行きたい様子だったのだ。

「うーん、摂津市の何処に行きたいのですか?」

道案内に応じるコンビニ店員も、なかなか歯切れが悪い。

「いや、摂津市に行きたいんです!摂津市にさえ入ればあとは分かるんで!」

と血気盛んな若者は答える。とにかく、なんでもいいから摂津市にインしたい。どうやって行けばいいのか教えろ、と若者の魂の咆哮が聞こえるかのようだった。

「どうした兄ちゃん?摂津市にいきたいんか?」

激しい若者と店員とのやり取りを受けて、店内でエロ本を立ち読みしていたタクシー運転手が救いの手を差し伸べる。

「はい!そうなんです!」

見知らぬ人間同士の親切というか、人情に厚い大阪の風情というか、そういうのを垣間見る。

「摂津市なら、いろいろ行き方あるけど、どこにいきたいん?」

道のプロ、道案内のプロであるタクシー運転手が、血気盛んな若者をなだめるように問う。

一口に摂津といっても、色々な行き方があるんだよ。目的地に応じて、それ相応のルートを選ばなきゃダメなんだ。分かるかい若者よ。何が何でも摂津市、それじゃあ闇雲に人生を爆走する無謀者と何も変わらない。大切なのは目的意識なのさ。行き方ってのは生き方に通じるものがある。そりゃあ道に迷い、行く先を見失うこともあるさ。でもな、目的意識さえ持ってれば誰かがルートを助言してくれるものなのさ。さあ、摂津市の何処に行きたいのか、しっかりと目的意識を明確にしてごらん。

人生経験豊富そうなタクシー運転手が、なだめるようにそう言ってるかのように僕の瞳に写った。それでもそんなキモチは若者に微塵も伝わっていない様子で、

「いえ!摂津市に入れば後は分かりますから!行き方だけ教えてください」

そんなに、「摂津市の何処に行きたいのか」を伝えたくないのだろうか。その先には余程後ろ暗いことがあるのか、とにかく若者は頑なに言おうとしない。どこからそんな自信が溢れてくるのか知らないが、とにかく「摂津市に行けば後は分かる」の一点張り。何が彼をそこまで摂津市に駆り立てるのか。

「なんとも訳の分からない若者も居たもんだ」

レジ付近で繰り広げられる若者とタクシー運転手そしてコンビニ店員のやり取りを見ていた僕も、実はそれどころではない、暗証番号の最後の「1」を慎重に押さねば、800円で大阪の街に放り出されてしまう。とにかく、慎重に押さねば、と視線をATM画面に移そうとしたその瞬間だった。衝撃的な光景が両の眼に飛び込んでいる。

レジ付近から目の前のATMへと視線を移す際に、コンビニの入り口ドアが見えたのだけど、そこには

「ローソン 摂津○○店」

と、この店舗の名前が書かれていた。

ば、バカなー!ここは見紛う事なき摂津市じゃねえか!間違いなくここは摂津市じゃねえか!

ならば、コンビニ店員の対応も、タクシー運転手の対応もおかしい。「とにかく摂津市に行きたい」とういう若者の問いかけに対し、「ここが摂津市です」と答えれば済む話じゃないか。

それよりなにより、若者がまずおかしい。「とにかく摂津市に入ればわかるんです」とか言うてたくせに、自分がいる場所が摂津市だということに気がついていない。全然分かってねーじゃないかと。どこが摂津市に入れば分かるんだと。今まさに入ってるのにわかってねーじゃねえか。

さすが大阪、全てのものが異次元過ぎる。阪神の優勝で浮かれてるんじゃねえか。

とか思いつつ、まるっきりパニックになりながら、暗証番号のボタンを押したら、ものの見事に間違えました。

いやはや、見事に暗証番号3回失敗で口座はロック!週明けに銀行に行くまでキャッシュカードを使えない状態に相成りました。うむ、所持金800円で大阪の街に放り出されました。

あまりに衝撃的な事実に直面し、もはや五里霧中といった状態でステアリングを握り、大阪の街を愛車で駆け抜けました。自らの失敗に放心状態の僕は、大阪の地獄甲子園のような運転マナーの悪さなど気にならず、ボケーッと、「さっきのコンビニでの出来事をどうやって日記に纏めるか」と考え事ドライブをしていました。

そしてその後は、「どうやって広島まで帰ろう、あ、ガソリンが・・・」という、もっと深刻な考え事ドライブに発展するのでした。


9/20 ゲリララジオ

ゲリラだよ!ぬめぱと気狂いレィディオ

放送 終了しました。(スペシャルサンクス!チクロさん)

放送用スレ http://jbbs.shitaraba.com/computer/bbs/read.cgi?BBS=8183&KEY=1063955431

放送内容 だらだらトーク。ビットアリーナのテスト

放送中の企画patoさんとのオセロ対決に敗れたリスナーどものバツゲーム。鼻になにかをいれて画像晒し。

武士のような潔さでバツゲームを敢行するリスナーさんたち

提供:http://2style.net/syntaxsystem/(音なります)

提供:http://www.geocities.jp/ss6shooter/

提供:http://members.jcom.home.ne.jp/kyochang/

全て本人の了承を得てアップしております。この画像の無断転載、無断配布はご遠慮ください。


9/19 SDその後

LOGIC&MATRIXの遊星さんと一緒に地獄を見たスーパードルフィー専門店「天使のすみか」突撃レポート(9/6 スパードルフィーの世界Numeri Side 同時にL&M sideのレポートも読むと一層楽しめます)。おかげさまで数々の反響が読者様から寄せられております。

「patoさん、やりましたよ!僕もアルタ8階の天使のすみか行きました」

「この間行ってきました。あの場所でpatoさんと遊星さんが震えていたかと思うとおかしくておかしくて」

「店の前に落書きノートがありましたので、L&MとNumeriのURL書いておきました」

中には「今まさに天使のすみかにいます」と、あそこは店内撮影禁止のはずなのに、携帯で撮影した画像を送ってくれる方まで。

とまあ、皆さん頭のネジが抜けてるというよりは、初めからネジ山がないんじゃないの?と疑いたくなるほどの猪突猛進ぶりを見せつけてくださっています。

そこで果敢なる読者様に言いたい。確かに、果敢で勇気ある行動であるとは思うけど、スパードルフィー関連はあくまでLOGIC&MATRIXのネタです。僕は付属して書いてるに過ぎません。そういった報告は次からLOGIC&MATRIXに投稿するように。

そして、中には、

「大切で大好きな物をネタにされた人の気持ちが分かりますか」

「貴方達はスーパードルフィーをバカにしてるんですか」

とか、もう、申し訳ない申し訳ないと謝るしかないメッセージも頂いております。そんなつもりはないのですが、確かに、好きな人にとっては不愉快にしか感じられない日記を書きました。その点は本当に謝りたいと思います。

ただ、スパードルフィー関連はあくまでLOGIC&MATRIXのネタです。僕は付属して書いてるに過ぎません。そういった忠告は次からLOGIC&MATRIXに送ってください。

そして、この間、if→itselfのifさんにお会いしたのですが、会うや否や、

「patoさん、プレゼントです」

と渡された紙袋が一つ。開けてみると

スーパードルフィー下着上下セット(黒)

ちょちょちょちょちょっと待ってください!なんですかこれは!なんですかこれは!アナタまで行ったのですか、天使のすみかに行ったのですか。しかも下着、それも黒の上下セットまで買って!

インテリ風な女性であるifさんが、どのツラ下げて人形の下着を買ったのか想像するだけでご飯5杯はいけます。さらに、

「領収書も見てください」

そんなifさんの言葉に促され、一緒に入っていた領収書を見ると

Numeri様。Numeri様。Numeri様。

止めて!誰か彼女を止めてあげて!

なんで領収書の宛名がNumeriなんですか。これでは不審に思った店員さんが検索とかするかも知れないじゃないですか。なんですか、これは新手の嫌がらせですか。新手の地上げかなんかですか。

とにもかくにも、ifさん、とても素敵なプレゼントありがとうございます。人形用の下着など貰っても使い道がなくて困るという事実を初めて知りました。

しかしまあ、プレゼントは嬉しいのですが、スパードルフィー関連はあくまでLOGIC&MATRIXのネタです。僕は付属して書いてるに過ぎません。そういったプレゼントは次からLOGIC&MATRIXの人に贈ってください。すごく喜ばれると思いますよ。もちろん領収書にはサイト名で。

とまあ、皆さんウチのネタでもなんでもないのにスーパードルフィーがお好きなようで、遊星さんも草葉の陰でさぞかし喜んでいることだと思います。ですから、次からは是非とも本家であるLOGIC&MATRIXの方によろしくお願い致します。

そして最後にもう一つ、ウチの彼女様が放った言葉なんですが、

「誕生日プレゼントにスーパードルフィーが欲しい」

下着なんかじゃ許さない、あくまでドルフィー本体を買って来いという指令。ある意味死刑宣告ともとれる途方もない指令。

さすがに彼女の誕生日プレゼントですので、こればっかりは「遊星さんに言え」と言うわけにもいかず、どうしていいものかと頭を悩ませております。

ちなみに、ドルフィー本体を購入する場合、下着などの小物を買うように金を払って持って帰るというわけにはいきません。ドルフィーは生きている愛娘なのですから、商品のように扱ってはいけないのです。

アルタ8階、天使のすみかで愛娘を引き継ぐお迎えのセレモニーをしなくては、ドルフィーを譲り受けることができないのです。

店側が用意した祭壇において行われるお迎えセレモニー。キチンと記念撮影やら記念スピーチなどをし、そして初めて愛娘を家に連れ帰ることができるのです。

というわけで、僕は彼女の誕生日プレゼントにスーパードルフィーを購入すべく、お迎えのセレモニーに臨もうかと思っております。記念スピーチは僕が担当しますので、記念撮影は是非ともLOGIC&MATRIXの遊星さんにお願いしたいと思っている次第でございます。

というわけで、男2人によるスーパードルフィー突入レポート。もしかしたらパート2 お迎えセレモニー編が近日登場するかもしれませんね。是非ともお楽しみに。(まだ遊星さんに何ら了承を取っていないので、ムチャクチャ怒られたらこの話はなかったことになります)


9/18 キャッツアイ

今日も今日とて仕事仕事。明日も明日で仕事仕事。最近は仕事の方が容赦なしにシュラバラバンバ、魑魅魍魎、百鬼夜行の忙しさでございまして、なんとかベロベロになりながら日々の業務をこなしております。

いつもね、思うんですよ。このデスクの上に溜まり溜まった書類の山、これが全部大塚ちひろだったらどんなに素敵か。デスクの上に山のようにそびえ立つ大塚ちひろ。もう考えただけで仕事どころの騒ぎじゃない。

というウィットに富んだジョークはさておき、真剣に思うところがあるんですよ、デスクの上にアンデス山脈のように積もり積もった書類を見て、思うことがあるんですよ。

この書類、キャッツアイとかが盗んでくれねーかな

そう思うわけなんです。いやね、いくら仕事が嫌で嫌でやりたくないって言っても、自ら進んで書類とか捨てられないじゃないですか。率先して仕事を放棄するような真似、いっぱしの社会人としてやってはならないじゃないですか。このご時世です、仕事があるだけ恵まれてる、そう思わねばなりません。

そこでキャッツアイの登場です。美人三姉妹による女盗賊。彼女らにですね、上司の眉間辺りにキャッツカードをぶち刺してもらって、「今夜、patoさんのデスクの上の書類を頂きます」とかやってくれればいんですよ。で、厳重な警備をしたにも関わらず書類を盗まれる。レオタード姿のキャッツアイに盗まれる。これですよ。

もう、仕事がしたくてもやれない。だって書類は盗まれちゃったんだもの。すごいやる気だけはあるのに、キャッツアイが書類を盗むもんだから仕事をやれない。これこそが理想の形なわけなんですよ。

ですから、「お願いキャッツアイ!僕のデスクの書類を盗んで!」って仕事をしながら熱望しているわけなんです。

そんなこんなで、今日も絵空事の空想を思い浮かべながら、キャッツアイの到来を今や遅しと待ち構えて仕事をしてたんですけど、今日は大崎のバカと一緒に仕事だったのですよ。

整理整頓大好き、筋肉マッチョで色黒のイケメンスポーツマン。それだけでも万死に値するというのに、しっかりと浜崎似のナース彼女がいるという、神をも恐れぬ蛮行が目に余る大崎のヤロウと一緒に作業してたわけなんです。

そしたら不意に大崎のヤロウが

「pato君、君、最近なんだかちょっと臭いよ、ちゃんと風呂入ってる?」

とか、気の弱い人だったら自殺しちゃうんじゃねえかってことを言い出しやがるんですよ。白い歯をキラーンと輝かせながら、とんでもないハートブレイクショットを打ってきやがるんですよ。

「いや、ガス止められてましてね、水風呂なんですわ。それでまあ、あまりの寒さに体の洗浄もおろそかになってしまうんです」

とか、僕も傷つきながら必死で反論するんですけど、なんかすごく心をえぐられたかのように傷ついてしまうんです。

もうね、そういうことを言うなと。面と向かってそういうこと言うなと。いくら僕が臭かろうが、ハエとかがぶんぶん飛び回っていそうなファンキースメルがしようが、そういうのは人として言っちゃならないこと。本人に面と向かって言わないものでしょ。陰でコソコソと、「あいつ臭いよな」とか噂するのならいいですけど、真っ向勝負で言うものじゃないでしょ。傷つくじゃないですか。

それでまあ、この無神経大崎バカバカ、死ね死ねとか心の中で悶々と思いながら、さして傷ついてない素振りで作業を進めていたんですけど、大崎のカスが言いやがるわけなんですよ。

「だらしないなあ、ガス止められるなんて信じられない」

とか、さも僕をバカにしたかのように、貴族が奴隷を蔑むかのように言い放ちやがるわけなんですよ。温厚な僕ですが、これにはさすがにご立腹。ジャイアン殺して僕も死ぬ!といった勢いで大崎のヤロウを殴り殺してやろうかと思った次第でございます。

けれども、いくら大崎が無神経のクズだろうと、そういうのって良くないじゃないですか。憎いから殺す、それではそこらの殺人鬼と何ら変わりはないのですよ。僕らには耐える力がある、憎き相手を許す度量がある。そんな気持ちでグッと堪えましたよ。

「そんなに水風呂があれならさ、今日はウチで風呂にでも入っていく?」

いやいや、大崎のヤロウは神ですか。この殺伐としたこの世に舞い降りた色黒の神ですか。コンクリートジャングルに舞い降りた神ですか。なんだよおめえ、なかなかイイヤツじゃねえか。おれ、アンタのこと誤解してたよ。

とまあ、予想外の幸運に大興奮。お湯の出る風呂に入れるという未曾有の幸運に大興奮。まるで川原で殴りあった2人のように仲直りをし、仕事後に大崎のアパートへと赴くことに相成ったわけでございます。

そして夕方、仕事を終えた僕らは二人連れ立って大崎邸へ。

職場からそう遠くない場所に君臨する大崎アパート。なるほど、なかなか小洒落た作りをしてやがる。ここで大崎のヤロウはオナニーしたり彼女と変な棒出したり入れたりしてるわけだな。

「ここだから、まあ、入って」

階段を上った二階の角部屋、小洒落たドアを開けて中にいざなってくる大崎。見ると、ドアの前の通路には親の敵の如く発泡酒の空き缶捨ててある。不燃物用のゴミ袋にパンパンに入れられた空き缶の山は、なんとなくアル中の気配すら感じさせる。なるほど、爽やかそうに見えて家では発泡酒浸りの毎日か。なかなか荒んでるじゃねえか。

大崎の意外な一面を垣間見て、恐る恐る部屋の中へ。

やはり几帳面な大崎らしく、部屋の中は綺麗に整理整頓されている。ここには小姑でも住んでるのか、と思うほどに掃除が行き届いており、チリ一つチンゲ一本落ちていない。部屋は全体的に青一色で統一されており、ざっと見エロ本やエロビデオといった類のものは確認できない。なんとも正統派な爽やかナイスガイの部屋だ。もちろん、筋肉バカの大崎らしく、部屋の隅にはどんな重さか想像することすらできない鉄アレイなんかが何のためらいもなく置かれている。あと、プロテインの缶とか置いてあった。

「いいよ、風呂使ってもらって」

親切にバスタオルなどを渡され、お湯の出る風呂へといざ行かんとする僕。台所と部屋とを結ぶ通路みたいな場所に風呂があったのですけど、始めてくる家の通路で普通に全裸になっている自分がちょっと嫌でした。

それでまあ、もうお湯が出るのって感動!と、それはそれはとんでもない勢いで入浴をしたんです。やっぱお湯が出るってのは物凄いことで、なんというか、文明の利器とかそういうのじゃなくて、大宇宙の意思みたいなのを感じながら体を洗ったりしてたわけなんです。大崎様ありがとうありがとう、と涙涙の入浴劇。

なんか、洗面台に育毛トニックみたいなのが置いてありましたが、まあ見なかったことにします。本来なら、影でコソコソと「この育毛トニックめ!」と言うところですが、いで湯を与えてくれた大崎様には感謝してもしきれない。そんな育毛トニックなんてどうでもいいんですよ。

「ふいー、すっきりした」

久々のお湯風呂に大満足した僕、さっそく体を拭き、服を着て大崎様のいる居間へと向かいます。さあて、風呂にも入ったしもう帰るか、と思って部屋に入ると、大崎様は腕立て伏せとかしてました。まさに筋肉番付と言うほかない。

「お風呂ありがとうございました、では、ぼくはこれで・・・」

とか言おうとしたのですが、腕立て伏せで良い汗をかいた大崎様が言うんです。

「じゃ、次俺が入ってくるわ、ビールでも飲んで待ってて(プシュ)」

とか、発泡酒の缶を開けながら言うんです。いやな、「じゃ、次俺ね」とか順番に風呂に入るとかありえない。なんですか、僕らはこれから一発やるんですか、これから2人で恥らいながらまぐわうんですか。

とか思うのですけど、さすがに発泡酒の缶まで開けられたら飲まないわけにはいかないではないですか。酒を飲む習慣はないのですけど、飲まないわけには行かない、そんなこんなで大崎様の入浴が終わるのを待っていたのです。

待ってる間暇なので本当にエロ本とかないのかと色々と探索していたのですが、そういった類のものはまったく出てきませんでした。この世にエロ本を持ってない成人男性がいるという事実に自らの根本が揺らぐ思いをしつつ、それでも待っていると、

「ふいー、すっきりしたー」

とか、大崎のヤツが!腰にタオルを巻いただけの!全裸で!大登場!

死ぬ死ぬ、普通に死ぬ。なんですか、この後はムーディーに照明を落としつつ間接照明に切り替え、ハラリとタオルとか取っちゃうんですか。「すごくドキドキしてる」とか頬を赤らめながらベッドに横たわる大崎。うぎゃーー普通に死ねる。

とか思ってたら、大崎のヤツは普通に腰かけてプシュとか発泡酒の缶を開けてました。

フェードインではなかったものの、さすがに、裸の大崎と対峙していては間が持たない。一刻も早く家に帰りたかったのですが、なんとなく帰ってはまずいような雰囲気。せっかくお湯の出る風呂に入ったというのに、なんだか嫌な汗が噴出してきましたよ。

さすがに間が持たなくなった僕は、

「あ、ちょっとパソコン借りていいですか」

と、部屋にあったファッショナブルなバイオを起動。なんとかパソコンをいじることで気まずい空気を回避したわけなんです。

「いいよ、インターネットとか自由に使って。好きでしょネットとか」

とかサラリと違和感なくネットキチガイの烙印を押されましたが、なんとか気まずい空気を回避。ネットに夢中な素振りをして大崎の魔の手から逃れようとします。

大崎は大崎で、僕が来ていようが普段と全く変わらない素振りで、なんかプロテインを牛乳と混ぜるとか言って台所の方へと消えていきました。

今がチャンス!

そこで思ったのですよ。これは今がチャンスだと。ヤツのブックマークをチェックするチャンスだと神の啓示があったのです。エロ本を所有していないと思われる大崎ですが、きっと盛りのついた中学生の如くエロサイトを巡回しているに違いありません。それを確認するチャンスだと、バッチリ確認するチャンスだと閃いたわけなんです。

何のためらいもなく「お気に入り」を開いた僕。その瞬間、目の前にはとんでもない光景が。

「テキストサイト」

て・・・テキストサイトー!ば、バカな!

何かの見間違いであって欲しかったのですが、大崎のパソコンのお気に入りの中には見紛う事なき「テキストサイト」のフォルダーが。Folder5ならまだ良かったのですが、そこには「テキストサイト」のフォルダーが。

手が震え、心臓の鼓動が早くなるのを感じながら、恐る恐るそのフォルダを開くと、その中に「Numeri」こそありませんでしたが、テキストサイト大御所様のサイトがズラリ。なんか、Numeriからリンクしているサイトもいくつか普通に鎮座しておられました。実は大崎のヤツ、かなりのテキストサイトフリーク。

まちがいない、ヤツはこのサイトの近くまで来ている。すぐ近くまで来てやがる。

震える手でマウスを握りながら思いました、大崎が全裸とか、仕事が死ぬほど忙しいとか関係ない、このブックマークを何とかすることのほうが親よりも大切だと。

「お願いキャッツアイ!ヤツのブックマークを盗み出して!」

僕の心の悲鳴がこだまするのでした。大崎にサイトバレとか洒落にならん。危険になった場合、過去ログとか全部削除します。


11月22日に開催されるプレ大阪オフの告知が出されています。関西周辺の方はこぞって参加してやってください。こちらから


9/16 メル友

ウチの職場のバカ後輩二人組がなにやらヒソヒソと相談してました。

「なあ、全然返事来ないんだけど」

「もっといっぱい出したほうがいいんじゃない?」

「そうだなあ」

仕事では見ることが出来ないほど真剣に話し合っていた後輩二人、なにやらその二人の傍らにあるパソコン画面にはナントカカントカとかいうサイトの画面が開かれていました。

このサイトは、どうやら近所に住むメル友募集な人を探す出会い系の類のサイトらしく、どうやらそこでキューティクルな婦女子をゲットしようと二人は目論んでいるようでした。

しかしながら、目ぼしい女性を見つけてメッセージを送るものの、返事が来ない毎日。ついに二人は疲れ果て、何が悪くて返事が来ないのか原因を探っているようでした。

こういった無料の出会い系サイトの類は、無料であるが故に多数のメッセージが飛び交います。特にどこの世界でも女性上位であるのは当たり前なので、男のところにメッセージは来なくても女性のところには山のように来るのです。猛り狂った荒ぶる神々のような男たちのアプローチメッセージが、それこそメッセージボックスを破壊せん勢いで来るのです。

ネットの世界じゃどこにいっても女性上位の市場。必死にアピールする男性に、そのなかから良さそうなのを余裕で選ぶ女性と、明らかに階級が分かれているのです。

そんな中、何の特徴もないバカ後輩どもがいくらメッセージを送ろうとも返事などをもらえるはずもありません。山ほど届くありきたりのメールの中に埋もれ、そのまま陽の目を見ることなく削除されていくのです。そんな死に体のメッセージを書くくらいならいっそのことオナニーしてたほうがいくらか建設的です。

でもまあ、「なんで返事こないんだろうなあ、名前が悪いのかなあ」と必死で悩んでいる可愛き後輩達、ここは一つ先輩として僕が適切なアドバイスをしてあげるべきです。そう、カワイイ後輩のために一肌脱いであげようじゃないですか。

「あのなあ、お前らは平凡な自己紹介メッセージとか送ってるんだろうが。そんなの女の子に何十通届くと思う?絶対に読まれねえよ。そんな特徴のないメッセージ、読まれてすぐにポイだぜ。だからな、もっと個性的なメッセージを書くんだよ、爆発的に目を惹き、心を鷲掴みにして離さない、ある意味狂ったメッセージを書くんだよ」

僕の適切なアドバイスを聞き、目から鱗が落ちた後輩2人組。早速、なにやら個性的なメッセージを相談して書き始めました。

「できた、これなら絶対に大丈夫。心を鷲掴みだぜ」

満面の笑みで言う後輩2人組。僕もアドバイスした手前、完全放置とはいきませんので、彼らの書いたメッセージを読んでみました。

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タイトル:嫁

本文:俺の嫁にならないかい!嫁って字は、YoMeなんだぜ。つまりはYouとMe、僕と君さ。一緒に嫁を捜しに行こう!僕と君で!返事待ってる。

HN:百姓(24歳)
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うん、多分一生返事は来ないと思う。嫁て。


9/15 盲目の天使

目が見えなくなりました。

正確に言うと、メガネを失くしました。

僕は裸眼で0.1以下という激しい近視を誇っておりまして、視力検査の時なんか最初から「全部見えません」と開き直って答えるという傍若無人な振る舞いを見せているわけなんですが、それほど近視な人間の生命線ともいえるメガネを失くしました。

普段は、野暮ったい縁なしメガネを装着し、インテリ臭さをいかんなく発揮しています。けれども、人と会う時にはコンタクトを使用し、ちょっと色気づいた側面も見せていたりするんです。メガネの俺はいけてないけど、コンタクトの俺はいけてる、なんて世紀末的な勘違いをしているんです。

でまあ、大体半々くらいの確率でメガネかコンタクトを使い分けているんですが、その半分を担うメガネが消失してしまったのです。それならばコンタクトをつければいいじゃねえか、いちいち日記のネタにしてんじゃねえよ、とお思いの方もいるとは思いますが、落ち着いて聞いてください。

いやね、タイミングを同じにしてコンタクトすらなくなったのですよ。

こちらのほうはウッカリ紛失とかそういった類ではなく、1日使い捨てのコンタクトレンズでしたから、ちょうどストックが切れてしまったわけなんですよ。なんともタイミングの良いことに。

それでまあ、メガネかコンタクトを買いに行けば済む話しで、別に取り立てて日記で大騒ぎするほどのことでもないのですけど、あれじゃないですか、メガネでもコンタクトでも買う時って眼科医の診断がいるじゃないですか。必然的に眼科医に行き、処方箋とか書いてもらわないとメガネもコンタクトも買えないじゃないですか。

うん、保険証なくしたんだ。

もう自分でも嫌になるくらいだらなしないんですけど、そんなこんなで眼科医に行くこともままならず、メガネもコンタクトも購入できない。まるっきりないないづくしで、裸眼で生活することを余儀なくされています。

0.1以下のウンコ視力で日常生活を営むことがどれだけ不便かといいますと、まず危なっかしくて車の運転すら出来ない。運転免許証は矯正視力で0.6以上でないとダメですから、0.1以下では明らかに運転できない。

それよりなにより、廊下で人とすれ違っても誰だか分からない。それどころか、誰だか認識しようと目を細めるものだから、ものすごく睨んでるみたいな状態になってしまうんです。ウンコ上司を思いっきり廊下で睨んじゃったもんな。

おまけに、パソコンの画面の文字も全く読めず、全く仕事にならない。画面から5センチくらいの場所に顔を持ってこないと全然認識できないですからね。この日記はすげえ顔を近づけて書いてますけど、それでもやっぱ普段の3倍くらい疲れる。

でもまあ、そんな弊害は僕にとってはどうでもいいこと、問題はもっと別な場所にあるんですよ。

いやね、この裸眼のままレンタルビデオ屋に行ったのですけど、棚にあるエロビデオを全然判別できないのな。普段はザラッとエロビデオ棚を一瞥し、目ぼしそうなタイトルのビデオを手に取り吟味する、っていうスタイルなんですけど、裸眼だと一瞥しても何がなにやら分からない。これじゃあエロビデオコーナーにいようが大長編ドラえもんコーナーにいようが変わりありません。

それでもまあ、一流のエロビプレイヤーとして恥ずかしくないよう、なんとか必死になって選ぼうとするんですけど、エロビデオの棚に5センチくらいに顔を近づけて必死で選ぶのな。棚の端から端まで、上から下まで舐め取らん勢いで顔を近づけてエロビデオを物色してるの。もうこれだけで通報されてもおかしくない。

しかも、僕は裸眼になると世の中の女性全てが美女に見えてしまうので、目ぼしいタイトルを手に取ってみてみるんだけど、女優が絶世の美女に見えてしまって仕方がない。「こ・・・こんなカワイイ子がなんでエロビデオに・・・」とか、ブスが出てるエロビデオ手に1人で呟いてるの。

そんなこんなで、裸眼で生活することの最大の弊害、それは人が分からないとか車が運転できないとかじゃなくて、一流エロビプレイヤーとしてのエロビデオ選定眼を発揮できないという部分にあるのでした。

それでもなんとか頑張って5本のエロビデオを選びましたが、どれもこれも全てが駄作でした。やっぱ裸眼で選んじゃダメだ。

それよりなにより、裸眼だとエロビデオを再生してみても何が何やら分からず、テレビから5センチくらいの場所に近づいてエロビデオ見てました。いくらなんでもこんな体勢ではオナニーできない。

結局、裸眼で生活する最大の弊害は、エロビデオ選定眼とかでもなくて、ただ単に画面が見えないからオナニーできない、全てはそれに集約されました。

充実したオナニーライフのため、いち早くメガネかコンタクトを購入しなくては。


9/14 ロストナンバー

「お客さん、何番ですかね?」

ライトバンがいつものゲートを抜けた瞬間、無愛想な運転手がお決まりの如く訊ねる。後部座席に座る僕の顔など見ずに、ルームミラーを使って話しかけてくる。僕はこのセリフとこの瞬間が死ぬほど嫌いだ。

10年前に市内の都市部から移転してきた広島新空港は、まわりに山とサイクリングコースしかないど田舎に要塞の如く君臨している。最初こそは空港へのアクセスとして広島空港線をリニアかモノレールで建設する、と意気込んでいたようだが、当然ながらそんな採算の合わないものが建設されるわけもない。

現状の広島空港へのアクセスは、最寄り駅までのJRと路線バスの組み合わせ、もしくは都市部から直通で1時間かかる高速バスしか存在しない。もしくはマイカーでダイレクトに空港まで乗り付けるか、その3つしかありえないのだ。

利便性の象徴とも言える航空機。その航空機の発着基地である空港が、極めて不便な場所に君臨しているという本末転倒ぶり。なんとなく愚かな広島県の象徴とも言うべき施設だ。

JRを使うにしても、高速バスを使うにしても微妙に不便な位置に存在する我が町。当然ながら僕も周りの人間も広島空港を利用する際はマイカーで乗りつけることとなる。

今回、仙台に出張となり、仙台まで空路で赴くことtなった僕もまた、マイカーで広島空港へ乗りつけ、駐車場に車を入れて飛行機へと飛び乗ったのだ。

さすがど田舎の過疎空港らしく、空港の正面には広大な駐車場が広がる。そこにマイカーを横付けし、徒歩で2分も歩けば搭乗ゲートに到着する。駐車料金も良心的で、24時間駐車でジャスト1000円。JR広島駅の屋上駐車場に5泊車を停め、3万円請求された僕から考えれば死ぬほど安い。かなりお徳だ。

もしかしたら、下手に都市部にある空港の方が不便なのかもしれない。都市部ともなればアクセスも良い、そなるとマイカーで空港に乗り付ける人など少ないため、駐車場も小さく料金も高くなる可能性がある。その反面、田舎の山村にある広島空港は、最初からマイカー客主体ということが分かりきっているので、実にマイカーの扱いが良い。駐車場も広いし、そこまで高値の駐車料金でもない。なんというか、僕らマイカー族にはなんとも利便性の高い空港なのだ。

そうなってくると、迷わず空港前に広がる広大な駐車場に駐車したくなるところだが、実はさらにお得な駐車場が存在する。ほぼ地元民しか知らないであろう、特別にバリュープライスな駐車場が存在するのだ。

前述するように、広島空港の周りは何も存在しない。4方数キロに渡ってコンビニすら存在しない山々が連なっている。なんというか、騒音問題を避け、誰も住んでいない山間部を無理矢理開拓して開港したのだ。周りには山か荒野しか存在しない。土地が有り余っているのだ。

そんな有り余っている土地を有効利用しているのかどうなのかしらないが、空港から数キロはなれた場所に広大な駐車場が存在する。見渡す限り駐車場で、屈強なフェンスに囲まれた広大な敷地は、下手すると東京ドーム2個分はありそうな広さを誇る。この駐車場は、空港から離れているだけあって駐車料金は1泊500円と空港前の駐車場の半値だ。

1泊の駐車料金が半値というのは大きく、しかも長期にわたって駐車する場合は無視できないほどにその差は大きくなる。どんなに空港から離れていようが、そこまで安いのであれば金のない僕などは迷わず利用する。

現に、こんな離れている場所なのにその駐車場は盛況で、いつも車で溢れかえっている。みんな考えることは同じで、少しでも安い駐車場に停めたい、思いはそれだけなのだ。

それに、この駐車場が盛況な理由は他にもある。場所が空港から数キロ離れており死ぬほど不便な場所のために安いと思われがちだが、じつはそうではない。しっかりと空港までライトバンで送迎してくれるのだ。しかも無料で、待ち時間なしでピストン輸送してくれる。

これなら数キロ離れているというデメリットも帳消しだし、逆に安いという利点だけが残ることになる。これならこれだけ盛況なのも納得だ。

車を駐車スペースに停めると、すぐ横にライトバンが横付けされる。それに乗って悠々と空港まで。そこから飛行機に乗って駐車場代も気にせずに楽しく旅が出来るというわけだ。

帰りは飛行機が到着するとバス乗り場でライトバンが待っている。それに乗って駐車場まで移動し、自分の車へと舞い戻るのだ。なんとも考えつくされた、このデフレ時代にマッチした駐車場ビジネスだ。

こんな便利な駐車場だ、もちろん使い倒さない手はない。今回はしかも数日間に渡って仙台出張であるし、当然のことのようにこの外れにある駐車場を使ったのだ。

そして、数日間の日程を終え、広島空港へと舞い降りた僕。ちゃんと空港の前には送迎のライトバンが停まっている。まるで貴族のような、何かの大物のような感覚さえ与えてくれる至れり尽くせりぶり。とてもじゃないが安価な駐車場とは思えない。

1人、貸しきり気分でライトバンの後部座席に乗り込み、駐車場目指して走り出す。いつもそうなのだが、この送迎ライトバンの運転手さんは一言も話さない。かなり無愛想に運転のプロに徹しているのだ。空港ー駐車場間の数分間、一言も発せずに黙々と運転をしている。いつものことだが、この沈黙が異様に沈痛で耐え切れない。

そうこうするうちにライトバンは駐車場に到着し、入り口部分のゲートを抜ける。そこで、お決まりのように運転手さんが発する唯一の言葉があるのだ。

「お客さん、何番ですかね?」

実はこの駐車場には1か4までの番号は東西南北に分かれて割り振ってある。あまりに広大な駐車場であるため、番号分けしておかないとどこに車を停めたか分からなくなるのだ。

「4番付近です」

と答えれば、4という看板が立てられた付近までライトバンは走ってくれる。2と答えれば2まで。そうしないとあまりに広い駐車場、別な場所に下ろされたら途方もなく歩く羽目になてしまうのだ。

そこで、「お客さん、何番ですかね?」という運転手さんの言葉になるわけだ。まったくお決まりのセリフ。しかも、ライトバンがこの場所に差し掛かったら出るセリフ、まるでロボットのように正確に刻まれたセリフなのだ。

ハッキリ言って、僕はこのスタンプのようになぞられた一連の行動が大嫌いだ。無口な運転手さんが、車の中という閉鎖空間で決まりきったセリフを繰り返す。まるでデジャブのように毎度毎度同じことを繰り返す。それがなんというか、奇妙なショートショートの序章になりそうな雰囲気なのだ。

いつも繰り返される出来事が、少しづつ狂っていく。そしていつの間にか途方もなく奇妙な世界に引きずりこまれ、抜け出すことの出来ない世界に突入してしまうかもしれない。

例えば、「お客さん、何番ですかね?」という問いに僕が好奇心を出して「5番です」と答える。4番までしかない駐車場番号なのに、普通に5番と答える。すると見る見る運転手の顔が悪魔のように豹変し、

「5番、5番・・・・」

と延々と駐車場内をグルグル回る。不審に思った僕が車から脱出しようとするけど、まったくドアが開かない。

「た、たすけてくれー」

僕の断末魔の叫びと共に、いつのまにか霊柩車に変わっていたライトバンは荒涼とした冥界のような場所を走っており、血の池みたいな場所で車は停まる。

「さあ、ここが5番だよ」

と右手にナタを持った鬼の形相の運転手。横には血みどろの5番の立て札。

「この駐車場の五番はね、冥界なんだよ」

不敵な笑みを浮かべつつナタを振り下ろす鬼の運転手。

ギャーーーー!!

僕の悲鳴と共に、空からのアングルで冥界を映し出したまま舞台は暗転。

そんな、ドアを開けたらタモリが縮んで黒猫になっちゃうような奇妙な物語が展開するかもしれない。怖い怖い、とにかく怖い。

そんなこんなで、いつも僕は飛行機で広島に帰ると、この送迎車の運転手さんの「お客さん、何番ですかね?」という質問に恐れをなしている。ここで5番と答えたら冥界に連れて行かれるに違いない、そう考えながら震えている。

けれどもその反面、本当に「5番」と答えたらどうなるだろうという好奇心もある。4番までしかないのに5番と答えたらどうなるのだろうと。さすがに冥界逝きはありえないだろうけど、もしかしたら鉄仮面の如く無表情な運転手さんを笑わせられるかもしれない。「5番なんてないよー」と僕のウィットに富んだジョークに笑ってくれるかもしれない。あの無表情運転手が。

ああ、言ってみたい、言ってみたい。ありえない5番と答えてみたい。運転手さんが笑顔を見せてくれるか、奇妙な世界に引きずり込まれて冥界に連れて行かれるか、何が飛び出すか分からないけどとにかく5番と答えてみたい。

「お客さん、何番ですかね?」

今日もいつもの質問がきた。毎度の事ながらあきれるほどの正確に、車が同じ位置に到達した時に訊ねてくる。

今日こそは5番と答えてみよう、それでどんな世界が展開するのか見届けよう。なあに、冥界なんて空想の世界さ、いくらなんでもありえない。きっとこの無愛想な運転手さんも笑ってくれるさ。

と毎度の事ながら思うのだけど、ヘタレな僕は普通に「3番」とか答えてしまう。自分が停めた場所の番号を、ものすごく普通に答えてしまう。自分でもビックリするほどのヘタレだ。

仙台から帰還した僕は、またいつものごとく、あの質問に葛藤しながらも3番と答える。ライトバンは3番の番号札のパートに滑り込み、プシューとドアを開ける。

冥界に連れて行かれるか、鬼が笑うか、真実が知りたかったけど、まあいい、次回の機会こそは5番と答えてみよう。そう決意し、荷物を持ってライトバンから降りる。その瞬間だった。

ブルルルルルルルル

まだ僕が、ライトバンのステップを半分くらいしか降りてないのに、ドアを開けたままライトバンが動き出し始めやがる。どうやら、僕がもう降りたものだと思い込んだらしく、次の駐車客を拾うためにドアを開けたまま急いで走り出したのだ。

体半分降りていた僕は、ちょうど振り落とされるような形になり、ベチョっとアスファルトの上に叩きつけられた。ホント、死ぬかと思った。

結局、普通に「3番」と答えたのに、普通に冥界送りにされかけた僕。しかも、それに気付いた無愛想な運転手さんが「ははは、ごめんごめん、ケガないか?」と満面の笑みで笑っている。

5番と答えたら冥界送りか運転手さんの笑いかと思っていたけど、普通に3番と答えただけで冥界送り寸前、しかも鉄仮面運転手さんの笑みつきという異常事態。

「いえいえ、大丈夫です。ケガないです」

心配そうにみつめる運転手さんにそう答えながら、じゃあ、5番って答えたらもっと有り得ないことが起こるに違いない、3番でこれなのだから。次回こそは5番でいってみよう。という思いが湧き上がるのだった。


9/13 仙台速報3

仙台は変態の街だ。

ホテルでテレビを見ながらベッドで横になっていたときのこと。

どうやらビルが密集している場所にホテルがあるらしく、カーテンを開けると向かいのマンションがよく見える。ハッキリ言って覗き放題だ。向こうのマンションも大抵の部屋がカーテンを固く閉ざしているのだが、中にはフリーダムに開放している部屋もある。

カーテンを開け、そんな部屋を必死で覗いていると、なにやら知らないけどセーラー服の姿が。おお、女子高生が!こりゃあ最高にラッキー部屋に泊まったぜ!覗き放題じゃないか!などと興奮するのだけど、よくよく見てみるとセーラー服を着てるのは紛れもないオッサン。見紛う事なきオッサン。

いや、オッサンがセーラー服着てなにすんねん。バーコードハゲのオッサンがセーラー服着てどうすんねん。などと思うのだけど、もうその部屋に視線が釘付け、一瞬たりとも目が離せない。

見てると、セーラー服オッサンは少しばかりルンルン気分で部屋の中を闊歩しているが、別に自らのセーラー服に興奮して勃起するわけではなく、臭いを嗅いでオナニーするでもなく、ただただ日常生活を営んでいるだけ。普通にテレビ見たりビール飲んだりしてた。

いやな、別にマンションだし自分の部屋なんだろうし、何をやったっていいと思うよ。でもな、いくらんでもオッサンがセーラー服はやりすぎ。キチンとルーズソックスまではいてるとか明らかにやりすぎ。

もしかしたら、仙台では部屋ではセーラー服が標準なのかもしれない。その土地特有の風土というものが全国どこにでもあり、たまたま仙台では中年がセーラー服を着て日常生活を営むという慣わしがあるのかもしれない。

とんでもない街だぜ、仙台。変態の街じゃないか。

次の日、ホテルをチェックアウトし、仙台を後にした僕は東北新幹線に乗って東京へと向かっていた。車窓を流れる景色を眺めながら仙台の異常性について再考していた。あの狂気の沙汰としか思えないピンクチラシの山、そしてオッサンのがセーラー服を着るという風習、どれをとっても異常な街だ。間違いない、仙台は変態の街だ。

そう考えていると、南下した東北新幹線は埼玉の大宮に差し掛かり、車窓から見える景色もビルばかりなり始めた。

「さすが埼玉、都会じゃないか」

などと景色を眺めていると、明らかに異様な風景が僕の目に飛び込んできた。

まだ昼の4時くらいだというのに、マンションのベランダに裸で立つ男。しかもなにか亀甲縛りみたいに赤いロープで巧みに縛られており、目にはアイマスク、くちには猿ぐつわみたいなものをされている。そんなSMプレイとしか思えない全裸の男性が、新幹線から見える位置のベランダに立っているのだ。どうもなんか、そういう羞恥プレイとかの一環みたい。

大宮駅周辺で新幹線はスピードを落としていたため、その異様な光景を長く見てしまった。まさか、新幹線に乗っててそんなディープな性プレイを見せ付けられるとは思わなかった。前の席で景色を見ながら大騒ぎしていた子供も、「お父さん、あれなに?」などと質問して親を困らせていた。あれは明らかに異様、異様、異様以外の何者でもない光景だった。

間違いない、埼玉は仙台を越えた。きっと、埼玉には昼間からマンションのベランダでSMプレイをする風習があるに違いない。僕の中での全国変態な街ランキング一位はセーラー服オッサン擁する仙台だったのだけど、この瞬間に埼玉に変わった。間違いない、埼玉は変態の街だ。

騒然とする新幹線車内、仙台駅で買った牛タン弁当を食い始めていた僕は、一気に食欲が減退していった。


9/12 仙台速報2

仙台二日目の夜、僕は仙台一の繁華街、国分町にいました。飲み屋やピンクの風俗店が軒を連ねるカオスな町は、なんとなく東北の情緒を感じさせつつ、それでいて都市の喧騒を感じさせる。

特に目に付くのは、親の敵とばかり貼りまくられたピンクチラシだ。電柱、店舗の看板、自動販売機、とにかくありとあらゆる場所にピンクチラシが貼りまくられている。エロス過積載の女性がジュテームと微笑みかけ、その下には電話番号が記載されているピンクチラシ、おそらくホテトル嬢などの性的派遣サービスのチラシだろう。とにかく、キチガイ沙汰のごとく貼られたピンクチラシは、今や仙台の名物になっている。

そんな夜の国分町を歩く僕。ピンクのネオンに誘われつつ、フラフラと右へ左へ。しかも珍しいことに、今日は一人ぼっちで歩いているわけではない。実はとある女性を伴って国分町を歩いているのだ。

新しい閲覧者の方はご存知ないかも知れないが、我が職場にはB子さん以前にもう一人の事務員さんがいた。鬼のごとくマッスルボマーで、全身筋肉の塊と言わんばかりのB子さんとは異なり、実に華奢で今時の女性、少しばかり小悪魔的魅力を兼ね備えた女性だった。その名はA子さん。

Numeri日記初期にはかなり数多く登場し、ある日いきなり巨乳になっていたり、口にチンゲをつけていたりして僕を驚かせてくれたものだった。他にも、圧倒的な僕のセクハラに耐え抜き、それでいて、僕をDV彼氏(モロヤンキー)との対決に利用したりと、もうメチャクチャな女性だった。

そんなA子さんも職場を辞め、その代わりにB子が配属されてきた。A子さんは仕事を辞めてすぐにナヨナヨな彼氏と結婚し、仙台へと移り住んでいたのだ。それからもちょくちょくメールのやり取りを続けていた僕とA子さん、ちょうど僕が仙台へと出張になったので「一緒にご飯でも食べましょうよ」ということになったのだ。

ほぼ一年ぶりに会うA子さんは、すっかり主婦になっており、なんだかとても人生に疲れているかのようだった。

「旦那の給料が安くてね、私もパートやってるのよ」

そう言いながら牛タンを頬張る彼女には、在りし日の小悪魔的魅力の影も形もなかった。

「旦那が忙しくてなかなか帰ってこない」

「子供だけは作りたくない」

「仙台は知らない人たちばかりで寂しい」

「おかしくなりそう」

そう愚痴をこぼす彼女に対して、僕は「ふうん」と言って牛タンを頬張ることしかできなかった。確かに彼女は人生に疲れているかのようだった、ビックリするほどに老け込んでいた、それでいて結婚生活に不満ばかりだった。

けれども、暴力彼氏に悩み苦しみ、ヤンキーと付き合う癖が抜けなかった彼女が、やっと安住の相手を見つけ結婚したのだ。誰も知人のいない仙台に移り住んでも良いと思える相手に出会えたのだ。なんだか、すごく擦れてしまった彼女だけど、なんだか僕には幸せそうに見えた。

「じゃあ元気でね」

アーケード商店街の入り口で、別れ際に彼女が言った。

「そうそう、Numeriの更新頑張ってね。毎日楽しみに読んでるんだから」

僕はその言葉に愕然とした。膝がガクガクと震え、その場に崩れ落ちそうだった。

そういえば、昔はネタでA子にサイトをばらすとか捨て身の戦法を取っていたことを思い出した。あの当時はあまり反応もなく、どうもサイトの自体をあまり見てないんだろうという結論に至っていた。それが今もまだ見ていたとは。

ということで、どうやらココを見てるようなので、あの時言えなかった言葉を一年越しに。

「結婚おめでとうございます、いつまでも末永くお幸せに」

夜の雑踏、人ごみに消えていく彼女の後姿を見送りながら、僕はパチンコ屋へと足を運んだ。何故だか知らないけど仙台のパチンコ屋は夜遅くまで営業している。正気の沙汰とは思えないような時間まで営業している。昨日のリベンジとばかりに意気込んで千円札を投入する僕。

案の定、また三万円負けた。

仙台という街はつくづく腐っている。


9/11 仙台速報

やってまいりました仙台! 9.11テロの恐怖におびえながら広島空港から仙台空港まで1時間30分の空の旅。仙台空港に着陸して何に驚いたかって、滑走路脇の芝生みたいに所に牛が食べる草みたいなのがモンマリと置いてあったことですかね。

いくら牛タンの町といえども、空港の時点で牛の草とかありえない。滑走路をンモーとか牛が歩いてるかと思って探しちゃったよ。マジでありえない。

それはそうと、空港に降り立った時点でウンコ上司のヤロウが「ラーメン食べたい」とか洒落にならないこと言い出しやがりましてね。コイツはマズイラーメン屋を見つける天才ですから、それはもう警戒していたんですけど、仙台に到着した瞬間ですからね。なんというか、不慮の事故に近いものがある。

それでまあ、「やっぱ仙台に来たら牛タンっすよ」とか意味不明の情熱を燃やして上司を説き伏せ、なんとかラーメン屋だけは回避に成功。そのかわり、昼間からヘビーに牛タン定食を食する羽目に。なんか1250円とか、タトゥーも真っ青のロシアみたいな状態になってるんだけど、言った手前引けないから食ったよ。仙台ヌメラーさんに美味しい牛タンの店とか聞いてたのに、意味不明に空港のレストランで食ってたよ。

涙の昼食を終えた後は、空港からバスに乗って仙台駅へ。それでまあ、そこで上司と別れて自由行動とあいなったわけです。右も左もわからぬ仙台の町。なんか、仙台駅前って似たようなアーケード商店街がいっぱいあって迷宮みたいになってるのな。仙台駅前のアーケード通り、ドルアーガの塔みたいになってた。県外から来た人間を迷わすために作ったとしか思えない、それほどに迷宮的なアーケード。

で、死にそうになりながらアーケードで迷ったり、パチンコで3万円負けたりと、すごくこっぴどい仕打ちを受けました。とんでもねー町だぜ、仙台は。仙台ウンコ。

というわけで、取り急ぎ仙台でも元気にやってますよっていう報告の更新でした。明日からバリバリ仕事するぜ。ってなことで、今日はこの辺で。

あ、そうそう、大阪では墓場の前でYahooBBのモデム配ってたけど、仙台では何の変哲もないパチンコ屋の前でモデム配ってたよ。ヘルスの前でも配ってた。仙台のYahooBBはやる気が違う。


9/10 Mement Mori

まだまだ日中は暑いですが、夜ともなると涼しくなり、茂みの中では秋の虫が鳴いていたりします。空を見上げると月が綺麗で、季節の匂いはすっかり秋に移り変わっているのだと実感させてくれます。

街を歩く女性の装いは、解放的な夏の物から落ち着いた秋の物へ変化し、僕のことをたまらなく安心させてくれます。

たまに、少しばかり女性に相手にされない、いわゆる非モテといった分類にカテゴライズされるお兄さんから、「秋になると女性の露出が減って悲しい」といった意見を聞くことがあります。

夏は気温も高いですし、開放的な気分になりがち、女性もキャミソールやら半分下着みたいな破廉恥な服装をし、肌を露出させて街を闊歩します。非モテのお兄さんたちは、そういった女性の肌を見ると飛び跳ねんばかりに喜んだりするものです。

そして、季節が秋へと移っていくと共に、肌寒い気温と開放的気分の減少が相まり、女性は肌を露出した服装をしなくなります。落ち着いた、あまり肌を露出しない服装の女性が多くなる、それが秋の到来を告げているのです。

世の非モテお兄さんは、女性の肌の露出が減ると、まるで防御力が上がってしまったかのように錯覚し、嘆き悲しみ打ちひしがれます。秋は死の季節なんて揶揄されることもありますが、それは非モテお兄さんの嘆き悲しみからきている表現なのです。

しかし、僕はここで声を大にして言いたい。季節が秋に移ろい、女性の肌の露出が減ったからといって、なにも嘆き悲しむことではない。それは非モテの初期段階。真の非モテは、肌の露出が減ったことを、秋が到来したことをむしろ喜ぶのだと声高らかに宣言したい。

だいたい良く考えてもみてください、いくら女性が肌を露出しようが、どんなセクシャルな格好をしてようが、僕ら非モテには何ら関係ないのです。別にキャミソール着てるからといって、僕らに肌を触らせてくれるわけではないですし、もぎたて果実のように乳をユサユサしてても触らせてくれるわけではありません。そう、どんな女性が露出しようと、僕ら非モテには関係ない。全然関係ない。もっかい言う、全然関係ない。

これはもう、餌を前にしてお預け状態のベスと同じ。ショートケーキを前にして食ったら殺すと言われているのと同義だ。いくらなんでもそれはあんまり。そんな、見せつけるだけ見せつけて、アナタはダメよ、と言うのならむしろ見せないで欲しい。

だから、真の非モテは秋の到来を喜ぶ。女性が肌を顕にし、「あらら、そんなに触りたいのかしら?でもアナタはダメよ、ブサイクだもの」と、まるで僕らを小バカにするかのような仕打ちを受けずに済む。そう、真の非モテは秋の到来を悲しまない、むしろ開放されたと喜ぶのだ。

日々秋が深まりつつある昨今、やはり僕ら真の非モテは秋の到来を諸手を挙げて大喜びする。そして、夏の間に見せつけるだけ見せつけてきた女性に対して怒りを顕にするのだ。

そんなに見せつけるならちょっと触らせろよと、そんな露出するならねぶらせろと。しかし、そんなことは絶対に有り得ず、彼女らは僕ら非モテの横をただただ素通りするばかり。そして思う、見せるだけのキャミソールギャルは死ねと、七回死ねと。

とまあ、秋を感じつつキャミソールギャルに対して怒りをぶちまけてみたわけだが、いつも僕が怒った時に使う「七回死ね」、特に「死ね」の部分に関して最近では深く考えることがある。

もしかしたら、僕らは「死」というものをあまりにも軽く考えすぎているのではないだろうか。

テレビから流れる、4人死亡の交通事故ニュース。さらっと聞き流しているが、よくよく考えると4人も死ぬとは大変な騒ぎだ。それまで何年、何十年も生きて、一生懸命もがき苦しみ、試行錯誤しながら今の地位を築き、そしてそれなりの人間関係を築いてきた人間が死ぬ。そうやって積み上げた一つの人間というものが死ぬ。それは軽く考えて良いような問題ではない気がする。

ある過疎地区を襲う大地震、未曾有の大災害でありながら、過疎地ゆえか1人しか死亡者が出なかった。人々は口々に、あんな大地震で一人しか死ななかったなんて奇跡だ、と喜ぶ。都市部を襲った大震災なら1000人規模で死ぬところを、たった1人しか死ななかったと大騒ぎ。けれども、その1人の人間と周りの人間にとっては、その小さな死が何より重い。

結局、僕らは溢れ出る情報の洪水によって、死の意識を限りなく希釈されているに過ぎないのだ。

映画やドラマなどでは、主人公周りの人間はどんなに危ない目に遭ってもなかなか死なない。その反面、どうでもいいザコキャラクターは、あっけないほど簡単に殺される。ストーリーを装飾するためだけに殺される。

アニメなんかはもっと顕著で、脇役は虫けらのように殺される。そして、主人公周りの重要キャラは殺されても生き返る。何度でも生き返る。これはもう、死を希釈するエッセンスと言う他ない。

そして、テレビニュースからは殺しや自殺、事故、事件、ありとあらゆる死の報道が流され、ますます死を希釈する。そうして僕らは、死亡という文字を見ても何も感じなくなってします。その二文字の漢字の向こうに存在する、1人の人間の存在を想像できなくなっているのだ。

そう考えると、昨今の凶悪事件の増加や少年事件の増加、自殺の増加などなど、あまりにも軽々しく扱われる「死」というものが、ひどく納得できるものになってくる。

きっと僕らは、身近に「死」が起こらない限り、バーチャルの世界や無関係な世界で起こってるとしか思えないのではないだろうか。僕らは皆同じベクトルで生から死に向かって生きているというのに、死というものを実感できないんじゃないだろうか。

先日、我が職場の屋上から飛び降り自殺した男がいた。あまりに生々しい現場や、屋上に置かれた靴、そして飛び降りる際の景気付けに飲んだのだろうか、飲みかけのチューハイレモン味の缶が転がっているのを見て、あまりに現実的な「死」に心底震えた。

結局、あまりに整理然と、ネガティブなものをひた隠しにした現代の日本においては、死という物を現実として認識しにくいということではないだろうか。そして、インターネットやテレビから流れる情報の洪水が、言い換えると「死」の洪水が、さらに認識を希釈にする。

だから僕のようなアホが平気で軽々しく「七回死ね」だとか「殺す」だとか言えてしまうのではないだろうか。その「死」の中にある重みなどまったく介さず、ただただ洪水のように言えてしまうのではないだろうか。

奇しくも、明日は9月11日。海の向こうで沢山の人が死んだあの日から二年が経つ。別にあれが劇的なものだったから特別の死とは言えないだろう。どの死だって当人や関係者にとっては等価に重いはず。

毎日数ある死、そして等価に重いはずの死、それら全てに思いを馳せるのは大変だし、それをする義務も僕にはない。けれども、せめて死を軽めないよう、希釈してしまわないよう、軽々しく「七回死ね」だとか「殺す」だとか言うのは止めよう。

今後僕は、死を希釈しない。余程の事がない限り「七回死ね」なんてセリフは使わない。そう、余程の事がない限り。それが同等に死のベクトルを持つ僕らに唯一できることではないだろうか。

 

などと考えていたら、我が職場のマッスル事務員B子さんが、秋物のブラウスだかブラウザだかを通販で買ったらしく、いたく興奮状態ではしゃいでいた。どうやら彼女も、秋の装いとなり露出度が減ったようだ。別にどうでもいいけど。

アゴが割れた筋肉女が、「この色いいでしょ」なんて小娘のようにキャピキャピする光景は不快。不快以外の何者でもない。誰か麻酔銃持って来い。

さらに調子に乗ったB子は、何をトチ狂ったのか知らないけど、ウケを狙ってか、本気で似ていると勘違いしているのか知らないけど、広末涼子のモノマネを始める始末。

「YahooBBでヤンス」

そう言って袋からチョコンと出てくる仕草をするのだ。職場の同僚、みんな石みたいに固まってた。

よし、あえて言おう。言わせてもらおう。

B子は七回死ね、と。

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明日から仙台に出張いたします。高確率で更新が滞ります。牛タンが美味い店とか、マズイラーメン屋(事前に上司の魔の手から回避するため)などありましたら教えてください。patonumeri@hotmail.comならどこからでも読めるよ。


9/9 フラクタル

世の中の事象とは、全てが極めて単純なものから成り立っているのです。どんな複雑な現象でも単純な一つ一つの成分に分けることができます。複雑な現象を単純な成分に分ける、これは学問の世界では当たり前のように行われていることです。

上空に放り投げたボールが地面に到達するまでの軌跡を予測する。そこには、初速の影響や発射角度、重力の作用や空気抵抗など、さまざまな要因が複雑に絡み合ってきます。それらの要因を一つ一つ単純な成分に分けて数式化し、ボールの運動の全体像を掴む。全ての学問は単純化に通じるのです。

複雑な現象においても、単純化を行えば解明できる。そういうことなのです。逆を言えば、単純な要因を列挙すれば、必ずや複雑な現象の全体像が見えてくる、そういうことなのだと思います。

次に、僕に関するいくつかの事象を列挙します。これを元に複雑怪奇な現象を解明していきましょう。

1.patoさんは最近大変疲れている。

2.patoさんは髭剃りが苦手だ。

3.patoさんは未だに家のガスを止められている。

これらは非常に単純で、それぞれが独立して存在します。けれども、これらの要因が複雑に絡み合い、時にはとんでもない悲劇を巻き起こすことがあるのです。それでは一緒に、どんな複雑な絡み合いが起こり、どんな悲劇が巻き起こったのか、ケースステディとしてみていきましょう。

先日のことでした、ある朝目覚めて気がついたのですが、僕の体が異常に疲れていたのです。最近は24時間連続更新をしたり、24時間ラジオをしたりと、カースト制度も真っ青の苦行を行っていたため、本当に体が疲れきっていたのです。

女性の方には分からないと思いますが、男には疲れマラというものがあります。からだが異常に疲れているときほどナニは元気玉。何もエロスの要素がないというのに、自分の抑制も効かずに泉ピン子もビックリのピンコ勃ちになることがままあるのです。

僕は普段は、極めてクールで冷徹な男です。目の前でソニンが下乳出していてもピンコ勃ちになることはないでしょうし、アンルイスが裸で踊っていても間違いなく勃ちません。

しかし、疲れマラが適用された時は違います。まるで思春期の中学生のように、何を見ても何を聴いても、はちきれんばかりに元気になります。エロスがあろうがなかろうが関係なく、下手したら、オッパイの「オ」だけで臨戦態勢になってしまいます。

ここで「patoさんは最近大変疲れている。」の要素が発動し、疲れマラで何を見ても勃起すること山の如しといった状態が適用されます。

まあ、そんなことは3ヶ月に一度ほどはありますので、何も気にすることなく風呂に入ろうと思うのですが、ここで「patoさんは未だに家のガスを止められている。」が効いてきます。料金未納で容赦なく止められた我が家のガス、お湯などピクリとも出やがりません。

さすがに連日連夜の水風呂では、ガスと一緒に心臓すら止まりかねませんので、今日こそは温かいお湯を浴びて風呂に入りたいと熱望します。そんなこんなで、タオルを手に、近所の健康ランドに行くこととあいなったわけでございます。

健康ランドで入浴料700円を支払い、ついでにカウンターでカミソリを購入します。どうも髭が伸びすぎに伸びてきてキリストみたいになってたので、ここはバッチリ剃って爽やかボーイに変身しようと100円出してチープなカミソリを購入しました。

いやね、僕ってば口周辺の肌が異様に弱いものですから、電動カミソリとかそういった文明の利器を使えないのですよ。毎朝起きて電動カミソリでブイーンと髭を剃れば楽なんでしょうけど、それをやると口の周りが真っ赤に腫れあがるんですよね。

で、髭剃りはいつもシェービング何とかで泡立ててカミソリで優しく剃らないといけないんですけど、毎朝それをやってると確実に遅刻じゃないですか、ただでさえ忙しい朝ですから、できることなら髭剃りの時間などは抑えたいのですよね。

それでまあ、いつもいつも髭剃りをサボりがちになっちゃいまして、気がついたらキリストのような風貌、上司には「貴様は仕事を舐めてるのか」と言われる始末。さすがにこれではいけないと思い、せっかく健康ランドに来たのですから温かいお湯で髭を剃るチャンス、剃ってやろうとカミソリを買ったのです。

カミソリと手ぬぐいを手にいざ浴場へ。

なにやらこの健康ランドは繁盛しているらしく浴場に入ると多数の客が。年金で生きながらえてそうな爺さんやら、家族に煙たがられていそうなオッサンが湯船に使ったりサウナに入ったりしていました。

長いこと水風呂生活を続けており、お湯の温もりなど記憶の彼方に置き去りにしてきた僕、久々の湯気という熱気に大興奮。もうこれで冷たさに叫びながら風呂に入らずに済むと大喜び、早速洗い場へ。

もう、ウキウキしながらシャワーからお湯出しちゃったりなんかして、心の芯からお湯の感触を楽しむ。ああ、温かいってなんて素敵なことなんだろう、なんて幸せなことなんだろう、と涙目になりつつ頭髪を洗う。お湯で洗うなんてこの先いつになるか分からないので、3回くらい洗っておく。

そして体を洗い、いよいよ髭剃りへ。曇りがちな鏡を睨みつつ、何とか一生懸命に髭を剃る。剃るにつれて鏡の中にはキリストから爽やかな青年に変身する自分がいるのだけど、ここで大問題発生。

「patoさんは髭剃りが苦手だ」という単純要素が発生し、見事に手元が狂ってしまう。ジョリッと鼻の下の、皮膚と唇の境界線みたいな場所をカミソリでえぐってしまう。

ポタポタ

カミソリで切りつけた傷ってのは、なかなか血が止まらない。しかもお湯に触れて血行が良くなってるものだから、見事なまでに真紅の鮮血がポタポタと水色のタイルに流れ落ちる。

あーあ、またやっちゃったよ。

電気カミソリも肌が負けるからダメ、手動のカミソリもいつも失敗して流血沙汰になるからダメ、とまあ、自分は一生髭を伸ばした方がいいのかもとか思うのだけど、今は流れ出る血をなんとかすることのほうが重要。とりあえず手ぬぐいで鼻の下を押さえつつ湯船へ。

いやいや、流血とかしてたら湯船に入るべきではないじゃないですか。やっぱ、血を流しながら皆が入る湯船に入るのも迷惑な話ですし、それより何より湯船で温まると血行が良くなって、さらに血が止まらないじゃないですか。

でもね、久々のお湯なんですよ。毎夜毎夜、ヒョウワとか叫びながら水風呂に入ってる僕にとって、お湯が張られた湯船なんて油田よりも貴重なんですよ。これを逃しては一生後悔する、それほどの重要事項なんです。

それでまあ、流れ出る血は鼻の下に当てた手ぬぐいで完全にブロックしてて、白い手ぬぐいが赤く染まっていくのだけど、それでもポタポタと流れ出ないので良しとする。逃してなるものかと湯船にイン。

「あー、うー、あー、生き返るわー」

などと、赤く染まりつつある手ぬぐいを鼻の下にあて、かなりリラックス状態。やっぱお湯って最高、お湯さえあれば何も要らない、なんて考えながら体の芯から温まっていると

「わーい、大きいお風呂だ」

などと、男湯では考えれれない、女児の声がしてくるんです。いやいや、やっぱ女人禁制の男湯でレディーの声が聞こえたら、誰だってビクッとなって振り返るじゃないですか、それって男の性じゃないですか。

で、ビクッとしながら振り返ると、そこには年端も行かない女児が二人。どうも姉妹らしい幼き女児が二人、あられもない姿で立ってました。どほら、よく銭湯なんかで見かけるじゃないですか、親父に連れられて男湯に入る女の子、母親に連れられて女湯に入る男の子。低年齢ゆえに許される性の垣根の超越、それがここでも起こったのですよ。

それでまあ、幼き姉妹は何も汚れを知らない天使のように裸になって男湯ではしゃいでいたんですよ。そこですよ、その瞬間に単純な三つの事象が絡み合い、一つの複雑なピンチを産み出したのです。

「patoさんは未だに家のガスを止められている」という事象が健康ランドに行かねばならない事態を引き起こし、「patoさんは髭剃りが苦手だ」という事象が鼻の下の流血を引き起こした。そして、「patoさんは最近大変疲れている」が疲れマラを引き起こし、女児を見ただけでピンコ勃ち状態に。これらが複雑に絡み合っちゃったんですよ。

で、僕がいくらロータリーをロリータに読み間違えてドキッとするようなロリだといっても、普段は下の毛も生えてない女児の縦線で勃起とか、膨らんでもいない胸を見て勃起とかありえないのに、疲れマラが過敏に反応。もう容赦なく立ちはだかり、そびえ立つソビエトみたいになってました。

しかも、鼻の下からは溢れんばかりの鮮血が流れ、白い手ぬぐいを真っ赤に染めている。こりゃもう、どう見ても女児の裸を見て大興奮、下半身を遠慮なく隆起させて鼻血を出しているようにしかみえないじゃないですか。

容赦なく勃起しながら、鼻から血を出して女児を見つめる青年。

「あの青年は・・・あんな幼児にも欲情してるのか、なんて危ないヤツじゃ」

って周りの老人が思うに違いないじゃないですか。棺桶に片足突っ込んでるくせに、湯船に使ってる姿がホルマリン漬けみたいにしか見えないくせに、そう思うに違いないじゃないですか。

っていうか、女児姉妹の親父さんらしき人が、その後ろで物凄い形相で睨んでいるんですけど。まるで仁王のような表情で睨んでるんですけど。ピンチピンチ、大ピンチ。ピンコ勃ちで大ピンチ。

もう逃げるしかない。

結局、雰囲気的に四面楚歌になってしまった僕は、久々のお湯にジックリと温めてもらってないというのに、逃げるように湯船から飛び出す僕。

すると、さらにチョモランマなピンコ勃ちなナニが(手ぬぐいで鼻の下を押さえているので前を隠せない)。湯船に入ってる時は目立たなかったのに、逃げたことでさらに目立つことに。

「ごめんなさい、違うんです、違うんです」

とか、訳の分からないこと叫びながらその場から逃げてました。鼻の下から血出しながら、下半身ピンコ勃ちさせながら。ホント、久々のお湯風呂で気持ち良く汗を流したのに、別の変な汗が吹き出ていたもの。

結局、普段は毛も生え揃ってないような幼女などに欲情するはずもない僕なのに、「patoさんは未だに家のガスを止められている」「patoさんは髭剃りが苦手だ」「patoさんは最近大変疲れている」の三つの事象が複雑に絡み合い、途方もないピンチを招いたわけです。

世の中の全ての事象は全てそうで、複雑そうに見えて全て単純な事象の集合体に過ぎないのです。難しい数式を簡単な式に因数分解していくかのように、全ての事象の原因は簡単で単純なものなんです。

全ては、「早くガス代払え」

単純なこの一言に集約されるわけです。これさえ気をつけていれば、複雑に色々な事象が絡み合い、普段は欲情しない幼女に欲情していると勘違いされることもなかったのです。そう、全ては単純なことが原因なのです。

その夜、風呂で見た幼女の汚れなき体を思い出してオナニーに興じる僕。オナニズム文化の発祥の地と言わんばかりに燃え上がりました。

つまり、単純な事象が運命のイタズラのように絡み合って幼女に欲情していると勘違いされたのではなく、本当に幼女に欲情していたという、もっと簡単なことに集約されてしまいました。

とりあえず、そろそろガス代払おう・・・。


9/8 イラストレーター

LOGIC&MATRIXからいらした方々こんにちは。野郎二人が人形の館に行ったお話はこの日記の下の方にありますよ。

といったところで本題です。数日前のお話ですが、我がNumeriの日記にとある募集告知が発表されました。

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・イメージキャラクターイラストレーター募集

現在、Numeriでは途方もなく萌えるイラストが描ける方を募集しております。我がサイトのマスコットキャラ「ぬめこ」(萌えキャラ)をどなたかに描いて欲しいと思っております。

我こそはと思う方は、何でもいいですので自分が描いたイラストを添付してp1bgm@polka.plala.or.jpまで送付してください。お願いします。
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このような告知でした。これはまあ、早い話がNumeriを代表するキャラクターを作り上げ、そのキャラを中心にフィーチャーして企画などを展開していければ面白いのではないか、という天からのお告げがあったからでした。

早い話、「ぬめこ」というキャラクターを全面的にプッシュし、サイトのトップに君臨してもらう。「ぬめこ」の恋愛相談室なんていう企画も出していき、声優さんにも登場してもらってラジオでも大活躍。(ついでにキャラクターグッズを作って売ってガッポガッポ)ということを企んでいるのです。

そして、それらを実現するには間違いなく萌えるキャラが必要となります。そう、ぬめこは絶対無比に萌える女の子である、それが必須条件でした。

巷のお兄さんたちが「ぬめこ萌え〜」とか汗を拭きながら言い放ち、女の子が「ぬめこ」同人誌に手を出し、汚されるぬめこ。小学生が「ぬめこちゃんカワイイから好き」なんて頭の可哀想なこと言いながらアニメ化された「ぬめこ」のテレビアニメを見る。そして、画面のフラッシュでバタバタ倒れる。恐れ多くもそんな展開を本気で思い描いているのです。

けれども、それには萌える絵が描けるイラストレーターが確実に必要となります。別にまあ、トップ絵アーティストである僕が描いても別に構わないのですが、それもやはり芸が無いではないですか。なんというか、僕は印象派で知られる画家ですので、ちょっとばかり萌え絵要素からは外れるのですよね。

そこでまあ、Numeri日記にて「萌え絵を描けるイラストレーター募集」と相成ったわけでございます。誰か素晴らしく萌え絵スキルの高い人に「ぬめこ」を描いてもらおう、とてつもなく萌える「ぬめこ」を描いて欲しい、そうした切実なる願いから飛び出た告知でした。

しかし、いくらなんでも、いきなり「ぬめこ」を描いて提出しろとは無理なお願いです。そこで、「何か画力が分かる作品を送ってください」と書き添えて告知文を出しました。画力を見て、それでもって「この人ならぬめこを萌えるように描ききってくれるに違いない」と確信した人に、改めてこちらからお願いして描いていただこうと考えていました。

そうして、今日現在まで6通の応募があり、途方も無く素晴らしいイラストレーターが集結することとなったのです。ミカミさん、サオリさん、まてゅげさん、素晴らしい絵をありがとうございます。早速これを元に選考に入らせていただきます。ちなみにKEIさん、添付された画像が見れない状態になっていました。できましたら至急再送していただけないでしょうか。

さてさて、非常にレベルの高い4名の方の画像を選考しつつ、本格的にお願いする人を決めたいと思っているのですが、6名の応募者の方のうち、二名の方が「ぬめこ」のイラストを描いて送ってきてくださいました。

いきなり「ぬめこを描け」じゃあ応募者さんも大変でしょうし、採用とならなかった場合に全てが徒労に終わる、そういったことを避けようという配慮から「画力が分かる絵を送ってくれればいいですよ」と書いたのに、早くも「ぬめこ」を描いて送ってくる剛の者2人。なんだかもう、ビンビンと先走り汁が伝うような気概を感じます。

ということで、今日は先走り汁を飛ばしまくって「ぬめこ」を描いてくれた2人の猛者の作品を紹介いたします。どちらも力作ですよ。

ぬめこイラスト 和さんの作品

和さんのコメント:もう、いきなり「ぬめこ」のイラストで応募します。Numeko1が何より萌える大本命です。ある意味萌えると思います。
え、えーと、せっかくなので、一度はボツにしたNumeko2も付録でつけます。両目と口がポイントです。どうぞ途方もなく萌えてください。

Numeko1と2、二枚の応募ありがとうございます。すさまじく萌えるイラストがかけたということなので、ウキウキしながら添付ファイルを開き、二枚の作品を見させていただきました。さあ、ご覧ください、Numeriイメージキャラクター「ぬめこ」募集、和さんの作品です。

和さんの作品

(Numeko1)

(Numeko2)

落ち着いてください、和さん!

募集要項をよく読んでください。あくまでも「萌え絵募集」です。ファミコンのキャラクターを募集しているわけではありません。一瞬でもNumeko1に萌えてしまった自分が恥ずかしくてなりません。

と・・とにもかくにも、ご応募ありがとうございました。さっそく選考対象に加えさせていただきます。

さあ、次は二番目の「ぬめこ」案、なおすけおさんの作品です。

ぬめこイラスト なおすけおさんの作品

なおすけおさんのコメント:私は「萌え」に関しては自信がありますし、多少なりとも絵を描くので、良い機会だと思い、応募させてもらうことにしました。ついさっき急いで描きあげたので、多少雑な所はあると思いますが、節々における萌え要素は押さえてあると自負しています。

と、頼もしくなるほど自信いっぱいのコメント。これにはかなり期待が持てます。きっと、ものすごく萌えるイラストを、見ただけで惚れてしまい、「ぬめこ萌え〜」となるイラストを描いてくれたに違いない。もうドキドキして添付ファイルを開けました、まるで通知表を開けた幼き日のような思いを胸に、ワクワクしながら添付ファイルを開きました。

さあ、umeriイメージキャラクター「ぬめこ」募集、なおすけおさんの作品です。

・・・・・・。

すごく画力が高いのに。すごい力作なのに。これじゃあB子のメイドじゃないですか。と・・・とにかく、ご応募ありがとうございました。さっそく選考対象に加えさせていただきます。

ということで、イメージキャラクターイラストレーター募集、まだまだ募集しておりますので、是非とも応募してやってください。画力が分かるイラストがあれば充分ですので、間違ってもまだ「ぬめこ」を描いたりはしないでください。おねがいします。

僕のトップ絵を貰う人の気持ちがちょっとわかった。


9/6 スーパードルフィーの世界 Numeri Side

みなさんはスーパードルフィーという物をご存知でしょうか。

(LOGIC&MATRIXより)

リアルな表情はまるで生きているかのよう、その高級感はまさに大人の人形遊び。大人の財力を利用して幼き日の人形遊びを再現する、それがスーパードルフィーなのです。

また、ドレスアップツールやメイクアップツールなどの周辺機器も充実しており、新作も毎月数多くリリースされる。まさに生涯を共にする趣味といっても過言ではないそうです。

もちろん、人形遊びですので女性のファンの方が多く、毎夜人形にメイクをしては服を着せ替える、たまに話しかけたりして意思疎通をする、なんてレディーが溢れかえっているそうです。まさに女性の趣味。

LOGIC&MATRIXというサイトの遊星さんが、このスーパドルフィーを徹底的に日記で叩きまくり、ディープなスーパードルフィーファンに後ろから刺されかけたのは有名な話ですが、僕はその日記を読んでいたく感動したのです。

「僕もスーパードルフィーを見てみたい」

そう熱望する自分がいました。「天使のすみか」と呼ばれるスーパードルフィー専門店、そこに足を踏み入れ、所狭しと暴れまわるドルフィー達をこの目で見たかったのです。

しかしながら、遊星さんの日記での記述を読むと、「天使のすみか」店内は明らかに異様な雰囲気であることが容易に想像できます。店内ではコアなドルフィーファンがひしめき合い、まるっきり異次元のドルフィーワールドを展開している、そう危惧したのです。

いくら僕が無鉄砲でも、そんな場所に独りでノコノコ出かけていく勇気は持ち合わせておりません。できることなら誰か道連れを伴って行きたい、それも「天使のすみか」経験者ならなおいい。そして一つの考えに辿りついたのです。

「そうだ、遊星さんと一緒に行こう」

まるで「そうだ、京都に行こう」と言わんばかり軽やかに思いついた僕は、早速遊星さんにメールを書きました。しかし、いきなり「スーパードルフィーを見に天使のすみかに行こう」などと書いてしまっては「この人は頭がおかしいんじゃないだろうか」と思われるのが関の山。そこで僕は考えました。

ちょうどその時は、HAGAKURE理論というサイトが主催するオフ会に参加するため、飛行機で上京すると心に決めていました。ですから、それにかこつけて

「遊星さん、一緒にHAGAKURE理論のオフ会に行きませんか。あ、ついでに「天使のすみか」にも行きましょうよ、アハハ」

などと、まるで「天使のすみか」がサブであるかのように思わせてメールをしました。このような扱いでは、オフ会に一緒に行くのオッケーですよなどと軽やかに返され、まるで「天使のすみか」の記述はなかったことにされて返信されるかと思っていました。

そして、遊星さんから頂いた返事は

「オフ会参加オッケーです。ただ、僕はその日は仕事があって、行けても夜の7時半くらいなんですよね。」

といった、ああ、やっぱオフ会に関する返信だけだ。「天使のすみか」の記述はなかったことにされたのかなー、と思いつつメールを読み進めていくと、

「仕事の関係で到着は7時半くらいですが、天使のすみかは8時まで営業してますよ!」

と、驚愕の記述が。遊星さん、「天使のすみか」の営業時間までフォローしてます。そして、「行くのは遅くなるけど、営業時間には間に合うから」と暗黙のうちに告げています。もう、遊星さん、メチャクチャやる気じゃないですか。やる気茶屋よりやる気じゃないですか。

こうして、HAGAKURE理論のオフ会当日、僕と遊星さんは新宿で待ち合わせをして、二人っきりで「天使のすみか」へと突入するのでした。これは、あくまでNumeri側から見たスーパードルフィー専門店「天使のすみか」突入レポートです。存分にお楽しみください。

新宿駅東口。待ち合わせの一時間前に新宿に辿りついていた僕は、微妙に歌舞伎町を徘徊しつつ遊星さんの到着を待つ。そこに遊星さんから着信が

「今仕事終わりました。今から向かいますので。あ、待ち合わせは東口のライオン像の前で」

その電話を受けた僕は、とりあえず喫茶店でアイスコーヒーを飲みながら待ち合わせ時間を待つ。そして、時間となったので東口のライオン像の前に移動。そしてまた、遊星さんから着信が

「あ、今着きました。東口にいます。でもねー、正直言うとライオン像の場所知らないんですよ」

なんていう神をも恐れぬセリフ。アンタが指定したからライオン像の前に半分口を開けて立っていたというのに、そのアンタがライオン像を知らないとは何事だ。

なんとか携帯で連絡を取りつつ、遊星さんと合流。「お久しぶりです」「相変わらずモテですな」なんていう挨拶を交わしつつ、いざ「天使のすみかへ」。まるで戦場に向かう二人の兵士のように意気揚々と「天使のすみかへ」

遊星「やべー、いきたくねー」

pato「僕はなんか緊張してきました」

なんて会話を交わしつつ、東口の目の前にあるアルタへ。「天使のすみか」は、アルタの8階に位置しており、なぜか7階までしかないアルタのエスカレーターでは、エレベーターを使って「天使のすみか」入りすることが必然となる。二人とも迷うことなくエレベーターへ。

同時にサラリーマン風のオッサンやらアッパーパーなお姉ちゃんが数名乗り込んできます。ドアが閉まるも、誰も8階のボタンを押そうとしない。

ここアルタの8階には「天使のすみか」しか存在せず、8階のボタンを押すそれ即ち「天使のすみか」に行くことを表します。いくらなんでも、率先して8階のボタンを押したくはない。

僕と遊星さんが一緒に歩いているだけでホモカップルにしか見えないのに、それが手を繋ぎあって「天使のすみか」に行くんじゃあ、それだけで警察を呼ばれてもおかしくありません。

「おい、お前が八階押せよ」

「やだよ、お前が押せよ」

なんてアイコンタクトでやりあっていると、エレベータは6階へ。このままでは6階で折り返して1階に戻ってしまう。そう思った僕はサラリーマンを押しのけて「8」のボタンを押しました。一瞬だけエレベーター内が妙な沈黙に包まれましたが、そんなの気にしません。どうせこの人たちには二度と会うことはないのです。

6階で僕と遊星さん以外の全ての乗客が降り、二人っきりとなったエレベーターは、いよいよ8階「天使のすみか」へ。

チーン

ガガガガガガガ

エレベーターのドアが開いた瞬間に目の前に広がる真っ白な世界。少し奥まった場所に鎮座しておられる「天使のすみか」。そして正面の壁には

〜お客様へ〜
天使のすみかは、スーパードルフィーの『聖域』(サンクチュアリ)としてお客様とスーパードルフィーとの素晴らしい出会いのお手伝いさせていただきます。

という、ゴールドセイントも裸足で逃げ出す「サンクチュアリ」の文字。というか、店全体からエネルギッシュなオーラが発せられており、なにやら結界が張られているように感じられました。

「けっ、結界が!前に進めない!」

エレベータを一歩降りた場所、まだ「天使のすみか」に到達していなかったので、余裕でそんな小ネタをかましていたら

「なにいってんですか、さあ、行きますよ」

と遊星さんはトコトコと歩いて「すみか」に行ってしまいました。さすが経験者、妙に場慣れしてやがる。「独りにしないで」と慌てて遊星さんを追いかけ、ついに「天使のすみか」へと足を踏み入れる。

・・・いやはや、まいった。

もう、まいった。さすが「天使のすみか」と大々的に名乗ってるだけあるわ。もう、店内の雰囲気が圧倒的に天使が棲んでいそうだったもの。真っ白に統一された店内に、音楽もかからず全く無音の静寂。そして、全ての人形がポーズをとりながらこちらを微笑んでいる。明らかに異様な雰囲気。体温が2度上昇するのが分かったもの。

店内には、メガネで七三別けの店員さんが一人おり、パソコンに向かって何やらカタカタと打っている。そして店の奥には明らかにコアなドルフィーマニアみたいな女性が二人。カタログを見ながら熱く議論を交わしていました。

「こりゃあ、まさに異次元ですな」

と蚊が鳴くような声で言いつつ、展示されている人形達を見る。

「いや、僕はバービー人形みたいな大きさだと思っていたんですけど、こうやって見ると大きいですね」

確かに、思ってた以上に人形は大きく、しかも画像で見るよりもリアルに作られていた。

「でしょ、かなり大きくてリアルなんすよ。これなんかはコスプレ物で・・・」

雄弁に説明をする遊星さん。

すると目の前に、何やらバイオリンケースのような黒い箱が表れる。

「これはカモフラージュです。人形を持ち運ぶ際、バレないように楽器っぽく見せかけて運ぶんですよ」

雄弁に説明する遊星さん。

すると店の中央に、何やら花が飾られた祭壇のようなものが現れる。

「あれはお迎えのセレモニーに使う祭壇です。お迎えのセレモニーは・・・」

雄弁に説明する遊星さん。

なんだか遊星さん、ドルフィーアドバイザーの人みたいになってます。詳しすぎます。さっきまで「行きたくねー」と死んだ魚のような目をしていたのに、目が生き生きとしてたもの。

そんな遊星さんの活力に驚きつつ、店内を闊歩していると、ボーイッシュな感じのカワイイ人形が目に留まる

「あ、遊星さん。この女の子カワイイですね。こういうの好きだなー」

なんて僕が言おうものなら

「ちょっとpatoさん!何処見てるんですか!これの何処が女の子ですか。どっからどう見ても男の子の人形じゃないですか!」

と怒り出す始末。どうやら女の子だけでなくてちゃんと男の子の人形もあるみたい。それにしても、女の子と男の子を間違えただけでどうしてそんなに怒るんですか。どうしちゃったんですか、遊星さん。

そんなこんなで、ギクシャクしながら二人して店内を歩いていると、目の前にはドルフィー達の周辺小物を販売しているコーナーが。

「あ、靴下だ、ちっちぇー」

「髪飾りとかもあるんすね」

「すげえ小物の充実ぶりだ」

と会話しながら小物を見ていく二人、そんな二人の目の前にドルフィーが使用する用の下着が登場する。

「ぱ・・・パンティーまであるんすか。いや、あるのは知ってたけど、まさかここまで精巧だとは」

「ええ、すごいでしょ。こんなに小さいのに800円ですよ」

「まるで職人が作ったみたいな下着ですな」

「僕のパンツなんて5枚で1000円なのに・・・」

「小さいなー、ちょうど手の平がはけるような大きさだ」

などと、人形のパンティを手に取り語り合うホモカップル風の二人組。そろそろ店員さんが受話器片手にいざ警察を呼ばんとするところです。

そして、ここでいつもの僕の悪い癖が飛び出す。なんというか、ヘタレでチキンな僕なのに、どうしてもこういった場面で妙なチャレンジャー精神を出してしまう。インディージョーンズもビックリの冒険心が疼いてしまう。

pato「このパンティ、買ってきたらどうします?」

遊星「え・・・」

その刹那、遊星さんの動きが止まった。僕ら二人が店内にいるだけで浮きまくっているというのに、天使のすみかを汚しまくっているというのに、そのうえ買い物をすると言い出す始末。しかも人形用のパンティを買うと言い出す始末。いくら剛の者とはいえ、さすがの遊星さんも固まるしかなかった。

「じゃ、じゃあ、本当に買ってきたら、Numeriのリンクを一番上にしますよ。文中リンクも貼って、と9000アクセスを打つぜ!」

と、ここにききてもアクセス数の幻影から逃れられない遊星さん。それに発奮した僕は

「よーし、買っちゃうぞー、そうだ、ちょうどHAGAKURE理論のオフに行くし、Sickさんのお土産にしちゃおう」

とまあ、この後に行くオフ会の主催者さんへのお土産にすると言い出す始末。というか、文章に書くと何だか僕は恐れを知らない大胆不敵な人間に思えるけど、実際には

「だ、大丈夫ですかね。レジで買う際に通にしか分からない暗号とか聞かれませんかね。それが答えられなくて叩きだされるとか」

とオドオドしっぱなし。

「大丈夫ですって、そうだったら姉にプレゼントしますからとか言えばいいじゃないですか」

という遊星さんの心強いアドバイスを頂き、いよいよパンティを持ってレジへ。その前に一口にパンティと言っても僕が所有するパンツ以上に種類と色のラインアップが沢山あるので、二人でどのパンティにするか選ぶ。

「もちろんピンク!」

満場一致でピンクのパンティを買うことに決定。ピンクのパンティを手に意気揚々とレジへ。相変わらずカタログを見ながら議論していたコアなドルフィーマニア女性の横をすり抜け、颯爽とレジへ。思えばこれが更なる地獄の始まりだった。

「す・・・すいません」

悪い事した時の子供みたいな声を出して店員さんを呼ぶ僕。店員さんは奥のパソコンで何やらカタカタと打っていたが、僕の存在に気がついてレジの前に立つ。

そしてそこに差し出されるピンクのパンティ。

明らかに女色、女の人がメインで来る店内に、こんな田舎から出てきたような男がいるだけでも大変な騒ぎなのに、明らかに長身でオタクみたいな男がパンティを差し出してるんだからね。ホント、この時点で警察を呼ばれても何らおかしくない。

「あっ、はい!」

と明らかに狼狽しつつ、パンティを手に取りバーコードを読み取る店員さん。そこで何をトチ狂ったのかとんでもないことを言い出す僕。

「あ、贈り物用包装とかできますか」

バカ、俺のバカ。何を言い出してるんだ。違うよう違うよ、僕が使うものじゃないんだよって暗にアピールしたい気持ちは分かるけど、さすがにそれはありえない。どこの世界に人形のパンティを贈る習慣がある国があるっていうんだ。パンティをプレゼントとか有り得ない。というか、それを考えるとさっきの遊星さんのアドバイスもいくらなんでもあんまりだ。

で、その驚愕の言葉を受け取った店員さん

「(プッ)、贈り物包装ですか?簡単なのならできますけど」

と、明らかに笑いながら言う始末。もう死ぬほど恥ずかしくなっちゃって、でもいまさら引くにも引けず

「じゃあそれでお願いします」

とか言ってました。

「では、しばらくお待ちください」

やっとこさ死の辱めから開放され、レジを離れた僕は店の隅のほうで震えていた遊星さんのところへ。

「すげえ恥ずかしかった、汗が吹き出た」

「ここから見てるだけで恥ずかしかった」

などと会話をしつつ、ピンクのパンティの包装を待つ僕ら二人。しかしながら、ここで途方もない事件が。

僕らが入店してから今の今まで、新規に入ってくる客などおらず、店内にはホモカップルと口論するコアマニア女性、そして店員しか居なかったのに、何故だか知らないけどドンドコと新規の客が店内に入ってくる。まるでそういうドッキリみたいに次々と入ってくる。

しかも、かなりの通らしく、店に入るや否や「すいません、このメイクセットなんですけど」と店員さんを呼び寄せる。今やこの店内には先ほど見事な失笑を見せてくれた店員さんしかおらず、呼ばれるたびに対応におおわらわ。

「すいません」

「はい、どうしました」

そうやってコアな客の方に向かう店員さん、その度にレジの上で放置される僕のパンティ。モロンと放置されるピンク色のパンティ。なんというか、真っ白いレジ台の上にひときわピンク色が映えていたよ。

さすがにもう、僕も遊星さんも色々な意味で限界で、一刻も早く店を飛び出したかったのだけど、パンティが包装されずにレジの上で万人に見せつけられている状態では、帰るに帰れない。

なんか、店の隅のほうでウサギみたいになって片寄せあって震えてた。

しかも、あれほど閑散としていたのに店内はムーブメントが起きそうなほどにコアなドルフィーマニアでひしめきあっている。

「さすがに僕らもドルフィーマニアなフリをしたほうがいいんじゃないすかね」

「だな」

という打算の元

「おやおや、これは中々髪質がいいですな」

「おお、これはなかなか好みですぞ」

なって会話をして、パンティの包装を待つ。しかし、10分経っても客足が途絶えることはなく、依然として白い台の上に放置され続けるピンクパンティ。

そろそろ限界かも、と思ったところで、なにやら浴衣を着たドルフィーを発見。

「あ、浴衣を着たやつもありますね。これはいいかも。これは浴衣の男の子バージョンないのかな」

なんて僕が言いますと

「ちょっとpatoさん!どこ見てるんですか!これはどっからどう見ても男の子の浴衣でしょ。もう、ほんとに!」

とか、遊星さん、ムチャクチャ怒ってるんです。ムキになって怒ってるんです。どうしちゃったんですか、遊星さん。

「もう限界、店の外で待ちます」

と、ついに臨界点を迎えた僕ら二人、店の外のエレベーターホール、あの聖域(サンクチュアリ)の表示があった場所で待ってました。「まさにサンクチュアリですな」とか言いながら、ピンクのパンティが包装されるのを待ってました。

永遠とも思える長い放置プレイの後、やっとこさ小さな包みに入れられたピンクのパンティを受け取りました。あれだけ待たされ、辱められるとかありえない。

夜の新宿、逃げるようにしてアルタから飛び出した僕ら二人は、

「すげえダメージだ」

「ガードしててもライフが削られる気持ちが分かったよ」

「恐るべし、天使のすみか」

などと会話しながらHAGAKURE理論のオフ会会場へと向かったのでした。

「というか、あの店員さん、絶対に俺らが冷やかしだって分かったたよな。分かってて、放置プレイかまして楽しんでたよな

「ああ、俺らが悶え苦しむ姿を見て楽しんでいたに違いない」

などと会話しながら、僕らは夜の新宿の雑踏へと消えていくのでした。

僕らを辱め、放置プレイを楽しむ笑顔の店員さん、それは天使というよりは悪魔に見えました。アルタ8階スーパードルフィー専門店「天使のすみか」、間違いなく僕と遊星さんにとっては「悪魔のすみか」でした。死ぬかと思った。

ちなみに、その後に行ったHAGAKURE理論のオフで主催者であるSickさんに、遊星さんはネタに使った箇所の付箋つきの「長瀬愛物語」をプレゼント、僕はもちろんピンクのスーパードルフィー用パンティをプレゼントしました。

どちらもあまり、喜ばれていませんでした。

スーパードルフィーの世界 Numeri Side おわり


9/5 ノートPCクライシス

サンクスヌメラーズウィーク2において、勝手に持ち出した職場マシンをご臨終させたpato。あまり使っていないマシンだからバレないうちに修理に出せば大丈夫、いける、と一安心。けれども、神はそれを許さなかった。「明後日、あのパソコン使うから」という無慈悲な上司の言葉。しかしながら、当のパソコンは起動すらしない体たらく。どうするpato!?

と、一時期は非常に困っていたのですが、もう安心。皆々様からの多数のアドバイスメールを頂いてなんとか解決いたしました。いやはや、もう皆様あってのpatoといった感じで感謝してもしきれません。

そんなこんなで、頂いたメールのいくつかを紹介。

「壊れたまま渡して、上司が壊したことにしたらどうですか」

「最初から壊れてたってのダメっすか?」

などなど、いやー、みなさん実に腹黒い。もう悪党じゃないですか。なんというか、真っ当な人生を歩んできた僕には考えつかないような悪徳なアイデアがモリモリと出てきてるじゃないですか。しかも中には、

「もう、上司を殺しちゃったらどうですか」

とか、僕が真に受けて本当に殺したら殺人教唆になりかねないメールまで。皆さんがどんな暗黒な人生を歩んできたのか不安になるばかりです。

しかも、もっと酷いのになると

「もう自殺するしかないですね、どうやって自殺するんですか。首吊りはヤバイですよ」

とか、普段何を食って生活してたらこんな思考にたどり着くんだろう、と疑いたくなるメールまで。本当に大丈夫なんですか、貴方達は。

けれども、中にはマトモな方もおりまして、

「症状を見るに、どうやらハードディスクが壊れたっぽいですね。大きめのPCショップに行けば1時間ぐらいでハードディスク交換してくれますから、それで大丈夫だと思いますよ」

なんていう、神としか思えないアドバイスもありました。人間というのはすべからくこうありたいものです。

で、早速大きめのPCショップに赴き、見てもらったところ、やはりハードディスク交換で大丈夫とのこと。すぐに修理に取り掛かり、なんか数時間後には蘇生したマシンが舞い戻っておりました。

ハードディスク交換に3万円くらい取られましたが、まあ、本気で同じノートPCを買って誤魔化そうとしてたことから考えると3万など屁みたいなものです。名前を出してよいものか分かりませんので、あえて伏せますが、良きアドバイスをしてくださった方、本当にありがとうございました。

さてさて、死亡した職場PCはなんとか3万円で蘇生しました。しかしながら、出張に持っていくと言った上司の出発には紙一重で間に合いませんでした。そう、上司が出張に旅立つ際には、まだ修理に出しておらず、死亡した職場PCだけが僕の手元にあったのです。

「パソコンの準備できたか?飛行機の中でも使うからしっかり充電しといてくれよ」

といった、切腹ものの上司の言葉に対し

「はい!準備できております!」

と、笑顔でノートPCを差し出しました。まさか、壊れたノートPCを差し出すわけにもいきませんので、普通に後輩が使ってたノートPCを奪ってケースに入れて差し出しました。

「お、ちゃんと用意できてるじゃないか」

と、あまりにスムーズに用意されていたノートPCに上司もご満悦の様子。いやはや、機種とか全然違うんですけど、なんだか気がつかないものなんですね。

・僕が壊した職場マシン

東芝DynaBook SS2100 モバイルを追求した薄型14.9mmノートパソコン。重量約1.09 kg。

・上司に渡した後輩マシン

SONY VAIO Note FR77 大画面、オールインワンノートPC.全てがこの中に。重量約3.8kg

いやー、メーカーも機種も違うのに気付かないものなんですね。いやはや、よかったよかった。ってか、気付けよ。

まず、渡したマシンにはVAIOとか書いてあるんだぜ、しかも重量が3倍以上違うんだぜ。薄型最軽量のマシンであるはずなのに、受け取った瞬間にズシリと重い。しかも大きさとか全然違うから、元々あった持ち運び用のケースに無理やり入れてるんだぜ。どう考えても気がつかないはずがない。

なのに、ウンコ上司のやろうは

「いやー、やっぱモバイルとかあると便利だよな」

とか言ってやがるし、ゴテゴテに色々なものが付き、総重量4キロはあろうかというマシンを手に言ってやがりますからね。それ、モバイルじゃないから。テレビとかも見れるらしいし、どちらかといえば要塞に近いノートパソコンだから。気付かないとかありえない。

そんなこんなで、あれほど悩んでいたのがバカらしくなるほどお粗末な結末でした。今思ったのだけど、こんなことなら修理しないでも誤魔化せたかもしれない。何も急いで修理に出すことなかった。ヤツならゴミ捨て場で拾ってきたデスクトップPCでも気がつかないかもしれないのに。

なんか、修理に使った3万円が急にもったいなく思えてきました。もっと腹黒く誤魔化せばよかった。

その前に、24時間ラジオとか過酷にPCを酷使する企画は今後は控えようと思いました。また職場PCを壊しちゃったらシャレにならないものね。

ということで、職場PCクライシス、一件落着ということでめでたしめでたし。上司がバカで助かった。

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今日はスペースが余ったので告知を行います。

・イメージキャラクターイラストレーター募集

現在、Numeriでは途方もなく萌えるイラストが描ける方を募集しております。我がサイトのマスコットキャラ「ぬめこ」(萌えキャラ)をどなたかに描いて欲しいと思っております。

我こそはと思う方は、何でもいいですので自分が描いたイラストを添付してp1bgm@polka.plala.or.jpまで送付してください。お願いします。

・Numeri 2周年記念企画

来る10月22日、我がNumeriは開設から2周年を迎えます。そこで、大々的に2周年記念企画。

「2周年だよ!ぬめぱと変態レィディオ48時間スペシャル」

今回は前回好評だった「ひとことネタコーナー」「リスナーさんとのオセロ対決」「初体験告白コーナー」などを随所に配置し、「深夜のpatoさんクッキング」「お風呂ラジオ」「心霊スポット訪問 VS皆殺しの館」など従来のコーナーも充実。さらには「鬱になるトーク」などの新コーナーも。そして、一部で注目を浴びている「ぬめっ娘。」のデビュー曲がついに完成版で初登場。もちろんゲストは「ぬめっ娘。」という豪華ラインナップになっております。注目のあの人もゲストとして登場するかも。

放送日は未定ですが、2周年となる10月22日前後の週末を予定しております。皆さんこぞってお聞きください。あと、回線速度に自信があり、ラジオ放送を中継してくれる方や、楽曲を提供してくれる方も随時募集しております。是非ともよろしくお願いします。

・ScareCrowライブ

来る9月12日に、Numeriラジオの挿入歌でお馴染みのScreCrowがライブを行うそうです。東京町田 The Play Houseにて、チケット代1500円にワンドリンク付き、開場18:00、開演18:30だそうです。ラジオ内でも評判の高いScareCrowの生の演奏を聴くのも良いではないでしょうか。詳細はこちらとかこちら

ということで今日はおしまい。

明日は多分、LOGIC&MATRIXの遊星さんと人形の館に行った話しを書きます。いやはや、地獄を見た。

というわけで、また明日ー。


9/4 バレンタインおにぎり事件

その体育館裏には、何でもない体育館裏の匂いが転がっていて、何でもない松の木が転がって砂利が転がっているはずだった。思い出の中に転がるありきたりな風景のワンシーン。近道をしようと下校時に通りかかったごく自然な風景として記憶されるはずだった。

僕は幼い頃から意気地のない子供で有名だった。誰彼と喧嘩するなんてこともなく、嫌なことには嫌とハッキリ言えず、ただ周りに流されるままで自分を主張しない、そんなヘタレだった。

たまに、僕のサイトの文章を読んだ方から、「なんでそんなにヘタレなんですか、もっと自分を主張しなきゃダメですよ」なんていうメールをもらい、見ず知らずの人間に人生のイロハを教えてもらったりする。どうやら見てられないほどにヘタレらしい。

もちろん、そこまでヘタレであるからには、暴力などは大の苦手だ。なんでも右拳で解決しようとする人間が嫌いだし、人を殴ったり物理的に人を傷つけるという行為が嫌いでたまらない。

そんなものだから、当然ながら今まで生きてきて喧嘩というものをほとんどしたことがない。腕力に任せ、憎しみたっぷりに他人を殴りつける、そんな行為をやったことがないのだ。ほとんど。腕力で争いそうな場面になったら逃げるし、喧嘩になりそうなほどに相手がキレていたら謝る。そうやって腕力勝負をずっと避けてきたのだ。まさにヘタレの境地と言う他ない。

ここで、何度も「ほとんど」という言葉を強調しているのは、実はそんなヘタレ人生においてもたった一度だけ喧嘩をしたことがあるからだ。たった一度だけ、バイオレンスに他人と戦い、腕力のままに殴りつけたことがあるのだ。

話は中学時代に遡る。時は2月のバレンタイン。男どもはチョコという見果てぬ夢に思いを馳せ、女どもはカバンにチョコを潜ませ忍びのように渡すタイミングを伺う。誰もが平常心でいられぬバレンタインの日に事件は起こった。

重松君の机の中にチョコが入っていたのだ。

重松君とは、言っちゃあ悪いがブサイクさが健康応援団MAXに到達している男の子で、神のイタズラとしか思えない顔の造作をしていた。岩のような顔に変な天然パーマ、顔中ニキビだらけでとんでもないことになっていた。僕もブサイクさでは人に負けぬ自信を持っているのだが、重松君には全く敵わなかい、それほどの逸材だった。

重松君はやっぱり性格もひねくれていて、なんとなしにクラス中の嫌われ者だった。だれもが重松君の行動を影でせせら笑い、女子どもは彼のことを毛虫よりも忌み嫌っていた。

そんな重松君の机の中にチョコが。バレンタインの日にチョコが。

これにはクラス中が沸き立った。「ま・・・まさか!?俺ですら貰っていないのに!なんで重松が!?」と悲観する者、「信じられない」と驚愕する者。各人にそれぞれの衝撃が走った。やがてその思いは収束し、「一体誰が重松にチョコを、一体誰が」と全ての人間の興味が一点に集中した。

「やっべー、まいったなー。だれだよー」

初めてチョコを貰ったからだろうか、重松君はまんざらでもない様子で嬉しそうに大声を上げながらチョコの包装を剥いでいく。チョコを頭上に掲げて街中を練り歩かん勢いで喜んでいる、その喜びの波動がありありとわかる笑顔だった。

クラス中、全ての人間が彼の一挙手一投足を見守り、全ての興味の対象が重松君が貰ったチョコに集中した。一体誰が、どんな物好きが、どんなチョコを、皆の心が一つになっていた。

ガサガサ

少し乱暴に、もう待ちきれないといった按配で包装紙を破り去っていく重松君。そして、その包装紙の下から現れたのは・・・

おにぎりだった。

何故だか知らないけど、チョコ風に偽装された包み紙の下からは「梅」とか相撲取りみたいなフォントで書かれた現代で言うコンビニ風のおにぎり。しかも「美味しく食べてね。八坂より。」というメッセージカード入り。

この「八坂」なる人物、重松君に負けず劣らずのクリーチャー女子。まるで百鬼夜行や夜は墓場で運動会を思わせる容姿に、卑屈で意地悪な性格が絶妙のコラボレーションを見せて、一気に嫌われ女子のスターダムにのし上った女性。

つまり、クリーチャーな八坂さんが、同じくクリーチャーな重松君にチョコを贈ったということ。チョコに偽装されたオニギリはその揺るぎようない事実を物語っていた。

さすがにこれには一同大爆笑。ホント、今考えるととんでもなく酷いと思うのだけど、クラスの一同は爆笑のるつぼ。で、当の重松君は問題のオニギリを手に顔を真っ赤にして怒っている。「うはははは、八坂が重松にチョコじゃなくてオニギリだってー」と大笑いする民衆の中で、怒りに打ち震える重松君。なんだかちょっと、見てて可哀想だった。

というか、普通に考えて八坂さんが重松にチョコを渡すことなんてありえないし、そのチョコがチョコに偽装されたオニギリであるはずがない。朝一ならともかく、こんな午後の時間に違うクラスの八坂さんが机に入れることは不可能。つまりは、これはクラスの誰かが巧妙に仕組んだイタズラではないだろうか。

なにぶん、あらゆる方面で嫌われていた重松君。誰かが悪意を持ち、バレンタインにかこつけてイタズラをしたのじゃないだろうか。バレンタインの日に机の中にチョコ。しかも同様に嫌われていた八坂さん名義。しかもチョコではなくおにぎり。誰かは知らないが、とんでもなく悪趣味なイタズラだ。

ひでえことするやつがいるもんだ。こういうことするやつはバレンタインにおける非モテの心理状態を理解していない。この日、どれだけ僕ら非モテが不憫か惨めか、それが分かってないからこんなイタズラができるんだ。なんとも酷い話だ。

などと不快感を顕にしつつ怒りに打ち震える重松君を見ていると、そこに途方もないニュースが舞い込んでくる。

「おい、重松。そのオニギリ、昼休憩にpatoが持ってたヤツと一緒だぞ」

途方もない情報提供だ。

確かに、僕はその日学校に梅のオニギリを持ってきていた。ウチの母は病弱で、弁当を入れるのもままならなかったのでいつも僕はパンを食うか通学途中に買ったオニギリを食べるか、もしくは食わないという手法をとっていた。そして、その日は確かに梅のオニギリを持って学校に行っていたのだ。

しかし、神に誓ってもいい、僕は断じてそんな真似をしない。バレンタインにおける僕ら非モテの心理状態を誰より理解しているし、そこまで重松君のことは嫌いではなかった。それに、間違いなくそのオニギリは昼に食った。断じて言う、そのイタズラは僕ではないと。

しかし、そんな言い訳は怒りに打ち震える重松君には通用しない。「てめえかー!」と醜い顔をさらに醜悪に歪め僕に詰め寄る。あまりの怒りからだろうか、その時点でオニギリは床に放り出していた。

「テメエのこと絶対に許さないからな!」

「いや、俺じゃないって。確かにオニギリ持ってたけど、それは食った。間違いなく俺じゃない」

「うるせー、絶対に許さないからな!」

「だーかーらー、俺じゃないってば」

ヘタレなりになんとか重松君の誤解を解こうと弁明するのだけど、それでも彼はおさまらない。周りのクラスメイト達も人事だと思って「いいぞやれやれー」と祭囃子のように囃したてる。

その群集たちのムーブメントに触発されたのか、重松君が鼻息を荒くして言い放つ。

「決着をつけてやる!放課後体育館裏に来い」

おいおい、キミはいつの時代の人間だ。この飛行機が空を飛ぶ時代に「体育館裏に来い」とは、全く持って時代錯誤。というか、それよりなにより、そもそもの「机の中にオニギリを入れたのは僕」という重松君の想い自体が大きな誤解。しかしながら、

「アホか。俺じゃねえっていってんだろ」

と軽くあしらうも、猪突猛進の重松君は止まらず、まさにノンストップ重松といった状態で猛牛のように怒り狂ってる。しかも、「いいぞー、やれやれー」とオーディエンスの勢い止まらず。いつの間にかタイトルマッチ並の扱いで「重松 VS pato 会場:体育館裏」が成立。もはや逃げられない状況にまで盛り上がってしまった。

かくして、放課後。決戦の時はやってきた。

僕は別に「バレンタインおにぎり事件」の犯人でもないし、重松君のことが憎いわけでもない。しかしながら、周囲の盛り上がりに逃げられなくなっていたヘタレ全開な僕は、いつの間にか体育館裏に立っていた。

向こうではこの一大イベントを見ようと30人を超えるオーディエンスが大変盛り上がっている。おいおい、普通、体育館裏の決闘といったらひっそりとやるもんじゃねえか。ヒッソリと人知れずやりたいから体育館裏じゃないのか。それなのになんだ、このオーディエンスたちは。

そして、ついに対戦相手である重松登場。なにやら、やる気充分でシャドーボクシングみたいな素振りをしながら入場。狂ってるのか、コイツは。

何で僕はこんな体育館裏なんていう場所で重松君と対峙しているのだろうか。僕は何もしてない、重松君のことだって憎くないのに、なんでこんな場所に佇んでいるのだろうか。一刻も早く家に帰りたい、早く帰ってドラマの再放送とか見たい。

と思うのだけど、対決の機運が盛り上がってくるにつれ、徐々に興奮度を増していくオーディエンス。もはやどうにも止まらない。

「うおー!」

とんでもない、醜い顔にカマキリが卵を産みつけたみたいな顔して襲い掛かってくる重松君。もはややる気充分。こうして、僕の人生において最初で最後の喧嘩が始まったのだった。

「うりゃあああああ」

やる気がない僕とは対照的に、カンフーのようなアクションで攻撃してくる重松君。けれども、すげえ動きがのろい。老人のようにのろい。本気でやってるのかと訊ねなたいほどにのろい。

そんなもんだから、やる気のない僕はひょいひょいよける。「だから、俺が、犯人じゃ、ねえって」とか言いながら避ける。いくらなんでも重松君を殴るわけにはいかないので徹底してディフェンスのみ。これにはオーディエンスも大ブーイング。もっと積極的に手を出せと大ブーイング。

こっちはいわれのない濡れ衣で体育館裏に連れてこられて、さらに必死で避けたりしている。もう息が切れそうなほどに避けている。それなのに群集からは大ブーイング。なんというか、段々腹が立ってきた。

いくら温厚な僕でも限度がある。いわれのない疑いでこんな見世物みたいなことさせられちゃ腹だって立つってもんだ。もう、大変ご立腹した僕は、

「俺じゃねえっていってんだろ!」

と重松君の顔を平手打ち。僕が攻撃しないと薄々勘付いていてノーガードだった顔面を平手打ち。なんというか、今でも覚えてるんだけどすごく感触の悪い手応えだった。

やっぱ、人に対して暴力を振るうとか、人のことを殴るっていうか人を傷つけるってのがどうしようもなく嫌な感触で、自分がされて痛いことを人にしているという時の後味の悪さというか、一生忘れられない黒色の感触というか、そういうのではなく。

重松君の顔面を平手打ちしたら、ブチブチと重松君の顔のニキビが潰れたんだよね。それがもう、途方もなく後味の悪い感触。ニキビだらけの顔だったから、潰れる一歩手前のニキビが多数ほっぺに存在してたみたいで、もうブチブチと。僕はあのニキビが何個も同時に潰れる感触を一生忘れないよ。

それでまあ、ニキビがつぶれ、変な液やら白いものやら血をホッペの数箇所から流した重松君は、その痛さで泣き出してしまったのです。古今東西、どこの世界でも喧嘩の場では泣いた方が負けです。かくして、僕の人生最初にして最後の喧嘩は、

○僕-(ニキビ潰し)-重松×

というなんとも情けない結果に。というか、手の平を見たら僕の手にも重松君のニキビの液やら白いのやら血がついててちょっと泣きそうだった。泣いたら負けだから必死に我慢したけど。

「つまんねー喧嘩だったぜ!」

悪態をつきながら消えていくオーディエンスたちに、ポケットティッシュでホッペを押さえて泣く重松君。体育館裏で繰り広げられたその光景を今でも覚えてる。後味の悪い、なんとも嫌な思い出として覚えている。

確かに僕は怒りに身を任せて彼に手を出した。そして、ニキビを潰すという大ダメージを与えた。けれども、重松君は何も悪くない。全ては彼に勘違いに導いた「バレンタインおにぎり事件」が悪いのだと。

人を傷つけるというのはこんなにも重いものなのか。こんなにも後味の悪いものなのか。こんな想いをするくらいならヘタレでかわまない。金輪際、人に暴力は振るわない。あの日潰れた重松君のニキビに誓って。

今日も僕は、「てめー、俺が先に停めようとした駐車場だぞ、すぐどけろ」などと、頭の悪そうなクソガキヤンキーにショッピングセンターの駐車場で絡まれても、「あ、ごめんなさい」と卑屈な笑顔で言いながら車をどける。

きっとものすごくヘタレでカッコワルイのだろうけど、それでいいのだと思っている。あの日感じたニキビを潰したような感触を味わうのはもう嫌だから。

何でもないはずだった体育館裏の風景。そこは、なんでもない風景であるはずだったのに、僕が人生において最大の間違いを犯した場所として今でも重い風景になっている。


9/3 短い日記だって書けるもん

サンクスヌメラーズウィーク2において、勝手に持ち出した職場マシンをご臨終させたpato。あまり使っていないマシンだからバレないうちに修理に出せば大丈夫、いける、と一安心。けれども、神はそれを許さなかった。「明後日、あのパソコン使うから」という無慈悲な上司の言葉。しかしながら、当のパソコンは起動すらしない体たらく。期限はあと一日、どうするpato!?

地元の比較的大きいパソコンショップにて

「すいません、○○(壊れたマシンと同じもの)ってノートPC欲しいんですけど。すぐに持って帰りたいんですけど」

「あー、品切れですねー、取り寄せになります」

アハハ、そろそろ自殺か夜逃げの準備しようかな。

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「Numeriのpatoです」って自己紹介すると、「ああ、あの日記の長い」とジェスチャー付で言われたりするので、短い日記も書けるんだぞってところを見せ付けてやりました。決して手抜きじゃないよ!


9/2 さよならだけどさよならじゃない

いやー、焦ってる人間って滑稽ですよね。みっともないほどに取り乱している人間って滑稽ですよね。オロオロオタオタと不安げに右往左往、人間としての理性を完全に失っているとしか思えない。

出来ることなら、いかなる場面においても落ち着きを失わず、悠久の大河を髣髴とさせる冷静さを見せたいものです。

先日のことでした。

いつものように、恐ろしくカロリーの高い弁当を食そうとコンビニへと向かった時のことです。まるで故郷に凱旋帰郷するかのような誇らしさで近所のセブンイレムンへと向かったわけ。

そしたらアナタ、ムチャクチャお腹が痛くなるじゃないですか。垂直落下式の、P4レベルの腹痛が襲ってくるじゃないですか。ハッキリ言ってすぐにでも出る、それが社会的に許されるのならばレジの上でやりたい、そう思うほどの腹痛だったのです。セブンイレブンいい気分どころの騒ぎではない。

それでもまあ、ここのコンビニには自由に使えるトイレが併設されていますから、なんとか一安心。よーし、ウンコしちゃうぞーとエロ本コーナーの横をすり抜けてトイレへと向かったわけです。

そしたらアンタ、トイレのドアが半分くらい開いてるじゃないですか。モロンと半分くらい開いたトイレのドアがお目見えしてるじゃないですか。

いやね、これってば普通に考えたらおかしいのですよ。だって、ドアが半開きなんですよ。人が入ってて超満員札止め、ソールドアウトだったら強固にドアが閉まっているはずですし、誰も入ってないならフルオープンなはずなんです。やっぱどう考えても半開きはおかしい。

そりゃね、僕かて社会生活を営む立派な人間です。トイレに先客がいるなら諦めてトイレの前で仁王立ちして待ちます。我慢しきれなくなったら裏手に回って野グソでも何でもします。でもね、半開きだったら待つ必要なんて全くないんですよ。

うおおおおとそりゃあ物凄い勢いでトイレの個室内へと入りましたよ。バーに入るワイルドガンマンみたいに千切りとれんばかりの勢いで半開きのドアを押しのけて入りましたよ。

そしたらアンタ、人がいるじゃないですか。個室の中に髪の毛を大事にしてそうなサラリーマンのオッサンがいるじゃないですか。いやいや、ケツをペロンと出して今まさに赤子を産み落とそうとしていたわけじゃないんですけど、なんかどうしようもないくらい右往左往してるんですよ。

「あ、すいません」

とかムチャクチャ焦りながら言ってるんですよ。みっともないくらいに汗かいて右往左往しながら。いい歳したオッサンが。

なんかね、気持ちよくウンコをしたのはいいけど、流れなかったらしんいんですよ。何度レバーを押してもチロチロとしか水が流れてこない。大きなブツを流すにパワーが足りない。そんな緊急事態だったらしいです。

あー、すっきりしたー。と用を足してトイレを出ようとした、そしたら水の音がジャーーーっとなるはずなのに、チロチロと小川のせせらぎのような音しか聞こえない。こりゃまいった、とドアを半開きの状態にして便器へと引き返した、そういうことらしいです。

しかしながら、何度レバーを倒してもオマケ程度の水しか流れてこない。自分が産み落としたブツは動かざること山の如し。それでもうメチャクチャ焦っちゃったんでしょうな。そこに僕が入ってきてウンコは見られるわ、ウンコを流すのに必死の姿を見られるわでさらに焦りが増幅したと。

そんな流れないウンコなんて放置しておいて、サッサと外に出てしまえばいいのに、根っから人が良いのでしょうな、このままでは次の人に精神的核爆弾を放ってしまうことになる、何とか流さなくてわ!と必死になったのでしょうな。ホント、世の中ってのは良い人が苦労するようにできてます。

「すいません、今すぐになんとかしますんで」

と、親子ほど年が違いそうな僕に言い放ち、必死にレバーを倒す中年男性。何度も何度も狂ったように。その光景は見ていて非常に痛々しい。しかもなんか、備え付けてあったトイレをシュッポンシュッポンするヤツとか持ってたからね。

いやいや、排出部が詰まって流れないとかならそれもクリティカルに効くだろうけど、いくらなんでも水の流量の少なさにそれは効かんだろ。とか冷静な僕なんかは普通に感じるんですけど、焦っちゃって大パニックして右往左往のオッサンはそれにすら気がつかない。ホント、焦っている人間って見てて滑稽だよね。

結局、小川のせせらぎでオッサンのメリケンクラスのビッグな物が流れるのを待っていた僕は、下手するとマジでまたノグソする5秒前でした。まあ、思った以上に焦るオッサンが面白かったからいいけどね。焦る人間はこの世で最高のエンターテイメントだと言い切れるほどに面白かった。

とにかく、例えどんな状況においても冷静でいたいものですな、そう思わせてくれる事件でした。

さてさて、話は変わりますけど、1週間に渡ってお送りしたサンクスヌメラーズウィーク2、お付き合いいただきありがとうございました。なんか今回は色々と大変なことが多くて死にそうでした。

特に大変だったのが、自分のマイパソコンが存在しなかったこと。僕は7月くらいに自ら所有するバイオノートをぶっ壊してしまったわけで、家で使えるパソコンがなかったのですよ。

でまあ、苦行としか思えないサンクスヌメラーズウィークを乗り切るにはどうしても家庭で使えるパソコンが必要じゃないですか、いつものように職場マシンから更新とか無理っぽいじゃないですか。特にラジオなんて家じゃなきゃできない。なんとかして家で使えるマシンを用意せねば。

そんな状態で僕が取った行動は、「職場のノートパソコンを家に持って帰る」というものでした。6月くらいに職場で購入したノートパソコンがあるんですけど、これが出張先などでプレゼンをする時用に購入したマシンでして、機動力とバッテリ持続時間に重点を置いて購入したんですよ。それでまあ、そのマシンは出張の際にしか使う機会がないですから、ずっと職場のロッカーで眠っていたのですよ。

もう、それを使わない手はないじゃないですか。そんな有効資源を眠らせるようなことできないじゃないですか。それでまあ、それをコッソリ持ち帰って更新に使うことを決意したんです。

ラジオ放送用のアプリをインストールしたり、Numeri関連のファイルをコピーしたり、職場のマシンの画面でNumeriって文字が躍ってるのは死に近い違和感があるのですけど、背に腹は変えられません。なんとか必死に準備をしたわけなんです。

職場ノートパソコンは良く働いてくれました。24時間ぶっ通しのラジオにも耐えましたし、一部は違うマシンでやりましたが連続更新にも耐えました。そりゃあもう、慣れないマシンでするのは大変でしたが、前のノートパソコンより上位スペックのマシンでしたから、なかなか快適に使わせていただきました。

昨日の連続更新を終え、サンクスヌメラーズウィーク2の日程を全て終えた僕は、職場から帰宅しつつステディに電話をしました。そして、その後は今回頑張ってくれた職場ノートPCを労ってあげたのです。

お前もよく頑張ってくれたな、ありがとう

って風呂上りに皆から頂いたご苦労様メールなんかを読みながら、職場ノートPCを労ってあげたんです。それでまあ、ちょっとムラムラっていうか、村村みたいなエロスな心が湧き上がってきましてエロサイトとか見てたんです。我慢し切れなくてアナログ回線なのにエロ動画とかダウンロードしてたんです。

その瞬間ですよ

プッツーーーン

とか妙に軽快な音がしやがりまして、電源が勝手に電源が落ちやがったんですよ。まるで働き盛りの中年サラリーマンが突然死するみたいに突然電源が落ちやがったんです。職場のマシンの電源が。

しかも再起動したら真っ青の画面で、変なアラビア語みたいなのが延々と出てるんですよ。アラビア語ばかりでWindowsXPが全く起動しない。というか、アラビア語ならまだいいんですけど、何回かやってたら起動すらしなくなりましたからね。

ま、まさかーー!

バ、バカなーー!

とか、連続更新を終えて疲れているにも関わらず、アパートの部屋で大声で騒いでましたからね。マジでこの世には神も仏もいないと思った。

職場のノート、買ったばかりの職場のノート、勝手に持ち出して私用で使っている職場のノート。それがご臨終です。ええ、いとも簡単に天へと召されていきました。

「なあ、嘘だろ。嘘って言ってくれよ。なあ」

とか、ウンともスンとも言わないパソコンに向かって語りかけてましたからね。最愛の恋人を失った瞬間の人みたいになってましたからね。

水風呂ラジオ中継がよくなかった。24時間以上起動させっぱなしで、おたふく風邪の幼児より熱を持たせたのがいけなかったか。それとも、興奮した僕がお茶をこぼしたのがまずかったか。

まずい、さすがにこれはまずすぎる。勝手に持ち出しただけならまだしも、買ったばかりのマシンだぜ。こりゃ打ち首もんだろ。なんてムチャクチャ焦っちゃってさ、意味わかんないんだけど、ドライバー持って右往左往してた。ノートPC半開きにして右往左往してた。

ドライバーなんか持ったって自分で直せるわけないじゃないですか。異様に分解して取り返しのつかないことになるだけじゃないですか。さすがにそれは己の首をさらに絞めることになるって気がついて止めたけど、とにかくパニックになって右往左往してた。

そんなな、誰だって焦るちゅーねん。こんな状況で逆に冷静なヤツの方が頭おかしいわ。冷静に「ふっ、壊れたか」とか言えるヤツがいるなら連れて来い。誰だって焦るっちゅーねん、パニックにもなるっちゅーねん。自殺も考えたわ。

でもまあ、さすがそこは冷静の申し子であるpatoさん。数時間後にはキッチリ冷静さを取り戻していましたよ。冷静に冷静に、なんとか現状を打破する手段を考えてました。

そして思いついたのが「さよならだけどさよならじゃない作戦」。確かに職場マシンは天に召されてサヨナラしました。勝手に持ち出したマシンは極度に虐待されてサヨナラしました。けどね、それは本当のサヨナラじゃないんですよ。なんというか、起動はしないものの、あのマシンはいつまでも僕らの心の中で生き続ける、そういうことなんですよ。そう、さよならだけどさよならじゃない。僕の心の中で生きている。いつかきっと再会できるさ。

っていうかですね、ただ単にコッソリと修理に出すっていう手法を思いついただけなんですけどね。いやいや、だって、さっきも書いたとおり出張時に出先でプレゼンをするように買ったマシンですよ。そんなもん、使う機会なんてムチャクチャ少ないに決まってるじゃないですか。

現に6月に購入してから1回くらいしか公式の場面では使われてませんからね、後はオフに持っていかれたりヌメラーズウィークに使われたり、そういった僕の私用がメインですからね。そうなってくると、修理が終わるまでバレない可能性が格段に高い。

なんだ、一安心じゃないか。こりゃあ焦って損したわ。急に強気になった僕は疲れてたこともあってか深い深い眠りにつきました。

そして、朝も元気に起きて出社。「オッハー」とか桁違いに時代遅れの挨拶をして職場へと入りました。その瞬間ですよ。ウチのウンコ上司のヤロウが開口一番。

「おう、ワシあさって出張だから。プレゼンであのパソコン使うから準備しといてくれや。パワーポイント使うから」

とか、北の将軍様よりムチャクチャなこと言い出すんですわ。居直り強盗みたいなこと言い出すんですわ。

もうその言葉を聞いた瞬間に僕はパニックルームですよ。っていうか、なんでこんなタイミングで出張行くんだよ!オメーは!って逆ギレしたいほどだった。上司をはじめ職場の面々を狂ったように撲殺したいほどだった。

で、「あわわわわわわ」と焦ってしまった僕は、ただただ黙ってうつむくしかありませんでした。まさか、「あのマシンは僕の心の中で生きてます、さよならだけどさよならじゃない」とか言うわけにもいかない。ただただ黙って、自分の靴の先っぽを見るしかありませんでした。

というか、パニックになって焦って右往左往するのはまだ余裕がある証拠。見てても笑えるしね。真に深刻なのは、焦ってるけど身動き一つ出来ない状況、それだと思うよ。右往左往するうちはまだまだ甘ちゃんな緊急事態ってこった。わかったか、坊主ども。

っていうか、パソコンどうすんべ。


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