Numeri 2003-6月 6/30 BLACK JACK 6/28 MOTHER1+2 6/27-2 ドーピング 6/27 タバコ 6/26-3 間違いメール 6/26-2 日記書きのバラッド 6/26 patoさんは重病です 6/24 Rainy Day 6/23 B子ボルケーノ 6/21 緊急事態 2nd Ed. 6/20 走れエロス 6/19 ピアスの穴 6/17 緊急事態 6/16 ターニングポイント 6/15 韓国旅日記 最終回 6/13 アクティブズボラ 6/12 スクリーンセーバー 6/10 サンクスヌメラーズウィーク2 6/9 グループ交際 6/7 韓国旅日記-Part 6- 6/6 デリヘル 6/5 ジャックナイフ 6/4 韓国旅日記-Part 5- 6/3 「30秒日記」死の瞬間 6/2-2 「五分日記3」自分の世界 6/2 「五分日記2」空虚な言葉 6/1 「五分日記」プレ東京オフ 2003 2002 6月の日記はこちら 5月の日記はこちら 4月の日記はこちら 3月の日記はこちら 2月の日記はこちら 1月の日記はこちら 2001 12月の日記はこちら 10-11月の出来事はこちら |
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木下君は、容赦ないほど真っ黒だった。 高校の時のクラスメートだった木下君、彼は本当に色黒で、おまけに顔の造作が日本人的ものからは大きく逸脱しており、ひどくインターナショナルな臭いのする男だった。 それでいて両親は生粋の日本人、僕も会ったことあるのだけど本当に日本人の平均値的顔をしたご両親だった。いったい、この両親がどんなおセックスをすれば木下君のようなインターナショナルな子供が生まれるのだろうと疑問に思ったものだった。 鼻は高く、唇は厚く暗い色、目は大きいが切れ長、そいでもって黒人より黒い肌、その姿は万人が連想する「インド人」そのもので、木下君のニックネームは「インド人」に入学から5分ぐらいで決まっていた。他にも「サンコン」だとか「まっくろくろすけ」だとか、とにかく彼の黒さを揶揄するニックネームが授与された。 悲しいもので、人間、いやむしろ日本人は、平均値から大きく外れたものを嫌う意向がある。さらには、他者を蔑み嘲笑することで自分が優位に立ったように錯覚する。悲しいけど、僕らはそういう生き物。 やはり、ずば抜けて日本人離れしていた木下君の風貌は、クラス中の注目の的であり、入学初日から「おい、黒人がいるぜ」だとか「留学生がいるぜ」などと口々に噂をし、嘲笑するクラスメートが後を絶たなかった。 「おい、インド人!」 「おい、サンコン!なんでそんなに黒いんだよ!」 「ちょっと英語を喋ってみろ」 クラスメートの誰かが面白がって木下君に罵声を浴びせる。おまけに先生すらも 「キミは留学生かね?」 などと真顔で聞く始末。 そうやって自分の風貌をバカにされた木下君は、いつも悲しそうな顔をしていた。しかし、次の瞬間には照れ隠しからか、ニッと笑い、 「黒いとかいうなぁぁぁぁ、キエエエエエエエエ!」 と、物凄い奇声を発しながら発言者に飛び掛っていた。ラモスより黒い木下君が奇声を発する姿は圧巻で、本当のインド人がキレたらこんな感じなのかもしれないなと思わせるほどだった。 それから時間が経過し、相変わらず木下君は「インド人」「サンコン」などと呼ばれたまま、僕らは修学旅行に行くことになった。 クラスメートと共に行く旅行は楽しいものであり、僕らはいつも以上にテンション高めでヒートアップしていた。 そうなってくると、木下君を揶揄する勢いもいつも以上のものとなり、とてもじゃないが真っ当な人間が行うとは思えないレベルまでグレードアップする。 宿泊している旅館。大部屋で仲間達と楽しくおしゃべりやら枕投げをしている時、誰かが言い出した。 「なあ、電気を消して真っ暗にしようぜ」 真っ暗な中で枕投げや、普段話せないようま好きな子の話やエロ話に華を咲かせる楽しさを考えると妙にワクワクし、僕らは部屋の電気を消した。 その瞬間だった。 「おい、木下が見えないぞ!」 「木下が闇に紛れた!」 たしかに、電気を消した薄明かりの中でも他のみんなの姿は確認できた。けれども、色黒の木下君の姿だけはどうしても見つからなかった。目視することが出来なかった。 そんな風に騒ぐクラスメートを尻目に、相変わらず木下君は照れ隠しでニッと笑っていた。 「おい!木下!歯だけ見えるぞ!」 確かに、ニッと笑った木下君の白い歯が、闇の中にクッキリと浮かび上がっていた。これには一同大爆笑。もう、笑いすぎて狂うんじゃないかというほどに大笑いだった。修学旅行というハイテンションが木下君に対する揶揄を増加させていたんじゃないだろうか。 いつもなら奇声を発して飛び掛ってくる木下君だったが、この時だけは飛び掛ってこなかった。おそらく、闇に紛れて見えないのだけど、悲しい顔をして落ち込んでいたのではないだろうか。大笑いするクラスメートを横に、「ちょっとやりすぎだよな」と思った。 それから、あまりに落ち込んでいる木下君を誘って、二人で大浴場に行くことにした。着替えやタオルを持って大浴場へ向かう途中、木下君は本当に悲しそうな目で 「俺、なんでこんなに黒いんだろう」 とポツリと呟いた。 人より肌が黒いというだけで、あそこまでバカにされる。自分ではどうしようもない生まれつきの身体的特徴が嘲笑の対象となる。これは、味わった本人にしか分からない苦しさじゃないだろうか。 いつも照れ隠しで笑って奇声を発する彼だって、「黒い」とか言われるたびに傷ついただろう。生まれてからこれまで計り知れないほど傷つけられ、彼の心には無数の傷跡が残っているのだろう。ただ、人より肌が黒いというだけで。 なんだか、木下君が可哀想という気持ちよりも、木下君をバカにする連中への怒りの感情が僕の中で芽生えていた。 「大丈夫だって、黒い方が色白よりモテるらしいし」 などと意味の分からないフォローの言葉を投げかけながら、風呂に入るため衣服を脱ぐ僕と木下君。当たり前なのだけど、やっぱり首から下も木下君は黒い。 「肌白くする整形とかあるのかな」 「マイケルジャクソンみたいに?」 などと会話をしながらパンツを脱ぐ二人。そこで僕は途方もない新事実を発見してしまったのです。 木下君、ティンポだけは白い。 顔、腕、胸、腹、腕、足、尻、全てが日本人とは思えないほど黒いのに、なぜだかティンポは真っ白。白子のように真っ白。白というよりはスノーホワイトに近い色合い。他の黒い部位とのコントラストは圧巻で、木下君が暗闇で全裸になったらティンポだけ浮いて見えるのではないかというほど。 これにいたく感動した僕は、「木下君だって完全に真っ黒じゃないんだ、ティンポだけは白いんだ。彼をバカにする人間は、彼のことを全身真っ黒だと思ってるみたいだけど、それは大きな認識違いだ」などと、意味不明に勝ち誇った気分だった。 そして、風呂から上がった僕らは、浴衣姿で大部屋へと帰る。しかし、そこではまだクラスメート達の木下真っ黒フィーバーは継続しており、部屋に帰るなり 「よお、インド人、日本の風呂はどうだった?」 「洗っても色は落ちなかったか」 などと、酷い言葉の雨あられ。集団で一人を、それも身体的特徴を笑いものにするのは、ここまで醜いものなのかと思わせてくれるほど酷い言葉達だった。 それにまたもや悲しそうな顔をする木下君。これには僕もついにリミットブレイク。いままでは黙って木下君に対する罵声を聞いていたけど、もう捨て置けない。ヤツラを許してはいけない。徹底的に叱ってやる。 僕は大声で怒鳴りつけてやりましたよ。 「オマエら!木下を全身真っ黒とかバカにするけどな、それは大きな認識違いだぞ!木下だってな、チンコだけは白いんだよ!わかったか!」 しかしながら、僕の怒りの言葉を聞いても彼らは答えない。それどころか「黒いくせにチンコだけ真っ白ー」などとさらにエスカレートする始末。さっきの「暗闇木下騒動」よりも大きく盛り上がってしまった。さっき以上の大爆笑。 結果的に、僕の「木下はチンコだけ白い」リークが引き金となり、さらに木下君に対する嘲笑が酷くなったことから、さすがの木下君もついに怒り狂い 「おっ、おまっ!チンコのこと言うなや!キエエエエエエエ!」 などと奇声を発する始末。怒りに打ち震える木下君は顔を真っ赤にして怒っていた。いや、顔を赤黒くして怒っていた。 結局、その怒りっぷりがあまりに凄まじかったため、木下をバカにするのはやめようという流れになり、それ以来彼の風貌をバカにするものはいなくなった。結果的に僕のリークが彼に対する罵声を止めさせることとなったのだ。人生、何が好転するのかわからないものだ。 さらに、チンコはおセックスに使いすぎるとドス黒くなる、という噂を聞きつけた木下君は、それ以来プレイボーイと変身し、ティンポを黒くするために色々な女性と日々行為に及んでいるらしい。 やはり、色の黒い男性はモテるらしく、木下君は次から次へと女性をとっかえひっかえ、たまに外国人のフリしてアッパッパーな姉ちゃんをゲットしたりするらしい。 皮肉にも、彼の黒さが今では役に立っているらしい。 今もきっと、木下君は遠いどこかでティンポを黒くするためにおセックスに励んでいることだろう。あの日のように奇声を発しながら、おセックスをしているに違いない。 今更ながら思うのだけど、母の子を思う気持ちってのは相当なんもんだ。 僕は、もう2,3年前に母を亡くしているんだけど、失ってみて初めて分かる大切さというか喪失感というか、とにかく、ウチの母親は子に対する愛情が間違った方向に相当なもんだった。 我が家族の場合、とかくオヤジのキチガイっぷりがクローズアップされがちなんだけど、実は結構母親も負けていない。とにかく、愛情のベクトルを激しく見誤ったキチガイ行動が散見されていた。 ウチの家族は、僕と弟の二人兄弟だったのだけど、弟は勤勉で真面目で努力家、逆に僕は怠け者でズボラでどうしようもないっていう正反対の兄弟だった。 僕ら兄弟の部屋を見ればそれは一目瞭然で、ゴミが散乱どころか産卵して増えてるんじゃねえの?と思うほどにカオス溢れる僕の部屋に、1ミリの狂いもなく整理整頓された弟の部屋と、明と暗がクッキリ別れていた。 もちろん、それは学校の勉強にも当てはまっていて、勤勉さをフルに活かして好成績を奪取する弟に、悪い成績を収めて母親に怒られそうになってダッシュで逃げる僕と、本当に好対照だった。 いつもいつも、「弟さんは優秀なのにお兄さんは酷いわねえ、目も当てられないわ」などと近所で陰口を叩かれたものである。事実、巷での弟の評判は優等生で、僕の評判は救いようのない劣等生だった。 僕が母親のお腹の中にいる時に、全ての頭脳や真面目さを置き忘れてしまい、弟がそれを受け継いで生まれてきたのじゃないかと言われるほどだった。 しかし、神様も粋なことをするもんで、明らかに全ての面で弟より劣っている僕にもたった一つだけ優れているものを与えてくれた。 それが、「異常に本番に強い」ということだった。 入学試験などの人生の分岐点ともいえる場面で、僕は普段の5倍以上の実力を発揮していた。高校受験のときは、勘で書いた選択肢などがバシバシ当たってしまい、誰もが落ちるだろうと思っていた高校に合格したし、大学受験のときは山を張った場所が全て出題されるというラッキーにみまわれた。大学院入試なんてものすごくて、試験前に読んでいた場所がバシバシ出たもんだからさあ大変。とにかく、いつだって僕は予想以上のラッキーやら神懸り的な「何か」でミラクルを起こし、人生の分岐点をクリアーしていったのだ。 その反面、弟の方は「死ぬほど本番に弱い」という力をいかんなく発揮してくれた。 死ぬほど勉強し一日中暇さえあれば勉強していたのに、周りの人間全てに「君の成績ならあの高校は楽勝だね」と言わしめていたのに、弟は全ての高校に落ちた。ホント、考えられないような滑り止め校にも見事に落ちたのだ。 本人曰く、人生を決めるほどの場面に直面すると緊張して動けなくなるそうだ。頭の中が混乱して、訳の分からないうちに焦りだして気がついたらテストが終わっているそうだ。 巨人軍がフルメンバーで小学生のチームと対戦しても負けるはずがないのに、彼の受験においては巨人軍が負けてしまったのだった。 これには本人以上に両親が落胆。まさか全ての高校に落ちるとは思っていなかったらしく、物凄くドンヨリとした空気が我が家の居間に立ち込めていた。 「まさか落ちるとはな、あんなに勉強していたのに・・・」 などとオヤジが言えば、 「きっと答案用紙に名前を書き忘れたりしたんだわ」 などと母親が泣く。おまけに 「なんで怠けてるアンタが合格して、頑張ってるあの子が落ちるのよ!」 などと見当違いな怒りが僕の方に向けられる始末だった。 両親的には、弟が全ての受験に失敗して行く高校もなくて恥ずかしくて近所の人に合わせる顔がないわ、ということよりも、あんなに頑張って努力していたのに報われなくて可哀想。という思いがあったようだ。 それよりなにより、両親以上に落ち込んでいたのが当の本人。当たり前の話なんだけど、なんか真っ暗な部屋の片隅で体育座りするぐらい激しい落ち込みを見せてくれていた。 行く高校もなく、明日から自分はどうしたらいいのかという不安があったらしく、当然ながら「あんなに努力したのになぜ?」という思いもあったみたいで、本当に見ていられないぐらいブルーな雰囲気を演出してくれていた。 そんなこんなで、弟の受験失敗により暗雲立ち込めていた我が家なのだが、そこに目が覚めるほどのビッグニュースが舞い込んでた。 ○○高校の合格者に欠員が出た。 どうも、とある高校に合格した誰かが、入学を辞退したらしい。それで、高校側としてはどうしても定員を満たしたいので補欠合格者を選抜したい。そんなこんなで、補欠合格者選抜入学試験を再度行うという連絡が来た。まあ、早い話、敗者復活戦みたいなもん。 予想だにしなかった突然のチャンス到来に色めきだつ我が家。もう両親なんて、最後のチャンスだ!いったらんかいっ!って意気込んじゃってるんだけど、あまり大騒ぎすると弟にプレッシャーかけちゃうし、って感情のエアポケットに入り込んでしまったような微妙な状態。 弟は弟で、次こそは緊張しない!とか決意してるんだけど、もはやその時点で緊張しまくってるのが丸分かり。 いよいよ敗者復活入試の当日になり、その緊張は極限まで達していた。それに伴って両親の緊張も極限に。もう、兄として見てられない。 しかも、敗者復活枠1名のところに15人も受験しに来たというんだから、もう大変。競争率15倍、1500%だからね、普通に考えて合格するはずがない。 もう、試験の日なんかは、親父は仕事に行っちゃっていなかったんだけど、母親は仏壇の前に陣取ってずっとお祈りをしてる。下手したら冷水をかぶってお百度参りするんじゃないか、という勢い。 弟に対する絶え間ない母親の愛というものを感じつつ、敗者復活試験は終了。帰宅した弟に手応えを聞いてみると、「思ったより緊張しなかった、結構できた」とこれまた頼もしいお返事。それでもまあ、やはり競争率15倍は厳しいし、やっぱ落ちるんじゃないかなって現実主義の僕なんかは思っていた。 そして合格発表。 昼前ぐらいに我が家に届いた結果通知には、見紛う事なき「合格」の文字。黄金色に輝く合格の二文字。競争率15倍を突破した証として合格の文字。 さすがにこれにはクールな僕もビックリ。それ以上にビックリしていたのが当人と母親で、まさか合格するとは思っていなかったらしく、二人で大号泣。「よかったね、よかったね、努力した甲斐があったね」なんて合格通知書を囲んで二人で大号泣してるの。みっともないほどに大号泣してるの。 「合格したことをお父さんにも教えなきゃ!」 余程嬉しかったのか、涙で顔がグチャグチャになっている母は、合格通知書を握り締めて立ち上がった。合格通知書が届いた段階で仕事に出ていた父は、弟の合格を知らない。さらに、現代のように携帯電話などが普及している時代ではなかったので、連絡手段もない。そして母がとった行動は、仕事先に直接出向くというワイルドなもの。 ウチの親父は建設業を営んでおり、この時は地元にある陸上自衛隊の基地に出向いていた。そこで、なんかの改修工事かなんかをしていたらしい。 そんなことはお構いなしに、猛然と車を走らせて自衛隊基地へと向かう母。当然ながら弟を同乗させ、なぜだか僕まで引き連れて大爆走。早く父に弟の合格を伝えねば。弟にも桜が咲いたことを伝えなくては。母のその思いがアクセルを強く踏ませる。 そしてついに自衛隊基地に到着。 どこの自衛隊基地でもそうなのだと思うけど、当然ながら一般人が自由に出入りできるような使用にはなっていない。周囲を柵で囲み、出入り口には門兵みたいな見張り役が出入りする車両をチェックしている。 いくら、今まさに基地内で工事をしている親父の家族といえども、気さくに入場ゲートを通過できるわけなどない。 しかし、弟のミラクル合格によってすっかりリミットブレイクしてしまっている母。そんなことなどお構いなしに入場ゲートへと突進。当然ながら屈強な体つきで迷彩服みたいなのを着た自衛隊員に止められるのだけど 「息子が高校に合格したんです!」 「15人受けて1人しか受からないところに合格したんです!」 とか、事情を知らない人が聞いてもキチガイが何か言ってるぜ、としか思えないようなことを連呼する母。それでも分かってくれない自衛隊員に激しく敵意を剥き出しにし、もう屈強な自衛隊員をちぎっては投げちぎっては投げ。もうね、軽自動車で無理やり入場ゲートを突破したの。キサマはランボーか、と言わんばかりの勢いで突破。ハッキリ言って、射殺されててもおかしくなかったと思う。 結局、基地内で工事をしている親父に合格の事実を伝えることができ、親父もたいそう喜び驚いていたのですが、それ以上に入場ゲートを突破して基地内に入ってきたことに驚いていました。工事関係者である親父でも入場許可証を見せ、厳しい検査に合格して基地内に入場できるというのに。 この「母親、自衛隊突入〜怒りのアフガン〜」事件を見てみても、やはり母の子を思う気持ちってのはすごいなと思うのです。やはり自分が腹を痛めて生んだ子ですから、どんなことがあっても子供はカワイイし、大切に思っているものなんです。 子供が高校にミラクルに合格すれば興奮するでしょうし、嬉しさから少々の無茶はするでしょう。母親ってそういうものなんだと思います。 僕らは生まれながらにして母親の愛情という途方もないものを手にしている。何にも代えることができない、何も勝ることができない、永遠普遍の愛情、本当に無償の愛情、それが母親の愛情なんじゃないかって思います。それはきっと、母を亡くそうが自分が亡くなろうが変わらないことなんだと思います。母親だけは何があっても自分の味方なんですから。 でも、さすがにやっぱり、自衛隊強行突入はやりすぎだと思うけど。 母さん。 いやーまいったまいった。もう風邪で意識が朦朧としちゃって幻覚まで見えそうな始末。裸の女子高生が神輿担いでいる幻覚とか見そうな勢いだもんな。 それでもまあ、いくら体調が悪くても仕事を休めないのが社会人の宿命。日記を休めないのが日記書きの宿命。ということで、病院で注射を打ってもらいながら仕事をしているわけなんです。 ホント、ドーピングしてるアメリカの陸上選手みたいな状態で仕事をしてるわけなんですが、良くなるどころか体調は悪化する一方。それでも、鬼のように仕事が忙しくて、鬼と化した大崎が怒るので仕事も休めない。日記も休めない。 マジで意識がおぼろげでフラフラなものですから、 Q.「あながち」を用いて短文を作りなさい という国語の問題に、普段なら「その答えもあながち間違いではない」とか物凄い知性で答えるところを、「いやー、ダメっ!そこは穴が違うっ!痛いっ!やめてー!」とか答えそうな勢いです。それだけ朦朧としている。 アナルに座薬を挿して注射して、風呂にも入れないものだから髪はボサボサ、目やにが後から後から出てくる、鼻水ジョルジョル、と自分自身が面白い状態なのに、面白いことを書くのが難しい状態になってますが、今日の夜にはもう一本日記を書くので許してやってください。 ついでに、風邪でビデオ屋に行く気力もなく、エロビデオ12本を延滞して4日目になります。自らの病よりも延滞料金の方が怖い。ちなみに延滞一日で一本あたり250円取られます。 12×4×250=12000円 わお、計算したらまた熱が出てきた。 男なんて身勝手なもので、自分がガッポンガッポンとタバコを吸うくせに「タバコ吸う女性はちょっと」なんて言いやがる生き物なんです。なんとなく蔓延している社会の空気として、「女性はタバコを吸うものじゃない」なんて暗黙の了解があるような気がします。 ウチの上司などは、若い女性がタバコを吸いながら歩いているのを見て、「あの子は女の子なのに、タバコを吸って・・・」などと平然と言いますし、大崎のバカなんかは、「女がタバコ吸うなんてけしからん!」とかスパークして言いますからね。ヘルス大好き鈴木君、略してヘルスズキなんて、「この間ついた風俗嬢がタバコ吸ってさー、まいっちゃったよー」とか両親が死んだときより悲しそうな顔して言いますからね。 まあ、いずれにせよ、女性がタバコを吸うってのはあまり好まれない風潮であると言えるのだと思います。 さてさて、僕はと言いますと、やっぱタバコを吸う女性は余り好ましくない方でございまして、できればタバコを吸わない女性が好ましいと日々思っております。 そういうのを聞きますと、田島先生みたいな人は「女性差別だ!なんで女がタバコを吸っちゃいけないんだ!」などと猛牛のごとく興奮するのは目に見えているのですが、ちょっと落ち着きなさいと優しくたしなめたい。 僕は何も「女性がタバコを吸ってはダメ」と言っているわけではなく、あくまで「タバコを吸う女性は好ましくない」と言っているのです。そこにはひとかけらの差別心などありません。 女性達が、僕のような小汚いオタク男性を見て、「キモいの嫌い」「メガネは嫌い」「ダサい男は嫌い」「靴下が左右違う人は嫌い」「アイドルオタクは嫌」と自分達の好みと照らし合わせて言うのと同じなんです。 やっぱり僕らは人間ですから、必ずしも全ての人間を愛せるわけではなく、そこには「好み」というものが存在するのです。みんなその好みに従って恋をしたりおセックスをしたりしているのです。好みと大きく外れた相手とそういったことをする酔狂な相手ってのもそうそういません。 ですから、僕の中の好みの問題として、「タバコを吸う女性は好ましくない」というものがあるわけなんです。もう、これは「髪が長い子が好き」「ホッペが赤い子が好き」と同じレベルの趣味嗜好の問題なんですよ。 で、話はゴロリと変わるんですけど、我が職場のマッスル事務員B子さん。女性でありながら恐怖の海兵隊みたいな筋肉を誇る、現代に蘇ったゴーレム、我が職場の傭兵ことB子さんなんですが、彼女もやっぱり僕の好みとは成り得ないわけなんですよ。 やっぱ僕は可憐な女性とか、バルコニーでフルートを吹くような女性が好きですから、B子さんなんて明らかに対象外。彼女だったらフルートを武器にバルコニーを破壊しかねませんからね。 そんな風に、ベクトルが違うとかそういうのとは別次元で明らかに僕の好みから外れたB子ですから、当然ながら惚れた腫れたの対象にはならないのですが、たった一つだけ僕の好みにマッチングしている部分が。 そう、それがB子はタバコを吸わない という部分だったのです。彼女が僕の恋愛バロメータにおいてポイントをゲットしているのはこの部分だけ、まあ、他のマイナス点が大きすぎて恋愛対象にはならないのですが、それでもタバコを吸わないって部分に好感が持てていたのです。 しかしながら、B子唯一の利点かと思われたこの「非喫煙者」というワード、これを覆す衝撃の事実が。 いつものごとく、喫煙所にて肩身の狭い思いをしながらタバコを吸っていた時のことです。僕がニコチンの虜と成り果てて、漫然と肺胞などにタールを蓄えて続けていると ガチャ とかB子が、さも喫煙者みたいな顔して喫煙所に入ってくるじゃない。しかもなんかドップリとソファに座って、生理用品を入れるような小さいバッグからタバコとライター取り出すじゃない。 え?B子さん、タバコ吸わないんじゃなかったっけ? とか僕が小動物のようにまごついているのもどこ吹く風、バシュっとかタバコを咥えて火をつけるじゃない。ブヒヒーンと煙を吐き出してるじゃない。 これにはいたく驚いたね。ハッキリ言って震撼した。全米が震撼した。だって吸わないとか豪語してたじゃない、タバコは余り好ましくないとかそのケツのように割れたアゴを震わせて言ってたじゃない。 おまけに吸ってるタバコがすごくてよ、女性が好んで吸ってるようなファッショナブルな銘柄じゃないのな。パーラメントとか女子供が吸うようなタバコじゃないのな。もうモロに無骨にエコー。オレンジ色の箱を輝かせてエコーを吸ってたからね。ウチのじいちゃんが吸ってたタバコと同じだぜ。 「あれ?B子さん、タバコ吸わないんじゃなかったの?」 とか、僕が言うと、B子のヤツは 「うん、隠してたけど実は吸うの。みんなには内緒ね」 とか、モワァーと鼻から煙を吐き出しながら言うじゃない。マウンテンゴリラがタバコ吸ってるみたいになってるのよ、これが。 それでまあ、唯一僕の好みにヒットしていた「タバコを吸わない」って事柄もB子の中から消え去り、彼女は全く僕の好みにかすりもしない存在に成り果てました。 「B子さん、これでもうアナタは僕の好みから外れちゃったよ、パーフェクトに外れちゃったよ」 と、その旨を僕が伝えましたところ、 「わたしもpatoさんタイプじゃないし」 と、物凄く冷酷に、またもや鼻からモワァーっと煙を吐き出しながら言われました。 それにいたく傷ついてしまった僕は、より一層タバコを吸う女性に対する不信感を募らせるのでした。 そう、実は、漠然とタバコを吸う女性が嫌いなのではなく、タバコを吸う女性が怖いんです。なんだか、タバコ片手にアンニュイな感じでズケズケと心に突き刺さるようなことを言われそうじゃないですか。そういうイメージを何故だか抱いてしまっている僕は、タバコを吸う女性が怖くて仕方ないのです。 ですから、気の弱い僕が勝手に怖がってるだけですので、タバコを吸う女性の方はこれを読んで、「何よ、女がタバコ吸っちゃいけないの!」とか怒らないでやってください。ただただ、本当に怖がってるだけですから。 まあ、マウンテンゴリラのようにタバコを吸うB子は、別の意味で怖いんだけどな。 僕の携帯電話のメールアドレスは、皆さんが聞いたらビックリするほど簡単なものでして、え?こんなアドレスで大丈夫なの?と他者を圧倒するものとなっています。うん、ココを読んでいるほとんどの皆さんでも容易に想像できるほど簡単なメールアドレス。 それでまあ、簡単なアドレスだけあって、出会い系サイトのスパムですとか、どうみても悪徳高利貸しとしか思えないネットキャッシングの広告スパムだとかが山のように舞い込んで来ます。大体、一晩のうちに50通ぐらい来ることもざらですからね。 やっぱ簡単なアドレスだとスパムとか多いですから、皆さんはなるべく複雑怪奇なメールアドレスにしておいた方がいいですよ。コツはアルファベット-数字-アルファベットみたいな複合型にして、そいでもって異常に長いアドレスなんかにするといいみたいです。これだけでスパムが送られてくる量はグッと減るはずです。 しかしまあ、アドレスが簡単だと山のようにスパムが届く、さらにはそのスパムの受信にすらパケット通信料がかかるという、途方もなく不条理なことばかりなのですが、実はけっこう楽しいこともあるんです。 アドレスが簡単すぎるからだと思うのですが、間違いメールが届くんですよ。 全く僕とは関係ない人から、スパムでもなんでもなく、ものすごく日常生活に根付いた間違いメールが届くの。 「今日の待ち合わせ何処だっけ?」とか「さっきはごめん」とか、至極日常会話的な間違いメールやら、「のりちゃーん、早速メールしてみたよ、今日の合コン楽しかったね!」なんていう、ああ、これは間違いメールじゃなくて合コンかなんかで嘘のメアドを教えられたんだな、とか悲しい気分にさせてくれるメールまで。とにかくアドレスが簡単だと結構届くのですよ。 そんな間違いメールの中で圧巻だったのが、マユミさんという、おそらく20代後半の女性から突如送られてきたメール。受信した際に送信者アドレスを見たら「マユミ」だとかいう単語と、西暦で記した生年月日みたいなのが入っていたので、おそらく20代後半で間違いないと思うのですが、その人から届いたメールがもう物凄かった。 タイトル:この泥棒猫! 本文:わたしのカズ君返してよ!殺してやる! ですからね。何があったのか知りませんが、ものすごくシリアスな展開。カズ君を巡ってマユミさんと本来このメールを受信するはずだった女性が骨肉の争いを繰り広げているのでしょうが、それを間違えて僕に送っちゃいけない。僕にはカズ君をアナタに返すことなどできない。 さすがにこれには僕も返答に困り。 タイトル:泥棒猫はそっちよ! 本文:カズ君は返せないわ!私のものよ! などと返信するのが精一杯でした。それからカズ君を巡る骨肉の争いがどうなったかは知りません。考えるだけで恐ろしい。 とにかく、スパムメールが来るのは鬱陶しいですが、このようにバリバリ伝説もビックリの電波なメールが届くこともありますので、簡単なアドレスにしてみるのも一興かもしれません。 僕が日記を書き続ける理由はなんなんだろう。 このNumeriで日記を書くようになって早20ヶ月。その間も僕は時には苦しみながら、時には楽しみながらほぼ毎日といっていいほど日記を書き綴ってきた。 一般的に、日記を書く人というのは大別して4つの理由があるように思う。千差万別あるだろうが、大雑把に言ってしまえばほとんどの日記書きの「書く理由」は、この4つに収束する。あくまで私的意見として、この「日記書きが日記を書く理由」を考えてみたいと思う。 (1)自分の行動の記録として日記を書く これは鍵付きの日記帳に日記を書く人に多い。何日は○○ちゃんと映画を観に行った。その映画は○○で、前評判のわりにはつまらなかった。その後はパスタを食べに行って、ホテルに行っておセックスしました。といった行動説明に終始する。 ある種自分用の備忘録とでもいうか、メモ書きとでも言うか、後から振り返って何日は何をしていたと思い起こせるように日記を書いている。 (2)自分の行動への反省 1の理由とかぶるが、過去の自分の行動や失敗に対して、自分はその時何を思ったのか、何が悪くてこんな結果に至ったのか、などと後になって分析するために日記をつけているというケース。どちらかというと、単に行動を記録するだけの1の場合よりも進歩的である。 自分に対する反省を促すという目的で日記を書いている。 (3)エンターテイメント 自分の日記で誰かを楽しませたい。誰かを笑わせたい。誰かの感情を揺さぶりたい。自分の考えを分かって欲しい。完全に他者を楽しませることを目的とし、意識が外へと向いている日記。これになるとほとんど日記ではなく、創作話やらネタやら何でもありになってくる。 完全に他者に読ませることに意識が向いているため、多くの閲覧者を得た場合には、金銭などの何らかの見返りを求めることも少なくない。 (4)オナニズム 3の場合とほとんど類似だが、他人を楽しませるつもりで日記を書いているのだが、実は自分が一番満足しているケース。多くの人に自分の日記を読んでもらったり、日記に対して他者が反応してくれる、これに最高の楽しみを見出すタイプ。 これ以外の理由もあるかもしれないが、結局はこの4つに行き着くのではないだろうか。さらに、この4つをさらにカテゴライズすると「意識が外に向いているか」「意識が内に向いているか」、言い換えると、自分用の日記なのか他者用の日記なのかにくくることができる。 1と2は完全に自分用なのだから、あくまでも自分用の日記帳などに綴っていけばいい。3と4は、4が自己満足が主目的であるとしても、それでもやはり他人に見てもらいたいというのが主な動機。だから、3と4が主目的であるという人は、Webなどに日記をアップして多くの人に読んでもらおうとする。 自分はどのタイプに属して日記を書いているのかと思案を巡らすと、やはり僕もWebの片隅で日記を綴っている身。おそらく3と4の理由が主目的ではないかと思われる。 3のエンターテイメントといった領域には達しておらず、ただ単純に日記を書くことに満足し、それによって派生する事柄にも満足していることから、完全なるオナニズムだと思われる。そう、やはり僕は自分自身の自己満足、あくまでオナニーとして日記を書いているんだ。 ちなみに僕は、自分の書いた日記の過去ログを自分自身ではほとんど読まない。あまりにへ下手糞で稚拙で誤字脱字も多い文章で、何を言いたいのかサッパリ分からない、面白くもなんともない、などと猛烈に恥ずかしくなるからだ。 いやむしろ、過去ログどころか、書き上げホヤホヤの自分の文章も読まないし、読み直しも推敲もしない。これは単純に「書く」ことがオナニーだからじゃないだろうか。書くことがチンコを擦る行為に他ならず、それが終わってしまえばどうでもいい、ということだろうか。 さすがに、オナニーが終わった後にチンコを洗わない、ティッシュで拭きもしない、出したら出しっぱなしというのもどうかと思うので、この間自分で自分の日記過去ログを読んでみた。 さすがに自分の文章というのは恥ずかしいもので、途方もなく赤面しながら読んだのだが、そこには新しい世界が待っていた。 自分の書くエロティックな文章。自分が書いているのだから当たり前なのだが、自分の性的嗜好を知り尽くしたエロネタの数々。それはまさにエロティカルパレードというに相応しい。 手前味噌で恐縮なのだが、自分で自分の書いた文章に性的興奮を覚えてしまった。で、恥ずかしい話、自分の文章をオカズに本当のオナニーをするという暴挙に。 僕が日記を書く理由は、自己満足という意味で4番オナニズムであると言ったのだけど、実は本当の意味でオナニーをしたくて文章を書き綴っているのかもしれない。自分の文章で抜くという、もう来るとこまで来ちゃったな、もはや万物がオナネタじゃねえか、という廃人に成り果てたのかもしれない。 けれども、本当は、自らの文章でオナニーすると言う行為は、いくら僕でも「さすがにそれは酷すぎ」と思ったらしく、猛烈に猛省。自分の分で省でオナニーする行為には、さすがのpatoも猛省、と自分の行動を省みて反省したのでした。 結局のところ、僕が日記を書き綴る理由は2番なのかもしれない。 たまにはずぶ濡れになって帰ってみたいな、などとトチ狂い、大雨の中歩いて帰ったので風邪をひきました。風邪でフラフラするわ、チンコは痛いわ、ついでに水虫が痒いわで途方もない状態です。 申し訳ありませんが、日記を休ませてください。すいませんすいません。 というわけで、今日は問い合わせが多いのだか少ないのだか知りませんが、「ぬめっ娘。」に関する情報です。Numeri100万ヒットを記念してアイドル狂いpatoさんがプロデュースするアイドルユニット。 まず、メンバーですが、オーディション参加者募集の告知期間の間に一通も応募が来ないという散々な結果でしたので、こちらからお願いしてぬめっ娘。に加入していただきました。 晴れて正式に「ぬめっ娘。」のメンバーとなったのは2名。アイドルデュオといったイメージでデビューさせていきたいと思っています。 まずは「ぬめっ娘。」メンバーの二人のプロフィールから。
以上の二人がぬめっ娘。として活躍していきますので、どうかよろしくお願いします。ついでにプロデューサーのプロフィールも。
ちなみに、デビュー曲「女の子の本音」ですが、各方面で大不評の歌詞にまたもやリーダーさんが曲をつけてくださいました。現在は、これを編曲してくださる方などを募集しております。 そして、曲が完成し次第レコーディングに入り、本格的に作成された衣装(デザインは完成済み)を着てジャケット撮影。CD製作と進みたいと思っております。できましたら、みなさんも是非是非買ってやってください。売れなかったら僕が全部さばくまで全国行脚の旅に出ます。 というわけで、ぬめっ娘。のえり&なおをヨロシクお願い致します。 さて、風邪薬飲んで寝よう。39度とかありえへん。 子供の頃、どしゃぶりの雨が大好きだった。 学校帰りの退屈な通学路、空から降り注ぐ大粒の雨を身に受け、わざと濡れて帰る。それがたまらなく好きだったし、ある種のかっこよさを感じていた。 何をどう間違ったか知らないけど、幼い僕にとって「雨に濡れた男」ってやつが最高レベルのかっこよさだった。ビショビショに濡れた髪も最高だし、濡れ果てた自分の髪型好きだった。少し素肌を透かせる濡れシャツも極上のステータスだった。 雨に濡れながらロードワークをするボクサー、とかそういうのにロッキーを見ながら漠然と憧れていたのだと思う。 だから、雨が降ると本当に嬉しくて、もう嬉々として濡れていたもんだった。いつもは20分はかかるであろう通学路も、たっぷりと寄り道しながら倍以上の時間をかけて濡れて帰る。 パンツの中身までグッショリと濡れ果て、ズックの中が雨で満たされ、ゴポゴポッと異様な音を奏でるまで徹底的に濡れていた。そこまで濡れて初めて、「濡れた俺はかっこよすぎる」などとナルシスト魂を感じていたのだ。たぶん、あの頃の僕は雨に酔っていたのだと思う。 まるで雨の日にレイプにでもあったかのようにグッショリと濡れ果てて帰宅する僕に、当然ながら母は怒り狂い、修羅の如き手厳しさで僕を糾弾した。しかしながら、やっぱり母は母で、「ちゃんと拭いてから上がりなさい」などと真っ白いバスタオルを玄関先で渡してくれたり、急いで風呂を沸かしてくれたりしたものだった。 徹底的に濡れた後にバスタオルで体を拭くことは最高の幸せだったし、風呂に入ることも安堵を感じる至福のひと時だった。 雨に濡れることで自分はかっこよくなる。さらに家に帰れば安堵を感じることが出来る。雨に濡れるってことはそれほどに魅力的なことだったのだ。だから、当時の僕はいくら雨が降っていようとも傘など持たなかったし、無理やり母に持たされたりしても使わなかった。右手に傘を持った状態で濡れて帰ることが当たり前だったのだ。 ある大雨の日、その日は予てからの集中豪雨で、各地の川が氾濫していた。あまりに危険であると判断した教師たちは、学校を早めに終わらせることにし、児童達を家へと帰らせたのだった。 これにはもう、僕の心が躍った。 集中豪雨だ、普段の雨なんかとは比較にならないほどの雨が降り注いでいるのだ。もうなんというかいつも以上に濡れることは容易に想像がつくし、いつも以上にかっこよくなれる。それに、家に帰った後の至福のひと時もいつも以上だろう。 このチャンスを逃す手はない。集中豪雨だからと怖気づいてはいけない。今日も僕は傘も持たずに濡れて帰らなければいけないのだ。いや、誰に咎められようとも間違いなく僕は濡れて帰っただろう。 「寄り道せずに真っ直ぐ家に帰るように。家に帰ったら自習しろよ」 という教師の言葉なんか何処吹く風で、僕は大幅に寄り道をしながら変えることに決めたのだ。もちろん、傘なんて全く装備せずに。 家とは反対方向の道を歩き、記録的大雨の雨粒を身に受けて歩く僕。やはり衣服などはものの数秒でビショビショになったし、数分も経てばズックの中に水も入ってくる。やはり集中豪雨、普段の雨なんかとは格が違う。 今、雨に濡れた僕は最高にカッコイイ。最高にイカス。水も滴るいい男だ。などと激しい勘違いをしながら、水溜りから水溜りへと飛び移っているその時だった。 「ねえpato君? どうして傘持ってないの?」 雨音に混じって女の子の声が聞こえた。 振り返ると、真っ白の傘をさしたクラスの女子が立っていた。まるで傘も買えないほど貧乏な生物を見るかのように、まるでドブネズミを見るかのように憐れみの目をして立っていた。 憐れみの目で見られても困る。僕は信念があって自ら濡れているのだ。確かにウチは貧乏だけど、傘が買えないほど貧乏だったわけじゃやない。勘違いされては困る。そこで僕は、降りしきる雨の中、延々と濡れて帰ることの素晴らしさを演説した。 雨で濡れるというのはなんともカッコイイ。おまけに、家に帰って体を拭いたときが至福のひと時だ。余すことなく、濡れ帰りの魅力を彼女に伝えたのだ。 「なんだか楽しそう!」 彼女はそう言うと、持っていた真っ白な傘をたたみ、ワザと大粒の雨を身に受け始めたのだ。 「私も濡れて帰りたい。ね、一緒に帰ろうよ」 僕は、大規模に濡れるためにワザと家とは違う方向に歩いていた。彼女の家は本来は僕の家とは逆方向なのだが、どういうわけか一緒に濡れて帰ることになったのだ。 どうしようもないほど非モテだった僕は、女子と一緒に下校したことなどなかったし、あまり女子と話をしたこともなかった。ある意味、ちょっと女子のことを怖いと思っていたのかもしれない。その女子が、自分のアホのような考えを理解してくれ、さらには一緒に濡れて帰ってくれる。しかも、初の一緒に下校だ。これには胸が躍った。 やっぱ、雨に濡れた俺がかっこよすぎたからかな、彼女もそんな俺を見てドキンときたのかも知れない、さすが水も滴るいい男。などと激しい見当違いのもと、僕らはずぶ濡れで彼女の家へと歩いていくのだった。 ワザと雨に濡れることにした彼女のブラウスは、一瞬でビショビショに濡れ果て、濡れ濡れのブラウスは彼女の素肌を透けさせた。そして、そんな濡れブラウスの下から、薄桃色のブラジャルがほのかに確認できたのです。 やっぱ雨に濡れるって最高。 幼かった僕は、この時初めて女性がブラジャルを装着するものだと知ったのですが、やはりなんというか興奮するものです。今思えば、職人が作ったようなレース仕様のブラジャルではなく、お子様がつけるようなスポーティータイプでしたが、それでもやはり興奮しました。 いきり立った自身の生殖器が、ジンワリと雨に濡れたブリーフの中で所狭しと暴れ周り、なんとも心地悪かったのを今でも覚えています。 「ねえ、どっちが濡れるか競争しようよ」 雨ですっかり濡れたポニーテールをなびかせ、彼女は言いました。そう言うや否や、道端にあった水溜りにヘッドスライディングをする彼女。 「すごくキモチイイ!!濡れるのって最高だね!」 ブラウスを泥だらけにし、髪を振り乱して言う彼女を見て思いました、この子はバカなんじゃないかと。 彼女は濡れて帰ることの美学を何も分かっていない。そんな水溜りにヘッドスライディングとか出来の悪いコメディじゃないんだから。もっと雨に濡れて帰るってのは高尚なものであって、あくまでも綺麗に濡れなきゃいけないんですよ。それなのに、アタックとかの洗剤CMに出てくる子供みたいに泥だらけになるのとか頂けない。 彼女の美学を解しない無粋な行動にいやくご立腹する僕でしたが、さすがに慣れぬ女子との下校のせいでしょうか、いきり立ったマイ生殖器のせいでしょうか、それよりなにより、もっと彼女を濡らせばブラジャル以上のものが見られるかもしれない、という期待感からでしょうか。 「よーし、僕も負けないぞー!」 と、僕もまた、水溜りに向かってヘッドスライディングするのでした。 あとはもう、お互いに、軒先に置いてあったバケツの水を頭からかぶったり、ビショビショになった芝生の上を寝転がったりと、大雨にの中で頭の悪い行動に終始するのでした。それが悲劇の始まりだとは露知らずに。 「もっと濡れたい、もっと濡れたい」 彼女の欲求は病的なレベルに達していた。今でこそ「濡れたい」なんて年頃の娘さんが言おうものなら、途方もない結果が待ち受けていることは明白なのだが、幼すぎた彼女は真の意味で「濡れたい」と言っていたし、僕も表面通りの意味で受け取るしかなかった。 なんとか、彼女の欲求を叶えてあげたいと思った。たぶん、僕は彼女に恋をし始めていたのだと思う。自分の「雨に濡れるのが好き」という思いを理解してくれ、一緒にバカげた行動をしてくれる彼女に、ちょっと大人びてブラジャルなんかしている彼女に恋をし始めていたのだと思う。 降り注ぐ雨粒のように突如舞い落ちる恋。突然の夕立のように降って沸いた恋に身を捧げるしかなかった。 「じゃあ、もっとすごい場所に行こう」 僕らは、町の中心を流れる小さな川にやってきた。 連日降り注いだ雨によってすっかり川は増水していた。普段は水も少なく、鯉やらメダカやらが優雅に泳ぐ川だったのだが、今日ばかりは、茶色い水が轟々と濁流のようにうなりをあげていた。 「すごいね、ここならすごく濡れられそう」 そう言った次の瞬間には、彼女は川の横に備え付けられていた石段を降り、何の躊躇もなく川へと入っていたのっだ。病的に濡れを求める彼女にとって、川に入ることなど、なんの障害もないのだ。いくらなんでもちょっとやりすぎ。頭が弱すぎる。 「あーれー!」 一瞬にして濁流に飲み込まれていく彼女。当たり前だ。 いくらなんでも、この濁流に身を投じるなど自殺行為も甚だしい。そんなことをすれば一気に激流へと飲み込まれるのは自明の理。 「たすけてー」 と、叫ぶ彼女が、悪魔のように大暴れする川面から一瞬だけ見え、また激流の中に消えていく。 もはやどうすることも出来なかった僕は、急に怖くなって足が震えてきたのです。「あわわわわわわ、どうしよう」と、もはや楽しい気持ちなど消えうせ、濁流に飲み込まれていく彼女を呆然と見守っていたのです。 さすがにそれではマズイと思ったのでしょうか、僕は彼女の姿を探して下流側へと走り急ぎました。 幸い、下流側に近所の爺さんが魚を獲るために仕掛けていた網があり、彼女が自力でそれに捕まったのか引っかかったのか知りませんが、とにかく網に絡まるようにして彼女は生きながらえていました。 彼女を陸へと助け上げ、ゲロなのか水なのか分からない液体を吐き出す彼女を見て思いました。こんな女子は嫌だと。 僕の「雨が好き」という思いを理解し、一緒にバカやって濡れてくれる女の子は好きですが、さすがにこれはやりすぎ。濁流に飲み込まれるとかやりすぎ。下手したら死んでますからね。 さらに、ブラウスが透け、薄桃色のブラジャルが見えるのも魅力的ですが、さすがに濁流の川に飲み込まれ、変な葉っぱだとか魚の死骸が付着しているのは頂けない。 こうして、大雨の中、夕立のように訪れた僕の恋も、通り雨のように儚く終わったのです。 そして、ゲホゲホ言いながらまたも水を吐く彼女を見て思ったのです。何事も限度って大切だなと。濡れて帰るのが楽しいなら、限度を守って濡れて帰る。それが一番楽しんだな。そう思ったのです。 梅雨が訪れ、毎日のように雨が降ります。アパートの玄関ドアを開けるたびに「今日も雨か」と憂鬱に傘をひらく大人になった僕。笑顔で濡れて帰ったあの頃の僕がいないと思うと、少しだけ寂しい気持ちになるのです。 B子火山大爆発。 いやね、ちょっと聞いてくださいよ。ウチの職場のマッスル事務員B子のお話なんですけど、最近ではやけにヌメラーさんたちの支持を獲得し、「もっとB子さんを日記に出してください」だとか「今日の日記はB子さんが登場してきたから安心して眠れます」だとかトチ狂ったヤロウどものメールが来るんですよ。 まさにB子シンドローム。キミ達は何を夢見てるんだと激しく問い詰めたい気分。言っとくけどな、B子とかマジ酷いから。本気で酷いから。まず、アゴ割れてる、口紅の色紅すぎ、香水の臭いが焼肉屋の臭いみたい、しかも女性とは思えないマッスル。彼女の場合はオッパイとかじゃなくて胸筋だからな。ヤツはベンチプレスで200キロは上げるに違いない。 そんなB子のファンとかになっちゃダメ。ゼッタイ。 でまあ、そのB子、最近では仕事が忙しかったらしくて大人しくしてたから、僕も大目に見てやったんだけど、今日ついに大爆発。ありえないほど大爆発。ホント、殺されるかと思った。まあ、事の顛末でも聞いてやってくださいよ。 今日は誰もが体を休める日曜日。しかしながら、悲しき企業戦士である僕は、抱えている仕事を片付けるために会社へと向かったのです。休日すらも仕事のことしか考えられない僕。まさに仕事の鬼。将来は仕事しすぎて家庭を顧みず、妻は離婚届を残して実家へ。年頃の愛娘はグレて援助交際に精を出してエロ親父の精を吸い取る日々、とまあ家庭崩壊を招くんじゃないかな、ってくらいに僕は仕事の鬼。みんな勘違いしてるかもしれないけど僕は仕事の鬼なんですよ。 でまあ、誰もいない日曜のオフィス。閑散としたオフィスはウィークデーの賑わいが嘘のように静かで、とても仕事がはかどりそうな気分。よっしゃ仕事でもやるか、と意気込んでマイデスクに座り、パソコンの電源をオンにしたのです。 僕の指先によって、まるで命を吹き込まれたかのように動き出すマイパソコン。さっそく仕事をしようとソフトを起動させたその時でした。 「そういや、ショコラ(※1)のビデオが随分とたまってたな」と気がついたのです。 (※1 「ショコラ」-絶賛放映中の昼の連ドラ。大塚ちひろ主演。平日の真昼間という時間帯のため、オンタイムでは観ることができず、録画までして見ている。ドラマの内容は全く分からないが、大塚ちひろを観るという目的のために全話録画している。) ハッキリ言って、この「ショコラ」というドラマはすごい。というか、大塚ちひろがすごい。僕もまあ、長い間アイドルを見続けているけど、あそこまで完璧なアイドルったらないね。ショコラをやる前は髪型的にイマイチだと思ったけど、今の髪型はすごい。ものすごく大塚ちひろの魅力を引き出してる。 また、この「ショコラ」のオープニングがすごい。車の上で微笑む大塚ちひろの笑顔とかすごい。あれだけでご飯3杯はいけるんじゃねえの?ってぐらいにすごい。あの大塚ちひろの笑顔があるなら、この世の戦争とか人間同士の憎しみ合いとか全部なくなるんじゃないかな、ってぐらいにすごい。ハッキリ言って原子レベルの段階で既にカワイイからね、彼女は。 でまあ、仕事そっちのけで「ショコラ」のビデオを見ておったわけですよ。もとい、大塚ちひろの笑顔を見ておったわけですよ。実は職場のマイマシンは、ソニーのバイオというマシンでして、テレビとして機能することもでき、さらにビデオデッキと接続することでパソコンでビデオを見ることができるんですよ。 そのバイオの機能をフルに活かして「ショコラ」に興じる僕。何しに日曜まで職場に来たのか良く分からんですけど、とにかく今は大塚ちひろに集中するのみ。それに尽きる。 などと、大塚ちひろを見てると、やっぱ僕も男ですから下半身が隆起してくるじゃないですか。いや、女神である大塚ちひろにそういった邪な気持ちを、淫靡なキモチを持つだけで極刑に値することは分かってるんですけど、やっぱ、そういった自然の摂理には逆らえないじゃないですか。 それでまあ、悶々と、 大塚ちひろ「なんか乳首が硬くなってるの」 僕「どれどれ見せてごらん」 大塚ちひろ「恥ずかしいよぅ」(唇を噛みながら) 僕「すごく綺麗だ、吸い込まれそうだ」 大塚ちひろ「触っても・・・いいよ・・・」(恥ずかしそうに目線を逸らして) 僕「う、うん・・・」(恐る恐る鷲掴み) (略) 僕「ほら、固く脈打ってるよ、舐めてごらん」 大塚ちひろ「大きすぎて口に入らないよぅ」 で、仁王立ちフェラ、狂おしいほどに仁王立ちフェラ とまあ、エロビデオのドラマ部分を髣髴とさせる三文芝居を想像してたんですよ。すると、僕のマグナムも大暴れしだすわけなんですわ。 イテテテテテテテ そうこうすると、先日の焼畑農業の影響で痛手を負った生殖器周辺が痛み出すんですわ。まるで今まさに燃えているかのようにヒリヒリと痛むわけ。 こりゃかなわん、こんなに痛くてはオナニーどころではない、集中して大塚ちひろを見ることもままならん、となんとか策を講じようと思った次第なのです。 で、物凄く名案を思いついたのですよ。伊東家もビックリの起死回生の策を思い立ったのです。熱くて苦しいのならば、冷やしてしまえばいいではないか、とコロンブスの卵的発想の下、職場の冷蔵庫からガリガリと氷を集めたわけです。 我が職場には、各自がオヤツですとかジュースですとかを保存しておくための小さな冷蔵庫があるんですよ。そこに幾ばくかの氷があったはず。それを用いてチンコを冷やせばいいではないか、と天才的思考力で思いついたのです。 さっそく冷凍庫をオープンし、板チョコみたいな容器で作られている氷をガリガリとゲットします。これさえあえればチンコを冷やすことができる。生殖器を冷却することができる。財宝を掘り出すかのように氷を取り出し、コンビニの袋の中にザクザクと入れていきました。 しかしながら、局部を冷やすにはあまりにも氷の量が心もとない。たぶん、前日の土曜日にヘルス大好き鈴木君、略してヘルスズキが、「アイスコーヒーだぜ」とか言いながら氷をガリガリ使ってたのが原因だと思います。とにかく氷の量が少なすぎる。これでは冷やせないではないか。 とか思ったのですが、冷蔵庫の中には何故だかハーゲンダッツのストロベリー味のアイスが鎮座しておられました。こ・・コレなら冷やせる! ここオフィスルームの冷蔵庫には、放っておくと誰に食べられるか分からん、という理由から、アイスやプリンなどにマジックで名前を書いて所有権を主張するという卑しい風習があるのですが、その名前を書いた痕跡も見当たらない。つまりはこれは完全にフリーダムなアイスクリーム。これでチンコを冷やしても誰も文句は言うまい。 それでまあ、僅かばかりの氷、さらにはアイスを使うという死のコンボでチンコを冷やすのですが、やはりズボンの上からではその冷却力に不安が残る。やはりダイレクトに冷やすのが得策。この場面では破格に得策。 ペロンとズボンを脱ぎまして、グイッと自身のパンティエをずらして冷やす。 おお、なんという冷たさ。ヒリヒリと火傷した肌にはたまらぬ癒し。おまけに冷たさのあまりに感覚が麻痺し、全く痛みを感じない状態になる。この状態でオナニーとかしても気がつかないんじゃ?と思うほどに感覚を失うマイティンポ。 それでまあ、痛みもなくなったことですし、何の心残りもなく「ショコラ」を、大塚ちひろを見ることができる、といわんばかりに、ティンポを出し、なおかつ氷とアイスで冷やすという異常な体勢で大塚ちひろ鑑賞。まさに至福のひと時。最高に幸せなひと時。 日曜の昼下がり、誰もいないオフィスでチンコ出して昼ドラを観る。この感覚はやった人でないと分からないと思う。経験した人しか分からないと思う。 そんな風に僕が至福のひと時を過ごしていると、 ガチャ B子登場・・・っ!圧倒的にB子登場・・・っ! まるでプリティーウーマンの音楽がBGMになっているかのように颯爽とB子登場。なんか、彼女も仕事を片付けるために休日出勤してきたもよう。 瞬時に、B子の目とチンコを出した僕の目が合う。むしろB子の目と僕のチンコが激しく火花を散らす。 「ぎゃあああああああああ!!」 いきなり悲鳴を上げるB子。持っていたバッグを放り出すほどの勢いでオーバーリアクション。そりゃそうだ、仕事しに休日出勤してきたら、変態同僚がチンコ出してアイドルに熱中してるんだもんな。そりゃ心臓に毛が生えているB子でも驚く。 「ぎゃあああああああああ!!痴漢!!!」 さらに悲鳴をあげるB子。気持ちは分かりますが、「痴漢」という言葉はいただけない。これには僕も大黒摩季的勢いで「ちょっとまってよ」と言わざるを得ない。 「ちょっとまってよB子さん、痴漢って言葉はいただけないぜ」 とか僕も英国紳士のようにジェントルに言うのですが、B子はもう聞く耳を持たない。チンコを見ないように両手で目を塞いでいるのだけど、指の隙間から覗いている始末。それでも僕は弁明をやめない。 「痴漢ってのはな、君がいる前でベロンとティンポを出すことじゃないか、でも僕は違う。僕がペロンと出してるところにキミが来たんじゃないか。まったく、こっちが訴えたいぐらいだわ」 とか言うのですが、B子のヤツ 「近寄らないで!この変態!」 とかしごくもっともな事を言いながら、手近にあった冊子やら何やらを投げる始末。シューティングスターか、という勢いでノートやら何やら飛んでくる。 「なあ、聞いてくれよ、決して見せるわけで出していたわけではなく・・・」 「そうなら、はやくソレをしまってください!きゃー」 「おー、ソーリー」 と言いながらチャックを閉める僕。 それでまあ、なんとかB子さんにも分かっていただき、なんとか猥褻物陳列罪とかで訴えられることは避けられました。B子さんも随分と落ち着いたようで、まだまだ鼻息は荒いですがもう大丈夫のよう。 「いやー、一時はどうなることかと思ったぜ、いやな、アソコを火傷しちゃってさ、氷で冷やしてたんだよ」 とか心温まるやり取りがあった後、「やれやれだぜ」とホッとしながら氷と共にティンポを冷やしていたアイスを見ますと、 先ほどは冷凍されていてアイス容器の外部に霜が付着していて分からなかったのですが、その霜の下から「B子」とか所有権を主張するマジック書きが・・・。 うわ、これB子のアイスだ、バレたら殺される・・・。 などと恐怖に震えておりますと、随分と落ち着いてきたB子さんが冷凍庫を覗きながら 「あれ?patoさん、ワタシのアイス知りませんか?」 とか言ってるではないですか。もはや逃げ道なし。 それでまあ、B子のアイスでティンポを冷やしていたという事実が発覚し、激しくB子にとっちめられた僕は地獄を見たのでした。僕、ちょっと半泣きになってた。 日曜に職場に来て、チンコ出してアイドル鑑賞。しかもB子に怒られて泣かされる。仕事は全くできませんでした。ホント、何しに休日出勤したんだ。 という漠然とした思いを抱えながら、大塚ちひろの笑顔をみてB子に傷つけられた心を癒すのでした。 怒りっぽいB子も、大塚ちひろの笑顔を見ればいいのに。そうすれば戦争も憎しみあうこともなくなるというのに・・・。 のっぴきならない事態に突入しております。 前回、あまりに茂り狂う自身の恥毛に痺れをきらしたpatoさんは、T字カミソリで剃毛するという暴挙に出ました。まさに、暴君ここに極まりといった趣でジョリジョリと剃り上げたのです。 デリケートな部分の剃毛だけに、神の如き慎重さが要求されることは分かっていました。けれども、僕らは感情なき機械ではないのです。マシンのように正確に作業をすることなど到底不可能なのです。 剃毛の最中に、何故だか無性に興奮してしまい、まるで命を吹き込まれたかのように猛り狂うマイ変な棒。一昔前の不良の髪型を髣髴させるほどにパンチの利いた剛毛たち。どれも僕の手元を狂わせるに充分な要因でした。 あえなく、生殖器周辺を激しく切りつけてしまった僕は、その出血量に驚き、生殖器周辺から血が出るという事実に、「女性ってなんて偉大なんだろう、こんなものを毎月経験するなんて」と妙に感心したのです。 心配するのは生殖器周辺の出血のことばかりで、他に何も手につかない状態に。そして、日記を書くのを放棄して止血に努める体たらくぶり。ホント、26歳にもなって何をやってるんだ僕ちゃんは、などと心底自己嫌悪に陥ったのでした。 あれから数日が経ち、あの日の傷も癒えてきました。カサブタ状態となった生殖器周辺の傷跡は、まるで僕を戒めているかのようでした。 しかし、血も止まり、もはや安全となった自分の生殖器周辺を見て思うのです。途方もなく不自然だと。 前回、突然の出血に驚いた僕は、剛毛どもを剃り上げることを断念したのです。その作業の途中で、剛毛を成敗することを諦め、止血に努めてしまったのです。 生殖器周辺に残された古傷、そして、その下には中途半端に伐採された僕の森林が茂っているのです。これはなんとも中途半端で気持ちが悪い。例えて言うならば、ヤンキーな両親に無理やりにウルフみたいな髪型にされているクソガキ、そのクソガキの長い後ろ髪を見たときのような中途半端さを感じてしまいます。 なんとかして、この中途半端に残った森林たちを伐採してしまわねば。 この世はいつも無情なパワーゲーム。いつも環境保護と開発の間で激しい凌ぎ合いが行われているのです。環境保護の観点で森林を残すことが勝るか、伐採して利便性を取ることが勝るか。全てが万事、こんなものなのです。 そして、完全に伐採してスッキリするという選択肢を選んだ僕は、再度、剛毛どもの伐採に乗り出すのでした。 しかし、またもやT字カミソリなどの刃物を使い、出血してしまっては目も当てられません。それでは何も学習しない猿と同じ。少なくとも小学校教育を受けた人間のやることではない。 ならば燃やすか。剃れないのなら焼き払ってしまえ。 大胆かつ効果的な手法を思い立った僕は、近くにあった新聞紙を丸めて火をつけ、タイマツのようにして自身の生殖器周辺に近づけたのでした。 バチバチ フハハハハハハ、剛毛どもが悲鳴をあげて焼き払われていくわ。整備状態の悪い天然芝のサッカー場のように茂っていた恥毛、それが見る見ると焼かれていくのでした。 前回は、痛手を負って日記更新をサボるという失態を演じてしまった。しかし、今回は日記を休むことなく、なおかつ綺麗に伐採された生殖器周辺を手に入れることができる。日記を休むことなくだ、フハハハハハハ。 ボワッ! アチチチチチチチチチ すまぬ、日記を休むことになりそうだ。 簡単に説明すると、順調に剛毛どもを焼き討ちにし、本能寺の信長のように断末魔の悲鳴をあげて黒い炭と化していく剛毛たちだったが、思わぬ反撃にあった。 その燃え尽きたはずの剛毛の炭だが、そのまま生殖器周辺の素肌に舞い落ちるものだから異常に熱い。ポロポロと炭が舞い落ちるたびにジワジワと火傷。 しかも、新聞紙って突然燃え上がるのな。情熱フレーム、といわんばかりの勢いで、突然ハイテンションになる芸人みたいにいきなり火力を増す時がある。それが、微妙なラインで剛毛を焼き払ってる時にきたもんだからさ、あっというまに炎に包まれるマイチンコ。 炎の中でなおもいきり立つ自身のチンコは、もはやフェニックスにしか見えなかった。何度も何度も炎の中で蘇るフェニックス、不死鳥。まさかマイチンコが不死鳥だったとはな。 なんていってる場合ではない見事に火傷、大火傷。生殖器周辺がリアルタイムで燃えているかのように痛熱い。たぶん、生殖器周辺に2度くらいの火傷を負ってると思う。 というわけで、これからチンコを氷で冷やしたり、火傷の場所にメンソレータムとか軟膏とか塗ったりするので、今日の日記はこれにてお終い。 股間が激しく燃えてるぜ。 やっぱり森林は大切にした方がいいよな。 エロスは激怒した。どうしてこんな台風の夜に酒などを買いに行かねばならぬのか。エロスには酒の味は分からぬ。エロスは、まだ中学生である。勉強をし、部活をし、友人と遊んで暮らしてきた。 今日、エロスは親戚の家に泊まりで遊びに来ていた。その家の叔父は酒が無性に大好きで、酒がないと手が震えるほどだった。早い話がアル中だ。 外では、台風が猛威を揮い、轟々とけたたましい音を奏でていた。そして、叔父の大好きな酒も、その全てがなくなっていた。それでも、酒を喰らうことを諦めぬ叔父は、暴風の中を買いに行くことを決意する。 エロスと共に、嵐の中、徒歩で酒屋まで向かう叔父は、「叔父さんはな、酒がないと何も出来ないんだよ」と情けないセリフを吐く。エロスにはその言葉の意味は半分も分からなかった。 嵐は容赦なく二人に襲いかかり、前進するのもままならぬまま、それでも酒屋を目指してして前進し続けた。ふいに前方から見慣れぬ黄色い物体が飛んできた。 木々を激しく揺り動かし、大木すらもなぎ倒す風力を手にした台風は、酒屋のビールケースすらも吹き飛ばしたのだ。KIRINと書かれたプラスティックの黄色いビールケース。中にはギッシリと瓶ビールの空き瓶が入っている。余程の重量であることは明白だが、それでも嵐は軽々とそれを吹き飛ばしていた。 「危ない!」そう思ったときは既に遅く、悪魔の物体は軽々と叔父に向かって襲いかかっていた。アル中の叔父にそれを避ける余裕はなく、鈍い音と共に余程の重量であるビールケースは頭部に激突した。 頭から血を流し倒れこむ叔父。無情にも激しく雨が降り注ぐ。叔父の手は激しく痙攣しており、それが頭部に衝撃を受けたことが原因なのかアル中が原因なのかは分からなかった。 「お、叔父さん!」 暴風は、エロスの叫びをせせら笑ふ如く、ますます激しく躍り狂ふ。 エロスは覚悟した。この非常事態を叔父さんの家族に伝えねばなるまい。信じた叔父(アル中)のため、今はただ走らねばなるまい。路行く人を押しのけ、跳ねとばし、メロスは黒い風のやうに走つた。 親戚の家に帰りついたエロスは、叔母、従兄弟に惨事の様子を伝える。聞くとすうっと顔色を失った叔母は、急いで110番に電話をし、救急隊を呼び寄せた。 嵐の中、タンカに乗せられて救急車に乗せられる叔父。だからいったのだ。こんな台風の夜に酒を買いに行くことなどない。危険だから止めた方が良いと言ったのに。エロスはまた激怒した。 救急車に乗り、叔母も従兄弟も、もちろん叔父も病院にいってしまった。見慣れぬ親戚の家にエロスはただ一人佇んでいた。 幼い頃から、台風が来ると無性に興奮するエロスは、まだまだ興奮冷めやらず、誰もいない親戚の家で台風の轟音に耳を傾けていた。台風の目を超え、幾分弱まったといえども勢力は甚大で、全てを飲み込みそうな音が轟々と聞こえていた。とにかく興奮する。 もっと風の音が聞こえぬものか。エロスは一番音が聞きやすいであろう部屋を選び、そっと窓際に陣取った。 台風の影響で洗濯はしたものの干せなかったのだろう。窓際には洗濯物がだらしなく干してあつた。叔父のものと思われる肌着に、従兄弟の物と思われる靴下。そして、叔母のものだろう、かわいらしいパンティエが干してあった。 バカな! 叔母のパンティエだぞ! 年の割には若く見え、評判の美人といえども叔母だ。それに年増ともいえる年齢だ。若い娘のパンティエならともかく、オバサンのパンティエで欲情するなどありえない。あってはならない。 動揺する心を落ち着かせ、なんとかリビングへと戻り、テレビをつける。そもそも見慣れぬ家で家内を徘徊するのが良くないのだ。非常識な行為を行う興奮と台風の興奮、それらが入り混じり叔母のパンティエに興奮してしまったのだ。 落ち着きさえ取り戻してしまえば何てことはない。ただの気の迷いだったのだ。叔母のパンティに欲情することなどあってはならぬのだ。いくら性欲の塊、中学生といえどもあってはならぬのだ。エロスはそう自分に言い聞かせると、カチャカチャとテレビのチャンネルを落ち着いて変え始めた。 テレビからは台風情報が流れ、今まさにこの場所を大きな渦が直撃していることを告げていた。エロスは、その画面を食い入るように貪り見ていた。 バ・・・バカな! 台風の渦が女性器にみえる! 日本列島を覆っていた台風の渦が、エロスには女性器にしか見えなかった。中心の台風の目がなんとも隠微に微笑みかけ、エロスの股間を刺激していた。 あってはならぬ、台風の渦が女性器に見えることなど、あってはならぬ。 もはや抗らうことなどできなかった。台風の興奮、叔母のパンティエ、そして女性器のような台風の渦。「中心付近の気圧は980ミリバールです」というアナウンサーのセリフも、淫猥な喘ぎ声にしか聞こえない。その全てが入り混じり、エロスのピンク色の脳髄を刺激していた。 「このエロスは、他所様の家でオナニーをしようというのか。叔母のパンティエを右手にグイと握り、嵐の風音に耳を傾け、台風情報を見ながらオナニーをしようというのか」 自問自答したが、もはやエロスには道は残されていなかった。自分の欲望の赴くまま、パンティエを手に取り、風音に耳を傾けながら、女性器の渦を眺めてオナニーをするしかない。 性に垣根などあってはならぬのだ。自分の興奮に身を任せ、興奮するものと共に、流るるままにオナニーをすればいいのだ。 私の命なぞは、問題ではない。死んでお詫び、などと氣のいい事は言つて居られぬ。私は、性欲に報いなければならぬ。いまはただその一事だ。オナれ! エロス。 台風の轟音が轟く中、一心不乱に自身の性器を弄ぶエロス。手には叔母のパンティエ、画面には台風情報。他所様の家の一家団欒が繰り広げられるべきリビングで行為に及んでいることが、一層メロスを興奮させた。 エロスの小さなイチモツは、あまりの興奮度から長時間刺激に耐えることなどできず、ヒヒーンと二、三度いなないた後に白濁液を放出して朽ち果てた。 背徳感をひきずりながらも、達成感で胸いっぱいだったエロスだが、性欲と性欲の塊の液を放出して幾分冷静になったからだろうか、奇妙な罪悪感がエロスを苦しめた。 あれから十年と幾年、二六歳になったエロスは、未だに台風が到来すると思い出す。台風の渦が女性器に見え、叔母のパンティエを握って他所の家でオナニーをした思い出を。風の轟音を背にオナニーをした恥ずかしい桃色の思い出を。 台風6号が九州をかすめ、エロスの住む広島にも強風をもたらした。轟々と風の音はなりやまず、テレビの台風情報も恥ずかしげなく女性器のような渦を映し出す。 まさかな、あの当時のように見るもの全てがピンク色に見えた中学生時代であるまいし、まさか二六歳にもなって台風情報でオナニーするわけがない。ましてや叔母のパンティエを思い出してするはずもない。 あの思い出は考えるだけで恥ずかしいものだ。できれば触れたくない過去なのだ。台風でオナニーなどするはずもない。考えるだけで恥ずかしいわ!エロスは、ひどく赤面した。(台風情報を見てズボンを下ろしながら) 耳たぶのピアスの穴は時が埋めてくれるけど、真ん丸さ心の穴は独りじゃ消せない。 目に見える外傷は、ほとんどの場合が時間の経過と共に消えてしまう、それが自然治癒というものなんだけど、心の傷ってのはそうそう自然治癒してくれない。 いつまでたってもウジウジと過去の心の傷に対して後悔したり、涙を流したり、未だにトラウマとして深く心に闇を落としていたり、僕らは外傷よりもむしろ内傷にとかく弱い。 今日は、いつにもなく珍しく電車にて外回りの仕事を行ってきた。いつもは乗用車でマイペースで仕事をするのだけど、今日は駐車スペースにも困るような都市部に行かなければならないということもあり、仕方なく切符を買って電車に飛び乗ったのだ。 ターミナル駅というのは、沢山の電車が行き来するのと同時に数多くの人間もまた行き来する。言うなれば人間自体のターミナル。欲望渦巻く人間交差点といっても過言ではないほど、数多くの人間の人生ドラマのワンシーンが繰り広げられている。 仕事を終えた僕は、そのターミナル駅のホームにて立ち食いウドンを喰らっていた。とっくに青春時代を終え、全てが枯れ果ててしまったサラリーマンのように、とにかく灰色にウドンを食する、それと同時に、ホームで繰り広げられる人間ドラマを眺めていた。 僕はこういった人間観察が大好きで、ウドンよりも目がない。立ち食いウドンを食べながらも、店の外のホームで繰り広げられる人間模様をチラチラと観察する。ホント、ウドンの味など分からないほどに意識をそちらに集中させるのだ。 「オマエ! 昨日、家にいなかっただろ!」 ふいに若々しい男性の怒号が聞こえてくる。あまりにも静か過ぎる立ち食いウドン店内に良く通るハッキリとした声で男性の怒鳴り声が。 ホームで繰り広げられる人間ドラマにも様々なシーンがある。まだまだドラマ序盤のシーンの人もいれば、今まさにクライマックスの人もいる。これだから、人間ドラマを視聴するのは面白い。 その男性の怒号は、まさしくクライマックスのそれだった。連続ドラマでいうなら間違いなく最終回の一回前の回。最終回を感動的に盛り上げるためのクライマックス。そういった趣の怒号だった。 心の興味をゴッソリと持っていかれてしまった僕は、てんぷらウドンのドンブリを片手に、ウドンをチュルチュルと吸い上げながら声の主を探った。向こうから僕の姿は見えぬよう、ノレンの陰に隠れて様子を伺った。 見ると、そこには何やら言い争っているようなカップルの姿が。男のほうは、流行のヒップホップ系スタイル。ケミストリーの右側をさらに右側にしたような一見アウトロースタイル。そして女の方は、ヘリウムガスよりも尻が軽そうなギャルギャルねーちゃん。ちょっと見、かなりアッパッパーな雰囲気を漂わせた姉ちゃんだった。この姉ちゃんだったら自己紹介代わりにおセックスしかねない、そんな趣だった。 そんの二人が激しく言い争う。というか、ケミストリーの右側のような男が激しく尻軽女を叱責しているような雰囲気だった。 「オマエ、ずっと携帯が圏外だったから、家に電話したんだよ!」 「そしたら、オマエ、風邪で寝てたはずなのに、家にいないじゃねえか!」 どうやら尻軽姉ちゃんが嘘をついていたらしく、それを激しく指摘されていた。指摘されるたびに姉ちゃんの表情は見る見ると強張っていき、まちがいなく後ろ暗い何かを隠しているのは間違いなかった。 見るからに不利で証拠も握られているというのに、お姉ちゃんも頑張るもので 「ちゃんと家で寝てたもん」 「なんで家に電話するの?ストーカーみたいでキモい」 などと徹底抗戦。 それでも、ケミストリーの方は兼ねてからネタを握っていたらしく 「オマエ、未だに俊介と会ってるんだろ、知ってんだぞ」 などと爆弾を投下する。 話の前後から推測するに、おそらくこの尻軽姉ちゃんは、俊介なる人物と浮気をしているのではないだろうか。それで、昨日の夜も俊介と密会し、その辺のスダレ付きホテルで、激しくベッドを揺さぶりながら変な棒を変な穴に出したり入れたり、出したり入れたり、出したり入れたり、たまに舐め合ったり。そんな風に狂おしいほどに浮気をしていたのではないだろうか。 そして、この彼氏であるケミストリーにばれるとマズイので、風邪をひいて家で寝てるとアリバイ工作。携帯も電源を切って接触を避けるという浅はかな行動をとったのではないだろうか。 しかしながら、本気で風邪をひいてると思って心配したのか、兼ねてから俊介ネタを握っていて怪しいと睨んだのか、ケミストリーは顔に似合わずチマチマと家に電話をかけるという暴挙に出る。 そこで電話に出たお母さんかなんかに「あら、芳江はオシャレして出かけましたわよ」とか言われちゃったりなんかして、呆然とするケミストリー右側。「WowWow」と歌うしかないケミストリー右側。こんなところじゃないだろうか。 とにかく、自分が握っていた浮気疑惑ネタを惜しげもなく披露する彼氏に、それをノラリクラリとかわしつつ、論点をずらそうとする彼女と、激しい攻防戦が駅のホームにて繰り広げられていた。 まさに人間ドラマのクライマックス。もう一時たりとも目が離せない。普通のドラマならCMまでトイレに行くのを我慢するのだが、リアルドラマではCMなど入らないから一瞬たりとも目が話せない。視聴者である僕の目は釘付け。すっかりとウドンがのびてしまったほどだ。 そして、二人のドラマはさらにクライマックスを迎える。 「テメエ!俊介と浮気してるんだろが!」 ついにブチ切れをしたケミストリー右側。悶々とした疑惑やなんかが一気に噴出したかのようなキレっぷり。興奮してツバを飛ばしながら大激怒。見ている僕もハラハラドキドキ。 もう逃げ場のなくなった尻軽姉ちゃん、それでも観念するというしおらしい精神は持ち合わせておらず、みっともないほどに逆ギレ。持っていたバックを振り乱し、バイオレンスに彼氏を乱れ打ち。 この辺りから、ウドンを食いながら見ていた僕だけではなく、周りの一般人も二人の織り成すドラマに注目し始める。エキサイティングなクライマックスを有するドラマは自然と視聴率が上がるもの。もはや一時たりとも目が離せない。 しかしながら、いいところで「つづく」となるのは世の常で、二人のドラマも例外なく良い場面で終わりを告げる。彼氏の叱責に逆ギレした尻軽姉ちゃんは、逆ギレの勢いそのままに、その場から立ち去ってしまった。 「もう別れる!」 という、捨て台詞だけを残してドラマの舞台から降りてしまったのだ。 これにはちょっと、ケミストリーの右側、涙目になってた。最愛の彼女に浮気をされ、さらにはフラれるという後味の悪さ。彼的には浮気した彼女をフッてやるなどと意気込んで切り出したのかもしれないが、逆にフラれてしまうという不条理さ。 浮気をされただけではなく、逆ギレされ、さらにはフラれる。これがどれほどの傷かキミ達には分かるか。 あの無骨な、喧嘩が強そうな、「フランダースの犬」の最終回を見ても泣きそうにないケミストリーの右側みたいな男が泣いてるんだぜ。人目もはばからず目に涙を浮かべて泣いてるんだぜ。さながら、後味の悪いドラマを見せられているような気分だぜ。 でもな、右側はコレでよかったんだと思う、部外者なりに意見を言わせてもらうと、それでよかったのだと思う。確かに浮気をされたことも、振られたことも大層な心の傷だと思う。決して簡単には癒えることのない傷だと思う。失恋のプロフェッショナルな僕が言うんだから間違いない。 ピアスの穴みたいに放っておいたら埋まるようなものでもないし、切り傷みたいに気付いたら自然治癒しているような物でもない。けれども、心の傷だって決して消えないわけでも癒えないわけでもないから。 自分独りの力で癒すのは難しいかもしれないけど、友人の力を借りたっていいし、もっと色々な人に話を聞いてもらって癒せばいいと思う。心の傷は外傷みたいに自然治癒は難しいけど、その反面で他人の力を借りて癒すことができる傷なんだから。なんだったら、ウドン奢ってやるから僕に話してくれたっていい。ピアスの穴みたいに、きっときっといつか埋まるはずだから。 それにしても、あの尻軽姉ちゃんは死罪に値する。そりゃね、僕ら非モテから言わせてもらえば貞操観念の薄い女性の存在は有難いですよ。そういう女性がいる分、僕らにもチャンスがあるかもしれないですから、まあ微々たるチャンスでしょうが、それよりないよりはマシ。 でもね、人の信頼とかを裏切って浮気ってのは頂けない。それは恋愛に対して真摯な姿勢ではない。貴様はケミ右の心を何だと思ってるんだ。それを知ったらどれだけ右側が悲しむか、どれだけ苦しむか、ほんとに右側のことが好きならできないはずだし、自分がやられたら嫌なはず。だったらそういうことをしてはいけない。 浮気をする女は死刑だ、死刑。ホント、今からあの尻軽女を追いかけていってカンチョーとかして懲らしめてやりたいわ。 などと憤りながら、ベロンベロンにのびきったウドンを食していると、 「トオルー!!」 とか叫びながら、さっきの尻軽姉ちゃんがヒールの音をカツンカツンいわせながら走って戻ってくるではないですか。ちょっと目に涙を浮かべながら帰ってくるじゃない。まだまだウドンを食べられそうにない。 そいでもってケミ右(トオル)に抱きつきながら 「やっぱりワタシ、トオルじゃないと・・・ごめんなさい・・・」 とか言ってんの。もう見え見え。 バカヤロウ、俺のトオルはな、そんな見え見えのパフォーマンスには騙されないぞ、何と言ってもお前は俊介と浮気するという拭い様のない罪を犯した。そんな貴様を我らがトオルが許すと思うか。笑止千万。片腹痛いわ。 「俺も、ミユキのこと大切だから・・・怒ってゴメン・・・」 と抱き合う二人。 なんだこの三文芝居。 なんか物凄くつまらないドラマを見させられた後のような、失敗したオナニーの後のような、なんともいえない不快感が僕を襲う。 「ごめんね、ごめんね」 と、醜いほどのラブシーンを演じる尻軽女にケミ右。 もうね、二人とも死刑。俺が散弾銃を持ってたら間違いなく撃ち殺してたわ。 ウドンとは思えないほどに伸びきったウドンを我慢して食し、今だ愛し合う二人の横をすり抜けて電車に飛び乗る僕。僕のこの不快感もいわば心の傷、ピアスの穴のように簡単には埋まりそうにない。 すれ違いざま、チラリと横目で見た二人の耳たぶには、何とも言えぬ光を発するピアスが鎮座していた。 サンクスヌメラーズウィーク2の「代打日記希望」「トップ絵希望」の申し込みは8/11〆切です。 Numeri-OFF Tokyoの参加表明〆切は、7/15です。 迫り来る欲望にどうしても勝つことができませんでした。 このチンゲを剃ったらどうなるんだろう こんな魅惑の命題を、一度頭の中で考えてしまったらもう負け。剃らずにはいられない。剃らないわけにはいかない。むしろ剃ってナンボ。 この世は無情なパワーゲーム。いつだって欲望と理性が激しく戦っている。いつもいつも欲望の方が勝ってしまう僕は、今回も例に漏れず欲望を抑えることに失敗し、恐る恐るチンゲを剃ることにしたのだ。 シェービングクリームをチンコ周辺に塗りたくり、T字カミソリで剛毛どもを剃り上げる。 そんなこんなで、剃毛中に手元が狂ってしまい、チンコの根元から血が吹き出てるので、今日の更新はお休みです。速やかに止血せねば。 チンコから血が出るのも、チンゲを剃ろうと思い立ったのも、全ては新作映画「スパイ・ゾルゲ」が原因。CMでゾルゲなんて連呼されたら誰だって「ゾルゲ→剃る毛→そうだ、チンゲ剃ろう」となるに決まってる。ゼッタイにあんな映画は観てやらない。 とにかくガーゼを押し当てて止血せねば。チンコに。 6/16 ターニングポイント 転換期ってのは、リアルタイムで実感できる物ではない。 後から振り返ってみて、「ああ、あの時が自分にとっての転換期だったな」って思うのが普通だ。リアルタイムで「よし、今が俺の転換期、変わるぞ!」って思うことは少ない。むしろ、そう思った時ほど結果的に何も変わっていなことが多い。 何かと世知辛い昨今、中小企業はおろか大企業がバタバタと倒産していく中で、ほとんどの企業がビシネススタイルの転換を求められている。例外なく多くの企業が転換を必要とされ、できなければ企業は死ぬとまで言われている。安泰なのは親方日の丸公務員だけという途方もない経済大国がそこにある。 「今こそ社員の皆さんの意識を転換して」 「利益の出るビジネススタイルに転換を」 「無駄を省いてコストを抑える意識に転換を」 何も知らないお偉方が社員を叱咤する。馴れ合いのある意味日本的なビジネスに浸りきってしまった企業たちは、突然迫られる転換に狼狽するのが目に見えるようで滑稽だ。「生き残るために転換を」なんとも馬鹿馬鹿しくも笑える言葉だ。 何度も言うように、転換期はリアルタイムでは実感できない。今まさに自分が、企業が変わっている、これは転換期だ! なんて感じることはまずない。あったとするならばそれは錯覚に過ぎない。 個人意識でも同じ話で、ちょっと前に「変わらなきゃ」ってCMがあったと思うけど、漠然と転換を意識するだけでは気ばっかり焦ってしまって何も変われない。大きな大きな「転換」というものを意識するあまり、何もできなくなってしまうのだ。 小さな目先のことからコツコツと、少しづつ少しづつ意識をズラしていく。そして、結果的に変わった自分を振り返ってみて、「ああ、あの時が僕の転換期だったんだ」と思うのが正解なのだ。 目の前に「転換」が立ちはだかる状態では何も変われない。結果的に変わった自分を振り返って初めて「転換」を意識する。そういうものなのだ。 高校生の頃、僕は少しばかり二次元の美少女に夢中になったことがあった。友人の影響もあり、いわゆるギャルゲーやらエロゲーやらの画面の中の少女に夢中だった。二次元アニメの女性に萌えることを生業としていたのだ。今の僕からは想像もできない。 今でこそ二次元美少女は多数のメディアに登場し、秋葉原などでは専門の店などもあって社会的地位を確立するに至っているが、当時はそれはまあ凄まじく酷い状態だった。 テレビなどでやる萌え属性のアニメといえば、「セーラームーン」しか存在しない。スーパーファミコンなどのメジャーなゲーム機では萌え属性のゲームなどなく、全てがPC−98などのパソコンゲームやPC−FXなどのマニヤックな機械を必要としていた。貧乏な我々には高価すぎて手も出ない。 そんな不遇な環境の中で、「セーラーマーズ萌え」などと騒いだり、劇場版セーラームーンを見て感動して涙を流したりと、オタクライフを楽しんでいたのだが、その反面、「はたしてこれでいいのだろうか」という葛藤が付きまとっていた。 今でさえ二次元美少女萌え属性のオタクに対する社会の目は暖かいとはいえないが、当時はさらに酷く、セーラームーンを真剣に家のテレビで見ていたら親が本気で泣くほどだった。今以上にオタクを見つめる社会の目は冷たかった。 そんな社会の目なんか当の本人には何処吹く風で、なんら気にすることはなかったのだけど、それ以上に周りの友人が物凄かった。 二次元美少女萌え属性オタクのプロトタイプともいえる友人達は物凄く、マジで洒落にならない外見をしていた。目なんか血走っていて、コイツらは本気で幼女の2,3人を監禁しててもおかしくないって風貌だった。最近では本当に普通の人が萌えオタクだったりするのだが、この当時は奇異な人が多かったように思う。 なんだか流されるままに萌え属性のオタクになってしまった僕だったが、本当にこれでいいのかと常に迷っていたのだ。このまま彼らのコミュニティーに属していたら、なにか途方もない間違いを犯してしまうのではないか、そう考えるとそら恐ろしい物があった。 何か変わらなきゃいけない、何だか分からないけど得体の知れない何かから逃れるために転換しなきゃいけない。この種のオタクの人を馬鹿にするわけじゃないけど、なんだか転換しなきゃって漠然と思っていた。 けれども、変わらなきゃ変わらなきゃ、この二次元萌え属性から逃れなきゃって思うばかりで、全然変われなくて相変わらずオタクな友人達と楽しげにセーラームーンに興じる僕。求めるばかりで転換期は全然やってこなかった。 このままじゃ永遠に変われないって思った僕は、視点を変えて見てみることにした。変に「転換」というものを意識せず、この集団を外側から見つめてみることにした。 いい歳したニキビ面の高校生どもが、セーラームーンがどうしただの、ちびうさがたまんないだの、傍から見るとなんともものすごい物がある。普段は大人しいメガネのオタッキーが声を張り上げて叫んでいる。外から見てみて、改めて自分のいたコミュニティの奇異さが認識できる。 そして、その思いを決定的にしたのが、他校のオタク仲間達と交流することを目的に開催された「カラオケ大会」だった。他校の同好の志が集う交流大会。同じ二次元大好き仲間として、イベント会場やらオタッキー御用達し店などで仲良くなった友人と親睦を深める目的で催された大会だった。 僕は少し遅れて会場入りしたのだが、会場であるカラオケボックスのパーティールームに入ってビックリした。腰が抜けるかと思った。 まず、ドアを開けた瞬間にムアッと熱気が襲い掛かってくる。そいでもって、とてもじゃないが高校生には見えないオッサンみたいなのが学生服を着たまま狭そうにソファに座っている。その数は20くらいだろうか。 で、なぜか妙にカン高い声で、「次はヴィーナスさん、歌ってくださいよー」とかメガネが言ってるんだわ。ドカベンみたいなメガネが歌本を手に乱舞しながら叫んでるの。なんやねん、ビーナスさんて。 しかも、20人も同じ萌え属性を持つオタクお兄さんが座ってるもんだから、歌う曲とかすごいのな。セーラームーンのマニヤックな挿入歌とか歌うのよ、これが。主題歌とかじゃなくて挿入歌。しかも全員で大合唱したりして。メガネどもが大スパークしながら歌ってるのよ。このパワーで発電とかできるんじゃねえ?ってな勢いで歌ってるの。 しかも、応援の時に使うポンポンみたいな頭をしたオタクが、髪を振り乱して踊るのな。微妙に狂ったリズムで狂おしく踊るの、ポンポンが。いっちゃった目で大スパーク。 極めつけは、カン高い声をしたオタクお兄さんが歌うホイットニー・ヒューストン。物凄い高い声で裏声出しながらボディーガードの歌とか歌ってるの。血管切れそうになりながら必死で歌ってるの。何が彼をそこまでホイットニーに駆り立てるのか、ってな勢いで、スピーカ壊れるんじゃねえってな勢いで。 まさにオタクの宴 まさにオタクのサバト 凄まじい二次元オタのパワーに圧倒された僕は、30分とその会場に留まれず、大盛り上がりするオタク集団を尻目に会場を後にした。 そのおぞましいばかりの地獄絵図にすっかり引いてしまった僕は、その後も二次元萌えコミュニティーとは交わることなく、自然と二次元萌えを卒業できたのです。 そして、今思い返して感じるわけですよ、あのオタクお兄さんのホイットニーこそが僕にとっての転換期だったと。 転換期を意識し、変わろう変わろうと思う時ほど変われない。少しだけ意識を変え、視点を変えることで、結果的に変われたときにだけ転換期は存在するんだ。 見事に転換期を振り返る権利を得た僕は、二次元萌えオタクから卒業でき、現在のアイドル属性のオタクにジョブチェンジできたのです。 テレビでは偉い政治家がしきりに「構造改革」だとか「景気回復」だとか「新生日本」だとか叫んで、日本全体が転換することを望んでいる。けれども、目の前に「転換」という意識がある限り、永遠に日本は変われないのかもしれない。永遠に転換期は訪れないのかもしれない。 少しだけ視点を変え、意識を変え、ちょっとずつ変わっていく。そうしないかぎり、このどん底の日本は転換期を迎えられないのかもしれない。 また、二次元オタクからアイドルオタクへ転換を遂げたアホのように、必ずしも転換の先に幸福が待っているわけではない。 もしかしたら、僕の未来と日本の未来は、ものすごく暗いのかもしれない。 5月24日 朝 国際会議を終えついに帰国することとなったpatoさん一向。ほろ苦い数多くの思い出をプレゼントしてくれた韓国・済州島。こんな島クソ食らえなどと思ったものだが、いざ離れるとなるとなんとも寂しい。こういったセンチメンタルジャーニーなキモチになれるのも旅の醍醐味だろう。 さて、この日はもう特に何もすることはなく、起床して空港に向かい、日本への飛行機に乗るだけという、まさに帰国するためだけの日だった。 僕は前夜から小さなリュックに汚れ物やら何やらを詰め込んで帰る準備をしていた。そして帰国の日の朝を迎える。 カジノで全財産をドブに捨てた僕は朝飯を食べることも許されず、途方もなく満たされていない胃袋を抱えながらホテルのロビーで大崎と上司の到来を待っていた。 するとそこに大崎登場。容赦なく大崎登場。圧倒的に大崎登場。 またもや、アロハシャツにサングラスという何かを吐き違えたようなファッションを身にまとい、大リーガーのようにガムをクチャクチャと噛んでいる。それでもって、開口一番 「免税店に行こうぜ!」 コイツはまた僕を辱める気です。僕が朝食も食えないほど貧民であることを知っていながら免税店に行こうなどと誘っていやがるのです。全くもって腹黒いヤツだ。 「なんか、上司は荷造りするのに時間がかかるみたいだから、二人で行こうよ、免税店に」 などと爽やかに言い放つ大崎。なんか、上司のウンコはあの亡命するかのような大荷物をまとめるのに時間がかかっているようです。ならばもう断る理由はどこにもありません、仕方なく大崎の誘いに乗って免税店へと行くことにしたのです。 僕らの宿泊していたオンボロホテル、その隣にキングダムの称号が相応しいロッテホテルがあることは何度も説明したと思います。このロッテホテルは高級ホテルの名に恥じず、館内にカジノだとか高級レストランを兼ね備えているのです。そしてさらに、免税店までも完備しているのです。さすが高級ホテル、まさに至れり尽くせりです。 そんなこんなで、大崎と共にロッテホテルの免税店を目指して徒歩で行くわけなんですが、大崎はもう鬼のような札束をちらつかせて買い物する気マンマン。ハッキリ言って全財産を使う気でいたね、アイツは。 それでまあ、免税店に到着すると、もうそこには見たことないような風景が広がってるわけ。 まるで日本の高級デパートみたいに、プラダだとかシャネルだとかボイルシャルルの法則だとかブランド店が鬼のように並んでるの。カバンやら靴やら化粧品やら貴金属やら、もうアホのように売ってるの。しかも免税店だから、税金のかからない結構お手軽な価格で売ってるのよ。 で、免税店の店員さんは、当たり前のように韓国の女性ばかりなんだけど、やっぱ外国人相手の免税店、しかも高級なムード満点の店だけあって、みんなムチャクチャ日本語が堪能なのな。 「いらっしゃいませー」 とか普通に言ってたもの。この一角だけは間違いなく日本だった。 それでまあ、金のない僕はトランペットに憧れる黒人の子供みたいにショーウィンドウに張り付いて商品を眺めていたんだけど、富める大崎は鬼のように買い物してた。 まさに札束をばらまくといった表現が適切で、目に付く商品を大車輪の勢いで購入してた。それでまあ、 「おやあ?pato君は買い物しないの?お土産とか?」 とか物凄く大上段から蔑んで見てくるわけよ。資本主義の豚が勝ち誇ったような顔で見てくるわけよ。 そうなると、いくら温厚なpatoさんでもムッとするじゃん。俺だって買い物ぐらいできるぜ!っていう意気込みを見せてやりたいじゃん。だからな、ついに禁断のクレジットカードを出したわけだよ。 これだけは使うまいと封印していたクレジットカード。虎の子のクレジットカードをサイフから取り出し、ブランド品が陳列されているフロアの隅の方にヒッソリと置いてあった韓国海苔やらお菓子とかを大車輪の勢いで購入していた。 山のように高級ブランドが並べられている中、韓国海苔や韓国のお菓子を買い漁る僕。もう根本からして何かが貧しい。僕が買った物全部合計しても大崎の購入した腕時計に遠く及ばないからな。そんなチンケな商品をクレジットカードで買ってるもんだからお里が知れるぜ。この瞬間、このフロアに僕という歴史的な貧乏人が光臨していたもの。 そいでもって、大崎もあらかた高級ブランド品を買い漁り、山ほど持っていた現金をだいたい使い終わった所で「そろそろホテルに戻ろうか」という雰囲気になった。けれども、大崎のヤツが 「まって、最後にアクセサリー買うわ」 とか言いながらアクセサリーコーナーへ。そいで、なんかドス黒い紫色した石が連なった数珠みたいなアクセサリーを購入したみたい。うん、いっちゃ悪いけど、随分と趣味が悪かったぜ、あれは。 それでまあ、6000円ぐらいのその数珠を購入して、ご満悦のチンカス大崎。買う物買ったしこのままホテルに帰って空港に向かって帰国だぜってな雰囲気になったのだけど、アクセサリー売り場のオバちゃん店員がムチャクチャやり手なのよ。 さっき大崎が買った趣味の悪い数珠みたいなアクセサリーをプレゼント用に包装とかしてくれたんだけど、その品物を渡さないのよ。買ったはずの大崎に渡そうとしない。 それでまあ、大崎的には商品を受け取らないと帰れないじゃん。仕方なくオバちゃん店員の話を聞かなければいけないような体勢になっちゃって、オバちゃんはさらに趣味の悪いアクセサリーを売りつけようと大セールストーク。もうとてもスパークしていた。 なんか、どす黒い色の石がハート型になったネックレスを売りつけようとしてた。そりゃもう、堪能な日本語でペラペラとスーパーセールストーク。しかも、さっき買った商品を渡さずに大セールストークするもんだから、逃げるわけにもいかない。このババア、ハッキリ言ってかなりのやり手だぜ。 そんなハート型の趣味の悪いネックレスなど購入したくない大崎。というか現金は既に趣味の悪い数珠で使い果たしており、購入する金を持たない大崎。なんとか必死に 「いや、僕にはペンダントなんて必要ないっすから」 とか断るのだけど、それでもやり手ババアは諦めない。 「何言ってんの!彼女にプレゼントしたら喜ばれるよー」 とか言っちゃってるの。それを聞いて大崎も満更ではない様子。すっかりその気になっちゃって、「買っちゃおうかなー」とか言っちゃってる。ハッキリ言う、そんな悪趣味なネックレスをプレゼントしたら、恋が終わるぞ。 僕はその様子を、クレジットカードで購入した韓国海苔を片手に微笑ましく眺めていた。いつも僕のことを苦しめている大崎が、今はやり手ババアに苦しめられている。なんて素敵な光景なんだ。いけ!もっと苦しめてやれ、やり手韓国ババア。と一人でヒートアップしてると 「お兄さん、お兄さんもアクセサリー買わないかい?」 アクセサリー売り場にいたもう一人のやり手ババア店員2登場。しかも、僕を標的にロックオン。この金のない子羊を捕まえてどうしようというのか。 こうして、大崎と並んで熱烈セールストークをツインカムで受けることになった僕。それでもやっぱり大崎が受けているように褒めて褒めて買わせようとするお世辞商法ってのは気分が良くて、大崎みたいに「彼女にプレゼントすると喜ばれるよー」なんて言われるのかな、そいでもて僕もテレながら「いやー、そうっすかね」とか言っちゃたりしてな。なんて期待してると 「いやー、僕はアクセサリーつけないっすから」 とか答えると、やり手ババア2のヤツ。 「お母さんにプレゼントすると喜ばれるよー」 大崎→恋人にプレゼント ぶっ殺すぞ、クサレババア。 いくら僕が非モテな外観をしてるとはいえ、これはあんまりです。確かに大崎とかは色黒ナイスガイで恋人とかとっかえひっかえ、チンポが乾く暇ないぜってな感じですけど、これはあんまりです。僕だけ「お母さん」とかありえない。あんま調子に乗ってるとレイプするぞ、やり手クソババア。 そんなこんなで、僕は非常にご立腹し、なんとかセールストークを免れたのですが、大崎のヤツは趣味の悪いネックレスをカードで買ってました。彼曰く、「買うまで帰さないぞ、って雰囲気だったんだもん。数珠も向こうが握ってるし」とのこと。さすが金があるヤツは違います。僕だったらババアを殴り倒して数珠を取り返してでも買わないけどね。 そんなこんなで、悲喜こもごもの免税店も終わり、いよいよホテルに戻ってチェックアウト、空港に向かって帰国するのみ。意気揚々とホテルへと引き返すのでした。 ホテルに戻ると、ロビーには亡命する5秒前と言わんばかりの大荷物を抱えた上司が待機しており、早くチェックアウトして空港に向かうぜと言いたげな表情をしていました。 ですから、僕らも迅速にチェックアウトをするべく、ホテルのフロントへと向かうのですが、ここでは何も怖れることはありません。僕はもう既に前日にホテル代を全て支払っているのですから、これ以上金を取られることもない。物凄く堂々としながらフロントへと行きました。「チェックアウトしたいのだが」とか英国紳士の気品を漂わせつつ余裕で言ってのけた。 「部屋備え付けの歯ブラシと髭剃りの使用料、6,000ウォン(600円)頂きます」 大ショック! ホテル代は払ったというのに、それ以上に歯ブラシ代とか訳分からんもの請求されてる。6000ウォンぐらいポーンと払いたいところなんだけど、今の僕には所持金がない。全く持って所持金がない。 仕方なく恥を忍んで 「大崎さん、申し訳ないんだけど、6000ウォン貸してください」 と、物凄く貧しい気分でまたもや大崎から借金。エロ本を買うのに金を借りたというのに、さらに歯ブラシ代まで借りる始末。 それでもなんとか、僕のプライドを地に落とすことによって金を借りることができ、なんとか無事にホテルをチェックアウト。下手したらこのままこのホテルで働かなきゃいけなかと思ったぜ、歯ブラシ代のために働かされるとか可哀想過ぎる。 そんなこんなで、長い間お世話になったオンボロホテルを後にした一行は、上司の重い荷物をゴロゴロと転がしながら、エアポートバスの停留所まで歩くのでした。後は空港に行って帰国するのみ。 とまあ、バスの停留所に向かって歩いていたのですが、そこで途方もない事実に気がついてしまった僕。もう愕然として、帰国する気すらなくなってしまいそうな事実に気がついたのです。 バス代、持ってない 空港までのバス代、3500ウォン(350円)すら持っていないことに気がついてしまったのです。歯ブラシ代どころか、バス代すらないなんて人間としてどうかしてる。 それでもまあ、さすがに空港まで歩いていくと考えられず、バスに乗らないわけにはいかないので、またもや恥を忍んで大崎のウンコに借りることに。 「大崎様、申し訳ないのですが、バス代がございません。なんとか貸していただけないでしょうか」 もはやプライドなど、俺のプライドなぞエロ本代を借りる時に捨て去ったわ、といった勢いでまたもや大崎から借金。なんだか、だんだん借金をする感覚が麻痺していく。きっと、世の中のカード破産とかしちゃう人ってこういう感覚なんだろうと思う。 とにかく、大崎にバス代を借りないことには、帰国はおろか空港に行くことすらできないので、なんとか懇願して金を借りようとする僕。すると大崎のヤツは 「ん?バス代?わかった、バス降りる時に貸してあげるよ」 とか勝ち誇った顔で言いやがる。なんだか殺したいほどムカツクんだけど、なんとかバスには乗れるようなのでそのまま笑顔で「ありがとう」とか言いながらバスに乗り込む僕。僕にとっての大崎とは、ムカツクヤツなんだけど金を貸してくれるから切れないやつだ。まあ、早い話カネヅル、カネヅル。 そんなこんなでバスに乗り込んだ一向は、一路空港へ。散々な思い出を沢山プレゼントしてくれた済州島だけど、これが見納めだと思うと無性に寂しい。感慨深いキモチで車窓を流れる済州島の街並みを眺めていると、あっという間に空港に到着。 いよいよ、この島とも、韓国ともお別れか。と後ろ髪引かれる思いでバスを降りようとすると、目の前にはとんでもない光景が。 いや、大崎のヤツ、既にバスから降りてるし バスを降りる際に僕の分のバス代を貸してくれると固く約束した大崎。その大崎がシレッとバスから降りて満面の笑みで上司と会話してんの。 バス代払えねえし 僕だけ所持金がナッシングな状態でバスに取り残され、料金を回収するお姉さんが恐ろしい顔で近づいてきます。もはや絶体絶命。お姉さんには日本語も英語も通じないし、バス代がないなんて言ったら殴られそうな恐ろしい顔してる。このバス代回収のお姉さん、B子と同程度の恐ろしい顔してる。 「あ、いや、バス代ナッシング」 とかシドロモドロになりながら、意味不明の言語を喋っていると、バス代回収のお姉さんの表情は明らかに「はてな」というような、まるでウンコを踏みつけた時のようなしかめっ面になっていく。 その様子を不審に思い、バスの中に戻ってきた大崎のヤロウは 「なあだあ、キミはバス代すら持ってないのか、ホラ、払ってやるよ」 と、ムチャクチャ大声で言いやがるの。まだいくばくかの乗客がバスの中に残っていると言うのに、ムチャクチャ大声で僕を辱める大崎。言葉は通じないまでも、僕がバス代すら持ってなくて、大崎に払ってもらったことが、彼のオーバーアクションで全ての乗客に伝わってしまった。僕は良い笑いものだったぜ。 たぶん、ヤツが「降りる時に貸してやるよ」とワザワザその場で貸さなかったのは、あまりにも借金を繰り返す僕を、こうやって徹底的に辱めるつもりだったのだろう。こうやって僕に恥をかかせることで徹底的に嬲り者にし、優越感に浸るつもりだったのだろう。ホント、なんて嫌なヤツだ。もうコイツには金なんか借りない。 でもまあ、もう大崎に金を借りることもないだろう。帰りの飛行機のチケットも持ってるし、福岡に到着したら、広島に帰る用の博多-広島間の新幹線のチケットも持ってる。もう金を使う機会がないのだから、大崎に金を借りることもない。僕はもうプライドを捨てることなく、自由に大手を振って歩けるんだ。クソ大崎め、くたばれ! と意気揚々と空港内に入りますと、空港内には 「空港を使用される方は、空港使用料12,000ウォン(1,200円)を支払ってください」 とか物凄く流暢な日本語で書かれてました。 「あの・・・大崎殿・・・できれば空港使用料も貸していただけないでしょうか・・・」 そんなこんなで、やっとこさ飛行機に乗った僕は、長かった韓国滞在を終え、福岡へと到着するのでした。ちなみに、済州島-福岡のフライト時間は45分。ムチャクチャ近すぎる。 ありえないことが数多く起こった今回の韓国・済州島訪問。大崎に騙されて軍人の中で銃を撃ったり、バカ高い朝飯を食わされたり、エロ本を購入して大失敗したりカジノで全財産をすったり。 大崎、上司と共に過ごした珍道中ではありましたが、それなりに楽しかったことや感動したことなどもありました。 僕はこれまで海外旅行なんてほとんどいったことなく、ゴールデンウィークやらお盆やら年末にこぞって海外に行く人のことが理解できませんでした。なんでワザワザ貴重な休みを使い、金を使ってまでこの人たちは海外に行くのだろうか、と全く理解できなかったのです。 でも、実際に行って分かったのですが海外には驚くべき魅力があった。日本国内にいてはゼッタイに体験できないような数々の文化の違いや、その国の人の温かい息遣い、それらがなんとも魅力的だったのです。 それに、言葉が通じない異国で、一人で買い物ができたり、つたない英語が通じたりすると、なんとも感動する。自分だって異国といえどもなかなかやるじゃんって日常生活の中で小さな感動を手に入れられる。たかだか買い物ができたぐらいで感動する、日常生活の中で感動が得られるのは海外旅行ならではないかと。 沢山辱められ、ありえないほど貧しい思いをした今回の旅でしたが、そういった意味では行ってよかったと思います。できれば、もう一度、金をたんまりと持った状態で行きたいなと思ったり思わなかったり。 うん、とても素敵だった韓国・済州島は。 最後になりましたが、プライドを捨てて大崎に金を借りまくったのは、この旅唯一の汚点だったかもしれません。けれどもまあ、福岡についてしまえばこっちの物、もう金も借りなくて済むぜ、などと堂々と福岡空港を闊歩してましたら、どうやら、福岡空港-博多駅間の地下鉄の切符(250円)が必要だったらしく、日本円を持っていなかった僕は 「大崎様、できれば地下鉄代を・・・」 と、日本に戻ってまで懇願するのでした。 韓国旅日記 おしまい 几帳面で潔癖症と有名な後輩とズボラキングpatoさんのチグハグな会話。 「いやー、patoさんっホント、ズボラですよね」 「唐突に失礼なヤツだな。何で俺がズボラなんだよ」 「いや、だって。デスクの上とかムチャクチャ汚いじゃないですか」 「そうかあ?これでもまだ綺麗な方だぜ」 「まじっすか!?これで?」 「うん、今はまだ食べ残したカップラーメンが発酵とかしてないしな」 「でも、何をトチ狂ったのかしらないけど、プロ野球チップスやら弁当の食べ残しが鬼のように散乱してますね」 「まあ、これはある意味仕方が無いよな」 「他にも、コーラや爽健美茶のペットボトルがエライことになってますよね」 「ペットボトルはなあ、リサイクルに出すから捨てにくいんだよ」 「でも、なんで全部一口分ぐらい残ってるんですか?全部飲んじゃえばいいのに」 「なんでだろうな。癖だよ、癖」 「それにしても、ホント、ズボラですよね」 「何度も言うな」 「彼女とか何も言わないんですか?」 「知らん」 「なんか噂によると、彼女がpatoさんの家に来たのに、patoさんガスを止められてて、彼女を水風呂に入れたらしいじゃないですか」 「どっからそんな噂が出てくるんだ。そんなことありえん。まあ、ガスは止まってるけど」 「うわー、ひでー」 「いや、水風呂には入れてないって」 「自炊とかしないんっすか?」 「ズボラだからなあ・・・自炊はあんまりしないなあ。外食かコンビニ弁当だね」 「あ、自分でもズボラだってわかってるんだ」 「う・・・、ま・・・まあ、言葉のアヤだよ」 「でも大変っすね、ズボラに生まれちゃった人って。ゴミの中に埋もれて生活とかするんですよね。あと、電話料金の払込書をなくしちゃったり。生きるうえでかなり非効率的ですよね」 「いや、でもな、ズボラな人ってのは実はそれが一番楽なんだよ。自分がズボラだって分かってれば、非効率的でも割り切って楽しく生きていける」 「へえー、そういうもんなんですか」 「でもな、一番厄介なのが、俺みたいな好奇心旺盛なズボラ。というか、局地的なズボラ。これが一番たちが悪い」 「どういうのなんっすか、それ」 「まあ、基本的にはズボラなんだけどな。自分が興味を持った瞬間とか、思い立ったときは鬼のようなコダワリを発揮するんだ。けれどもズボラ」 「どういうのかちょっとわからないっす」 「例えば、さっきの自炊の話になるんだけど」 「はいはい」 「基本的にはズボラだから、めったに自炊なんかしないんだよ」 「うんうん」 「でもな、急に「今日は自炊しよう」とか、思い立つときがあるんだよ。まるで神の啓示かなんか見たいな感じで、急に自炊しようとか思うわけ」 「わ、なんか分かる気がする。patoさんそうですよね。急に思い立って、譲らないですよね」 「しかも、思い立っちゃったらもうお終いで、ズボラなくせに妙なこだわりを発しちゃったりするわけよ」 「分かる気がする」 「食材も鬼のように買ってな、カレーを作るんだったらルーを合成する段階から始めちゃったりするの。しかも一切の妥協を許さない」 「やっかいすね、それは」 「普段からこのパワーを発揮できるなら、なんだってできるんじゃねえの?ってな勢いで自炊するわけよ」 「確かにそのとおりですね」 「でもな、厄介なのはここからで、基本的には自炊をすることが目的なわけよ」 「ほうほう」 「だから、カレー作って食べちゃったらいつものズボラに戻っちゃうわけ」 「うわっ」 「皿も洗わない。使った鍋も洗わない。買ってきた食材のあまりも放置しっぱなし。炊いた米も炊飯器の中で放置しっぱなし」 「最悪ですね」 「1年間保温し続けた米がパンドラの箱みたいな状態でな、開けるのが怖かったんだよ」 「ちょっとしたホラーですね」 「開けたら米が炭みたいになってたよ」 「最悪ですね」 「でもな、もっと最悪なのが冷蔵庫にも入れずに放置した食材でな」 「野菜とかですね」 「そうそう、カレーを作るために買った、じゃがいもやらタマネギやニンジンなんか、これも徹底的に放置しちゃうわけよ」 「それで腐ると」 「そうそう、とんでもなくファンキーな臭いを放つわけよ。まあ、それでも捨てないんだけどな、ズボラだから」 「始末に終えないっすね」 「だから、アクティブなズボラってのが一番たちが悪いわけよ。普通のズボラなら自炊しようなんて考えないから、食器も汚れなければ炊飯器に米も無い。食材も腐らない。最悪、コンビニ弁当の容器がゴミになるだけだもん」 「確かにそうですね。ズボラならズボラに徹した方がいいわけですね。変にアクティブさを発揮するpatoさんのようなズボラが一番厄介なんですね」 「そうそういうこと。よくわかってるじゃんか」 こいった会話をした後、急に数ヶ月ほど前に自炊して放置しておいたタマネギの存在が気になった僕は、やっぱ腐ってるのかなあ、と思いながらアパートのキッチンに放置してあるタマネギを観察したのです。 タマネギは、4個買ってきて1個しか使われなかったらしく、3個がネットに入った状態で放置されていました。しかし、そのタマネギは、会話中に僕が言ったように腐っていたわけではなく タマネギから芽が出て、ネギみたいなものが生えてました。 ネットの中で発芽するタマネギ。その生命力には脅威すら感じます。 我がアパートのキッチンで、こんな劇的な生命力が織り成すドラマが繰り広げられているのに、全く気付かず「余った食材は腐ってる」などと発言していた僕。これもズボラさ故の事でしょう。つまり、厄介な順に列挙しますと ズボラ→自炊なんかしない アクティブなズボラ→たまに自炊をし、汚れ物などをためこむ アクティブで厄介なズボラ→さらに、余った食材を腐らせる 最悪のズボラ→タマネギがネギになる ということで。 それにしても最近の日本人は几帳面すぎます。綺麗に生理整頓されたデスクに、鬼のように身奇麗に整えられた外観。それではゼッタイに息が詰まってしまいます。どうでもいいことに思い悩み、思いつめ、精神的に病んでしまう。そんな几帳面な精神構造は自分を追い詰めるだけなのではないでしょうか。僕らはロボットではないのですから、そんなに全てをキッチリやるのは無理なんですよ。 もっと僕のようにズボラになって、気軽にだらしなく、ダラダラと生きていく。どんな深刻なことでも「ノープロブレム」。そこに幸せになるヒントが隠されているのです。 なんてもっともらしいことを言ったものの、本当は、周りが几帳面だと自分のズボラが目立って恥ずかしい。できることなら、みんなズボラになってくれればいいのに、というのが本心ですが。 出血熱のようにズボラが感染してくれないかなあ、と汚いデスクの上で思う今日この頃なのです。 一億二千万人全てがタマネギをネギに変える日が来ることを祈って。 スクリーンセーバー。 パソコンの画面などで、長時間操作をしないままにしておくと勝手に動きのある画面に切り替わる機能がある。これがいわゆる「スクリーンセーバー」と言われる機能であり、画面を焼きつけなどから守っているのだ。 CRTディスプレイなどは、長時間同じ画面を表示させたままにしておくとその画面が焼け付いてしまうことがある。画面を動かしているというのに前の画像が薄っすらと残像のように残ってしまうのだ。衝撃的な場面は目に焼け付いて離れないという人間の思考に似た部分がある。 銀行なんかにある古いATMのマシンを見てみるとたまにあるのだが、鬼のように長時間同じ画面を表示させているために、すっかりと画面が焼け付いているものがある。 こちらはもう「暗証番号の入力」まで進んでいるというのに、画面には薄っすらと「お振り込み」だとかのボタンが残っていたりするが、あれはなんとも不気味なものだ。 そういった画面の焼け付きから愛すべきPCの画面(スクリーン)を守る(セーバー)のがスクリーンセーバーの役割だ。同じ画面をずっと表示させないよう、動きのある画面を表示させるのだ。 ちなみに、僕自身は意味不明にパイプがウニョウニョと伸びるスクリーンセーバーがお気に入りで、たまに廃人のごとくその様子を数時間眺めていることがある。ポッカリと口を開けてパイプが伸びるスクリーンセーバーを眺めている様は圧巻で、「おい、またpatoさんがトリップしてるぜ、こえー、ヨダレでてるべ」「しっ!あんまり見るな、目が合ったら殺されるぞ」などと職場で陰口を叩かれるほどだ。 それにしても、いつも思うのだが、たかがパソコンの画面ごときをそこまで過剰に守る必要があるのだろうか。焼け付かないように動きのある画面を表示させてあげよう、なんて過保護もいいところ。 ハッキリ言ってしまえば、パソコンの画面なんて人生においてそこまで必要なものではない。壊れたのならば新しいのを買えばいいし、パソコンを全く使わないという選択肢もある。何も「キミ(ディスプレイ)じゃないとダメなんだ、他の相手(ディスプレイ)なんて考えられない」と、ディスプレイに対して人生の伴侶的な思想を抱いている人もいないだろう。むしろ、いるほうが怖い。 そんな、たかがパソコンの画面ごときを必死で守ろうとする様は、見ていて非常に滑稽であり、奥ゆかしくも面白く思うわけなのです。たかがパソコンの画面、そんなに必死に守ってどうする。 絶望的といえるほど低迷した日本経済。抜け道の見えない平成大不況。リストラの影におびえつつ、タバコを吸えば7月から増税。唯一の心の拠り所である発泡酒すらも増税。病気になったらなったで医療費負担の増額。と、生きることのほうが難しいと言われる現代。そんな時代を必死に生き抜き、ストレスを溜め込んで焼け付き寸前の僕らにこそセーバーが必要なのではないだろうか。 チンケなPC画面ごときを守るスクリーンセーバーではなく、自分自身を焼け付きから守る「俺セーバー」が必要なのだ。 そんな与太話はどうでもいいとして、スクリーンセーバーの話に戻るのだが、読んで字のごとく画面を守ることがスクリーンセーバーの役割であるはずなのだが、最近はちょっと様子が異なるらしい。 CRTディスプレイが昔ほどヤワではなくなり、焼け付きが起こり難くなったことや、焼け付きの起こらない液晶ディスプレイが普及したこともあり、パソコン画面を焼け付きから守るという本来の使命を失いつつあるのだ。 そうなってくると、スクリーンセーバーはファッションの産物でしかなくなり、自分の好きなアイドルの画像をスライドで表示させたり、カッコイイ動画をエンドレスで流したりし、それを眺めて悦に入るのが主目的となってしまうのだ。 僕の隣の席に座る後輩などは、とてもアダルトビデオが好きらしく、エロビデオの名場面集をスクリーンセーバーにするという剛の者で、彼が席を外すたびに起動されるスクリーンセーバーは、女優がとんでもないアクロバティックな体位で身悶えている映像やら、とんでもなくミルキーな液体をドロロとぶっかけウドンみたいにされてる映像やら、とても職場での正視に耐えない代物。ヤツが席を外すたびに興奮して仕事どころではない。 しかしながら、いくらCRTディスプレイの性能が向上し、画面への焼け付きが少なくなったとはいえ、そこはやはりCRTディスプレイ。とんでもなく長時間同じ画面を放置していれば、当然ながら焼け付きは起こる。 件のエロ画像をスクリーンセーバーにしていた彼、ちょっとばかり長期出張でオフィスを離れていた際に、スクリーンセーバーがあるから大丈夫だろうとパソコンを起動したまま出かけてしまった。 何週間も電源入れっぱなし、しかもスクリーンセーバーが起動して次から次へとフェラーリしている画像やら、とんでもない破廉恥な画像が表示される。オフィスの人間にも地球環境にも影響著しい。 普段なら30秒隔位でスライドのように入れ替わるエロス画像。そのようにして画像を切り替えることによって画面を焼け付から守っているのだが、悪いことに彼のパソコンがフリーズしてしまった。なにやら、巨乳な女性が男性に馬乗りになっている画像を表示したままパソコンがフリーズ。 そして、誰もそれに触れることなく数週間が過ぎた。 帰ってきた彼が、パソコンのフリーズを解き放ち、マシンを再起動させると「WindowsXP」と表示されるはずの画面には、あられもない馬乗り巨乳女性の画像が残像のように。 プレゼンテーション用の書類を作っていても、取引先にメールを打っていても、画面には馬乗りの巨乳女性。恍惚の表情で腰を振る女性の画像が。これではもはや、僕も彼も仕事にならない。 まるでファッションのように自分好みのスクリーンセーバーを選択し、スクリーンセーバーがあるからと安心しきっていた故に引き起こされた悲劇。これだからスクリーンセーバーは厄介だ。 さらに、スクリーンセーバーを巡る悲劇は終わらない。 僕のデスクの斜め後ろには、山岡さんというナイスミドルのデスクがある。彼は非常に誠実で、僕よりも随分と年上で人生経験も豊富、もちろん妻子だっている。仕事に対する姿勢が僕らのような独り者とは違う。彼は仕事に対して妥協を許さない。 そんな山岡さんのデスクにあるパソコンにも、やっぱりスクリーンセーバーがあったりなんかして、山岡さんが席を外す度になにやら画像がスライドのように表示されている。 しかし、その画像は僕の隣の席の後輩のように低俗なエロス爆発のものではなく、格調高く山の写真だとか海の写真だとか心の落ち着くような風景写真。 そんな山岡さんは、やはり仕事の鬼なわけだから席を外すことが多く、その格調高いスクリーンセーバーが表示される機会が多い。 僕はちょいと仕事の手を休めて、そのスクリーンセーバーを眺めていると、やはり素晴らしく格調高く、良い風景の写真が次々とスライドのように表示されて心が和む。 うっとりとしながらそれらの画像を眺めていると、一枚だけ明らかに浮いている画像に切り変わった。 多くの風景画像の中で、一枚だけ人物画像。頭の悪そうな小汚いクソガキが、アホ面さげて水浴びをしている写真。格調高い風景写真の中で、この画像だけがなんとも異様。 あまりに異様なものだから、ついつい隣のエロ後輩に向かって言ってしまった。 「なんで山岡さんのスクリーンセーバは、格調高い画像ばかりなのに、あの一枚だけ頭の悪そうなクソガキなのかな?」 それを聞いて後輩が何かを答えようとしたその瞬間、別所で仕事を終えてオフィスに帰還してきた山岡さんが後ろに立っており、全ての会話を聞かれてしまった。 そして山岡さんは悲しそうに答える 「これ・・・私の息子の写真なんです。ごめんなさいね、小汚い頭の悪そうなクソガキで・・・」 落ち着いて淡々と言う山岡さんの声は明らかに怒りで震えており、殺意の波動に満ち満ちていた。 物凄くバツが悪い。 それ以来、山岡さんは何かと息子の話をするときは「私の頭の悪い小汚い息子がですね・・・」と嫌味っぽく枕詞をつけるようになった。それを言われるたびに「あんなこと軽はずみに言うんじゃなかった」と僕は心にストレスを溜める。 山岡さんの執拗な皮肉&嫌味攻撃。隣の席のエロ後輩の画面には恥ずかしげも無く馬乗り巨乳女性が表示されている。心なしか焼け付き度が少し上がったように感じる。この二つの事象で、すっかりと僕の精神はズタボロにされてしまった。 全ては、パソコンの画面を守るだとか、お気に入りのスクリーンセーバーを表示させるファッションセンスだとか、そういったチンケな目的で搭載されているスクリーンセーバーが悪い。 スクリーンセーバーさえなければ、皮肉を言われることも、精神衛生上よろしくない画面が表示されることも無い。僕の精神を圧迫されずに済むというのに。 やはり、チンケなPC画面ごときを守るスクリーンセーバーではなく、これらの圧迫から僕を守る「俺セーバー」が必要なんじゃないだろうか。じゃないと僕自身が焼け付いてしまう。 我がNumeriもいつのまにか70万ヒットを突破し、なにやら1ヶ月に10万の勢いでカウンタが回っております。この調子で推移しますと、どうやら8月か9月ごろには100万ヒットを達成しそうです。 100万ヒット達成の暁には、以前から公言していたとおり「サンクスヌメラーズウィーク2」という大感謝企画を行う予定です。 このサンクスヌメラーズウィークという企画は、まあ、1週間の間中に狂ったように普段やらないような企画を濃密にやっていくものです。昨年の8月下旬に行って以来、あまりの過酷さ故に封印していた企画なのですが、さすがに100万ヒット大感謝祭ならば封印を解かざるを得ないわけで、死ぬ気でモリモリやってみようかと思います。 さてさて、昨年のサンクスヌメラーズウィークですが、行った内容は「代打日記祭」「カキモノ祭り」「リクエスト祭り」「ラジオ放送」「リアルタイム更新」と狂おしいばかりの企画の連打。代打日記を24本一気に書いたり、カキモノを一挙に3本アップしたり、55時間で1000回更新したりと、親が見たら本気で心配するほど更新しまくっていました。 しかし、今回行うヌメラーズウィーク2はさらにパワーアップ。狂おしいまでにキチガイ企画を連打して、さらに寿命を縮めようかと思っています。というわけで、おそらく今年も8月下旬頃に行われるであろう「サンクスヌメラーズウィーク2」。まさにヌメラーさんのための1週間、存分にお楽しみください。 そいでもって、今回は「サンクスヌメラーズウィーク2」の告知と参加者募集のお知らせでございます。狂おしいまでの企画の数々、どうぞお気軽にモリモリと参加してやってください。ヌメラーさんのための企画ですから。 サンクスヌメラーズウィーク2 企画草案 企画1 「ぬめっ娘。プロジェクト」 アイドル狂いpatoさんがついにアイドルグループのプロデュースに乗り出します。ヌメラー婦女子数名で形成される「ぬめっ娘。」を全面的にバックアップし、精力的に各レコード会社に売り込んだり、手売りしたりします。CDデビューできる保証はどこにもありませんが。 そこで、この企画ではぬめっ娘。のメンバーを募集します。10歳から42歳までの心身ともに健康な女性で、ちょっとやってみようかな?という方は是非とも応募してみてください。名前、年齢、居住地、簡単なプロフィールを沿えてp1bgm@polka.plala.or.jpまで。サブジェクトは「ぬめっ娘。メンバーオーディション係」としてください。 ちなみにデビュー曲の歌詞は既に完成しています。タイトルは「女の子のホンネ」です。この歌詞にピンときた女性は是非とも応募してみてください。
募集項目 ぬめっ娘。メンバー 曲をつけてくれる人 振り付け師 衣装デザイナー メイクさん 企画2 「ぬめぱと変態レィディオ24時間スペシャル」 あのクサレ変態ネットラジオ企画が帰ってくる。24時間ぶっとおしで喋って喋って喋りまくるクレイジーラジオ。もちろん、「心霊スポット訪問 VS首なし地蔵」や「過去の心霊スポット訪問のハイライト」、「深夜のpatoさんクッキング」「お風呂ラジオ」「オナニーラジオ」など、キチガイ的企画が目白押し。注目のあの人やあの人とジョイントするコーナーもあるかも。 企画内容が完全には確定していませんので、皆さんにはラジオでやって欲しい企画などを募集したいと思います。どんなことをラジオでやって欲しいのか明記してp1bgm@polka.plala.or.jpまで。「ラジオ企画係」と明記してください。 募集項目 ラジオの企画内容 企画3 「カキモノ祭」 もはやこういった企画のときしか新作が出ないカキモノですが、ヌメラーさんに高評価を頂いている「ひとりDEシリーズ」「対決シリーズ」「ヌメラーからの挑戦状」の新作が登場します。 企画4 「代打日記祭」 前回24サイト様に書いていっせいにアップしてもらった代打日記祭。何処のサイトに行っても僕の日記があるというヌメリジャック状態になりました。そして、今回も他サイト様のヌメリジャックをやります。 注意点としましては、指定する日に代打日記をアップできる方。どんな日記が送られてきても受け入れることの出来る方。サイトの雰囲気が一変しても構わないという方に限らせていただきます。 僕の日記で貴方のサイトを徹底的に汚してみませんか? 希望する方は「サイトURL」「サイト名」「どんな日記を希望するか」を明記してp1bgm@polka.plala.or.jpまで。「代打日記係」と書いてください。 募集項目 参加サイト様 企画5 「トップ絵祭」 各地で天才鬼才過積載と評判のpato画伯の絵画展。繰り出される数々の常識にとらわれないトップ絵は、まさにトップ絵のルネッサンス。貴方のサイトを画伯のソウルフルな絵で飾ってみませんか。 希望する方は「サイトURL」「サイト名」「どんなトップ絵を希望するか」「指定サイズ」を明記してp1bgm@polka.plala.or.jpまで。「トップ絵係」と書いてください。 企画6 「マイ芸能人ランキングスペシャル」 詳細は秘密。 企画7 「リアルタイム更新4 −死亡遊戯−」 詳細は秘密 というわけで、あまりに狂おしい数々の企画、もうここまでやることは無いと思うので、是非とも皆さんモリモリと参加してやってください。代打日記100本とか書かせて皆でpatoさんを殺そう! とりあえず、全ての募集の締め切りは定めませんが、特に予告無く突然募集を打ち切る場合がありますのでお早めに。 ヌメラーズウィークの日程は決定次第また告知いたします。 みなさんの気さくな参加を心待ちにしております。それでは。 6/9 グループ交際 グループ交際。それは甘く切ない禁断の果実 山田なんか、見ているこっちが恥ずかしくなるほどはしゃいでいる。
仕事で来ているとはいえ、めくるめく楽しい海外旅行になるはずだった今回の訪韓。しかしながら、蓋を開けてみると、所持金が鬼のように無くなるわ、大崎に騙されて軍人教育を受けるハメになるわ、非常用の金もカジノで使い果たすわ、ともう散々な状態に。ハッキリ言って、ひとかけらも楽しさを見出せない。オマケに宿泊してる部屋では怪現象が起きるし、もう泣きたい。そんなこんなで失意のまま韓国の夜は更けていくのでした。 23日 国際会議 この日、朝から夜までぶっ通しで今回の出張のメイン目的であった国際会議が終了する。そして滞りなく閉幕。これでもこれ以上韓国に留まる理由はなくなった。後は次の日の朝一番の飛行機で帰国するだけだ。 この日の国際会議終了記念打ち上げは非常に盛り上がり、宿泊しているホテル近くの焼肉屋で鬼のように飲んで食った。大崎が肉を食し、上司が焼酎を飲む。そして金を持たない僕が夜中に空腹になった時用に肉を袋に入れて持ち帰る。とにかく暴飲暴食という表現がふさわしい乱れっぷりだった。 無事打ち上げも終了し、お会計の際に所持金0ウォンのpatoさんがトイレに消えるという荒業を披露。なんとか上司と大崎に支払わせることに成功すると、そのまま韓国は済州島の涼しい夜風に吹かれながらホテルへと徒歩で帰るのでした。 「あ、そうだ。ちょっとコンビニに寄ろうよ、飲み物とか買いたいんだ」 殺したいほど爽やかな笑顔で言い放つ大崎。彼は僕の所持金が0ウォンであることに薄々勘付いていながら、それでもコンビニに行こうと言いやがるのです。たぶん、金がないので陳列されている商品を指をくわえてみているだけの僕を徹底的に辱めようとしているのです。 「じゃあ、2人でコンビニに行って来い、ワシは先にホテルに帰ってるから」 とウンコ上司が言い放ち、ホテルへの道を一人でトコトコと歩いていきました。どうやら僕と大崎が2人でコンビニに行くのは確定のようです。 そんなこんなで、この韓国旅日記の序盤戦に登場した異様に屋根がゴージャスなファミリーマートに大崎を伴って行ったわけです。 やはり、何処の国でも、まるで神社仏閣のような建物のファミリマートでもファミリーマートはやっぱりファミリマートで、夜中でもシッカリと営業してやがる。なんだか24時間営業みたい。 それでもまあ、さすがに店内は日本のコンビニのそれとは若干趣が異なっておりまして、異様な雰囲気を醸し出しておりました。 まず、日本のコンビニにおいては無くてはならない存在である雑誌コーナーがありません。基本的にはお菓子や弁当や飲み物などは日本と同じように販売しているのですが、観光地だからでしょうか、お土産なんかを売っている始末です。 お金が無い僕は、韓国の雑誌なんかを立ち読みして大崎が買い物するのを待っていようと思っていたのですが、雑誌コーナーが存在しないという大誤算。これではどうしようもありません。 莫大な資本力を発揮し、お菓子やらビールやらを次々とカゴに収めていく大崎を尻目に、当ても無くフラフラと店内を徘徊することしかできませんでした。 ここでチョロッと大崎に「金貸してくれない?」などと恥を忍んで告げれば、大好きなコーラやら韓国のお菓子などを購入することができるのですが、一人前の男としてそれをやってしまっては負けです。金を借りるということはソイツに屈するということなのです。憎き大崎相手にそれだけはやってはいけない。 とにかく、早く大崎の買い物が終わらねえかな、と店内を徘徊しておりましたところ、店舗の隅に異常に怪しいコーナーが。目立たないような片隅に数冊の雑誌が陳列されているのです。 急いで駆け寄った僕は、その雑誌たちを手の取ってみてみると、立ち読み防止のためか外面がビニールに覆われていて中を窺い知ることはできませんが、表紙は紛れも無くセクシャルな写真。しかもハングルで書いてあるので意味が分かりませんが、とにかくポップな字体が踊っているのです。 そう、これは紛れも無く韓国のエロ本。 きっと、このハングル文字も「アナルセックス」だとか「How to 放尿プレイ」だとか破廉恥な言葉に違いありません。 なんてこったい、こんな場所でエロ本に遭遇するとは。 思い返してみてください。出発前、福岡空港でエロ本を購入しようとした僕。旅のお供にエロ本を携えてオナニーに用いようとしたのですが、上司のスリップストリーム作戦を食らってしまい購入を断念したのです。そしてそのままノーエロ本のまま異国へと旅立ったのです。 それからは大変でした。生まれて物心ついてから今まで、エロ本やらエロビデオ、エロ動画ファイルなどのエログッズに触れないまま過ごしたことが無い僕にとって、たとえ数日と言えどもエログッズなしで過ごすのは苦行以外の何者でもありませんでした。 オナニーだって韓国に来てから一度もやっていません。このままでは汗や唾液が精液になるのではないかと心配になるほど禁オナニー状態でございました。全てはエロ本を携帯していないことから始まった悲劇なのです。 しかし、神は僕を見捨ててはいなかった。 ノーエロ本の迷える子羊に、こんな異国の片田舎のコンビニ、しかもその片隅でエロ本に再会させてくれたのです。まさに劇的なエロ本との遭遇。神様もなかなか憎い演出をするものです。 ととととととととにかく、このエロ本を購入しなくてわ!! せっかくの神様のお導き、これはもう僕にはエロ本を買う義務がある。買う使命がある。所持金が0ウォンだとか、ビニール張りだから内容を確認せずに買わねばならないだとか関係ない。とにかく買わねばならない。 「大崎様、申し訳ないですが4000ウォン(400円)貸していただきたい」 エロ本欲しさのあまりファミリーマート店内で大崎に屈する僕の姿がありました。なんという屈辱。なんという敗北感。 「ん、いいよ。4000ウォンぐらい。貸してあげるよ」 明らかに勝ち誇った顔で言いながら、投げるようにして4000ウォンを手渡してくる大崎。何という屈辱。なんという敗北感。 今や地の底まで落ち果てた僕のプライドと引き換えに、ついにエロ本を購入。借りた4000ウォンで4000ウォンのエロ本を購入する。いやはや、韓国は消費税とかないから素晴らしいね。 ハングルだらけで意味がわかりませんが、陳列の怪しさ、表紙のセクシーさ、そしてビニールで覆ってるという意味深な行動、全てがこの雑誌がエロ本だということを物語っている。 これは見紛うことなきエロ本であると確信し、意気揚々とレジへ。そして、4000ウォン(400円)を支払い購入します。 ホテルに帰るまでの道中、もう夢見心地でした。一時はもうダメかと諦めていたエロ本。それを今まさに手にしている。しかも韓国のエロ本。異国のエロ本。きっと中には韓国娘たちのあられもない姿や痴態がモロンと載せられているに違いない。 「ゆっくり歩いて帰ろうよ」 という大崎の言葉なんか耳もかさず、競歩の様な早歩きでホテルへと向かいました。 そして、ロビーで大崎と別れ、いよいよ我が部屋へ。カードキーを挿し部屋のドアを開け、物凄い勢いで部屋の中へと入ります。 部屋に入った瞬間、もうエロ本を袋から出すのが早いかチンコを出すのが早いかといった按配で既に臨戦態勢。もう思いっきりオナニーしちゃうぞー、と荒ぶる神々のような神々しさでエロ本のビニール袋を破ったのでした。そして、弾む心を抑えつつ、ついにエロ本のページを開いたのです。 文字だらけのエロ本! 多分、エロ小説! 全頁がビッシリとハングルで埋め尽くされているんですよ、奥さん。 すっごいエロい事が書いてあって興奮することは請け合いの内容なんだろうけど、全部ハングルなので意味が分からない。これではエロ本として全く機能しない。若干エロスな挿絵があるものの、オナニーウェポンとしての破壊力に乏しい。 しかも、内容がエロ小説っぽいなら挿絵で若干は興奮できるものの、読み進めていくと全然エロとは関係ない内容に。 なんで心臓の絵とか、ゴルフしながら苦しむ人の絵とかあるのか意味が分かりません。もしかして、この本はエロ本じゃないのか。 内容も見ずにエロ本を買うことがどんなに危険か。どんなリスキーか痛感する僕ですが、それでもめげずに、なんとかエロティックなネタが無いものかとページをめくっておりますと やはり日本も韓国もエロ事情は同じのようで、こういった電話番号を掲載したエロっぽい広告が多数載せられているのです。多分、ここに電話をかけると女性出会えるかもよ! という日本でもおなじみのツーショットダイヤルなどの有料出会い系サイトの広告だろうと思います。 こういった、エロ広告を見ながらオナニーをすることは可能です。上の画像も乳とか出てますしね。少なくとも読めないハングルのエロ小説よりはマシですので、この広告の写真を使ってオナニーしてやろうと読み進めていたのですが こんな広告が。 多分、ここに並べられたような女性と出会えるぜ! みたいなノリの広告だと思うのですが、並べられている女性があまりにも酷すぎる。この並べ方自体も昔の「ラストチャンス 恋人選び」を思い出すようで嫌だ。分かりやすく拡大してみると 上の段の右から1番目、三番目、五番目が特に酷い。こんなクリーチャーを出会い系サイトに載せるな。 でまあ、この写真によってすっかり僕と僕自身が意気消沈してしまい、全く持ってオナニーする気ナッシング。あえなく韓国オナニーは断念することになったのでした。 プライドをドブ川に捨て、恥を忍んで大崎に金を借りてまでして購入した韓国エロ本。全くオナニーウェポンとして機能せず、ただただ4000ウォンをドブに捨てる結果になったのでした。 遠い異国、韓国の地でベッドの上に涅槃型で寝転び、イチモツを握り締めた状態で似非エロ本を読む僕は、ハッキリ言って敗者でした。あまりにも頭にきたので、その日はチンコを出した状態で眠ってやりました。失意のまま韓国で過ごす最後の夜は更けていったのです。 つづく いよいよ韓国編は次回で最終回。帰国 大崎策略編に続く。 出張で千葉は船橋のホテルに宿泊したのですが、なんか夜中に眠れなくてどうにもこうにも悶々として、急に暴れたい気分に駆られました。 さすがに暴れたいから暴れるなんていう今時の17歳ではありません。僕だってもう今年で27歳になります。とにかくここは堪えどころ。我慢して寝なければ。 と思ったのですが、何度も何度も寝返りをうつばかりで一向に眠れない。仕方ないので部屋を出てホテルの廊下で涼みながらタバコを吸っていました。 チーン するとエレベーターが停止し、中から豹柄の服を身にまとった、香水の臭いプンプンの女性が出てきました。明らかに食事をした回数よりもおセックスの回数のほうが多そうなセクシャルな女性でした。たぶん、局部に穴の開いたパンティエとかはいてると思う。 こんな時間に、こんなビジネスホテルにセクシャルな女性が到来するなどデリヘル以外に考えられません。デリヘルとはホテルや自宅などに電話一本で女性が宅配されてきてヘルシーなサービスを行ってくれる新時代の風俗サービスです。もう、チュッパチャプスとかすごいらしいよ。 ちくしょー、誰かこのフロアのヤツがデリヘル呼びやがったんだな。とか思っておりますと、そのデリヘル嬢 上司の部屋に吸い込まれていきました。 あの、上司が。出張で鬼嫁の目が届かないのをいいことにデリヘルをオーダー。羽目を外してチュッパチャプス。くわー。 普段なら、なんて羨ましいんだと妬んだり、威厳ある上司の落ちぶれる姿を嘆いたりするのですが、そんなものを超越した感情が沸き起こりました。 だって、そのデリヘル嬢、花田勝(若乃花)みたいだったのですもの。 デリヘル呼んで、ドア開けた瞬間に花田勝が立ってたら死にたくなるよ。しかも、豹柄とかのセクシャル衣装を身にまとった花田勝だからね、それだったら本物の花田勝が来た方が幾分マシ。 とにかく、妬みだとか嘆き悲しみだとかそういったのを超越して、とても楽しい気分になりました。だって、あのウンコ上司がデリヘル呼んで、しかも花田勝だぜ。これを笑わずして何を笑うって感じだよ。 部屋に戻って布団に包まって、病気じゃないのというぐらいに大笑いした僕は、笑い疲れてグッスリと眠ったのでした。 先週末もオフ会で東京に行ったというのに、今週末は出張で千葉県は船橋にやってきております。しかも、ウンコ上司と二人っきりのランデブーで。なんか一ヶ月に10回ぐらい飛行機に乗ってるような気がします。 別に移動する手段として自転車を欲していたわけではございません。もうその時は既に車を所有しておりましたから、移動手段に困っていたわけではありません。ただ、寂しい独り暮らしのパートナーとして自転車が欲しかったのです。 独り暮らしといえば自転車。自転車といえば独り暮らし。木漏れ日溢れる並木道を走りぬけ、日の当たる坂道を自転車で駆け上る。もちろん、カゴにはフランスパンとか入れてな。それこそがザ・シングルライフなわけなんですよ。とにかく、よくわからんけど、自転車を欲していたわけなんです。 その当時、実家で普通に高校生をやっていたマイ弟は、なにやらファッショナブルな小洒落た自転車に乗っていたわけよ。メンズノンノとかに出てきそうなオサレな自転車よ。そういつをな、盗んでやろうと思ったわけだ。 それでまあ、片道3時間もかけて車で実家に帰省。弟の愛する自転車をパクるためだけに帰省。実家に帰って親孝行するわけでもなく、旧友と遊ぶでもなく、ただ窃盗を働くためだけに帰省。 それでまあ、3時間かけて実家に着いたわけだ。家の前には何も知らずに弟の自転車が停めてある。 本当に自転車を盗むためだけに帰省した僕は、実家の門を叩いて「ただいま」というわけでもなく、ヒタリヒタリと足音を殺して実家に近づく。月夜の晩にコソ泥気分で実家に接近する長男。こんな長男何処探したっているわけない。 それで、見事に自転車を担いで運び出したわけだ。ガッコリと自転車を持ち上げて、駐車場の自分の車の場所まで移動。今思えば、別に担がなくても自転車なんだから乗っていけばよよかったと思う。 それで、当時はハッチバック式の乗用車に乗ってたから、車の後部ドアを開けて無理やり車の中に自転車を押し込んだ。ちょっと、どう考えても容量的に無理があって、どうあがいても自転車なんて積み込めないような車だったのだけど、シートを倒したりして無理やり載せる。 もう押し込みすぎて、自転車の前輪とか助手席のあたりにあったからね。しかも無理やり入れたから、カゴとかひん曲がってた。 やっとこさ自転車の積み込みを終えると、あとは逃げるだけ。とにかく目撃者とかが出ないうちに逃げ出したい一身で車のエンジンをかけた。 すると、ちょうどそこにタイミング悪いことに、深夜のロードワークを終えた弟が息を弾ませて帰宅してきた。 遠い地で独り暮らしをしていて帰ってこないはずの兄が帰ってきてる。しかもなんか、月明かりの中コソコソと自分の愛する自転車を盗み出そうとしている。無理やり車にねじ込んで持ち去ろうとしている、どんな兄貴やねん。 「あ、まてー!」 弟がそう叫ぶや否や、足早にフルスロットルで車を走らせる僕。ココで捕まっては片道三時間もかけて帰省してきた意味がない。とにかく逃げなくてはならない。とにかく、ホイルスピンとかしそうな勢いで猛ダッシュで車を走らせた。たぶん、車が走った跡が炎で残るぐらいのスピードだった。 弟はキチガイのように足が速いヤツで、小学校とか中学校の運動会ではいつも一番だった。そんな俊足の弟が逃げる僕の車を「自転車返せ〜」とか泣きながら追いかけてくるのだけど、どんなに俊足だろうと車に敵うわけがない。とにかくグングンに引き離して逃亡したね。 「ぼ・・僕の自転車・・・」 そう叫びながら顔をクシャクシャにする弟の泣き顔が月明かりに照らされてバックミラーに映り、そしてグングンと遠ざかってくる。走っても走っても遠のいていく兄の車。そしてついに彼は諦めてしまい、道路の真ん中に座り込んでしまったのだ。そして、愛しの自転車を載せた兄の車は闇夜へと溶け入ってしまうのだった。 このように美しいドラマがあって手に入れた自転車なわけなんですよ。この自転車には僕の片道三時間の帰省、そして弟の涙が詰まってるのです。ですから、錆びてボロボロになったとはいえ、おいそれと捨てるわけにはいかないのです。兄弟愛満載の捨てるに捨てれないメモリーってやつです。 で、天気もいいことですし、その兄弟愛の象徴とも言える自転車に乗って出勤しようとしたわけなんですよ。 アパートのドアを開け、まぶしい太陽の光を浴びながら、アパートの自転車置き場へと向かう。背中にはいつものリュック。そして、手には朝食代わりのコカコーラ。なんとも気分良く自転車置き場に近づきましたところ、 ガツンガツン!! なんだかものすごく無骨な音が聞こえてくるんですよ。硬いものと硬いものをぶつけ合ったような、少し心を不快にさせてくれるような金属音が自転車置き場から聞こえてくるんです。 なんだなんだ、鋼鉄のような性器を持つ男女が自転車置き場で隠れて性交でもしてるのか? と急いで自転車置き場に行きましたところ 外国人が僕の自転車を盗もうとしてました。 なんか、スーパーマリオみてえな外国人が、僕の自転車を盗もうと、鍵の部分を石でガッコンガッコンと叩いていました。なんて荒っぽい技を使うマリオなんだ。 僕と弟の兄弟愛が詰まったジャックナイフ号。それを盗もうとするスーパーマリオ。しかも、石をガンガンとぶつけて鍵を壊そうとする乱暴な方法で。 もうこれにはご立腹したね。いたくご立腹した。 「こらっ!」 とか、まるで新妻が1歳半の子供を叱るような口調で叫んでた。なんやねん、コラて。もっと叫ぶ言葉があったろうに。 でもまあ、悪事を働いているマリオに僕の叫びは効果覿面だったらしく、なんかビクッとした後に、持ってた石を放り投げて一目散に逃げ出しよ。何故か、手にマイ自転車のサドルだけを持って一目散に逃げ出した。 僕と弟の兄弟愛が詰まった自転車のサドルを盗まれてはたまったものではございません。とにかく、盗んだサドルで走り出すスーパーマリオ外国人を追いかけましたよ。 まてー! とか叫びながら追いかけたのですが、このスーパーマリオ外国人、とにかく足が速い。ずっとBダッシュしてるんじゃねえの?と疑いたくなるほどに早い。そのうちジャンプしたら何もないところからコインと共にブロックとか出てくるかもしれん。それほどに彼の走りはスーパーマリオだった。 そんな超人を追いかけるなんて不可能な話で、息が切れてしまった僕はついに追跡を断念。 兄弟愛が山のように蓄積されたマイ自転車ジャックナイフ号。その自転車のサドルだけを盗まれてしまった僕は、道路にへたり込んでただただ泣くのみなのでした。 今でも、サドルのないジャックナイフ号が悲しそうに自転車置き場で佇んでいます。僕は、その姿を見るたびに弟との兄弟愛を思い出して悲しい気持ちになるのです。 サドルだけとはいえ、人の自転車を盗むやつなんてロクなもんじゃねえ。1回死んだ方がいいよ。 6/4 韓国旅日記-Part 5- 韓国Numeri &カジノ 見た目は色グロナイスガイの男前、中身は資本主義で肥え太った醜悪なブタ、そんな大崎に騙されて独りで本物の拳銃を撃ちに行った僕は、そこで軍国韓国の厳しさを目の当たりにするのでした。 22日午後 国際会議 そうそう、なんか観光ばかりしていましたが、別に遊ぶために訪韓したわけではありません。真の目的は国際会議に出席することなのです。ここかまではマッハの勢いで少ない所持金を減らしていきましたが、ここからは違います。真面目に国際会議に出席するのですから、持ち金を減らしようがない。 そんなこんなで、午後は○○と国際会議に主席。異国の人々と交流し、自分の仕事においてもとてもグローバルな意見交換をすることができました。 ここは本当に真面目に仕事してましたので、ネタらしいネタもございませんでした。僕は元々、そんなに不真面目な人間ではございません。普通に生きていればネタなんかに遭遇することなく、極めて真っ当な韓国出張日記になるはずなんです。エロ本買えなかったり、所持金がなかったり、独りで銃を撃ちに行ったりとかありえない。 そんなこんなで、国際会議の初日も終了。あとは明日の二日目を終えれば帰国と相成るわけです。まあ、終了後も一泊して、明後日の早朝に帰国することになるのですけどね。 とにかく、このまま真面目に国際会議に出席していれば、不幸な出来事も起こりえませんし、所持金を大幅に減らすこともありえません。この海外でありながら全財産が18万ウォン(18000円)という散々たる状況もなんとか打破できるのです。 22日夜 オンボロホテル さあて、国際会議初日も終わったことだし、後は部屋に帰って寝るだけだぜ、などと意気揚々とホテルフロントに預けていたルームキーを受け取りに行ったところ、フロントマンがカタコトの日本語で 「ホテル代の前払いをお願いします・・・」 ついにきた! いつかは払わねばならないとは薄々勘付いていたが、ついにホテル代の請求がやってきた。 ということで、三泊分のホテル代18万ウォン(18000円)を請求される。僕の所持金も偶然にも18万ウォンのみ。これは何かミラクルの前兆なのかもしれない。 patoさんの所持金 0ウォン(0円) ついに異国の地で文無し。帰りの航空券もホテル代も既に払ったとはいえ、ついに文無し。後二泊は滞在せねばならないのに、ついに文無し。 しかし、嘆いていても始まらない。正確には全くの文無しではなく、ポケットにオツリで貰った500ウォン硬貨(50円)があったので、それで安っぽいパンを購入して飢えをしのぐ。 韓国に来て、こんなひとかけらのパンで飢えをしのぐことになろうとは。 それでまあ、まだ夜も早い時間(7時くらい)なのだけど、起きていても腹が減るだけなのでテレビでも見ながら寝ようとテレビをつけました。 なぜか韓国では日本の格闘技ブームらしく、K-1だとかPRIDEだとかを放送してました。ちなみに放送していたのは10年前の第1回K-1グランプリ’93準決勝。ドス黒いチンコみたいな外国人VS使いこんだチンコみたいな外国人でした。解説とかは全部韓国語で訳分かりませんでした。 それでまあ、もうお腹が減るし全ての電灯を消して寝ようとしたのです。ちなみに僕の宿泊していた部屋は、突然勝手に全ての電気が消えてまた点灯したり、意味もなく照明が点滅したりと、ふんだんに怪奇現象の起こる部屋でした。 そんなもの全く気にせず、部屋を真っ暗にしてベッドに入るのですが、目がギンギンに冴えていて眠れない。あまりにも就寝時間が早すぎる(8時)のも要因の一つですが、それ以上に何か満たされない思いがあり眠れないのです。 一体、僕は何を欲しているのだろう。何が満たされないから眠れないのだろう・・・。答えは簡単でした。そう、インターネットです。 いつも何処に行くのにでもノートパソコンを背負い、インターネットに接続することを忘れないpatoさん。しかしながら、今回は韓国は電源が違うといった理由からパソコンを持ってきていないのです。 もうインターネットどころかパソコンに触れない時間が48時間は続いている。きっとその禁断症状で眠れないに違いない。パソコンに触りたい、ネットがしたい。韓国からNumeriとか見たい。 そういった想いから、まるで夢遊病者のごとくフラフラと部屋を出たのです。回線の臭いに誘われるがままに。 ここ韓国はインターネット大国として世界でも知られるほどネットワーク環境が整備された国です。街を歩けばあちらこちらにネットカフェが立ち並び、至るところにネットワーク接続されたパソコンが設置されているのです。 僕が宿泊するオンボロホテルも、こんな離島でありながら、しかも周りには観光地と緑しかない田舎でありながら、さらには今にも朽ち果てそうなホテルでありながら、ロビーには二台のパソコンが置かれ、インターネットが出来る環境が整えられていました。 もう、そこでネットをするしかない、とフラフラとロビーに下りていったのです。 ちょっと分かりにくいかもしれませんが、当然のことながらロビーに置かれた2台のパソコンのキーボードは全部がハングル。全く意味が分かりません。 さらには、二台あるうちの一台のマシンでは、韓国人の宿泊客が鬼のような勢いでソリティアに興じていました。まるで親の敵を討ち取るかのように、まるで幼女を陵辱するかのように無我夢中でソリティア。何が彼をそこまでソリティアに駆り立てるのか。 ソリティアに熱中するのは日本人も韓国人も同じ。万国共通なのだなと妙に感心し、その韓国人の隣に座ってネットワークにアクセス。よくわからないハングルキーボードと悪戦苦闘しつつ、なんとかNumeriに接続。 日本語の入力は出来ませんが、日本語を読むことは出来るみたいで、なんとか検索サイトでNumeriを検索してマイサイトに到達しました。こういうときサイト名が横文字でよかったなと思います。日本語のサイトだったら検索するのも一苦労ですから。 当たり前ですが、韓国から見るNumeriも日本で見るNumeriと何ら変わりはありませんでした。普通に日本語も表示されるし。自動更新もこの時は順調に動いておりました。 あと、リンク先のサイトさんの半分くらいが、正常に日本語が表示できずハングルに文字化けしていて読めませんでした。 ハングルで表示される「さんぽみち」 それにしても、インターネットをやってから気がついたのですが、パソコンの横には「インターネット利用は1時間1500ウォン(150円)です」という表示が。どうやら無料開放ではなかったみたいです。ちょっと見なかったことにしておきます。 そんなこんなで、こんな韓国に来てまで、しかも文無しでありながらネットジャンキーヨロシクで有料ネットサーフィンに興じていましたところ、 「あれ?pato君じゃない。どうしたの、こんなところで」 と、なんかタンクトップとか着て筋肉を顕にした大崎の姿が。 「いや、インターネットを・・・」 とか僕が釈明しますと、大崎のヤツは「またネットか」と明らかに蔑んだ目で見ていました。 「ちょっとお酒でも飲まない?僕の部屋でみんな飲んでるんだ」 どうやら、大崎のウンコのヤツは国際会議で仲良くなった世界中の若手どもと部屋で酒を酌み交わしていたようです。非常にグローバルで、さらに社交性が高いところを見せつけてくれます。 仲良くなった世界のメンバーと英語で会話しつつ、夜は飲み会で親睦を深めるという社交性とグローバルさを両立させた大崎。 反面、コソコソとロビーでインターネット。しかも日本のページ。しかも自分の運営するサイトをヌメヌメと外国に来てまでチェックする僕。その社交性のなさとグローバル性のなさには脅威すら感じます。 こりゃもう勝負する前から勝負あった。開幕から50ゲーム離された気分だ。と大崎と僕の差を歴然と感じたのでした。 とりあえず、大崎と関わるとロクなことないですし、僕はお酒を飲むのはあまり好きではありません。それ以上にグローバルなメンバーが集まっているということは英語を喋らないといけないわけでして、またもや「Site seeing」なんていう赤っ恥青っ恥を晒す事態になることが予想されます。ですから 「いや、今日は疲れているので休みます」 と断ったのでした。 その数時間後、なぜか大崎の部屋で異国の者どもと酒を酌み交わす僕の姿が。 一体どうなったらこんな事態になるのか分かりませんが、断ったにも関わらず何故か大盛り上がり大会で酒飲み大会でした。多分、無理やり大崎のヤツに召還されたのだと思います。これだから大崎は恐ろしい。 でまあ、インターナショナルな飲み会メンバーはやっぱり会話とか英語で、何言ってるのか全然分からない。ワインを飲んで上機嫌になってるっぽいアメリカから来ている金髪の女なんか、口から先に生まれたんじゃねえの?と思うほどの勢いで鬼のように英語を喋ってました。しかも僕に話しかけてくるもんだから、全然何言ってるのか分からず、ただただ「Yes」とだけ答えてました。それでも金髪女性のトークは収まらず、鬼のようにマシンガントーク。いいから、英語喋らんでいいから、乳の一つでも出せと。 そんなこんなで、非常に盛り上がった飲み会ですが、英語を扱えない僕はただただ酒を飲むばかり。一言も喋らずに黙々と焼酎とか飲んでいたものですから、すっかりと酔っ払ってしまったのです。 しかし、人間ってのは適度に酔うと頭の回転が良くなるものでして、素面の状態では思いつかないようなことに思案が巡るのです。 僕は今でこそ所持金が0で、円でいってもウォンでいっても、ドルで言っても0な状態のわけです。このまま金もないままどうやって僕は韓国ライフを楽しむのだろう・・・と大変盛り上がる外人たちを尻目に考えていましたところ、途方もないことに気がついたのです。 そういや、リュックの中に非常用の金があった。 普段から、もしものためにリュックの中に現金をいくばくか忍ばせておく習慣があった僕。その金があったことに気がついたのです。 街で偶然にソニンとかに会った時に「お金くれるなら抱かれてもいいよ」とか言い出すかもしれないじゃないですか。そこでお金を払えばソニンとか抱けるんですけど、あのハミ乳実際に揉めるんですけど、お金がない場合も考えられる。そうなってしまうと一生後悔すると思うのですよ。ですから、そういったチャンスに備えて常に非常用の金を忍ばせているわけです。しかも、ソニンぐらいなら抱けるであろう2万円を常備しているのです。 それに気がついてしまった僕は、まさにマッハの動きだったね。隣に座っているパツキンを押しのけ、大車輪のごとき勢いでマイルームへ。それで、リュックの小さいチャックの部分を開ける。 あった・・・! そこには小さく折りたたまれた二枚の福沢諭吉が。 なんて偉いんだ。非常用の金を取っておくなんてなんて立派なんだ、俺。僕はこの二万円と対面したときの喜びを一生忘れない。 というわけで、その二万円を早速ホテルのフロントでウォンに換金。所持金が0ウォンから一気に20万ウォンに。またもや財布がパンパンに厚くなりました。 ということで、そのまま酔った勢いも手伝ってでしょうか、所持金が増えて心強くなったからでしょうか、とにかくこの20万ウォンをもっと増やしてステディにブランド物でも免税店でお土産に買ってやろうと千鳥足でフラフラとカジノへと赴いたのでした。 キングダムの名がふさわしい夜のロッテホテル。泊まっているホテルとは月とゲロほどの差が。ちなみにこのホテルはカジノも免税店も常備しており、しかもカジノは24時間営業という狂いっぷり。 そんなこんなで、小汚いカッコでカジノへと入店。ルーレットやらバカラ、ブラックジャックなどがあり、小奇麗な格好をしたディーラーさんが手際よくトランプをきったりしてました。 しかしながら、対人スキルが異様に低い僕は、ディーラーさんと対決するなんてのは妙に怖かったので、スロットマシンにて勝負をすることにしました。 で、このスロットマシンっていうのは、日本のゲームセンターなんかにあるやつと全く同じなんですが、唯一違う点はモロに現金を飲み込むという点。 日本ではゲームセンターのスロットでもパチンコ屋でもそうなのですが、お金でコインを借りてプレイすることになります。そのコインを増やして最後に換金したりするのですが、韓国のカジノは違います。コインがそのまま500ウォンですからね。 普通に紙幣を飲み込む所が機械についていて1BETが500ウォン(50円)ですから、1万ウォン入れるとクレジットが20になるんです。で、当たるとベコベコと500ウォンが払い出されてくるんですよ。 金を入れ、金が吐き出されるリアルなスロットマシン。このリアルなギャンブル。3DO Realよりリアルなギャンブル。勝たねば誰かの養分。ゼッタイに勝たなければならない。そう、僕にはもう道は残されていないんだ。 そんなこんなで、リアルすぎるギャンブルに震えつつもスロットマシンをプレイし、なんとかギャンブルタイムも終了。もちろん結果は 所持金 20万ウォン→0ウォン またもや文無しに。 カジノから出る時、ちょっと涙目になってた。 一時は非常用の金により文無しを免れた僕。しかしながら酔った勢いでカジノに行ったためにまたもや文無しに。次の日の食事とかどうするんだという不安を抱えつつも、韓国二日目の夜は更けていくのでした。 つづく あとは「part 6 韓国のエロ本」と「part 7 帰国 大崎の策略」で韓国編も終了です。 半年に一度のお祭騒ぎ。Numeri全国オフが8月9日に東京にて開催されます。8/9 Numeri-OFF Tokyo 2003 in TOKYO DOME(告知ページ)。全国からキチガイが集まりますので、是非ともご参加ください。 職場で嬉々としながら日記を書いていた時、ただならぬ気配を感じて後ろを振り返ったら上司が立っていた。 ちなみにその時打っていた文字は「ウンコ上司死ね」。何故だか知らないが、上司はニヤリと笑うと、そのままどこかに消えていった。 そろそろ切腹しようかと思う。 月曜の夜中に広島に到着し、たまっていた仕事をするべく職場へ。デスクの上に積み上げられた伝言やら書類やら未処理の仕事たちは、まるで僕を責め殺さんばかりにそびえ立っている。 そんな仕事を処理しつつ、5分でチョコチョコと日記を書く。仕事も日記もそうなのだけど、素早く仕上げるためには自分の世界に没頭するに限る。集中力を発揮して、自分だけしか存在しない世界に没入する、それが一番の攻略法。 僕が高校生の頃、高校の寮にとんでもない天才が住んでいた。僕らはテスト前であろうがなんであろうが、勉強もせずに寮の一室で飲み会三昧。酒を飲んで大盛り上がり大会とばかりにドンチャン騒ぎを展開していた。 寮の部屋は四人部屋だったので、その天才も同じ部屋で勉強をしていた。同じ部屋で、真後ろで集中できないほどバカ騒ぎする僕らを他所に、彼は微動だにせず集中して勉強していた。きっと彼は、集中して自分の世界に没入していたのだろう。 僕も最近になって、やっとこさその集中力を手に入れた。オフィスでヘルスズキが騒いでいようが、B子が猛り狂っていようが、全く問題なく淡々と仕事やら日記をこなせるようになった。たぶん、後ろで内山理名が激しいオナニーをしていても普通に仕事できると思う。いや、それは無理。普通に写真撮影とかしてしまうわ。 それでまあ、今日もたまった仕事の処理、たまった日記執筆などを物凄く集中して行ったわけだけども、そうするうちに完全に一人の世界に没入してしまった。 オフィスに一人ではないにも関わらず。 デスクの向こうには、残業しているB子がいるというのに、僕は集中しすぎて一人の世界。完全にこのオフィスに、いやこの世界に自分ひとりしか存在しないと思い込んでいた。 「あー、チンコかゆい」 一人だと錯覚するが故に口から出たこのセリフ。誰かが聞いているようなこの状況ではゼッタイに口にしないようなセリフ。それが集中するあまりついつい口に出てしまった。 やばい、2人っきりのこのオフィスで、今のセリフは致命傷。下手したらセクハラで訴えられかねない。それどころか、誘っているととられても可笑しくないセリフ。もう思考回路はショート寸前。 それを聞いたのか聞かなかったのか、気分を害したのか害さなかったのか分からないが、デスクを立ってツカツカと僕の下にやってきたB子。まずい、このまま「御免!」とか言われて斬り殺されちゃうんじゃないだろうか、などと思っていると 「はい」 僕の机の上にB子がウナコーワを置く。 いや、これをチンコに塗れってか?いくらチンコが痒いと言ったからって、普通これを差し出すか?というか、塗った後にこのウナコーワは返した方が言いのかい? 様々な思いが渦巻いたが、とりあえずB子に隠れてコソコソとウナコーワをチンコに塗ってみた。 そのスーッとする感覚はまさに新たな快感。風が当たるたびに極部に得も言われぬ快楽が走り抜ける。 やべえな、新しい快楽を知ってしまったぜ コソコソとチンコにウナコーワを塗りながら、違った意味で一人の世界に没入するのでした。 僕らが口にする言葉は、どれもこれも軽すぎる。考えられもせず発せられ、社交辞令に近い意味を持つ言葉達は、全くもって相手の心に響かない。ただ、相手を欺き、相手を表面上丸め込め、自分を満足させるだけのための用途で使われているに過ぎない。 薄っぺらい「ごめんなさい」という言葉に、謝罪をする意図は全く見当たらないし、「反省しています」という言葉に反省は見られない。「ありがとう」という言葉には感謝の欠片すら見出せない。 表面上綺麗な言葉を使うヤツラほど、内実は酷いもので、物凄い腹黒さを秘めている。「永遠の愛」やら「キミだけが大切」とキムコでも脱臭できないセリフを枕元で口にする男ほど信頼ならない。 社交辞令として発せられ、相手を欺くためだけ、自分を擬似的に満足な気分にさせるためだけに飾られ、発せられ、空気の中に溶け込んでいく言葉達のなんと空虚なことか。 このサイトの一番下にある「どうでもいい一言日記」というコーナーに「黒夢とかマジウケル」と何の気なしに書いたことがある。特に深い意図はなく、マジで彼らはウケルという意味合いで書いた。本当に自分でも分からないくらい無意識に。 黒夢とは、なんか2人組みだったかのシンガーグループだった気がする。どうやら随分と昔に解散だか休止だか無期限の活動停止をした人のようなのだが、どうやら今でも熱狂的ファンが存在するようだ。 「一行日記で黒夢をバカにしてるのはどうしてですか?」 というお叱りのメールを女性から頂いた。僕自身はそこまで馬鹿にしたつもりではなく、ほんの軽い気持ちで書いたのだが、やはりファンの人というのはこういった話題にセンシティブだ。 そこで、どうして自分が「黒夢とかウケル」と書いてしまったのか。ログの残らない軽やかな文章と言えども、どうしてそんなことを書いてしまったのかその時の心理状態を思い出してみた。 僕は彼らの音楽を聞いたことがない。 けれども、なぜか彼らの存在は知っていた。 そこに一行フレーズを書いた謎を解き明かす鍵があるに違いない。 思い返してみると、僕は確かマガジンだったかジャンプだったかの少年誌で、彼らがインタビューされている記事を読んだのだ。雑誌の一番背中の方のモノクロの小さい扱いで掲載されていた「黒夢インタビュー」。 そう、そこに載っている記事があまりにも印象的だった。 記事自体は、読者である少年達が黒夢に対して質問のハガキを送り、それを黒夢の清春だか清原だかが答える形式になっていた。 純真無垢な少年達の質問のハガキ。本当に一途で、黒夢が大好きでたまらないといった少年が、なんとか彼らにお近づきになろうと質問のハガキを送る。このピュアハート。 そんなピュアな質問の中、一つの質問と回答が目にとまる。 「僕はすごく黒夢に憧れています。カラオケとかでよく黒夢の歌を歌いますが、なかなか清春さんみたいに上手に歌えません。どうやったら上手に真似できますか?」 こんなピュアすぎる質問だったと思う。こんな質問、空虚な言葉で答えるのならいくらでも無難な答えが出来る。 「いつも歌ってくれてありがとう」でもいいし、「高音を注意して発声すると・・・」なんて、本心で思ってなくても答えておけば丸く収まる。しかし、黒夢の返答はそんな空虚な言葉ではなかった。 「俺の真似するな。殺すぞ」 どんなセリフだったか忘れたが、こんな攻撃的なバイオレンスなセリフだったと思う。いたいけないピュアな青年。黒夢に憧れ、少しでも近づきたいと足にすがるような質問。それをこの返答で一蹴。容赦なく一刀両断。質問した少年とかは、この記事を読んで泣いてるんじゃないだろうか。 当時の僕は、黒夢とかいう悪を気取っているグループが無性にワルガキぶって質問に答えている。なんて寒いんだろう。なんて恥ずかしいヤツラなんだろう。その振る舞いが妙にウケル。と思ったものだ。 そして、それがそのまま件の一行日記になったのだと思う。 しかし、今こうやって思うと、彼らの言葉は全てが本心だった。誰にも真似されたくないという確固たるアイデンティティ。そして、空虚な言葉でお茶を濁さないその姿勢。きっと彼らは、心にもない感謝も謝罪も、反省も口にしないのだろう。それだけ言葉というものを軽く扱ってないのだ。 詩を綴って歌う彼ら。言うなれば言葉は商売道具であり武器なわけだ。そんな自分の拳やら剣を軽く扱わない。その姿勢は大変素晴らしいものと思う。モラルがどうとか言うのは別として。 曲がりなりにも、文章を綴っていくばくかの人々に読んでもらっている僕達。商売道具ではないものの、言葉は大切な自分の武器だ。その武器を軽んじず、空虚に扱わず、もっと大切にする時期に来ているのかもしれない。 俺の真似をするな、殺すぞ それぐらい言ってのけれる度胸と自信。それを手に入れることからはじめなければならない。 5・31Numeriプレ東京オフin新宿。 半年振りに関東地方で開催されるオフ会ということもあり、プレオフでありながら30人オーバーの猛者どもが集うという異常事態。しかしそれ以上に異常なのは、Numeriのオフであるにも関わらず、Numeri管理人である僕抜きでオフ会がスタートしてしまったという点。 Numeriのオフでありながら、Numeri管理人不在のまま、Numeriの話を肴に酒を飲むオフ会。一体どうしてこんなことになってしまったのか。話はオフ会当日の朝に遡る。 僕は所詮は社会の歯車の一部を担っているに過ぎないしがないサラリーマン。土曜日も午前中は仕事だといわれればそれに従って仕事をするのみ。そんなこんなで朝からウザイ大崎やら上司やらB子の香水の臭いと戦っておりましたところ、なんとか昼過ぎには仕事も終了。 これでこのまま空港に向かって飛行機に飛び乗って、オフ会には間に合うぜ!と意気揚々とオフィスを後にしました。 しかしながら、空港に到着した僕を出迎えたのは「欠航」と非常なまでにドライに書かれた文字が。季節外れに日本に上陸した台風の影響でまともに飛行機が飛んでいない。こんな晴れのオフ会当日に、戦後三番目に早い台風が直撃とは、よほど普段の行いが悪いと見える。 しかしまあ、欠航なのは僕が乗る前までの飛行機の話で、なんとか僕の飛行機は飛ぶらしい。相変わらず「天候調査中」という訳のわからない表示になっているが大丈夫だろう。 そんなこんなで、予定の時間に大幅に遅れて飛び立った飛行機も、まるでロデオのようにグワングワンとアンバランスに飛びやがる。いくらか飛行機の揺れとかには慣れた僕だけど、さすがにこれはマイッチング。飛行機の上からあんな異様な雲を見たのは初めての経験だ。 地上波どんなに曇り空で、雨風が厳しく荒れ模様の天気でも、雲の上に出ればいつだって空は晴れている。地上の風雨が嘘のように雲の上は晴れ渡っている。僕らはそれを忘れてはいけない。 どんなに辛く苦しかろうとも、きっと空の上は晴れているのだから。あの雲を突き抜ける日が来ると信じて、逃げ出さず、自分の飛行能力を信じて飛んでいくしかないのだ。あの雲目指して。 なんておセンチなこと考えていたらいよいよ羽田空港に着陸。嵐の中の着陸もまた圧巻で、明らかに風に煽られながら、フラフラと。それでいてパイロットが明らかに焦って立て直しながら不安定に着陸。僕らはやはり地に足をつけて生きる生物だ。妙に安心する。 しかし、オフ会の集合時間は新宿に6時。羽田に着陸した時点でそんな待ち合わせ時間は無関係とばかりに途方もない時間。きっと、今頃皆は会場に移動してオフ話に華を咲かせているに違いない。新しい恋とか生まれちゃってるかもしれない。 さすがにもう、ココから新宿に行くのも面倒なので、五反田あたりのキャバクラにでも行ってお茶を濁そうと思ったのだが、今新宿で行われているオフ会は紛れもなくNumeriのオフ会。僕が行かねばどうするのだ。そう、僕は這ってでも行かねばならないのだ。 そんなこんなで羽田空港から京急に乗り品川へ。そこで山手線に乗り換えて新宿を目指す。あとはこの山手線に乗ってるだけで新宿に到着する。この電車に乗ってるだけで目的地まで。なんという安心感だろうか。 「この電車は大崎駅終点です。新宿方面の方はお乗換えください」 永遠にグルグル周っていると思われた山手線。それに終点が存在するとわ。さらにはその駅が「大崎」とかマジあり得ない。ヤツの誇らしげな小憎たらしい顔が浮かんだわ。 ということで、悪魔の駅、大崎駅で山手線を乗り換えまたもや新宿を目指す。 新宿駅西口で、同じく遅れていた婦女子(キューティクル)と合流し、一緒に今や宴もたけなわであろうオフ会場を目指す。しかし、ここでも間抜けっぷりを発揮し、どこが会場だったかサッパリ覚えていない。 しかし、利発なお子さんで有名だった僕は、新宿郵便局の近くであったことを記憶しており、なんとかフラフラさ迷いつつそれっぽい居酒屋へ。なんか居酒屋は「Numeri様」で予約されていた。死ぬほど恥ずかしかったわ。 会場に到着すると、もはや僕がいないことなどどうでもいいといった感じで盛り上がるオフ会の一行が。その、僕不在で楽しそうに盛り上がる面々を見てると、無性に寂しくなってしまいました。 それにしても、このオフ。お初の人がかなり多かったのだけど、男前率、キューティクル婦女子率がとても高い。一流商社とスチュワーデスの合コンみたいになってた。 そんな中に馴染めない、ザ・ジャイアントブサイクの名を欲しいままにする僕。僕が来ることによってちょっとオフ会が盛り下がった。来るんじゃなかった。五反田あたりのキャバクラに行っておけばよかった。 その後は、カラオケの呼び込み店員同士のバトルを観戦したり、カラオケしたり。意味も分からず珍獣扱いで写真を撮られたりと、とてもジョイフルな時を過ごせました。 それにしても、あんな色男やキューティクル婦女子が、我がサイトを見てると思うと、日本もそろそろ危ないな。と思うのでした。 僕はもう、オッサンといっても良い年ですので、若人たちと共にオールでカラオケとか肉体的にも厳しいものがあります。現に、土曜の夜から明け方までオールしただけで憔悴しきってしまい、月曜日の夜まで寝てました。そして今、飛行機で広島に帰ってきたのです。 ということで、掟破りの「5分で執筆オフレポ」です。 東京オフで会った皆さん、今度は8・9東京ドームオフで会いましょう。
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