自民党:「世襲制限」に反発相次ぐ…政権公約、菅氏提唱

2009年4月17日 22時10分 更新:4月17日 23時0分

自民党の菅義偉選対副委員長=2008年7月撮影
自民党の菅義偉選対副委員長=2008年7月撮影

 自民党の菅義偉選対副委員長が次期衆院選の政権公約(マニフェスト)に国会議員の世襲制限を盛り込む考えを示し、党内から批判が噴出している。中堅・若手議員を中心に支持する声もあるが少数派。存在意義を否定されかねない世襲議員の反発は強く、意見集約は難航必至だ。【高山祐】

 ◇菅氏、PT座長に内定

 菅氏自身は地方議員出身の「たたき上げ」。政権公約を検討する党プロジェクトチームの座長に内定しており、13日の講演で「『自民党もそこまでやるのか』と思われないと選挙に勝てない。世襲に何らかの歯止めをかけないとだめだ」と世襲制限の公約化に意欲をみせた。近く議員連盟をつくり、機運を盛り上げる構えだ。

 世襲議員といえば、安倍晋三元首相と福田康夫前首相が続けて政権を投げ出した際に「ひ弱さ」が党内外から指摘された。引退する小泉純一郎元首相が早々と次男を後継指名したことにも批判的な意見がある。

 ただ、毎日新聞の調べで05年9月に当選した現衆院議員のうち28%が「2、3世議員」というのが現実。早速、自民党内の世襲議員から異論が相次いだ。

 小坂憲次衆院議院運営委員長は17日の党役員連絡会で「私は世襲の権化だ。そうなると覚悟を決めないといけない」と激怒した。

 石原伸晃幹事長代理も「党内合意が得られないものをマニフェストに盛り込むべきではない」と苦言を呈した。同席した菅氏は黙ったままだったという。

 世襲議員ではない笹川尭総務会長も記者会見で「当選可能性の高い人を公認したい気持ちはどこの党でも同じだろう」と指摘。大島理森国対委員長も記者団に「民主主義はどなたでも立候補できるという根本がある。根本論を分からずして選挙制度を議論してはいけない」と語った。

 この問題では、世襲議員の麻生太郎首相も記者団に「各党の中でも意見が分かれると思うし、いろいろ議論をしないといけない」と慎重な考えを示している。

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