Numeri

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 2003-7月

7/31 風俗ゲームVSヘルスズキ後編

7/30 風俗ゲームVSヘルスズキ前編

7/29 Starting Over

7/28 テクノロジー哲学

7/26 オプティ2

7/25 オプティ

7/24 Wait & See 〜アナル〜

7/23 大阪ストラット

7/20 Numeri日記の作り方

7/19 クレイジー企画

7/18 最狂親父列伝〜愛情編〜

7/17 オフ会の予約

7/16 女の子の不思議

7/15 ダメ人間

7/14 ドライバーズ

7/13 ありえない

7/12 ーメン

7/11 Numeri7不思議

7/10 オチツキ

7/9-2 メリケン波止場

7/9-1 patoさんの悩み 2nd Ed.

7/8 眠れぬ夜は君のせい

7/7 ユニオンジャック

7/6 出会いと別れ

7/4 終わりなき賃金闘争

7/3 ミケちゃん

7/2 Numeri日記人気投票

7/1 麻雀


2003

6月の日記はこちら

5月の日記はこちら

4月の日記はこちら

3月の日記はこちら

2月の日記はこちら

1月の日記はこちら

2002

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11月の日記はこちら

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9月の日記はこちら

8月の日記はこちら

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2001

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過去の出来事

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7/31 風俗ゲーム VSヘルスズキ 後編

-前回までのあらすじ-
2003年7月、Xデーは突如訪れた。平穏な朝を突き破るかのようにオフィスに現われたB子は、人体実験に失敗した生物のように失敗パーマを見せつけてくれた。その様はバイオハザードと言う他ない。

カリフラワーの化け物B子の勢い留まらず、燃え盛る炎のようにオフィス内を闊歩するB子。それだけなら見なかったことにすればいいのだが、ヤツは途方もないことを言い出した。

「鈴木君を尾行して欲しい」

秘密のオフィスラブ、同僚達に内緒で毎夜愛の短歌を詠みあげていたB子とヘルス大好き鈴木君、ヘルスズキであったが、悲しき愛のすれ違いが起こったのだ。

彼はもしかしたら未だに風俗店に通っているかもしれない。未だに私以外の別の女にチンコをチュパチャプスされているかもしれない。彼のことは信じている。でも、疑い出したらキリがない。全てが怪しく懐疑的で、何も信じられない。愛するが故に人は人を傷つける。愛故に人は狂い、また狂うが故に愛が存在する。

どうかその目でヘルスズキが風俗店に入る瞬間を見届けて欲しい。どうか、ぐうの音も出ない証拠を掴んできて欲しい。ゴリラのようなB子は、その瞬間だけ瞳を濡らし、まるで乙女のように儚く呟いた。宝石のような涙を頬に伝わせて。

「まかせておけ」

鈴木君のプライバシーや人権を考えると、ここは尾行すべきではない。それは僕にも分かっていた。しかし、あまりに純粋なB子の「ヘルスズキへの愛」に触れてしまった僕は、なんとか二人に幸せになって欲しい、このまま結婚しておぞましい子供を設けて欲しい、といった想いから、尾行を引き受けたのだった。全ては二人のため。

ターゲットが風俗店に入るまでを尾行しまくる「風俗ゲーム」。今回は同僚がターゲットという悲しきステージであるが、プロフェッショナルに徹する僕は、それでも尾行を開始するのだった。愛情と友情、憎しみと疑惑、全てがパッションライトのように交錯する中、悲しき風俗ゲームが今始まる。

良く分からないと思うので、詳しくは前日の日記をお読みください。

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軽い足取り、今にもスキップしそうな足取りでヘルスズキは歩いている。時間は午後7時。もう夏が近いためか、この時間になっても空は薄っすらと明るい。

「こう明るいと尾行も大変だな」

いつもなら見知らぬ人間を相手に尾行をするのだが、今回は勝手が違う。職場の同僚、モロに顔見知りなのだ。下手な尾行をしようものなら、一発でバレてしまう。慎重に慎重に尾行を遂行する必要がある。

そんな想いとは裏腹に、駐車場へと向かうヘルスズキの様子はアホそのもので、全く周囲を気にせずルンルン気分でマイカーへと向かってる。まさか、恋人であるB子の依頼で、同僚の僕が尾行しているなんて夢にも思わないんだろな。

マイカーに乗り込むヘルスズキ。彼が出発の準備を整え、駐車場から飛び出したのを確認した後、負けじと僕も自分の車に乗り込む。さあ、ここからが正念場だ。決してバレぬように尾行を行わなければ。

県道を少しスピードオーバー気味に走るヘルスズキのスターレット。そこから2,3台ほど一般車両を挟んで僕の車が走る。車同士での尾行は初めてだが、これならばなんとかバレずに済むだろう。

ここでほのかな期待が僕の頭をかすめる。もしかしたら、いくらヘルスズキといえども、そこまでヘルスに行ったりしないんじゃないだろうかという考え。確かに彼は、未だに禁を破ってヘルスに行ってるのは確実なんだけど、それ即ち今夜ヘルスに行くというわけではない。

もしかしたら、今日はたまたま乗り気じゃないとか見たいテレビがあるとか、そういった理由でヘルスに行かず真っ直ぐ家に帰る可能性だってあるわけだ。そうなってくるとなんとも好都合。

時間を割いて尾行をしなくてもいいし、真実を報告してもB子とヘルスズキの関係にヒビがはいるわけでもない。そう、全てが丸く収まる可能性だってあるわけだ。

「できればこのまま真っ直ぐ家に帰って欲しい、そうするば全てが丸く収まる。頼むこのまま家に向かってくれ」

ハンドルを握りながらそう懇願する僕の想いとは裏腹に、何のためらいもなく風俗街へと一直線のヘルスズキのスターレット。光る矢の如く風俗街へ一直線。

「やっぱ行くのか、どうしようもないヤツやな」

どうしようもないとは分かっていながら、それでも尾行をしなければならない僕は、ただただヘルスズキのスターレットを追って運転するのみだった。

数十分後。予定調和の如く当たり前に風俗街へ到着したヘルスズキのスターレット。薄ら明るかった空も夜の帳が落ち、なんともいえぬ隠微な雰囲気を醸し出していた。沢山の風俗店がひしめきあう中四国地方最大の風俗街は、ネオンの光がなんとも狂おしい。

さすがヘルスズキ。そこはこの風俗街の常連らしく、バッチリと自分だけの秘密の路上駐車OKポイントを確保していた。そこに当たり前のように車を止め、ネオン街へと歩を進めるヘルスズキ。その姿はまさに風俗街のヌシ。右も左も、表も裏も熟知した風俗街の貴公子。ホント、活き活きしてたもんな。

さすがにもう、ここまで来てしまったら、ヘルスズキがヘルスに行くことは確定で、それをB子に報告すればいいだけの話なんだけど、B子からの依頼は「なんという店に行ったのかバッチリ証拠を」というもの。ならばまだまだ尾行する義務がある。

さすが夜の繁華街、通りにはタクシーが溢れ、呼び込みの怪しげなオッサンや飲み屋のねーちゃん、沢山の通行人が溢れかえっている。それを掻き分け一直線に歩いていくヌシ。僕も長いこと風俗ゲームで沢山の剛の者を尾行してきたけど、ここまで堂々と闊歩してたヤツってのは記憶にない。とにかく、僕も人ごみをクロールで必死にかきわけ、ヘルスズキからはぐれない様、バレぬ様に必死で尾行するしかなった。

それにしても、なんと悲しき尾行だろうか。いくらなんでも、同じ釜の飯を食った同僚を尾行するなんて悲しすぎる。以前に、神戸は三宮で上司を尾行し、信じていた威厳ある上司が風俗店に入るのを目撃してしまった思い出、あの悲しき思い出が鮮烈に蘇る。

なんで、僕らは疑い合ってしまうんだろう。

恋人であるヘルスズキのことを信じられないB子。そして、B子の愛情に応え、ヘルス通いを止められないヘルスズキ。どうして人は傷つけあい、その傷を舐めあい、また傷つけ合ってしまうんだろう。どうして疑い合い、探り合ってしまうのだろう。

ヘルスズキを尾行する僕の頬には、一筋の涙が流れていた。

そんな僕のセンチメンタルな思いなんか何処吹く風で、一直線にヘルスへと入店するヘルスズキ。まるで自宅の門をくぐるかのようなナチュラルさでヘルスへと入店するヘルスズキ。もう、客とかそういうレベルではなく、この店の関係者なんじゃねえの?と言わんばかりの入店っぷりだった。

「やっぱりか・・・」

あまりに予想通りの結末とはいえ、なんとも釈然としないものがある。彼はやはりヘルスに行っていたのだ。B子の愛情やら信頼やら、そういうのを一切無視し、それでも彼はヘルスに魅せられていたのだ。

悪いけど、僕は余り器用な方ではない。なんとか二人の仲が丸く収まるよう、B子に提出する報告書には「ヘルスには行かず、家に直帰でした」と書くことも出来るのだが、あいにくそこまで器用ではない。嘘を書こうものなら必ずボロが出てしまうだろう。

依頼してくれたB子の信頼に報いるため、僕には真実を記載する義務がある。ヘルスズキに裏切られてしまった今、彼女の信頼に応えられるのは僕しかいないのだ。僕すらも彼女を裏切ってしまうわけにはいかない。

「PM7:55 ヘルスズキ「PRIDE(ヘルスの店名)」に入店。40分11000円のコースと予想される。」

とメモ用紙に記載しておいた。

さて、予想通りヘルスズキはヘルスに行った。入店する瞬間の後姿も携帯のカメラで撮影した。あとはプレイを終えたヘルスズキを家まで尾行すればこの仕事も終わりだ。なんとも後味の悪い結果だけども、僕には事実を伝える義務がある。なんとも心苦しいけれども、僕には事実を伝える義務がある。

ヘルスズキがヘルス店内でプレイ中、僕はジッと店の前で目立たぬように待っていた。ヘルスズキが店内で若いギャルにチンコをチュッパチャプス。そうしている間にも、僕は孤独に店の前で仁王立ち。なんともやるせないものがある。

「PM8:50 ヘルスズキ「PRIDE(ヘルスの店名)」から退店。満足げな表情」

およそ一時間近く経過した後、ヘルス店の重厚なドアが開き、中からご満悦な表情のヘルスズキが出てきた。なんとも満足なプレイだったのだろう。次の日には報告を受けたB子にとっちめられるとも知らないで、なんとも幸せそうな表情だ。

さあ、後はヘルスズキが家に帰るまで尾行だ。

様々な思いを振り切り、再度ヘルスズキの尾行を開始する。来た道をまたもやヌシのように闊歩するヘルスズキの10メートルほど後ろを目立たぬように追跡する。

前を行くヘルスズキが、不意に角を曲がる。このまま駐車しているポイントまで戻り、家に帰るだけかと思われたヘルスズキが、不意に角を曲がる。何事かと驚いた僕も、急いでその角を曲がる。そして僕は、そこでとんでもない光景を目の当たりにすることになる。

「うわっ!鈴木さん!そりゃないっすよ!」

なんと、鈴木はまたも別のヘルス店へと入店して行ったのだった。ヘルスのはしご。ヘルスの二輪車。さっきチュッパチャプスしてもらったのに、その五分後にはもう別の店へ。

「PM9:02 ヘルスズキ「エロティカナントカ(ヘルスの店名)」へ。どうやらハシゴする気のようだ」

一店舗ヘルスに行っていたという事実だけで、B子によって地獄を見せられるのは確定なのに、それが2店舗連続となるとどうだろうか。もしかしたらヘルスズキ、B子に殺されちゃうんじゃないだろうか。

またも、ヘルスズキがプレイ中、ヘルスズキの命日を予想しながら店の前で佇むのだった。

「PM9:37 ヘルスズキ「エロティカナントカ(ヘルスの店名)」から退店。イマイチといった表情」

ここらはもう、「ヘルスズキ恐るべし」と言うほかない。僕の予想の遥か上をいく孤軍奮闘の神懸り的な益荒男ぶり。

「うわ!鈴木さん、そりゃないっすよ!」

「PM9:40 ヘルスズキ「ナースナントカ(イメクラの店名)」へ入店。割引券持参の様子。3店目」

「やりすぎですってば!」

「PM10:55 ヘルスズキ「EVE(イメクラの店名)」へ入店。セーラー服でbのイメージプレイをご所望の様子(情報館の店員の証言)。4店目」

「もう堪忍してください、鈴木様!」

「PM11:22 ヘルスズキ「裸の王様(ヘルスの店名)」へ入店。もはや正視できない。5店目」

「誰かおらぬか!誰か麻酔銃を持てい!もはやヤツの動きを止めるにはそれしかあらぬ!」

「PM11:30 ヘルスズキ「金の玉子(ヘルスの店名)」へ入店。締めと言わんばかり。6店目」

あり得ない。

1夜にして実に7店の風俗店をハシゴ。怒涛の風俗ラッシュ。どう少なく見積もっても金額にして8万円は一晩で使い切っている計算。その姿はまさに現代の風・林・火・山。どういう家庭で育ったらこんな軍事大国みたいな傍若無人な真似ができるんだ。いくらヘルスズキと言っても、これはあまりにやりすぎ。

1店舗のヘルスに行っていたというだけでも大変な騒ぎ、2店舗で生命の危機であることは想像に容易いのに、6店舗となるとどうなっちゃうんだろうか。怒り狂ったB子に戸籍すら抹消されるんじゃないだろうか。もう他人事ながら心配すぎて見てらんない。

結局、6店舗をハシゴし、最後に吉野家で牛丼を食べて締めたヘルスズキは、深夜一時に岐路へとついた。ヘルスズキが部屋へと帰宅したのを見届けた僕は、その足でオフィスへと舞い戻り、B子に提出する様の報告書を作成。文中で青文字で示した文章をそのまま報告書とし、さらに証拠として携帯カメラで撮影した入店の瞬間の画像(6枚)を添付しておいた。

さすがに、6店ハシゴの様子を列挙すると相当なもので、怒り狂ったB子にヘルスズキが殺されることは確定としても、下手したらこっちまでとばっちりが来る可能性がある。

そこで、確かに彼は6店舗もハシゴし、前代未聞の風俗大車輪を見せてくれたけど、他にも心優しき良いところもあるんだよ、ということをアッピールするため

「帰り際、道端に捨てられた捨て猫に同情したヘルスズキは、その猫を抱き上げて優しく優しく撫でていた。おまけにコンビニでソーセージを買って与えていた。その優しさに調査員はいたく感動した。どうか彼の罪を減刑してやって欲しい。」

と捏造された事実を書き加えておき、そのままB子に提出した。

それを読んだB子は、子猫に関する記述など関係なしに怒りに打ち震え、特に「6店舗ハシゴ」というのが予想以上の惨劇だったらしく、みるみると失敗パーマのカリフラワーが逆立っていた。プルプルと怒りに打ち震えていた。下手したら肌が緑になってハルクみたいになるんじゃないかと思うほどだった。

その後の惨劇は、とても残酷すぎてココに書き記すことは出来ない。ただ、端的に判明している事実を羅列すると、

・怒りに打ち震えたB子は、僕が涙を流しながら調査した報告書を破り捨てた。

・次の日、なぜかヘルスズキは眼帯をしていた。

・土下座させられたらしい。

・「何でバレたんだろ、あはは。行った店まで全部ばれてるの」と笑うヘルスズキの瞳を直視できなかった。

・次ヘルスに行ったら死にます、と命を賭けた約束をさせられたらしい。

・証文まで書かされたらしい。

・それでも懲りずに行ってるらしい。

・けれども相変わらず二人は仲良しで、昼休憩には二人で乳幼児の頭部ぐらいありそうなオニギリを隠れてコソコソと仲良く食べている。

恋する男と、その女の美学は良く理解できないけど、こんな後味の悪い、同僚を売るような風俗ゲームは、できれば二度とやりたくないものだ。

・ちなみに、報酬の焼肉は未だに受け取っていないし、そんな話が微塵も出てこないのが気になるところだ。

風俗ゲーム VSヘルスズキ おわり


7/30 風俗ゲーム VSヘルスズキ 前編

いやー、参った参った。

何が参ったってB子のヤツですよ。我が職場のマッスル事務員B子。女性であり、しかも20代前半というフレッシュ盛りでありながら筋肉隆々、腹筋もおそらく6つに割れており、しかもアゴが割れてるB子ですよ。

これまでに、このB子のあり得ない大暴れについてNumeri日記でも多数報じてまいりました。女性なのに16ポンドのボウリング玉を軽々と投げ、しかも180というハイスコアを叩き出したり、バレンタインチョコを貰ってないのにホワイトディには返せと大暴れしたり。とにかく未曾有の大暴れ、獅子奮迅の大暴れで御座いました。

そんな、我が職場のトラブルメーカーおよびヘラクレス事務員ことゴーレムB子ですが、つい先日、こんな事件を巻き起こしてくれました。

週明けの月曜日、ガツガツガツ!と採石場のような途方もないハイヒールの音を響かせてB子が出社してくる。

「おはよーございますぅー」

元気良く職場のドアを開け、意気揚々と出勤してきたB子のいでたちは、まさに異様、異様、異様。異様以外表現しようがないほどトリッキーなスタイルを見せつけてくれた。

いやな、何をトチ狂ったのかしらねえけど、B子のヤツ、頭にパーマネントをあててやがるんですよ。あのゴーレムB子がパーマネントですよ。成功パーマならまだしも、明らかに失敗パーマですよ。

その姿はまさにカリフラワーをかぶったゴリラだとかピグモンだとかいった表現が適切で、僕がジャングルをさ迷っていてこんな生物に出くわしたら間違いなく麻酔銃で撃つ、そいでもって野生動物保護局に連絡するね。それほどにありえないパーマだったよ、B子のパーマネントは。もう、小さい子供とか見たら泣いちゃうんじゃないだろうか。

でまあ、明らかにウケを取りにきてるとしか思えないんですけど、やっぱ僕らって心優しいではないですか、なんというか、女性を立てる英国紳士ではないですか。だからね、他の同僚どもは

「あらあら、けっこうなパーマネントですこと」

と言わんばかり、遠まわしにB子の飛び道具としか思えないヘアースタイルを褒めちぎってやがるんですよ。「すっごく似合ってる」とか心にもないことばかり言ってやがるの。確かに野性的に似合ってるちゃあ似合ってるんだけど、いくらなんでも誉めるとかあり得ないから。

でまあ、みんなが心にもないお世辞で誉めるもんだから、B子のヤツも調子ぶっこいちゃって、「そんなに似合う?ウフフ」とかおぞましいポージングで言い放ったりするんですよ。誰か麻酔銃もってこい。

失敗パーマという十字架を背負ったB子が、まるで天真爛漫な小娘のようにオフィス内を「うふふ、パーマかけちゃいました」と闊歩する様はまさに地獄。カリフラワーの化け物が暗躍する地獄のマンデーオフィス。誰か麻酔銃もってこい。

でまあ、僕としましては、あまりに調子に乗りまくるB子に、少し引き気味にその様子を見守るカス同僚どもなんて関係なく、仕事の鬼と化してパソコンに向かっておりました。エクセルだとかワードだとか開いて、もうブリブリとビジネス資料を作成しておったんですわ。

そしたら、

「patoさん、ちょっとよろしいですか」

とか、すごく進化した食虫植物みたいな頭したB子が接近してくるではないですか。メデューサみたいな頭したB子が接近してくるではないですか。やばい!石にされてしまう!と逃げようとした瞬間には時既に遅く、もはやB子から逃げられないような状態になってました。ヘビに睨まれたカエルみたいになってた。

「実は、ちょっと相談したいことが・・・」

ハッキリ言って、B子がこうやってシリアスに話しかけてくる場合、ロクなことがありません。アホのように面倒な仕事を押し付けられたり、生理用品を買いに行かされたりするのが関の山です。ですから、僕も少し物怖じしながら

「う・・・うん・・・なに?」

とか、少し乗り気でないことをほのめかしながら返答したんですよ。けれども、カリフラワーをかぶったゴリラはそんなことはお構いなしに自分の話を進めるんです。

「実は・・・鈴木さんのことなんですよ・・・」

鈴木さんとは、我が職場の同僚であるヘルス大好き鈴木君、略してヘルスズキ君のことです。彼は三度の飯より風俗好き、ヘルス好きで、「俺、死ぬ時はヘルスでって決めてるんだ」などと何のためらいもなく言ってのける豪傑です。

そんな風来坊のような風俗好きでありながら、このマッスルボマーB子と内緒でオフィスラブをするという、神をも恐れぬ男です。荒ぶる神々のように「女なんて穴があればいいんだぜ」と言わんばかりにヘルスにB子に大車輪。ホント、チンコに脳みそがあるような男なんですよ。

で、どうやら、B子さんはステディであるヘルスズキのことで悩んでいる。相談しようにも内緒のオフィスラブで、彼らの関係は僕しか知らないと言う状況。だから仕方なく僕に相談してきたのだと思います。ホント、損な役回りだ。

「鈴木さんなんですけど・・・もしかしたら、またヘルスに行ってるんじゃないかと・・・」

B子さんと付き合う際、ヘルスズキは風俗店などには行かないと誓ったそうです。彼女がいるのに風俗なんか行くもんか、とあのヘルスズキが言ったそうです。

なのに、その約束も守らず、B子をほっといて風俗三昧のヘルスズキ。その傍若無人な振る舞いにB子さんはいたくご立腹してるらしいのです。

「行ってる可能性は高いと思うんですよ。いつも夜遅くまで帰ってこないし、お金の減りが早い。しかもなんか、彼のパソコンのブックマークって、未だに風俗店のホームページばかりなんですよ」

などと神妙に言うB子。その真剣さは相当なもので、ヘルスズキから直接、「へへ、今日もヘルス行ってくるから早帰りな、予約してるんだ」といった言葉を聞いている僕ですら、「うん、絶対に行ってるよ」などとは言えない雰囲気でした。言おうものなら勢い余って僕が殺されるに違いない。

「もしかしたら、昔に通ってた癖が抜けず・・・今でも行ってるかもね・・・」

と僕も無難な返答をするんですが、

「でも!あの人約束したんですよ!それなのに!それなのに!」

とか僕の首を千切りとらん勢いで猛烈にタックルしてくるんですよ。戦国時代の武将みたい殺気で迫り来るB子。カリフラワーゴーレムが、血走った目で猛烈に突進ですよ。ホント、殺されるかと思った。

「ほら、でもさ。やっぱ今でもヘルス行ってるって証拠がないじゃん。証拠がないことにはどうしようもないよ。本当は行ってないかもしれないしさ」

とか、我が身かわいさから言っておりました。間違ってもヘルスズキの肩を持つとかそういった発言ではなく、こうでも言わないと間違いなく殺される、そう思っての発言でした。

「そこなんですよ!問題は証拠なんですよ!」

と待ってましたと身を乗り出すB子

「でしょ、証拠が必要だよ」

と、僕もそれに応じます。

「だから、patoさんが証拠集めてきてくださいよ」

は?

いや、ちょっと待って。何で僕が、君らカップルのために探偵みたいな真似をしなきゃならないの。何で僕がそんなことしなきゃならないの。とか思うのですが、B子の勢い止まらず。ブレーキの壊れたダンプカー、ノンストップ超特急B子はさらに続けます。

「だから、今夜にでも退社する彼を尾行してください。それで、ヘルスに行ったのか、行ったのなら何という店にいったのか、それを詳細に報告してくださいよ」

とかムチャクチャなこと言い出すんですよ。

さすがにこれって、ヘルスズキのプライバシーの侵害ではないですか。それに、いくらB子の頼みやら脅迫とはいえ、同僚である鈴木君を売るような真似できないじゃないですか。いくら僕だって、ちょっとぐらいの義とか任侠を重んじるってなもんですよ。

「冗談じゃない、断る。そんな同僚を、友人を売るような真似できるか。姑息にコソコソ尾行なぞ、そんなことしてられるか、ワシャ忙しいんだ!」

もうね、毅然と言ってやりましたわい。B子に掴まれて乱れた襟を正しながら、毅然と言ってやりましたわい。全ては同僚を守るため、全ては親友をかばうため、猛獣と化したB子に果敢に立ち向かう僕。ホント、この時の僕はムチャクチャ男前だったと思います。誰が好き好んでそんな姑息な真似するか。ホント、同僚を売るような真似できるかってんだ。考えて物言え、このカリフラワーめ。

「尾行し報告書かいてくれたら、お礼に焼肉かお寿司でも奢ろうかと思ったんですけど・・・」

「で、決行はいつなんだい?今夜かい?」

「ええ、今夜はワタシ、彼の部屋には行かず自分の家に帰ることになってるんです。それに銀行でお金を下ろしてましたから、今夜絶対に行くと思うんです」

「わかった、任せとけ」

「よろしくおねがいしますね」

「うん、焼肉もよろしくな」

「はい」

などと、鈴木のプライベートや人権など焼肉より軽いわ、と言わんばかりにトントン拍子で話がまとまったのでした。

こう見えても、僕は風俗ゲームのプロプレイヤーです。海千山千の剛の者相手に、彼らが風俗店に入るまで尾行しまくってきた男です(風俗ゲーム参照)。普通に考えて、ヘルスズキを尾行することなど容易すぎる。

「じゃあ、おさきにー」

ウキウキ気分で退社するヘルスズキ。僕はB子とアイコンタクトを交わし、ヘルスズキの尾行を開始するのでした。オフィスを出る際、朝以上にB子のカリフラワーが逆立っていたのに気がついた僕は、失敗は許されない、失敗したら殺されるに違いない、と武者震いが全身に襲いかかってきたのでした。さあ、風俗ゲームの始まりです。

風俗ゲーム番外編-VSヘルスズキ-長くなりすぎたので続く。

次回予告
「うわ!鈴木さん、そりゃないっすよ!」
「やりすぎですってば!」
「もう堪忍してください、鈴木様!」
阿鼻叫喚。僕の魂の咆哮が風俗街にこだまする。乞うご期待!


 

7/29 Starting Over

「patoさんは、どうしてアイドルマニア、エロビデオマニアなんですか?」と答えに窮する質問を頂くことがある。確かに僕は、将来は形見の反物を質に入れ、泣き叫ぶ妻を蹴ったくってでもアイドルのコンサートに行くことがほぼ確定しているオタクだが、さすがにこの手の質問は、「どうして生まれてきたのですか?」と同程度に抽象的過ぎる。いくらなんでも答えれるはずがない。

「何でアイドルマニアなんですか?」「この世にアイドルしか信じられるものがないからさ」などと返答できればハードボイルドでカッコイイのだが、いくら僕でもそれはあり得ない。

やはり世に数多く存在する多分野でのマニア。そのマニアである理由を説明できないのはどの業界でも同じではないだろうか。気付いたらマニアだった。いつの間にかマニアだった。あれ?僕ちゃんマニアだよ。そんな返答が一番多いような気がする。

マニアであることに理由なんていらない。マニアになるべくして生まれたんだ。そのキッカケなんて知らないさ。やはり、あらゆる方面でのマニアというのは、無骨でハードボイルドな人種なのかもしれない。

ところがどっこい、僕がアイドルマニアであり、エロビデオマニアであることには、実は正当な理由があったりする。この馴れ初めを聞いてしまえば、誰も納得せざるを得ない、そんな理由があるのだ。

抽象的過ぎて答えられるはずがないと思われた冒頭の質問。今日はちょっと、その質問に答えるべく、僕がマニアになった切欠となるエピソードについて語ってみたいと思う。

小学校時代の僕。小さな僕は小さな恋を経験した。

我が家の近所には、小さな小さな学習塾があり、夏期講習と称して近所の子供たちが大勢集められていた。勉強が好きなわけでもない僕だったが、やはり友人どもが多数集結する学習塾は魅力的で、なんとも通いたかったのを今でも思い出す。

歴史的に貧乏だった我が家に学習塾代を捻出する余力などなく、その台所事情を知っていた僕も、「塾に行きたい」などとは口が裂けても言えなかった。

手に入らないことが分かると余計に欲しくなる。手が届かないものほど欲しくなる。それと同じで、通えない学習塾にも何とも通いたくなったものだった。

それになにより、仲の良い友人たちは皆こぞってその学習塾に行ってしまい、いつもいつも孤独に弟と遊んでいた。

それでもやっぱり憧れの学習塾に触れていたかった僕は、遊び場を学習塾横の空き地に移動させたのだ。これで魅惑の学習塾をいつも隣に感じられるし、塾を終えた友人たちも遊びに合流しやすくなる。なんとも一石二鳥の遊び場だった。

友人たちが学習塾で勉強している最中、僕と弟はその横の空き地で遊んでいた。木の枝を剣に見立て、雑草をシュバシュバと刈り取ったり、無抵抗な弟相手にプロレスゴッコをしたり、時には弟にとんでもない角度でパワーボムを決めたりしたものだった。夏の日差しを一身に浴び、日が暮れるまで学習塾横の空き地で遊んでいた。

いつものように空き地で遊んでいたある日のこと、学習塾の方から熱烈な視線を感じた。学習塾は広大な敷地を誇る庭に建てられた離れで催されていたのだが、その母屋部分、さらには二階のほうから視線を感じたのだ。

見ると、窓からひょこんと顔を出して、こちらを覗いている女の子がいた。しかも、天使のようにカワイイ子だった。

歳下だろう、小学校2,3年くらいの幼い女の子は、クラスで1番カワイイと言われるリエちゃんなんか勝負にならないくらいかわいかった。普通、小学生くらいのクソガキだと、歳下の女子には興味を示さないことが多いのだけど、そんなの関係ないくらいに一瞬で恋に落ちた。いわゆる一目惚れというヤツだ。

母屋の二階から覗いているということは、学習塾の生徒ではないな。

あの家の子供なんだろうか。

でも、あんな子、学校で見たことないぞ。

あそこの家の子なら、同じ学校に通ってるはずだ。

それよりなにより、近所にあんなカワイイ子がいるなら、今まで気がつかないはずがない。

どうしよう。気になる、気になってしまう。

もはや、どうしていいか分からなかった。相手方の情報が全くない状態で恋をすることなどなかった幼き日の僕。せいぜいクラスの女子やらを好きになるのが関の山だった僕にとって、ミステリアスな恋愛対象なんてどう攻めていいのか分からなかった。

「おい、なに見てんだよ、もしかしてあの女の子のこと好きなんか?」

遊びの手を止め、ボーっと彼女を見とれているだけだった僕に弟が話しかけてくる。あまりにもその言いっぷりが的確に図星で、小生意気なスメルを漂わせていたので、あり得ない角度で再度パワーボムを決めておいた。弟はちょっと泡吹いて気絶してた。

とにかく、彼女の情報を集めなくてはならない。いきり立った僕は早速情報収集を始めた。塾を終え、遊びに合流してきた友人たちにそれとなく話を聞いたのだ。「あの塾の母屋の方に、2,3年生ぐらいの女の子がいるんだけど、知ってる?」などと、もはやバレバレなくらい白々しく聞いたのだ。

やっぱカワイイ娘っ子の情報ということもあり、友人どもも中々有用な情報を有していた。まるでワイドショーレポーターのようにその情報を根掘り葉掘り効く僕。もう必死だったのだと思う。

その友人情報によると、彼女はやはり予想通り年は小学三年生。なんでも遠い町に住んでいるらしいのだが、夏休みの間だけ親戚に預けるという形で学習塾にやってきたらしい。まあ、早い話が避暑だとか疎開だとかそんなレベル。とにかく、夏休みの一ヶ月だけあの家に住んでるということだった。

なるほど、それならば全てが納得だ。今まで見なかったのも、存在に気がつかなかったのも説明がつく。

「なんでそんなにあの子のこと聞くんだよ?」

不審に思って言う友人に、弟が口を挟んで言う。

「なんか兄ちゃん、あの子のこと好きになったみたい」

あまりに出すぎた真似をする弟に、再度パワーボムをあり得ない角度で決めておいた。弟は泡吹いていた。

それからの一ヶ月は矢のように早かった。ただでさえ時間が過ぎるのが早い夏休みで、気がついたら8月後半、宿題に手すらつけてないという状態なのに、彼女の存在がさらに夏の足を速めていた。

夏が終われば、彼女は遠い町に帰ってしまう。

いつもいつも、僕と弟が遊ぶ様子を母屋の窓から眺めていた彼女。僕は多分、一生彼女の顔とあの表情を忘れないのだと思う。子供の力ではどうすることもできないほのかな恋心。どうすることもできない暑い暑い夏の日々が続いていた。

そして、ついに一ヶ月が経ち夏休みは終わった。それと同時に彼女はいつもの窓から顔を出さなくなり、誰もいない二階の窓が、僕の小さな恋の終わりを告げていた。

暑い暑い夏。真っ青な空に白い入道雲。直視できないほど光を放つ大きな太陽。必死で鳴くセミの声。そして、カーテンだけが揺れる誰もいない窓。全てが切ない夏の恋の思い出の1ページになってしまったのだった。

それから数年。

大学生となった僕は、アイドルなんて広末涼子くらいしか知らない状態で日々の生活を勤しんでいた。

そんな折、何の気なしに開いた週刊誌のグラビアページ。本当に、ただ単に待合室かなんかにあった雑誌のページを開いただけなのに、あの夏の思い出の1ページを開いていた。

そう、そのグラビアページには、あの夏、いつも二階の窓から空き地を覗いていた女の子が写っていた。

「スーパーアイドル!鮮烈デビュー!!」

の見出しが躍る。彼女の顔はあの時のまま天使のようにかわいく、少しばかりのセクシーポーズや、乳房の膨らみは、彼女が大人になったことを実感させてくれていた。

間違いなく彼女だ。プロフィールに書いてある生年月日から逆算しても、歳も全く同じだし、何より名前が同じだ。あの日友人から聞いた名前、苗字こそは微妙に違っていたが、確かに下の名前は同じだった。それより何より、僕があの顔を忘れるわけがない。

「そうか、彼女アイドルになったのか、可愛かったもんなぁ・・・」

少年時代の思い出を取り戻した僕は、それかは彼女の情報を追いに追った。アイドル雑誌を貪り読み、アイドルと関連していそうなメディアには逃さず目を通した。全ては少年時代の思い出を、儚く散った思い出を取り戻し、あの日何も出来なかった自分を戒める目的だった。とかくとカッコイイけど、それを切欠に現役アイドルと知り合い、おセックスできるかも、というほのかな期待もあった。

そんな想いとは裏腹に、それ以来メディアに登場することなく、鳴かず飛ばず、全く売れなくなった彼女。どんどんとマイナーなB級アイドルへの階段を一直線に駆け下りていった。

それと同時に彼女の情報を追いかける僕も、マイナーやらB級アイドル情報中心となり、いつのまにかアイドル全般を手がけるようになってしまった。全てはあの日の彼女が原因。全てはあの日の恋が原因。

どんなにマニアにも、どんなことにもやはりそれ相応の理由はある。ただあまりにもそれが些細過ぎて、小さすぎて、覚えていないだけなのだ。それがマニアがマニアになったキッカケを答えられない理由。ウンコフェチな人だって、ウンコに魅力を感じる何かが過去にあったに違いないのだ。

僕はたまたま、切ない思い出と共に幼い頃に好きになった子が、B級アイドルになっていたという途方もなくドラマティックで特殊なキッカケがあったから、今でもこうやってアイドルマニアになった理由を説明できる。けれども、殆どのマニアの皆様は、そこまでドラマティックな何かがあったわけではない。

だから、「ねえ?なんで?何でマニアになったの?なんで?」と、ベッキーのような押しの強さでマニアに問い詰めるのは止めてあげて欲しい。理由が説明できないことは、マニアとして何も恥ずかしいことではないし、マニアとしての本質が揺るぐものではないのだから。

好きであること、マニアであること、そのキッカケや理由なんて何も関係ない。問題は今をいかにマニアに過ごしているか、それに尽きるのだ。そう、長々と書いたけど、これが言いたかっただけ。

ちなみに、僕がエロビデオマニアになったのは、そのB級アイドルになり果てた彼女が、売れないアイドルがAV女優になる定番のコースを経て、いつエロビデオ界にデビューしてくるか気が気ではない状態で待っていたからだ。

全ての新作情報に目を通しているが、未だに彼女がデビューしてくる気配はない。


7/28 テクノロジー哲学

最近、ちょっとばかり哲学に興味がある。

「哲学」とか言うと、仰々しくて小難しい何ともとっつき難いものだ、なんて思われるかもしれないけど、僕の言う「哲学」はそこまで形式的でない、簡単なものだ。

人の考え方やら方針。10人いれば10通りある考え方のルーチン。その部分に大変興味がある。こういった人それぞれの個性というか、考え方と言うか、それを総称する適切な語句が見つからないので「哲学」と呼んでいるが、多分学問的な「哲学」とは随分と趣が異なるものと思われる。

人の考え方に触れ、自分の考え方と正反対のものに触れた時の新鮮な驚きやら、一致をみた時の単純な喜び。それらが哲学の醍醐味ではないだろうか。とにかく、人の考え方に興味があるのだ。

先日、そんな哲学の醍醐味味あわせてくれる出来事があった。

僕流の哲学というか考え方の一つに、「テクノロジーの発展は人のためにならない」というものがある。読んで字の如くそのままの内容で、テクノロジーが発展することは必ずしも人のためにならないといった痛烈な皮肉だ。

僕ら人類は、自分らの生活をより便利に、より安全に、より快適に過ごすことを目的にテクノロジーを発展させてきた。様々な発明や、様々な技術開発、生物機能の解明および模倣。それらは全て、現代の生活においてなくてはならないほど浸透してきた。

確かに便利になったものの、その反面で大きな弊害も起こっている。テクノロジーの発展によって、地球を何度滅ぼしても有り余る兵器がボタン一つで打ち出されるようになった。何億年もかけて堆積された化石燃料がテクノロジーの発展に伴ってあっという間に使われてしまった。それと同時に、様々な副産物が地球を病んだ惑星に変えてしまった。

テクノロジーの発展によって生じる諸問題を、またテクノロジーによって解決しようとする永遠のイタチゴッコ。本職は研究者であり、テクノロジーを発展させることが義務とも言える僕ではあるが、さすがにこれはテクノロジーは悪だと言わざるを得ない。

どんなに悪だと分かっていても、いまさらテクノロジー抜きの生活など考えられない。こうやってインターネットでサイトを開設しているのも、皆さんが閲覧しているのもテクノロジーの恩恵なのだ。それに、本職であるテクノロジー開発を止めてしまっては、僕たちは飯を食っていけない。

様々な矛盾や葛藤を抱えながら、上記のような哲学を抱えて仕事に取り組む。世の中とは得てしてそういうもの。理想や哲学だけでは飯食っていけないのだ。

テクノロジーを発展させるべく、我が職場の同僚が一同にして協力し、尽力してきた一大プロジェクトが終了した。普段は仕事に不真面目な僕も、御家の一大事なのだから仕方ない、必死の思いでプロジェクトに邁進してきた。

その甲斐があってか、大成功のうちにプロジェクトは終了した。その打ち上げというか、労をねぎらう会というか、上司がセッティングしてくれた飲み会があった。

まあ、飲み会といっても、普段仕事しているオフィスで缶ビールを酌み交わし、心ばかりの寿司やらツマミやらを突きあうチンケなものだったのだが、その飲み会の席で上司が言ったのだ。

「確かに我々の仕事はテクノロジーの発展だ。けれども、それが必ずしも人間のためになるわけではない」

彼は、缶ビールの蓋をプシュッと開けながら言い放った。全く僕と同じ哲学だ。普段はイメクラだとか「スナック アリババ」に入り浸っている破廉恥上司ではあるが、たまには真面目なことを言うものだといたく感心した。そして上司は続ける

「核ミサイルや原子力の利用、石油資源の枯渇。さらには神の領域すらも侵す遺伝子工学。全てはテクノロジーの発展がもたらしたものだ」

まるで、僕の哲学をパクったかのような発言だが、こんな考えかたなんて言ってみれば哲学と呼ぶには恥ずかしすぎるほどありふれた考え方だ。誰だってそのことに気がついているのに、あえて気付かないようなフリをしているに過ぎないのだ。

「でも、そんな地球規模の弊害だけでなく、個人レベルでもっと弊害が生まれるんだよ。テクノロジーの発展は、大きな弊害だけでなく、極めて小さい弊害ももたらすんだ」

これが哲学の醍醐味だ。全く同じ考え方であるのに、僕と上司は同じ哲学を共有しているのに、僕は地球レベルでしかかんがえることができなかった。けれども、上司は個人レベルの弊害にまで考えが及んでいるのだ。同じ哲学であっても、その深さが違う。何とも面白いものだ。

上司の言う、テクノロジーの発展がもたらす個人レベルで弊害とは、つまりはこういうことだった。

例えば、今回のプロジェクトの最大の山場であったプレゼンテーション。取引相手に対して成果を報告するプレゼンにおいても、その弊害は多数見られるのだ。

このようなプレゼンだとか発表だとかする場合、当然ながら発表に使う資料が必要となる。現代では、パワーポイントかなんかで作ったカラフルでダイナミックな発表資料が、パソコンに直結されたプロジェクターによってスクリーンに映し出される。プレゼンを聞くほうに配られる配布資料も、綺麗に印字されたものだ。

しかし、これらは全てテクノロジーの産物だ。コンピューター技術や、映写技術、印刷技術、それらが全て発達したおかげでこのような分かりやすいプレゼンが実施できるのだ。

しかしながら、そのような技術がない時代。つまりは、コンピューター技術などが発展していなかった時代は、どうやってプレゼンをやっていたかというと、大きな模造紙に手書きで文字やら図を書き、それを使って発表なりなんなりをしていたようなのだ。

自分の身長より大きな白い紙に、目立つようにマジックで字やら絵を描く。それを何枚も用意し、紙芝居のようにめくっていって発表をしていたそうなのだ。もちろん、配布する資料も全部手書きらしい。

そうなってくると、今のように活字ではないし、絵も汚い、当然のことながら分かりにくい発表となってしまうのだ。しかし、それ以上に問題なのが、ミスを犯した場合だ。

記入すべき文字を間違えて書いてしまい、その失敗に気付いてしまったらどうなるだろうか。手書きで書いてるが故に、簡単にミスを修正とはいかない。大きな模造紙丸々一枚書き直しだ。配布資料も、途中で間違いに気がついたら、前後の文字数もずれるので全部書き直しになってしまう。とんでもない労力が必要となるのだ。

だから、昔の人は必死になって考えに考え抜き、もう完璧という段階まで完成度を上げてから模造紙作りや配布資料作りなどプレゼン資料を作り始めたらしい。当然ながら、作る過程も物凄く緊張感張り詰めたものだったらしい。

それが今はどうだろうか。パソコンで作る資料は、ミスをしてもちょちょいとパソコン上で修正すれば問題ない。下手したらプレゼン直前に修正を加えても大丈夫なくらいだ。

だから現代の僕らは、あまり考えて資料を作らない。とりあえず、間違えていてもすぐに修正が効くので、何の気なしに軽い気持ちで資料を作り始める。そして「間違っててもいつでも直せるや」と緊張感のないまま作業が進行していく。

結局、出来上がる資料は確かに活字で絵も綺麗、分かりやすいものに仕上がるのだけど、それでも緊張感がないせいか凡ミスも多かったりする。

結局、テクノロジーの発展は、「考えに考え抜くこと」「緊張感という注意力」を僕らから奪い去ったのだ。不便故に必要だった能力が、便利になった故に必要なくなってしまったのだ。

けれどもやっぱり、テクノロジーなんてのはツールに過ぎず、それを使いこなすのは人間な訳で、その人間の能力低下は出来上がる成果のクオリティ低下に繋がる。凡ミス連発のプレゼン資料や、誤字脱字連発の僕の日記など、まさにそれの典型だ。

「なるほど!テクノロジーの発展は、そんな個人レベルにまで弊害が」

同じことを思っていながら、そこまで考えが至っていなかった僕は、いたく感動した。そして、これこそが哲学の醍醐味なのだと実感したのだ。他人の考え方に触れる、そして自分の考え方が刺激される。それ自体が何物のにも変えがたい喜びなのだ。

「そういえば・・・そういうのってありますよね」

上司の哲学に刺激され、僕の中に眠っていた哲学が呼び起こされる。これもまた哲学の醍醐味だ。

「テクノロジーの発展、それがもたらす個人レベルでの弊害といえば・・・」

僕は切々と、以前から感じていた弊害について語り始めた。

それはオナニーメディアの発達だ。これはもう、以前から何度も口を酸っぱくして言っているので、賢明なヌメリ読者さんなら知っていることと思う。

近年のオナニーに使う様々なメディア、いわゆるオナニーメディアの発達は、確実に我々のオナニースタイルを変化させてしまった。オナニーグッズの充実、エロDVDや、ネットで落とせるエロ動画の発達(動画ファイルナビゲーターさんにリンクしていただき、アクセスが爆発しました。ありがとうございます。日に1万ヒットとかありえへん)、それらは全て趣き深いオナニーを奪い去ってしまった。

今や、インターネットに繋げば簡単にエロ動画が手に入る。下手したら容易に無修正物などが手に入ってしまう。それに、エロDVDなんかも、簡単に手に入るようになってしまった。

動画やDVDの普及は、エロビデオを借り、煩わしいドラマ部分なんかをチンポ出した状態で必死に早送りする手間を省いてしまった。今やワンクリック、あるいはボタン一つで簡単に絡みの部分が拝めてしまうのだ。「早く絡めよ!ドラマなんてどうでもいいんだよ!」そう叫びながら、連打しても早くなるわけでもないのに必死で「早送り」を連打する、そんな古き良きオナニーの情景も、いまや見ることは出来ない。

それ以前に、便利で肉欲しいオナニーメディアの発達は、我々から想像力を奪ってしまったのだ。ネットに繋げば、カワイイ娘がまぐわっている映像が手に入る。しかも無修正。ビデオ屋に行けば、エロビデオなりエロDVDなど、簡単に手に入る。これでは誰も、苦労してイマジネーションオナニーなどするわけがない。極上のオカズが簡単に手に入るのだから。

そんなオナニーメディアがない時代、世のサムライどもは必死でイマジネーションオナニーに勤しんでいた。女子のいい臭いを嗅いだだけで連想を膨らまし、乳が触れただけでその感触を忘れず妄想を膨らました。それはそれは、とんでもない妄想力および想像力で、とんでもない肉色な痴態を連想し、オナニーをしていたに違いないのだ。

DVD技術の発達、ネットワーク技術の発達は、我々から情緒深いオナニーを奪ったのと同時に「想像力」すらも奪い取った。今ではもう、一切のメディアに頼らず、想像だけでオナニーを遂行するイマジネーション派は少数派だ。それもこれも、全てはテクノロジーの発展が原因なのだ。

「確かにその通り!テクノロジーの発展は、オナニーすらも味気ないものした。我々から想像力を奪った!これも個人レベルでの弊害じゃないか」

飲みなれぬ缶ビールを飲み、少し酔っ払っていた僕は、大声で上司の意見に賛同した。これだから哲学は面白い。他人の哲学に触れ、自分中の別の哲学とリンクする。なんとも興味深いものだ。

「このままいけば未来のオナニーはとんでもないことになるぞ!変なコードを頭につなぎ。炊飯ジャーみたいな機械にチンコ差し込んでするようになるぞ!想像力も情緒もない、そんなシステマティックなオナニーでいいのか!いいや、よくない!俺はどんなに世界になっても、チンコを擦る泥臭いオナニーを守ってみせる!絶対にだ!一緒な考え方を持つもの同士、一緒に僕らのオナニーを守っていこうよ!」

興奮した僕は、ビール缶を握りつぶしていた。そして、それを受けて上司が言う。

「いいや、オマエの考え方とワシの考え方は違う。そんな破廉恥な考えと一緒にするな」

と、アメリカナイズされた冷徹な経営者のように言われました。冷たい言葉で一刀両断。イメクラとかの常連である破廉恥上司に破廉恥って言われました。一気に酔いが醒めたわ。

同じようなことを主張しているのに、全然違う、一緒にするなと言われる。これだから哲学は興味深い。

何とも興味深いことだらけの哲学。やはり人の考えに触れるというのは面白いことだし、自分への刺激にもなる。これからも大切にしていきたいものだ。それこそが、自分自身の哲学の進歩に繋がるのだから。

などと、オナニー発言を受けて引きまくっている同僚達を見て思った。コイツらはクズだから、「オナニー」という言葉に捉われすぎ、人の考えに触れるという本質を見落としているのだ。僕がどれだけ大切なことを言っているのか分かっていないのだ。

テクノロジーの進化に、自分自身の哲学の進化、どちらも弊害を伴うものだけど、同時に避けて通れないものでもある。どちらも意識して日々の生活を営んでいきたいものだ。

ちなみに、「僕らのオナニーを守る!」という、僕の人生のライフワークにもなりかねない大切な哲学が、この日誕生した。


7/26 オプティ2

昨日の日記の続編です。

-前回までのあらすじ----
18歳になった僕!免許とりたて!母ちゃんの車パクって女の子とドライブデート!漁村!ヤンキーカップルの野外プレイ!マグワイヤ!大興奮!カーセックスしたい!カーセックスしたい!カーセックスしたい!カーセックスしたい!車の中で変な棒出したり入れたり!シフトレバーを出したり入れたり!ステアリングを出したり入れたり!エンジンルームごと出したり入れたり!イェア!
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よくわからないですが、そんな感じです。分からない人は、下にある昨日の日記を読んでやってください。簡単に説明すると、免許取たてだった僕が、深夜に気になる女の子とドライブデートした。そして、漁村で偶然目撃したヤンキーカップルのおセックスに触発されてしまい、考えることはカーセックスのことばかり、といった性獣と化してしまった。果たして若き日のpatoはカーセックスできるのか?といった流れです。それではどうぞ。

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とんでもない、やはり車の免許はとてつもない武器だ。その有無によって装備の充実度が違いすぎる。まず、免許がないと夜にデートすることすらできない。好きな場所に行くことすらできない。それどころか、カーセックスもできないのだ。あの、ヤンキーカップルのように、藪の中で昆虫に見守られてまぐわう羽目になるのだ。

やばいぜ、車の免許って途方もない武器だな。なんでもアリじゃないか。

移動手段の主戦力が自転車から自動車に変わった僕は、そのあまりの破壊力に驚き戸惑っていた。まるで核ボタンを手に入れてしまった独裁者のように、その殺傷力に怯えるだけだった。

しかしながら、どんなに優れた武器であっても、使用方法が分からなければそれは無用の長物なのだ。どんなに破壊力の高いマシンガンを持っていても、撃ち方が分からなければ意味がない。手の届かないところにあるテレビのリモコンを取るぐらいが関の山だ。

それと同じことで、いくら最強の武器である自動車免許を手に入れたとしても、それをカーセックスに活用できないのならば何ら意味はない。そう、言い換えれば、カーセックスに活用して初めて威力を発揮するのだ。車の免許とはそういうもの。

とにかく、いかにしてカーセックスに持ち込むか。それが親の死よりも重要な命題だ。そう、僕には義務がある。必死の思いで手に入れた免許証のためにも、カーセックスに持ち込む義務がある。

様々な思いが渦巻く中、僕と彼女を乗せたオプティは、来た道を帰り始めた。助手席に佇む彼女は、道路脇の街路灯の明かりを白い頬に反射させ、いっそう妖艶さを増している。こんなステキングな彼女と、淫らにカーセックス。考えるだけで股間が怒張し、クラッチすらまともに踏めない状態になっていた。

しかし、しばし冷静になって考えてみる。いくら、深夜ドライブに誘えたからといって、それ即ちカーセックスOKということになるだろうか。もしそれが単なる僕の早とちりに過ぎず、勘違いしてカーセックスを迫ろうものなら熱烈に拒否されるんじゃないだろうか。そうなったら僕は完全なピエロだ。いくら免許証という武器を装備して攻撃力が上がってるとはいえ、うかつに攻撃するのはリスキーなのではないだろうか。

そもそも、彼女は、「カーセックスしよう」「うん、いいよ」などとすんなりOKするような尻軽女ではない。そこそこ身持ちは固い方だと思う。それに真面目で淫らなことが嫌いな潔癖タイプだ。車の中で性交渉なんて、淫らな行為には応じないような気がする。

そんな彼女に股間をいきり立たせてカーセックスを迫ろうものなら、熱烈に拒否されるんじゃないだろうか。拒否されるだけならまだしも、下手したら強姦未遂罪で訴えられかねない。うむ、やはりカーセックスは難しい。

「次、どこに行こうか?そろそろ帰ろうか?」

まずは彼女にその気があるのかどうか、それを確認するのが先決だ。彼女の腹の内を探るのが先決だと、遠まわしに遠まわしに彼女の出方を伺い始めた。

「うーん、そろそろ眠いかも」

アンニュイに目を擦りながら言い放つ彼女。もうこれは、遠まわしなセックスアピールと見るしかない。

「眠い」→「どこか横になれる場所に行きたい」→「ラブホテル行きたい」→「チンコ舐めたい」→「おセックスしたい」

申し訳ないが、もはやこのように連想するしかありえない。

「そそそそうかい。じゃあ、休める所いこうか」

ハンドルを握る手が震える。クラッチを踏み込んでいる足も震える。この僕が、今までまともに女の子と話したことないようなこの僕が、ついにレディとラブホーテルへ。モーテルへ。これはもう、宝くじが当たる以上にラッキーな出来事。このチャンスを逃したら二度とないんじゃないかというほどスパイシーな出来事。

さすが、車の免許の威力は絶大だぜ。長年の夢だったラブホテルフェードインが叶うじゃないか。震える手足をなんとか落ち着かせ、どこかにラブホテルはないものかと車を走らせた。

なんとなく、ラブホテルというのはうら寂しい通り沿いにあることが多いような気がしていた僕は、車通りの多い国道を離れ、閑散とした県道を走ることにした。カーセックスこそはダメだったけど、ラブホテルへフェードイン。そのためだけに寂しい通りを通るオプティ。思えばこれが、後に起こる悲劇の幕開けだった。

やはり、ほとんど車が通らないであろう県道は、街灯もなくかなり暗い。車のヘッドライトだけを頼りに突き進み、ラブホテルなぞがないものかとさ迷い進む。助手席の彼女は助手席で眠そうに欠伸をしている。これからラブホテルに連れ込まれ、毒牙にかかることを分かっているのか分かっていないのか。とにかく平常心で助手席に座っている。

はやく・・・っ!ラブホテルを見つけねば・・・っ!彼女が不審に思ってしまう・・・っ!そうなる前に連れ込んでしまわねば・・・っ!

焦る気持ちがアクセルを強く踏ませる。その瞬間だった。

ボンッ!

ブワッ!

普通に道路を走っていたはずなのに、いきなり車が傾き始める。それも尋常じゃない角度で、左右に60度ぐらい角度がつくぐらい傾き始めた。

どうやら、歩道と車道を分けるために、定間隔で縁石のようなものが設置されていたようなのだけど、暗くて縁石が良く見えなかったことと、さらに免許取たてで車の車幅の間隔がなかったことが原因だろう、助手席側の前輪を縁石に乗り上げてしまったのだ。

尋常じゃないスピードで走行しつつ、片輪だけ縁石に乗り上げたものだから、そのままの勢いで助手席側だけ宙高く舞い上がる。当然ながら車は片輪走行の状態に。運転席側のタイヤ二つだけでバランスを取っている危うい状態に。

「ぐおおおおおおおお!」

ファニーなオプティがダイナミックに片輪走行。西部警察のようにモロに片輪走行。神のお慈悲など無関係と言わんばかりに容赦なく片輪走行。突然の片輪走行に驚きを隠せない免許取りたての超初心者ドライバーな僕。とまあ、一瞬にしてパニックに。

それならまだ良かったのだけど、問題は助手席に座ってた彼女。シートベルともせずに跳ね上がった助手席側に座ってたもんだから、とんでもない状態になてた。

助手席シートから投げ出され、空中浮揚のように宙に浮いてた。しかも車の天井に激しく頭を打ちつけ、首がグエッって変な方向に曲がってた。なんか、壊れたマリオネットみたいになってた。

「あわわわわわわ」

とにかく、片輪走行なんて自動車学校では習っていないので、どうしていいかわからない。ハンドルを右に切ればいいのか、左に切ればいいのか。それとも、バランスを取るために僕も助手席側に乗り移ればいいのか。どうしていいか分からなかった。

片輪走行の状態でフラフラと迷走を続けたオプティ。バランスを失ったかなんか知らないけど、そのまま見事に着地。物凄い轟音と振動と共に、上がった片輪側が見事に着地。今思うとゾッとするんだけど、あのまま車が裏返しにならなくてホント良かったと思う。

結局、縁石に乗り上げた衝撃だろうか、見事なまでに前輪タイヤのホイールはひしゃげ、勿論だけど容赦なくパンク状態。しかも、衝突の衝撃でホイールカバーが50メートルぐらい先に飛んでた。

免許を取得したその日に、自動車学校で使った教材を読みつつ泣きながらタイヤ交換をする僕。その作業を怒り心頭で見つめつつ、「首が痛い、首が痛い」と連呼する彼女。それを見て思いましたよ、この恋終わったなと。カーセックスやホテルにフェードインはおろか、恋すら終わるという衝撃の事実。もうこれには泣くしかない。

免許証という最強の武器を手に入れた僕。その圧倒的な破壊力を利用してカーセックスやらホテルにフェードインを狙っていたのだけど、使い方が下手故に失敗に終わる。やっぱ、どんな優れた武器でも使い方が下手だと何も役に立たないものなんです。

なんとか手を真っ黒にしながらもスペアタイヤに交換し、怒り狂う彼女を家まで送り届けた僕。当然ながら家に帰ると今度は修羅と化した母親が待ってるわけで、自分の所有物であるオプティが痛々しいスペアタイヤ姿で帰還した姿を見てさらにご立腹。怒りのアフガンと化した母親に「彼、自殺してもおかしくないんじゃないの?」って赤の他人に言われかねないほど怒られました。

武器の扱いが下手だと、思ったような効果が得られないだけじゃない。下手したら暴発やらして自滅する。まさにその通りだと思った次第であります。

車は走る凶器。そして、免許証は最強の武器。どちらも使い方を謝ると途方もない悲劇が待ち構えているのです。

カーセックスの夢は、夏の夜空に儚く消え去ったのです。まるで夜空に輝く花火のように儚く消え入り、足早に過ぎ去っていく夏のように片輪走行で消え去って行ったのです。そんな夏の思い出。


7/25 オプティ

「pato君、免許取ったら車に乗せてね」

そう言った彼女の顔は確かに微笑んでいた。夏の眩しい太陽、燦燦と光り輝く太陽を背に浴びた彼女の顔は、逆光で見えないはずなのに確かに微笑んでいた。

当時18歳だった僕らにとって、車の免許は途方もない武器だった。車は走る凶器だとか言われるけど、青臭く若すぎる僕らにとって、車ではなく免許証自体がリーサルウェポンの如く力強い武器だった。

早生まれで、いち早く18歳となった友人は、速攻で自動車学校に通い、免許を取得していた。親父のディアマンテかなんかを乗り回し、女の子を乗せてデートやらカーセックスやら、まさに酒池肉林の大車輪だった。

自動車免許さえあれば、自動車免許という武器さえ手に入れれば、俺だってドライブデートやらカーセックスやらできるに違いない。18歳の少年という名の大人たちは、誰しもがそう思っていた。

自動車免許取得の境目であるこの年頃において、仲間内の明暗は免許証の有無によってクッキリと分かれていた。そう、まるでシマウマの縞模様のよう艶やかなコントラストを描いていたのだ。いち早く免許を取得した富める者と、免許を取得できない貧しき敗北者、その二つしかなかった。

免許不取得者であった貧しき僕も、当然のことながら奮い立った。僕だって免許さえあればカーセックスができるんだと。ロマンティックな夜景を見て、夜はまだ見ぬ女性器を拝顔できるんだと。そこに冒頭の女性のセリフである。

「pato君、免許取ったら車に乗せてね」

クラスメートの女の子。少しばかり男勝りなところがありながら、それでいて妙に女らしい、なんとも不思議な子だった。クラスのイケメン軍団とは違い、非モテな僕はクラスの女子と会話することすら少なかったが、それでも何故かこの子とはよく会話をし、時にはふざけあったりもしていた。

もしかして、僕らは互いに惹かれ合っていたのかもしれない。いや、少なくとも、僕のほうは間違いなく彼女に対して友人以上の特別な感情を抱いていた。そう、僕は彼女に恋をしていた。

そんな彼女に、「免許取ったら乗せてね」なんて言われたのだ。これはもう、十中八九カーセックスのお誘いであろう。夜景の綺麗な場所でカーセックスしようよ、なんていう遠まわしなセックスアピールに違いないのだ。

その言葉に僕はいきり立った。これはもう、親が死んでも車の免許を取るしかない。邪魔するヤツは2、3人殺してでも免許を取る。僕にはその義務があるんだ。

8月に誕生日を迎えて18歳になるというのに、7月の段階で自動車学校に通い始めるという猛烈な暴挙に出た僕。それほどまでに免許証を欲していた。ドライブデートを欲していた。カーセックスを欲していた。

自動車学校では、仮免検定を3回連続で落ちるというトリッキーな動きを見せたり、増田先生のステーキを死にもの狂いで食べて死にそうになったり(12/28 増田先生のステーキ)と、あり得ないような苦闘をかいくぐってなんとか卒業。

もちろん、免許センターでの試験にも一発で合格し、晴れて黄金色に輝く免許証を手中に収めたのだった。合格が決定した瞬間など、椅子の上に立ち上がってガッツポーズをし、「カーセックス!」と叫ぶほどに舞い上がっていた。

電車を乗り継いで免許センターから帰還した僕は、もう待ちきれずに件の彼女に連絡した。「免許取ったら乗せてね」、そういった彼女に連絡したのだった。約束どおり免許をとったぜ、さあドライブしようぜ、と我慢することを知らない子供みたいな無邪気さで連絡していた。

そんなこんなで、免許を取得したその日の夜に、無謀にも彼女との夜のドライブに出ることを決意する僕。君のために免許取ったんだ、見てごらん夜景が綺麗だよ、ムーディにシートを倒す。彼女は抵抗しない。そして、狂おしいほどにカーセックス!カーセックス!カーセックス!もっかい言うぞ、カーセックス!

「免許取った日に乗るなんて危ない!ダメよ!」

更年期障害の如く怒り狂う母親なぞスルーし、なんとか母親の車のキーを盗み出して深夜に走り出す僕。自由という翼を手に入れた僕は誰に求められない。そう、車に乗って風となり大地を駆け抜けるんだ。そいでもってカーセックス。漆黒の闇の街を免許という武器を手に入れた僕が駆け抜ける。

ちなみに、当時母親が乗っていた車が、ダイハツのオプティとかいう車。ちなみにこんなの。身長188センチの野武士な僕が、こんなファニーな車に乗ってるもんだから客観的に見たら相当面白い絵図だったと思う。なんか、座席を一番後ろに下げても太腿にステアリングが当たってたからな。

でまあ、そんな似合わないほど似合っていないオプティに乗って、約束の彼女を迎えに行く。今日まさに免許取立てで、自動車学校以外で公道を走るのは初めて。なんだか物凄くビクビクしながら安全運転をしたのを今でも覚えている。

待ち合わせ場所で彼女を乗せてからは、なんとか強がって余裕の運転をしているかのように見せかけているのだけど、それでもやっぱり心の中ではビクビクのドライブ。夜の街をあてもなく駆け抜け、免許取たての僕が女の子乗せて秘密のランナウェイ。

「すごーい、なんかpato君が運転してるのって変な感じだね」

「そう?」

「うん、だって運転ってお父さんとかお母さんみたいな大人がするってイメージだもん」

「だよなー、自分で運転しながら自分でも信じられないよ」

「それにこの車、すっごくカワイイ」

「似合わないでしょ、母ちゃんの車をパクってきたから」

たわいもないお喋りをしながら車は進む。やっぱり、自動車学校なんかと違って、車内に音楽をかけ、女の子を乗せながら、好きなように走るドライブは楽しい。心の底から楽しい。

最初の緊張感なんかいつの間にか吹き飛んでしまい、今日免許を取得したばかりのホヤホヤ初心者ドライバーとは思えないほど余裕の運転っぷりだった。

どれくらい走っただろうか。フリーな運転なんて初めての経験で、道を全く知らないものだから、いつのまにかとんでもない場所に来ていた。僕らを乗せたオプティは、どこか遠くの、知らない漁村に辿り着いていた。

深夜の寂れた漁村は、街頭もなくほんのりと暗い。遥か遠く先の水平線上で漁火が勢い良く灯されているだけだった。なんとなく滅び行く小さな漁村のイメージがピッタリくるようなうら寂しい街だった。

「疲れたね、ちょっと休憩しようか」

慣れぬ運転。いきなり初めての運転で当てもなく2時間くらい走行したものだから、すっかり疲れ切っていた僕。やや明るめの場所に適当に停車すると、体を伸ばすために車から降りた。それに追随するように彼女もまた車から降りる。

「なんか涼しいね」

夏真っ盛りであるはずなのに、夜の帳が下りた漁村は心地よい温度で、車内でクーラーを効かせているよりも心地よい涼しさだった。

「なんか、こういうの楽しいよね」

薄明かりを浴びて彼女が微笑む。こんな真夜中に、こんな遠い場所に、全く知らない漁村に僕らはいる。車の免許を取っていなかったら考えられないことだ。好きな時間に、好きな場所に自由に行くことが出来る。気軽に行くことが出来る。やはり車の免許は武器だ。それも絶大で強力無比な最終兵器だ。

そんなことを考えながら、なんとなしにガサガサと駐車していた空き地の茂みを掻き分けて進み始める。なんか、彼女が綺麗な花があるだとかセンチメンタルジャーニーなこと言い出すもんだから、仕方なしに僕も茂みの中へと歩を進める。

「みてみてー、こっちにも綺麗な花があるよー」

月明かりだけしかないような闇夜の中、やぶ蚊などと格闘しつつ茂みを掻き分けていく。そして、背丈ほどあるんじゃなかろうかというほどの雑草を掻き分けて進んだその時だった。

キャーーーー!!

不意に響く彼女の悲鳴。何事かと急いで彼女の方に向かうと、そこでは見知らぬカップルが野外プレイを楽しんでいた。漁村の若者だろうか、やけにヤンキーくさいいでたちのカップルが、下半身だけ露出して必死のプレイ。マグワイヤみたいになってまぐわってた。うん、もう挿入とかされてた。

これにはさすがの僕も彼女もビックリ。それよりなにより、おセックスの現場を見られたヤンキーカップルはもっとビックリ。というか、殺されるかと思った。

「逃げろ!」

あまりに恐ろしげな表情で睨みつけるヤンキー彼氏が怖かったため、生命の危険を感じた僕は一目散に逃げ出した。彼女の手を取り、茂みを掻き分けて一気に車の場所まで戻り、自動車学校で習った安全確認など関係なしに物凄い勢いで走り出した。やはり車は便利だ。逃げるのにも便利に使える。

「すっごくビックリしたね」

そういった彼女はドキドキが止まらないといった、何ともいえない表情をしていた。そして、僕の方も別の意味でドキドキしながら車を運転していた。

逃げる際に握った彼女の白く柔らかい手、そしてヤンキーカップルのおセックスの生々しさ。それらが相まって、僕はとてつもなくドキドキしていた。そして、ドライブデートの楽しさ故に忘れていた、真の命題を思い出す。そう、それはカーセックス。さっきのカップル凄かったね、僕らもどうだい?と、ガクンとシートを倒す。そして、狂おしいほどにカーセックス!カーセックス!カーセックス!もっかい言うぞ、カーセックス!

カーセックスの文字だけが頭の中を躍り、ブツブツと「カーセックス、カーセックス」と呟きながら夜の国道をまた知らぬ方向に走り出す僕らのオプティ。カーラジオからは、江口洋介の「恋をした夜は」が流れていた。

性獣と化したpatoは、カーセックスに成功するのか。そして、patoの恋は実るのか。そして、ありえない事件が!!!。と言ったところで長くなりすぎたのでつづく。


7/24 Wait & See 〜アナル〜

常々思うことだけど、何につけても準備をするってのは大切なことだと思う。備えあれば憂いなし、なんてよく言ったもので、準備をするのって本当に大切なことだと思う。

例えば、今僕の目の前にランプの魔人が現われたとする。「オマエの願いを何でも3つだけ叶えてやろう」なんて言われちゃったりなんかしたらどうだろうか。

普段からランプの魔人の到来に備え、心の中でしっかりと準備をしていようものなら、冷静に「お金くれ」「地位をくれ」「名誉をくれ」などと欲望の限りを尽くして3つの願いことを言うことができる。

しかしながら、悲しいことに殆どの人間がランプの魔人の到来に対して準備できていないのが現状だ。「3つの願いを叶えてやろう」という問いかけに対して、シドロモドロになりながら、

「女子高生のオッパイ揉みたい!」
「ナースのオッパイ揉みたい!」
「知的で気の強そうな美形女性のオッパイを揉みたい!」

などと、無下にも文字通りオッパイ三昧で3つの願い事を消費してしまうのが関の山。一通りオッパイを揉み終った後に死ぬほど後悔するに違いない。

何もこんな端的な例だけではなく、他にも例を挙げるとキリがない。例えば、松浦亜弥が突然、「迷うなぁ〜!セクシーなの?キュートなの?どっちが好きなの?」とか、すっこしでも気を引きたい純情な乙女心で訊ねてきたらどうしますか。

普段から、「オレはセクシーが好き」とか「いやいや、キュートが好きですぞ」と、準備していれば即答も可能なのですが、準備不足故に「オッパイが好き!」などとトンチンカンなことを口走ってしまうこともあるのです。これにはさすがのあややも怒らざるを得ない。

とまあ、とてもあり得ないようなシチュエーションを列挙し、迫り来る事態に対する用意周到な準備の必要性を説いたわけですが、実は僕らは、あり得るシチュエーションなら無意識下のうちに準備をしているんです。自分では気付かないまでも、僕らはあらゆる最悪の事態に対して準備を怠っていない。

僕らは自分で思っている以上に弱い存在だし、ちょっとしたことで泣いたり落ち込んだり。ある悲しい事実に直面した時、心の準備が出来ている場合と出来ていない場合では、その落ち込み方は計り知れないほど違いすぎる。

長い間付き合ってきた恋人の様子が、最近富におかしい。妙に余所余所しいし、電話をかけてもすぐに切ってしまう。風邪がうつるといけないからってキスを避けるようになった。そういう場合、殆どの人間が最悪の事態を想定する。もしかして、他に好きな異性が出来たんじゃないだろうか。僕に飽きたんじゃないだろうか。別れという最悪の事態を予め想定し、やがて来るであろうその時の絶望感を、少しでも和らげようとオブラートに包む作業にかかるのだ。

「そろそろあれかな?」、心の準備をした上で別れを告げられる場合と、まったく予想だにせず、寝耳に水の状態で告げられるのでは心理的ダメージが大きく違うのだ。

心が壊れてしまわぬよう、みっともないほど取り乱してしまわぬよう、常に最悪の事態を想定し、心の準備を行うのだ。それが無意識下での準備というもの。

無意識下での準備とは、こういったセンチメンタルジャーニーな心理的側面だけでなく、自分の身を守るために随所で見られるもの。例えば、いつもいつも上司に殴られているダメ社員は、上司が頭を掻こうと右手を挙げただけでビクッと身構えることがある。自分の身に降りかかる危険に対し、無意識下で準備をしているのだ。

心も身も、どちらの場合も自分を守るために無意識下で準備を行う。けれども、中には全く防御的側面がなく、しかも逆に自分の身を危険に晒す無意識下の準備もある。

先日のこと。とある資料を漁りに街の図書館に行った際に、僕は急に便意をもよおした。いつもならここで熱烈にウンコがしたくなり、トイレに駆け込むも個室は超満員札止め。ソールドアウト。気が狂いそうなほどに便意の塊となった僕は、誰も来ないであろう経済史コーナーに駆け込んで勢い良く脱糞。しかも本の1ページを破って尻を拭くという暴挙に出るはずなのだが、あいにくこの時は尿意が降り注いできていた。

便意に比べれば尿意など容易い物。尿を我慢するなど赤子の手をひねるようなものだわ、がははは。などと妙に自信満々で我慢をしていたが、やはりどんなものにも臨界点は訪れるもの。我慢しきれなくなった僕はイソイソとトイレを探し始めた。

あまり来ない図書館であるので、トイレの位置が皆目分からず、一瞬だけ、やばい、漏らしてしまうのか。この僕は26歳にもなって図書館というパブリックスペースで尿を漏らすのか、などと不安になったが、それもすぐに杞憂に終わる。

カウンタの前に見紛う事なきトイレの案内表示を見つけたのだ。紳士と婦人のイラストが青と赤で描かれた御馴染みのイラスト。この絵を見て100人が100人ともトイレを連想するから素晴らしいものだ。

「やった、トイレだ」

これで漏らすという最悪の事態は避けられた。喜びの表情で小走りにトイレへと走る僕。

ここのトイレは、少し奥まった場所にあるようだった。やはり、トイレは汚れた場所であるという印象からか、少し奥まった場所に設置されることが多い。図書館のフロアの広大さとは対照的に、人一人通れるかどうかの狭い通路を歩いてトイレに行くようになっていた。

安心しすぎるトイレ表示を眺めながら、その狭い通路を歩いてトイレへと向かう僕。そこで無意識下の準備が発動してしまう。

全く意識していないのに、トイレに向かうとなると、トイレの案内表示を見つけると、無意識のうちにジッパーを下げ、チンコを出して臨戦態勢を取ってしまうのだ。チンコを出した状態でトイレへと突入し、もう入った瞬間に排尿を行えるよう、無意識のうちに準備をしてしまうのだ。別に心や身を守るためではなく、ただただ早く排尿したいがための準備。

どうせトイレへの通路など奥まった場所なのだ。人の気配もしない。ならば安心と、狭い通路に入った瞬間にはモロンとチンコを出してトイレに向かって一直線。便器に向かって大車輪。あり得ない勢いでトイレへと向かっていた。そして、そこであり得ない事件が。

いつも用を足す便所、いわゆるホームでは、この通路が絶妙に短いためこのように臨戦態勢でトイレに向かっても何ら問題はなかった。しかしながら、この図書館のトイレ、トイレ入り口案内表示からトイレ本体までが異様に長い。妙に複雑な通路で、とんでもない長さを誇ってやがる。図に描くと

   
       
     
     
     
       
     

トイレ

トイレ入り口

     

な・・・ながっ!!

どんな罠なのか知らないけど、異様に曲がりくねっており、しかもやけに行程の長いトイレへの道。距離にして30メートルはあったかもしれない。トイレ入り口から臨戦態勢で、無意識のうちにチンコ出しながら走ってる僕も、さすがにこれは笑うしかない。さすがに途中で引っ込めるのも負けた気がするので、引っ込めぬまま笑顔でランナウェイ。チンコを孤独のランナウェイ。

それだけなら良かったものの、どうやらこの先のトイレには女子トイレも併設されているらしく、遥か先のほうから女性が歩いてきたものだからさあ大変。

優雅にトイレから出て、花柄のハンケチーフで手を拭きながら歩いてくる品の良さそうな女性。さすが図書館に来るような女性は違う。この品の良さそうな上流階級の女性のオッパイを・・・・ってそういう場合じゃない!

そう、今まさに僕はチンコを出して走ってるんですよ。しかも、あまりの距離の長さに半笑いしながら走ってるんですよ。これはもう、どっからどう見ても変質者以外の何者でもない。有無を言わさず逮捕、30日ばかり拘留されても文句言えない立ち振る舞い。たかだか、速攻で排尿したばかりの前準備、それで人生終わったなと思いましたよ。

けれども、その上品そうな女性。半笑いで照れくさそうに、チンコ出しながら迫り来る僕に向かって、「ごきげんよう」と言わんばかりの満面の笑み。オマケに僕のイチモツを見てクスリと笑いやがる、ときたもんだ。これには逆に変質者サイドの僕のほうがビックリ。いやいや、変質者じゃないよ、チンコ出したのはあくまで不可抗力だよ。

もしかしたら、彼女はあらかじめ、「トイレから出たら男がチンコを出しながら走ってくるかもしれない」という心の準備ができていたのかもしれない。もしくは、僕のアレがあまりにア リトルで笑われたのかもしれない。そうじゃなければあの落ち着きようは説明できない。と、やっとの思いで排尿しながら考えたのでした。

このように、逮捕の危険にさらしてくれる無意識下での準備。自分の心や体を守ってくれる準備は良いのですが、さすがにこういった人生終わるかもしれない準備は止めたいものです。

あ、そうだ。

「変質者のような行為をしても逮捕されないようにしてくれ」

「チンコを笑われないぐらいビッグマラーにしてくれ」

「図書館トイレの通路を短くしてくれ」

ランプの魔人が現われたら、この三つをお願いしてみようと思います。これで焦って下手なお願いをする危険が減少した。こういう準備が大切なんだよな、準備が。

それにしても今日の日記タイトルは酷い。なんだこりゃ。


7/23 大阪ストラット

大阪は死ね!7回死ね!

とまあ、のっけから大阪に対する怒り大爆発のpatoさんですが、賢明なヌメラーさんならご存知のはずです。patoさんの大阪嫌いが今に始まったことではないと知っているはずです。

以前、大阪でオフ会をした時は、参加者全員が終電前に帰宅してしまい、右も左も分からぬ梅田の町に一人放り出され、朝までホームレスみたいな場所で眠りました。おまけにウンコもらしました。

次に大阪でオフ会をした時は、もう夜の街に独りになっても大丈夫とばかりにホテルをリザーブしました。「門限なし」と書かれた安ホテルを予約し、オフ会終了後にホテルへと向かったのですが、見事なまでに締め出されていました。鍵を閉められ、電気も消されたホテルの前に佇み、人知れずヒッソリと泣いたものです。

さてさて、そんな悪魔のような思い出がてんこ盛りの大阪に、悪魔の街こと大阪に、この連休を利用して行ってまいりました。正直、気乗りしなかったのですが、とあるサイトのオフ会に参加するためだけに大阪入りしたのです。

オフ会といえば、少しばかりアンダーグラウンドな雰囲気満載に、夜の繁華街とかで酒を飲んだり服を脱いだりレイプしたりと、不健全山の如しといった趣で行われるものですが、今回のオフは「集合は朝の10時」「公園で日差しを浴びてドッヂボールとかします」「お昼は敷物を敷いてお弁当食べます」とか一風変わったもの。まるで爽やか三組の如く爽やかさを前面に押し出したオフでした。

しかしながら、オフ会の集合時間は日曜日朝10時。いくらなんでも僕の住まわす広島からだと、どんなに早起きしても朝10時に大阪集合はキツイ。とにかく時間にはうるさいpatoさんですから、オフ会に遅刻とか考えられない。ということで、オフ会前日の土曜日から大阪入りし、適当に時間を潰した後、遅刻することなくオフ会会場へと乗り込もうと考えたのです。

そんなこんなで、土曜日夜。仕事を終えた僕は新幹線に飛び乗り、新大阪駅へと舞い降りたのでした。時間は夜九時、オフ会集合時間前まであと13時間。どうやってこの悪魔の街で過ごしたらいいのか。

新大阪駅で新幹線から降りると、ただならぬ空気が僕を出迎えてくれました。なんというか、瘴気というか毒気というか、とにかく空気が濁っているような印象を受けました。

「さすが、大阪の街だぜ、空気が濁ってやがる」

予想通りとは言え、まるで魔界に足を踏み入れてしまったかのように錯覚する感覚に、不安、焦り、恐怖、物怖じ、といったネガティブな感情が一気に溢れてきたのでした。とにかく、大阪の街は怖すぎる。

恐怖に震えながら、地下鉄にでも乗って梅田の町を目指そうと新大阪駅構内を徘徊する僕。階段を駆け下り、地下鉄の改札を目指していると。階段にたむろしている辰吉みたいな愚連隊がお出迎え。これだから大阪という街は恐ろしい。普通に駅の中を歩いているだけなのに、殺されるほど睨まれるなんて他の街では体験できない。

そんな浪速のジョーの鋭い眼光をかいくぐり、なんとか地下鉄改札に到着、このまま地下鉄に乗って梅田の街を目指そうと思うのですが、なんとなく微妙に腹が減ってきた。

仕方ないので、改札口の近くにあったマクドナルドで夕食をとることにする。関東風に言えばマック、関西風に言えばマクド、広島風にいえばマッキントッシュなマクドナルドで夕食を食すことに。

フレッシュで少しキューティクルな女性店員に案内されるままレジにて注文をする僕。頼んだのは確かマックカルビナントカセット。そのセットのポテトとコーラをLサイズにグレードアップして注文するというワンパク小僧ぶりを見せつけてオーダー。値段は661円と夕飯にしてはやけにリーズナブル。

まあ、僕は顔に似合わず細かい性格ですので千円札と1円玉で1001円を厳かに提出し、340円ばかりのオツリの到来を今や遅しと待ち構えます。

「1001円お預かりします」

キューティクルな店員は、そう言って僕の出した1001円を受け取ると、なにやらコーラーをカップに入れたり、ポテトをガサガサと入れ物に詰めたりと忙しそうに働いていました。

「お待たせしました!ナントカセットです」

そう言って満面の笑みでナントカセットを差し出すキューティクル店員。その笑顔を見て思ったわけですよ。

「いや、オツリは?」

セットを差し出されるのはいいのだけど、どう考えてもオツリをもらっていない。661円のセットを購入し、1001円を差し出した僕。なのに1円たりともオツリをもらっていない。オツリの到来を今や遅しと、財布の小銭コーナーを開けて待ち構えていたのに、全く持ってもらっていない。

これだから大阪という街は恐ろしい。

外見上は普通で、健全としか思えないマクドナルド。さらには、フレッシュそうな店員であるのに、ちょっとでも気を抜くとオツリをちょろまかされるという歴然たる事実。たぶん、大阪のマクドナルドには裏マニュアルみたいなのがあって、「客が標準語を喋ってたら大阪人ではありません。大阪人以外なら楽勝なのでオツリを誤魔化すこと」とか書かれているに違いありません。どうなってるんだ、大阪。

大阪に降り立って10と数分、早くもオツリ詐欺の被害にあった僕は、1001円のインフレとしか思えないナントカセットを食しながら大阪の恐怖に震え、少しばかり泣きました。

確かに、「オツリもらってないんですけど」とか店員にカミングアウトすればよかったのですが、考えても見てください。ここは大阪ですよ。他の街ならいざ知らず、ここは大阪ですよ。

あれだろ、大阪人って金のためなら死にもの狂いになるんだろ。たかだか340円ばかりのオツリでも、烈火のごとく怒り狂い、「オツリは払いました!」とか血で血を洗うような争いが起こるんだろ。そのうち「兄ちゃん、この店になんか文句でも?」とか地回りの暴力団とか出てくるんだろ。ホント、大阪だったら340円で殺されかねないからな。それだったら泣き寝入りして、1001円のセットを黙って食べてる方がいくらか得策だよ。340円で殺されちゃかなわんからな。

そんなこんなで、マクドナルドで涙の夕食を終え、さっそく340円巻き上げられるという失態を演じて新大阪駅を後にします。そして、地下鉄に乗って梅田駅へ。

梅田は、さすがに大阪の中心地ということもあり、どいつもこいつも意地汚い顔して大量の人間が歩いておりました。あれだよな、歩いている人間が全員、「おれ、うめだ」みたいな誇らしい顔して歩いててさ、しかも確実に2、3人は殺ってそうな腐った目をして歩いているのよ。暴力だけが支配するバイオレンスマッドシティ梅田。そんなキャッチフレーズがマッチするほどあり得ない街だった。なんか、腕を骨折してギブス巻いてる輩が異様に多かったしな、さすが大阪と納するしかなかったね。

そいでもって、東通りあたりの場末のゲームセンターに入り、最近ご執心の麻雀ゲームに没頭することにします。この麻雀ゲーム、普通は1PLAY200円でコンテニューが100円なんですけど、なぜかこのゲーセンでは1PLAY100円という破格の低料金。さすが大阪だぜ、ゲーセンまで大安売りじゃないか、などと喜んでいると、確かに1PLAY100円だけどコンテニューは200円という衝撃の事実が発覚。さすが詐欺師の町大阪、格安の1PLAY100円で釣っておき、あとは高値のコンテニュー料金でガッポリ儲ける。ゲーセンすらも詐欺師の定石に沿って営業してやがります。どうなってんだ、大阪。

さすがに朝までゲーセンというのもアレなので、深夜映画でも見ようとナビオだかアナルだとかいう映画館へ。深夜ロードショーをやっている「踊る大捜査線2」を鑑賞することに。

さすが大人気映画の上映初日、しかも土曜夜の深夜映画ということで館内は大盛況。しかも、カップル率9割強とかありえない状態になってました。エレベーターの中でハメ撮りとかしそうになってた。どうなってんだ、大阪。

そんな中、猿山のボスのようにLサイズのポップコーン片手にムシャムシャと映画が始まるのを待つ一人ぼっちの僕。オマケに転んでしまって絨毯の上にポップコーンをぶちまける大失態。どうなってんだ、大阪。

映画が終わり、さすがにもう深夜3時なのでどこかで寝ようと、インターネットマンガ喫茶に行ったのですが、「ナニワ金融道」を熟読してしまい、朝まで眠れないという散々な状況でした。どうなってんだ、大阪。

しかも、朝になってマンガ喫茶を出る時、僕は利用料金を大幅に勘違いしていたらしく、あり得ない料金を請求されました。もう、大阪って最悪。

こんな風にですね、徹底的に大阪を叩きまくっている僕です。これを読んでいる大阪の人なんか気分を害されるかもしれません。でもね、本当は大阪という街が好きなんですよ。確かに、僕は大阪が好きなんですよ。

そりゃ確かに、ホテルを締め出されたり、マクドナルドでオツリをちょろまかされたりとか、他にもイベント台!と称されたパチンコ台で大負けぶっこいたこともありますよ。それだけ大阪には酷い目に会わされているのに、それでも大阪に行き続ける僕。きっと、大阪に住んでいる皆のことが好きなんだと思うんだ。

確かに酷い街だけど、そこに住んでいる人たちは面白くて信頼に足る人物で、そいでもって一緒に遊ぶと何とも楽しい。だから僕は大阪に惹かれていると思うんだ。酷い街だけど、そこに住んでる友人達は信頼に足る人物。

だから、そんな友人達のオフ会があるから、せめてオフ会には遅刻しないよう、みなの盛り上がっている雰囲気を遅刻で台無しにしないよう、わざわざ前日入りしてまでオフ会に備える僕。あり得ないマッドシティで孤独に一夜を明かしてまで、オフ会に備える僕。そこには信頼に足るフレンドたちが待ってるはずだから。

そうそう、マンガ喫茶で夜を明かし、なんか髭もぼうぼうに伸びてしまって、しかもマンガ喫茶にクーラーが入っていなかったものだから異様に汗臭い僕。さすがにこれでは信頼に足る友人達の気分を害してしまう。

だから、僕は朝っぱらからサウナに行ったんだ。サウナに行って汗を流し、髭を剃って、新しいTシャツまで購入してオフ会に備える僕。それがディアフレンズに対する最低限の礼儀だから。

9時15分に梅田の街を出発し、オフ会集合場所である長居を目指す。地下鉄長居3番出口に10時集合。このペースで行けば遅刻もしない、おまけに爽やかさ満載で爽やかオフに合流できる。

大阪は酷い街だったけど、きっとオフで会う友人達は素晴らしいと思う。もう考えるだけで今からワクワクする。なんて素敵なんだ、大阪に住まわす友人達はなんて素敵なんだ。

さあ、約束の10時だ。もう目の前が待ち合わせ場所である3番出口だ。これからめくるめくオフ会が待ってるはず、昨晩は梅田で散々だったけど、きっとそんな思いを吹き飛ばすほど素晴らしいオフが待ち構えているに違いない。素敵な信頼に足る友人達と楽しいオフ会が繰り広げられるに違いない。もう、ドキドキで集合場所へと赴いた。

いや、誰も来ないんですけど。

10人くらいは参加メンバーとして名を連ねていたはず。なのに集合場所には参加者の欠片すら見当たらない。参加者どころか主催者とか幹事とか全く見当たらない。普通に爺さんとかが昼寝してるだけだったよ。

誰も来ないのに地下鉄長居駅3番出口で仁王立ち。集合場所で鬼無双。結局アレだ、僕以外全員が遅刻みたい。

一番遠方、広島から前日入りし、梅田の町で途方もなく酷い仕打ちを受けながらもオフ会のためだけに頑張った僕。なのに、当のオフ会メンバーからはこの仕打ち。あり得ないほどの仕打ち。

もうなんというか、人間とか信頼とか、全てが信じられなくなったね。さすが大阪、信頼してたオフ会メンバーまでこの仕打ちだぜ。

結局、皆と合流できたのは11時30分ぐらいで、張り切って9時45分くらいから集合場所で待ち構えてた僕は、なんか可哀想な人みたいになりながら炎天下に仁王立ちしてました。通行人にお金とか恵んでもらっても可笑しくない状況だったけど、さすが大阪、誰一人恵んでくれなかったぜ。ホント、あり得ない。大阪、ありえない。

あと、大阪入りしている間、自動更新をセッティングしてサイト更新だけはシッカリやろうと考えていたのですが、マシンがフリーズしたみたいで全く更新されてませんでした。これも大阪が悪いとしか考えられない。更新間隔が空いてしまったのは全ては大阪が悪い。

信じていた最後の一線にすら裏切られた僕。事件は会議室で起きてるんじゃない、大阪で起きてるんだ!と叫びたい気分です。

大阪は死ね!七回死ね!一刻も早く大阪が地図から消える日が来ることを願っています。


7/20 Numeri日記の作り方

たまにですが、「毎日あんなにも長い日記をどうやって書いてるんですか?」と尋ねられることがあります。これはもう僕としても「キーボードでタイピングして書いてます」と答えるしかないのですが、さすがにそれでは質問の回答としてはあまりに不親切。そこで、今日はちょっと「作り方」とか書くと凄く偉そうなんですが、僕がどのようにして日記を書いているかご紹介したいと思います。

まずはじめに、僕の日記執筆手法としましては、「下から書く」というものが挙げられます。早い話がオチから書く。いや、オチは最後に書きますから、正確にはクライマックス部分を最初に書くということになります。実際に起こった事実を簡潔にクライマックス部分として据え、日記を書き始めます。

例えば、「泡だらけになったヌルヌルのゴキブリが襲いかかってきた」という事実があります。これは実際に僕の身に起こった出来事なのですが、これを日記のクライマックスに持ってこよう、と考えるわけです。この時点で他の部分は何一つ考えられていません。

さらに、「泡だらけになったヌルヌルのゴキブリが襲いかかってきた」だけでは、読んでいる人を笑わせることはなかなか難しいと予想されます。そこで、このクライマックス部分を多少肉付けします。

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1.
泡だらけになったゴキブリが襲いかかってくるんです。

もうなんかヌルヌルで、その黒いバディを悪魔のように光らせて突進してくるんですよ。

まるでキチガイのように、子猫を失った母猫のように、猛然とゴキブリが僕に向かって突進してくるんです。ダッシュダッシュダッシュ!キックエンドダッシュ!といった趣で、まさに僕を殺ってやる!という気概で突進してくるんですよ。まさに気迫とか闘魂とか、そんな類の熱いゴキブリだったね。殺されるかと思った。

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これでクライマックス部分は完成です。
あと、さらにこの後に起こった事実を付属して書き加えます。

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2.
しかもなんか、僕が手に持ってたエロ本とかで叩き殺そうとするんですけど、それを敏感に察したゴキブリのヤツ、ブヒヒーンとか飛ぶんですよ。泡だらけになって、僕の目にめがけて飛んでくるの。喧嘩になったら相手の目を狙えって鉄則があるけど、まさにその戦法を実践してるわけですよ。このゴキブリは。

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1と2を足すことによって、日記の後半部分はほぼ完成です。あとは、どうしてゴキブリが泡だらけになって襲いかかってきたのか、という部分を読者に伝える必要があります。

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3.
ほら、なんか「知って得する!家庭雑学!」みたいなヤツでやってるじゃないですか。ゴキブリが現われたら洗剤をかけろ、そうしたらすぐに死ぬから、とかやってるじゃないですか。

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これで十分にゴキブリが泡だらけになっていた理由が説明できるのですが、これではいまいちパンチ不足。そこで、その脇にある薀蓄を語り、頭の悪いお姉ちゃんなどに微妙にアッピールします。

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4.
「洗剤をかけたらゴキブリが死ぬ」なんてのは、別にゴキブリが汚い生物で、それを洗い落とすから洗剤が良く効くって訳ではなく、洗剤の持つ特性に由来する部分が大きいのですよ。

洗剤ってのは、いわゆる「界面活性剤」と呼ばれるもので、同じ分子中に油に良く馴染む部分と、水に良く馴染む部分を持ち合わせています。つまり、普段は相反する水と油をくっつける働きをしているわけです。だから油を主体とする汚れなんかが洗剤を使うと水と馴染んで落ちるわけ。

ですから、ゴキブリなんてのは油の塊みたいなものですから、洗剤をかけると、洗剤中の油に馴染む部分がボコボコとゴキブリにくっつくんですよ。そうすると、ゴキブリの呼吸をする部分が洗剤によって塞がれてしまうことになり、そのまま窒息して昇天となるわけなんですよ。

原始的に新聞紙やらを丸めてゴキブリを叩き潰すのではなく、知的に理系っぽく、理論的にゴキブリを退治する僕。なんてカッコイイ

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これで、アッパーパーなお姉ちゃんにアッピールすることができました。これで「patoさん素敵、抱いて」とかメールが来るだろうと期待します。さらに、「知的にゴキブリを追い詰める」という前フリができましたので、クライマックスの記述の部分に加筆をし、少しばかり流れに繋がりを持たせます。

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1.
泡だらけになったゴキブリが襲いかかってくるんです。

もうなんかヌルヌルで、その黒いバディを悪魔のように光らせて突進してくるんですよ。

まるでキチガイのように、子猫を失った母猫のように、猛然とゴキブリが僕に向かって突進してくるんです。ダッシュダッシュダッシュ!キックエンドダッシュ!といった趣で、まさに僕を殺ってやる!という気概で突進してくるんですよ。まさに気迫とか闘魂とか、そんな類の熱いゴキブリだったね。殺されるかと思った。もう知的な僕じゃいられない。夢見る少女じゃいられない。

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1番の部分にこう書きますと、2番の部分が物足りなくなってきます。知的と相反し、もっとクレイジーに取り乱している描写が欲しくなってくるところです。そこで、2番をもうちょっとクレイジーに書き換えます。

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2.
しかもなんか、狂ったサルのように、彼氏に浮気されて怒り狂ってハンドバックで乱れ打ちをする女のように、ウキーッてな感じで手に持ってたエロ本とかで叩き殺そうとするんですけど、それを敏感に察したゴキブリのヤツ、ブヒヒーンとか飛ぶんですよ。泡だらけになって、僕の目にめがけて飛んでくるの。もう呼吸が止まる止まる。死ぬる死ぬる。まさにパニックルーム。

喧嘩になったら相手の目を狙えって鉄則があるけど、まさにその戦法を冷静に実践してるわけですよ。この泡ゴキブリは。

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最初の冷静な僕とは対照的に取り乱す僕。さらにそれと対照的に冷静に的確な攻撃を行うゴキブリという図式ができあがりました。

ここまで書いてみて、このお話の主題は「ゴキブリには洗剤が効果的」という聞きかじった情報を実際に実行し、とんでもない目にあった、という部分にあることが見えてきます。

そこで、この事実から連想を行い「百聞は一見にしかず」という言葉を大元的な主体に据え置きます。これを下に、日記の出だし、導入部分を作成します。辞書を開いたりしてこの諺に対する正確な知識も仕入れておきます。

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5.
「百聞は一見にしかず」という言葉があります。

ご存知のとおり、何度聞くよりも一度実際に見て知り、確かめる方がよく分かるといった意味を含むものです。

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日記の導入部分は、多くの人の関心を引き寄せる内容でなくてはいけません。そうでなくてはこれだけの長文を読んでくれる人はなかなかいない。なるべく多くの人が読む気になるよう、事例を交えて主題部分を分かりやすく説明します。

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5
「百聞は一見にしかず」という言葉があります。

ご存知のとおり、何度聞くよりも一度実際に見て知り、確かめる方がよく分かるといった意味を含むものです。
 
例えば、アフリカ地方の飢餓の問題など、話に聞くだけではどれだけ残酷な状態なのか伝わりにくく、なかなか募金をする気も起きないものです。しかし、実際にアフリカに赴き、その飢餓の様子を目の当たりにした人ならば、「自分も何かしなくちゃならない」などと心動かされたりするものです。

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さらに、ここから文量稼ぎとして、少しばかり話を膨らませます。やはり生きている人間が書いているものですから、時事問題などタイムリーな話も絡めます。それとなく、先に書いたクライマックス部分と繋がるような流れにすることも忘れてはいけません。さらに、ゴキブリクライシスのバカらしさを盛り上げるため、この部分はなるべく真面目に記述する方が望ましくなってきます。

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6
自衛隊のイラク派遣にしてもそうで、どれだけ現地の治安が悪化しているか、どれだけ危険なところに自衛隊員が赴くことになるのか、ニュースを聞いているだけの我々や政府のお偉方には伝わってこないのです。実際に知るのはイラクを訪れた自衛隊員だけ。

我々人類の発展は、好奇心に寄る部分がかなり大きい。これをこうしたらどうなるのか?どうやったらこれができるのか?知りたいという思いが科学を発展させ、人類の進歩を大きく支えてきました。

しかしながら、同時に我々は、身の安全を守るという生物本来の防衛本能を有しています。どんなに好奇心が働こうとも、これを実際にやってしまったら自分の身が危険じゃないだろうか、危なくないだろうか、となかなか行動に移せないものなのです。

百聞は一見にしかず。とは言うものの、行動と伝聞のバランスが程よく取れていることが大切なのです。何事も実際に確かめるでは、体と命がいくつあっても足りません。

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そろそろ徐々にシフトダウンし、後半のゴキブリクライシスにつなげやすくします。この辺はやや強引でも構いません。

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7
例えば、僕がよく日記などに記述する「コンビニで見かけるカップルはむかつく」という情報。これも聞いているだけでは、「ああ、ムカつくんだな」と思う程度で、その本質を窺い知ることはできません。

けれども、「百聞は一見にしかず」と、実際に週末夜のコンビニに赴き、ドリンクコーナー前でイチャイチャと絡み合う風呂上りカップルを見たりなんかすると、この言葉の真の意味が分かったりするものです。それと同時に、ムカムカと精神的に健全ではない状態になり、下手したら殴りかかってしまいそうな状態に陥ったりするのです。すると、喧嘩の強そうな彼氏に返り討ちにあったりする危険性も格段に高まるのです。

真実を知ることは、いつも危険で心苦しいもの。それを踏まえて「百聞は一見にしかず」という言葉を使わなければならないのです。何でもかんでも確かめて知れば良いという問題ではない。

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さあ、ここまで書けばほぼ完成です。あとは前半の導入部分と後半のゴキブリクライシス部分を繋ぐジョイント部分を書けば完成です。

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8
先日も、こんな事件がありました。

いつもの如くアパートの部屋でエロ本を読み、物思いに耽ったりオナニーに耽ったりしていたのですが、すると壁際から異様な存在感が漂ってきたのです。圧倒的存在感で、僕を地獄の底に叩き落すような生物が迫り寄ってきていたのです。

そう、それはゴキブリ。一人ぐらしパートナー。汚い部屋のパートナー、ゴキブリ。3センチはあろうかというゴキブリが、まるで僕のことを監視するかのように壁際に佇み、ジッとこちらを伺っておりました。

勘違いしないでいただきたいのですが、僕はゴキブリ程度で取り乱す男ではありません。「あら?ゴキブリかしら?」と、まるで午後のティータイムのような優雅さで彼に対して心の余裕すら見せつけていました。

そして、「無益な殺生などしたくないのだが、仕方ない」とソッと心でつぶやくと、台所に行って洗剤を手にしたのでした。

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この8番が3番に繋がります。そして4番に繋がり、1番に繋がるのですが、4と1の間の繋がりがいまいち悪いので、その部分を書き足します。

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9
それでまあ、壁に佇むゴキブリに、英国紳士のような落ち着きで洗剤をふりかけたんですよ。少し泡立たせ、ゴキブリが漬かる位の量の洗剤を、「グッバイ、エイジダテ」とか呟きながらモリモリとふりかけたんですよ。

その瞬間でした。

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これでほぼ完成。繋げる順番としては、5,6,7,8,3,4,9,1,2となります。微妙に繋がり部分を修正しつつ、さらにクレイジーな表現を織り交ぜて装飾を行い仕上げにかかります。そして、最後にオチ部分を書いて纏めて完成です。

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7/20 百聞は一見にしかず

「百聞は一見にしかず」という言葉があります。

ご存知のとおり、何度聞くよりも一度実際に見て知り、確かめる方がよく分かるといった意味を含むものです。
 
例えば、アフリカ地方の飢餓の問題など、話に聞くだけではどれだけ残酷な状態なのか伝わりにくく、なかなか募金をする気も起きないものです。しかし、実際にアフリカに赴き、その飢餓の様子を目の当たりにした人ならば、「自分も何かしなくちゃならない」などと心動かされたりするものです。

自衛隊のイラク派遣にしてもそうで、どれだけ現地の治安が悪化しているか、どれだけ危険なところに自衛隊員が赴くことになるのか、ニュースを聞いているだけの我々や政府のお偉方には伝わってこないのです。実際に知るのはイラクを訪れた自衛隊員だけ。

我々人類の発展は、好奇心に寄る部分がかなり大きい。これをこうしたらどうなるのか?どうやったらこれができるのか?知りたいという思いが科学を発展させ、人類の進歩を大きく支えてきました。

しかしながら、同時に我々は、身の安全を守るという生物本来の防衛本能を有しています。どんなに好奇心が働こうとも、これを実際にやってしまったら自分の身が危険じゃないだろうか、危なくないだろうか、となかなか行動に移せないものなのです。

百聞は一見にしかず。とは言うものの、行動と伝聞のバランスが程よく取れていることが大切なのです。何事も実際に確かめるでは、体と命がいくつあっても足りません。

例えば、僕がよく日記などに記述する「コンビニで見かけるカップルはむかつく、殺したい」という情報。これも聞いているだけでは、「ああ、ムカつくんだな」と思う程度で、その本質を窺い知ることはできません。

けれども、「百聞は一見にしかず」と、実際に週末夜のコンビニに赴き、ドリンクコーナー前でハメ撮りしかねない勢いでイチャイチャと絡み合う風呂上りカップルを見たりなんかすると、この言葉の真の意味が分かったりするものです。それと同時に、ムカムカと精神的に健全ではない状態になり、下手したら殴りかかってしまいそうな、オレが雷(イカズチ)を落とせる存在だったら、裁きの雷で焼き尽くしてやるといった精神状態に陥ったりするのです。すると、喧嘩の強そうな彼氏に「なに見てるんだよ」などと返り討ちにあったりする危険性も格段に高まるのです。

そう、真実を知ることは、いつも危険で心苦しいもの。それを踏まえて「百聞は一見にしかず」という言葉を使わなければならないのです。何でもかんでも確かめて知れば良いという問題ではない。

先日も、こんな事件がありました。

いつもの如くアパートの部屋でエロ本を読み、物思いに耽ったりオナニーに耽ったりチンゲを焼いたりしていたのですが、壁際から異様な存在感が漂ってきたのです。圧倒的存在感で、僕を地獄の底に叩き落すような生物が迫り寄ってきていたのです。

そう、それはゴキブリ。一人ぐらしパートナー。汚い部屋のパートナー、ゴキブリ。3センチはあろうかというゴキブリが、使い込んだ30年物のチンコのように黒光りしたゴキブリが、まるで僕のことを監視するかのように壁際に佇み、ジッとこちらを伺っておりました。

勘違いしないでいただきたいのですが、僕はゴキブリ程度で取り乱す男ではありません。「あら?ゴキブリかしら?」と、まるで午後のティータイムのような優雅さで彼に対して心の余裕すら見せつけていました。

そして、「無益な殺生などしたくないのだが、仕方ない」とソッと心でつぶやくと、台所に行って洗剤を手にしたのでした。

ほら、なんか「知って得する!家庭雑学!」みたいなヤツでやってるじゃないですか。ゴキブリが現われたら洗剤をかけろ、そうしたらすぐに死ぬから、とかやってるじゃないですか。

「洗剤をかけたらゴキブリが死ぬ」なんてのは、別にゴキブリが汚い生物で、それを洗い落とすから洗剤が良く効くって訳ではなく、洗剤の持つ特性に由来する部分が大きいのですよ。

洗剤ってのは、いわゆる「界面活性剤」と呼ばれるもので、同じ分子中に油に良く馴染む部分と、水に良く馴染む部分を持ち合わせています。つまり、普段は相反する水と油をくっつける働きをしているわけです。だから油を主体とする汚れなんかが洗剤を使うと水と馴染んで落ちるわけ。

ですから、ゴキブリなんてのは油の塊みたいなものですから、洗剤をかけると、洗剤中の油に馴染む部分がボコボコとゴキブリにくっつくんですよ。そうすると、ゴキブリの呼吸をする部分が洗剤によって塞がれてしまうことになり、そのまま窒息して昇天となるわけなんですよ。

原始的に新聞紙やらを丸めてゴキブリを叩き潰すのではなく、知的に理系っぽく、理論的にゴキブリを退治する僕。なんてカッコイイ。

それでまあ、壁に佇むゴキブリに、英国紳士のような落ち着きで洗剤をふりかけたんですよ。少し泡立たせ、ゴキブリが漬かる位の量の洗剤を、「グッバイ、エイジダテ」とか呟きながらモリモリとふりかけたんですよ。

その瞬間でした。

なんか、泡だらけになったゴキブリが襲いかかってくるんですよ。

死ぬどころの話じゃなくて、逆に元気になってるの。バイアグラ使った中年男性みたいに元気になってるの。もうなんかヌルヌルで、その黒いバディを悪魔のように光らせて突進してくるんですよ。

しかもなんか、狂ったサルのように、彼氏に浮気されて怒り狂ってハンドバックで乱れ打ちをする女のように、ウキーッてな感じで手に持ってたエロ本とかで叩き殺そうとするんですけど、それを敏感に察したゴキブリのヤツ、ブヒヒーンとか飛ぶんですよ。泡だらけになって、僕の目にめがけて飛んでくるの。もう呼吸が止まる止まる。死ぬる死ぬる。まさにパニックルーム。

喧嘩になったら相手の目を狙えって鉄則があるけど、まさにその戦法を冷静に実践してるわけですよ。この泡ゴキブリは。なかなかやるじゃねえか。

結局、泡を身に纏いったやけにメルヘンチックなゴキブリに徹底的に追い回されるという失態を演じてしまった僕。全てはゴキブリに洗剤をかけたら本当に死ぬんだろうか?という好奇心が、「百聞は一見にしかず、殺ってみるか」という思いが悪いのです。それさえなければゴキブリに追い回されることはなかった。

疑問に思ったこと全てを実践していては、身が持ちません。魂が持ちません。「好奇心猫をも殺す」なんてまさにそれ。全てを実践するなど、これほどバカげたことはないのです。100回聞いたもののうち、1回くらいは実践してみるといいかもね、それぐらいのバランスが丁度いいのではないかと思います。

「百聞は一見にしかず」、この言葉の真の意味は、100回疑問に思ったら、1回実践してみよう。それぐらいが丁度いいよ。ということなのかもしれません。

つまり、100回ゴキブリを見たら1回だけ洗剤をかけてみよう、ってことです。それぐらいが丁度いい。

まあ、100回ぐらい、3日もあれば見るけどな。

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これにて完成。

そして、全体をザラッと読んでみて、「うわっ!つまんねえ日記!」と自己嫌悪に陥り。「全部ボツ!」と全消去して1から書き直したりします。毎日そんな感じです。

Numeri日記の作り方 おしまい


7/19 クレイジー企画

「オレ プロジェクト サンカ スル」

何故かカタコトな上司の一言により、業界では死のプロジェクトと恐れられているプロジェクトへの参戦が決定的となりました。我が職場の構成員全員が体と魂を削って仕事に励むことになりそうです。

ホント、ウチのイカレポンチ上司のヤツはフィーリングで仕事を決定しやがるので始末に終えません。彼の何気ない一言でどれだけ僕ら下っ端が苦しむか、どれだけ徹夜を強いられて体調を壊すのか分かっていないのです。

それでまあ、適当に決定を下す上司に、それの尻拭いで徹夜する僕ら。そんなの知らぬ顔で定時に帰宅し、行きつけの「スナック アリババ」に通うクサレ上司。ホント、この世はいつも腐ってる。このクサレ上司のヤツはいつか同僚に刺されるんじゃねえかな。もしくは練炭で殺されるかも知れん。

でまあ、普段なら職場大革命の名の下、我々下っ端が蜂起し百姓一揆やら打ち壊し、いいじゃないかいいじゃないかと踊り狂ったりするはずなのですが、上司の犬と成り果てたクソ同僚どもは従順に従うのみ。

ただただ、鬼のように与えられた仕事をこなすのに躍起になって、自分を犠牲にして大ハッスル。死のソナタを奏でるかのように狂ったように仕事をしています。全ては上司に誉められるため。上司に誉められると、まるで人生最高の名誉を手に入れたかのように嬉し泣き。ホント、北の国か、ここは。

それでまあ、僕としては、仕事をする気などさらさらなく、プロジェクトなんて関係ねえよとランナウェイしたいところなのですが、さすがに同僚どもが命を削って仕事をしているというのに、僕だけ日記を書いて差異と更新、家に帰ってオナニーでは鬼ではないですか。鬼というより、人として最低限のレベルを満たしていないような気がするではないですか。

ということで、今日はちょっと同僚どもの仕事を手伝うので、日記をお休みしようと思います。しかしまあ、これだけではなんですので、100万ヒット記念に行われるクレイジーな企画の告知を行いたいと思います。日程が決定しましたので、その辺をモリモリと告知。

100万ヒット記念企画 サンクスヌメラーズウィーク2

8/23 PM10:00-8/24 PM10:00
ぬめぱと変態レィディオ24時間生放送スペシャル

帰ってきた変態レィディオ。「心霊スポット訪問」「深夜のpatoさんクッキング」「ネカマタイム」などの人気コーナーももちろん、「ハズカシポエム大会」「教えてpatoさん」「初体験告白コーナー」「お風呂ラジオ」「オナニーラジオ」などなど盛りだくさん。笑って泣けて眠たくなる24時間を過ごせます。巷で話題騒然の「ぬめっ娘。」も!?

8/25 代打日記祭

patoさんが代打日記を書いて書いて書きまくる、まるで地獄の荒行としか思えない企画。数十サイトに掲載される変態日記。一日限りのヌメリジャック。君は果たして全部読むことができるのか!?現在は55サイト様の応募を受け付けております。勝手に書いて送るやつも含めると60以上の日記が一日のうちに!

8/26 カキモノ祭

カキモノ、3本は書きます。たぶん、3本は・・・。予定では「暴走族と対決する」「ヌメラーからの挑戦状3〜軍事兵器を求めて〜」「ひとりDE運動会」になる予定ですが、つまらなかったらボツになります。

8/27 トップ絵祭

罰ゲームとしか思えないトップ絵をpato画伯が渾身の力で描きます。そして応募の会った全てのサイトにプレゼント。サイトトップに飾ってもらいます。みんなが泣き叫んで嫌がるの考えると筆にも力が入る入る。現在は22サイト様の応募が。代打日記と比べると応募数が半数以下ということからも皆様の嫌がりようが伺えます。

8/28 マイ芸能人ランキングスペシャル

開設当初からあるコーナーなのに、全く日の目を見ることなっかたこのコーナー。この日ばかりは主役です。ありえないような拡大版で一挙掲載。マニヤックな芸能人ランキングファンの方、必見です。

8/29-終了未定
リアルタイム更新4 -死亡遊戯-

キチガイ連続更新企画が1年ぶりに帰ってきた。リロードよりも早く、呼吸よりも数多く、不眠不休で更新しまくり。一体何時間やれるのか。何回更新できるのか。今回もplalaサーバーはぶっ飛んでしまうのか。乞うご期待!!

ということで、超絶にクレイジーな企画てんこ盛りの一週間。きっと第一弾のラジオの時点で死亡するに違いない。皆さんも、是非是非8月最終週はパソコンの前でヌメリ漬けの毎日を過ごしてください。損をすること請け合いです!ヌメリと共に去り行く夏を一緒に惜しみましょう。魂と命を削って頑張りますので。

思ったんだけど、このような企画に心血注いで魂と命を削るより、仕事で魂と命を削っている同僚の方が何倍も有意義な気がする。


7/18 最狂親父列伝〜愛情編〜

中学生の頃、弁当の時間が何より嫌いだった。

僕の通っていた中学は、給食とかそういった粋な制度はなく、昼休憩になると家から持ち寄った弁当を広げ、酒池肉林の如く大弁当大会が繰り広げられていた。

皆それぞれ、母親が早起きして愛情込めて作った暖色系の弁当を美味しそうに食べていた。ウィンナーがタコだったり、野菜をハムに包んだヤツが入っていたり、とにかく手の込んだ弁当たちが並んでいた。さながら、お母さん達の弁当テクニック競技会の様相を呈していた。

ウチの母親は、病弱で体が弱く鬱病でアル中腎臓も摘出しちゃって片方しかないっていう、不健康の三冠王みたいな女性で、いつもいつも「体の調子が悪い」と言っては塞ぎこんでいた。入退院を繰り返し、家にいたとしても寝込んでいることがほとんどだった。

当然ながら、そんな母親に早起きして弁当を入れろなどと酷なことを言えるはずもなく、僕も弟もいつも弁当を持たぬまま学校に通っていた。母親の体の調子が良い時などは稀に入れてもらうこともあったが、それでもほとんどがノー弁当状態だった。

給食制度のない我が中学校には、僕のような事情を持つ生徒やら、さらに複雑な家庭環境を持つ生徒に配慮し、「パン注」とかいう奇妙な制度があった。パンを注文するからパン注などと安易なニックネームで呼ばれていたが、これがまた鬼無双のようにとんでもアニマルな制度。

まず、朝学校に到着すると、8時50分とかそれぐらいの時間までにパン注表なる所定の用紙に欲するパンの名前を書き込まなければならない。その日の日直がそのパン注表を収集し、数量に応じた金を徴収する。

日直業務はハードで、なかなか端数の多い半端な値段設定をかいくぐり、なんとか金の計算を合わせて、1限目の授業終了後の休憩時間までに購買部に金とパン注表を提出しに行かねばならないのだ。その後購買部が地元のパン屋さんに注文を行い、昼休憩には学校にパンが届くというシステムになっていた。

真面目な人が日直を担当する日なら良いのだが、ウンコのような不真面目なヤツや、僕のようにズボラなヤツ、伝説的不良などが日長を担当する日はとんでもない。

まず、パンの数量と金額を合わせるために計算することを端から拒否してるバカがいる。計算はしたものの、1限目後の休憩時間に遊び呆けてしまい購買部にパン注表を提出するのを忘れるバカもいる。伝説的不良なんか、日直業務を拒否することがカッコイイと勘違いしているらしく、パン注表を見せても微動だにしない有様だった。あと、注文する側が寝坊して、日直に提出する期限である8時50分を1秒でも過ぎたら注文できないというシビアな世界も展開されていた。

僕らパン注組が、昼休憩の弁当時にパンにありつける確率は5割程度で、ほとんどがパンにありつけない寂しい昼休憩を過ごしたものだった。

それでも、弁当などは机のフォーメーションを班の陣形にし、グループで仲良く歓談しながら食べるという鉄の掟があった我がクラス。当然、弁当もないパンも注文できなかったといっても、班からはみ出して行動することは許されなかった。

昼休憩の弁当時間、暖色系の弁当の上を楽しげに箸を踊らせ、タコさんウィンナーを頬張る班のメンバー、それを物欲しげに何もない机に座って見つめるのがパン注がない日の日課だった。それはそれは惨めなもので、ハッキリ言って拷問に近いようなものだった。

また、幸運にもパンにありつけたとしても、それはそれ、パン注に対応したパンの種類が3種類ぐらいしかなかったため、どのパンも食い飽きるほどに食い飽きたパンという状態。全く持って昼食を楽しむという雰囲気ではなかった。パンがあっても不幸、なくても不幸という途方もない状態。

多分、それからじゃないだろうか。この当時に弁当や昼飯で惨めな思いやひもじい思いをしたからじゃないだろうか。未だに僕は手作り弁当ってヤツが嫌いだし、昼飯を食べる習慣がない。朝飯も食べる習慣がないものだから、朝昼と抜いて夜に3回食べることもザラにある。そんな滅茶苦茶な食生活だ。全てはきっと、あの当時の弁当にまつわるエトセトラに起因すると考えられる。

けれども、誰が悪いわけではない。僕が弁当でひもじい想いをしようが惨めな思いをしようが、それは誰のせいでもないのだ。そういった弁当システムを強いていた中学校が悪いわけでもないし、弁当を作らなかった母親が悪いわけではない。無理に給食システムを導入するなど途方もない話だし、弁当を作らないからと病弱な母を責める訳にはいかない。

世の中ってのはいつだって不平等なもの。あからさまな不平等が平然と存在し、いつだって僕らは他人との格差の仲で生きている。誰もが同一ライン上で存在することなどあり得ない。いつだって自分と他人は違うし、圧倒的な差異が存在する。なのに、世の中は平等を装い、皆が公平で一直線上に並んでいるかのように錯覚させる。

弁当一つ取ってみても、味グルメみたいな弁当を有するご子息もいれば、僕のように何もないガキもいる。けれども表面は全員で着席し、楽しく昼食をとってるかのように装う必要がある。その表面上の平等が、さらに不平等感を増幅させるとは大人たちは思いも寄らないのだ。

そんな風にして、弁当のない惨めな自分を受け入れ、なんとかお昼になっても腹が減らない体質を手に入れた僕。次第にパン注自体もやらなくなり、朝に親父から貰うパン代500円を学校帰りにゲームセンターで使う日々が続いた。

腹は減らないものの、やはり毎日のように弁当もなし、パンもなしという状態は異常なもので、そんな生活が2ヶ月も続いた頃に、不審に思ったのか不憫に思ったのか知らないけど、班員が担任に密告を行った。

当然ながら、そのまま他人から、「pato君はいつも昼ごはんを食べていないみたいなんですけど」と連絡が行く。その頃、母親は長期に渡って入院しており、他人からの連絡をウチのキチガイ親父が受け取った。

それを聞いた親父は激怒した。

毎日パン代500円を渡しているはずなのに、どうしてオマエは昼飯を食べないのか。いつも、他の皆が弁当を食べてる時に何もせずにいるなんて、パン代すら渡してないみたいでみっともないじゃないか。そもそも、毎日渡している500円を何に使ってるんだ、とまあ修羅の如く、烈火の如く怒りのアフガンと化していた。

さすがに、500円は毎日ゲームセンターで使ってた。領地を拡大していくと下から女の人のヌードが出てくるゲームに使ったと言えず、ただただ黙ってうつむいていた。ハッキリしない僕にさらに怒りを増幅させる親父。

「弁当もパンもいらない」

そういった僕は、何故だか知らないが泣いていた。

たぶんきっと、僕は「人生なんて不公平なもんだ」「仕方のないこと」って分かったつもりでも、それでも弁当がないことが寂しかったのだと思う。皆が母親の愛情がこもった弁当を食べているというのに、自分だけ冷たくなったパンを食べたり、何も食べなかったりというのが寂しかったのだと思う。心で割り切っていても、やはり弁当が欲しかった。

「そうか」

それを察したのかどうなのか知らないが、親父の怒りは収まり、その場はそれで終了した。

次の日の朝、なにやらトントンと台所で作業をする音が聞こえる。どうやら親父が作業しているようだった。

いつものよに部屋を出て、学校に行こうとする僕と弟に、親父は黙って弁当箱を差し出した。「もってけ」そういって照れくさそうに小汚い弁当の包みを差し出していた。

どういうことかわからないまま、その弁当を手にすると、なんというかズシリと重かった。

普段は怒ることしかない親父。全てを母親に押し付け、何も僕ら子供と関わろうとしなかった親父が、弁当を入れてくれた。弁当を欲し、不憫な思いをしている僕ら兄弟に弁当を入れてくれたのだ。

たぶんきっと、親父なりに僕らに対する愛情はあったのかもしれない。ただ、照れくさくてそれが表現できず、いつも怒ってばかりいたのかもしれない。けれども、どうしても子供が不憫な想いをしてるならと、苦手であるはずの料理に手を染め、弁当を入れてくれたのだ。

親父の隠された愛情に触れ、僕は通学しながら涙した。弁当を抱えながら涙した。涙の通学路、僕は今でも忘れない。

授業が始まり、あと4時間もすれば弁当の時間がやってくる。普段は気が重い時間なのだけど、今日ばかりは違う。なんといっても今日は弁当があるのだ。親父の入れてくれた弁当があるのだ。たまらずウキウキし、午前中は授業どころではなかったのを今でも覚えている。

そしていよいよ弁当の時間。机を班の陣形に寄せ合い、皆がカバンの中から弁当を取り出す。ここで僕はいつもは微動だにしないのだけど、今日は違う。なんといっても今日は弁当があるのだ。

颯爽とカバンから弁当を取り出すと、班員の誰もが驚いた表情を見せた。けれども、僕に気遣ってか何も言わない。あ、今日は弁当持ってきてる!と思ったに違いないのに、何も言わない。妙な雰囲気が流れるが、有頂天である僕は気にせず弁当の包みを解く。

ワクワク、今日は俺だって皆と同じ弁当持ちだぜ。親父は一体どんな弁当を入れてくれたのかな。どんな料理をレイアウトしてくれたのかな、弾む心を抑え、弁当箱の蓋を開けたその瞬間だった。

弁当箱一面に敷き詰められた山盛りのキムチがお出迎え。

まるで光を放っているかのように、偉い人の歩く先に敷かれる絨毯のように、真っ赤に敷き詰められたキムチたち。蓋を開けた瞬間から、ムワンとキムチ独特の臭いが教室中にたちこめる。「キムチくせー!」「臭いが辛い!」、まさに阿鼻叫喚の地獄絵図。平和なお弁当風景が、一瞬にして地獄のズンドコに叩き落された。

それだけならまだ良かったのだが冷静にキムチを掘り起こしていくと、その下には鯛の煮物みたいなものが一匹丸々入っていた。その下にはキムチの汁が大量に染み込んだご飯が。キムチ鯛ご飯と三層構造になっていたのだ。あり得ない(魚嫌い)

しかもその鯛、微妙に腐っているらしく、食べてみると異様な味がした。多分、弁当を入れた親父も腐っていることに薄々気がついてしまい、バレぬようにキムチを大量に敷き詰め、臭いと辛さで誤魔化そうとしたのだ。

栄養のバランスなどを考え、ファニーな小物料理が均等に詰められることが多いお弁当、しかしながら、腐りかけの鯛を一匹丸々入れるという親父の大胆っぷりに驚きを隠せない。しかも、腐ってるのを誤魔化すためにお花畑のようにキムチを敷き詰めるとかありえない。間違いなく言える、ウチの親父は狂っていると。

キムチの臭いの中に、腐った魚の臭いが混じる。あきらかに異様な臭いで、さらに視覚的インパクト抜群のマイ弁当。班員達も僕の弁当に目が釘付けだ。けれども、僕に気遣ってか誰も何も言わない。ただただ必死に臭いを我慢して自分の弁当を片付けていた。

僕は僕で、この異様な弁当を残そうものなら、烈火のごとく親父が怒ることは目に見えていたので、我慢して平らげた。特盛キムチも、腐りかけの鯛も涙を流しながら平らげた。そう、通学時に流した涙とは明らかに別種で、キチガイ親め!などと涙を流しながら食べたのだ。

ちなみに弟の方の弁当は、同じように腐った鯛が一匹丸々入っており、同じように、犬がウンコを埋めるかのごとくキムチが敷き詰めてあったそうだ。しかし、途中でキムチがなくなったためか、途中からイカの塩辛が敷き詰められており、イカの塩辛とキムチがハーフ&ハーフの状態だったらしい。弟曰く、血の入ったタンツボ、その中に鯛が入っていたらしい。どうも、弟の方が悲惨な状況のようだ。

僕ら兄弟は、未だに手作り弁当が嫌いだ。僕は誰も手作り弁当を作ってくれる人がいないという理由もあるけど、やはり手作り弁当は食べたくない。アホのようにコンビニ弁当を食べる。実家にいる弟も頑なに弁当を拒否しているらしい。

それは、中学時に毎日弁当がなくて惨めな想いや不憫な想いをしたなんていうチンケな理由ではなく、単純にこの時の弁当のインパクトが物凄かったから。だから、外から見て中身の見えない弁当箱は怖いし、最初からフタが透明で中身が見えるコンビニ弁当を何より好む。

心に強烈なトラウマを残し、モノノケの類としか思えない弁当を作ってくれた親父。さすがにキチガイには違いないのだけど、これだけは言いたい。あの時はありがとう、弁当を入れてくれて本当に嬉しかったですってな。照れくさくて言えないのだけど。


8/9 Numeri-OFF Tokyo 2003 in Tokyo Big Sight は募集を締め切りましたが、まだまだ微妙にいけます。参加希望の方はメールフォームから連絡ください。参加が微妙という方は保留という扱いで参加表明も可能ですよ。


7/17 オフ会の予約

8月9日、僕の誕生日に行われる第2回Numeri全国オフ。全国からキチガイやらヤクザモドキやら気さくな殺し屋やらが集結し、狂乱の宴を繰り広げるオフ会が魔都市東京にて開催される。

上部のNumeri情報のコーナーに記載されている告知ページへのリンクが 「Numeri-OFF Tokyo 2003 in Tokyo Big Sight」に変更されていることは賢明なNumeri読者さんなら気がついたことだろう。

最初は「Numeri-OFF Tokyo 2003 in Tokyo Dome」であったはずのオフ会名称がTokyo Big Sightに変更された、これは即ちオフ会会場の変更を意味する。東京ドームから東京ビッグサイトへの変更。これには重大な訳がある。

最初こそは、本気で東京ドームでオフをやってやろうと考えていた僕。広大なグラウンドの真ん中あたりで歓談する50人ばかりのオフ会参加者、雨天でも安心といった絵図を描いていた。しかしながら、東京ドームのレンタル料はだいたい2時間で100万円くらい。さすがにオフ会参加者から100万も徴収するのは無理な話で、こうなったらサラ金会社の無人契約機巡りをするしかない、機械の前で「ヒトリデデキタ!」と叫ぶしかない、と考えていた。

しかしながらお金の話以前に、オフ会当日である8月9日は東京ドームでは「巨人×ヤクルト戦」が行われるという二重の罠が張り巡らされていた。いくら阪神の優勝が確定的で、この試合が消化試合になること確実といっても、プロ野球を中止してオフ会など行えるはずがない。

それでも諦めることを知らないpatoさんは、不屈のスピリッツで東京ドームにテレフォン。何も汚れを知らない純粋な子供のような真っ直ぐさで、本当に東京ドームでオフ会が行えると信じて電話をかけた。以下は、その際の担当者とのやり取りである。

「もしもし」

「はい、もしもし」

「あのー、8月9日にですね・・・」

「はいはい」

「パーティーをしたいんですよ、50人前後ぐらいで」

「はぁ・・・」

「それで・・・まことに申し上げにくいのですが・・・東京ドームを貸してください」

「はぁ?」(外人のようなアクセント)

「いや、その日は巨人×ヤクルト戦があるのは知ってますよ」

「そうですね、そうなってますね」

「でもまあ、ブルペンの隅っこの方でいいから貸してくれないかと」

「・・・・」(絶句)

「五十嵐(ヤクルト)が肩を温めているその横でオフ会をやりたいなと」

「・・・・」(絶句)

このような心温まるやり取りがあり、見事に断られてしまったのです。大人の世界って汚いよね。

それでまあ、さすがに東京ドームはもう無理なので、別の会場を探さねばと方々に手を尽くしました。そして会場候補に上がったのが、新宿の高層ビルの高層部分に位置するレストラン。地上200 mから見下ろす魔都市東京の夜景が評判のオシャレなお店。

ふむふむ、地上200 mのオフ会ってのもおつなものだな、と早速レストランにテレホン。なんだか、宴会担当の女性が電話に出たのですが、ものすごくセクシャルなムッフーンとかジュテームとかいった感じの声でして、なんとなく僕は興奮や緊張や勃起が入り混じった状態になってしまったのです。

「あ、もしもし」

「もしもし」

「あのですね、8月9日にパーティーやりたいんですよ」

「少々お待ちください」

「はい」

「えっと、その日は空いてますね、大丈夫ですよ」

「そうですか、たぶん人数は50人前後ぐらいだと思うのですが」

「はい、それでしたら貸切で可能です」

「貸切ですか。そりゃ豪勢ですな」

「ええ、50人くらいなら貸切がいいですよ」

「そうですね、じゃあ貸切で」

「ちなみに、どういったお集まりでしょうか」

「どういったといいますと?」

「結婚式の二次会だとか、コンパですとか。種類によって出す料理も変わってきますから」

「ああ!そういうのですね」

「ええ、どんなお集まりで?」

「えっと・・・オ・・・オ・・・オ」(恥ずかしくてオフ会といえない)

「お・・なんでしょうか?」

「お・・・お・・・お葬式の帰りです!」(恥ずかしくてオフ会といえない)

ということで見事撃沈。ちなみに、貸切の場合は35万保証はして欲しいとのこと。つまりは最低でも35万は払わないと貸切にはできないよってこと。35万を50人ほどで割ると一人頭7000円ほどになる計算。さすがにそこまで高額なオフなんてありえない。これは頂けない。

「35万保証が無理でしたら、貸切ではなく一般のお客様と一緒になりますが」

僕としては一般の客様と一緒でも全然構わない。けれども、ここは夜景の綺麗なオサレレストランだ。当然のことながらカップルなどがワラワラと一般客として来場してくるに違いない。

ムーディーな雰囲気に、眼下に広がる新宿の夜景。店内にはジャズが流れ、少しばかりの喧騒が程よい雰囲気を演出する。彼女はそっとワインを口に運び、濡れた唇をさらに紅く染める。綺麗だ。今日、僕は彼女にプロポーズをする。指輪を渡し、彼女と共に一生暮らすことを約束するのだ。多分きっと彼女もOKするだろう。そう、僕ら二人の人生はここから始まるんだ。さあ、いくぞ、プロポーズしよう。

そんな横で繰り広げられるオフメンバーの乱痴気騒ぎ。ムーディーな雰囲気を破壊しつくすように大騒ぎするに違いない。乳首にキンカンとか塗りだすに違いない。いくら「カップルは死ね、七回死ね!」が口癖の僕だって、さすがにこれは心苦しい。ということで、この店もパス。

で、方々手を尽くした結果、オフ会の会場はオタクの聖地、コミケの聖地で知られる東京ビッグサイトに決定しました。まさかビッグサイトが貸してくれるとは思わなかった。以下は東京ビッグサイト担当者とのやりとり。

「8月9日にオフ会をしたい」(もう開き直ってる)

「はい、大丈夫ですよー、何人くらいですかー」

「え?マジで?」

と、トントン拍子に決定いたしました。拍子抜けするほどあっけなく会場予約が完了してしまいました。

ということで8/9に開催されるNumeri全国オフin東京。東京ビッグサイトで皆さんのご来場をお待ちしております。今度こそは地べたに座ったりとかみっともない真似はしないでください。広島オフの二の舞だけはやめてください。

参加者の皆様、8月9日、東京ビッグサイトでお会いしましょう。いくらオフ開催日が僕の誕生日だからって、プレゼントとかいいですから。ホント、気を使わなくていいですから。マジでいいですから。アイドル物のDVDとかホント、いいですから。


7/16 女の子の不思議

いっつも思うんだけどさ、女の子って不思議だよな。

まず、なんであんなナマコみたいなのが股間についてるのか理解できない。いやな、生殖器だってのは分かってるけど、何もナマコにすることないやん。もうどっから見てもナマコやん。もっとファニーに、キティちゃんみたいな形しててもいいと思うのに、なぜだか股間にそびえるナマコ。もう不思議すぎて理解できない。

それよりなにより、もっと理解できないのが、なんで女の子は服を着て街を歩いてるのかって部分。

いやな、「服を着て歩くのは普通だろ」ってツッコミたい気持ちも分かりますけど、それはあまりに固定観念にとらわれすぎ。頭が固すぎ。落ち着いて考えても見てごらんって、どう考えても女性ってのはサービス精神が不足しているから。

まず、僕が女だったら、間違いなく服を着ずに街に繰り出すね。サービス精神旺盛な僕のことですから、間違いなく裸で街を闊歩する。それで世の男性を喜ばせるわけだよ。乳をワサワサと揺すって、道行く男を誘惑しながら街を歩く。それを見て殿方どもはウホッとか股間を怒張させるわけだ。前かがみになるわけだ。俺様の裸で。

しかも、非モテにも優しく、もう非モテを捕まえてはおセックスだね。あんまりする機会がないのね、可哀想に、いいわ、私がしてあげる、とおセックスしまくり。サービス精神旺盛に、ラテンのノリで気さくにおセックスするね。そいでもって影では「精液便器」だとか「ヤリマン」だとか揶揄されるのだけど、それでも非モテとおセックスしまくる。サービス精神満点だから。

とまあ、僕が女だったら間違いなくブスであることは確定なのだけど、それでもやっぱ殿方や非モテのために大サービスをするよ。もう男性が喜ぶようなことをしまくる。

僕が女になったら、こんなにまでサービスする気なのに、現状の女性達は全く持ってサービスする気配がない。街を歩けば洋服を身に纏い、自らの裸を出し惜しみしやがる。

もっとこうさ、ズババーンとサービスすればいいのに、スッポンポンで街を歩けばいいのに、全然そんな素振りがない。ちょっとくらいサービスしてくれてもいいのに、一向にそういったムーブメントが起きる様子がない。ホント、これが不思議でたまらない。不思議、不思議、藤木。

でもまあな、全部の女性にサービスしてくれって言ってるわけじゃないんだよな。やっぱどこの世界にもやっちゃいけない人ってのはいるわけで、ほんの一部の人だけサービスしてくれればいい。

例えば、我が職場のマッスル事務員B子。こいつは別にサービスしなくていい。

女性でありながら、ボウリングで16ポンドのボールを軽々と投げるB子。オッパイというよりは肉厚な胸元で、ゴーレムが化粧したみたいな風貌。おまけにアゴが割れてるときてる。そんなクリーチャーがサービス♪よなんて言いながら全裸で職場に来たりなんかしたら余裕で8回は死ねる。

でまあ、なんか我がサイトを見ているヌメラーさんには人気のあるB子ですので、このまま前の段落とは全然無関係にB子のエピソードにシフトしてみようかと思います。

この間、職場の飲み会があったんですよ。

そこでまたB子のヤツがガッパンガッパンと酒を飲みやがりましてね、物凄い酔いどれ状態になってたんですわ。普段はゴーレムみたいなB子の顔も、酔っ払って赤いゴーレムになってましたからね。とにかく、考えられないくらい寄ってた、B子のヤツは。

それでまあ、飲み会の席も次第に仕事関係の話題とかになっていくじゃないですか。しかも話題の焦点が「patoのメカオンチについて」とかいう、僕を貶める目的としか思えない内容になってたんですよ。

「patoさんは、コピー機をすぐ壊す」

「電話機の保留の仕方を知らない」

「壊れたノートパソコンを叩いて直そうとしてさらに壊した」

とかもう、クズ同僚どもが僕のことを槍玉にあげるんですよ。それに触発された大酔っ払いB子さん、私もpatoさんのメカオンチネタならあるわ、とネタを披露しようとしたのです。

僕はですね、未だにファックスの使い方が分からないのですよ。なんとか頑張って自分で送ろうとするのですけど、いつも失敗してしまう。送信先を間違えるとか、紙を詰まらせるとか日常茶飯事。それでね、僕がファックスでミスをする度に事務員であるB子さんに助けてもらってるんですよ。

でまあ、大酔っ払いのB子さん「patoさんはファックスが下手すぎる」と言おうとしたのに、ロレツが回ってないもんだから、

「patoさんはファックが下手すぎる

とか言いやがるんですよ。まるで僕がB子とファックしたみたいじゃないですか。おまけに下手だったみたいじゃないですか。ついでにチンコも小さかったのかな?とか連想させるじゃないですか。

もう、これには一同騒然。「patoのヤツ、B子とやったのか、すげえな」と一同が悶々と連想しちゃったわけよ。なんか和やかな飲み会の席が静寂に包まれたからね。気付いてないのは当のB子だけで、なんかゴーレムみたいな顔でケタケタ笑ってたからね。もう、ホントありえない。

それでまあ、僕だって根も葉もないこと言われたら怒るじゃないですか。そりゃ、散弾銃とか持ってたら間違いなくB子を射殺してましたよ。でも、散弾銃なんて持ってないし、腕力ではB子には敵わないし、仕方なくグッと怒りを堪えて聞いていたのですよ。

そしたらアンタ、酔っ払ったB子の勢いは止まらない。もうノンストップB子ですよ。

なんか、B子さんの本名は恭子って言うんですけど、むしろ強子じゃねえかなとか思うんですけど、恭子なんですよ。でまあ、その恭子ことB子さん

「みんな、これから私のことキョンキョンって呼んで〜」

とか、殺したくなるようなこと叫んでるのよ。ゴーレムB子が、キョンキョン。マッスルB子が、キョンキョン。

僕は思ったね、もしかしたら僕にはコイツを退治する義務があるのかもしれない、刺し違えてもいいから退治する義務があるのかもしれない、ってね。

でまあ、その場は一同が「はは・・・キョンキョン」って顔の筋肉を必死に強張らせたスマイルを見せつけて終了したわけ。B子以外全員が後味の悪い思いをして終了したわけ。

それから数日経った今日ですよ。

またもやファックスを送ろうとして失敗した僕。またもやB子さんに助けてもらわないとどうにもならない状況に。それでまあ、やっぱ助けを請う時って下手に出るじゃないですか。少しでも良い気分で助けてもらいたいじゃないですか。だから、B子さんの機嫌を取りつつお願いしようと思ったわけですよ。

「ちょっと、またファックスを失敗しちゃったみたいなんだけど、助けてくれませんか?キョンキョン」

ってね。

彼女が呼んでっていうから、言いたくもないのに「キョンキョン」って呼んだわけよ。心の中で小泉今日子に謝りながら呼んだわけよ。

そしたらアンタ、

「なんでキョンキョンとか呼ぶんですか!それは嫌味ですか!セクハラですよっっっ!」

とか、僕の首を狩りとらん勢いで激昂するんですよ、キョンキョンが。それこそファックスを破壊せん勢いで大激怒するんですよ、キョンキョンが。

自分で呼んでくれって言ったくせに、本当に言うと烈火の如く怒り狂うキョンキョン。本当に女ってのは分からないな、と思った次第でありました。ホント、女の子って不思議。

まあ、パトカーを鷲掴みにし、エンパイアビルに上ってヘリやら戦闘機やら叩き落すキングコングのように猛り狂うB子(キョンキョン)を見て、コイツの場合、「女の子ってホント不思議」って言うよりは「本当に女の子なのか不思議」だな、などと思ったのでした。つまりは、ナマコがついてるのかどうかわかんねーってことだ。

ナマコに始まりナマコに終わる、それが女の子の不思議だよね。よくわからんけど。


7/15 ダメ人間

オッス!オラ、ダメ人間!

初対面の人にそう挨拶してもおかしくないようなダメ人間ライフをエンジョイしてきました。

週明けの月曜日。誰もが楽しかった休日を思い返し、これから一週間仕事に精を出すぞー、とりあえず今週末の休みを目指して頑張るぞー!と仕事に学校にフレッシュな気分で挑む月曜日。

もしくは、サザエさん症候群ヨロシクで、終わってしまった日曜日を未だ心の中に引きずっていて、ものすごくブルーな気分で「休みまであと月火水木金、うわ、5日間もあるよー」などと次の休みの到来だけを心の支えにする月曜日。

心の持ち方は違うものの、誰しもが社会の歯車として活動するであろう月曜日。そんな月曜日に仕事をサボって朝からパチンコ屋に並ぶという暴挙に出てしまいました。

平日の、週初めの月曜、しかも爽やかな早朝、そんな歯磨き粉や洗剤のCMに出てもおかしくないフレッシュな朝にパチンコ屋に行くというダメ精神。しかも仕事サボって、しかも開店前から店の前に仁王立ち。夏を思わせるサンサンとした朝日を浴びて、パチンコ屋の前に鬼無双。実家の親が見たらさぞかし嘆くだろうと思います。ホント、神をも恐れぬ蛮行です。

僕がこんなにダメ人間で、まるで人生の奈落に転落したかと見紛うほどなのに、パチンコ屋前の歩道を行き交う制服姿の高校生達は爽やかで、友達と会話しながら満面の笑みで通学していく。その笑顔が殺したいほどに眩しい。

きっと、学校には片思い中の好きな先輩とかいるんだと思う。そして、前日に親友とちょっとした行き違いから喧嘩になったかもしれない。謝った方がいいのかな、謝った方がいいよね、でも、なんだか照れくさい。そんな葛藤が見え隠れしながらも、やはり大好きな先輩に会えるから今日も学校に行く。制服という名の戦闘服に身を包み、今日も私は学校に行く。ワクワク、きょうはどんな事が起こるかな。憧れの健先輩と会話できるといいな。

高校生なりに悩むこともあるかもしれない、勉強が苦しい事だってあるかもしれない。辛い恋に心を締め付けられるような思いをするかもしれない。けれども、君らの未来は輝かしい光に満ち満ちている。

将来自分はどんな仕事をしてるのかな。どんな人と出会い、どんな恋をして、どんな結婚をするのかな。結婚したら出窓がある家に住もう。そして家庭菜園をしよう。トイレにはレモンの香りの芳香剤を置くんだ。

ほら、君達の未来、ワクワクするほど楽しみじゃない。苦しいこともあるかもしれないけど、君たちの未来は圧倒的に楽しみなことの方が多いよ。

そんな希望と期待に満ち溢れた通学途中の高校生とは対照的に、朝っぱらから開店前のパチンコ屋で仁王立ちの僕。高校生とは対照的にその未来は限りなく灰色だ。一体、何を何処でどう間違ったらこんなにもダメ人間に成り下がってしまうんだろうか。

そんなことを悶々と考えながら、開店前のパチンコ屋の入り口に一人佇む僕。並ばなくても他に客なんて気やしないのに、パチンコ屋に住まわす妖怪、もしくは主(ヌシ)のように仁王立ちの僕。その姿は自分でも驚くほど圧倒的にダメ人間だ。

いよいよ開店の時間だ。

他に誰も客なんかいねーのに、開店と同時に一気にパチンコや店内に雪崩れ込む。まるでダンサブルに舞う南米の女性のようなトリッキーさで店内を駆け、お目当ての台を死守する。他に争う客が誰もいないのにだ。ウィークディの月曜朝にだ。それこそがダメ人間。

店内にけたたましく鳴り響くユーロビート系の音楽。そのリズムに合わせるかのようにして打ち始める僕。なかなか調子がいい。今日もガッツリ勝てそうだ。勝ったら何か高級な肉とか食べたい、肉汁溢るる厚手の肉を、それはそれはモッサリと食べたい。

などと貧乏人丸出しで考えていると、あっという間に二時間ほどの時間が経過する。もう朝というよりは昼といったほうが正確な頃合。そうなってくると、開店時には僕しかいなかった店内もにわかに活気付いてくる。

いつのまに、どこから湧いて出たのか知れないけど、モソモソと店内を蠢く他の客ども。早朝こそは客は僕オンリーだったものの、いつの間にかある程度の数の客がパチンコに興じていた。しかしながら、月曜の昼真っからパチンコを打とうなんて人間だから、どっからどうみても一癖も二癖もありそう。

国から貰ったなけなしの年金をゴッソリとパチンコにつぎ込んでいるであろう老夫婦。パチンコに熱中するあまり、夫に内緒で定期預金を解約してしまい、その金すらパチンコでなくなってしまってサラ金に手を出そうとを考えているっぽい主婦。

最初こそは調子良かったが、急に勝てなくなってしまい、負ければ負けるほど熱中してやってしまうあまり、前期に2単位しかとれなかった留年確定大学生風の若者。売れるまで帰ってくるんじゃねえ!と課長にどやされたが、どう考えても売れないので開き直って時間を潰している健康器具会社の外回り担当っぽいサラリーマン。

とにかく店内にはダメ人間、もしくはダメ人間予備軍が蠢いている。そして、朝も早くから店の前に仁王立ち、仕事をサボって大車輪の勢いでパチンコに興じるダメ人間がここにも一人。

僕らはみんなダメ人間なんだ。こんな月曜の昼真っ赤ら、こんな場末のパチンコ屋でパチンコ遊戯に大ハッスル。でも、それでいいじゃない。しょせん人生なんてそんなものなんだから。皆で頑張ってガッポリ出玉を獲得しようぜ。言葉に出さないまでも、妙な連帯感に包まれながらダメ人間どもはパチンコに興じる。

そしてそこに、この妙な連帯感を打ち破るニューカマーが到来。

「ウッソー!マジで出るの!?」

「うんうん、出るって、大丈夫だって、俺を信じろよ」

間の抜けた会話と共にカップルが登場。ダメ人間どもが蠢く店内に、圧倒的にカップル登場。和やかなダメ人間どもの連帯感を打ち破らんばかりにカップル大登場。

ホントな、こういうのは一刻も早く法規制して欲しい。コンビニ、パチンコ屋、レンタルビデオショップのエロビデオコーナー、こういった場所はカップルの入場を法律によって禁止すべき。入場してきたら射殺も可、といった強硬さで対処すべき。

「飲み物も買わなきゃね、あ、お弁当はなに食べるー?それとも私を食べるー?むふん」

とか言って、コンビニでイチャイチャイチャイチャ、ハメ撮りしかねない勢いで絡み合うカップル。それがどれだけ僕らの心を傷つけているか分かってるのか。

「きゃー!すっごいエローい!」

「今度、こんなカッコでやってみっか?」

エロビデオコーナーで、羞恥プレイと言わんばかりにエロビデオを舐めまわすカップルども。自分達は気軽におセックスできるんだぜ!って見せびらかしたい気持ちは分かるけど、それがどれだけ僕らエロサムライどもを傷つけるのか分かってるのか。

パチンコ屋だって一緒。

「ほら、こうやって打つんだよ」

「あ、なんかすごい、いやっ」

「お!」

「やったー!当たった!すごいすごい!」

そうやってお前らカップルが快勝したら大喜びするだろ。その勢いでアパートに帰って、情熱的におセックスとかするんだろ。わかってるよ。パチンコで勝利を収めて家に帰ってチンコを収めるんだろ。嫌というほど分かってる。でもな、それが俺たちシングルぱちんかーを、特に負けているパチンカーをどれだけ苦しめるか分かってるのか。ああ、あの勝ってるカップル、家に帰ったらおセックスするんだろーなとか考えると銀玉が見えないほど涙が溢れて来るんだよ。わかったか、ボケ。

とにかく、僕ら非モテがもっと住みやすい社会にするため、コンビニとパチンコ屋とエロビデオコーナーはカップル入場禁止にすべき。じゃないと僕らが辛すぎる。

それでですよ、そのダメ人間が蠢くパチンコ屋店内にやってきたカップル、男の方がケミストリーの左側みたいで、女の方が安西ひろこみたいなアッパッパーな姉ちゃんだったんですけど、この二人がすげえ大騒ぎするのな。

「きゃー!うきゃー!」とか「ウホホー!ウホホー!」とか、アツイ演出が出るたびに台に向かって大騒ぎしてるの。二人してサンバカーニバルみたいにして大騒ぎ。いくらパチンコ屋がうるさい場所だっていっても、いくらなんでもこれはいただけない。これには店内のダメ人間どももいたくご立腹。

しかもおまけに、そのカップルの男の方がモリモリと玉を出しちゃうんだからさあ大変。もう大興奮で

「すごいすごい!」

「ウホホー!ウホホー!」

と、盆と正月とクリスマスが一緒に来たような大騒ぎ。

「すごいじゃん!祐二!ムチャクチャカッコイイ!」

とまあ、パチンコで玉をいっぱい出すことがカッコイイ、と言い切ってしまう姉ちゃんに、

「へへーん、どんなもんだい」

と、黒人の子供のような無邪気さで言い放つ男(祐二)、という何とも訳のわからない光景が繰り広げられていました。おまけに、狂ったように出しまくる男(祐二)を、「うるせえなあ」と思いながらも「あんなに出して羨ましい」と妬ましく思うダメ人間、と店内は益々訳の分からない様相に。

おまけに、あまりに大量の出玉、5,6万円は固いと思われる出玉を獲得した彼氏(祐二)に気を良くしたのか、安西ひろこみたお姉ちゃんが言うわけですよ。

「ねえ、ゆうじぃ。エルメスのバッグ買ってぇ」

とかムチャクチャセクシャルにおねだりですよ。私はセックスだけが武器なのよ!と言わんばかりにアンニュイに甘ったるくおねだりする安西ひろこ。

「おう!買ったるわい!」

興奮状態の祐二は気さくにエルメスのバッグを購入することを了承する。そのあまりの即決ぶり、益荒男ぶりは僕らダメ人間を驚愕の世界へと叩き込んでくれた。

そんな傍若無人とも思えるカップルの振る舞いにご立腹した僕。

このクサレカップルめ!何がエルメスだ。テメエなんてエロメスじゃねえか。もっかい受精からやり直して来い、コノヤロウ。そもそもエルメスってなんなんだよ?あの白くてテカテカしたヤツか?そりゃエナメルじゃねえか。じゃあ同僚のヘルス大好き鈴木君、略してヘルスズキ君が患った性病か?そりゃヘルペス。全然違うじゃねえか。

などと、怒ってるんだかダジャレを思いついてご満悦なのか良く分からない状態で、ニタニタと笑いながらパチンコ台に向かっておりましたところ、

「ねえ、なんかあの人キモくない?台に向かって笑ってるよ。きもーい」

とアッパーパーな安西ひろこ様に聞こえるように陰口を叩かれました。

それによって妙にブロークンハートしてしまったことと、カップルの傍若無人な振る舞いによって精神に多大な悪影響を及ぼされてしまった僕は、それまで勝っていたのに大惨敗を喫するという衝撃の結末に。

仕事をサボって朝から店の前に仁王立ちしたにも関わらず。何時間も無駄にしてパチンコ台の前に座っていたというのに、幾万円も負けてしまうという体たらくぶり。おまけにカップルにバカにされるという特典付き。

ダメ人間ぶりを発揮してパチンコ屋に行ったら、負けるわバカにされるわでさらにダメ人間になっちゃったよ。一文無しになって家に帰る道すがら、妙に悲しくてサメザメと泣きました。

帰り際、パチンコ屋の前ですれ違った下校時の女子高生は、やっぱり期待と未来に満ち溢れていて妙に眩しかったです。夕暮れ時といえども神々しい光を放ってた。

僕にだってあんな輝いている高校時代があったはず、それがどこをどう間違ったのか、今では立派なダメ人間になっているという体たらくぶり。それと同じように、この純情そうで輝いている女子高生も、どっかで道を誤ってしまうのかな。アッパーパーな安西ひろこみたいなエロメスになっちゃうのかな。そう考えると、少しだけ寂しい気持ちになり、さらに泣けました。今日はそんな一日でした。


8/9 Numeri-OFF Tokyo 2003 in TOKYO DOME参加締め切りは15日までです!一刻も早く参加表明を!


7/14 ドライバーズ

交通法規って矛盾だらけだ。

車を運転しない人には馴染みが薄いかもしれないけど、よくよく考えてみると交通法規ってのはかなりおかしい。

例えば、速度制限なんかもそうなんだけど、日本国内の速度制限は高速道路で100 km/hが最高。一般道でも概ね60 km/h程度の制限が設けられています。

しかしながら、各種車メーカーが生産する車は、本気を出せば200 km/hも300 km/hも出せるような化け物カーばかり。本気で速度超過を撲滅したいと考えるなら、メーカーに法規制をかけ、100 km/h以上出せない車ばかりを生産させればいいのです。もしくは、100 km/h以上出したらバラバラになるような車を作ればいい。

他にも、シートベルト着用義務違反。確かにシートベルトを着用せずに運転するのは危険極まりないことです。交通事故が起こった際に自分の身を守る術がないのですから、出来れば常にシートベルトは着用しておきたい。

そんなこんなで、警察の方もたまにシートベルト違反の取締りをしておられまして、僕なんかも昨日サクッと捕まってしまったわけなんですが、そんなにシートベルトを着用させたいのならば、シートベルトをしてないとエンジンがかからないような仕組みの車を生産すればいいのです。さすればみんなシートベルトを着用して運転する。

とまあ、昨日シートベルト着用義務違反で捕獲された鬱憤をウッフンと晴らしたいがために愚痴ってみたのですが、それでもやはり私怨では済まされないほどに交通法規をとりまく車社会は矛盾だらけだと思うのです。

そういえば、こういった事例もございました。

僕が高校生の頃、原動機付き自転車、いわゆる原チャリで通学していたのですが、放課後の帰り道でパトカーに捕まったのです。普通にルンルン気分で県道をひた走っていると、後ろから「ウーウー」という殺人犯でも捕まえるのかという賑やかなサイレンと共に、「前方の原付、ゆっくりと路肩に停車しなさい」とかパトカー上部に装備されたスピーカーで放送されてました。

僕は別にヘルメットもかぶってるし速度も30 km/hで走っている。違反してないのになんで停められるかなー、とか思ったのですが、それでも警察の方が停まれと言うので停まらないわけにはいきません。

大人しく路肩にバイクを停めると、その後方に停車したパトカーから出てくる警察官の方の話を聞きました。

「おまえ、さっき踏み切りで一時停止しなかったろ」

車でもバイクでも原チャリでもそうなのですが、踏み切りの手前では一旦停止し、安全を確認した後に踏み切りを通過するよう交通法規で定められています。一時停止せずに踏み切りを通過するのは違反なのです。

しかしながら、その時僕は確かに踏み切りで一時停止した記憶がありました。キチンと停止し、両の足で大地を踏みしめた後、左右を見て安全確認までしたのです。それなのに不停止だと警官に言われる始末。

おまけに、踏切を通過したのは15分も前なのです。踏み切りを通過し、15分間も県道をフラフラ走った後に捕まえる。僕が踏み切り不停止だった言うならば、どうしてその場で捕まえなかったのか。

「いや、僕はちゃんと停まりましたよ、安全確認までしました」

と反論するのですが、警察官は取り合ってくれず

踏切不停止等違反で違反点2、反則金6千円を頂戴いたしました。

「オマエはゼッタイに停まらなかった、俺はこの目で見てたんだよ」と修羅の如く猛り狂う警官にビビってしまった僕は、「反論したら逮捕されてしまう、いいやもう不停止で」などと納得せざるを得なかったわけですが、証拠もない、なおかつ停まったのに停まってないと決め付けられて違反になるなんて釈然としないななどと思ったものです。

こんな事件もありました。

数年前の話ですが、車に乗って高速道路、山陽道の尾道インター辺りを深夜に走っていた僕は、猛烈な便意に襲われたのです。全くそんな気配などなく、ウンコしたくなるとは思いもよらない場所でのアクシデントでした。もうこれは、大便の妖精がイタズラ心で僕に乗り移ったとしか考えられない。

以前にも書きましたが、車を運転していて便意に襲われた人間は理性をなくします。交通ルールだとか安全なんてどうでも良くて、気持ちは大便一直線。早くウンコをしなくては漏らしてしまう、信号なんて無視してでもウンコポイントを探さねばと荒武者のような運転になるのです。専門家の間では、この現象は「大便ドライバーズハイ」と呼ばれ、ひどく危険な状態だと警鐘が鳴らされています。

そんなこんなで、高速道路を運転中に大便ドライバーズハイに陥ってしまった僕。もはや気が気ではない状態でワイルドガンマンのような荒くれ運転に早変わり。もうトイレのことしか考えられない、ウンコのことしか考えられない、早くパーキングエリアに到着しなくては!と高速道路を大爆走でした。

車の限界性能いっぱいまでアクセルを踏み込み、前を行く車をビュンビュンと抜いてパーキングエリアへ、いやトイレに一直線。もう速度違反だとか関係ない、ほっとくとウンコが出てしまう、早くトイレに行かねば、トイレに行かねば・・・。

ウーウーウー!!

聞き覚えのあるサイレン音。チラリとバックミラーを見ると、見慣れた白黒ストライプの車が真っ赤なランプをパチンコ屋みたいに輝かせていました。しかも僕の車にビタ付け。スリップストリームかという勢いで僕の真後ろを走っていました。

ああ、捕まってしまった・・・。

観念した僕は、ウンコしたくて早くトイレに行きたいにもかかわらず、路肩に車を停車し、促されるままにパトカーへと乗り込みました。大体、違反者は捕まった後にはパトカー内に幽閉され、そこでお説教聞いたり違反切符に拇印を押したりするのです。以下は、捕まった後のパトカー内でのやりとり。

警「すっごいスピード出てたな」

僕「はい、すいません」

警「あんなファミリーカーでどうやったらあそこまで出せるんだ」

僕「え?そんなに出てました?」

警「すごいよー、何キロ出てたと思う?」

僕「いや、100 km/hくらい?」

それを聞いた警察官、運転席横のパネル中央に設置されたメーターを見るように指で促しました。どうやらこのメーターには違反者の速度、つまり先ほどの僕の爆走時の速度が表示されるようです。

そして、そこには見紛う事なき164 km/hの数字が。

山陽道は制限速度が80 km/hですので、ざっと84 km/hオーバーの大違反ということになります。84 km/hオーバーて。いくら大便ドライバーズハイ状態だったとはいえ、こんな速度で走るとか考えられない。制限速度の倍以上じゃないか。

ちなみに、制限速度の倍以上の悪質なスピード違反の場合、

「30キロ以上(高速は40キロ以上)
交通切符(赤切符)を渡され、切符記載の出頭日に裁判所へ出頭、簡単な事情聴取後、罰金が決りますので検察庁に罰金を支払って終了。
30キロ以上の違反を何度も繰返したり、法定速度を倍以上超過する危険違反の場合は懲役刑になることもあるようです。」(交通違反解説サイトより引用)

懲・役・刑!

懲役刑ですよ。反則金も7,8万かかるのもさることながら、懲役刑ですよ、奥さん。刑務所とかに入れられて、ゴツイ顔した同部屋の懲役囚にケツの穴とか掘られるに違いないですよ。ハッキリ言って、やってらんない。

とまあ、すっかりビビってしまった僕。しかも大元の原因である大便だって収まってないものだから、恐怖と便意が混乱して訳の分からない状態に。

警「なんでこんなにスピード出してたの」

僕「いや、早く家に帰って寝たくて」(ウンコしたい)

警「アンタね。早く寝たいからってこんなスピード出されちゃ、事故して永遠に眠っちゃうよ!」

僕「はあ、すいません」(ウンコしたい)

ダメ、もう限界。このままじゃパトカー内で脱糞は確実。もうダメ、ダメ過ぎる、モリモリとパトカー内でウンコを漏らし、警官の怒りの導火線に火がつく、そいでもってさらに懲役刑を受けるに違いない。ああああああああ、もうダメだあああああ、と半泣きになりつつ、

そもそも、人がウンコしたいのに捕まえる方が間違ってる。誰だってウンコしたいときは仕方がないもの、これはもう緊急避難に近いものじゃないか。それを無碍にも捕まえるなんて、この警官はウンコだ。このウンコ警官め!ウンコ漏らしたらお前のせいだからな。漏れたらそのウンコを鷲掴みにしてお前に投げつけててやる!などと激しく見当違いでバカとしか思えない怒りを便意と共に燃やしておりますと

警「まあ、今回のところは見逃してあげるけど、次からは気をつけるんだよ」

なんですと!

ハッキリ言って、この警察官は天使です。もうムチャクチャ大好き。なんなら僕のウンコを食べてもいい。それぐらいこの警察官にaddictedかも。

僕「はい!次からは気をつけます!」

嬉しさの余り、便意など忘れてしまった僕は、「通行帯違反」などという80 km/hオーバーから考えればチンケとしか思えない違反切符を貰ってパトカーを後にするのでした。

このように、時には違反してないのに聞き分けのない警官によって、「踏切不停止等違反」なんてチンケな違反で捕まることもあれば、菩薩のような警察官様によって84 km/hなんていうアホとしか思えない違反を見逃してもらえることもあるのです。

ホント、交通法規ってのは矛盾だらけ。捕まったり捕まらなかったり、本当に訳が分からないものだ。そんなに矛盾だらけなら、いっそのこと交通違反取締りなんてやらなきゃいいのに、バカヤロウ。

などと、今日もまた同じ場所で二日連続でシートベルト着用義務違反で捕まってしまったので愚痴ってみました。二日連続、同じ場所とかありえない。「確かに僕はシートベルトはしてないですけど、心のシートベルトはしてます!」とか昨日のように熱弁したけど取り合ってもらえないしよ。ありえない。

違反しないのが何よりなんだろうけど、どうしても鬱憤がたまって仕方ないので、日記にしたたためて鬱憤晴らしをしてみました。ウッフン。


Extra diary

なんか、水曜あたりから数多くメールを頂いておりました。

「Numeriのカキモノが他サイトでパクられてるよ」

という指摘を数多く頂いたのです。

指摘を受けて、僕も実際に読みに行ったのですが、確かに偶然とは思えないほど似ていました。

けれども、僕にとってパクリなんてのはどうでもよいこと、あまり興味ありません。重要なのは、そのパクったとされるサイトの掲示板に、「すごくテキストが面白かったよ☆」などと女子中高生からの書き込みが殺到している部分。これがもう、僕にとっては親の死より重要。

どうやらそのサイトは、おしゃれkid's ホームページランキングというランキングサイトの「俺部門」とかいう訳の分からない部門で1位を獲得していたらしく、そこから多数の女子中高生が流れてきているようでした。つまり、そのサイトがウチとソックリのテキストをアップし、なおかつランキングサイトで1位を取った、そして女子中高生がサイトに溢れた、ということです。

ならば、Numeriが同様にそのランキングサイトに登録し、1位をとっちゃったりなんかすれば、そのサイトで女子中高生に絶賛されていたテキストに似たカキモノだってあるのです。かのサイトと同じように女子中高生がNumeriに溢れ、「patoさん抱いて」などと写メールを送ってくるに違いない。そうに決まってる。算数が出来る人間なら簡単に分かることだ。

といった理由で、まだ見ぬ女子中高生との痴態を連想し、股間を怒張させて昨日から、おしゃれkid's ホームページランキング「俺部門」に登録をしたのです。

そして、皆さんのおかげで見事に一位ゲット。これで女子中高生がムフフフフフ・・・。

などと思っていたのですが、まったくもって反応が御座いませんでした。女子中高生どころか、メールすら来ませんでした。皆無皆無、どう転んでも皆無。全くもってナッシング。どうなってんだ。

あっちのサイトは一位を取って女子中高生に絶賛だったのに!

絶賛されてたテキストに似たカキモノのもあるのに!

ほら、コレ、コレ、イタズラメールと対決する

全て条件は兼ね備えているのに、何が良くないんだろ・・・。

ということで、Numeri女子中高生満載計画は儚い夢と砕け散りましたので、失意のまま、おしゃれkid's ホームページランキングから脱退したいと思います。投票してくださった方、ありがとうございました。

やっぱ「ザーメン」とか日記に書いてるからイカンのかなぁ。

(追記 相手サイトは既に閉鎖しています。たぶん、観に行っても痕跡すら残ってないと思います。ランキングに参加している他サイト様に無闇に迷惑をかけないようお願いします。)


7/13 ありえない

世の中、ホントありえないことだらけ。

あまり「ありえない」って言葉を連呼すると、流行の言葉使いに流されているみたいで嫌なんだけど、あえて言わせてもらう。ありえないと。

僕が「ありえない、ありえない」って連呼していると、賢明なヌメリ読者の方なら、「ああ、また考えられないような不幸が起きたんだな、かわいそうに」などと察してくれることと思いますが、残念ながら今日はその逆。ビックリするぐらい「ありえない」幸運が連続して巻き起こったのですよ。

まず、占いから行くんですけど、僕は8月生まれで獅子座なんですよ、それでまあ、7/12の獅子座の運勢をみてみますと、こんな状態ですからね。

総合運 100点/100点中

「この日はあなたにとって、大きなターニングポイントとなる1日になります。この日1日をどう過ごすかによって、これからの運勢が大きく変わっていくでしょう。この時期に行動力を発揮しておくと、今後の幸運につながり、問題が起こった時でも周囲の人からの助けを得られやすくなります。また、積極的な行動は経済的な幸運にもつながります。今後のあなたの幸運を自由にコントロールできるすばらしい一日と言えるでしょう。」

恋愛運 10点/10点中

「会話や行動に気を配るとラッキーな事がありそう!」

金銭運 9点/10点中

「突然のお小遣いにラッキーな驚き!」

仕事運 10点/10点中

「オフィスで飛躍できそうな日。」

ですからね。どーよ、これ?もはや悪い部分を探すの方が難しいといった按配のグッド運勢ですよ。「オフィスで飛躍できそうな日。」とか書いてありますからね、飛躍ですよ、飛躍。飛躍して、ついでにアホな同僚どもや上司を蹴落としたい気分です。

それでまあ、今日は気分も良く、ワクワクとどんな素敵な幸運が巻き起こるんだろう!なんて恋する乙女みたいにウキウキで仕事していたわけなんですわ。おひつじ座なんてウンコみたいな運勢だぜ、ぷぷぷ、かわいそー。なんて思いながら仕事をしておったわけですよ。

そしたらあんた、悩みの種だった仕事が二本も先方からキャンセル。もうどうしようもなくて、いっそのことこのまま放置しておくか、なんて思ってた案件なんだけど、それが二本とも同時にキャンセル。

マジで、ありえない。

ホント、ありえないくらい幸福。元々そんなにキャンセルが入るような仕事ではないんですよ。さらに、数々抱える仕事の中で、特に厄介だった二件の仕事が申し合わせたかのようにキャンセル。オフィスで飛躍せん勢いで飛び跳ねて喜んだよ。

で、仕事をサボってレンタルしてたエロビデオを返却しに行ったんだけど、延滞しすぎて真っ黒に焦げ付いてたエロビデオだったのに、なぜだか延滞料金を請求されないというミラクルが。8000円くらいは延滞金を請求されるはずなのに、店員なんか「ご返却ありがとうございました」とか素の顔で言ってたからね。マジでありえない。

しかも、もう1年くらいずっとレンタル中だった、「奥さんアナルです〜特別編〜」が返却されて貸し出しOKの状態で陳列されているという二重の奇跡。もう大車輪の勢いで借りたよ。ずっとずっと長いこと、借りたい借りたいと思いつつ、いつ行ってもレンタル中、ソールドアウトだった幻のエロビデオ、それが貸し出しOKの状態だからね。マジでありえない。

こりゃあ、今日の俺には神が光臨してるぜ!と言わんばかりに、仕事サボりついでにパチンコ屋に行ったわけですよ。

そしたらもう、アホみたいに玉が出まくるのは当たり前、灰皿を取替えに来たキューティクル女店員(巨乳)の胸が僕の肩に触れるというオマケつき。10万円くらい勝っちゃった上に乳房の感触まで堪能できるんだからマジありえない。

さらに、意気揚々とオフィスへと引き上げる途中、なんか道路の隅のほうにアウトローなヤツらがたむろしてたんですよ。ケミストリーの右側をさらに右側にして、右側にしすぎて左側っぽくねえ?って感じのアウトローどもが、地べたに座り込んで大ハッスルしていたんですよ。

ふだんならこういった輩に積極的に絡まれ、金を奪われるどころか下手したら尻の毛まで抜かれかねない僕なんですが、総合運100点な今日の僕は違う。明らかに違う。もう英国紳士のようなスマートさで彼らをスルーしてたものな。たぶん、彼らが僕に絡んできてもちぎっては投げちぎっては投げの大活躍だったんじゃないかな。

道路に座ってシンナーだかマリファナだか吸ってるアウトローどもを、まるで道端の石ころを避けるかのように見事にスルー。通過するタイミングが良かったせいもあるんだけど、やっぱこんな幸運ありえない。

仕事をサボってビデオを返却しに行き、おまけにパチンコをプレイして時間を潰す。この見事なまでのサボタージュに、普段ならオフィスに戻った瞬間に猛虎と化した上司の雷が落ちるのだけど、仕事運満点な今日の僕は違う。なにせオフィスで飛躍だからな。

それでまあ、サボってたことがバレないようにコッソリとオフィスに戻ったら、誰もオフィスにいないでやんの。いつもなら上司がドアの前で仁王立ちして待ち構えていて、「コラ!カツオ!」って怒るサザエさんみたいに怒り狂うというのに、まるっきり誰もいない。

なんか、職場のトイレの水が逆流して、ウンコだかなんだか分からない茶色い水がジョババーと便器から噴出してたんだって。それを上司以下オフィスの人員全員で食い止めに行ってたみたい。なんかシュポシュポするやつとか片手に全員で茶色い水と大格闘。

ちょうどサボって帰ってきた時に、オフィスに誰もいないなんて計り知れない幸運。皆が「やっと水が止まったぜ」とちょっと嫌な臭いを漂わせて帰ってきた頃には、「おれ、しごとしてた」って言わんばかりの勢いでナチュラルにオフィスに溶け込んでいたからね。この溶け込み具合には、誰も僕がさっきまでエロビデオを返却したりパチンコをしていたとは夢にも思うまい、ククククク。

さてさて、便所にて逆流便と格闘していたわがオフィスの御一行は、既に別の話題に興味が移っているらしく、なにやら地元商店街の福引大会について意見を戦わせていました。

「福引券が5枚もあるよ」

「なんか、今日までらしいよ、福引の期限」

オフィスで使う日用品だとか、コーヒーなどの飲料を我々は地元の商店街みたいな場所で購入しているのですが、どうやら買い物するたびに渡されていた福引券が5枚もあった様子。しかも、その福引の期限が今日までらしい。

ちなみに、この福引の特賞は「沖縄旅行ペアご招待2泊3日」。青い空にエメラルドグリーンの海、そして白い砂浜。常夏の島沖縄へご招待というなんとも豪華な賞品。ヘッポコ商店街のくせになかなかやるじゃねえか。しかも、最終日の今日まで特賞は出ていないという。この興奮の事実にウスノロなアホ同僚どももにわかに活気付く。

「もし沖縄旅行当たったらどうする?」

「ペアだぜ、誰が行く?」

「まてまて、その前に誰が福引を引くかが重要だ」

とまあ、当たってもいないのに大騒ぎ。ホントにコイツらはお目出度いやつらです。

さすがに、オフィスの共同物品を購入して手に入れた福引券です。当然のことながら、全員に所有権があり、誰も独り占めすることは許されない。こりゃ当たったら当たったで揉めそうなんだけど、とりあえず当てないことには話は始まらない。そこで、今日一番のラッキーボーイであるこの僕が福引マンに立候補することに。

今日の俺はツイている。まるで何かが憑いていると思うほどにツイている。なんてたって総合運100点だからな。だからきっと、バシッと沖縄旅行を引き当てるに違いない。下手したら5回引いて5回とも沖縄旅行を引き当てるかもしれん。特賞沖縄旅行3本とか書いてあるけど、それでも5回引き当てかねないヒキがある。もう、俺がやるしかない。

「福引、俺がやるよ」

意気揚々と同僚のクズども相手に立候補したところ、その場にいた面々全員が、「え!?オマエが!?ジョークだろ?」といった表情に様変わり。僕はこの時の同僚達の表情の変化を一生忘れない。

確かに、普段の僕のくじ運の悪さは相当なもんだ。職場内の部署対抗野球大会の組み合わせ抽選でも、いきなり1回戦から優勝候補の強豪チームを引き当てるほど。それどころか、先攻後攻を決めるじゃんけんですら勝ったことがない。

そんなくじ運の悪い僕が、沖縄旅行の命運のかかった福引をやるとか言い出すもんだからさあ大変。同僚どもの心中、察するに余りある。しかしながら、今日の僕は普段の僕とは違う。なんといっても総合運100点なのだから。なんだか、今日は沖縄旅行を引き当てられそうな気がする。いや、確実に引いてくるに違いない。

「いや、patoさんはやめといたほうが・・・」

チンコのようなヘアースタイルをしやがった同僚が、言い難そうにモゴモゴと口ごもる。確かに、今までの僕のクジ運の悪さから考えたら不安になるのも仕方ない。けれども、今日の僕は違うんだ。

いかに今日の僕はラッキーボーイであるか、ビデオを返しに行っても延滞金を取られなかった。狙ってたビデオがレンタルOKになっていた。パチンコで死ぬほど勝った。店員の乳に触れた。サボって帰ってきたのに、誰にもばれることなくオフィスに戻れた。とまあ、このありえないほどのラッキーぷりを、どうだ、みたか!と言わんばかりに同僚どもに熱弁したわけですよ。おかげでサボってパチンコ行ったことバレちゃったじゃねえか、シット!

でまあ、ここまで今日の俺はツイているんだ、だから俺に沖縄旅行を引き当てさせろと熱烈アッピールしましたところ、アゴが二つに割れていて、オッパイというよりは胸板と言ったほうがニアリーイコールなマッスル事務員B子が言うわけですよ。

「patoさん、そんなにツイていたんなら、これから気をつけたほうがいいですよ。ツイていた反動で不幸なことが束になって起こりますよ」

とか、すげえ不吉なこと言うの。ゴーレムみたいな顔しやがってからに、黒魔術師みたいな表情して言いやがるわけよ。貴様は俺の幸運に嫉妬してるんじゃねえのか?シット!とか思うことしきりですよ。

でまあ、ウダウダするB子や同僚を跳ね飛ばしまして

「いいから寄越せって!」

とまあ、まるで母の形見の反物を強引に奪い取り、質に入れようとする博打狂いの夫みたいに福引券を強奪しまして、いざ福引会場へと赴いたわけなんですよ。

で、車を運転して福引会場まで行こうとしてビックリ。シートベルト違反でポリスに捕まったからね。「確かに僕はシートベルトはしてないですけど、心のシートベルトはしてます!」とか熱弁したけど、取り合ってもらえず切符きられた。ありえない。

オマケに、農道を走ってたら車輪が側溝に落ちたりさ、歩道の縁石に片輪だけ乗り上げちゃって、その勢いで西部警察みたいになっちゃって、死にそうになりながら運転したりとかさ、おまけに信号が全部赤だったりとかさ、なんかB子が言ったように不幸がセット販売でやってくるの。ありえない。

さらに、まだ運はあるはずと信じて行った福引、5回全部7等が出るという体たらくぶり。いや、8等のポケットティッシュが5回出るなら分かるんだけど、7等の洗剤が5連続だぜ。年老いた老人が出すような赤い玉がコロコロと5回も出てきやがるの。ありえない。

まさにB子が言ったとおりに不幸の銀座通り状態に。あいつは占星術師か。

でまあ、意気消沈してオフィスへと帰った僕。皆に「このクズ!」だとか「チンコの皮の間に挟まってるもの!」だとか「目に入って痛くて仕方ないマツゲ」だとか、意味の分からない罵倒を一通り受けた後、ガックリと肩を落としてマイデスクへと戻ると、デスクの上の書類の山が大雪崩。雪崩式ブレーンバスターというほどにドドドドドドドと崩れてきたからね。ありえない。

しかも、飲みかけだったコーラの瓶まで倒れちゃって、シュワーとコーラがこぼれてキーボードを濡らして壊す始末。なんか「変換」っていうボタンが使えなくなった。ありえない。

結局、今日の僕はありえないことの連続で、最初こそは「ありえない」ほどラッキーの連続で、もうこりゃ札束の風呂で美女と乱交でも出来るんじゃ?などと舞い上がったのですが、占星術師B子の忠告からその運気も一変。今度は「ありえない」不幸の連続に。

今日一日を振り返って、あーあ、今日は幸にも不幸にも「ありえない」の連続だったなー、まさしくこんな一日こそが「ありえない」と考えを巡らしたわけですが、福引の5連続7等賞で貰った洗剤が全部「アリエール」だったので、まあ、アリなのかなと思った次第でございます。

というか、このオチ自体がありえない。


7/12 ーメン

エロ本を熟読しながら街を歩いておりましたところ、町外れに「ラーメン横丁」なるものが建造されているのを発見しました。たかが広島のクセにラーメン王国札幌を真似てラーメン横丁を建設する傍若無人な振る舞いに感動した僕は、一も二もなく足を踏み入れました。

中には7店舗ほどのラーメン屋が軒を連ねており、何処で食べようか非常に迷うところでございました。僕は味噌ラーメンとかトンコツとかのコテコテ系ラーメンが大嫌いでして、アッサリ味の塩ラーメンなどはないものかと探していたのです。すると、一番奥のほうに一店舗だけ塩ラーメンを売りにしている店舗が。

迷わず店内へ足を踏み入れ、カウンター席に座りました。店内は週末の夜ということもあり飲み会帰りのサラリーマンで溢れていました。そんな中、カウンターにはOL二人組みたいなセクシャルな女性が座っていて、その女性をカウンター越しにナンパする坊主頭のラーメン屋店員という訳の分からない光景が。

「ご注文何にしますか?」

冷水を差し出しながら、ショートカットの女店員が無愛想に話しかけてくる。しかし、無愛想といえどもなかなかキューティクルな店員だ。割烹着が随分と似合っており、それでいて今風の浜崎ナントカみたいな雰囲気を漂わせている。カワイイだけではなく、なんとなくセクシーな雰囲気を持ち合わせているのだ。そう、セックスを武器に使いそうな雰囲気の女の子なのだ。

それよりなにより、さっきまで歩きながら読んでいたエロ本に出ている女性に似ている。基本的にはマンガエロ本なんだけど、巻頭の数ページにカラーでグラビアが掲載されているエロ本。「街で出会った女の子にハメ撮りお願いしちゃいました」っていうコーナーで、あられもない痴態を激写されている女の子にクリソツだ。特濃ホットミルクをぶっかけられている表情が、「オーダーはいります!」と元気に叫ぶ表情とダブってしまう。

多分きっと、このエロ本に出演している女の子は「都内在住」とか書いてあるので、このラーメン屋の看板娘と同一人物である可能性は限りなく低い。でも、何故だか知らないけど物凄く興奮する。

こんな広島の街の片隅の、ラーメン横丁などというインチキ臭い建物の、その一番奥にヒッソリと佇むラーメン屋、そんな場所にさっきまでチンコおっ立てて見てたグラビア女性にソックリな子がいるのだから。

これはもはや、素人出演物のエロビデオを借りてみたら、同級生にソックリな子が出てきて、男優さんにとんでもないアクロバティックな体位で辱められているのを見たときの興奮度すら凌駕する。

こんなラーメン屋で注文をとってるような子が、エロ本の「街で出会った女の子にハメ撮りお願いしちゃいました」に出演(既に勘違いしている)。幾ばくかの撮影料と引き換えに、あんなことやこんなこと。挙句の果てには顔に精液という名のザーメンをぶっかけられ・・・。ああ、なんて興奮する、こんな子がザーメンを顔に・・・。

などと股間を怒張させて妄想していましたら、普通にオーダーを間違えました。クールでニヒルに「ラーメン」と注文しようとしたのに、デレデレとエロス過積載の目をして

「ザーメン」

とか注文してました。

店内でラーメンをすすりながら談笑していたサラリーマンの動きが止まる。店員にナンパされてちょっといい気分に浸っていたOL二人組の動きが止まる。ラーメンを作りながら熱心にナンパしていた坊主頭の店員の動きが止まる。それよりなにより、そのキューティクル女店員の動きが止まる。賑やかだった店内が、一瞬だけ静寂に包まれた。

ありえない、ありえないよ。なんやねん、ラーメンとザーメンを間違えるなんてありえない。真に受けた女店員が「ザーメン一丁!」とか注文して、「ウェーイ」とさらに真に受けた坊主店員が店の奥に消えてザーメンを製造しだしたらどうするんだ。そんなもん出された日にゃ、とてもじゃないが食べきれない。ドンブリになみなみと白い液が入っていても食べきれない。やはり、アッサリ系のラーメンを好む僕としては、ザーメンのコテコテさはいかんともし難い。

「オーダー入ります!ラーメン一丁!」

何事もなかったかのようにスルーしてくれた女店員。それに伴い、また店内の時間が動き出す。どうやら、ザーメンではなくラーメンを食べられるようだが、顔から火が出るほど恥ずかしい。

ここで恥ずかしさを前面に出してしまっては「ザーメン」とオーダーしたことを認めるようなものなので、「なに?俺はラーメンって注文したぜ、そっちが聞き間違えたんだろ」的な大物俳優のようなふてぶてしさでカウンター席に踏ん反り返っていた。隣のOL二人組やサラリーマンたちがヒソヒソ話をしているが気にしない。

なんとか出されたアッサリ塩ラーメンを食し、何事もなかったかのように店を後にする。

そういえば、中学生の頃に、教育実習で国語の女子大生の先生が来たことがあった。授業中に不慣れな感じで教材の作品の内容に触れた彼女は、ちょっとしたサブカル的意味合いを込めてこう質問した。

「この作品では蕎麦が題材になってるけど、他に麺食品って何があるかな?」

教材から与えられる内容だけでなく、もっと広く知識を与えようと彼女なりに必死に考えた質問だったのだろう。それを受けた僕達生徒は元気イッパイに

「ウドン!」

「ラーメン!」

「ソーメン!」

とか答えたのだけど、ちょどその頃「ザーメン」という言葉を覚えたてだった僕は元気良く

「ザーメン!」

と答えた。ウブな女子大生だった教育実習生の彼女にとって、この返答は遺憾だったらしく、そのまま教卓の上で彼女は泣き出し、授業放棄して職員室に帰ってしまった。

クラスの皆から「美人な先生だよね」と大人気だった彼女を、下賎な言葉で嬲り、尚且つ泣かしたとあって、僕は一気に悪者に。ひどくクラスメートに攻撃されたのを今でも覚えている。

「ラーメン」と「ザーメン」の取り違え、すごくあり得そうなことなんだけど、あってはならないことだよな。ラーメン屋での痴態や、中学時代の切ない思い出を思い描きながら、雨上がりきらぬ夜空を見上げて家路へと急いだ。

そしたら、来るときには持っていたエロ本が、この手にない。あのラーメン屋の店員がザーメンをぶっかけられているグラビアを載せた(勘違いしてます)エロ本がない。どうやらラーメン屋のカウンターに置き忘れてきたみたい。

いきなり深夜にフラリとやってきて「ザーメン」とオーダーする客。おまけに、濃厚なエロ本を置き忘れる客。

僕はアッサリ系のラーメンが好きで、コテコテなのは嫌いなのだけど、他でもない自分がコテコテな客だということに気がついてしまい、ちょっとだけ泣いた。ポツポツと雨振る夜空のように、泣きながら家へと帰った。


7/11 Numeri7不思議

イェーイ!Numeri閲覧者さんからのお便り紹介コーナーだよ!日記を書くのがシンドイ時などに、半ば手抜きで行われるお便り紹介コーナー!今日も張り切ってNumeri-FORMから送られてきたお便りにモリモリと回答しちゃうぞ!それでは最初のお便りから

patoさんこんにちは。日記を読んでいてショックだったのですが、patoさんは彼女さんがいるんですか?普通に「彼女が」なんて出てくるものですから、patoさんはフリーだと勘違いしていた私にはとてもショックでした。(女性からのお便り)

はい、普通に彼女います。それもヌメラー女性をゲットするという、小室もビックリな大活躍をさせていただきました。それも隠していたわけではなく、何度となく彼女は日記に登場しているはずです。

彼女をゲットした当初は、Numeri日記においてゲット報告はもちろん、初デートの様子やらプレゼントを買いに行った時のお話しなんかモリモリと書かせてもらいました。(2001年4月頃の日記)

非モテ界のファンタジスタと呼ばれる僕に、彼女がいるという歴然とした事実は、Numeri7不思議の1つに数えられています。ホント、なんでこんなウンコに彼女がいるんだろうな。

過去日記のファイル名が「dairy.htm」になっています。これはもしかしたら「diary.htm」の間違いではないんですか(多数の方からのお便り)

はい、おっしゃるとおりです。サイト開設時から綴りを間違えており、気付いたときには後の祭りでした。もはや引き返せないところまできていました。もう、意地になって、ゼッタイに直してやるもんか、と1年と10ヶ月の間頑なに間違ったままを通してきたのです。

これまでにこのような過去ログファイルの綴り間違いを指摘するメールは200通ほど届いてますが、そのたびに僕は「言われなくても、痛いほど分かってるぜ」などとハードボイルドに独り言を陳述して回避してきました。これからも直す予定はありません。

もちろん、この綴り間違いは、Numeri7不思議の2番目です。

patoさんは普通の社会人ですよね。なのに、ほぼ毎日といっていいほど長文の日記を更新されていますよね。どうやったらそんなに書く時間があるのですか?(男性の方からのお便り)

長文日記、一体全体いつ書いているのか。これはNumeri7不思議の3番目ですね。

まあ、だいたい、仕事しながらとか、寝る前にモリッと書いたりとかしてます。後は、朝4時ぐらいに妖怪のように起き出してきて書く時とかあります。時間はそんなに足りないという感覚はなく、普通に日記も仕事もこなしてゲーセン行ったりパチンコ行ったりしてます。ステディに毎日電話するのも欠かしません。

いつも週末度に東京に行ってますよね。それに各地方のオフ会に行ったりとか。どこにそんなにお金があるのですか?すごいエリート社員で高給取りとかなんですか?(女性の方からのお便り)

Numeri7不思議4番目。僕の給料ですが、かなり薄給です(12000円)。でもまあ、東京に行くってのはそこまでお金がかかることではありません。飛行機往復で2万7千円くらいです。だいたいパチンコで勝った金とか、ホモオッサン相手に体を売った金とかで行ってます。

こんにちはpatoさん。都内に住む21歳の女子大生です。私は趣味で色々なコスプレやってます。アニメのキャラとかスチュワーデスとか。patoさんはどんなコスプレがお好みですか?よろしかったら今度、ご希望のコスチュームでプレイしましょうよ。(都内在住21歳女子大生からのお便り)

この尻軽女が!

なーにが、お好みのコスチュームで、だ。貴様はな、コスチュームのこと何も分かってない。何も知ろうとしていない。軽々しくコスチュームプレイだとか口にするな。

だいたいな、コスチュームに惑わされているうちはまだまだ甘ちゃんだぜ。外見だけいくら整えたって空しいだけなんだから。やっぱ人間ってのは内面が重要なんだよ。コスチュームだとかで外見を錯覚させたって内面が伴ってなければ意味がないんだから。だから、どんなコスチュームが好きとか論じることは不毛でしかないわけ。わかったか。

それを勉強してからもう一度で直して来い、この尻軽女が!

ナース服が好きです。

というわけ、お便り紹介はこれにておしまい。Numeri7不思議を軸に論じていたのに、7不思議が4番目までしかないという不思議と、いつのまにかコスチュームプレイの話に変わっていたことに驚きを隠せません。それ自体が不思議で仕方がない。

というわけで、こうやってたまに日記上で回答しますので、モリモリとメールとか送ってやってください。


7/10 オチツキ

「pato君は落ち着きがありません、もう少し落ち着きましょう」

小学生の頃、通信簿の備考欄に必ず書かれている言葉だった。担任のザーマスメガネのクソババアが、更年期ヨロシクでヒステリックにキーキー言いながら書き殴ったに違いない文字でいつも書かれていた。

成績の低迷よりも、国語が「がんばりましょう」評価だったことよりも、「落ち着きがない」と書かれるのは深刻な問題で、いつもそれを読んだ母は、「なんでアンタはそんなに落ち着きがないの!」と修羅の如く怒り狂っていた。奥様は修羅。

怒りに身を任せ、発情期のサルの如く手近にあった物を投げつけ怒りを顕にする母は、まさに落ち着きがなく、ああ、僕が落ち着きがないのも立派な遺伝なのだな、と妙に納得したものだった。

確かに僕の落ち着きのなさは筋金入りで、1分と同じ場所に大人しく座っていられなかったし、常に体の一部を動かしていないとイライラするほどだった。未だに治らない貧乏ゆすりという癖も、本当に貧乏だからという原因だけではなく、落ち着きのなさもその一因を担っていると言える。

だから、小学校の授業なんてのは拷問に近く、大人しく座って45分の授業を聞くなんて正気の沙汰とは思えなかった。常に貧乏ゆすりで机をシェイクし、隣の席のヤツと話をする。前の席の女の子にちょっかいを出し、それで怒られると仕方ないので机に落書きを始める。

授業を受けて勉強するのではなく、いかにして暇を潰すのかが最大の焦点だった。そんな僕の姿が更年期の女担任をいたく刺激したらしく、彼女はいつも怒り狂い、最後の手段とばかりに教卓の横に僕の席を設けたほどだった。

それでも落ち着きを手に入れない僕は、もうビックリするほど大暴れ、それを受けて女担任も大暴れ、とまあ、通信簿に「落ち着きがない」と殴り書きにされても不思議ではない落ち着きのなさだった。

それから幾ばくかは大人になり、表面上は落ち着きを手に入れた僕。さすがにいい歳こいて「同じ場所に1分と座ってられません」などとキカン坊ぶりを発揮するわけにはいかない。いつまでも夢見る少女じゃいられないのと同じ理屈だ。

だから、貧乏ゆすりだけは治らなかったが、それでも表面上は落ち着いているように見せかけ、一見すると落ち着いていて冷静なクールガイを装うことに成功した僕だったが、今度は逆に心の中が大変な騒ぎになってしまった。

表面上の体の動きは落ち着いたものの、その反動で心の中がとても落ち着かない状況に。

いついかなるときでも、どんなに大変な場面でも、どんなに真面目な場面でも、どんなに癒されて落ち着くような場面でも、心の中では全然異なるベクトルのことを考えている。それも落ち着きなくポンポンと考えることが変わるのだからさあ大変。

すごく真面目に、同僚と政治経済の話をしてる時なんかも、心の中では

「今日は家に帰ったら天地がひっくり返るような凄いオナニーぶっこいてやるぜ」

と考え、次の瞬間には

「それにしても、大塚ちひろにメイド服着させて庭掃除させたい」

で、次の瞬間には

「中学生の性欲は物凄い。それを利用して発電とか利用できるんじゃないか」

「あ、今日の日記は何を書こう」

「尻の穴が痒い」

「ぬめっ娘。の衣装はサランラップにしようかな」

などと、忙しいほどにめまぐるしく考えていることが変わるわけ。表面上は知的にクールに昼下がりのオフィスで同僚と議論を楽しんでいるというのに、心の中では桃色な思いが目まぐるしいほど入れ替わる。

結局、今でも僕は「落ち着きがありません」って通信簿に書かれた少年時代と何ら変わっていなくて、表面上には出てこないものの心の中では大暴れ、落ち着きという言葉とは無縁なまま大人になったんだと思う。

だから、「集中」なんて言葉とは全く無縁で、遂行している行動と一致したことを考えてコンセントレーションを高めるなんてオナニーの時ぐらいで、大体は別なことを考えながら行動を起こしている。仕事しながらも別なこと考えてるし、日記を書いている今でも全然関係ないことを考えている。

で、そんな風に心の中に落ち着きがないものだから、その表面上の行動ではしばしミスを犯す。そりゃあ、行動起こしながら心では他の事考えているんだから当たり前と言えば当たり前。

そんな心に落ち着きがない故に起こるミステイクが時には途方もない悲劇を招くことがある。

最近ではとにかく増えてきて、街の至る場所で見かけるセルフ給油のガソリンスタンド。車に乗らない人には特に関連がないかもしれないけど、僕ら車乗りには大変ありがたい代物。

普通は車をガソリンスタンドに乗りつけると、店員が給油してくれたり窓を拭いたり灰皿掃除をしてくれたりするのだけど、このセルフ給油スタンドはそういった無駄なサービスは一切ナッシング。それどころか、自分で給油口を開けてガソリンを注ぎ込むという、まさにセルフの極地。

当然ながら、給油マシーンは自動制御されているのでスタンドに店員は存在しない。そのぶん人件費がかからないので、ガソリンの値段も普通のスタンドよりは若干安い。

しかも僕なんかは、子供の頃からあの給油作業を見て、自分もやってみたいなんて思っていたものだから、自分で給油するという作業は楽しいことこの上ない。

安い、楽しい、お手軽、24時間営業が可能、とまあ、良いとこずくめのセルフ給油スタンド、そこにいつもの如く給油をしに行ったわけなんですよ。

車で給油マシンの横に乗りつけ、機械にクレジットカードを通し、「満タンまで給油」ボタンを押す。ウィーンと唸りをあげて給油体制が整うマシン。そしてガンタイプの給油ノズルを手に取り、愛しの愛車の給油口に差し入れる。で、給油ノズルの引き金のような部分を引くと、物凄い手応えと共に給油が開始されていく。ドクドクとガソリンを貯蔵していく愛車の給油タンク。

でね、またもや給油をしながら落ち着きのない心で別のことを考え始めちゃったのですよ。

最初こそは、

「このガソリンの臭いが精液の臭いだったら」

とか

「変な棒(給油ノズル)を変な穴(給油口)に出したり入れたり」

とか、給油に関することを考えていたのですが、心に落ち着きがないものですからピョンピョンと別なことを考え出しちゃうわけなんですよ。

「そろそろ新しいノートパソコンが欲しい」

「でも、それには給料12000円じゃなあ」

「いずれにせよ、もっと収入を得るために出世しなくちゃ」

「でも、上司のチンコをチュパチャプスしたら出世させてやる、って言われたとしても無理」

「いずれにせよ、正規の手段でも自分は出世と縁がない」

なんてことを漠然と考えていました。なんか最終的には

「あら、僕ちゃん?出世したいの?」

なんていう、どっから出てきたのか知らんけど、トンガリメガネかけて高飛車な態度で物を言うキャリアウーマン風女上司が出てきた。そいで、その女上司のハイヒールを綺麗に舐め取る僕。裸に首輪で出世したい一心でハイヒールを舐める僕。なんて可哀想なんだ。

とか考えていたら

ゴボボボボボボッボ

いや、給油口からガソリン溢れてるし。給油口が活火山の火口みたいになってて、ボッコンボッコンとガソリンを噴出させてた。潮吹きみたいになってた。

「グワッ!溢れてる!」

どういう仕組みかは知らないけど、普通はこういった給油ノズルは満タンになると給油が止まる仕組みになっている。それなのに、この給油ノズルは満タンを超えてもなおガソリンを吐き出し続ける。給油タンクに収容しきれず溢れ出るガソリン。

普通はちょっとこぼれたぐらいで気がつくものなんだけど、落ち着きのない心でキャリアウーマン女上司との蜜月について考えていたもんだから、気付かずガソリン大ボルケーノ。あたり一面にガソリンが溢れ出してエライことになってたもんな。

僕の車は満タンで40リットルしかガソリンが入らないんだけど、給油マシンに表示された給油量を見たら72.5リットルも給油されてた。つまりは32.5リットルは噴出させた計算に。32.5リットルものガソリンが溢れ出る間、ボケーと別のこと考えている僕。どんなアホやねん。

結局、落ち着きのない心ってのは落ち着きのない行動よりも性質が悪い。全然集中しないものだから、考えれれないようなミステイクの連続。日常生活において非効率としか思えないミスが連発。

子供の頃は行動に落ち着きがなかった僕。けれども大人になって、さらに性質の悪い心に落ち着きがない大人にクラスチェンジしてしまった。きっと今でも通信簿があるならば

「心に落ち着きがありません、ミスの連続です」

と書かれるに違いない。

そんな風に落ち着きのない僕だけど、毎日書く日記だけはオチをつけようと精一杯頑張っていますので、どうかみなさん温かい目で見てやってください。


7/9-2 メリケン波止場

愛が減衰している。

日々テレビから垂れ流されるニュースを見て、いつもそう思う。福岡の一家惨殺死体遺棄事件、長崎の幼児誘拐殺人事件、そして沖縄でのイジメによる中学生殺人事件。とにかく、人が人を殺したというニュースが耐えない日はない。

どんな理由があるにしろ、人が人を殺す、同種の生物同士で殺し合いを行うというのは理解できないが、やはり殺された人にも何らかの理由があったのは確かだろう。決して理解は出来ないが。

しかしながら、昨今では大した理由もなく殺人が行われることが多いような気がする。そしてその方法も残忍で、とても人間が行った犯行とは思えず、さながら鬼が現世に舞い降りて行ったと見紛うこともしばしある。

世田谷一家殺人事件では、犯人の行ったその残忍な殺害方法、犯行後も現場に留まりアイスクリームを食べるという異常性、それらがクローズアップされたことは記憶に新しい。福岡一家惨殺事件は、幼い子供にも殴打した形跡があり、長崎の事件はとても理解しがたい殺され方をしている。

まさに現代はそこかしこに鬼が溢れ、自分だって次の瞬間には大した理由もなく見知らぬ人間に殺されているかもしれない。自分の肉親だって、自分の友人だって愛する人だって、いつ何時誰に殺されるかわかったものじゃない。それも大した理由もなく残忍にだ。

片田舎で過ごすように安心してノンビリ暮らすなんて到底不可能で、現代ではスラム街で暮らすかのごとく、自分と周りの人間の安全に細心の注意を払って生きていかねばならない。もはやそういうところにまできている。それほど街には普通の顔をした鬼が溢れているのだ。

思うにこれは、紛れもなく愛が減衰していることが原因ではないだろうか。

愛といってしまうと非常にRomanticで、なんだか恥ずかしく、実態が見えにくいものとなるが、言い換えると単純に「他者を思いやる気持ち」とでも言うこともできる。もっと分かりやすく言うと、人間という種全体で見た「種族愛」、これが間違いなく減衰している。

同じ「人間」という種として他人を見た場合、自分が包丁で切りつけられたら痛いように、他人も同じように痛いと容易に想像できる。だから僕らは大した理由もなく他人を包丁で傷つけたりしないし、物理的に傷つけないまでも心を傷つけただけで大いに後悔する。それは法律で罰せられるからという無機質な理由ではなく、単純に他の人間への種族愛があるからだ。

人間という種に生まれてきた以上、何の理由もなく僕らは種族愛を持ってるし、これが発展して恋愛なり親友なりに特別な感情を抱く。身内などに抱く愛はより強固な種族愛とも言える。そう、僕らは間違いなく種族愛を持っているはずなのだ。

けれども、上記の残忍な事件の報道を見る限り、とてもじゃないが種族愛を有した同じ人間が行っている犯行とは思い難い。これらの注目度の高い犯行だけでなく、平然と人を切りつける若者や、借金苦にサラ金に放火するオッサンなど、人の命を命と思わぬ犯行には戦慄すら覚える。どうしてここまで現代の人間は種族愛を失い街に鬼が溢れるようになってしまったのだろうか。

爆発的に個体数の増えたネズミは、海に向かって一斉に行進をし、入水自殺をする。退廃的な死の行進を行うことが知られている。これはメカニズムこそは解明されていないが、爆発的に増えた種の数を自分達で調整する働きであるという見方がある。つまりは、人数調節のために種全体で自殺を行っているのだ。

もしかしたら、現代における種族愛の減衰は、この死の行進に類似の現象ではないだろうか。今や50億、60億を超え、級数的に増加し続ける世界人口。もはや燃料資源や食料の枯渇は避けられない状況であり、現に今でもアフリカの一部や北の国では食糧不足が深刻な問題となっている。

ネズミの死の行進も、爆発的に増えた個体が、食料である植物をあらかた食べ尽くした時に行われる。もしかしたら、人間における種族愛の減衰も、生物としては当たり前の種全体での人員調整なのかもしれない。

たしかに、種族愛の減衰により人間が鬼と化し、一家惨殺をしようが、同級生をイジメ殺そうが、種全体の人数から見れば微々たるもの。とてもじゃないが人員調整には足りない。

しかしながら、これらの残忍な事件はほんのプレリュードでしかなく、本番はこれからだとしたらどうだろうか。

種族愛を失った鬼どもによる、町の至る場所での殺人の日常化。生んだ子供は平気で虐待死させ、老人どもは復活姥捨て山でサックリ処分。弱いことが悪とされ、暴力と腕力だけが正義となり、弱き者、病気の者は医療ができない福祉ができないと平気で処分される。テロリズムが蔓延し、その報復戦争も激化。100万単位の人間が日々虐殺されていく。そこに同種族に対する愛は全く存在しない。

なんだか、随分と人員整理ができるような気がする。

ニュースで報じられる残忍な事件は、その後待ち受ける人員整理のほんの幕開けだと思うと、恐ろしいやらゾッとするやら、とてもじゃないが正視に耐えない。もしかしたら近い将来、道端で人が血を流して倒れていても誰も気に留めない、そんな鬼どものユートピアが到来するかと思うとゾッとする。

愛の減衰による事件の増加、そして鬼どものユートピアの到来、もうそれはすぐそこまでやって来ている、そんな気がする。

先日、近所のショッピングセンターまで買い物に行った時のこと。かねてからご執心だったプロ野球チップスを、大人の財力を活かしてダンボール買いしてやろうと目論んで買い物に行った時の事だった。

抱えるようにしてプロ野球チップスのダンボールを抱えた僕は、これでプロ野球カードが鬼のようにたまるぜ、コンプリートも夢じゃないな、とご満悦。恵比須顔でショッピングセンターを出て駐車場に向かう、するとそこには異様な光景が。

なにやら、駐車場の隅のほうで、今にもバスケットボールだとか3on3だとかをプレイしそうなファッションの外国人の一団が

「Hey!Yo!」

だとかエディーマーフィーみたいに甲高い声を出して大騒ぎしている。そしてその一団の中心には乳母車みたいなのをひいた腰の曲がったお婆さんが。お婆さんはもちろん日本人。

品の良さげな、いかにも金を持っていそうなお婆さんが、大きい外国人に取り囲まれている。その光景は異様というよりも、なんだか犯罪の臭いすらする。

金を持っていそうな体力的に弱いお婆さん、それを取り囲む外国人集団。これはもう、誰の目から見ても外国人が婆さんから金を巻き上げようとしている、としか思えない。弱者から強引に金を巻き上げる強国メリケン。こんな街の片隅でも世界の縮図を見てるかのよう。なんて世知辛い世の中なんだ。

たぶん、メリケンどもは、

「ヘイ!この婆さん金持ってるぜ」

「おう!ついでにレイプもしちまうか!HAHAHAHAHA!」

などと、婆さんといえども容赦せずレイプして金を奪うに違いない。婆さんのクリトリスを弄びながら、容赦なく財布から金を抜き取るに違いない。下手したら口封じにと、サクッと婆さんを殺害するかもしれない。どこまで畜生なんだ、メリケンどもは。

人の命を命と思わぬ、種族愛の欠落した鬼ども。ヤツらなら僅かばかりの金のために殺人すら犯しかねない。ヤツらメリケンどもの手にかかれば、腰の曲がった婆さんを殺害するなど造作もないこと。ヤバイ、婆さんが危険すぎる。

さすがに僕はまだ鬼ではありませんので、その婆さんを助けようと思うのですが、やはり敗戦国日本としてはメリケンは怖いものです。おまけに僕の持っているダンボールいっぱいのプロ野球チップスに、メリケンどもが「MATSUI!MATSUI!」などと興味を示したら危ないではないですか。

「ヘイ!このジャップ、プロ野球チップス持ってるぜ」

「おう!ついでにレイプもしちまうか!HAHAHAHAHA!」

などと、男といえども容赦せずレイプしてチップスを奪うに違いない。僕の亀頭を弄びながら、容赦なくチップスからプロ野球カードだけ抜き取るに違いない。下手したら口封じにと、サクッと殺害されるかもしれない。どこまで畜生なんだ、メリケンどもは。俺のプロ野球カード返せ。

でまあ、ちょっとビビって尻込みしてしまったわけなんです。さすがにバイオレンスなメリケン集団に割って入るほどの度量は持ち合わせていない。けれども、僕は種族愛を失った鬼ではありません、そこで婆さんが今まさにメリケンどもの手に落ちようとしているのならば、助けなければいけない。そう、人が死に直面しているのなら無関心ではいられない。それが鬼ではない人間本来の種族愛というもの。

だから僕は勇気を振り絞ってメリケンどもに接近しましたよ。さすがにプロ野球チップスを強奪されては目も当てられませんので、ダンボールを駐車場に置き、手ぶらでメリケンどもに大接近。

お婆さん相手に強盗だとかレイプだとかしようとしているメリケンどもを、ちぎっては投げちぎっては投げ、鬼無双の大ハッスル。人の心をなくした鬼どもは俺が成敗してやる。まあ、間違いなくこっちが成敗されるけどな。

などと考えながら、鬼の一団に接近しますと

「エキハ シンゴウワタッタ ムコウノ ドウロデス」

とか、メリケンども、普通に道案内してるの。駅の場所が分からないお婆さんに、片言の日本語で道案内。ムチャクチャ親切です、このメリケンども。

おまけに、腰の曲がった婆さんでは道路を渡るのは大変だろうからと、己のマッスルを駆使して婆さんを持ち上げ、向こうの道路まで運んであげる始末。婆さんの引いていた乳母車みたいなのも別のメリケンが盗むわけでもなく運んであげてたしな。なんというか、すごく微笑ましい光景で、感動すら覚えた。

それを見て思ったわけなんですよ。確かに残忍な事件が増え、海の向こうでは戦争によって紙屑のように命が失われている。種族愛を失くした鬼どもがこれからもどんどん増えていくのだろうけど、それでもやっぱり人間はまだまだ捨てたものじゃない。

親切に婆さんを助けるメリケン。手前味噌だけど婆さんを助けようとした僕。まだまだ鬼になりきれない人間だって沢山いる。そう、種族愛をキチンと持った人間は沢山いる。

きっと、今の人間は過渡期なのだと思う。種族愛を守って人口爆発による食糧問題やエネルギー問題に悩むか、鬼に成り果て人員整理を行うか。どっちに転ぶか必死に押し合いをしている時じゃないだろうか。まあ、どちらに転んでも苦しいのは変わりないのだけど。

けれども、僕はやっぱり「他人を思いやる気持ち」、すなわち「種族愛」を大切にして生きて行きたいなと思う。

あまりにもメリケンどもの行動に感激した僕は、彼らを呼びとめ、フレンドリーに片言の日本語で話しかけると、友好の印にダンボールから一つずつプロ野球チップスを出して彼らに手渡した。

メリケンどもはたいそう喜んでくれていた。こういう友好的な繋がりもあるから、種族愛は魅力的、やはり大切にしたい。そう思った。もちろんカードは渡さず、チップスだけを手渡したのだけど。


7/8 眠れぬ夜は君のせい

子供の頃、夜十時まで起きていることは途方もない夜更かしだった。

どんなにキカン坊だった僕でも、どんなに親の言うことを守らなかった僕でも、やはり夜更かしは夜十時が限度だった。夜十時まで起きていた自分は途方もなく夜更かしで、なんだか大人の仲間入りした気分にさえ陥っていた。なんともカワイイものだ。

当時、夜十時のテレビ番組の谷間では、スポット的に天気予報が放映されていた。その「明日の天気」と書かれた文字フォントは非常におどろおどろしく、なんとも夜の世界のアンダーグラウンドさを感じさせてくれていた。少年時代の僕にとって、この夜十時の天気予報こそが深夜世界の証だったし、それ以上深い深夜が存在するとは思いもよらなかった。

いつからだろうか、大人になるにつれて僕らは眠らないことが当たり前になってきた。夜十時なんてまだまだ早い時間帯で、日付が変わろうとも僕らは元気に活動している。酷い時は夜が明けるまで起きて活動していることだってある。

テレビ放送は深夜でも昼間と変わらず放送されるようになり、街に出ればネオンが瞬きコンビニがいつでも営業している。夜が夜でなくなり、そして僕らは眠らなくなった。

夜が夜でなくなったことは、僕らが眠らなくなった理由のうちの一つかもしれないが、もう一つ重大な要因がこれらの事象の闇に隠れている。

それは、心の窮屈さ

眠るという行為は、身も心も開放して休む行為に他ならない。体を横にしてリラックスし、なにも考えずに心を鎮める。言い換えれば、心が鎮まらなければ平穏に眠ることなどできないのだ。

けれども、現代はあまりにも煩すぎる。心を鎮めるに現代は煩すぎる。漠然とした社会全体に対する不安やら、自分の将来や立場に対する不安。そして、悩み事やら考え事、とにかく心を開放して眠っていられないほどに考えることが山積みだ。

きっと僕らは、大人になるにつれてそういった心の窮屈さをリアルに実感していくのだろうと思う。何も考えなくて、ただただ眠っていればよかった子供時代、そんなものは遠くに置き忘れて、日々布団の中で悶々と考え事をする日々。なんとも窮屈で心苦しいものだ。

水曜日夜

僕は、ちょっとしたキッカケから、現状の年金問題について考え始めてしまった。払ってはいるものの、将来は確実に貰えない、もしくはかなり減額されると予想される年金。初めから破綻することは目に見えていた。これはもう、国家が行う壮大なマルチじゃないか。

僕が老人になったら、国から貰う年金などいらない。破綻するのが目に見えており、減額される年金なら受け取りを拒否する。そのかわり、僕ら老人に独立権を認めて欲しい。

社内ベンチャーのように国家内国家として、日本国内で老人達による独立国家建国を認めて欲しい。そこで我々は老人ならではの政治を行い、職人技術を駆使して生産も行う。そして、若者だらけの日本国と貿易も行う。そうやって、老人となっても自給自足して暮らして行きたい。

などと考えていたら、朝になっていた。

年金にまつわる将来の不安を考えていたら、心が窮屈で眠れなかった。

木曜日夜

昨日は考え事をしていて眠れなかったので、今日こそはユックリと眠ろうと布団の中へ。その刹那。

「うおーーーーーー!」

斜め下の部屋から猛獣のような猛り声が。多分きっと、この声の主はカブレラ。

カブレラは、斜め下の部屋に住まわす女子大生と同棲をしている男で、日本人ながらカブレラにクリソツの外観。知性などは微塵も感じられず、ただ本能の赴くままに生きているんだろうな、と実感させてくれる男だ。

そんな男の叫び声が深夜のアパートにこだまする。

そういえば、今日はカブレラと同棲している女子大生の姿を見かけない。いつも帰ってくる時間は同じなので、いるのならば姿を見かけるはずなのだが、今日はみかけない。たぶんきっと、大学の合宿かなんかで女子大生はアパートを空けているに違いない。

そうなると、いつもは二人でいるはずのカブレラも今日は部屋で一人。男が部屋に一人となると、もうやることは一つしかありえない。そう、それはオナニー。

オマケに、カブレラは女性大生と狭い部屋で一緒に暮らしているものだから、オナニーをするチャンスはそうそうない。そりゃ、女子大生とおセックスに毎夜励んでるとはいえ、オナニーとおセックスは別腹。どんな男だってオナニーせずに生きていけるわけがない。

というわけで、カブレラは、女子大生が不在なのをいいことに狂おしいほどにオナニー。久々のオナニー。忘れていた感触に大興奮。

「ウオーーーーー!」

という叫び声を発しながらオナニー。

いや、いったいどんなオナニーやねん。いくらカブレラがワイルドだからって、叫ぶほどのオナニーって一体どんなものなんだと。

オマケに逝きそうになるときの叫び声が物凄くて、この世のものとは思えない断末魔の叫び声に、ドシンバタンという只事ではない物音。

「ぐおおおおーー!おおお・・・お!」

とクライマックスを迎えた後に声が止まり、後処理などに奔走しているのは分かるのだが、その直後にまた「ウオオオー!」と始まる。

結局、この日、朝まで続いたカブレラのオナニーは、深夜の閑静なアパートに一晩中こだまし、おまけにそれに共鳴して野良犬が遠吠えを始めるという、さながら小さなオーケストラ状態。うるささも相当なものだったが、カブレラがどんな風にして叫ぶほどのオナニーをしているのか気になって眠れなかった。

金曜日夜

この日は、仕事後に最終便の飛行機に乗って東京へ。週末はステディに会って愛の短歌でも詠みあげようと目論んでいた。おまけにステディの家に行けばゆっくり眠れるに違いない、年金に対する不安も、カブレラのオナニー声も気にせずゆっくり眠れるに違いない、そう期待して最終便で東京へと向かった。

しかしながら、彼女の家に行く前に立ち寄った新宿のゲームセンターで、麻雀ゲームに熱中してしまうという大失態。取り返しの付かない大失態。サクッと終電を逃してしまうという大失態を演じてしまった。これにはさすがのpatoも猛省。

僕は眠らない。不夜城新宿歌舞伎町もまた眠らない。けれども、けれどもそこを走る電車だけは、サクッと眠ってしまうという歴然たる事実。そのアンバランスさがまた面白い。

結局、新宿から電車で30分ぐらいかかる場所にある彼女の家まで徒歩で行くことを決意した僕は、重いリュックを背負って新宿を離れていくのでありました。

5時間歩いた結果、彼女の家に到着する頃にはすっかり夜も明けており、非常に朝日が綺麗でした。というか、普通に新宿で夜を明かし、始発で移動してもあまり変わらんかった。

結局この日も、終電を逃したために眠ることはままならなかった。

土曜日朝

なんとか彼女に家に到着。歩きすぎて足の裏の皮がめくれて痛い。そんなことはどうでも良く、今はただ戦い疲れた戦士の如く、泥のように眠るに限る。とにかく、彼女のベッドに横たわり、全てを忘れて眠りに付いた。

「ウケケケケケケケケケケ」

異様な笑い声で目が覚める。まだ幾ばくも眠ってはいない。限られた少ない睡眠の後、異様な笑い声によって眠りから解き放たれるしかなかった。

見ると、彼女が携帯電話に耳を当て、まるで狂ったかのように笑い転げていた。そういう病気の人みたいに、とにかく死んじゃうんじゃないかというほどに彼女は笑い転げていた。

「何がそんなにおかしいの?」

と寝ぼけ眼で僕が訊ねると、彼女は笑いすぎて呼吸困難といった様子で耳に当てていた携帯電話を僕に差し出してくれた。

聞いてみると、携帯電話からは

「グオオオオオオオ!!!」

という、まるで地鳴りのような、地下深くで蠢く何かのような重低音が規則正しく繰り返されていた。不気味ではあるが、別にこれを聞いて狂ったように笑うほどのものではない。

「これどこがそんなに笑えるの?」

あそこまで狂うたかのように笑っているのだ、きっと携帯電話からは落語か何かが流れていると思ったのだが、聞いてみるとただの重低音。本当にこの子は狂ってしまったのだろうか。前々からおかしい、おかしいとは思っていたが、本当に狂ってしまったのだろうか。などと考えていると、どうやらこの重低音は僕のイビキだという衝撃の事実。

前々から、「patoさんイビキうるさいよ」などと指摘されていた僕。けれども僕はそれを頑なに認めようとはしなかった。僕のような上流階級の男が、イビキなどという下賎な行為をしているとは、にわかに信じがたい。

そこで、「じゃあ俺様がイビキをかいている証拠として、今度やってたら録音してくれ」などと高飛車に言った僕。彼女はそれを真に受けて、モロに携帯電話の音声メモ機能で僕のイビキを録音。それを聞いてみたら異様に可笑しくなったらしく、狂ったように笑っていたと。

身悶えるかのように笑い転げる彼女に、またイビキをしてしまっては恥ずかしい、という思いの僕。眠りはしたものの、全てを開放して休むとまではいかなかった。

土曜日夜

新宿で飲み会。オールでバトルロワイヤル2を見たり、新宿二丁目に突入したりと大車輪。とにかく、眠れるような状況ではなかった。

さすがに疲れ果て、日曜はほとんど寝ていたものの、水曜からほとんど眠ることが出来なかった僕。年金に対する将来の不安、カブレラの野獣オナニー、終電逃し、彼女のクレイジー笑い、そしてオールナイト遊び。

現代社会はあまりにも不安定すぎるし、にぎやか過ぎる。今日の日本で将来に対する不安を抱かないほうがどうかしてるし、にぎやか過ぎる夜の街に身を投じない人もそんなにはいない。身を投じなくとも、にぎやかな夜はカブレラの野獣オナニーのように向こうからやってくる場合もある。

結局、大人になればなるほど僕らは不安に気がつくし、夜の街に繰り出すようになる。その結果、安心して眠れなくなってしまうのだ。何も心配せず、夜の街の存在も知らずにユックリ眠っていた幼き日々、あんな安堵に包まれた安らかな眠りはきっと二度と来ないのだろう。

眠らないことは大人になること。

そう考えるとなんとも淋しいものだ。夜10時台の天気予報で深夜の到来を感じていたあの頃の純粋な自分には戻れないのだ。

などと思案を巡らせながら、またもや壁越しに伝わるカブレラの「ウホオオウウウ!!」という野獣オナニーサウンドに悩まされる月曜夜。今夜もまた眠れそうにない。


7/7 ユニオンジャック

上野君は、途方もないほどの不良だった。

小学生でありながら、その風貌はワルそのままで、微妙にリーゼントチックな髪型や、不良のセオリーとも言うべきファッションはなんとも他者を威圧していた。彼の醸し出す雰囲気は、まさに「悪そうなヤツはだいたい友達」といった感じだった。

彼は小学6年生という幼さでありながら、タバコはあたりまえ。酒もドンと来い、時にはシンナーの臭いをプンプンさせて幼い児童が集う教室へと入ってくることもあった。

下校時に上野君が4年生相手にカツアゲしているのを目撃したこともあるし、ランドセルを背負いながら咥えタバコなのも目撃した。気に入らないヤツは呼び出して鉄拳制裁、それが彼の中では当たり前だった。

小学6年生という年齢でありながら、不良少年独特の脆さだと危うさだとか、触るものみな傷つけるとか、そういったポテンシャルを持ち合わせている上野君が心底怖かったし、できれば同じクラスにいて欲しくない、などと思ったものだ。

僕の通っていた小学校では、居住区域ごとに1区、2区とする区域分けがされており、○○町は2区などと取り決められていた。そして、その区域ごとに3区子供会などと子供会が結成され、それぞれ独自の政治が行われていた。

僕の所属する子供会には、近所に住んでいた件の上野君も所属していた。会合などの雰囲気はまさに一触即発、いつ上野がキレるか気が気ではない状態。他の子供会は和気藹々と会合などを開いているというのに、僕らだけ業績の悪い会社の株主総会みたいな雰囲気の会合だった。

その子供会のどうしようもない行事の一つに、「相互訪問」なるものがあった。簡単に説明すると、子供達を訪問する側と訪問される側に分け、くじ引きでカップリングを行う。訪問する側は、くじで引いた相手の家に遊びに行き、一日をその相手と過ごす。訪問される側は、その訪問者を受け入れて楽しく遊ばなければいけない。というなんとも意味不明な行事だった。

おそらく、友達がいなくて家で一緒に遊んだり出来ない子供ができないように。そういった子供が孤立してしまわないように。あわよくばそこで仲良くなってくれれば。などという期待から大人たちが考え出したことなのだろうと思うが、いくらなんでも浅はか過ぎる。いかにも子供会を束ねるバカ親父が考え付きそうなことだ。

いくらなんでも、仲の良くないヤツの家に遊びに行くのは嫌だし、得体の知れないクリーチャーが我が家に遊びに来るのも我慢ならない。結局、この行事自体は当初の目的を失い、くじ引きの作り出す残酷な運命に翻弄される子供達を大量生産するだけの悪魔の行事と成り果てていた。

超綺麗好きだったA君は、ゴミ屋敷に住むヤツの家に遊びに行って地獄を見たというし、犬猿の仲で知られるB君とC君もまた悪魔のくじ引きによって後味の悪い思いをしたという。とにかく、圧倒的に不利益をこうむることの多い行事だった。

しかしながら、なかなか美味しい思いをすることも稀にあり、例えばくじ引きで女の子の家なんかを引き当てたりすると、「行事だから仕方ない」という大義名分を得て婦女子の家を訪問できるという楽園が待っている。そうなりゃ隙を突いてパンティエもブラジャルも鑑賞し放題。意中の異性が相手だったりすると、尚のことこの行事に感謝したりするようになる。

とにかく、くじ引きによって全ての運命が決まるこの行事。当然のことながらくじ引きを行う会合のときなどは、一種異様な緊張感が張り詰め、誰しもが息を呑んで小さな数センチ四方のくじ引き用紙に注目していた。そしてくじ引き後には一喜一憂、勝利を収めし者の明と、敗れし者の暗が激しいコントラストを奏でていた。

そして、いよいよくじ引きの時がやってくる。その年、僕は訪問する側だったため、訪問先を決めるくじ引きを引かねばならなかった。

できることならば、学校一番の美少女と評判のあの子の家を引き当てたかった。発育が良く、小学六年にして たわわな乳房を所有するあの子の家を引き当てたかった。もしくは、男だけど異常に金持ちな御曹司の家を引き当て、豪華絢爛な料理に舌鼓を打ちたかった。

緊張の瞬間、くじ引きボックスに手を伸ばす僕。まるで心臓の鼓動がココまで聞こえてくるのではないかというほどに、高鳴る胸の鼓動が抑えきれなかった。

ボックスの中で右手を右往左往させた後、一枚の紙片を取り出す。この小さな小さな紙片によって僕の明暗は決定される。美少女やセクシャル小学生の家や御曹司の家を訪問する天国か、ゴミ屋敷や嫌なヤツの家を訪問する地獄か。全てが決まってしまう。

小さく折りたたまれた紙片を、恐る恐ると開くと

「上野」

と、死刑宣告ともとれる名前が圧倒的に記されていた。スーパー不良上野。下手したら2,3人は殺ってるんじゃねえの?という上野、そんな大不良の家、そこをフレンドリーに訪問しろと神は仰ったのだ。

絶望の二文字が僕の脳裏を所狭しと暴れまわる。あんなスーパー不良の家など訪問できるはずもない。たぶんきっと、家には上野君以上にバイオレンスな家族が待ち構えていて、兄弟はヌンチャクに棍棒、父はマグナムを携え、母は台所で包丁を研いでいる、なんて光景が繰り広げられているに違いない。まさに修羅どもが巣食う暴力王国。か弱い僕なんか、殺されるだけじゃなくて尻の毛まで抜かれちゃうんじゃないだろうか。

怖い、怖い、出来ることなら逃げ出したい。そもそも、なんで遊びに行く相手を無理やりくじ引きで決められなきゃいけないんだ。僕らは遊びたい人と遊ぶし、遊びたくない人とは遊ばない。そりゃ僕らだって聖人ではないのだから、やはり気に入らない人間だとか、この人はちょっとという人はいる。そんな相手とも有無を言わさず遊ばせる、この行事は間違ってると思ったし、人権侵害も甚だしいと感じていた。

しかしながら、無力な子供でしかない僕が体制に反抗する手段など持っているわけもなく、ただただ大人たちの操り人形のごとく上野家の扉を叩くのだった。

「上野君、遊びましょ」(こう挨拶するように決められていた)

こんなガキっぽいセリフで不良の家を訪問するヤツが何処にいるっていうんでしょうか。タバコもドンと来い、シンナーだってやっちゃうぜっていう上野君の家に「あそびましょ」だよ。ホント、これだけで殺されてもおかしくない。
僕の異次元の挨拶を受けてか、二階からドタドタと駆け下りてきた上野君

「おう、きたか、まあ上がれや」

などとドスがピリリと利いた声で言います。なんか上野君、さっきまで吸引してたのかちょっとシンナー臭かった。

そんなこんなで、気分的にはヤクザの事務所に上納金を納めに来たビニ本屋店長みたいな面持ちでついに暴力の館にイン。ハードバイオレンス不良上野に案内されるがままに彼の部屋へと向かう。

途中、廊下を歩いていると、ふすま越しにお母さんと思われる人の声がして

「まーくん?お友達なの?」

と。
まさか、上野君はまーくんですか。あの超絶不良の上野君がまーくんですか。などと、顔に出したら本気で殺されるので、心の中でプププと笑っておりました。すると、それを察したのか上野君ことまーくんは、突如回路が変わったかのようにキレだしまして

「うるせえ!!クソババア!!ぶっ殺すぞ!」

と怒鳴りながらフスマが凹むくらいガンガンと蹴っておりました。マジで、コミックガンガンというほどに激しい蹴りでした。

(わお!バイオレンス!)

と心の中で思っておりますと、フスマの向こうでは

「ごめんなさい、まーくん・・・」

とまーくんの母親のすすり泣く声が。なんだかそれを聞いて、ちょっと胸が締め付けられる思いがした。

で、上野君の部屋へと通されたのですけど、やはりというかなんというか、彼の部屋は異様にタバコ臭くてシンナー臭い。それに、不良の部屋の定番とも言うべきイギリスの旗がズババーンと壁一面に飾ってありました。さすが不良、どんなにシンナーに明け暮れてもイギリスの旗だけは忘れない。

そいでもって、戸棚の上なんかみますと、なんか写真立てに入った写真が飾ってありました。みると、すごく濃い化粧をした高校生ぐらいのヤンキーお姉さんと上野君が上半身裸で写っており、さすが大不良上野、女もドンとこいだぜ、などと妙に感心しました。

「とりあえず座ってマンガでも読んでおけや」

と言い放つ上野君に対して、何で僕はこんな異空間にいるんだろうと感じつつも、本棚にあった不良マンガを読むことにしたのです。なるべくページなどを折らぬよう汚さぬように細心の注意を払って読んだのを今でも覚えています。
僕がマンガを読んでいる間、なんか上野君はリーゼントの手入れとかしてました。

ビクビクしつつ読みたくもないマンガを読む僕に、髪形のセットをする上野。この光景のどこをどう見ても「一緒に家で遊んでる」とは言えません。けれども、僕はただただ時間だけが過ぎることを祈って、沈痛な雰囲気の中、シンナー臭い部屋の中で耐え抜いたのです。

そんなこんなで一時間ぐらいが経過した時、僕はこのまま時間が過ぎ去れば良いと思っていたのですが、さすがにこれではマズイだろうと思ったのか、上野君が話しかけてきました。

「なあ、外国とかいきたくねえ? 俺はな、大人になったら外国に住みてえんだよ」

突拍子もなく夢を語りだす大不良に混乱していると、そんなことはお構いなしに上野君が本を取り出して続けるのです。

「こういうところに住みたいんだ」

そういって彼が見せてくれた本は、どっかの外国の写真集でした。そこに記された風景は、何処の国だか分かりませんが本当に綺麗で、日本にはない雄大な何かがあるかのようでした。

「素敵だね」

下手なことを言うと埋められかねませんので、僕は至極無難な返答をしたのですが、その返答をいたく気に入ったのか上野君は不良とは思えない満面の笑みで

「だろ?俺ゼッタイに外国で働いてやるんだ」

などと言っていました。
僕はそんな風に無邪気な表情で夢を語る彼を見て、ああ、彼だってあながち悪いヤツじゃないかもな、ただちょっと自分を表現するのが苦手なだけかな。などと思ったのです。そう、上野君もまんざら悪いヤツじゃないな、などと次第に打ち解けてきたのです。

その瞬間でした。

「まーくん、ちょっと・・・」

階下からまーくんを呼ぶ母親の声。それを聞いて不良の顔に戻った上野君は

「うるせえっていってんだろ!!」

と、大車輪の勢いで階段を駆け下りていったのです。そして階下から聞こえる「オラッ!」「バスッ!」「キェー!」「まーくん、ごめんなさい・・・」などという、聞くに耐えないバイオレンスな音声たち。階下でどんな地獄絵図が展開されているのか想像したくありません。

そして、そんなバイオレンスサウンドが消え失せ、しばしの静寂が訪れた後に上野君は部屋へと上がってきました。なぜだか手にはカルピスが2つ乗ったお盆を持っており

「お袋が、これ飲めって」

などとカルピスを差し出してくれたのですが、その拳には母さんを殴った際にできたと思われる傷跡が。ちょっと血が付着してました。

コイツに心を開いたのは間違いだった。下手したら僕ちゃんもお母様のように殴られる。それはそれはバイオレンスに殴られる。このカルピスを飲んだら速攻で帰ろう。神々の如き素早さで帰ろう。

一気飲みとも思えるような速さでカルピスを飲み干したのでした。
それでまあ、カルピスも飲んだし、遊びに来てある程度の時間は経過した。これで子供会に対しても格好がつく、もう十分だ、帰ろう、この地獄の館から早急に立ち去ろう。

と思うのですが、母をボコボコニして非常にエキサイトしている上野君はそれを許しません。僕がちょっとでも席を立とうとすると

「なんだよ、まだ帰るなよ、もうちょい話を聞けよ。それでこの国はな・・・」

などと、どうでもいい海外話を語りだすのです。
下手に反抗してリンチにあってしまては目も当てられませんので、「うんうん」とか話を聞くのですが、心の中では「帰りたい帰りたい」の大合唱。しかも、カルピス一気飲みが効いたのかオシッコしたくなってきました。

けれども、トイレに行こうとしても上野君は部屋を出ることを許しません。とにかく俺様の海外話を聞けや、といったスタンスを貫き通すのです。

最初こそは「トイレ行きたい」という思考よりも「帰りたい」という思考が勝っていたのですが、時間が経過するにつれて「トイレ行きたい」が支配的になっていきます。

もう上野のバカの海外話なんて耳に入ってこなくて、思考回路はショート寸前。膀胱は破裂寸前。もう我慢の限界じゃあああああ、といったところで

「まーくん、ちょっと・・・」

とまたもや階下からお母様の声が。
アンタはまたまーくんに殴られたいんですか、彼を呼ぶから殴られるのに、それでもアナタは彼を呼ぶのですか。などと思うのですが、逆にこれはチャンスで、下でまーくんが暴れている隙にオシッコとかいけるんじゃねえの?などと邪な僕は思ったのです。

案の定、モルアアアアアアアア!!!などと狩猟を生業としている種族みたいな掛け声を発したまーくんは、猛烈な勢いで階段を駆け下り、またもやバイオレンスな音を響かせ始めたのです。

これは大チャンス、それ、この隙にトイレに行ってやれ!
などと僕も階下へと降りてトイレに行くチャンスを伺ったのですが、階段の一歩手前で断念。あまりに階下から聞こえてくるバイオレンスサウンドやお母様の悲鳴がもの凄過ぎて、足がすくんで降りられなくなったのです。

それと同時に臨界点を迎えた僕の膀胱。恐怖で気が緩んだのかその場でジョジョジョジョと。溢れ出す黄金水は、僕のブリーフやズボンでは収容できず、そのまま階段の踊り場にジョジョジョジョと。まあ早い話、恐怖の大不良の家でオシッコ漏らしちゃったんだわ。

下では大暴れする上野君に、お母様の悲鳴。階段の上ではオシッコを漏らす僕と。下は大火事、上は大水とはまさにこれ。

やばいやばい、やばすぎる。オシッコ漏らしたなんて知られたら、ゼッタイに上野に殺される。殺されるだけならまだしも、ゼッタイに学校中に言い回られ、僕は「他人の家でオシッコを漏らしたクリーチャー」の烙印を押されて一生を過ごさなければならなくなる。

早く、一刻も早く、このオシッコを処理せねば!

猛烈な義務感に襲われた僕は、もう手近にあった布で片っ端から拭きましたよ。タラタラと流れるように階段を垂れ落ちていくオシッコどもを、猛然と拭きとっていったのです。

それでまあ、、なんとか漏れ出たオシッコの処理は終わり、ちょっと一安心、などと思ったのですが、オシッコを拭き取った布を見て血の気が引けましたよ。スーッと血の気が引けた。

だって、無意識のうちに拭き取って布が、イギリスの旗なんだもん。
上野君が悠然と部屋に飾っていたイギリスの旗。不良のシンボルともいえるイギリスの旗。

どうやら僕は、無意識のうちに壁からイギリスの旗を剥ぎ取り、それで猛然とオシッコを拭いてたみたいです。不良のシンボルでオシッコを拭くなど、神をも恐れぬチャレンジャーとしか良い様がない。

さすがにこれは殺される

小動物特有の危険察知能力を発揮した僕は、とりあえず形だけでももとあった場所に戻さねば、などととにかく必死で壁にイギリスの旗を飾る。オシッコが大量に付着し、部分部分色が濃くなっているイギリスの旗を何事もなかったかのように飾りなおす。

そいでもって、台所付近で暴れまわる上野君を尻目に、こっそりと暴力の館から脱出。なんとか、完璧に処理しかことだし、ばれないだろうと脱出。

部屋に充満するタバコやらシンナーの臭いでオシッコの臭いは中和され、なんとか乾いてしまえばバレることないだろうと思っていました。

結局、僕は恐怖の館で最強の不良、上野君を前にしてオシッコを漏らすという大失態。しかも不良のシンボル、イギリスの旗でオシッコを拭くという大失態。上手く逃げおおせたのはいいものの、いつばれるのか気が気ではない状態でした。

数日後、上野君の家の横を通った際、彼の部屋の窓からはためくイギリスの旗を見た際、まさかオシッコがバレて乾かしているのかと気が気ではない状態で、心底震えたのを憶えています。

それ以来、イギリスの旗を見るたびに、あの日のオシッコやら上野君のバイオレンスを思い出し、恐怖が蘇って震えてしまうのです。だから僕はイギリスの旗が嫌い。

そして上野君は、あの日語ったを叶え、今ではイギリスで働いています。


7/6 出会いと別れ

それは、8年ぶりの再会だった。

「あれ?patoじゃねえ?ひさしぶり」

「おお!ひさしぶりじゃん!」

僕ら50億人の地球の民は、毎日物凄い確率で出会い、別れを繰り返していく。僕が誰か一人の人と出会う確率は単純に50億分の1。奇跡に近い確率で僕らは出会い、友達になり恋人になり親密になっていく。それだけに僕らは一つ一つの奇跡という名の出会いを大切にしていかなければならない。

今、僕の目の前で「ひさしぶり」と言いながら笑っている男は、そんな奇跡的出会いを果たしながらも、大切にできなかった相手の一人だ。

「なんだあ、この近くに住んでいたのかよ、連絡してくれよ」

「ホント、8年ぶりだよなー、懐かしいなあ」

僕らは、実は思っているほど出会いというものを大切にしていない。ざっと周りを見渡してみると、少しばかり面倒な過程を経て会おうと思えば会えるのに、それすらもしようとしないことが多い。別に会うことができない相手ではないのに、特に会おうとしない相手のなんと多いことか。

「大学入学以来だっけ?」

「だな、8年ぶりだよ」

彼とは、大学の入学式で隣の席に座った仲だった。これから始まる新生活に胸を弾ませ、期待と不安で胸が一杯だった時に出会った戦友だった。数多くの同年代の人間が存在し、数多くの人間が大学に入学する。たまたま同じ大学に入学し、そして偶然にも入学式で隣の席に座るという、天文学的確率で僕らは出会った。

けれども、僕はその奇跡的出会いを大切にしなかった。

お互いに連絡先は交換したものの、特にとりたてて連絡を取ろうとはしなかった、お互いにだ。たぶん、いつでも連絡を取れるという安心感が、僕らに連絡を取らせなかったのだと思う。会えない人には無性に会いたがるのに、いつでも会える人には特段会おうとしない。

大学で一度もすれ違うことなく、連絡も取ることなく8年が経過した。

「お互い変わってないな」

「だな、今度こそは一緒に遊んだりしようや」

「うん、今度こそな」

感動の再会を果たした僕らは、少し冗談交じりに軽口を交し合った。

電力会社の料金支払い窓口で。

二人とも電気料金を滞納しすぎて電気を止められてしまい、仕方なく払い込み書片手に電力会社まで払い込みに来たのだ。お互いに26歳という妙齢でありながら、電気を止められ支払いに来るというダメっぷり。そんなダメ人間の集会所で感動の再会を果たす僕達。

「じゃ、今から電気を復旧させますので、いきなり電源が入って危ない物とかないですよね」

領収書を渡されながら、二人揃って電力会社の人に言われるダメっぷり。

8年前、出会いを大切にしなかったばかりに進展しなかった僕らの仲。けれども、もしあの時に大切にしていたのならお互いに物凄い親友になっていたかもしれない。二人ともこんなにダメ人間なのだから、きっとすごく気が会っていたに違いない。

小さな小さな奇跡的な出会い、それを軽視しすぎるばかりに何物にも変え難い大切な物を失っているのかもしれない。

皆さんの周りに、軽視されている小さな出会いありませんか?


7/4 終わりなき賃金闘争

みなさんは覚えているだろうか、以前に僕の給料が間違って振り込まれてしまい、給料日にルンルン気分でお金を下ろしに行ったら、


 

給料=9600円

というあり得ない振込み額が通帳に印字されていた事件を。(2002年12月13日 給料日 参照)

会社は俺を兵糧攻めにする気か、と怒りに打ち震え、泣きながら日記に記したあの事件、皆さんの記憶に新しいと思う。

こう見えても僕は、一般的な26歳青年ほどは給料を頂いております。ありがたいことに、こんな仕事中に日記を書いたりとかするウンコにも人並みに給料を与えてくれています。

しかしながら、通帳には見紛う事なき「「給料9600円」の文字。あまりのあり得なさに銀行ATMの前で「バ!バカなー!」と大声で叫んでしまいました。通帳を顔から2ミリぐらいの場所に近づけて大声で。

けれども何度見ても給料は9600円なんですよね。

まさか月収9600円では、その辺の週一でアルバイトしてるようなお姉ちゃんと変わりありません。家賃すら払えないですし、エンゲル係数100として計算しても1日の食費が320円です。さすがにこれでは生きていけない。

我が職場の給料を統括している部門は経理になるわけなんですが、この経理部門が非常にズサンでして、キミたちは金を扱っちゃイカンだろー、と本気で言いたくなるようないい加減さを誇っているんです。真にアバウト、なんだってノープロブレムの世界ですからね。

でまあ、彼らのそのようなズサンさが、間違った給料振込みを引きを越してしまい「9600円」という悲劇を招いたわけなんですが、さすがにこれにはpatoさんもご立腹。その足で経理へと殴りこみに行ったわけなんですよ。

「なんで俺の給料が9600円なんだよー!」

ど怒鳴り散らしましたところ、経理部門を統括しているオバハンが、

「あら、間違っちゃったみたい、ごめんね、ぬふん」

とかウィンクしながら言いやがるんですよ。生理のあがったようなオバハンが、ピッコロみたいな顔してサイババみたいなヘアースタイルして言いやがるわけなんですよ。

さすがにこれには温厚なpatoさんも大激怒。

「間違ったじゃすまねえだろ!一瞬、先月壊したコピー機のせいで大減棒されたかと思ったじゃねえか!このクサレババー」

などと、鎖鎌を振り回さん勢いで怒り狂ったわけなんですよ。不断な温厚なpatoさんも、さすがに金のこととなると修羅に変わる。

あまりの僕の怒りっぷりに反省したのか、サイババ経理ババアはシュンとなってしまい、

「今度からは気をつけます」

とか半べそになりながら言ってました。たぶん、ここで泣いて許してもらおうという甘ったるい考え、「女の涙」作戦に打って出たのだと思うのです。もう考えることが甘すぎる。「女の涙」が通用するのは22歳まで。それ以上の年齢の女性がやっても何ら効力は持たない。ましてやそれが生理のあがったようなクサレババアなら逆効果、逆に腹立たしいくらいだわ。

「いいか!今度給料間違ったらレイプするからな!」

まさに吐き捨てるように暴言を吐き、経理部で大暴れした僕は、その場は一応丸く治めたのです。

そして、その後に正規の給料が振り込まれ、それ以降の月も順当に間違えることなく振り込まれていました。

しかし、今月の給料日、またもや意気揚々と給料を下ろしに銀行へと向かいますと、

給料=12000円

これは何のデジャヴですか。ジョジャブーですか。

またしてもやられてしまった。前回(9600円)よりは幾分マシになっているとはいえ、またもや12000円というあり得ない金額。これではプレステ2すら買えない。

「ば、バカなー!!!」

とかまたしてもATMコーナーで叫んじゃったもんな。行員やら客やらがビックリするぐらい大声で大絶叫。そいで持って次の瞬間には「ぬおおおおお!」と大車輪の如き勢いで経理部へと赴き、ドアを蹴破らんばかりの勢いで殴りこみをかけましたよ。

「次やったらレイプするって言ったろうが!」

とか喚き散らしながら経理部へとカチコミ。もう、あのオバハンをデスクの上でレイプしてやる、って意気込みで突入いたしましたよ。するとそこには、

「ごめんなさい・・・」

とシクシクと泣くうら若き白百合のような女性(推定22歳)が。

なんか、今年の三月であのサイババみたいなオバハンは退職し、四月からこの女性が経理を、特に給料関係を任されるようになったみたいなんです。そいでもって、引継ぎ関係で6月まで退職したサイババと一緒に給料処理をしていたのですが、この7月からは彼女が一人で給料処理をやることに。で、慣れぬ作業で何人かの給料を間違ってしまい、もう既に何人かが殴り込みに来たみたいなんです。それで彼女は泣いてしまったと。

あまりに可憐に泣きじゃくる彼女(推定22歳)の姿に、心が締め付けられる想いがした僕は、

「そんなに気にすることじゃないんだよ、誰にだってミスはあるじゃない」

と物凄い男前な顔で言ってました。

それでも責任を感じて泣き止まない彼女(推定22歳)

「でも・・・でも・・・」

とか宝石のような涙を流して反省するんです。

「もう、そんなに泣くことないじゃない。なんだったら僕、給料12000円でもいいよ、それで立派に生活してみせる」

とか訳の分からないことを口走ってました。

こういった軽々しいジョークで場を和ませ、泣いている彼女(推定22歳)の涙を少しでも軽くする、給料が12000円で怒ってるはずの僕なのに、そういった配慮ができるのって男前だと思います。

 

給料日から二週間が経ちました。前回間違って振り込まれたときは、殴り込みした次の日には正当な給料が振り込みなおされていました。しかしながら、今回は一向に振り込まれる気配がありません。

ま・・・まさか・・・場を和ませるジョークで言った、「僕の給料は12000円でいいよ」という言葉を彼女は真に受けて・・・。もしくはちょっと天然ぽかったから、本気で振り込みなおすのを忘れて・・・。

と・・・とにかく、今月の僕の給料は本気で12000円ぽいです。時給に換算すると48円くらい。ありえない。

また殴り込みとかかけに行くと、本気で彼女(推定22歳)が泣いてしまい、悲観して自殺とかしかねないので、とりあえずパソコンとプレステ2を中古屋に売り払ってこようかと思います。

ホント、22歳以下の女性の涙は核兵器並の武器だよな。


7/3 ミケちゃん

僕はこう見えてもですね、秩序だとかルールだとかそういったものにうるさいんですよ。早い話が頭が固くて頑固者、とにかくルール破りとかって許せないんですよ。

やっぱ人間ってのは、束縛だとかルールだとかってのは極度に嫌う傾向があって、誰しもがフリーダムで自由奔放な状態を好むわけなんですよ。誰だってそう、自由が好きだし束縛なんてクソ食らえだと思ってる。

でもね、そういった自由を誤解してもらっては困るんですよ。確かに自由に遊んだりってのは楽しいけど、それはルールという名の束縛の上で成り立っているわけなんですよ。

誰もが誰もルールを軽視し、自由の名の下に奔放に楽しみ出したらどうなると思いますか。誰しもが好き勝手に振る舞い、欲しい物があったら盗む、気に入らないヤツは殺す、良い女はレイプ、とまあ暴力だけが支配する世紀末覇者の世界になりますよ。廃墟と化したビルの谷間をアホみたいなバイクに乗って、頭にハートマークがついた人に殺されるのがオチです。

ルールという束縛が存在して初めて自由を楽しめる、そういうもんなんですよ。他にも仕事とかも同じで、仕事が休みの休日なんか、「俺はフリーダム、映画に行こうがデリヘル呼ぼうがパチンコ行こうが自由だぜ」と翼をはためかせて楽しみ、毎日が休日だったらどんなに楽しいだろうとか思いを馳せる。

けれども、毎日が休日だったら、それはそれはシリアスな問題で、明日食う金に困ったり漠然と将来が不安になったりするんです。結局、休日が楽しいのも、仕事があるから、ちゃんと働いているという事実があるから休日が楽しいんです。言い換えれば平日があるから休日が楽しい。

結局、なんでもかんでも根本は同じで、なんでも束縛があるから自由が楽しい、不便があるから便利が楽しい、オナニーがあるから毎日が楽しいとなるわけなんですよ。完全な自由なんてのは存在し得なくて、束縛の対価として自由があるわけなんですよ。

そこらへんを最近の若者なんかは勘違いしてて、とにかく自由、一も二もなく自由を追い求めがちなんだけど、その実、求める若者ほど義務やら責任やらの束縛の部分を果たしていないんだよね。

とにかく、自由に毎日の生活を快適に過ごすためにはルールやモラルなんてのは絶対必須条件、だから僕はそれらを尊守するし、守れない人間を腹立たしく思うんです。

それにしても我がアパートに住む住人達ですが、とにかくルールを守れない人間どもが多い。何も都会の住宅地のように事細かにルールが決められているわけでもないのに、些細なルールすら守れない。

我がアパートはゴミを出す日も、分別の有無も決められてなくて、かなりフリーダムな状態でゴミを出すことが可能だと言うのに、唯一のルールである「ゴミ袋に入れてゴミを出す」を守れないヤツが異常に多い。

もう裸でガッポンガッポンゴミを捨てる。弁当のカスも紙くずも全部ダイレクトにゴミ捨て場に放り込みやがるからな。そんな風に捨てられてると、せっかく捨ててあるエロ本なんかが弁当の汁で汚れるじゃんか、とか腹立たしく思うのだけど、それでもやっぱり守れない。

おまけに駐車場に関するマナーは凄まじくて、停めるスペースは番号を振って分けてあるのに、自由気ままに空いてる場所に停めやがる。ソコに停めると他の車が出られなくなるじゃんか、って場所に平然と停めやがる。

他にも、部屋の前でバーベキュー大会やりだして深夜遅くまで大騒ぎするバカもいるし、火事を出すバカもいるし、大喧嘩をおっぱじめて警察沙汰になるバカもいる。とにかく、最低限のルールすら守れない輩が多すぎる我がアパート、ホント、いつか全員まとめて引導を渡してやりたい気分。

今度ルールを守れない住人を見つけたら、捕まえて頭の皮でも剥いでやって、俺のチンカスを煎じて飲ませてやる。口で言っても分からないヤツは鉄拳制裁だ。絶対に今度見つけたら正義の鉄拳で殴ってやる。

今朝もそんな風にご立腹しながら出勤と相成ったわけでございます。

アパートを出て、駐車場へと徒歩で向かう僕。相変わらず乱雑に駐車された車たちがなんとも腹立たしい。どうしてココの住人どもは「駐車スペースを守る」っていう最低限のルールすら守れないんだろう。ホント、頭が可哀想な人たちばかりなんだろうか。

車に乗り込み、キーを回してエンジンをかける。やはり梅雨だからだろうか、今こそは雨も降ってなく綺麗な朝日が拝めるものの、昨晩は雨が降ったらしくシットリとフロントウィンドウを水滴が濡らしている。

「いやー、今日は晴れてよかった」

ルール守れない腹立たしい住人のことを忘れさせてくれる綺麗な朝日。昇り始めの朝日がキラキラと水滴に反射し、ウィンドウ越しに筋のように光が指す。何とも言えない幻想的な風景を醸し出していた。

「よし、今日も仕事頑張るぞ」

ウィンドウについた水滴を拭き取ろうと、ワイパーのスイッチを入れる。ウィーンという音を奏でてワイパーが規則正しく左右に揺れる。

わ!まっ茶色!

一瞬にしてフロントウィンドがまっ茶色に染まる。何か茶色い物体がワイパーの運動によってウィンドウに引き伸ばされたかのように、見事に前が見えないほどフロントウィンドウが茶色に。朝日も見えないほど容赦なく茶色に。

何事かと思い、車を降りて問題のワイパー部分を見てみると、モワーンと何とも言えないウンコティックな臭いが。いや、この茶色いの、ウンコやん。見紛う事なきウンコやん。

おそらくこういうことなんだと思います。何物かは知りませんが、僕の車のワイパー部分にウンコをした輩がいて、それがそのままホヤホヤの状態で残っていた。さらに、そうとも知らずに僕がワイパーを起動、見事に引き伸ばされるホヤホヤのウンコ。満遍なく窓ガラスに塗られたウンコ。車のウィンドウを水はけ良くするためにナントカコーティング、とかはよく聞くけど、さすがにウンココーティングとかありえない。どこの原住民だ。

「ちょっと待ってよ!」

爽やかな朝に、イキナリこれではさすがの僕も大黒摩季的勢いで言わざる得ない。

いったいどの輩が!僕の車にウンコを!しかもピンポイントにワイパー部分に!と、名探偵コナンばりに推理すると、どうも犯人はまだそう遠くには逃げていない様子。それはこの排出したてホヤホヤのウンコの柔らかさを見れば分かる。

しかも、これはどうも人間のウンコではない。さすがに僕もウンコ漏らしのスペシャリストなので、人間のウンコなのかそうでないのかは見れば分かる。というか、こんな場所にウンコしたのが人間だったら嫌過ぎる。

そんなこんなで、そこら辺の茂みだとか探しましたら、いましたよ、僕の車にピンポイントでウンコしやがった犯人がいましたよ。なんか「ニャー」とか言っちゃってる小さな小さな子猫がいました。なんか尻にウンコついてたから、コイツが犯人で間違いない。

さすがに僕も鬼ではありませんので、いくら車にウンコされて腹立たしいといえども、すがるような目をして鳴いている子猫に向かってお仕置きなどできません。ホント、拳ぐらいの大きさしかない子猫に酷い仕打ちなんかできない。

それにしてもこの子猫、なんだか知らないけど首輪をつけてやがるんですよ。真っ白な体毛に一際映える真っ赤な首輪を見事に装着してやがるの。

普通に考えて、この周囲に猫を飼うような住宅は存在しません。ここは田園の中に佇むアパート、まさに陸の孤島ですから、周囲にそんな住宅は存在しない。おまけに、この子猫の小ささから言って、そこまで遠い道のりを冒険してこれるわけではない。この事実から推察するに、どうも我がアパートの住人がこの猫を飼っているっぽい。

当然のことながら、我がアパートでは動物を飼うことは禁止されています。しかし、そんなルールを無視して猫を飼っている住人が確かにいる。ゴミをキチンと出せないどころか、駐車スペースを守れないどころか、ペット禁止のルールすらも守れない住人が確かに存在する。

もうこれには僕もかなりご立腹。ルールを守れないどころか、そのルール破りのお陰で他人様に迷惑をかけているわけですからね。車にウンコをされ、ウィンドウをウンココーティングしてしまって迷惑している人が確かに存在するのですからね。

さすがに猫に対して怒りをぶつけたりはしませんが、その飼い主には怒りをぶつける。ルール守れない、おまけに迷惑かけてる、朝の清々しい気分を台無しにしてくれた、これだけでも万死に値する。

もうね、ものすごい勢いで怒ったよ。猫をふん捕まえて、アパートの通路を歩きながら「この猫の飼い主ー!」とか怒鳴りながら闊歩してた。猫を人質にして飼い主をおびき出す作戦だった。

猫大事さに飼い主が出てきたらまず殴る。有無を言わさず殴る。もうね、女子供だろうがなんだろうがとにかく殴る。で、相手が倒れているところにツバを吐きかけて、「ルールぐらい守れや、ゴルァ」とか意気込んで退散。ムチャクチャカッコイイ。

「オラァ!出てこんかい!」

意気揚々と叫びながら通路を闊歩しておりますと、

ガチャ!

そのうちの一つの扉が開きました。開いてはいけない魔の扉が開きやがったのです。うんそう、カブレラ(※1)の住んでる部屋の扉が開きやがったの。

(※1 「カブレラ」-我がアパートの下の階の部屋に勝手に住んでいるクリーチャー。異常にカブレラに似ているが、生粋の日本人。愛車の黄色いムーブを鬼のように大切にし、僕に対して異常に敵対心を顕わにする。ゴツイ体躯のくせに半ズボンをはいてアパート内を闊歩する。深夜にバットを素振りする姿は、既に殺人犯の風格。たぶん、二、三人は殺ってる。)

もちろん、開いたドアの奥からはカブレラが登場。圧倒的にカブレラが登場。

ま・・・まさかカブレラがこの愛くるしい猫ちゃんの飼い主・・・?

過去にカブレラに脅された経験がトラウマとなっている僕は一瞬怯むのだけど、今日は負けない。例え相手がカブレラだろうとも、「このクソ猫が俺の車にウンコした」「大体、このアパートは動物は飼ってはいけない、どういうつもりだ」と自己主張はするつもり。

やはり、カブレラがこの猫の飼い主だったらしく、猫の姿を見つけてダッシュで駆け寄ってきた。カブレラがこの猫を飼ってるなんて、大きくして食料にでもするつもりか、と思うほどにアンバランスなんだけど、やはりここはキチンと文句は言わねばならない。

例えカブレラといえどもルール違反はルール違反。しかも、カブレラは同棲相手の女子大生の部屋に転がり込んでいるだけで、正当なこのアパートの住人ではない、ここはガツンと言ってやらねば。

「ちょっと、あんたね・・・」

僕がそう言いかけた瞬間、カブレラは僕の手から子猫を奪い取ると

「おーよちよち、ミケちゃん、こんなとこにいたんでちゅかー」

とか言ってやがんの。もう、両の手に抱え込んで、キスしそうなくらいに顔を近づけて赤ちゃん言葉。あのカブレラが、あの夜、僕に対して凄んだカブレラが。筋肉モリモリで、ありえないガタイを誇るカブレラが。意味不明にバットを素振りして僕を脅すカブレラが。ミケちゃんて。

それはもう醜いまでの溺愛っぷり。

それを見ながら思いましたよ、この猫に対して何か文句を言ったら殺されるに違いない、と。

以前に彼の愛車であるムーブの件でゴタゴタがあり、僕は殺されそうな思いをしたわけなんですが、今のカブレラはミケちゃんにムーブ以上の愛を注いでいる。そんなミケちゃんに対して文句を言おうものなら、バットで頭をホームラン、殺されるに違いない。

「いやー、なんか迷子になってましたよ、よかったでちゅねー、ミケちゃん」

とか愛想笑い満点で僕が言うと、カブレラは大切そうに猫を抱えてお礼も言わずに部屋の中へと消えていきました。

ルールを守らず、やりたい放題に春を謳歌するカブレラに対し、何も文句を言えない情けない自分。心底情けないと思いました。

自由というのは束縛やルールの上で成り立っています。しかしながら、その束縛やルールというのは、それを守らせる圧倒的な力によってのみ実現可能なのです。法律を守らせる権力、校則を守らせる権力、ルールを守らせる権力、それらを伴わずルールルールと叫んでも何ら強制力はないし、本質的には自由も存在し得ないのです。

自由というものの対極に存在すると思われがちの権力や強制力、じつはこれが自由の土台を作っているということを忘れてはいけません。今の日本で楽しく自由を謳歌できるのは、警察権力やらの抑止力があるからです。これがない混沌とした世では、楽しく自由を謳歌などできない

アナタがもし、ルールも守らず自由奔放に楽しく生きているのならば、その周囲であなたの身勝手な行動を修正する歪が起こっているのです。その影で誰かが歪を緩衝してくれ、あなたは身勝手に振舞えるのです。そう、車にウンコされて我慢している僕のように、身勝手な振る舞いの影では必ず誰かが泣いている。

ウンコまみれのウィンドウ、時間が経過してカピカピに固まっていたミケちゃんのウンコ、その隙間から前方を見つつ運転し、乱雑に駐車された隙間を縫って今日も僕は出勤するのです。少しだけ目に涙を浮かべながら。


7/2 Numeri日記人気投票

もうね、どうなってんの。最近のミュージックシーンはどうなってんの。なんかね、ちゃんちゃらおかしくて見てらんない。日本における最近のミュージックシーンの動向が見てらんない。

t.A.T.u.だかなんだか知らないけど、シベリアの方から来た二人の小娘に夢中でしょ。Mステをボイコットしただとか、銀座をブラブラしただとか、路上でウンコをしただとか、こぞってt.A.T.uについて語ってやがんの、マスコミも一般人もこぞってt.A.T.uに踊らされてんの。見てらんない。ドイツもコイツも揃いも揃って集団催眠にでもかかってんじゃねえか。

確かにな、ロシアの女子高生っていうマーケットは今までほとんど存在しなかったし、彼女ら自身が乳を放り出したり生放送中に裸になりそうな勢いだったりで新鮮なのは分かるよ。

でもな、乳が透けてるとか乳を放り出してるとか、そういう問題じゃないだろ。問題はおセックスをできるかどうか。果たして自分におセックスができるかどうか、それだけだけなのよ。世界中の全ての問題は全てこの「果たしてそいつとおセックスできるのか」っていう部分に集約されるわけ。悲しいけどそれが現実。

それで、どう冷静に判断しても、俺ら日本のサルにはt.A.T.uとおセックスする可能性はない、皆無と言っていいほどにない。極度にナッシング。だから、あんなt.A.T.uとかいう小娘について語ってないで、p.A.T.o.について語れって話じゃないの。

t.A.T.uよりもp.A.T.o.の方が幾分は貴様らとおセックスする可能性がある。だからもっとp.A.T.o.について語ろうぜっていう単純明快な話なわけ。僕ちゃん、なにも難しい話をしてるわけじゃないよ。

というわけで、極めてナチュラルにp.A.T.o.ことpatoさんが運営するNumeriの話題に移行するわけなんですが、そのNumeri実は一年ほど前からちょっとした異変が起こっているんです。

懸命なヌメラーの方ならご存知かとは思いますが、左側のメニューバーのところに「カキモノ」と称されるテキスト群が並んでいることと思います。その一番下に「日記より抜粋」というコーナーがあります。

実はこれ、元々は普通の日記として書かれたものなのですが、思いの他に好評、多くの方からの支持を頂いた、などの理由から抜粋されたものなんです。

やはり当サイトを最初に訪問された方は日記を読むわけではなく、過去日記を読むわけでもなく、一番最初に「カキモノ」コーナーを見るという方が多いようですので、面白い日記は目立つ場所に持って行きたいぜ、なんていう卑しい想いから抜粋を行っているわけなんです。

しかしながら、その抜粋された日記を見てみますと、2002年4月3日「マレーシアからの刺客」以来から1年と3ヶ月余り1本も抜粋されていないという驚愕の事実に至ります。

この一年以上の間、僕が抜粋に値するスマッシュヒットを書き上げていないという理由も考えられるのですが、さすがにこれは寂しすぎる。無理やりにでも何本か抜粋したい、という思いが当然のように浮かび上がります。

しかしながら、2002年4月から現在の2003年6月まで、リアルタイム更新を除いても400本以上の日記を書いているため、数が多すぎてどれが好評でどれが不評なのか皆目検討もつきません。

ですから、ここはちょっと皆さんに力を拝借し、特に印象に残っている日記、笑った日記などについて人気投票をしてみようかと思います。その結果を見て人気のあった日記を抜粋なりなんなりしてみたいな、と思っております。というわけで、

Numeri日記人気投票

既にカキモノになっているものや、日記として成立していないものは対象外です。あくまで普通の日記の中から選んで投票してやってください。

投票締め切りはサンクスヌメラーズウィーク2閉幕まで。たぶん、1日に何票も投票できるようになっていますが、できればあまりあからさまな投票はしないでやってください。

さらに、50項目しか投票項目を増やせないので、おかしな項目や重複しているものなどは削除していきたいと思っております。というわけで、

t.A.T.uについて語るぐらいならp.A.T.o.について語ってやろうぜ、という寛大な心で投票してやってください。

ちなみに今日のような告知のみに特化した日記は対象外ですので。

追記

告知ついでに書きますが、8/9 Numeri-OFF Tokyo 2003 in TOKYO DOMEの参加募集締め切りは7/15です。あと二週間ですのでお早めに。

サンクスヌメラーズウィーク2の「代打日記」「トップ絵」に関しましても、ほぼ同時期に締め切ると思いますのでお早めに。


7/1 麻雀

いやー、最近のテクノロジーってやつはすごいね。もう発展しすぎて何が便利なのか何が不便なのか分からなくなっちゃうくらい。特に娯楽に関するテクノロジーの発展は凄まじいと思うよ。

やっぱ、人間ってのは面白い物に集まる傾向があるから、最新の技術だとかはどうしても娯楽に応用されることが多い。インターネットの爆発的普及なんかも見ても分かるように、元々は学術的応用を考えて発生したものが、現在ではむしろ娯楽的要素で使われることが多い。

だから、ゲームセンターなんてのは実は先端技術の粋を集めたハイテクノロジーの館で、僕なんかがたまに行くと驚いてしまうことばかりだ。一時期話題になった青色発光ダイオードなんかはゲーム機本体に普通に使われているし、良い音響の音楽ゲーム、最新の液晶を用いたゲーム、センサーを使った新感覚のゲーム、ともはや技術の見本市のような状態だ。やっぱ人間って遊ぶことになると本気出すんだなーって思う。

僕のような古い人間の頭の中にあるゲームセンターのイメージというと、薄暗い店内にピコピコと荒いドットのゲーム画面が動いていて、オタクお兄さんが養豚場のようにひしめき合い、テトリスだとか飛行機のゲームだとか対戦型の格闘ゲームをやりながらゲーメストを読んでヤキソバを食う。どちらかというとネガティブなイメージだった。

それがどうだ、現在のゲームセンターというかアミューズメントスペースは。プリクラだかセクキャバだか知らねえけど、アッパッパーな若い姉ちゃんが写真を撮ってシールを作る始末。おまけにUFOキャッチャーだかでプーさんのぬいぐるみを取る始末。若い姉ちゃんがゲームセンターに溢れてるんだもんな。ゲームに関する技術の進歩というよりも、その雰囲気の変わりように驚くほどだ。

それでもまあ、技術の進歩ってのはやはり凄くて、その中でも僕が最も驚いたのは麻雀ゲーム。いや、マジで最近の麻雀ゲームはすごいよ。

一昔前のゲームセンターの麻雀ゲームというと、もっぱら脱衣麻雀が主流で、薄暗いゲームセンターの中でもさらに暗部みたいな場所に設置されていることが多かった。

そいでもって、お金を入れて麻雀をするんだけど、勝つと画面の中の女の子が脱ぐのな。女の子は実写だったりアニメだったりするんだけど、主流はやっぱ二次元のアニメ美少女だったと思う。

牌交換券とか駆使してドカーンとか満貫とかあがると、画面の中の女の子が、「もう許してください」とか言いながら制服を脱ぐわけ。おまけに、麻雀ゲームだけコントローラーが違ってて、ボタンがアルファベットの「A」〜「N」まで沢山あるんだけど、「H」ボタンを連打すると裸の女の子に淫靡な攻撃ができたりしてな。

とにかく、昔の麻雀ゲームってのは麻雀主体ではなく、どちらかといえば脱衣が主流でアニメ美少女を脱がせることのみに力が入れられてと思う。脱衣麻雀コーナーなんて「いやーん」「あはーん」とか音響が響いてて、オタクお兄さんがニヤニヤ笑う顔に画面の光が反射してたもんだった。

でも、現在の麻雀ゲームはそんなものじゃない。とにかくエロを排除し、本格的な麻雀技術志向。おまけに、ネガティブに一人でドロドロとプレイするのではなく、たぶんインターネットを使ってるんだと思うんだけど、オンラインで全国中のマシンが繋がっている。それで日本中のプレイヤーを相手に麻雀の技術を競い合う。

ホント凄いよな、オンラインで日本中の麻雀マシンが繋がってるなんて、一昔前なら想像もつかないもの。コンピューター相手ではなく、生身の人間を、それも遠く離れた場所の人間を相手にできるなんて凄いよな。

しかも、戦績とかはその場限りの物じゃなくて、ちゃんとカードに記憶されるシステムになってる。もうホント、ゲームの世界のテクノロジーは僕の想像の及ばないところまで発展してしまっている。

そんなこんなで、現在patoさんは、その技術の粋を集めた最新オンライン麻雀ゲーム「麻雀格闘倶楽部2」にご執心でして、いつにもなく真剣にゲームセンターに足繁く通っているわけなんです。ゲームの戦績によって上下する「段位」それを上げるために必死でゲームセンターに通い、全国の猛者どもと麻雀を打っているんです。

大体、8台くらいのマシンがあるのですが、やはりオンラインで対戦できるとなると大人気、決して安くはないプレイ料金なのですが、連日連夜全てのマシンが埋まるほどの満員御礼。なかなかプレイ状態となっているのです。

それでまあ、この間も意気揚々とプレイしに行ったのですが、夜遅くでありながらやはりお目当ての麻雀ゲームは満員状態。ゲームセンターというと普通は若い人が多いのですが、仕事帰りのサラリーマンなので台は満員になっていました。

待つこと30分、やっとこさ台が空き、いよいよ僕もプレイできる状態に。物凄く意気込んで台に100円硬貨を投げ込み、僕の戦績が記憶されているカードを差し込みます。

そいでもって、全国の猛者どもと狂おしいほど麻雀を打っていたのですが、どうも周囲の様子がおかしい。なんか隣の席に座っているお兄ちゃんの様子がおかしい。

僕の隣の台に座るお兄ちゃん、どうもすごく麻雀に負けているらしく、隣の台からは「ロン」「ロン」とお兄ちゃんの点棒かっぱぐサウンドが何度も聞こえる。その度にお兄ちゃんは「グルァア!」とか叫びながら台を叩いている。

このお兄ちゃんの風貌は暴走族上がりみたいなワイルドな物で、バリバリの金髪に剃り上げた眉毛で周囲を威嚇するという非効率的なもの。そんな風貌で「グルアア」などと台を叩いているものだから、麻雀に興じる他の客もあまり気分が良くない。

おまけにお兄ちゃんは結婚しているらしく、お兄ちゃんのさらに隣で同じようにワイルドな風貌をした「アケミ」とかいう名前のような嫁はんが同じく麻雀に興じている。

おいおい、そんな風貌してからに、こんな真夜中に夫婦で麻雀ゲームかよ、などと思っているとさらにすごくて、頭の悪そうなクソガキがヤンキー夫婦にまとわりついて「パパ、ママ、早く帰ろうよー」とか言ってんの。

こんな夜中に子連れで、しかも夫婦でゲームセンター。それも麻雀ゲーム。おまけに負けるたびに夫婦で台をガンガン叩いてるの、帰りたがる子供そっちのけでとにかく叩いてる。何考えてるんだ、こいつら。

自分もこのゲームに熱中している身でありながら、その夫婦のあまりのアホっぷりに唖然として夫婦を見ておりますと

「なに見てんだゴルアアア!」

などとヤンキー夫の方に睨まれました。

あわわわわわ、殺される。などと妙にビビッテしまった僕は、「すいません、すいません」とか言いながら視線を逸らし、画面に向かってゲームに興じるのでした。チキンなヘタレっぷり全開です。

それでまあ、そんなヤンキー夫婦のことは忘れて、僕もやっとこさ座れた麻雀ゲームに興じるのですが、やはりガンガンとマシンを叩く隣のヤンキー夫婦が気になる。なんだかヤツラが台を叩くたびに妙にイライラする。

僕は貧乏なものですから、妙にイライラすると文字通り貧乏ゆすりをしてしまう癖があるのですが、もうヤンキー夫妻の行動にイライラしきってしまった僕はプレイしながら物凄く貧乏ゆすりをしていたんですよ。

そしたら、そんな僕の貧乏ゆすりが癪に障ったのか、さらにイライラを増すヤンキー夫妻。もう、負けるたびに台が壊れるんじゃねえの?というほどに台を蹴ったり叩いたり。で、ついにはキレてしまったのか、僕の肩をグイと掴んで

「テメエ!その貧乏ゆすりやめられねえのか!!」

とか物凄くツバを飛ばしながら言ってきました。

この時点で僕の恐怖はマックスに達し、ヤバイ、このままではこのヤンキー夫妻にボコボコにされてしまう。とか脳裏によぎったのですけど、それ以上に「コイツらをもっと怒らせたら面白いんじゃないか」という変な好奇心が湧き上がってしまい、「うん、もっと怒らせてみよう、それで面白い物が見られるのなら別に殴られてもいいや」なんて訳のわらない思いが湧き上がってきたのです。

それで、その場では「ごめんなさい、気をつけます」とかヘタレ全開で自らの貧乏ゆすりを謝るんですけど、次の瞬間にはさっきの二倍くらいの勢いで貧乏ゆすり。謝った舌の根も乾かぬうちに再度貧乏ゆすり。

これにいたくご立腹したヤンキー夫妻、自らの苛々をマシンにぶつける始末。そいでもって、僕に殴りかからんばかりの勢いで

「テメエ!俺らをバカにしてるのか!!!」

と夫婦で詰め寄ってくるんです。すげえ怒りに打ち震えたアホそうな顔を近づけて詰め寄ってくるんです。

そこで僕はすごくビビってしまうんだけど、さらに怒らせたいという思いが強かった僕は

「僕の貧乏ゆすりがイライラするってあんた等は言うけど、キミらが負けるたびに台を叩く行為の方が周囲には迷惑だよ、おまけにこんな夜中にゲーセンに子供を連れてきてさ、さっきからギャアギャアチョロチョロと大騒ぎして迷惑この上ない。君らの行為の方が随分と迷惑だと思うけど」

と毅然と言ってやったんですよ。すごくビビりながら、それでも毅然と言ってやった。この時の僕はムチャクチャ男前だったよ。この光景を見た婦女子とかいたら「抱かれてもいい、アナルに挿入されてもいい」とか思うんじゃねえかな。それぐらいにかっこよかった。

この僕の言葉にさらに怒りを増幅させたヤンキー夫妻、もう大暴れ。さすがに僕を殴るとかそういうことはできなかったらしく、麻雀ゲームの台を殴る蹴る。苛々の持って行き所をゲーム台に向け、もう壊れるほに殴る蹴る。

その騒ぎを聞きつけてやってきた店員の手によって退場させられ、おまけに永久に出入り禁止にされていました。退場させられながらも床にツバを吐いたりと悪びれない夫妻に、やっと帰れると嬉しそうな顔をしている子供、その表情が好対照で印象的でした。

凄く毅然とヤンキー夫妻に反論した僕でしたが、後で見たらちょっとオシッコ漏らしてました。

結局、どんなにテクノロジーが進歩したゲームでも使うのは人間です。どんなにすごい技術が駆使され、オンラインで対戦などができるといっても、使う側の人間に最低限のモラルがなければ、それが楽しい娯楽にはなりえないのです。

負けたから台を叩く、熱中するあまり夜中でも子供を連れてきてしまう、イライラして隣のナイスガイな青年にイチャモンをつける。ついでにオシッコを漏らす。これでは折角の最新技術のゲームが泣きますよ。

全国対戦が行える「麻雀格闘倶楽部2」、僕は「ぬめぱと」の名前でプレイしてますので、出会った方はモラルとマナーを守って楽しくプレイしましょう。激しい貧乏ゆすりをして周囲に迷惑を振りまきながらお相手しますので。


 

 

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