知る カルチャー創作現場などを訪れ歴史を学ぶ
<発想!動く>文化・ビジネス結ぶ講座 企画――評論家・河内厚郎さん2009/04/16配信
講師は権藤君子さん。ネザーランズ・センター(神戸市)の代表で、OSK日本歌劇団や宝塚歌劇団のOGを中心にした「ビジュー」と名付けたレビュー公演をプロデュースしている。集客の工夫、採算の厳しさ、舞台の楽しさ……。映像を交えて率直に語る内容は実に具体的だ。 主催は特定非営利活動法人(NPO法人)、関西社会人大学院連合。関西経済連合会などもサポートする社会人のための文化教養講座で、好評だった昨年に続く第2弾。1月から隔週木曜日に計6回、漫画・アニメ、演劇コンテンツ、日本文学の輸出、お茶屋文化、翻訳・通訳をテーマに進めた。5月から7月に第3弾を6回にわたり開く。 「意外に知らない日本文化の神髄を関西在住の講師を招いて話してもらうのが狙い」と河内さん。外国人との商談の合間に挟む会話がゴルフや酒の話だけでは情けない。分厚い文化の集積を誇る関西ならではのユニークな試みだ。 回を重ねるうちに河内さんの中に別の発想がむくむくと育ってきた。「教養講座の側面も大事にしつつ、さまざまな文化をプロデュースして発信し、ビジネスにつなげる。そんな講座にしたい」 権藤さんの講義はそれに沿ったものだ。5月から始めるシリーズでも「落語の興行システム」「天神祭に学ぶ、ビジネスの知恵」など、文化の創造と発信のノウハウを学ぶ講座を用意している。 文化や芸術をつくる力と消費する購買力は断然、東京が優勢。でも、かつて演芸のメッカだった大阪をはじめ、多彩な文化を培ってきた関西には底力がある。研究者、プロデューサー、伝統文化を支える人材が集まり、文化の愛好者や目利きも大勢いる。 「連続講座を手がかりに、こうした人たちとビジネス感覚を持った人材が分野を超えて交流する場をつくりたい。ゆくゆくは大学院に発展させられないか」。河内さんの発想はどんどん膨らむ。 (編集委員 中沢義則)
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